南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

洋服以外の商材に活路を求めた縫製工場

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 カジュアルパンツのOEM生産を請け負っている友人から「今年に入って製造地を国内から中国へ再度移転した」との報告があった。

理由の1つとして夏場から円高傾向が進んだことが挙げられる。
現在はトランプ次期大統領の就任が決まって再び110円越えの円安基調へ変わっている。

また、日本の縫製工場よりも中国の工場の方が使い勝手が良いこともある。
大ロットの受注がアセアン諸国へ移ったため、中国国内の縫製工場はかなり小ロット対応も積極的に行うようになっている。
さらに、副資材の手配や取り付けなども一貫生産で中国では行える。

国内の縫製工場は分業体制が確立されているため、ボタンやリベット、ファスナーなどの副資材の手配は、ブランド側が行わなくてはならないし、取り付けはそれぞれ別の専門の工場へ送らねばならない。

そういう諸々の要素によって、縫製の多くは再び中国へ戻りつつある。
11月から円安基調が加速したが、だからといって再び国内工場へ受注が戻ることは考えにくい。
機能性、機動性、利便性の上で中国工場が国内工場を上回っている場合が多いからだ。

そんな中、三重県の縫製工場、近藤ソウイングの近藤喜成社長と久しぶりにお会いした。

近藤ソウイングは受注はそれなりにあるそうだが、付き合いのある縫製工場の多くが閑散としており、1年前の活況は見られない状況にあるという。理由は多くの注文が中国工場へ戻ったからだ。

いやはや厳しい状況である。

その際、近藤社長が「新製品のサンプルだ」と言って、「指ヨガ手袋」をいただいた。

自力ではできないほどキツイ状態になるが、左右の手のそれぞれの人差し指と小指を内側に曲げずにくっ付けると、体の柔軟性が増すのだそうだ。
これは近藤社長が勝手に言っているのではなく、カイロプラクティクの小平芳弘さんの提案だそうだ。
この手袋の考案者もその小平芳弘さんである。

言葉ではわかりにくいので実際に手袋をはめてみるとこんな感じである。
人差し指と小指が縫い付けられており、強制的にくっつけさせられる形になっている。


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これを30分はめると肩こりや腰痛などが緩和されるという。

いやー、それは単なるプラシーボ効果じゃないのか?

筆者はこの手の健康グッズはあまり信用しないので、即座に疑った。

筆者は肩こりがひどく、首、背中、腰も常に重だるい。
ちょうど社長とお会いしたときは、首の左側がひきつったように痛い上に、腰が10日以上痛かった。

だまされるつもりでこの手袋を30分はめてみた。
何がどうなったかはわからない。
べつにどこか体の部位に刺激を感じたわけではないが、30分が過ぎたころから、首と腰の痛みがマシになってきた。

これには驚いた。

社長と別れてから、夜、もう一度はめてしばらくすごした。
翌朝はさらに体全体のだるさが緩和されている。

そこから毎日、30分くらい手袋をはめるようにしているが、以前より肩こりがマシになっているように感じる。

近藤社長は、「もう洋服の縫製の注文は目に見えて増えることは考えにくい。それよりもこういうアイデア商材を新たに取り組む方が生き残れる可能性が高いのではないか」と話しておられ、本当にその通りではないかと思った。

筆者のようなド素人から見ると、形が変なだけの単なる手袋ではないかと思うのだが、実はミリ単位にまで注意を払って縫製しているという。だから少しズレただけで不良品になるため、不良品比率はかなり高いそうだ。

縫製工場の新しい取り組みとしては成功する可能性は低くはないのではないかと思う。
さっそく近藤社長は販売サイトまで立ち上げておられる。

http://www.wis5455.com/

洋服の販売不振はピークを迎えており、事態が好転することは今後もほとんど望めない。
もう「トレンド提案」だとか「アクセントカラーの提案」だとかそんな小手先だけでは洋服の売上高が回復することはありえない。

製造加工業の自立化も以前からいわれているが、商況が極度に悪い洋服という商品で、自立化を目指すのは並大抵ではない。

だとすると、こういうアイデアグッズ的、健康グッズ的な商材からスタートする方が理に適っているのかもしれない。近藤ソウイングという縫製工場が自立化を開始したのだが、そのとっかかりとしてはこういうやり方もありなのではないか。








「モノ」イベントのブラックフライデーは、「コト」イベントのハロウィンのようには定着しない

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 何とか消費を煽ろうと小売業界は新しい販促イベントの導入に躍起である。
必死過ぎて見苦しいとも感じてしまうのだが、11月末にアメリカの「ブラックフライデー」が今年初めて大々的に導入された。

このブラックは黒字を意味するそうだが、あんな投げ売り価格で販売して黒字になるのだろうかと少々疑問を感じる。

それはともかく、このブラックフライデーが日本に根付くのは少々難しいのではないかと思う。

日本では戦後長らく、12月のクリスマス商戦、1月の正月商戦が主力だった。
年末年始は本当に物入りで、そこに11月末にセールが加わったとしても、クリスマス・正月にプラスオンされるとは考えにくい。

11月末にクリスマス用の商品を買っておいて、12月での買い物を控えるのではないか。
また正月向けの商品を早々と購入して正月の買い物を控えるのではないか。

年間の買い物金額は単純に1・5倍とか2倍にならず、1・1倍とか1・2倍程度くらいしか増えないのではないかと思う。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161129-00000002-pseven-bus_all

週刊ポストの記事だが、

それよりも懸念されるのが、セール効果の分散化である。日本ではこれからクリスマス、歳末大売り出し、そして新春の初売りとセールと続く。事実、今回のブラックフライデーで買い物をした人からは、こんな声も聞こえてきた。

「ちょうど子供が欲しいと言っていた玩具が安く売っていたので、クリスマスプレゼントにする目的で早めに買って自宅に隠してあります」(30代女性)

 小売業界が目論むブラックフライデーが、年末年始のセール本番に向けた“前哨戦”のつもりであっても、消費者の消費意欲が続いてゆくとは限らないのだ。

と指摘しており、その通りだと納得できる。
さらに続けて

「わざわざブラックフライデーを取り入れなくても年末セールはどんどん前倒しの傾向にありますし、衣料品をはじめ小売業界の『在庫一掃セール』的な意味合いは消費者も敏感に気付いています。

 だから、たとえ『期間限定、早い者勝ち』などと煽ったからといって、慌てて安物に飛びつく消費者は少なくなりましたし、いまはリアル店舗よりもネットで買ったほうが安い場合も多い。消費構造が大きく変化している中で、マスを相手に大量の商品を安売りでさばけば必ず売り上げに結びつく時代ではありません」

とも指摘しており、記事ではネット通販の隆盛を考慮して、サイバーマンデーを導入すべきではないかと示唆するが、そのサイバーマンデーに関しても筆者は疑問を感じる。

本当に月曜日だけならある程度の「期間限定価格」効果があると思うが、GAPのように「好評なので火曜日まで延長します」なんてことをやっていては消費者に価格不振を植え付けるだけに終わってしまう。

GAPのことだから、どうせそのうち、「サイバーマンデーを水曜日まで延長」とか「サイバーマンデー週間」なんてことをなし崩し的に行うのではないかと個人的には見ている。

反対に上手く定着したのがハロウィンである。
路上での乱痴気騒ぎはあまりに見苦しいので厳しく取り締まるべきだと思うが、販促イベントとしてはかなり成功したといえる。
バレンタインを上回る市場規模に成長している。

バレンタインは本来の意義は別として日本では「恋愛絡みのイベント」として認識されている。
ということは、恋愛に何らか関係のある人しか積極的に参加できないということになりハードルが高い。

一方、ハロウィンは恋愛は関係なく、老若男女誰でも参加できる。
別に仮装をせずとも友達の家に大勢で集まってホームパーティーをやったって良い。

だからハロウィンがバレンタインを上回ることは何の不思議でもない。

小売・流通業界のアホなエライさんは、「ハロウィンが定着したからブラックフライデーも」なんて安直に考えたのだと思うが、ハロウィンとブラックフライデーは根本的に異なるイベントである。

ハロウィンは、仮装を媒介として、みんなとワイワイと楽しむ(見苦しい路上での乱痴気騒ぎも含めて)イベントであり、いわば「コト」が大前提である。
仮装の上手い下手を競ったり、仮装の衣装の見事さだとか、仮装衣装の素材のクオリティを競ったりするイベントではない。
仮装はあくまでも味付け(仮装しなくても良い)で、多くの人が支持しているのは、大勢でワイワイと楽しむという「コト」の部分である。

一方、ブラックフライデーにしろ、サイバーマンデーにしろ、その本質は「モノの安売り」である。
日本でいうなら、歳末大売出しとか新春バーゲンと同じである。

「安くなったモノを買う」というモノ本位のイベントである。

現代日本において、モノはすでに溢れている。
洋服もおもちゃも家電もスマホもそれほど切実に欲しいとは誰も思っていない。

洋服でいうなら、ストライプインターナショナルのような会社が年がら年中投げ売りをやっている。
それにタンス在庫も抱えており、多くの消費者は1枚も洋服を買い足すことなく1年間くらいは過ごせる。

そこに11月末に新たに安売りイベントを仕掛けたところで、12月、1月商戦を先食いするだけに終わるのが関の山である。

そこをキチンと区別して考えないと、安直な発想でのブラックフライデー導入は単にプロパー販売時期をさらに短くして流通各社が自分で自分の首を絞める結果に終わるのではないか。





ダイソーで洗濯ネットを買うついでにハリスツイード雑貨を見てきた

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 先日、洗濯ネットを買おうとダイソーへ行ったら、ポーチに続いてハリスツイード使いの手袋が販売されていた。価格は900円。500~600円のポーチより高くてダイソーの中ではトップクラスに高い商品となっている。

ちなみに離婚してから(されて?から)丸3年間、洗濯ネットがない生活を送っていたが、洗濯での衣類の傷みを軽減するためにやはり洗濯ネットは必要だと強く感じていた。

スーパー万代で洗濯ネットを見ると、250円くらいの価格が付けられている。
250円でも良いのだが、念のためにダイソーを調べると100円で売られていた。
しかも万代だと目の粗いネットしかなかったが、ダイソーは目の細かいのと目の粗いのの両方がそろっている。

クリーニング店、クリーニングビーを経営する壁下陽一氏から、買い終わったときにTwitterで「目の細かい方を買うべきですよ」とアドバイスをいただいたが、こういうのは買う前に聞きたかったと思う。(笑)

幸いにもアドバイスなしで目の細かい方を買っていたので、我ながら家事力がアップしていることに気が付いた。

万代で250円、ダイソーで100円なら、絶対に安い方で買う。
万代の洗濯ネットに特別な機能が付いているなら話は別だが、普通の洗濯ネットなら、人は絶対に安い方のダイソーで買う。
それが自然な消費行動であり、安い方を買うことは、特別な商品、特別な機能、特別なサービスをすること以外では押しとどめることは不可能である。

それはさておき。

ダイソーのハリスツイード攻勢はまだまだ続いている。

このブログでも書いたが、ダイソーがなぜハリスツイードを使った商品を安く販売できるかというと、生地の使用量が少ないからである。
例えば1メートル2000円の生地でも1個あたりに10センチしか使わなければ、1個当たりの生地代は200円で済む。そういうことである。

これをもう少し説明した記事がある。

しまむらやダイソーでも売っている…ハリスツイードって安いものだったの?!
http://topseller.style/archives/1272

メンズのジャケットの要尺は150㎝巾なら170~200㎝くらいです。
つまりケチっても150㎝×170㎝のハリスツイードの生地を使用してます。
面積出しましょう、
150×170=25500平方センチメートルです。
 
ダイソーのハリスツイードの商品は
手のひらサイズのがま口から大きめのポーチまで大小様々ですが、ざっくり均すと12㎝×10㎝くらいで1個作ってる感じがします。
同じく面積出しましょう、
120平方センチメートルです。
 
ジャケット1着分の生地で中心価格500円のダイソーハリスツイードは何個できますか?
25500÷120=212.5個
ざっくり計算なので200個としましょう。
500円×200個=10万円
 
ですが
メンズのハリスツイードのジャケット、
10万円してますか?
 
SHIPSで4万3000円
NEWYORKER BY KEITA MARUYAMAで6万9000円
CIVILIZEDで7万5000円
でした。
 
かなりざっくりな計算をしましたが
決してアパレルブランドがぼったくっていた訳ではないことが分かりますでしょうか。

とのことで、こういうことである。

個人的にはシップスの価格設定が低くて大丈夫だろうかと思ってしまう。(笑)

あと、どうでもよいことだが、しまむらもハリスツイードのリュックやスニーカーを販売していた。スニーカーはかかとの外側部分にハリスツイードラベルがデカデカと貼り付けられていたのだが、先日、それを履いている若い女性を電車の中で見かけたが、かかとの外側にデカいラベルが貼り付けられているのは、店頭に並んでいる状態よりもダサく見えた。(笑)

カシミヤニットやダウンジャケットも安い商品が定着しているが、安い商品は安く製造販売できるように工夫がされている。

1、製造量がケタ外れに大きい。いわゆるスケールメリットで1個あたりの製造代を下げている
2、原料の使用量が少ない
3、不要な中間マージンをできるだけ削減している
4、原料の等級が最上級、上級ではない(決して粗悪品ではない)

だいたいこんなところだろうか。

例えば、ウルトラライトダウンをはじめとする各社の軽量ダウンは、1と2の要素が大きいだろう。
もちろん4も当てはまる。

3は一概には言えない。低価格品を実現するために仲介料などの新たなマージンが発生している場合がある(笑)。

カシミヤニットだって、カシミヤの使用量を減らしてめちゃくちゃ薄い生地にすれば、理論的にはもっと低価格で商品を製造販売することが可能である。

こういう工夫を凝らすことで、これまで「高級」とされてきた素材を低価格で販売することが可能になる。
じゃあ、高級とされてきた素材を使った商品を、高級なままで売りたいブランドやショップは何か工夫を凝らしているのだろうか?

十年一日のごとく「この風合いガー」「本物ガー」「職人ガー」と言い続けているだけではないのか?

そこを見直すことなしに「今の消費者は違いがわからない」と嘆いても無駄であろう。だって、違いがわかるように説明していないし、見せてもいないから。

昨日も書いたが、着物業界もファッション業界も同じで「今までのままでもっと売れたい」というのは単なるワガママでしかない。
もっと売りたいなら、商品づくり・売り方・見せ方を工夫すべきだろう。

それにしても最近、洋服を買ってもあんまりうれしいとは思わなくなってきた。筆者自身の業界での勤続疲労だろう。あまり感動もワクワクも衣料品に対しては感じなくなってきた。
もう一つは老化だろう。心身ともに老化が進んでいる。

実は洗濯ネットが手に入ったことの方が予想以上に喜びが大きい。

老化が進む筆者にとって、「ものすごくほしい」「どうしても手に入れたい」と思えるような商材は洋服以外もなくなりつつある。ガンプラだって切実に欲しいわけではない。製造中止になった品番を高値で競り落とすほどの情熱もない。なかったらないなりに過ごせる。

もしかしたら、世間一般もそういう心持ち(老化という意味ではなく)なのではないかとも思う。
切実に欲しい物がない、周りにある商品もそれなりのクオリティと機能性がある、なければないなりに生活に支障がない、こういうところが消費不振につながっているのではないかと思う。











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