
ファッション専門学生からも支持を集めるセカンドストリート
2024年10月4日 売り場探訪 0
以前から書いているように手持ちの服の7割くらいはユニクロ、ジーユ―になっている。2019年くらいまでだとベーシックなユニクロとアクセントカラーとなるジーユーという使い分けができたが、2020年以降のジーユーは特にメンズは色数が絞られ、ベーシックカラーに限定されるようになった。だいたいが黒、白、グレーでそこに紺かベージュ、オリーブが加わる程度で、たまに1色だけパープルかピンクが差し込まれる程度である。
必然的に、色でいうとジーユーもベーシック品ばかりになり、手持ちの服はほとんどが黒かグレー、紺、たまにオリーブという状態になってしまった。
ドットエスティとアーバンリサーチでも毎月買っているが、メンズ服の色展開はやっぱりベーシックに偏りがちなのでどのブランドなのか見分けのつかない黒、グレーの服ばかりという状態になっている。
こうなると、たまには違ったテイストや色柄の服も1枚くらいは欲しいなと思ってしまう。このあたりは職業病なのだろう。
ただ、店頭やネット通販の値下がり品を見ていると、パープルやピンク、明るいグリーン、黄色などのアクセントカラーっぽいものが多いので、やっぱりベーシックカラーに比べると売れ行きが鈍く、ロス率や値引き率などを考慮するとベーシックカラー重視に、経営的にはならざるを得ないと考えられる。
洋服への渇望感が今よりも格段に高かったバブル期や高度経済成長期に比べると、現在は経営効率と面白さのバランスを両立させることは難しさを増していると感じられる。
さて、繊研新聞に興味深いアンケート記事が掲載された。
双葉通信社、文化服装学院と協業 学生に消費や情報媒体に関するアンケート調査 | 繊研新聞 (senken.co.jp)
双葉通信社は文化服装学院と協業し、同校の学生に、ファッションの消費や情報媒体に関するアンケート調査を行った。両者による共同アンケートは4回目。回答者は874人で、18~21歳が約8割を占め、ファッションが好きなZ世代の嗜好(しこう)や行動が分かる内容となった。
「今年、購入したファッションブランドやショップ」は、1位「ザラ」、2位「ユニクロ」、4位「ジーユー」、7位「H&M」などのSPA(製造小売業)に交じり、リユース店「セカンドストリート」が3位に入った。低価格なブランドや業態が上位を占めた。
とのことで、東京の文化服装学院の生徒874人へのアンケート調査で、「今年購入したブランドやショップ」は
1位 ザラ
2位 ユニクロ
3位 セカンドストリート
4位 ジーユー
5位 ヴィヴィアンウエストウッド
6位 アディダス
7位 H&M
8位 コム・デ・ギャルソン ディーゼル
10位 ジーナシス
となっている。
顕著なのが、上位を低価格ブランドで占めているという状況である。
よくわからない識者(自称含む)が「インフレでユニクロも高すぎて買えないブランドになった」とかいう意見が聞こえるが、定価では安いジーユーよりもユニクロの方が購入した生徒が多いのだから、この意見は単なるその人の感想に過ぎないということがわかる。
当方ならザラは買わないが、値引きしてもユニクロよりも高めのザラが1位で売れているというのは、ある意味で納得できる部分もある。
コスパ重視で買うなら、ジーユーとユニクロになってしまうが、冒頭に述べたように「それだけではつまらない」と思ってしまうと、毎シーズンのパクリ インスパイア元のブランドを変更するザラはデザイン的に面白味があるということになる。さらにいえば、今シーズンと来シーズンではガラリとデザイン傾向が変わる。それでいて通常の百貨店やセレクトショップブランドよりは安いということになると、専門学生がザラを重宝するのは理解できる。
注目すべきは3位にセカンドストリートが堂々ランクインしている点だろう。古着市場でマス層を押さえているのは間違いなくセカンドストリートだということがわかる。
ユニクロと同等の800店舗を全国に展開し、都心ど真ん中にも田舎のロードサイドにも出店されているから、利用しやすい。
その上、古着ということは現行の大量生産品ではないから「他人とのかぶり」も少ない。おまけにブランド物だとしても定価よりは安い。特にセカンドストリートは高価格なビンテージ古着やプレミアム古着を扱っているわけではないから、低価格志向にも合致する。
あと、6位のアディダスにも注目したい。経営的に近年はナイキの苦戦が伝えられているが、専門学生層でもナイキではなくアディダスを支持する生徒が増えているということになる。一般的にはスポーツウェア=ナイキというイメージはまだまだ根強いが、ファッションとしての潮流はナイキ離れが顕著化しているといえるのではないだろうか。
記事を読んでもらえばわかるが「憧れているブランド、チェックしているブランド」はディーゼルを除くと、ヴィヴィアンやバレンシアガ、プラダ、シャネルなど軒並みラグジュアリー系かスーパーデザイナー系ブランドばかりである。
いわゆる、国内総合アパレルのブランドや大手セレクトショップはランクインしていない。
となると、ここから導き出される推論は、専門学生の多くは、実生活では低価格ブランドかセカンドストリートで買うが、金持ちになったらラグジュアリーや高額デザイナーズブランドを買いたいと考えているということである。
実行動と志向が完全に二極化しているといえ、中間層を占めていた百貨店ブランドや大手セレクトショップは購買先でもなければ憧れる先でもないということを如実に示している。
今の専門学生たちが卒業後社会人となって、5年後、10年後どのような生活を送っているのかはわからないが、中間層に位置するブランド群にはなかなか厳しいアンケート結果になったのではないかと感じられてならない。