川添隆さんの『「実店舗+EC」戦略、成功の法則」を読んだ感想

世の中、インターネット通販流行りで、洋服もインターネット通販への注目が高まっている。
とはいえ、消費者としたら便利であれば、どこで買っても良いのであって、インターネットだろうが実店舗だろうが、カタログ通販だろうが、自分にとって利便性が高いところで買うだけのことである。

注目しているのは販売不振に苦しむ衣料品業界側である。
メディアも判断基準が画一的でアホだから、EC化比率が高ければ高いほど将来が有望であるという意味不明の記事掲載が多い。

アパレルの経営者もインターネットはからっきしみたいな人が多いから、インターネット通販さえすれば飛ぶように売れるようになると勘違いしている輩が多い。

インターネットがこれだけ普及しているから、インターネットなしでのブランド運営や販売は難しい。
インターネットは不可欠だが、EC化比率が高ければ高いほど良いとか、インターネット通販をすれば飛ぶように売れるようになるとか、そういったことは迷信でしかない。

インターネット通販をマクロに語る人はいる。コンサルタントやIT企業の関係者なんかがそうだ。
しかし、マクロ論はあまりにも綺麗に過ぎており、システムを構築すれば自動的に物事は進んでいくというような印象を受ける。

ちょうど、マクロな人たちが洋服や生地の製造や加工が、あたかも全自動でできてしまうというようなイメージを振りまいているのと似たようなものである。

言ってしまえば、自分がかかわっている業界以外は、誰しもが知識がないから、そういう「綺麗な世界」を思い描いているが、どんな分野だってチマチマとした作業があって成立している。

先日、メガネスーパーのEC担当として名を馳せる川添隆さんから自身の初めての著書である『「実店舗+EC」戦略、成功の法則』(翔泳社)の献本をいただいた。

 

タイトルからすると、そういうマクロな視点からの「綺麗なEC論」なのかと思ったが、全然違った。
実に泥くさい、手動と地味な作業の積み重ねが書かれてある。

一つ難を言えば、ECやインターネットの実務に携わっていない人が読むと、内容が現場的で具体的過ぎるから、理解ができないのではないかと思う。
ケチをつけているわけではなく、ターゲットを絞り込んでいるからそれ以外の人が読むと理解しがたいというのは、立派な戦略であり、客を選んでいるともいえる。

当方もインターネット通販業務は担当したことがないが、例えば、このブログをリファインしてくれた美肌プリンス率いるスタイルピックスの作業を横で見ていると、インターネット通販の運営とかウェブページの構築というのは果てしなく地味な作業だということがわかる。
ひたすらにデザインしてコーディングして、大量に撮影した画像の中から数点を選んで、キャプションや文章を考える。
完成したらパソコンやタブレット、スマホから見え方をチェックしてまた微修正する。それの繰り返しである。

だから、各ブランドのEC担当の作業がどれほど地味なものかは想像くらいはできる。

個人的に良かったと思う部分をいくつかランダムに抜き出して紹介したい。

まず、「社内交渉・深掘り・社内外のパートナーづくり」という点だ。
そこそこの規模のある企業に勤めたことのある人なら誰しも経験があるが、社内交渉や社内の根回しは重要である。
ベンチャーの3人くらいの会社ならそんなものは要らないが、10人以上の会社なら絶対に必要になる。

当方も昔、広報という部門にいたことがあるが、営業や企画、経営者との社内交渉と根回しの連続である。
短気な当方には到底向いていなかったが、ECとて同じだ。

EC、インターネット通販はとくにそうだが、営業も企画も経営者もまるで理解していないから、通常の部署よりも社内交渉が捗らない。
これをどのように捗らせるかがEC担当者の腕ということになる。

綺麗なページがデザインできるとか、SNSにフォロワーが大量にいるとか、そんなことがEC担当者の価値ではない。
社内交渉と根回しこそがEC担当者の最大の腕だといえる。

また、こんな箇所もある。

新規ECユーザーは実店舗から連れてくる

実店舗顧客はそのブランドや企業のファンなのだからECに誘致しやすい。
まったく知らない人をECに連れてくるよりもずっと手っ取り早い。

そして、狡いコンサルタントと、アホな経営者がよく言うことにもダメ出しをしていて痛快である。

一方で、ECがうまくいっていない企業ほど、集客の話をするとWEB広告やSNSが真っ先に出てきますが、前述のとおり、短期的にEC売上アップを狙うなら、優先度は低めになります。

とのことだ。
狡いコンサルタントはWEB広告とSNSを喧伝することで自分の飯のタネを確保しようとしているし、アホな経営者はそれを頭から信じてドブにカネを捨てているのである。

SNSの拡散はもちろん有効な手段だが、かといって必ず成功するわけではない。
ツイッターには今では企業やブランドのアカウントがあるが、常に注目されて拡散されているアカウントはほんの一握りである。

衣料品や繊維業界でいえば、まったく顧みられていないアカウントが山ほどある。
そのどれもが「〇〇の新作投入は9月1日から」とか「〇〇の展示会を8月20日開催」とかそんなことばかり書いている。

そもそも「〇〇」ブランド自体の知名度がないのだから、新作投入とか展示会開催とか書いたところでだれも注目しない。
それが何なのかすらわかっていない人がほとんどなのである。

だから即効性はない。

これら以外にもまだまだ具体的かつ現場的な事例が豊富にまとめられている。
EC担当者やECのリアルを理解したい経営者は一読すべき内容といえる。

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川添さんの本はAmazonでも買えるのでこちらからどぞ~

外資ファストファッションは国内低価格ブランドに負けた

2008年ごろに上陸し、猛威を振るった外資系グローバル低価格SPAの勢いが目に見えて衰えてきた。

H&Mの銀座店もついに閉店してしまった。H&M自体は日本撤退は考えられないものの、フォーエバー21は店舗数も20店舗を下回っているし、いつ日本から撤退してもおかしくはない。

遅れて上陸したオールドネイビーはわずか4年半で2017年1月に日本から撤退してしまった。
まあ、それだけ売れてなかったということである。

それについてポストセブンに原稿を書いた。

H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

https://www.news-postseven.com/archives/20180718_720418.html

多くの業界メディア人が論考を書いているが正直どれもしっくりこない。
もちろん自分の見方がすべて正しいとはいわない。

それでも例えば、

ギンザシックスで人の流れが変わったとか、洋服を長く使いたい人が増えた、とかそういう見方はちょっと的外れではないかと思う。

まずギンザシックスだが、たしかに前身の松坂屋銀座店よりは売上高が大幅に増えたが、しかし今後さらに伸びる気配はなく、600億円くらいで横ばいから微減になると見ている。

「600億円はすごい」という称賛が業界からはあふれたが、三越銀座店もそれくらい売っているから、銀座という立地ならそれくらい売れて当然なのではないかと思う。
逆に前身の松坂屋銀座店がたった100億円程度しか売れなかった方があの立地ではおかしい。

洋服を長く使いたいというのも疑問だ。
可処分所得の伸び悩みや減少で、短期間で買い替えたくないというニーズはあるとは思うが、「洋服を長く使いたい」が先に来るのではなく、「気に入った洋服があったら」長く使いたいのであって、順序が逆である。

「長く使いたい」が前提条件ではない。
気に入らない服ならすぐに捨てても良いというのが消費者である。
しかも、そのために「安い」ファストファッションを利用してきたのだから、まるっきり順序が逆だ。

当方が考える外資系グローバル低価格SPA(ファストファッションと略す)が日本国内で苦戦し始めた理由は次の3つだ。

(1)価格が安いだけで品質が劣っていた
(2)日本独自のトレンドに対応できなかった
(3)日本独自の低価格トレンドブランドが成長した

である。
1については、上陸当初からさんざん言われてきて、何を今更である。
まあ、一度か二度買ってみたが、品質が悪いのでリピーターにはならなかったということだろう。

ユニクロはおろかジーユーにも品質的に遠く及ばないブランドがほとんどで、価格帯はそのジーユーと変わらない。
だったらジーユーで買えば良いということになるのは当たり前だろう。

2は、業界では知られているが、例えば2015年のガウチョパンツブームは世界的トレンドなどではなく、日本国内の限定トレンドだった。
それに対応したジーユーは100万本を売ったが、グローバル企画である外資系ファストファッションはほとんど対応できなかった。

ローカルトレンドが存在する国は日本だけではなく、どの国でもローカルトレンドは存在する。
ユニクロだってイスラム教徒が多い中東向けにはローカルトレンドに対応した商品を販売している。
日本にローカルトレンドが存在するからと言って、日本が遅れているとか日本が負けるとかそういう論調になることは的外れでしかない。

アメリカだってローカルトレンドはある。ジョギングの帰りみたいな服装が「アスレジャー」として一大トレンドになるなんていうのは完全なるローカルトレンドで服装に無頓着なアメリカ人らしいといえる。

そして、あまり指摘されないが3が一番大きな要因なのではないかと思う。

「廉価版粗悪ユニクロ」として2006年にスタートしたジーユーがトレンド対応低価格ブランドへと変身したのは2010年のこと。
2012年には562億円まで売上高を拡大し、そこからわずか6年で1500億円前後も売上高を増やしている。(2018年8月期決算では2000億円超の売上高を見込む)
この1500億円は外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

ジーユーだけではない。
ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)もそうだ。
決算を公開していないが、2010年の売上高は400億円だったが、2017年1月期は単体の売上高は990億円となっている。
7年間で600億円弱も売上高を伸ばしており、これも頻発するタイムセールと低価格商品で外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

また、アダストリアホールディングスもそうだ。
2015年にトリニティアーツと合併したので、単純比較はできないが、今では2000億円以上の巨大SPAアパレルに成長した。
この成長も外資ファストファッションから売上高をもぎり取った結果といえる。

そのほか、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」の成長や、アーバンリサーチが開始した低価格ブランド「センスオブプレイス」など国内企業の低価格ブランドは増えているし、この8年間で売上高を拡大したものも多い。

となると、それだけ外資ファストファッションは売上高を国内各ブランドに売上高を削り取られてきたといえる。

外資ファストファッションが2008年、2009年の上陸時に持て囃され、その後数年間支持されたのは、「高トレンド」という部分にあったと思う。
低価格・高トレンドというブランドが日本には少なく、その需要が取り込めたのだと思うが、上記の各社がトレンド性を強め、価格据え置きになれば、グローバル企画でピントがぼけたブランドよりも、国内の雰囲気を反映する国内ブランドの方が支持されるのは当たり前だ。おまけに素材や縫製の品質は国内ブランドの方が高い。

2010年以降のジーユーはグローバルファストファッションキラーだったし、ストライプやアダストリアもキラーぶりを発揮したといえる。

ファッション業界やメディア業界には外資ブランドが受けないことが「ファッションへの渇望がなくなった」とか「感度が退化した」とかいう人が多いが、そんな見方は強度の舶来コンプレックスでしかないし、当方としては国内ブランドはよくぞ外資ファストファッションを追い込んだと各社を褒め称えたいほどである。

よくやった!国内ブランド。

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コーエンの激安品をどうぞ

利便性の高い服や着こなしは流行が長続きして定番化しやすい

先日、チャリティーTシャツブランド「ジャミン」のメンバーである高橋さんと、仕事帰りにJR天満駅周辺で飲んだ。

https://jammin.co.jp/

そこで流行が短命に終わる洋服と、流行が長続きして中には定番化する洋服があるが、その違いは何かということが話題に上った。

経済環境やテレビ番組、サブカルチャーなどさまざまな要因が絡むので一概には言えないが、爆発的に流行しても短命で終わる服と、流行が長期間続いて定番化する服の違いは、「利便性」ではないかと思う。

利便性が高い服は長期間続くし、利便性が低い服は流行が短命で終わる。

ここでいう利便性とは、機能性、ファッション性、価格優位性などを含めており、着用者がメリットを多く感じると、その服は定番化するし、メリットを感じられないと短命で終わるのではないかと思う。

少し前に、現代ビジネスというウェブメディアにワイドパンツが流行してもスキニーパンツが定番化して残っていることを書いた。
所得が伸び悩んで、次から次へと着用する服を総入れ替えするわけにはいかないという側面ももちろんあるが、それ以上に支持されているのはスキニーパンツがファッション的・機能的にも利便性が高いからだ。

ファッション的にかっこよく見える組み合わせが3つある。

Aライン(トップスがタイトでボトムスがワイド)
Iライン(トップスがタイトでボトムスもタイト)
YラインまたはVライン(トップスがワイドでボトムスがタイト)

で、3つのうちの2つまでもがボトムスがタイトだから、3分の2の確率でタイトなボトムスを穿いていればそれなりにかっこよく見えやすいということになる。
確率論でいえば67%である。

だからスキニーを穿いていればかっこよく見える確率が高いということになるから、定番化しているといえる。

ダウンジャケットだってそうだ。
黒いダウンジャケットはオタクに見えるなんてネットでは書かれているが、ダウンジャケットの一番売れやすい色は黒だし、黒いダウンジャケットを着ているファッショニスタも多い。
逆にアウトドア感満載のダウンジャケットというアイテムで、黄色や赤や青などカラフルな原色を選べば、それこそアウトドア感丸出しになりやすく、「これから山へ登るんですか?」と尋ねられかねない。

そんなダウンジャケットだが、毎年冬になると一定数量売れる。
価格の高い低いは別にしてすっかり冬の定番となっている。

ダウンジャケットがどうして定番化したかというと、軽くて暖かいからだ。
肉厚なダウンを着るとモコモコして見えるからNGなんていう特集をいくらファッション雑誌が組んだところで、ダウンジャケットは売れ続けている。軽くてあたたかいという利便性が高いからだ。

保温力のあるウールコートや綿コートは重くてしんどい。
ダウンは圧倒的に軽い。
だからいくら業界が「トレンドですよ」と叫んだところで、マスには売れない。

フリースが持て囃され、いまだにそれなりの数の人が着用しているのだって利便性が高いからだ。

フリースは風を通すという欠点を除けば、軽くて暖かくて洗濯しやすくて乾きやすい。
だから真冬に洗濯してもすぐに乾く。ポリエステル100%なのでウールのセーターと違って洗濯することに何の遠慮も要らない。
当方はフリースがあまり好きではないし、あの暖かさもなんだか好きではないが、フリースの愛好者は今でも一定数存在する。

ズボンの丈が短くなったのだって利便性だと思う。

スキニーが流行し始めてからこの10年間でズボンの丈は少し短めが定番となった。
靴の上にたまらない程度(ノンクッション)が定番化し、もっと短めの9分丈くらいにする人も多い。

それこそ見始めは「ルパン三世かよ」と思ったが、見慣れてくると靴の上で裾がたまっている方が野暮ったく見える。

ルパン三世のズボンの丈はいつも短い

しかし、見た目以上に短め丈には利便性が高い。だから定着化したのだろうと思う。

当方の股下は長めに取るなら76~77センチくらいある。80センチは絶対に裾上げが必要になる。
今のズボンの丈は70~72センチくらいの短め丈がほとんどだ。
この場合、裾上げはまったく必要ない。

ユニクロでもジーンズメイトでもライトオンでもズボンの裾上げで待っている時間が苦痛だ。
10分とか15分くらいなら待っていても良いが、混んでいると1時間待ちくらいは平気にある。
1時間もそこらへんをうろうろして時間をつぶすのは非常に苦痛である。

だったら裾上げで待つ必要がない短め丈のズボンの方が便利で良い。

また、ネット通販で買う際も便利だ。
股下の長いズボンを買ったら、お直しを探すのが大変だ。
しかし、短め丈のズボンなら、ネット通販で買っても裾上げをしなくても到着してすぐに穿ける。
ものすごく便利だ。

おまけに座敷かなんかに靴を脱いで上がる際にも、裾を引きずらなくて済む。

その昔、2005年頃、長め丈が全盛だった当時、座敷に上がると松の廊下の長袴みたいになっている人が多く、ひどく不格好だった。
それに「その裾って公衆便所の床で散々引きずってきて汚いやろ?」と思って眺めていた。

だからワイドパンツが復活しても昔のように引きずるほどの長さではなく、少し短めの丈で着用されているのだと思う。

ストレッチ素材だって利便性で支持されている。
中にはポリウレタン弾性繊維は5年か10年くらいで断裂するから相応しくないという人もいるが、今は劣化しなくいストレッチポリエステルだって開発されている。ポリウレタンが追放されてもストレッチポリエステルがその後釜に座るだけのことでしかない。
いくらマニアが「綿100%の風合いガー」なんて叫んだところでそれは騒音でしかない。

「本物ガー」とか「本場では」とか「邪道だ」とかニッチなマニアは叫ぶことが多いが、そんなマニアの声なんてマスはどうでも良い。
もしマスに売れたいのなら、利便性をある程度は考えるべきだろう。

ニッチに売りたいならマニアの声は重要だが、マスに売るならマニアの騒音は気にする必要はない。
販路によって使い分ければ良いだけのことである。

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公衆便所の床でも引きずらないアンクル丈パンツをどうぞ

限界点が露呈したトウキョウベースのビジネスモデル

やはりというか、当然というか、「ステュディオス」「ユナイテッドトウキョウ」を展開するトウキョウベースの業績が崩れた。
もちろん、早晩崩れると思っていたし、同社が発表しているような成長戦略は到底不可能だと思っていた。

2018年2月期の第一四半期決算は

売上高が29億3000万円(前期比0・6%増)
営業利益が3億2500万円(同28・2%減)

と微増収大幅減益に終わった。
さらに、微増収といっても、「出店増加にもかかわらず、売上高が横ばいだった」(WWD)ことから、既存店は前年割れだと考えられる。
このため、連休前の7月13日のトウキョウベースの株価はストップ安となり、連休明けの7月17日の株価は600円台にまで落ち込んでいる。

トウキョウベースの2018年2月期決算の売上高は127億8000万円で、客単価3万円前後の高い洋服を売る商売は、このあたりが成長の限界点だと常々思ってきた。
恐らく150億円か200億円くらいまでは中長期的には成長が可能だろうが、1000億円という売り上げ目標は何十年かかるのだろうかと思うし、今の「高価格帯商品」だけではたどり着くことは絶対に不可能である。

売上高1000億円に到達したユナイテッドアローズが売上高を大幅に伸ばすことができたのは、中価格帯のグリーンレーベルリラクシングを開発したからだ。店舗数もグリーンレーベルリラクシングが圧倒的に多い。
昔の「高価格セレクトショップだったころのユナイテッドアローズ」のファンからは少し馬鹿にしたような目で見られているグリーンレーベルリラクシングだが、お高い本体ラインを買うことに抵抗感のある人からは支持を集めている。
また、スタート当初はクソダサい商品が多かった低価格ブランド「コーエン」だがこちらもそれなりに支持を集めていて、企画内容も向上している。

洋服業界の人やそれを取材するマスコミはいつも考え違いをするのだが、

低価格=利益は薄いが、買う人の人数は多く数量がさばける
高価格=利益は厚いが、買う人の人数は少ない

という絶対的な条件をいつも忘却し、「高価格帯で買う人も多い」というブランドが出現できると考えてしまう。

トウキョウベースの売上高1000億円構想なんてその典型だろう。
トウキョウベースの店頭に並んでいる高価格な洋服が1000億円も売れることは到底あり得ない。

トウキョウベースのスタイルはよくて200億円くらいが限界点だろう。

それに価格帯以外でもトウキョウベースのビジネスモデルには疑問を感じるところが多々ある。

5月に行われた2018年2月期決算発表では、EC(いわゆるインターネット通販)の不振に言及されているが、トウキョウベースのECはZOZOTOWNへの依存度が病的なほどに高い。
依存比率は86%もあり、自社ECはたったの14%しかなく、ほとんどないに等しい。

そのECが崩れた理由は「ZOZOTOWNの低価格化と合わなかったから」とトウキョウベース側が発表している。
にもかかわらず、5月の株主総会では「ZOZOTOWNとの連携を強化する」とも発表しており、価格帯が合わない販路とさらに連携を強化するという意味がまるでわからない。
というより自社ECの比率を上げるノウハウがないから他力本願でZOZOTOWNに任せるという意味にしか聞こえない。

5月の株主総会をレポートしてくれているありがたいブログがある。

この方は株主なので期待しておられる書き口だが、その期待は極めて残念なものとなるのではないかと当方は見ている。

その一部をご紹介したい。

2、当面のターゲットを売上高1000億と宣言したが、期間は10年程度と考えている(現在127億)

と売上高1000億円目標の到達時期をかなり後倒しにしている。
まあ、これは賢明な判断だろう。ただし、今のブランドラインナップのままで1000億円を到達できることは永遠にないと当方は見ているが。

また、トウキョウベースの営業・販売姿勢でもマスに売ることは難しい。

トウキョウベースの各店は店長やスタッフによっても差があるが、強引な売り付けが多いことで有名である。(もちろん例外店員もいる)
それが批判されるとトウキョウベースの谷正人社長は決まって「99%に嫌われても1%に好かれればいい」と説明するが、99%に嫌われるようなブランドがマスに売れるはずもない。1%の顧客を捕まえたいなら、そういうニッチでスモールなビジネスを展開すべきで、拡大志向とブランド構築の方向性がちぐはぐで、当方から見ると、学生ノリのまま100億円まで拡大できてしまったようにしか見えない。

また、ここのブランドは、3つか4つあるが、どれも似ており見分けがつかない。
これはアダストリアやストライプも同様の弱点があるのだが、ブランド同士が似ており、イメージの違いが思い描けない。
ユナイテッドアローズなら細かいブランドは置いておいても、本体とグリーンレーベルリラクシングとコーエンの違いくらいはイメージが思い描ける。
屋号だけ変えて似たようなブランドをいくら増やしても、そのテイスト好きな客しか集まらず、支持は広がらない。
だからトウキョウベースはこれ以上売上高を伸ばすことは難しいだろう。

さらにいえば、盛んに掲げてきた「原価率50%」とか「原価率60%」というのは本当なのだろうかといぶかしく思う。

例えば、オンライン通販専用のソーシャルウェアというブランドをここは盛っているが、ZOZOTOWNで10%オフセールを開催している。
原価率60%を公言していながら、10%も値引きできるのはどうしてだろうか。
これが自社サイトなら残り30%粗利益が残るってことになるが、ZOZOTOWNの場合は売上手数料が引かれる。
後発でZOZOTOWNに参加したブランドは35%引かれると言われているが、トウキョウベースの手数料はもう少し安いようだ。

前述の株主総会レポートでは

当社のZOZO取引を決算書から推定するとかなりいい条件で取引していると思われるが、どうか?

有価証券報告書に販売手数料の金額が記載されており、それがすべてZOZOへの支払いだと仮定すると、ZOZO売上高(売上高×EC率×ZOZO率)に対する手数料率17.8%と試算されます。あくまで推定ですが・・・

とのやり取りが記されており、17・8%だとしたら、ほとんど粗利益はなくなる。
17・8%未満としても粗利益は極めて薄くなる。

そして粗利益には「経費」が含まれているから、経費を除けばほとんど利益は残らないことになる。

そんな設定で本当にやっていけるのか極めて疑問しかない。

何にせよ、ノリと勢いだけで127億円まで到達したトウキョウベースだが、そろそろ正念場に差し掛かっている。
これまでのようなノリと勢いだけでは、今後の成長戦略を描くことは難しい。冷静な分析と緻密な施策が必要になるが、現時点で外野から眺めていると、トウキョウベースという会社にそれがあるとも思えないし、今後それらを備えていくとも思えない。

【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
ぜひともご参加を。詳細は以下のURLで。
https://eventon.jp/13683/

 

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業績の明暗が表すユニクロとジーユーの値下げ方針の違い ~今春夏の店頭を見て~

今春物から、ユニクロとジーユーがそれぞれ異なった値下げの手法をとるようになった。

ユニクロは今春夏物から値下げパターンが変えた。
自動的・段階的値下げはこれまでと同じだが、その値下げ幅が小さくなった。
反面、同じ商品でも色柄によって値下げ幅が異なるようになった。

昨年冬物までは、自動的・段階的値下げされ、それまで同様、期末には驚くほどの安値になった。
それが今春物からはそこまで値下げされなくなった。

お気づきだろうか?

2990円のパンツはせいぜいが1990円までにしか値下げされない。
1290円に値下げされるのはよほど時間が経過してからになっている。

シャツしかり、アウター類しかりだ。

しかし、売れ行きが鈍いと思われる商品は容赦なく値下げされる。
アンダーソンとトーマス・マイヤーは値下げされている物が多いが、アンダーソンは昨年秋冬物に比べると値下げ幅が小さい。
昨年秋冬物でデビューとなったJWアンダーソンコラボだが、はっきりいって投げ売りされまくっていた。

ウールをふんだんに使ったセーター類は本来なら製造コストが高いからそこまでの値引きはされないはずなのに、「魚柄ラムウールセーター」は最終500円にまで値下げされていた。
また、フェアアイルモックネックセーターも990円にまで値下げされたし、カラフルボーダー柄のファインゲージセーターも990円に値下げされた。これらをいずれも当方は底値または底値に近い価格で買っており、全然アンダーソンなんて注目していなかったのに、昨年秋冬にユニクロで買った商品の中で最も多かったのがアンダーソンコラボになってしまった。

今春夏のアンダーソンも通常ラインに比べて値下げされている物が多いが、秋冬物ほど値下がりしていない。切り替えボーダー柄Tシャツだっていまだに990円で踏ん張っている。
ロング丈シャツは3990円が最終1990円に値下がりしたが、1990円になる前にほどんど完売となっている。

また、これまでユニクロは同一品番は同一価格で値下げされていたが、今春物から、同一品番でも動きの鈍い色柄だけが大幅に値下げされるようになった。
例えば、春先に綿セーターが何種類か投入されたが、薄手の家庭洗濯可能なセーターの中で赤とピンクが不人気だったのか、いきなり500円に値下げされた。他のカラーが990円でとどまっているにもかかわらずだ。当然、当方はその赤を500円で買った。

今夏のユニクロUのTシャツもそうだ。袖リブの色だけが本体と異なる「カラーブロックTシャツ」という品名の商品があるが、黒、グリーン、紺は990円でとどまっているのに対し、赤茶色だけが790円に値下げされているし、「ユニクロU」のボーダー柄Tシャツも同様で赤茶色とあせたピンクのボーダー柄だけが790円に早くも値下げされている。

これと対照的なのが今夏のジーユーで、190円・390円・590円・790円というバッタ屋価格の商品が目白押しである。
はっきり言ってなまじのバッタ屋よりも安い商品が多い。
バッタ屋を越えたジーユーというのはなかなかすごい。

390円に値下げされていて、5月に買ったデニムの水玉プリントシャツ

 

 

キム・ジョーンズとのコラボアイテムなんてもうとっくに投げ売り価格で、カラーブロックセーター(冬向け素材)なんて今や390円である。ルイ・ヴィトン、ディオールなどのスーパーブランドを歴任したデザイナーの商品とは思えないバッタ屋価格となっている。

夏物に関してはユニクロよりもジーユーで買うことが増えた。
麻混の開襟シャツを790円で買ったし、先日、このブログでも紹介した切りっぱなしスキニージーンズも790円で買った。
ワイドボーダー柄Tシャツも590円になったときに3枚買った。

この安さを体験するとまともな店で服は買えなくなるほどの衝撃がある。

ユニクロとジーユーの値下げの違いを考察すると、ユニクロが以前よりもあまり値下がりしなくなった理由として、業界の製造関係からは「今春物から製造原価率を上げたから」だという声が聞こえる。それによると「製造原価率を5%上げてさらに品質を高めた。そのため、以前ほどの値下げはされなくなった」と言われている。それが正しいとするとユニクロの平均製造原価率は45%前後ということになり、あの数十万枚という量の多さで、その原価率の高さは驚異的といえる。
そこらの細かいロットしかないくせに「原価率50%ガー」とアホの一つ覚えのようにいっている某ブランドの商品とはまったく比べ物にならない。

一方、ここまで投げ売りするジーユーは恐らく在庫がダブついているのだろうと推察される。

さて、ユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングの2018年8月期第三四半期決算が発表された。
それによるとユニクロは増収増益であるものの、ジーユーは減益となった。特に3~5月は既存店売上高が前年を割り込み、大幅減益となっている。大幅減益となった理由は、在庫処分を進めた結果だ。

そしてジーユーは第4四半期も在庫処分を進めるため、粗利率が低下し、赤字幅が拡大すると見通している。

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユーの2018年8月期第3四半期の売上収益は1666億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は150億円(1.7%増)と、増収増益になった。

一方、ジーユーの3~5月の既存店売上高は、減収となった。
春夏のキャンペーンで打ち出したマドラスチェックのボトムス、トップスや、ロングスカートなどの商品の販売が不振で、計画を大幅に下回った 。

売上が計画を大幅に下回ったため、値引きを早期に進めたことにより、3~5月の売上総利益率は前年同期比1.9ポイント低下し、また、売上高販管費率は同1.2ポイント上昇した。
営業利益は同20.0%の大幅な減益となった。

また、第4四半期は、シーズン末の在庫処分が増え、粗利益率が低下、赤字幅が拡大する見込みで、下期、通期ともに減益となることを予想している。

とのことである。
当方が喜んで買っている値下げ品はやはり在庫処分だったのである。

だいたい当方が喜んで投げ売り品を買うブランドは、その時、苦戦傾向にある場合が多い。
今年5月、6月のジーユーもそうだし、2017年のライトオンもそうだし、ジーンズメイトもそうだ。
だから当方が「これは破格値!」と紹介するブランドは概してその時点では不良在庫を抱えており、苦肉の策として投げ売りをしているということである。

ジーユーの春夏の店頭を見ると、たしかに商品のクオリティもデザインも良くなってるが、トレンドに偏重しすぎていると感じる。ベーシックアイテムが減った。そのあたりを当方が面白いと見ていてその投げ売り価格に魅力を感じているのだが、マス層のニーズとは少し異なっているといえる。

もちろん、ジーユーもそれに気が付いていて、夏物には無地のポロシャツとか無地のTシャツなんていうベーシック品も差し込まれているが、必然性のなさと売り場での見せ方の下手さが災いして全く売れずに590円の投げ売り価格となっている。

例えば、マーセライズドTシャツだ。今590円にまで値下がりしている。
無地で色展開も多く、通常ならもっと売れるはずだが、全商品がビニール袋に入れられている。
これは触られて汚れないようにという工夫とともに、マーセライズド加工された生地がテロっとしていて畳みにくいからではないかと思う。
マーセライズド加工とはシルケット加工とも呼ばれ、シルクみたいなソフト感と光沢感を綿に与える加工である。

そのため、ビニール袋に入ったままではその肌触りの良さはまったく実感されない。
なぜならビニール袋に入っているため触れないからだ。

いくらPOPで「マーセライズド加工」なんて書いたって意味がない。
それに一般消費者からすれば「マーセライズド加工」なんていわれたところで何のこっちゃでしかない。

完全に売り方・見せ方のミスである。

下期は、商品構成を見直し、防寒衣料、デニム、Tシャツ、ラウンジウエアといった実需商品の割合を増し、これらの実需商品の中にもジーユーらしいトレンドの要素を取り入れる。

とのことで増えすぎた品番数を絞り、ベーシックアイテムを強化するとのことだが、結局洋服屋というのはベーシック一辺倒でもダメだし、トレンド一辺倒でもダメだということで、ベーシックとトレンドのバランスをどう取るのかということが永遠の課題だといえる。
そしてそのバランスの取り方を誤ると今回のジーユーのようになるし、過去のユニクロの伸び悩みのようになってしまう。

それにしても、店頭の動きがそのままジーユーの3~5月の業績に反映されていたことには笑ってしまう。
店頭を見ていると、AIだ、POSだ、KPI指標だ、と難しいことを言わずとも、ある程度の売れ行きは推察できてしまう。店頭の動きをどれだけ正しく見るか、衣料品ビジネスはその一点にかかっており、それができていない人が多すぎるから「斜陽産業」と呼ばれるような事態に陥ってしまったといえるだろう。

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ナインオクロックのオーダーTシャツが開始されたので試してみた

どこもかしこもオーダーばやりで、猫も杓子もオーダーという状況になっていて、笑えるのだが、単純なパターンオーダースーツなら百貨店の催事で26800円でできてしまう。
催事の既製品スーツならなんと10800円で、イトーヨーカドーやら西友の自社スーツ並みである。

昔は百貨店催事のスーツは2着48000円とか1着20000円くらいだったのが、ここまで値下がりしているとは驚きである。

というのは、昨日たまたま阪急百貨店うめだ本店9階の催事場を覗いたところ、既製品スーツとパターンオーダーの催事をやっていた。
価格は既製品スーツが10800円~、パターンオーダーが26800円~、でもちろんそれ以上の価格帯もあるが、一番人が集まっていたのはやっぱり10800円と26800円だった。

 

パッと見たところ、10800円はウインドーペンの柄が合っていなかったりするが、全体的なシルエットはトレンドを押さえていて、ちゃんと着こなせばブランド物と見分けがつかない。
昔の百貨店催事のスーツはオッサンぽいモサっとした商品が多かったが、逆に今ではそういうオッサンスーツを探す方が難しくなっている。

26800円のパターンオーダーは生地が展示されていたがインビスタの機能素材「クールマックス」混の生地があり、ちょっと興味をひかれた。

10800円の麻100%スーツは買っても良いかなあと思う。
もうちょっと熟考して買いに行こうと思う。

百貨店のパターンオーダーが26800円にまで値下がりしているのも驚きで、わざわざ計測がめんどくさいZOZOSUITを着て、ZOZOの自称「フルオーダー」スーツを39900円で買う必要があるのか本当に疑問に思う。

定価30000円で、指定した場所までフィッターが出向いてきて採寸してくれて、次からはそのデータをスマホで入力して買える上に、最速1週間で完成する「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」の方がずっと便利だし、ずっと革命的ではないかと思う。

ところで、先日、久しぶりに立ち上げを手伝ったTシャツブランド「ナインオクロック」の香取さんから連絡をもらった。

このTシャツブランドも短納期オーダーを開始したので試してもらいたいとのことだ。
もちろん、パターンオーダーである。

https://9oclock.co.jp/ordermade/

ついでにいうと、ZOZOが自社PB第1弾として発売したTシャツとジーンズだが、発表当初は「フルオーダー」と言っていたくせに、今ではサイトに「パターンオーダー」と書いてある。なぜ最初からパターンオーダーだと言わないのだろうか。詐欺すれすれではないかと思う。

Tシャツなんて生地が横に3センチくらいは優に伸びるから、そもそも「フルオーダー」なんて大げさなものは必要ないのは明白である。
ジーンズだって、いくらスキニーだ細身だといったところで、元が作業服のカジュアルパンツで、ストレッチ素材を使用していれば数センチくらいは伸びるので「フルオーダー」なんて大げさなシステムは端から必要ではない。

そういうところがZOZOの嫌いなところである。

で、早速ナインオクロックを試してみた。

2枚やってみたのだが、1枚は2年前にサンプルでもらったのと同じスムース素材、もう一枚は通常のTシャツに多い天竺素材を選んだ。

スムースはVネックのLLサイズ、天竺は深クルーネックのLサイズを選んだ。

当方は顔がデカいうえに首が短いからなるべくすっきり見えるようにネックの開きが深めのものをいつも選ぶようにしている。
ナインオクロックのオーダーはネックの深さと着丈の長さが2センチ刻みで選べるから、両方ともネックを2センチ深めにした。

いただいたサンプルは着丈が短かったので、両方とも2センチ長くした。
着丈が短いとふとした拍子にオッサンの汚いヘソが見えてしまう。オッサンの汚いヘソなんて誰も見たくないだろうし、当方もわざわざ見せたくはないので、着丈は長めにした。

注文してから2週間~3週間くらいして到着した。

サイトには最速3日、最長30日とある。

選んだ色はVネックが薄グレー、深クルーネックは紺。

 

両方とも着用してみた。また洗濯後、2年前にもらったサンプルと比較してみた。

着丈を2センチ長くしてみて正解だった。
オッサンのヘソは無事に守られた。

ネックを深くしたのも短い首が少しスッキリ見えるような気がする。

生地に関してはスムースはつるっとして肌触りは良いが、汗っかきには不安がある。
その点天竺はガッシリしていて多汗なオッサンにも安心感がある。

2年前のサンプルと比較してみたのだが、身幅は2年前のLサイズと、今回のLサイズ・LLサイズとも同じだ。
だからLLサイズといえどもそれほど身幅にゆとりがあるわけではない。

下が紺のLサイズ

下が薄グレーのLLサイズ

 

 

比較してみて気が付いたのだが、2年前の方が肩幅が広い。
LLサイズですら肩幅が2年前よりも狭く、Lサイズだと一層狭くなっている。

下が紺のLサイズ。肩幅が2年前より狭くなっている

下が薄グレーのLLサイズ。肩幅は2年前のLサイズの方が大きい

 

 

スタイリッシュには見えるが、もしかすると身幅を広げる機能を設置した方が支持が増えるのではないかと思う。

オッサンになると薄い生地はちょっと不安がある。
透けてしまわないかとか、汗だくになったら濡れ方がヤバイとか。

某メーカーの同年配の男性も「30番手で編まれたTシャツは薄くて不安。オッサンは20番手で編んでくれると安心できる」と語っておられ、その場で激しく共感してしまった。

ナインオクロックもオッサンは、今回から新たに展開されている少し厚めの天竺の方が支持されやすいのではないかと思う。

今後どのようにシステムや生産体制、商品企画をブラッシュアップされるのかに期待したい。

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アパレルの「デジタル化」は販売方法だけにとどまっている現状

プリンス氏の企画で有料トークショーを開催することになった。

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インターネット通販の成長ぶりにアパレル業界は色めき立ち、「IT化推進」とか「デジタル化推進」なんて掛け声ばかりが聞こえてくるが、販売方法・受注方法だけが「デジタル化」「IT化」しているだけに過ぎない。

販売方法・受注方法だけが「デジタル化」したところで、製造や加工、原料工程はほとんどが旧態依然とした受発注システムを使っており、何が変わるのかと言ったところで、単に消費者(買う人)が便利になったよねという程度にしか過ぎない。

製造・加工は何も変わらないし、そこに製造・加工を依頼するブランド側の商品供給体制も何も変わらない。

ブランド側が商品を取りそろえるシステム、速さ、タイミングはウェブが普及する前と何も変わっていないから、当方のように製造・加工側から衣料品を見る機会のある人間からすると「デジタル化」の効果は極めて限定的にしか見えない。

製造・加工、メーカー側からするとデジタル化で何が変わったのかわからない。
せいぜいが納入先の社名が変わったくらいである。
今まで百貨店アパレルに納入していたが、今はインターネット通販会社に納入するという程度の変化でしかない。

最近、洋服の供給量が多すぎるということが指摘されることがあるが、一部の「識者と呼ばれる人たちww」からは「オーダー生産を強化することで減らせることができる」という声が聞こえてくる。
インフルエンサーとか著名人と呼ばれる人たちは、フルオーダーとパターンオーダーの区別ができていない人たちばかりだから、ここでいう「オーダー」はすべてがごっちゃになった状態であることは言うまでもない。

ZOZOのオーダースーツが話題となっているが、じゃあ、ポッと出のスタートトゥデイなんていう会社がどうしていきなりプライベートブランド(自社企画製品)を発売できるのかというと、それは生地、付属(ボタンやファスナー)、副資材(芯地など)が大量生産されて、メーカーや問屋に大量に備蓄されているからである。

タレントがいきなり洋服ブランドを開始することができるのも、それらが大量生産されていて、大量に備蓄されているからである。

だから、思い付きで「ジーンズを作りたい」「スーツを作りたい」と言っても、すぐに生産することができる。

結局のところ、服が仮に大量生産されなくなったとしても(大量生産されないなら縫製工場はほとんど死滅するから考えにくい未来だが)、生地・副資材・付属は大量生産され続けているから、それが大量廃棄されるだけになる。

インターネットと使ったオーダー受注なんてほんの小手先の誤魔化しに過ぎない。

アパレルが真にデジタル化するには、そういう製造・加工段階までデジタルにつながる必要がある。
とはいえ、そのあたりの人々は高齢化が進んでいてEメールすらろくに使えない人も多い上に、国内の工場は零細が多く、デジタルへの設備投資をする資金力がない。

この製造段階をデジタルで統合することで効率化できるというのは当方のオリジナルではない。

コンサルタントの河合拓さんが最近、何度も提案しておられることである。
例えば。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56225

生産プロセスを最初から最後まで牛耳る「SPA型」プラットフォーマー(垂直型プラットフォーマー)が生まれるのも時間の問題です。

とあり、

日本のアパレル産業は万単位の中小企業群でなりたっており、日本のアパレル産業の将来を考えるなら、こうした中小企業がどうしていくか、に目を向ける必要があります。

大多数の中小企業は、見てきたような最先端技術に対して投資余力がなく、このままいけば大手の勝ち組と中小企業の差は広がる一方です。
しかし、別の角度から見れば事情は違ってきます。中堅企業の取りまとめ役を伝統的に行ってきたのはアパレル専門の「商社」。

彼らは企画機能、調達機能、生産管理、物流、ファイナンスなど一連の機能を有しており、その気になればデジタルSPAを導入することも可能です。
デジタルSPAを大手商社が導入し、投資余力がない中堅企業にソフトウエア・サービスとして提供し新しい産業エコ・システムを作り上げることも考えられます。商社は、グループ内にIT企業もシンクタンクももっており、優秀な経営者も次々と輩出しています。

とある。

正直なところ、今のウェブ、インターネット技術の要求水準は高まっており、零細企業のオヤジが20万~30万円くらい出したところでまったく効果がないのが実態である。

河合さんは、商社育ちなので商社の良い点と悪い点をよく理解しておられる。
たしかに資金力のある大手商社や専門商社(いわゆる大手問屋)なら本格的なデジタル化への設備投資も可能になる。
業界には商社を嫌う人も多いが、実際のところは商社なしではあの大手アパレルもあの大手アパレルも商品生産が立ち行かなくなることは業界内では公然の事実である。

店頭での販売と、顧客からの受注のみのデジタル化では生産体系はまったく変わらないし、供給体制自体を変えたいと思うのなら、デジタル化を製造・加工段階まで進める必要がある。

問題はその設備投資を誰が行うのかという点であり、河合さんは商社なら可能だと言っておられる。
たしかに商社ならその資金力から考えて可能だろう。

しかし、利にガメつい商社がそこまで業界全体のための設備投資をするのかどうか、当方はイマイチ信用しきれない。

とはいえ、個別の零細工場ではとてもじゃないがそんな大々的な設備投資ができないことは、火を見るより明らかであるという点は当方も深く賛同する。

店頭や通販段階だけのデジタル化・IT化で製造・加工の問題が何も取沙汰されていないのは、その界隈の識者wwやインフルエンサーがその方面の知識を何も持ち合わせていないからで、彼らこそ、単なる思い付きを次々と商品化できているのは、その製造・加工段階の恩恵を被っているからにすぎない。

販売方法のデジタル化なんて小手先では、業界構造は何も変わらない。

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「安さという価値」を伝えきれていないブランドが多い

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先日、価格戦略の講義をしたが、当たり前のことを改めて考えた。

例外はあるものの、

高価格商品は、利益は高いが数量を売りにくい
低価格商品は、利益は薄いが数量が売れやすい

もちろん、どの程度を「高価格」と呼ぶのかはそれぞれの商品やジャンルで異なる。

昼食なら2000円は高価格だろうし、服ならアイテムにもよるがTシャツで1万円は高価格だろう。

だからどのあたりの価格に決めるかということは非常に重要である。
こんなことは業界の人なら当たり前だろうが、それでも会議やミーティングに出ていると、現場の人はこれを忘れがちになる。

「最近、売上高が低いから単価を上げよう」
「国内生産だから高価格でも売れるだろう」
「利益を確保したいから高価格を攻めよう」

なんて発言は日常茶飯事である。

高価格製品を作るのは簡単だが、それを売ることが難しい。

卸売りなら小売店にその価値を認めさせないとだめだし、直販なら店頭での販売スキルが必要になる。

1000円のTシャツなら黙っていてもある程度の枚数は売れてゆくが、5000円とか1万円のTシャツを売ろうと思うと、店頭での販売スキルが求められる。

黙って並べて「国産だから」「インポートだから」というだけで1万円のTシャツは売れない。
国産もインポートも腐るほどある。別に珍しい物ではない。

当方はどちらかというと工場や産地の自社商品開発の相談を受ける場合が多いのだが、どうしても国産品ということで原価積み上げで考えて高価格を想定されることが多い。

もちろん、それはそれで当然なのだが、高価格で売るための武器が「国産品」というだけでは弱い。
それでも利益を多くとるために高価格を狙う業者は多いが、それでも国産品の安い物もある中ではなかなか売りづらい。

無印良品の「脱げにくいフットカバー」は3足890円で日本製だ。
エドウインのジーンズも今のところ、国産で8000円前後である。
タビオの3足1000円の靴下も9割くらいは国産である。

こう見ると、国産品でも低価格品というのは最早そんなに珍しくない。

一方、とにかく低価格なら「売れやすい」という考えもある。
最近は少なくなってきたが、それでも根強い。
ユニクロブームのころやジーユーの990円ジーンズのころはそういう考えが多かった。

そういえばいつの間にか、ジーユーはさらっと990円ジーンズをやめている。
値下げ処分で990円とか790円に下がるジーンズはあるが、定価はだいたい1990円である。
あの当時、各社の1000円以下のジーンズを見たが、品質的にはどれもが「安かろう悪かろう」だった。

GMSの売り場でも1000円以下ジーンズはほとんど見かけなくなった。
結局、粗悪品は淘汰されてしまった。

それはさておき。

とりあえず「安く」というのはこれまで何度もあったが、むやみに値下げしても利益を削るだけで、多くのアパレルやGMSはそれで赤字に陥った。

だから現在ではむやみに安くする業者は減ったが、それでも安い方が売りやすいから、依然として低価格のジャンルに属するブランドは多い。

そのあたりのことを考えると価格を決めるのは本当に難しいと思う。

先日、大阪に来ていたマサ佐藤さんを勝手に引っ張って行って、専門学校で講義させてしまった。
内容は「マーチャンダイザーについて」である。

マーチャンダイザーという言葉は普通に使われているが、今一つ分かりにくい。
それに各社によって使っている意味が異なることもあって学生にはとくにわかりにくい。

とはいえ、ある程度の企業でマーチャンダイザーになるには、実務を数年以上はする必要がある。
学校を卒業して新卒でマーチャンダイジングをすることはよほどの天才以外に無理だ。

商品企画ならびに営業、販売、在庫管理まで知っておく必要があるからだ。

それであるにもかかわらず「マーチャンダイザー学部」とか「マーチャンダイザーコース」なんていうのを設置しているファッション専門学校はほとんど詐欺ではないかと思う。

その講義の中で、マサ佐藤さんは「価格決定は本当に重要で、これが社長案件である会社も珍しくない」と実態を話しておられ、また「何歳になっても価格決定権だけは手放さない社長や創業者も多い」とこれも事実を指摘しておられた。

それほどに価格決定というのは重要な仕事であり、商品の売れ行きを左右するということである。

その一方で、低価格品は「売りやすい」という事実があり、低価格品それ自体が一つのプロモーションになる場合もある。
例えば、ジーユーのかつての990円ジーンズだ。
あれが1290円ジーンズならあれほど報道されなかっただろう。
そういう意味では「安い」ということは一つの武器ともいえる。

昨日、各社のパターンオーダーの価格をざっと紹介したが、価格比較するだけでは意味がないという声もあったが、各社の価格がほとんど報道されない状況では紹介することにもそれなりの意味はあると思っている。

それよりも各社は安いなら安いともっと声をあげた方が良い。

知られていないのは存在しないのも同然だから、「安い」と知られていないことは存在しないのも同然なのである。

ブランドの価値を伝えろと言われるが、「安い」ということも「価値の一つ」である。
そういう意味ではツキムラ、オンリー、カシヤマ・ザ・スマートテーラー、エフワンなどの低価格パターンオーダーブランドはその「安いという価値」を伝えきれていないと思う。

価値である安さをもっと声高に伝えるべきだ。

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ZOZOのオーダースーツの価格は極めて平均的 ~ZOZOよりもお買い得なオーダースーツはこんなにある~

本日はちょっとお気楽に。

先日、ZOZOのオーダースーツが発表されたが、すごく安いという印象が世間で独り歩きしているが、実際のところはそんなに安くない。
今回はお試しで2万円台だが、定価は39,900円と発表されている。

業界の人ならだれでも知っている知識だが、オーダースーツには、大きく分けて3種類のオーダースーツがある。

基本的なことのおさらいをさらっと簡単にしておく。

1、パターンオーダー
2、イージーオーダー
3、フルオーダ

の3つがある。

パターンオーダーとは、基となるパターン(型紙)があり、それを体型に合わせて修正する。
標準仕様の服を着て、採寸し、それを基として各部を調節する。
現在の国内価格だと2万~5万円くらいでできる。ZOZOのオーダースーツは価格的にこれだ。

イージーオーダーとは、その人と似た体型の人用の型紙を修正して使う。これはパターンオーダーよりも少し高い。

フルオーダーとは採寸して、その人専用の型紙を作るところから始める。これは最低でも何十万円かはする。

だから、ZOZOが「フルオーダー」と言っているのは、完全に誤りで「パターンオーダー」が正しい。

で、市場には2万~4万円程度のパターンオーダーはあふれかえっており、取り立ててZOZOが割安ということもない。

付け加えておくと、素材の「スーパー110」というのは高級ウール素材だが、すでに10何年前のツープライススーツショップでも使われていた。数字が大きくなるごとに糸が細くなって高級素材となるが、「スーパー150」以上は細すぎて耐久性がなくなって、スーツ地としては実用に適さないと言われている。

ちなみに当方が12年前くらいに買ったスーパースーツストアのスーツにもすでに「スーパー110」が使われていた。
既製服なので19000円くらいだったと思う。

近年、団塊世代のリタイアとスーツのカジュアル化によって、スーツ販売各社は既製服スーツの売れ行きが鈍ってきた。
そのため、各種方策を繰り出してその穴埋めをしていたのだが、その方策の一つが低価格パターンオーダーの導入だった。

そのほかの方策は、レディースビジネススーツ類の拡充、カジュアルウェアの拡充である。

まとめると

1、低価格パターンオーダーの導入
2、レディースビジネスウェアの拡充
3、カジュアルウェアの拡充

がスーツ販売各社の2007年以降の方策である。

だから、39900円程度のパターンオーダーなんて実際は珍しくもなんともない。
世間にはもっと安いパターンオーダーが実は溢れている。

今回は各社の低価格パターンオーダーを見てみよう。

〇まずは関西ローカルチェーン店のツキムラ

http://www.tukimura.com/

1着28,800円、3着50,000円という安さ。これだけですでにZOZOより破格に安い。

 

〇次にかつて「ザ・スーパースーツストア」でツープライス業態を開発したオンリー

https://only.co.jp/

1着28,000円、2着38,000円という破格値。2着作ってもZOZOより1900円も安い。
1900円あればジーユーで590円のTシャツが3枚買えてしまう。

 

〇エフワン かつては既製スーツを販売していたが、経営破綻して縫製工場グッドヒルの子会社になってからオーダー専門店へと変わった

https://www.f-one.co.jp/

1着29,800円でここは纏めオーダーはやっていない。

 

〇最近店舗数を増やしたグローバルスタイル

https://www.global-style.jp/

1着38,000円だが2着で47,000円という値引きスタイル。

 

〇大手ツープライススーツショップの「スーツカンパニー」の派生形態「ユニバーサルランゲージ」

https://www.uktsc.com/custom-order/

1着39,000円、2着49,000円という安さ。

 

〇最近始まったオンワード樫山の新業態「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」

https://kashiyama1927.jp/

1着30,000円(税抜き)が最低価格。

とざっと駆け足で見てきたが、ZOZOのオーダースーツの価格がどれほど「平均点」なのかということがわかるだろう。
39,900円のオーダースーツなんて珍しくもなんともない。

また、一度作ったら採寸データは残るから、リピートするのも簡単で、IT化が進んでいるから、パソコンやスマホからデータを自分で入力して買えるというサービスも別に珍しくない。現に「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」は指定した場所にフィッターが出張してきて採寸してくれるだけでなく、2着目からはスマホからもオーダーできるし、最速で1週間で完成するから、ZOZOのサービスが霞んで見える。

逆にあんなに12回もクルクル回らねばならない上に、採寸に誤差が生じやすい水玉模様のZOZOSUITよりもプロのフィッターに出張してきてもらった方が手軽だし信頼できる。

こうして見ると、ZOZOよりも価格競争力もあり、サービスも優れているオーダースーツは業界には掃いて捨てるほどある。
ZOZOが上手いのは現時点ではイメージ戦略だけということができる。

それにしてもメディアはこういう競争力のあるブランドを紹介せずに何をイメージ優先のZOZOばかり紹介しているのか。
偏向報道と叩かれても当然の報いといえる。

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ZOZOのオーダースーツがホールガーメントで作られるという完全なるミスリード

スタートトゥデイがオーダースーツを開始することが発表された。

生地が伸び縮みして多少のサイズ違いなんてどうとでもできるTシャツとは異なり、メンズのスーツ、ワイシャツというのはそれこそ「ミリ単位」は大げさでも「1センチ単位」での正確さが要求される。
首回り39センチの男が、40センチのワイシャツを着るのはひどくだらしなく見える。

それほどの精度が求められる。

自己採寸できるZOZOSUITによる計測は現在のところ、誤差が大きく、果たしてあの誤差で大丈夫なのかと思ってしまう。

とはいえ、まあ、オーダースーツに進出するのは規定路線だっただろうから、当方はそれほど興味がなく、発表も注目していなかった。

ついでに言っておくと、スタートトゥデイは「フルオーダー」と言っているが、これは間違いで、「パターンオーダー」である。
フルオーダーというのは一人ずつ型紙(パターン)が全く異なり、型紙作りから行われるオーダーであるが、そのため価格も非常に高額になる。定価として発表されている39,900円なんて低価格では絶対に実現できない。

 

パターンオーダーとは「原型」となるパターンがあり、それを基に各個人の体型に合わせて修正するオーダーであり、こちらは比較的低価格にすることが可能だ。

ゾゾの定価である39900円という値段設定は、パターンオーダーなら極めて当たり前の平均的価格である。

スーツカンパニーのオーダースーツの最低価格は39000円だし、麻布テーラーのオーダースーツの最低価格は37000円でzozoよりも安い。
グローバルスタイルなら2着48000円で、1着当たりは24000円となり、zozoよりも圧倒的に安い。

オンリーならオーダースーツが1着28000円、2着38000円で2着作ってもzozoよりも安い。

zozoのパターンオーダースーツの定価設定は同業他社よりも高いくらいに設定されているというのが事実である。

発表後、ツイッターのタイムラインには「ZOZOがオーダースーツをホールガーメントで無人製造」みたいな意味不明のツイートが多数流れてきた。

それもある程度業界知識があるはずの人まで一緒になってやっているのだから呆れ果てるほかない。

よく記事を読んでみると、スタートトゥデイの発表は大きくわけて2つの項目があった。

1、オーダースーツを開始すること
2、ホールガーメントを導入すること

である。そしてこの2つのトピックスは全くの別物で、オーダースーツとホールガーメントは何ら関係ない。ホールガーメントはあくまでもセーターなどのニット製品向けである。
それを2つを合体させてしまうからわけのわからないことになっている。

1、ラーメン屋に行った
2、そのあとでユニクロに行って服を買った

というのを「ラーメン屋でユニクロの服を買った」と合体させてしまうのと同じくらい意味不明である。

ではどうしてホールガーメンで通常のスーツが製造できないのか説明していく。

ホールガーメントとは?

 

ホールガーメントとは、島精機製作所が開発したニット編み機で、一体成型でセーターが編み上げることができる。
これが開発された理由の一つに、国内リンキング工場の激減という事情がある。

同じ編み物でありながら、セーターとカットソー(Tシャツ類)は業界では区別される。

Tシャツ類は、各パーツを縫い合わせる(縫製する)ことに対して、セーターは袖口や裾、襟のリブを縫い合わせるのではなく、編み合わせる。これを「リンキング」という。大雑把に、リンキングされている物はセーター、されていない物はカットソーと業界では分類される。

リンキングはセーター本体と比べると、極めて細い針をセーター本体の編み目に通して編み合わせる作業なので、視力が良くないとできない。
国内工場はリンキングに限らず、高齢化が進んでいるから、老齢で視力が衰えるとリンキングは満足にできなくなる。
そしてリンキング工場は儲からないし、その技術を生かして独自製品を開発することもできない。
結果的に廃業していくということになった。

リンキングなしでは「セーター」は製造できないから、その解決法の一つとして、一体成型のセーターが提案された。
これがホールガーメントである。

今回の発表でにわかに注目を集めたホールガーメントだが、開発されたのは相当前で20年くらい前の話である。
もちろん毎年改良は加えられているが、何も「最新鋭技術」というわけではない。

ホールガーメントはいわゆる頭被りのオーソドックスなセーターだけではなく、前開きのカーディガンやらニットジャケットなんかも編めるし、ニットスカート、ニットワンピースも編める。

だから、ニットジャケット、ニットズボンも編めるが、いわゆる「通常のスーツ」は製造できない。
もし、ニット生地を縫製するならスーツは製造できるが、ホールガーメントの一体成型では「通常のスーツ」は製造できない。

なぜなら、一体成型ということは芯地を挟み込むことができないからだ。

「通常のスーツ」、とくにテーラードジャケットがパリっとしているのは、芯地を挟んで縫製されているからだ。
ついでにいうとワイシャツの襟と袖口が胴体よりも硬くてパリっとしているのはそこに芯地が挟み込まれているからである。
だからホールガーメントでワイシャツを製造することもできない。

高級スーツ、高級ワイシャツになればなるほど使っている生地は柔らかく薄くなる。
そんな柔らかくて薄い生地を2枚重ねて縫ったところで、多くの人が想像するようなスーツやワイシャツみたいにパリっとはしない。
その間に芯地を挟み込んで縫製するから硬くてパリっとするのである。

一体成型なのだから芯地を挟み込んで縫製なんてできるわけがない。
だから多くの人が思い描く「通常のスーツ」「通常のワイシャツ」はどうしたってホールガーメントでは製造できない。

だが、例えば、通販ニュースですらこの混同ぶりだ。

ZOZO、海外展開開始…ゾゾスーツなど10万人に無償配布

 

 

 PB商品の生産体制についても言及した。「体型データ」と「オンデマンド生産機器」を組み合わせた生産を行うとし、一例として(株)島精機製作所とコラボレーションし商品ごとに最適な製造インフラを構築すると言う。前澤社長が「3Dプリンターの洋服版」と称した「WHOLEGARMENT(ホールガーメント)」という機械などを使用し、無人のアパレル生産を行うとした。

これだと、ホールガーメントという機械wwwでどんな洋服でも製造できるように読めてしまう。
残念ながら製造できるのは編み物に限られている。
だからセーター、カットソー、トレーナー類に限定される。

ジーンズ風ニットズボンは製造できても、「通常のジーンズ」は製造できない。

織物と編み物の違い

 

生地には織物と編み物があり、それぞれ生地の構造も製造する機械の構造も異なる。
少ない本数の糸を輪っか状にして連結させる「編み物」と、合計何千本、何万本という本数の経糸と緯糸を組み合わせる「織物」はまったく別物の生地構造をしており、通常のスーツやワイシャツ、ジーンズは織物で作られている。

お分かりだろうか。

ツイッターでは、「布帛(織物)も一体成型できるようになる気がする」なんて意見もあるが、それは絶対に無理だ。
編み物は、脇に縫い目のないTシャツやセーターがあることを見てもわかるように、円形に編むことができる。しかし織物は平面の直線で織られており、円形に織ることは生地の構造上からも機械の構造上からも不可能である。

だから「織物の一体成型」は現時点では不可能で、それが開発されることはまずない。

一方、島精機製作所のウェブサイトにはインレイ編みで布帛に近いハリコシのあるホールガーメントができると書いてあることから、インレイ編みに期待を寄せた人もいるが、インレイ編みがいくら通常のニットよりもハリコシがあるとはいえ、芯地を挟み込まなければスーツにパリっと感は再現できない。

http://www.shimaseiki.co.jp/wholegarment/

インレイ技術を活用したホールガーメント製品で、驚きの軽さと快適な着心地が特長です。ジャケット、コート、スーツなど従来布帛でしかなかったようなアイテムをニットで表現できます。横方向に編成することで、横方向にストレッチ性を持たせながらも、縦方向には伸縮を抑えて形態を安定させることも可能です。

とあり、なかなかミスリードさせるような文面だが、芯地がなければ通常の布帛スーツや布帛コートのパリっと感は実現できない。
島精機も罪な書き方をしている。わざとだろうか?わざとだとすると極めて悪質だ。

インレイ編みってなんだ?インレイ編みは万能じゃない

 

じゃあ、インレイ編みってなんだろう?

最近ひそかなブームになりつつあるニットインレイ編みとは?

通常の横編み(いわゆるセーター生地)に緯糸を通すことで、ハリコシを持たせる編み方で、構造は以下の図のようになっている。

しかし、いくらハリコシが出るとはいえ、何千本・何万本もの経糸と緯糸で高密度に織られた織物には遠く及ばない。
ニットは所詮ニットなのであり、さらにそこに芯地がないとなれば、通常のニットジャケット、カットソージャケットの少し硬い程度でしかない。

スタートトゥデイはここを意図的か無意識なのか混同させるような説明の仕方をしていた。

そして、製造や生地のことの知識を持ち合わせていないメディア関係者や、知識の浅いファッション業界人はまんまとそれを鵜呑みにした。

それが今回の騒動の原因である。

スタートトゥデイは話題作りが上手いと思う。しかし、いつも優良誤認させるような手法を積極的に用い、今回もまたそういう手法を用いた。ここが好きになれない点である。

ホールガーメントは別に未来の最新テクノロジーでもないし、どんな服でも自動製造してくれる魔法の箱でもない。
ホールガーメントは20年くらい前に開発された一体成型型のセーター類専用製造機で、それ以上のものではない。

とんだ空騒ぎである。馬鹿馬鹿しい。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみた
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