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南充浩 オフィシャルブログ

「なんちゃってダウンジャケット」が増えすぎたため「ダウン表記の厳格化」を実現してもらいたい

2024年10月3日 素材 0

今秋冬シーズンの天候予報では

1、10月末までは高温傾向

2、11月は冷え込む日がありそう

3、12月は年末に向けてドンドン冷え込む

4、来年1月半ばまでは寒く、それ以降気温上昇

と予測されている。

 

実際、本日・明日は雨で涼しいが、それまで連日最高気温は30度前後あったから、10月は高温傾向で終わるという予想はほぼ的中するだろう。

問題は11月以降だがこの予報が的中するとなると、11月の冷え込む日(いつごろかはまだ不明)以降、来年1月半ばまでは久しぶりに各社の防寒アウター、防寒着類(分厚いセーターなど)が活発に動きそうだ。

そうなると、防寒アウターの一つであるダウンジャケット類の売れ行きも期待できそうだ。

 

 

ダウンジャケット類の生産仕込みは一般の人が予想するよりもはるかに早期に終了しており、だいたいざっくり5月か6月には終了している。

そのため、今からダウンジャケットの追加生産というのはほとんどのメーカー、ブランドは不可能である。一方、ダウンジャケットに似た中綿ジャケット類は年々各社からの展開が増えており、機能性中綿素材の開発も積極的である。

先日もミズノが新しい機能性中綿「テックフィルサーモブレス」を発表していた。

“ダウンを超える” ミズノの機能性中綿「テックフィルサーモブレス」開発の狙いを聞く (fashionsnap.com)

吸湿発熱合成繊維「サーモブレス」とコイル状の特殊ポリエステルをブレンドして不織布シートとした極薄中綿を積層してジャケットの詰め物にするという手法を取る。

 

 

ダウンよりも機能的な部分はどこかというと、水でびしょ濡れになっても中綿の暖かさが保たれるところで、ダウンはびしょ濡れになると乾くまでの間、保温力をほとんど失ってしまう。

この1点において、テックフィルサーモブレスはダウンより機能的だといえる。

 

 

これ以外にも各社から様々な機能性中綿防寒アウターが発表されているが、各社が機能性中綿を強化する理由は

1、ダウン原料の高騰が続いている

2、動物愛護の観点

3、機能性中綿の方が供給量が安定しやすい

という3点が大きいと当方は考えている。

 

特に深刻なのは1のダウン原料の高騰ではないかと思う。

以前にも書いたが、これまでユニクロ、無印良品、ジーユーなどで見られた「低価格ダウンジャケット」はほぼ店頭から姿を消している。

ジーユーの店頭からダウンが完全に姿を消してすでに久しい。

ユニクロはインナーダウンベストが廃止になり、ヒートテック中綿ベストに代わっている。ウルトラライトダウンジャケットは6990円に値上がりしている。

無印良品は現時点ではインナーダウンベストとインナーダウンジャケットのみ継続しており、厚手の防寒ブルゾンはダウンではなく中綿に代わっている。

ちなみに無印良品のインナーダウンジャケットの定価は5990円なのでユニクロよりも1000円安い。インナーダウンジャケットが欲しい人は無印良品で買う方がお得である。

 

 

これらの現象がなぜ起きたのかというと、ダウン原料の高騰によるところが大きい。基本的には店頭販売価格1万円を下回るダウン衣料の製造は難しくなっていると考えられる。

現在、市場に残っている主要な商品は、無印のインナーダウンベスト(3990円)、タイオンのインナーダウンベスト(4290円)、無印のインナー軽量ダウンジャケット(5990円)、ユニクロのウルトラライトダウンジャケット(6990円)、タイオンのインナーダウンジャケット(7000円台)くらいだろう。

その一方で、1万円未満から1万円台前半の中綿防寒アウター類は、ジーユーやアダストリア、ハニーズなどの低価格ブランドから数多く発売されている。

店頭販売価格を抑えようとするとダウン原料では割に合わないということだろう。そして、今後もダウン原料が大きく値下がりすることは考えにくいため、恐らくは2万円台前半くらいまでの商品のほとんどは将来的に機能性中綿に代わるのではないかと思っている。

 

 

今後さらに機能性中綿ジャケットが増えると推測されるのだが、必然的に消費者の優良誤認を狙った「ダウン表記」が増えると当方は考えている。世の中は性悪説で捉える必要がある。

以前、何度かご紹介したように「レザー」「皮革」表記が厳格化された。動物(鳥、魚類含む)原料の物以外はレザー、皮革と表記することはできなくなった。どうしてこのような厳格化がなされたのかというと、優良誤認を狙ってか、合成皮革なのに皮革、レザーと表記している商品が急増したからだ。Amazonや楽天にはそんな嘘つき商品が溢れている。ネット通販というのは出品者側の表記を信じるしかないため、このような嘘表記は詐欺にも等しいといえる。

 

そして、個人的には機能性中綿アウターが増えるに従って、嘘のダウン表記も比例的に増えるのではないかと推測している。現時点でもすでに「ファイバーダウン」とか「テックダウン」とか意味不明の謎表記の商品がネット通販には溢れている。

おまけにメディアもクリック数狙いなのかこんな意味不明の見出しの記事を平気で掲載する始末である。

羽毛を使わないダウンジャケットの衝撃!住友金属鉱山の「SOLAMENT®」が描く洋服の未来とは | Fashion Tech News (zozo.com)

羽毛を使わないダウンジャケットなら「単なるジャケット」だろうが。アホなのか。

 

 

必ずレザーのような混乱が引き起こされるだろう(もうすでに一部では起きている)から、レザー同様に「ダウン表記の厳格化」を求めたい。

この点においてはユニクロ、ジーユーの姿勢は流石で「パデッド」とか「キルティング」としか表記していない。「パファー」と表記しているブランドもある。

このように自ら厳格に表記をしているブランドが不利にならないようにするためにも、レザーと同様にダウン表記の厳格化を切に望む。

 

 

 

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