南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

今の若者より昔の若者の方がよほど「量産型」の服装だった

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 量産型女子とか量産型男子大学生とかいわれるが、正直なところちょっと意味が分からない。

似たような服装をしているということが言いたいのだろうが、「トレンド」と目される服装をこぞって着用するのは今に始まったことではないし、むしろ昔の方がトレンドへの集中度合いはひどかったように感じる。

逆に現在の方が服装は多様化していると感じる。

1970年生まれの筆者の覚えている範囲でいうと、安室奈美恵さんをキャラクターにして、バーバリーブルーレーベルが大ヒットしたのが97年だった。
バーバリーチェックのミニスカートにロングブーツという着こなしだったが、大ブームになり、それこそ20代の女性はこぞってこの服装をしていた。まさしく「アムラー」とかいう量産型女子である。
今の女子大生よりもチェックミニスカ+ロングブーツの比率は高かったと感じる。

また、この少し後に、神戸エレガンスが流行した時、20代女性はこの服装に集中した。

しかし、この両方とも「量産型」とは呼ばれていない。
左を向いても右を向いても似たような服装の女しかいなかったにも拘わらずだ。

ほかにも、2000年ごろに流行したローライズジーンズ。
そこからの派生で2005年ごろにピークを迎えた欧米ブランドのローライズブーツカットジーンズ。

このあたりも女性はまるでユニフォームのようにそろって着用していた。

2005年ごろまではユニフォームのように着用されているビッグトレンドがあった。

しかし、2008年以降はそういうビッグトレンドはなくなった。
かろうじて例を挙げるならスキニージーンズくらいだろうか。

逆に筆者は2005年までの社会に比べて、洋服の着こなしはビッグトレンドがなくなったことから多様化したと感じている。

例えば、3年位前まで老若男女に大人気だったストール。

2017春夏にストールを首に巻いて歩いている人がどれほど存在するだろうか。
ほとんどいないだろう。

3年位前までは老若男女こぞって巻いていた。まさしく量産型ストーラーである。

生地産地はこぞってオリジナルストールを企画製造した。
生地をただまっすぐに裁断して、四方を縫うだけだから、洋服を作るのに比べて格段に楽にできる。
オリジナル製品の入門編としてはうってつけの商材である。

それが徐々にトレンドから消えていった。
着用者が一人消え二人消えという具合だ。気が付いたらほとんどの人が巻かなくなった。

だが、ごくまれに見かけるストールを巻いた人を「うわ、ダサ。何年前の人?」とは思わないだろう。
これは筆者のみならず多くの人の共通した見方ではないかと思う。

今、ストールをこのクソ暑いさなかにわざわざ巻いている人はよほどの愛好家であり、その服装は大枠では「ナチュラル系」と分類されるジャンルに限られている。
いわゆる、綿や麻などの天然繊維の衣服をちょっとユルっと着用しているようなイメージの人たちだ。

ストールを巻いているのを見ても、「ああ、あのジャンルの人たちね」という程度で、流行遅れとは感じない。

ストールだけではなく、ほかのアイテムでも同じではないか。

スキニージーンズが大ブームでも、レギュラーストレートジーンズを穿いた人を「流行遅れ」とは思わない。

今春からワイドパンツの着用者が増えているが、その中にスキニージーンズを着用した人が混じっていても「時代遅れが混じっている」とは思わない。

いずれの場合も「そういうジャンルの服装が好きなのね」としか感じない。

筆者が高校生~大学生だったバブル期はそうではなかった。
ビッグトレンドは毎年次々と生まれては移り変わるし、それにアジャストすることが多くのファッション好きにとっての快楽だった。

トレンドを取り入れない者に対しては「ダサい」「流行遅れ」という見方がなされた。

今の方が各人の服装に関してはずっと寛大だと感じる。
2008年くらいまでの若い人たちの方がよほど「量産型」である。

実像を無視して、今の若い人を「量産型」と揶揄してみたところで洋服の売上高は増えないし好転もしない。
そういう業界のレッテル貼りの体質に対してますます消費者は拒否反応を起こすだろう。

だいたい、衣料品業界にいる人たちの考え方はおかしい。

先日のセール後倒し論の記事でもそうだ。

「業界が停滞しているのはセール早期化によるものだ」なんて八つ当たりに近い意見が述べられている。
アホなのか?

業界が停滞して、各社がバカで企画力と販売力がなくて不良在庫を山盛り抱えたから、セールが早期化されたのであり、最初から何もない状態ならセールが早期化される必要もない。
日々の売れ行きが順調で不良在庫を抱えていないならセールを早期化しようなんて考えるはずもない。

因果関係を逆に考えれば、解決策はさらに遠のく。
まあ、解決策なんて100万年先まで遠のけば良くて、その間に業界は淘汰されるだけ淘汰されるべきだと思うが。

横並び気質、売れ筋丸パクリ気質、過剰な欧米崇拝気質、と業界にいる各社・各人の方がよほどに「量産型」ではないか。

「量産型」が跳梁跋扈できる業界は今日も平和でのどかである。


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「日本製」ファッション用品はメディアが思っているほど盛り上がっていない

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 先日から立て続けに国内の繊維製造業、産地企業の社員から退職の知らせが舞い込んでいる。
理由はさまざまあるが、その根本には会社の業績が悪化したことにより、業務環境や会社の運営方針の改悪に対する不満・不信なのだが、本当に国内の産地企業、製造加工業は今後、倒産・廃業が相次ぎそうな気配が漂っている。

苦境の原因はさまざまあるが、大別すると次の2つにわけられる。

1、製造加工業、産地企業自体が下請け気質を変えられなかった
2、大手アパレルや大手ブランドは日本製をまったく重視しておらず、製造の海外シフトを強化していること

である。

1については、これまでも何度か書いてきたように、90年代以降、さまざまな「自立化」や「ブランド化」「下請け脱却」が叫ばれてきたにもかかわらず、当の本人たちの意識、考え方はまるで変わらなかったということである。

相変わらず、1000万円もする機械設備はポンと導入するが、わずか数万円の展示会費用を出し渋る気質はまるで変わっていない。
広報やプロモーションに対する考え方もまったく変わらない。
たかだか5万円の費用も支払いたがらない。

しかし、酒を呑む費用はふんだんに払う。

神は細部に宿るというが、物作りでは細部にこだわりすぎて、その効果や良さがまったく売り手や消費者には伝わらない。

例えば、「ステッチの幅を1ミリ縮めました」みたいなことを嬉々として語られたところで、その技術力の高さはわかるが、他社の製品との圧倒的差異にはならない。
これで商品価格が安ければ売れやすいが、「1ミリ縮めたからすごい付加価値がある」と勘違いして、髙い価格を付けるなんてことは日常茶飯事だ。
消費者的視点でいえば、ステッチの幅が1ミリ縮んだ3万円の服と、従来通りのステッチで8000円で売られている服ならどちらを買うかである。
多くの人は8000円を買う。


次に2である。

なんだかわからないが「日本製を海外に売ろう」みたいな取り組みをよく耳にする。
ナンたら組合とかナンタラ協会が取り組んでいることもあるし、大手アパレルや大手ブランドが個々に取り組んでいる場合もある。

組合とか協会は、実際にそれを目的として活動しているのだと思う。(活動内容の良し悪しは置いておいて)

しかし、アパレルやブランドの多くはそれは単なる掛け声に過ぎないし、「売るための記号」にしか過ぎない。
特に大手アパレルや大手ブランドにとって、「売るためのポーズ」に過ぎない。

先日、お会いした退職を決めた人によると、それまで長年、太い付き合いをしてきた大手アパレルが、販売だけでなく、それに伴って製造もグローバル化に取り組み始めたので、国内の製造業者との取引を大幅に減らすことを通達してきたという。


また、別の大手は、以前からグローバル化に取り組んでいたが、それをさらに強化して、国内の製造業者を3社切り捨てたところ、その3社とも即座に倒産してしまったという。


これが大手の実態であり、「日本製ガー」と言っているのは単なる「売らんがためのポーズ」に過ぎない。
ちなみに笑えることに、両大手ともに「日本製」を売りにした商品ラインや単品アイテムを大々的にプロモーションしている。
さすが大手は二枚舌がお得意ですよね♪


まあ、こんな感じで、国内の製造加工業者や産地企業は内部的要因と外部的要因の両方によって、さらに倒産・廃業に追い込まれつつあるということである。


製造加工業者や産地の人が思っているように、「どこかの大手ブランドが救世主になってくれる」ことは絶対にありえない。

じゃあ、どうする?という話である。


余力のあるうちに廃業するのがもっとも賢明だろう。
追い込まれてからの倒産では、経営者自身が路頭に迷うことになる。


どうしても生き残りたいなら、これまで失敗し続けてきた「自立化」に取り組むほかない。

アホの一つ覚えみたいに自社オリジナルブランドを開発することだけが「自立化」ではない。
今まで「特定の大手と太い取引があるから」ということを盾に、受注先の新規開拓をしてこなかった「待ちの姿勢」を改めることも立派な自立化といえる。むしろこちらの自立化の方が様々なリスクは少ないだろう。


多くの製造加工業者によるオリジナルブランドが成功しない理由は、ブランドとしてのノウハウがないことは言うまでもないが、ブランド開発がゴールだと勘違いしてしまうところにもある。

ブランド開発はゴールではなくスタートでしかない。(Jwalkの歌詞ではないが)

そして、ブランドとしてスタートすると、今度はブランド間での競争を勝ち抜かねばならない。
背景が縫製工場だとかそんなことは関係ない。
背景が縫製工場だろうとキャバクラだろうと関係なく、ブランドとして拡大再生産をし続けなくてはならない。

消費者からしても背景が縫製工場だろうが、染色工場だろうがキャバクラだろうが関係なく、その商品自体が良いかどうかが重要になる。


それにしても、メディアが考えているほどには、「日本製品」は盛り上がっておらず、国内の産地企業、製造加工業者は最終段階にまで追い詰められているというのが実態である。



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ファッションビジネスの魔力
太田 伸之
毎日新聞社
2009-11-20



ファッションビジネスの魔力
太田 伸之
毎日新聞社
2013-08-30


ウェブでこれだけバーゲンが常態化しているのに、実店舗でバーゲンを後倒ししても意味はない

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 今年の6月もそうだが、商業施設を見ていて、何年か前ほどのバーゲン早期化はあまり感じない。

今年は6月30日の金曜日に夏バーゲンを開催する商業施設が多そうで、曜日を考えれば6月30日がベターだと思う。

一方、バーゲンの通知が常に届くのはウェブ通販である。
一昨年に始めてAmazonで買い物をして以来、年間で8回~10回くらいは買うようになった。
主には値引きされたガンダムのプラモデルだが、たまに本を買う。
あと極まれに服や靴を買う。

服や靴はもちろん値引きされた商品しか買わない。

そうなると、Amazonから頻繁にお知らせのメールが送られてくる。
やれタイムセールだ、やれアウトレットセールだ、やれプレセールだ、という具合である。

またユニクロやアダストリアのウェブでもこれまで何回か買ったから、そこからも頻繁にメールで安売りのお知らせが来る。
6月20日にはアダストリアから3通も安売りのお知らせメールが来た。

2つは21日から夏セール開催という内容だが、もう1つは先行セール開催というものだ。

ユニクロはだいたい毎週火曜と金曜に「期間限定割引」のお知らせメールが来る。

GAPはウェブで買ったことがないが会員登録しているからメールが来る。
だいたい、GAPかバナリパで「なんちゃらセール開催中」とか、「〇〇すれば〇%引き」とかそういう内容である。

ウェブからのお知らせだけを見ていたら、ほぼ毎週何かの安売りセールをやっている。

筆者が受け取るのはこの3社がほとんどだが、もっとたくさんの通販サイトを利用したことのある人は、もっとたくさんの安売りのお知らせをそれこそ週に何通も受け取っているだろう。


例えば、ウェブでは買ったことがないが、ナノユニバースは6月21日現在、ウェブでは絶賛バーゲン開催中だ。
しかも「1000円、3000円、5000円の3プライスバーゲン」である。
実店舗でのバーゲン後倒しがどうのこうのなんて論争している次元ではなく、破格の投げ売りを開催している。

キャプチャ



このように、ウェブ通販だけを見ると年がら年中、毎週何かの安売りセールをやっていると感じる。

こんなに安売りセールが頻繁に開催されているなら、何も実店舗で買う必要もなく、安い服が欲しければウェブを検索すれば良いと感じる。
ますます、実店舗離れが起きるだろう。

さて、そういう社会状況になったにもかかわらず、ルミネが今年の7月もセール後倒しを行い、7月28日から開始するとの発表があった。
率直な感想をいえば、こういう状況でルミネだけがセールを後倒しする意味があるのかと感じる。

もちろん、業界、特に製造業系からは歓迎の声があがっており、その気持ちもわかるが、個人的にはその考え方は評価できない。

各社が足並みをそろえているならまだしも、安い商品が欲しい人はいくらでもウェブで手に入るのが現実だ。


じゃあ、どういう売り方が良いのかという話になると、これだけウェブ通販が年がら年中安売りをしているなら、最早全社そろってセール時期を後倒しするというのは実現不可能である。
実店舗でバーゲンを後倒ししたところで、ウェブでやってるなら、多くの客はウェブで購入する。

だったら、店舗はセールを後倒しせず、今年なら6月30日で足並みをそろえるべきだろう。

そして、1月~3月に入荷した「古い商品」を70%オフくらいで叩き売って、集客装置としつつ、5月ごろに入荷した新しい商品を10%オフとか20%オフくらいで販売するのが正解ではないか。

どうしても売れ残った商品は,そのあとのバーゲン末期で大幅値引きをして投げ売る。

こういう方法で各社は乗り切るべきだろう。

ウェブがこれほどバーゲンを早期化・常態化している中で、たかがルミネだけがバーゲンを後倒しにしたところで、業界の趨勢がそちらに向かうことはないし、各社がバーゲンを後倒ししたところで、ウェブはそれに縛られないだろうから今のバーゲン常態化は続くだろう。

そうなるとますます実店舗の売上高が下がりウェブでの購入率が高まる。
これが進み過ぎるとアメリカのように実店舗の大量閉鎖につながることになる。

各社がそういう結果を望まないなら、バーゲンの後倒しなんていう非現実的なファンタジーとは決別すべきではないか。

ウェブがこれだけ、バーゲン早期化・常態化している中で、実店舗のバーゲン後倒しという施策は何ら意味が無い。

バーゲン品が欲しい人はウェブないし、他の商業施設で買うだけのことにしかならない。
業界からバーゲンがなくなることはないし、定価販売が広がることもない。


ところで、繊研プラスを読むと、ルミネの新井社長のこんなコメントが掲載されているがこれは事実だろうか?

「ファッションビジネス業界が膠着(こうちゃく)状態にある大きな要因はセール(の早期化)ということをオーナーの人たちも分かっている。『夏のセールはやめましょう』という幹事会社もある。そもそも、これから暑くなる時期にセールをやるのはおかしい。本来なら、8月スタートにしたかった」という。


この人がセールを8月にやりたいというのは個人の嗜好の問題なのでどうでもいい。
疑問を感じるのはその前段である。

ファッションビジネス業界が膠着状態にある大きな要因はセールの早期化とあるが、これは事実誤認だろう。
セールが早期化しているから膠着しているのではなく、膠着して不良在庫がダブついているからセールが早期化しているのである。
因果関係を完全に取り違えている。

で、セールを後倒しすればその膠着状態が解除されるのかというと、その可能性は極めてゼロに近い。

膠着しているのは、セールの開始時期が早いからとか遅いからではなく、国内のファッション業界が、消費者の消費行動・嗜好の変化に対応できなくなっているからである。

また、オーナーが「夏のセールをやめましょう」と言ったというのも本当だろうか。
もし事実ならそのオーナーはよほどのアホか、リップサービスをふるまう人かのどちらかだろう。

ルミネに出店しているブランドというのは、個人経営のブティックではなくて、ある程度の店舗数を持ったチェーン店が9割以上である。
そういう大手企業のオーナーが「夏のセールをやめましょう」というなら、ルミネに出店しているテナントだけでなく、自社が各地に何店舗か構えている路面店で夏のセールをやめれば良いのである。

路面店ならだれに気兼ねすることもない。
ファッションビルや百貨店やショッピングモールのように、管理されているわけでもない。

セールをやめるのも後倒しするのも自由自在である。

自社の路面店ですらセールをやめられないような企業のオーナーがなぜ、「夏のセールをやめましょう」なんてことを発言できるのだろうか。

この発言が本心なのだとしたら、そのオーナーがよほどのアホか恥知らずである。


今後もルミネはバーゲンは後倒しし続けるだろう。
しかし、その動きはルミネだけに限定されたものとなり、今後は淀川の花火大会よろしく、単なる夏の風物詩の一つとして認識されるにとどまるだろう。

「また今年も、ルミネがバーゲン後倒し宣言をしたわ。そろそろ夏よね~」なんて会話が毎年6月には聞かれるようになるかもしれない。



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バーゲン後倒しに敬意を表して、現在、値下げ販売されているナノユニバースの商品のいくつかをどうぞ~♪




















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