安くて良い商品があればそちらが売れるのは当たり前 服もその一つにすぎない

先日、ある有名なコンサルタント氏と飲みながら雑談をした。
コンサルタント氏は7月から大阪での仕事が増えたそうで、そこからお会いする回数が増えた。

で、まあ、いろいろと雑談をするといっても、趣味も生活レベルも当方とは異なるので、必然的に話題は衣料品業界のことになってしまう。

衣料品業界についての見方は比較的一致する。

で、同じ50代前後という世代だから昔からの衣料品業界の記憶もある程度合致していて、有益な意見交換ができるので、こちらとしてはいつも楽しい時間を過ごさせてもらっている。

で、やっぱり現況の衣料品業界においては、国内とアジア圏ではユニクロ、世界的にはZARAの2ブランドが勝ち組となっているという見方も一致するところである。

低価格なユニクロと、比較的低価格なZARAをはじめとする低価格衣料品が国内外で支持されている理由は、やはり「低価格衣料品がマシになったから」というところに帰結する。
もちろん、可処分所得の伸び悩みとか所得の減少傾向とかそういう背景はあるにせよ、20年前・30年前に比べると、低価格衣料品ブランドはかなりマシになっている。
品質的にもそうだし、見た目(デザイン、シルエット、色柄)もマシになっている。

20年前のジャスコやイズミヤで売っていた1900円のTシャツはひどくダサかった。
美濃屋のコンバースTシャツは比較的マシだったが、それ以外は見た目のおかしなTシャツが多かった。
だから、20年前の当方の世代は、ある意味で「仕方なしに」高いブランドで高いTシャツを買っていた。

スーツしかり、ジーンズしかり、セーターしかり、である。

しかし、ユニクロやZARAに象徴されるような低価格ブランドがマシになり、それに引きずられるように、小マシな低価格ブランドが増えれば、「そちらで買った方がいいや」と思う消費者が多数出現してしまうことは自然な流れだといえる。

衣料品業界関係者やファッション好きはこれを差して「あんな安物は邪道だ」とか「消費者の感性が退化している」とかいうが、それは自分達が「ファッション好き」「衣料品好き」だからである。

こだわりのない人からすると、衣料品はユニクロやジーユー、ZARAで十分なのである。

そして、他分野を見渡すと、どの分野でも同じことが世界的に起きている。

コンサルタント氏は、衣料品と自動車がお好きで、使用するブランドにはこだわっておられる。
スーツはイタリアブランドだし、自動車はドイツ車である。それでもTシャツはユニクロで買っておられるのだから、ユニクロのコスパの高さがうかがい知れるのだが。

そんなコンサルタント氏でも家具やインテリアにはあまりこだわりがないのでニトリで十分なのだという。

しかし、インテリア関係者や家具業界人からすると「ニトリなんて」という声があるが、家具に対してこだわりのない人からすると安くて見た目も品質もそれほど悪くないニトリの家具で十分なのである。
当方なんて、もう10年以上家具なんて買ったことがないが、もし今後買いなおすことがあるなら迷わずニトリにする。
安いが少し感度を求める人はIKEAがお好きなようだが、買って帰って組み立てるのがめんどくさい。小さな棚くらいなら組み立てるが、大きな家具になるとそんなめんどくさいことはしたくない。
だったら最初から組み立ててくれてて安いニトリの方が良い。

またコンサルタント氏は眼鏡にはこだわりがなくJINSを愛用しておられる。
当方も眼鏡にはこだわりがなく、JINSでもZOFFでもオンデーズでも構わない。
当方はJINSの眼鏡をすでに3本所有している。

レンズ込みで5900円くらいから買えて、しかもフレームのデザインは多彩だ。
よほど困った症状の人を除いて通常の近視程度ならJINS、ZOFF、オンデーズあたりで十分だ。

だが、眼鏡の愛好家は違うだろう。
999.9だ、金子眼鏡店だ、アランミクリだ、という高額のブランドを押すだろう。

もちろん、違いは相応にあるとはいえ、JINSあたりの眼鏡を見て「見るからに安かろう悪かろうな商品だ」と思う人はいない。
なら、眼鏡に格別のこだわりのある「趣味人」を除いてはそれで十分だという人が増えることはまったく当たり前である。

自動車だって腕時計だって飲食店だって同じだ。

それぞれの分野で、それを趣味や職業にしている人はこだわりがあるだろうが、それ以外の人はそれほどこだわりがない。
昔は安物=粗悪品だったが、今では、安物は必ずしも粗悪品ではなくなっている。
品質スペックは安物でもそれなりに高い。
あとは見た目の良さとか使い勝手の良さとかが注目点になるが、それもそれなりに良くなっているから、趣味や職業ではない人からするとそれで十分だということになる。

そしてそういう人が、世界的に「マス」なのである。

スイス製の高級腕時計は数多くあるが、機能スペックはそれほど高くない物が多い。
反対に日本のシチズンやセイコー、カシオのデジタル時計の方が機能スペックは高い上に、価格は安い。
腕時計にこだわりがない当方からすると、なぜ、わざわざ性能的に劣っているスイス製の腕時計を高値で買う必要があるのかわからない。

1万円くらいのシチズンやセイコーやカシオで十分じゃないかと思う。
これで見た目のデザインが変てこなら買わないが、今はデザインだってそれなりにマシだから、だったら腕時計ファンじゃない人からするとそっちでイイやということになる。

当方が使っている2本の腕時計は両方ともカシオの太陽電池デジタル10気圧防水で、Amazonで3500円、4500円で買った。
2本合わせても8000円である。

Amazonで4500円で買ったカシオの太陽電池腕時計

 

 

自動車だってこだわる人はドイツ車だ、イタリア車だ、と言っているが、こだわらない人からすると、スズキとかダイハツの今のグレードアップされた軽自動車で十分だろう。性能スペックは決して低くないし、見た目だって昔の軽自動車に比べるとはるかにマシになっている。
当方はそうだ。

飲食店だって、こだわればキリがないが、こだわりのない当方は鳥貴族とかサイゼリヤで十分である。

結局、衣料品も同じことで、こだわっているのは「趣味」だからであり、そういう趣味人はマスではない。どの分野でも同じだ。

洋服にこだわっている「趣味人」だって、生活スタイルすべてにこだわっているという人はかなり少ないだろう。
興味のない分野はいわゆる「大衆向けブランド」で満足しているのではないか。
それに全分野にこだわろうと思えば、恐ろしいほどに金がかかるから、平均収入の少ないアパレル業界人では物理的に全分野にこだわることは不可能である。少なくとも当方の収入では不可能だ。

自動車や飲食にこだわらない人がいるように、衣料品に格別のこだわりのない人が少なからずいるのは何の不思議もないし、衣料品もそういうさまざまな商品の一つに過ぎないということである。

それを理解できない業界人が多いからいまだに「品質スペックガー」とか「おしゃれガー」と叫んでみても大衆に見向きもされないのではないか。

とはいえ、性能スペックが劣っていながらも「趣味人」に選ばれる高級ブランドというのはどの分野にもある。
自動車しかり腕時計しかり洋服しかり家電しかりである。

そういう方向を目指さないとユニクロとZARA以外のブランドは生き残れないのではないかと思う。

とはいえ、そういう「ブランド化」がどんなブランドでも成功できるわけではないし、そんなものが多数存在できるほど、世界の市場の容量は大きくない。(欧米中国を含めてもだ)

それができた少数のブランドだけが、価格競争やスペック競争に巻き込まれずに生き残ることができるだろう。

そして、衣料品業界人やファッション好きが主張するところの「こだわり」とは、所詮は「趣味人の蘊蓄や造詣」に過ぎないということを自覚しないと、マス層の嗜好性とはますます乖離するだけのことである。

当方は、外野で眺めているだけである。

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カシオの優れもの太陽電池腕時計タフソーラーをどうぞ~

この夏、値下げされて買ったTシャツはユニクロばかり

昨夜遅くから急に湿度が下がって涼しくなった。
今年の夏は7月は超猛暑が続き、8月に入ってもときどき猛暑ではなくなるものの、猛暑の日が多かった。
関西では8月14日から急に夕立やゲリラ豪雨が増え、気温はマシになったが、その分、湿度が高かった。
それが昨夜遅くから湿度が下がり、今朝は久しぶりに涼しさを感じている。

もうええかげんに夏終わってほしい。というか、夏のない国に住みたい。
当方はそれほど暑さと湿度の高さが嫌いだ。

9月に入ってから気温がどう推移するのかはわからないが、例年、関西はなんだかんだ言って、10月の半ばまでは夏日が続く。
もちろん、10月になると朝夕は涼しくなるが日中は30度近い。
昨年は10月14日ごろまで半袖で過ごしていた記憶があるが、何年か前は10月20日まで半袖で過ごしていた。

だから、当方は体感気温に合わせると、まだ夏物の半袖を買ってもいまだと2か月くらいは着られる。
そしてこの時期になると半袖の夏物は最終処分価格まで下がる。
毎年、8月下旬から9月上旬にかけて最終処分投げ売り価格になった半袖を買っている。

物は考えようで、「季節先取りをしたい」と思って、新入荷する秋物を定価で買うのもそれはそれでありだし、体感気温に応じて最終処分投げ売りの半袖を買うのもありだと思う。

とはいえ、もうよほどのびっくり投げ売り価格でもない限り、半袖Tシャツは買わないだろう。

昨日も少し書いたが、毎年、6~8月にかけて半袖Tシャツを何枚か買っている。
もちろん、定価では買わない。値下がり品の中から選んで買っているのだが、その年によって集中的に買うブランドが異なる。

昨年の夏はライトオンの値下がりTシャツばかり買っていた。
今年はユニクロの値下がりTシャツばかり買っている。買った枚数の8割くらいはユニクロで、それ以外にジーユーで3枚、ジーンズメイトで2枚という内訳である。

もちろん値下がり品ばかりである。

ユニクロでも通常のユニクロTシャツは一枚も買っていない。買ったのは、デザイナーコラボの値下げ品ばかりである。

アンダーソン、トーマス・マイヤー、ユニクロUの3ラインで、実際に買って何度か着用してみると、あきらかに通常のユニクロTシャツよりも使用している素材のクオリティが高い。

3ラインとも生地が通常ラインよりも肉厚である。
アンダーソンやトーマス・マイヤーのTシャツは店頭で見ている限りは「テロっ」とした生地に見えているが、意外にしっかりした編地で少し生地に厚みがある。

トーマス・マイヤーのスーピマコットンプリントTシャツを買ったが、通常ラインのスーピマコットンTシャツよりも肉厚な生地になっている。

定価はいずれも1990円~1500円くらいで、定価でも十分にコスパが高いのだが、990~790円の投げ売り価格になると、もう、どんなブランドも追随できないほどのコスパの高さになる。

というわけで、今年の夏はユニクロのデザイナーコラボラインのTシャツばかり買ってしまったというわけである。

あ、あと、ボーダー柄ばかり買っているが、Tシャツって無地、ボーダー柄、プリントの3種類しかなく、柄物好きは必然的にボーダー柄Tシャツが増えることになる。

まず、6月にアンダーソンコラボのボーダー柄Tシャツを買った。
左右で切り替えてアシンメトリーな柄になっている変わり種Tシャツである。
これは990円に値下がりした時点で2枚買ったが、今は500円に値下がりしている。

細番手で編まれたしっとりした天竺だが、想像していたよりも厚みがある。
シルエットは少しゆったりで、当方でもMで十分にゆとりがある。

オレンジ×白が一番不人気色だが、着る人の容姿を選ぶので当然の結果といえる。
容姿が良くない当方は、白×紺、黄色×ブルーを買った。500円に下がってもオレンジは買わない。

次に買ったのが、ユニクロUのブロックカラーTシャツである。
990円に値下がりしたので何の気なしに買った。
ブロックカラーと言っても、袖口のリブの色が違うだけである。

たまたま目についた「黒×白」を買った。
これも滑らかな表面感なのに分厚い天竺でできており、かなりずっしりとした重さがある。
この素材感で990円に値下がりしたのは値打ちものだということで、「紺×マスタード」も買った。

あと「グリーン×白」は迷っているうちになくなり、「茶褐色×ピンク」は不人気カラーで、早々に790円に値下がりし、今は500円になっているが茶褐色は嫌いなので絶対に買わない。

店によっては「黒×白」が余っており、790円に値下げされている。

シルエットはこれもビッグシルエットで、当方でもMサイズで十分である。
790円なら「黒×白」は絶対にお買い得だ。

そして7月末に衝動買いしたアンダーソンコラボのカモメ柄Tシャツ。これは790円に値下がりしていたので買った。
各店舗に少しずつ残っているだけで、ボーダー柄よりも店頭残量が少ないし、値下げ幅は小さい。
ボーダー柄よりも人気商品だったということで、長い間990円でがんばっていたが7月末にようやく790円に値下がりした。
Lサイズを買ったのだが、ワンサイズ大きめだった。Mサイズで十分だった。

これも一見、生地が薄そうに見えるが、しっかりした厚みがあり表面感も滑らかで、この手の生地を使っているブランドは中価格帯でもあまりない。それほどの生地のクオリティだと思う。

8月頭に990円に値下がりして、実験的に買ったのがトーマス・マイヤーのヤシの木プリントのスーピマコットンTシャツ。
これはビッグシルエットではなく、レギュラーサイズ。Mサイズで当方はジャストサイズになる。
これもそこら辺の高級ブランド並みの生地の品質がある。

で、お盆前に買ったのがユニクロUのボーダーTシャツ3枚だ。
長い間1290円からまったく下がらなかったのがようやく990円に値下がりした。

これも厚手でビッグサイズである。生地は厚みがあるのは前記の商品と同じだが、表面感はざらざらしている。
昔のアメリカの厚手Tシャツみたいな感じで、好き嫌いはあるだろうが、これも990円に値下がりしたなら、値打ちのある生地といえる。

そんなに欲しくはないけど試しに買ってみたのが、このレゲエカラーのマルチボーダーで、同じ生地のデザイン違いのボーダーも買ってみた。

その一つが昨日書いた、送料無料で到着した黒×白である。
これはラグランスリーブで、レゲエカラーよりも身幅が広いような気がする。Mサイズでも大きすぎるくらいでもしかしたらSサイズでも良かったのかもしれない。
それほどにゆったりしている。

なぜか送料無料で買えたボーダーTシャツ990円

で、同じ品番の白×マスタードも買った。

これは不人気カラーのようで、どの店舗を覗いてもけっこうな枚数が残っている。
しかし、白ベースの着やすい色合いだと思うので、なぜ不人気品番なのかわからない。
もしかしたらそうそうに790円に値下がりするかもしれない。

あと、この品番は袖と身頃の柄合わせが精密であるところがすごいと思う。
ボーダー柄が直角に合わさっている。柄としてはいささか単純だが、この値段でこの柄合わせをできるブランドはほとんどない。
この辺りもユニクロのすごさではないかと思う。

結局、3か月間で9枚もユニクロでTシャツを買ったが、どれも品質の高さが際立った。
4900円くらいまでのTシャツブランドですら、太刀打ちできないのではないかと思う。
ますます、そこら辺のアパレルとユニクロの格差は広がるばかりだということを改めて感じた。

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5000円未満なのに、なぜかユニクロのTシャツが送料無料で買えてしまった話

とりあえずお盆休みが終わった。

まだお盆休みが続いている企業もある。

今夏、当方はたくさん持っているにもかかわらず、また半袖Tシャツを何枚か買った。

お盆休み中に思い返してみると、そのほとんどがユニクロの値下げ品だった。
昨年はライトオンの値下げ品ばかり買っていた。

どうも毎年、個人的なツボにはまるブランドがあるらしい。

そんなユニクロでお盆休み前に不思議な体験をした。

今まで何度か、オンライン通販で買っている。多分もう4回くらい。
自宅配送の場合は、5000円以上買わないと送料無料にならない。
店舗受け取りの場合は送料無料だ。しかし、ユニクロやジーユーでなかなか5000円以上も買うことがない。とくに単価が安い夏物で5000円以上買おうと思ったらけっこうな枚数になってしまう。

当方が欲しいのはたいていその瞬間に1枚か2枚なので最近は店舗受け取りを選んでいる。
先日はジーユーで3500円に値下がりしたスーパーストレッチドライスーツをオンラインで買って、店舗受け取りにした。
その前は590円のTシャツ1枚を店舗受け取りにしてオンラインで買った。

で、お盆休み前、履歴を見ると8月7日のこと。

ユニクロでユニクロUのボーダーTシャツがやっと990円に値下がりした。
定価1990円で、長い間1290円に値下がりしたままでそこから値下がりしなかった。

以前にも書いたことがあるが、ユニクロとジーユーは基本的に火曜日と金曜日に値下がりする。

だから毎週火曜日と金曜日は値下がり品をチェックする。
目当ての物が値下がりしているときもあるし、目当ての物が値下がりしておらずがっかりするときもある。

8月7日の火曜日はついにユニクロUのボーダーTシャツが990円に値下がりした。

オンライン通販で確認してから店に行った。

で、目当てじゃないTシャツも買ったが、黒地に白ボーダーのTシャツが欲しくなって、スマホのアプリで検索すると店頭にはないが、オンライン通販にはMサイズだけが残っていた。

なぜか送料無料で買えたボーダーTシャツ990円

今夏のユニクロUのTシャツはビッグサイズ傾向なのでMサイズでも十分ゆったりしている。

で、ユニクロの店頭からスマホでオンライン通販で買った。
なんというハイテクな男。

オンライン通販と店頭の在庫を一括化できればもっと便利になるのになあ。
まあ、お金はかかるけど。(笑)

で、990円のTシャツ一枚だけだから当然店頭受け取りを選ぼうと思ったら、なぜか、送り先に登録してある自宅住所でも「無料」の文字が。

目を疑った。
もしかしたら何かの間違いかもしれないから、何分かそこで画面を見ながら悩んでいた。

傍から見ると、スマホの画面を睨みながら逡巡する怪しげな初老の男である。

しかし、まあ失敗したとして何らかのリカバリーの方法はあるだろうから、意を決して買ってみた。
たった400円くらいの送料でここまで悩んでいるわけである。

そうすると、なんと送料無料だった。

8月11日くらいに990円のTシャツ1枚が自宅に届いた。
納品書には990円、税込み1065円だけ印字されている。

何たる奇跡。

 

 

で、そのときにふと思ったのだが、ユニクロもジーユーも単価が安いから、送料無料にするために5000円以上買うのは結構苦しい。
ダウンジャケットなんかがある冬はそうでもないが、夏物は難しい。
冬だってセーター1枚がほしいときはオンラインで送料払うのはなんだかあほらしく感じる。

で、例えば、年間何千円か何万円かをファーストリテイリングが基準を決めて、オンライン通販での購入総額がそれをクリアしたら、翌年からは何円の商品でも送料無料という仕組みを作ってみてはどうだろうか。

そうすれば、恐らくオンライン通販の売上高は飛躍的に伸びるのではないかと思う。

現在、ユニクロのオンライン通販は伸びている。
売上高も500億円くらいになっており、通常の洋服ブランドでは相手にならない規模になっている。

それでもアホな経済系識者やファッションテック系は、「ユニクロがネット比率が低いことが弱点」なんてことを平気で垂れ流している。

単価の安い商品を送料払ってまで買うというのは、当方みたいなバーゲンハンターにとってはなんだかひどく無駄なことのように感じられる。
「ユニクロは安いで」「ジーユーは安いで」と愛用しているオッサン、オバハンも実は送料を払うのが嫌で、ネットでは買っていない場合があるのではないかと思う。

とくにTシャツ790円1枚とか590円1枚なんて送料を払うのが馬鹿らしいのではないかと、ケチな初老のオッサンは推測する。

で、そんなキャンペーンをやってみてはどうだろうか?
他人の会社なのでひどく無責任な提案ではあるが。(笑)

それにしてもどうして990円のTシャツ1枚で送料無料になったのだろう?
未だに謎である。あとで送料請求されたらいやだなあ。そのときは返品したろうかな。(笑)

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キャリアアップの道筋が見えにくいアパレル企業が多すぎる

ある組合の方によると、アパレル企業には最近人が集まりにくいという。
そりゃそうだろうな。
今の世の中でわざわざアパレル関連企業に就職したい学生なんてそんなに多くないと思う。

また、入社したとしてもすぐさま退職するということも多いそうだ。

一方、当方がたまに講義をするファッション専門学校生はそれはそれなりに就活にいそしんでいるものの、内定がなかなか出ない学生がいたりする。そんなに人が集まらないといわれているのに、内定が出ないこともあるのかとちょっと驚いたりしてしまう。

アパレル関連企業が人気がない理由として、

1、斜陽産業だと思われている(実際斜陽産業だが)
2、一部の会社を除いて、入社後のキャリアアップが思い描きにくい

というこの2つがあると見ている。

当方は、25年ほど前に衣料品販売店に入社してしまったのだが、この衣料品販売店もキャリアアップの道筋は極めて不透明だった。

販売員から店長になり、店長からエリアマネージャーになり、そこからさらに上という具合になるのだが、一体どういう業績を上げれば、エリアマネージャーになれるのかが皆目わからなかった。(すごくなりたかったわけではないが)

また、当時のエリアマネージャーはどういうことをやってその地位に上ったのかもまったくわからなかった。

幸い?店長には何年か勤めていればなれるので、そこは何の疑問も抱かなかったが、そこから上に行く道筋は見えなかった。

そんなわけで当方も退職してしまったわけだが、アパレル企業に人が集まらない理由はここにあるのではないかと思う。

そんな一方で、入社してもすぐにやめるという悩みもアパレル企業にはある。
これも組合の方から伺ったのだが、せっかく入社してきてもガッツのない若い人が多いという嘆きも企業側にはあるという。

たしかに最近の若い人は、昔みたいにガツガツ・ギラギラしている人はそんなに多くないように感じる。
それが物足りないとオッサン世代・ジジイ世代の上役からは見えてしまうようだ。

さらにいえば、企業の採用活動も昔に比べるとスマートになっている。
また、大学側も学生に就活のノウハウ、マニュアルを叩き込む。
優秀な学生になればなるほどノウハウ、マニュアルの飲み込みは早い。
だから、非常にスマートな態度の学生が出来上がる。
学生のマニュアル化を叩いたって意味がない。どの企業だってアホ丸出しの学生よりも少しは賢そうな学生を採用したいだろう。それが人情というものである。当方だってアホ丸出しの学生は採用しない。

学生がスマートだから採用活動もスマートなのか、採用活動がスマートになったから学生もスマートになったのかどちらが先なのかはわからない。

当方の就職活動当時でも、一発芸をやって入社したなんて人も何人もいる。

某大手商社の人は、喫茶店で、高校野球のピッチャーの牽制球のマネをやって採用を勝ち取ったはずだ。

今時、そんな一発芸で採用を決める大手企業はないだろうと思う。

とはいえ、そういう就職活動で入社した猛者たちはわけのわからんバイタリティがあった。良くも悪くも。
アパレル企業の今の上役の一部はそういう猛者を懐かしく思い、欲しがっているようだ。

だから一部からは「今風のスマートな採用活動をやめて、勢いのある若い人を取れ!」なんて声も出ているといわれている。

超大手アパレル企業でそんな採用活動は難しいだろうが、業界を支えている中小のアパレル企業ならなんとでもできるのではないかとも思う。

社会が成熟化し、複雑化、高度化してくると、勢いだけの型破りな「サラリーマン金太郎」みたいな学生は少なくなるし、そういう学生を企業は採用しなくなる。

ただ、その一方で、アパレル企業側はバイタリティのある若手社員を求める気持ちもどこかにはある。

所詮、それはない物ねだりでしかないのだが、それもまた人情といえる。

しかし、なんだかんだでいろいろなファッション専門学校を見ていると、凄まじく程度の低い学生にも出くわすことがある。
程度の低さにもさまざまな低さがあるのだが、仕事をしないとか仕事にならないような学生はさておき、猛烈に勢いだけはあるような学生なんかは活力が欲しい中小アパレルは一度採用してみてはどうか?

いろいろと教えるのは苦労するだろうし、飲み込みも悪いかもしれないが、もしかしたら何年かしたら成長するかもしれない。

いずれにせよ、アパレル業界の人材確保はますます難しくなっているにもかかわらず、就活で四苦八苦するファッション専門学校生もそれほど珍しくないのだから、需給のミスマッチはなかなかいびつな形になっているといえる。

あすから、お盆休みなのでブログはお休みします。
また16日から再開の予定です。
皆様楽しいお盆生活を。

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産地企業や製造加工業者は決して「善良なる弱者」ではない

10月から人気ドラマ「下町ロケット」の続編が始まる。
7月に発売された3巻が原作になっている。

初回ドラマは1巻と2巻を原作にしていたから、ドラマとしては二作目でも原作は三作目になる。

ちなみに、7月に3巻「下町ロケット ゴースト」が発売されたばかりなのに、また4巻「下町ロケット ヤタガラス」の発売も決まっている。
すごいハイペースで原作小説が執筆されている。

原作は池井戸潤さんで、「半沢直樹」以来ヒット作を連発しており、ドラマ化すればほとんどが高視聴率となる。
今年の1月に放送された「陸王」も池井戸潤さんの原作である。

大概は主人公はしがない立場の小規模工場経営者だったり、大手企業のサラリーマンだったりする。
その主人公が大手企業の妨害にあい、苦労しながらも最後は大逆転をする。
近年のヒット作はほとんどがこの黄金パターンで構成されている。
ヒットドラマの多くは勧善懲悪で、ヒットする理由は、往年の水戸黄門や遠山の金さんとまったく同じだ。
ドラマの方が原作よりも性善説ベースで描かれており勧善懲悪の色が強い。

舞台が江戸時代か現代かの違いしかない。

この池井戸ドラマに代表されるように、当方も含めて、多くの日本人は、零細・小規模企業はかわいそうな立場にあると思い込んでいる場合が多い。
池井戸ドラマは零細企業・中小企業を善良なる弱者として描かれている。
大手は悪辣で冷徹。これがステレオタイプというやつだろう。実にくだらない。

この世の中に「善良なる弱者」なんてほとんど存在しない。
弱者は存在するが弱者は必ずしも善良ではない。

もう1年ほど前になるが、ある知り合いの個人デザイナーが「ブランドを立ち上げた」と報告してきた。
大々的に起業しているわけではないから、どうやって製造の資金を調達したのだろうと思っていたが、これもまた小規模な縫製工場が製造に協力しれくれることになったようだ。

そうこうするうちに徐々に雲行きが変わってきた。

もともとは製造に協力し、製造の観点からアドバイスをくれるというはずの立場だった縫製工場の社長がだんだんと、デザインにも口を出すようになり、さらには自社ブランドとして売り出そうとするようになってきた。

この辺りから、当方は、その社長とは決別すべきだとアドバイスしていたのだが、デザイナー氏は踏ん切りがつかずにズルズルやっていた。

それが先日、その縫製工場の社長が「自社ブランドを始めました」という内容でメディアに掲載されていた。
デザイナー氏は「やられた」と嘆いていたが、後の祭りである。

とはいえ、そのデザイナー氏は提携を切るだろうから、次シーズンからそのブランドのデザインは大きく変わるはずだ。
そして立ち上がったばかりの無名ブランドがいきなり次シーズンからデザインが大きく変わることはリスクでしかない。

デザイナー氏はお人よしに過ぎたし、この縫製工場の社長も目先の利益に飛びつく短絡者でしかない。
狡く立ち回ったようでいて、実は大局観のない愚か者といえる。

ここに出てくるデザイナー氏も縫製工場も新ブランドも業界ではまったく無名であることを断っておく。

しかし、この事例を見てもわかるように小規模な縫製工場社長は決して「善良なる弱者」ではない。
弱者であるかもしれないが、決して善良ではない。

デザイナー氏はどちらかというと「善良なる弱者」といえるが、善良なる弱者では世の中から搾取されて終わる。

見方を変えれば、弱小縫製工場が生き残りのためになりふり構わず必死で工夫したといえなくもないが、立ち上がり次シーズンからデザインが大きく変更になるリスクを考えると、決して上手いやり方ではない。

実は衣料品業界にはこの手のことが掃いて捨てるほどある。

例えば、某大手縫製工場の年配の社長がいるが、実はその縫製工場を何十年も前に創業者一族を追い出して乗っ取ったという噂がある。
何十年も前のことなのでネットにも記録が残っていないが周辺の人からはいまだにその話がチラホラと出てくる。

一時期はシャツアパレル最大手といわれ、その後民事再生法を申請したトミヤアパレルだって、古い業界関係者は「パインシャツが名門のトミヤアパレルを乗っ取った」と話すことがある。
これは「華麗なる一族」よろしく、「小が大を飲み込んだ」合併だったようだ。

まあこんなことは氷山の一角である。

池井戸潤さんの小説やドラマのように、ついつい人は小規模工場や小規模企業を「善良なる弱者」を見てしまいがちである。
メディアも所詮人が報道するのだからそういう価値観に引きずられる。

昨今の産地企業や製造加工業に関する報道なんてそういう基調のものが多い。

しかし、実態は弱者といえどもそれなりの爪や牙を備えているし、生き残るためなら、自分よりも弱者を養分にすることだっていとわない。
まさに自然界の弱肉強食の摂理そのままである。

大型肉食獣に捕食されることもある小型肉食獣は、自分よりも小型の生物を捕食して生き延びるのである。

まあ、そんなわけで、産地企業も製造加工業も決して「善良なる弱者」ではないので、提携する個人デザイナーや個人業者、小規模業者はくれぐれも注意が必要である。
世の中に必要なのは性善説ではなく、性悪説であると改めて思う。

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そんなわけで「現代風時代劇」の「下町ロケット ゴースト」をどうぞ~

すべての段階を網羅しにくいのが繊維・衣料品業界

一口に衣料品業界と言っても、店頭販売員、デザイナー、パタンナー、生地問屋、生地工場、染色加工場、紡績、合繊メーカーなどさまざまな職業に別れている。

そして、各段階の人の多くは他段階のことをまるで知らない。
同じ業界に属しているのに、各人が持っている知識はまるで別物なのである。

これが衣料品業界、繊維業界の構造改革が一向に進まない理由の一つでもある。

例えば、先日ちょっと驚いたのだが、某大手衣料品ブランドのEC担当責任者が「ホールガーメント」を知らなかった。
この担当責任者はインポートアパレルで長年勤務し、そして大手衣料品ブランドに転職して今はEC責任者になっているのだが、それほどの人でも「ホールガーメント」についてはまったく知識を持ち合わせていない。

ZOZOで取沙汰されてからようやく「ホールガーメント」の名前だけを知ったという具合だ。

また、別の事例だと、これもたびたび登場する深地プリンス氏だが、ダウンジャケット類の生産リードタイムの長さを知らなかった。
Tシャツやカジュアルシャツなんかは特殊な生地を求めない限り、要はベーシック生地で良いのであれば、縫製工場のスペースさえあいていればすぐに期中生産できる。

ありもののベーシック生地を使えば恐らく3週間程度で店頭に納品することができる。

しかし、ダウンジャケット類の場合はそんなに簡単に期中生産はできない。
まず、何よりも原料の羽毛を押さえることが大変で、これはほとんど1年くらい前から押さえておく必要がある。

Tシャツやカジュアルシャツがありもののベーシック生地を使えば、クイックに生産できる理由は、それらの生地を生地問屋や商社が備蓄しているからである。
レザーも皮革問屋があるから、ベーシックなものでよければすぐに手配できる場合が多い。

しかし、業界には羽毛問屋は存在しない。

Tシャツ用の天竺生地が欲しければ、ミナミとかヤギとか瀧定名古屋とかそのあたりの生地問屋に行けば、ベーシックな生地なら備蓄から選ぶことができる。選んだらあとは縫製するだけということになる。

しかし、羽毛を専門に備蓄しているような羽毛問屋は国内業界には存在しない。

だから、期中で思い立ったとしても、2か月後にダウンジャケットを店頭投入することは物理的に不可能なのである。
まともに国内で作っているブランドは、ほぼ1年前から生産数量を固め、業者に頼んでその数量に見合うだけの羽毛を確保するのである。

ちなみに、ここ数年で国内ダウンジャケット工場として知名度をアップさせた滋賀のナンガダウンは、自社である程度、羽毛を備蓄しているそうである。

とはいえ、早めに欲しい数量を言っておかないと、ナンガダウンでも対応はできない。

カジュアルブランドでデザイナーをしている知り合いは、ほぼ1年前からダウンジャケット類の企画に取り掛かる。
店頭投入半年前の春ごろにはほとんど商品の製造の目途がついているという状態である。

深地プリンス氏も衣料品業界に携わって10数年が経過しているが、ダウンジャケット類のこういう製造サイクルを知らなかった。

とはいえ、20年以上この業界にいる当方だって、パターン(型紙)のことはさっぱりわからない。
またメンズスーツの細かいことや芯地のことなんていうのはさっぱりわからない。

以前にも書いたように、生地だって織物に詳しい人は、編み物(ニット類)のことはわからないし、編み物の人は織物のことにあまり詳しくない。

これほどに衣料品業界というのは、すべてを網羅することは難しく、実質は不可能ではないかと思う。

大手総合商社というのは縁のない人からすると何をやっているところなのかさっぱりわからない。当方だってあまりよくわかっていない。
一方、商社育ちの人は商社の業務内容と機能はよく知っているが、アパレル店の店頭作業のことはあまり知識がない。

最近、ネット通販で注目されているファッションテック系の人々は、製造や実店舗のオペレーションの知識がまるっきり欠けている場合がほとんどで、ZOZOの社長以下全員がパターンオーダーとフルオーダーの区別がつかないのはその典型だろう。
また、同じ型番のTシャツなのにメンズに40双糸天竺を使い、レディースに20単糸天竺を使うのも知識のなさが露わになっているといえる。

よく、ZOZOがイノベーションを起こしているという衣料品業界人やファッションテック系の人間がいるが、ZOZOが起こしているイノベーションは今のところは「ウェブを使った売り方」にだけイノベーションを起こしているに過ぎない。
製造段階や加工段階には何のイノベーションも起こしていない。

これはZOZOに限ったことではなく、ネット通販系が起こすイノベーションは現時点ではすべて「売り方のイノベーション」に過ぎない。

紡績・合繊メーカーから店頭までをすべて標準的に網羅している人がいるとするなら、その人は超人的で、そういう人がそれこそウェブを使って業界全体を俯瞰したシステムを構築してもらいたいと思う。

そういう超人が今後現れるのかどうか。そういう超人が現れない限りは、いつまでも小手先の売り方や小手先の作り方でイノベーションごっこを繰り返すだけで終わってしまうのが関の山だろう。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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猛暑ですがナンガダウンをどうぞ~

カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した話

先日、カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した。
オンワード樫山が開始した低価格パターンオーダースーツで、今は地域限定だが、採寸師が出張採寸してくれるというサービスだ。

いつもの深地雅也さんが予約をしたというので早速、見に行った。

その顛末はすでに深地さんがまとめている。よければご一読を。

KASHIYAMA the Smart Tailorの出張採寸が超便利な件

https://note.mu/fukaji/n/nf1604735f624

横で見学していた限りにおいては、通常のパターンオーダーの採寸と各種オプションで、極めて標準的なサービスに見えた。

当方も12年くらい前に一度、オンリーでパターンオーダースーツを作ってみたことがある。
また、先日は大手生地ブランドからの依頼で、東京と大阪のテーラーでパターンオーダースーツづくりの取材をした。

それらと比較してみても、まあ標準的なサービスだといえる。

ただ、パターンオーダーにつきものの基準となる「ゲージ服」の着用はなかった。
カシヤマのショップでなら「ゲージ服」を着用しての採寸もあるのではないかと思う。

価格はジャケットとパンツで

ウール50%・ポリエステル50%生地が3万円
ウール100%国産生地が4万円
インポート生地が5万円

となっている。

各種のオプションは

・袖口のボタンの数
・切羽にするかどうか
・裏地の色
・ベント(ノーベントかセンターベントかサイドベンツか)
・ジャケットの両脇のポケットの形
・胸ポケットの形
・パンツのタック(ノータックかワンタックかツータックか)
・ボタンの色と材質

くらいになる。

で、スーツはこれまであまり着たことがなかった深地さんを横で観察していたのだが、これらの各種オプションを選ぶのがちょっとめんどくさそうだったのが印象的だった。

スーツの好きな人、スーツに慣れている人なら、これらのオプションは標準的で、それを選ぶことが「楽しい」と感じる。
決してこのオプションは多すぎるとは思わない。

しかし、慣れない人にとっては、これらのオプションを選ぶことはけっこう面倒に感じる場合があるということを初めて知った。

もしかすると、スーツ慣れしていない人やスーツに詳しくない人に対しては、もっと提案機能を持たせた方が顧客満足度が高くなるのではないかと思った。

来店した客を「スーツ慣れした人」か「スーツ慣れしていない人」か見分けるのがなかなか難しいが、何らかの方法で見分けて、それによってスーツ慣れしていない客にはもっと積極的に提案した方が良いのかもしれない。

カシヤマの採寸師の方は、決して投げっぱなしというわけではなかったが、お客の要望に合わせるというスタンスだった。
当方ならそういうスタンスの接客で十分なのだが、慣れていない人にとっては、逆にそちらがサジェスチョンしてほしいと思うようだった。

それとその時に採寸師の方からいろいろとお聞きしたことが興味深かったのが、おもにこのパターンオーダー事業の業績に関することだった。

中国の大連にすでに専用の縫製工場を作っており、第二工場ももうすぐ稼働し、第三工場も建設することが決まっているという。
最近のOEM丸投げアパレルの水準からすると1つでも工場を作るというのがすごいが、まあ1つくらいならわからないではない。
しかし、事業がスタートしたばかりでもう第三工場まで作ることが決まっているというのは、相当に売れ行きが好調なのだろう。

1日あたりの売れ行きを尋ねてみると、「だいたい毎日800着」だという。
これは予想外にすごい数字ではないか。

客単価3万円としても1日に3万×800着で2400万円の売上高になる。
1か月だと2400万円×30日で7億2000万円となる。

このペースで1年が経過したと仮定すると、7億2000万円×12か月で86億4000万円の売上高となる。

深地さんは、客単価4万円で計算しているが、4万円だとだいたい115億円強の売上高となる。

実際の売上高はこの86億と115億円の間ということになるのではないか。

しかし、それにしても事業開始と同時に縫製工場を作るというのは、さすがは老舗アパレルであるオンワード樫山だといえる。

もちろん老舗アパレルだってOEMやODMに丸投げするのは珍しくないが、このオーダースーツ事業に関しては、製造の段階から自社で用意しており、その力の入れ具合がわかる。
物作りをどうするかということを最初から考えるのは、さすがは老舗アパレルで、泥縄式に製造関係者を募集しているZOZOとは姿勢がまるで異なっている。

話は少し戻るが、スーツに慣れていない人・初心者をターゲットにした、「なるべく選ぶオプションが少ないパターンオーダー」というのも考えてみてはどうだろうか。

極言すれば「標準服」のサイズを修正するだけである。

そのキモとなる「標準服」のデザインやシルエットはよほど魅力的なものにする必要がある。
選ぶことに慣れていない人にとっては、選択肢を制限する、もしくは無くすことが最高のサービスになる。

逆説的だが、顧客サービスとは、たくさんの中から選ぶようにしてあげることばかりではないということである。

10何種類もシルエットが存在するジーンズ専業メーカーのジーンズよりも、4種類くらいしかシルエットのないユニクロや無印良品のジーンズの方が売れていることを考えてみても、選択肢を制限することが対象によっては、顧客サービスになり得るということがわかるのではないだろうか。

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8月1日から始まった、はるやまの新パターンオーダー、イージーセレクトもどうぞ
今度試してレポートしてみようかな?

ブランドロゴ入りのTシャツは意外と売りやすいアイテム

8月4日の土曜日、ビッグジョン大阪店のプレオープンにお邪魔した。

ジーンズメーカーのビッグジョンが、直営の大阪店を出店した。
今回は、8月5日に東京と大阪の同時オープンだという。

東京店は東京支社と併設で9坪の小さな店だが、大阪店は40坪の面積がある。
しかし、ビッグジョンとしてはとりあえず1年間の挑戦と位置付けており、ダメだった場合、1年間で撤退する。
売れ行きが良ければ、2年目が始まるということになる。

これに先駆けて、エドウインも堀江に大阪店をオープンした。

ジーンズメーカーもようやく直営店出店に積極的になり始めたといえる。

もちろん、これまでもエドウインもビッグジョンも直営店は出店していたが、これまで成功しないままに今に至っており、両社とも何度目かの仕切り直しだといえる。

ビッグジョンが今回、直営店出店に改めて積極的になったのは、岡山・児島の大型直営店が好調だからだとのことだ。

これまで何度か直営店を出店してきたが、いずれも長続きしていない。
長続きしていないということは、売上高が厳しかったということだろう。
売れていれば続けている。

これはエドウインとて同じだ。
売れ行きが悪かったから直営店が減ったのである。

これまで失敗続きだった直営店だが、児島店で好成績となったことからビッグジョンは自信を取り戻したのだろうと思う。

これに先駆けて、ビッグジョンとアダム・エ・ロペとのコラボ商品発売も始まった。

ムードだけでいうなら、ビッグジョンは少し上昇する兆しが出てきたのではないかと感じる。

これまでビッグジョンは、アダム・エ・ロペみたいな「イケてる」セレクトショップやブランドとコラボはあまりなかった(少しはあったが)し、それがウェブメディアに大きく載ることはなかった。今回はファッションスナップドットコムが掲載している。
それはなぜかというと、ブランド側もメディア側も「専業ジーンズメーカーはダサい」と思っていたからだ。これは当方の妄想ではない。はっきりと何度も目の前でそう言い切られた。

そのことから考えると、少しムードは好転しつつあるのではないかと感じられる。

背景には、大手有名各店はメジャーブランドをこぞって扱っており、同質化が進んでいたことが挙げられる。同質化を小手先の別注品番やらコラボ商品で凌いでいたにすぎず、同質化を回避するためにマイナーブランドを取り入れたいという各社の意向が働いているのではないかと考えられる。

とはいえ、このチャンスをぜひモノにしてもらいたいと願わずにはいられない。

両社の店舗は当たり前だが、ジーンズがほとんどで、ジーンズがメインに見えている。

しかし、ボトムスというのは売れにくい。
なぜかというと、どこかで教えてもらったのだが、だいたいの人は、パンツ1本に対してトップス3~5種類を着まわすのだそうだ。

例えば、ビッグジョンのワンウォッシュのスキニージーンズを1本買ったとする。
これに対して3種類~5種類くらいのトップスを着まわす人が多いらしい。
自分で考えてみてもそうで、トップスの所有数に比べるとズボンの所有数は少ない。
一つのジーンズに対して、いろいろなTシャツ、いろいろなポロシャツ、セーターなどを着まわす。

そうするとトップスほどズボンは売れないということになる。
売れる枚数はトップスより絶対的に少ない。

だからパンツ専門店はなかなか成立しにくい。

ハニーズのパンツ専門の新業態「パンツワールド」もあっという間にひっそりとなくなってしまった。

エドウインにしろビッグジョンにしろ、ジーンズが主力商品なのでどうしてもパンツ主体の店になってしまう。
今更、この2社にトータルアイテムを作れと言ったところで、不良在庫を増やしてお終いになるだろう。

しかし、どんなブランドでも作りやすくて効果的なトップスアイテムが一つある。

ブランドのロゴ入りTシャツである。

これはある人に指摘されて気が付いたのだが、ブランドのロゴ入りTシャツというのはすごく売れやすいのだそうだ。
そのショップなりブランドのファンなら、ロゴ入りTシャツは買ってしまう商品なのだという。
おまけにジーンズやジャケットに比べると、Tシャツは安いからこれまた買いやすい。

だから、その人は、あるブランドに対して「比較的低価格のロゴ入りTシャツを作ればいい」と提案していた。

ところがブランド側は「俺たちダサいから」とか「俺たちのロゴ入りTシャツなんて誰が欲しいの?」と否定的になりがちだが、そのブランドの愛用者なら、ロゴ入りTシャツを買うことには抵抗はほとんどない。むしろ喜んで買うくらいではないかと思う。

だからエドウインとビッグジョンのショップももっとロゴ入りTシャツを全面的に打ち出して売れば良いのではないかと思う。
値段はジーンズより安くて買いやすいし、ちょうど今は夏だから半袖のTシャツは売りやすいし、売れやすい。

先日、ZOZOとしまむらのコラボTシャツがZOZOで売り出された。
シュプリームを丸パクリしたデザインと「しまむら」という平仮名のロゴが絶妙にダサかった。
値段もしまむらではあり得ないほど高い値段設定で2160円だった。
ダサい上に高いなんてTシャツを誰が買うのかと思ったが初日に完売していた。
完売といっても、製造関係者によると初回は、たった600枚投入しただけだということで、まあ、個人的にはあんなのを2000円も払って買いたいとは思わないから、最初から1万枚とか2万枚を用意しても売れ残っただろうと思っている。

まあ、それはさておき、あんなのでもそれなりに売れるのだから、エドウインやビッグジョンのロゴ入りTシャツもそれなりに売れるだろう。
何より、エドウインのグループ会社である、LEEのロゴ入りTシャツは売れているではないか。

また、あんなにクソダサいチャンピオンのロゴ入りTシャツだって売れているじゃないか。

ということは、ブランドロゴのデザインが少々ダサくても売れやすいということである。

そんなわけで、もう少し両店ともブランドロゴ入りTシャツを目立つように陳列して販売してみてはどうか。

また、売れ行きが鈍いブランドやショップは、自ブランドのロゴ入りTシャツの発売を検討してみてはどうか。その店を利用しているファンからするとブランドロゴ入りTシャツというのは絶対に欲しいアイテムの一つだからだ。

業界人の嗜好とお客の嗜好はちょっと違っていることが多く、ブランドロゴ入りTシャツに関する嗜好もその一つといえるのではないか。

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エドウインのロゴ入りTシャツをどうぞ~

洋服の製造を完全受注生産にしても廃棄問題・売れ残り問題はなくならない

洋服の廃棄が話題になっているが、なぜか「焼却」という言葉が頻繁につかわれているが、洋服が生地だけで作られているなら焼却も可能だろうが、付属や副資材が使われているから焼却は無理で、産業廃棄物として処理される。
もしかして「償却」という言葉を聞いて「焼却」と変換されてしまったのだろうか。

それ以外に、日本には何十年も前から「バッタ屋」という職種があり、さまざまなブランドの在庫品を安く仕入れてきて安く売る。
当方が手伝っているラック・ドゥもその一つだし、大手メディアでときどき取り上げられるショーイチもその一つだ。
ジーンズメイトも創業当時はジーンズ関連のバッタ屋だったといわれている。
それ以外にもそういう業者は数えきれないほど存在する。
実際、当方は、違うバッタ屋何軒かで何度か買い物をしたことがある。

http://doluck.jp/

 

本当にさまざまなブランドの不良在庫品がバッタ市場には流れてくる。
アーバンリサーチ、タケオキクチ、ユナイテッドアローズという錚々たるブランドの不良在庫品もバッタ屋の店頭で見たことがあるし、世間的には安売りで知られ、最後の一枚まで売り切ると思われているしまむらの在庫品もバッタ屋の店頭で見たことがある。
しまむらの値札は1500円だったが、バッタ屋はそれを590円に値下げして販売して無事完売していた。
中には大手セレクトショップや有名ブランドのサンプル品もバッタ屋に流れてくる。

産廃として処分するのと、バッタ屋に安値で払い下げるという2通りの処分方法があるのだが、どちらにもメリットとデメリットが存在する。

産廃として処理されるのメリットは、安売り市場に出回らないのでブランド価値が維持できる。
デメリットは、産廃処理費用がかかるということと、近年注目されているサスティナビリティとエシカルに反するというところである。
ちなみに個人的には過剰なサスティナビリティも過剰なエシカルもあまり好きではない。

バッタ屋に払い下げたときのデメリットは、産廃だと金を払わないといけないのに、バッタ屋だと少額とはいえ金をもらえる点にある。
デメリットは、ブランド価値が大きく毀損する点である。

そういえば、今年7月上旬に、天満のバッタ屋でアースミュージック&エコロジーのサンダルが399円で売られていて、その3週間後くらいに訪れた際、299円に値引きされていた。今でも何足か残ってて売られているはずだ。

 

どちらの処分方法を選ぶのかは、経営者判断にならざるを得ない。
ブランド価値を維持するのか、目先の少額な現金を取るのか、である。

売れ残り品の処分をしなくて済むようにするなら、過剰供給はやめねばならない。
その一つの方法としてオーダーメードのような受注生産が注目されている。

じゃあ、それで解決でめでたしめでたしとはならない。

洋服を作るための生地、裏地、芯地、ボタン、ファスナー、織りネームなどは常に大量生産され続けている。

そしてそれらをメーカーや問屋が大量に備蓄しているのである。

例えば、タレントが思い付きでブランドを開始するときに、どうしてすぐに商品が作れるのかというと、洋服を作るためのそれら材料がメーカーや問屋にたっぷり備蓄されているからである。

小規模ブランドや小規模デザイナーズブランドがいとも簡単に直近で商品を作ることができるのは、それらの材料がメーカーや問屋にたっぷり備蓄されているからである。

そして需要が少なくなれば、備蓄されていて動きの悪い商材は廃棄されるかこれまた材料のバッタ屋に二束三文で売り飛ばされることになる。

エドウインの本社がある西日暮里には1メートル100円くらいの安い生地を売っている店が何軒もあるが、あれらはそういう材料のバッタ屋なのである。

洋服製造の部分だけをオーダーメードや受注生産に切り替えたところで廃棄ないし安売りはなくならず、材料段階でそれが行われるだけのことであり、さらにいえば、いつでも生地が織れる・編めるように、糸も大量に備蓄されているし、糸の元となる原料も大量に備蓄されている。

これが事実であり、そこまでを解決するとなるとどれほどの費用やシステムの構築が必要になるのか想像もできない。

じゃあ、どうして、そういう生産しかできないのかというと、各段階で採算ベースに乗る「経済ロット」というものがあるからだ。

その一端はこのブログに詳しい。編み生地の場合がわかりやすく説明されている。

ロットと在庫とわたし

http://www.ulcloworks.net/posts/4611965

しかし、生地商社さんは各色のバランスを生産コストを一律にしてストックしておく必要があるため一色辺りの経済ロットで生産して在庫を持つことになる。

染色の経済ロットは染色工場によって様々だが、概ね6反/色というのがある程度の規模の工場が提示している経済ロットである。
なのでこれ以下の数量に関しては加工賃にチャージアップなどの経費が加算されるので基本的にはこの経済ロットに応じて加工していることが多い。

一つの生地品番あたり、染色ロットが満たせても、色数が少なければ編みの経済ロットをクリアすることができない可能性がある。
無地編みの場合、生機(染色前の生地)の経済ロットは生地組織によるが基本的には「糸ひと立て分」が提示されるケースが多い。
「糸ひと立て分」とは、編み機のフィーダーと呼ばれる糸を送り込む糸口の数に合わせて糸を買うロットのことを意味するので生地によるのだが、わかりやすくするために例として今回は一般的な量産型の30インチ28ゲージという編機を利用した天竺という生地を編む場合で話を進めていく。

30インチ28ゲージ天竺の機械のフィーダーは高速機なら国内はほとんどが90口である。
つまり「糸ひと立て分」は糸90本分ということになる。
糸は分割といって小割して使うこともできるが、このひと立て分という意味の中に分割してという言葉は付かない。
糸は綿糸の場合1本1.875kgが中心で、糸ひと立て分は90口x1.875kg=168.75kg(30/1天竺40m巻き1反がだいたい11kgくらいなので15反とちょっと)が編みの経済ロットという認識になる。

ところが、綿糸は90本という綺麗な数字で買うことができない。
1ケースという単位で買い取る必要があり、1ケースは12本入りの22.5kgが糸を買う際の最小ロットになる。
90本揃えなければならないので90口÷12本=7.5ケース。そして糸は半端ケースで買えないため切り上げ8ケースという量の糸を買うことになる。
8ケース×22.5kg/ケース÷11kg/反=16反と余り糸4kgが編みの経済ロットになる。

これと、先程の染色ロットの最小公倍数がいわゆる経済ロットということになる。
色数はストック生地を販売していく上で2色展開などではあまりにも寂しいので、4-6色が少なくとも容易されている。
そして一色6反以上×色数でアソートを組んで編みの経済ロットと染色ロットの最小公倍数を探していくのである。
例として単純に全部の色が6反の加工をするとした場合、染め6反と編み16反の最小公倍数は48反編んで8色染めるのが答えになる。

アパレルメーカーさんに別注の生地提案をして一色6反染めて編みで48反という注文をもらうのは簡単ではない。
なのでニッター編工場は生地問屋めがけて営業をかけたほうが工場稼働をまもりやすい。

しかしこうした経済ロットをクリアして積み込まれた在庫をキレイに売り捌くのは非常に難しい。必ず売れ残りの在庫が出る。
こうしたものがバッタ屋などに破格で流通していくことになる。生地の世界でもこのようなことはザラである。

ちょっと長いが読んでいただければ、生地作りの数量問題の一端が理解できる。

編みの場合は、重さ(㎏)が基本となっているが、織りの場合は、長さ(メートル)が基本となる。
これは生地の場合だが、ほかの付属や副資材、織りネームなども同様の理屈で「経済ロット」が求められる。

廃棄問題に心を痛めるのは個人の自由だが、ここの部分を変えない限りは廃棄問題はなくならない。
そしてそれを変えるには膨大な費用と膨大な手間がかかる。綺麗事のスローガンを念仏のように唱えるだけでは何も変わらないし、変えられない。

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バッタ屋の小説があったよ~

低価格ブランドが売れているのは「価格」だけが評価されているのではない

インターネット、とりわけブログも含めたSNSが普及したことによっていろんな人が意見を発信することができるようになった。
デメリットもあるがメリットも大きく、当方もいろいろとデメリットを感じることもあったが、何とか生きていられるのもSNSの普及によるところが大きい。

で、様々なファッション業界人(あえて衣料品業界とはいわない)の発信を見ていると、「ズレ」てるなあと感じることが多い。

その多くはやっぱり自分たちの飯のタネに直結する「商品価格」のことである。
中には被害妄想ではないのかと思う人も少なからず見かけられて辟易させられる。

よくある論調として

「ユニクロなどの低価格ブランドが持て囃されているが、高い服を着ることで精神がウンタラカンタラ」(うざっ)

というものである。

もちろん、バブル崩壊以降の可処分所得の低下・伸び悩みによって、バブル期以前のような高価格な洋服が売れにくくなった。

バブル崩壊直後の93年とか94年には、このケチな当方でさえ、10万円のスーツが6万円に値引きされたのを買っていたのである。
その理由は、何度も書いているが、低価格店にそういうデザインのスーツがなかったからである。

もちろん当時は今より平均的な可処分所得は多かった。
しかし、似たように見える商品があったら間違いなくそちらで買っていた人は多かっただろう。

何度も書くが、93年当時に黒い無地のスーツは、DCブランド系の店にしか売ってなかったのである。
ロードサイドの青山、はるやまには黒無地スーツは略礼服しかなかった。

DCブランドならセールで6万円だが、もし、青山やはるやまに売っていたら定価でも3万~4万円くらいだっただろうし、バーゲンになればそこからさらに2割か3割は安くなっただろう。

だから、もし、当時、黒い無地のスーツが青山やはるやまにあればそちらで買うという人が多かっただろう。

ない物は買えないから、高いDCブランド系で買うしかない。
それだけのことだ。

これはスーツに限らず、Tシャツしかりジーンズしかりドレスしかりである。

元嫁は93年当時、今は亡きビバユーというサンエーインターナショナルのブランドの服を高値で買っていた。
生地はいわゆるスーツっぽいウールまたはウール混で、モスグリーンのロングベストだった。
モスグリーンというだけですでにイズミヤやジャスコには売ってなかったのだが、襟(ラペル)の形状が変わっていて、雲形定規で切り抜いたような丸いグニャグニャした形状をしていた。

グリーンでグニャグニャした形の襟のついたベストなので、当方は「昆布ベスト」と呼んでいた。

昆布ベストのイメージ画
自分で書いたので下手くそご容赦

 

そんな変な襟の形をしたベストはイズミヤにもジャスコにも売っていなかったから、それが欲しければ、高値でビバユーで買うしかなかった。
それだけのことだ。

上の論調のようなファッション業界人は、当方より若い人が多いが、20年前の売り場を見ていない、もしくは記憶が薄いからそういうことをいうのだろうが、ユニクロなり無印良品なりジーユーなり、その他低価格ブランドが売れているのは「価格」だけでは決してない。
百貨店納入ブランドが売れないのは、消費者の意識が低いからでは決してない。

今、黒い無地のスーツといった場合、素材や縫製の品質の良し悪しを除くと、どこでも買える。
ユニクロの「感動ジャケット」+「感動パンツ」だって黒無地のセットがあって、定価で1万円くらいで買える。

25年前なら、低価格品は色や柄は同じでも形がおかしかったり、素材の表面感が違ったりしたが、今の低価格ブランドはそこもそれほど差はない。

だったら、服マニアや服オタクみたいな人以外はそちらで買うのが当然だろう。
6万円と1万円じゃ、見た目にほとんど差がなければ1万円の商品をマスは買う。

黒い無地のスーツに限らず、セーターしかりジーンズしかりである。
昔のイズミヤやジャスコの平場に並んでいた低価格ジーンズはクソダサかった。2010年ごろまでのユニクロのジーンズもクソダサかった。
それが細かい差異はあるにせよ、今ではほとんど見た目がジーンズブランドと変わらなくなっている。
それでいて値段は最低でも2倍はちがうのだから、安い方がマスに売れるのは当たり前である。

被害妄想丸出しの自称ファッションクラスタあたりは、消費者心理や世の中の風潮を責める前に、低価格ブランドと見た目の区別がつかない物しか作れなくなった百貨店アパレルを責めるべきである。

そして「価格」問題以前に、低価格品の見た目が良くなったことを飲み込まないと、売れる商品なんて永遠に作れない。
もう「日本製だから」とか「職人がナンタラ」とかそんなありきたりな文言だけでは高い衣料品なんて売れない。

昨日も取り上げたが、ブルーモンスタークロージングのジーンズは、カイハラのデニム生地を使って3000円台とか4000円台で発売している。

高い服が売りたいなら、「昆布ベスト」みたいに明らかに「見た目から違う服」を作り、それの値打ちを響くように伝える必要がある。
先日取り上げた6000円のデザインタンクトップが良い例である。

上手く見せて伝えることができれば、たかがタンクトップに6000円払う人が少なくとも毎月100人は存在する。
年間にすればのべ1200人が買うことになる。

下手をすると、半場不振にチビって安全パイばかりの百貨店ブランドよりも、ユニクロのデザイナーコラボの方がよほどデザイン性の高い服になっている。おまけに価格は安い。
左右で切り替えられたボーダー柄Tシャツなんていう「デザイン物」はユニクロにしかなかったりする。(今夏のアンダーソンコラボ)

990円に値下がりしたときに買ったユニクロアンダーソンのボーダー柄Tシャツ 今は500円に値下がりしている

商品を「価格」だけで切り取って、上から目線のピントの外れた啓蒙活動を行っているから、ファッション業界人は一般人から理解されないのである。
そういうピントの外れた啓蒙活動がカルト的な小規模集団になることはあってもカルトは所詮カルトでマスにはなれない。

それにしてももう一回、どこかのブランドで「昆布ベスト」発売しないかな。(笑)

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

 

【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
ぜひともご参加を。詳細は以下のURLで。
お申込みお待ちしています。
https://eventon.jp/13683/

 

雲形定規をどうぞ~

今、ビバユーはバッグしかやってないね~

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