素材
「本格的天然生地の良さ」がマス層に評価されにくいと考えられる理由
2024年3月5日 素材 0
以前から何度も書いているが、ウールのセーターが好きで結構な枚数を持っている。 20年くらい前の物も残していてたまに着用している。ボイコットのウールニットベストなんていう懐かしい物もいまだに残している。 2月も終わったので今冬の気候を総括すると、基本的に暖冬だったが時々短期間大寒波が襲来し、寒暖の差が激しい冬だったといえるだろう。 先日の寒波で、暖房をほとんど
大手紡績が消費者に役立つ素材開発の姿勢へシフトしている
2023年9月21日 素材 1
糸でも生地でもメーカーの展示会や工場にお邪魔すると、知らない事だらけで勉強させてもらうことばかりである。 ただ、ともすると「技術論」に終始することがあり、それはそれで勉強になり興味深いのだが、製品化を担当するブランドやひいては消費者には伝わりにくいというきらいがある。 もちろん、その「技術論」に終始する姿勢こそが物作りを支えている長所であることは間違いないが
いつでもどこでも誰でも全く同じ生地を製造できるわけではないという話
2023年7月10日 素材 3
皆さんこんにちは!USです。 今回は最近よく感じることを書こうと思います。 世の中には継続的に生産され、流通している物がたくさんあります。 もちろん繊維業界でも定番的にずっと売り続けている物はあり、服はもちろん、生地、糸、ボタン、ファスナー、芯地に至るまで多くのメーカーが定番品番として継続して販売を続けている物があります。 &nb
繊維の製造加工業者が陥りやすい「尖った物」を開発し続ける無限ループ
2023年6月13日 素材 1
繊維の製造加工業者とは比較的面識のある方だと自負しているが、製造加工業者の言うところの「良い物」が、必ずしも製品化したときに効果を発揮するとも限らないし、消費者に評価されるとも限らないということはもっと業界の川上から川下まで認識した方が良いと思っている。 その辺りのことを改めてまとめているのが、いつもの山本晴邦さんのこのブログである。 誰得。 | ulclo
風合いが良いだけの上質素材はマニア層以外には売れにくいという話
2023年6月6日 素材 9
繊維で言うところの「高品質」という言葉にはさまざま複数の意味があるのでなかなか理解されるのが難しい。 丈夫で長持ちというのも「高品質」だし、つややかで滑らかというのも「高品質」である。また、繊細な生地も「高品質」である。 ただし、全ての意味が同時存在することはできない。平たく言うと、繊細な生地と丈夫で長持ちする生地は物理的に両立不可能である。 なので一概に「
ユニクロやジーユーと同じ素材を使っても同じ売れ行きにはならないということがわからない残念な大手アパレルのお話
2023年4月24日 素材 0
衣料品というものは他社の商品を模倣しやすいという特性がある。 商品は何だって模倣しやすいものではあるが、機械類だと見た目を真似られても性能は真似ることができないことも多い。衣料品は見た目だけで売れる場合があるので機械類よりは模倣しやすいが避けようがない。 一方、衣料品という商品は、その時々のトレンド(流行)というものが売れ行きに密接にかかわっており、その「ト
再生ポリエステル糸の需要増加で起きる本末転倒
2023年4月7日 素材 2
以前から業界内では噂になっていたが、ついに記事として取り上げられた。 繊研新聞のこの姿勢は評価をすべきだろう。繊維ニュースを除くその他の業界メディアではこうは行かない。 再生ポリエステル原料が調達困難に 飲料ボトル用との取り合いさらに | 繊研新聞 (senken.co.jp) リサイクルポリエステル繊維の原料となる国内の回収ペットボトルが今後
ユニクロの洋服が長持ちしないという人が多い理由を考えてみた
2023年4月3日 素材 5
洋服の傷み具合は、着用回数×洗濯回数に比例して速くなる。 だから、着る回数が多く洗濯する回数が多ければ洋服の傷みは速い。逆にほとんど着用せず、着用しないから洗濯する必要もない洋服はなかなか傷まない。 これは洋服の値段の高低には関係なく、等しいものである。物は何でも使い続ければいずれは破損する。 低価格衣料品にはさまざまなブランドが存在しているの
床革を使用したドライビングシューズに見るワークマンの巧妙さ
2023年3月23日 素材 3
各分野には昔から使われてきた「専門用語」が存在する。 ごく細かい差異で使う専門用語が異なることは普通にある。専門外の人間からすれば「使い分けなんてめんどくせーな。同じでええやんけ」となるが、わざわざ呼び名を変えているのはそれなりの存在意義があるからである。 ゆとり教育とか言われ始めたころの一時期、円周率3・14を3にして教えるとかいう意味のわからない取り組み