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南充浩 オフィシャルブログ

デカトロンが日本で売れなかったのは当然だという話

2022年7月21日 企業研究 4

先日、このブログが始まった当初からの読者だと言う方から連絡をいただいた。

18年間、関西の各商業施設のテナント誘致などを担当してきた方で、ついに定年退職を迎えられたそうだ。

商業施設担当の間、メンバーとの情報共有を目的として社内掲示板に自分がセレクトした業界関係ニュース(純粋な業界ニュースだけではない)を貼り付けておられたそうで、退職後は同じ活動をアメブロを使って行っておられる。

商業施設・テナント開発関連ニュース (ameblo.jp)

ご本人の文章などはなくて、本当にニュースをセレクトして貼り付けてあるだけの感じである。

 

で、その後、実際にお会いすることになっていろいろと興味深いお話を聞かせていただいた。

言うまでもなく、60代の男性である。決して若い女性ではない。

 

さて、今年、鳴り物入りで日本上陸を果たしたデカトロンの直営店が全店閉店となった。

ハッキリ言って売れなかったのだろう。売れていれば直営店を閉鎖していない。コロナ禍に見舞われたという不幸はあったものの、それは少し閉鎖時期を早めただけで、コロナ禍が無くてもデカトロン直営店は遠からず閉鎖に追い込まれていたと当方は見ている。

デカトロンジャパン 直営2店は閉店、卸販路を拡大 | 繊研新聞 (senken.co.jp)

今年5月11日の記事である。

フランスの大手スポーツ専門店デカトロンの日本法人、デカトロンジャパン(兵庫県西宮市)は、直営2店を閉めて自社サイトの拡充と卸先の販売拡大を進める。日本進出後の販売は好調で成長は著しいが、変化する市場環境と顧客のニーズに迅速に対応するため、新たなビジネスモデルに転換する。

とのことで、

1号店の西宮店は6月19日、幕張店は7月10日で閉店する。引き続き自社サイトやデカトロン公式楽天市場店などのショッピングサイト、アウトドアEC「ナチュラム」と卸先の販売網での販売を継続する。

とある。

日本進出後の販売は好調で成長は著しいと書かれてあるが、具体的な数字は何一つ示されておらず、これは外資企業がよくやる手口なので、実際は直営店は相当に苦戦したと考えられる。前日のブログにも書いたが外資企業は概して情報開示に不熱心である。

デカトロンが1号店を西宮ガーデンズにオープンしたのは19年のことだが、当時はデカトロンVSワークマンによる「(低価格)スポーツ戦争」とメディアは煽りまくった(メディアのいつもの手垢まみれの手法)が、結果はワークマンの圧勝というよりはデカトロンの不戦敗に近いといえる。

19年時点で、当方はこのブログで「デカトロンはそれほど日本では売れないのではないか」と書いたが、その通りになった。

当方が売れないと判断した理由は

1.スポーツ・アウトドア初心者に向けた低価格衣料品はすでに国内に多数ある

2.ワークマンを含む先行国内衣料品と比べてデカトロンの商品価格は割安感がない

という2点だった。

当方は、何のかんのと言いながらも2011年から開始したランニングをいまだに続けている。そのため当方は定期的にランニング用のウェアやシューズを買い替えるようになったわけだが、せいぜい5キロか6キロしか走らない初老のなんちゃってランナーたる当方には高機能・高価格のウェアやシューズは全く必要ない。ウェアでいえば最低限の吸水速乾機能があればそれでいい。

そのため、当方はユニクロの値下がり品、ジーユーの値下がり品をメインに使用している。その値段は390~990円である。そのウェアを3年以上は着ているので、ハイコストパフォーマンスを極めていると自画自賛している。ランニングシューズだけはプーマ、リーボック、アディダス、アシックスなどの著名スポーツブランドの製品を選んでいるが、型落ちの値下がり品を買っている。だいたい2500円前後で、これを1年~2年間履くのでこちらのコストパフォーマンスもかなりのものだと自負している。

そしてこれ以外に、ワーキングユニフォームのクロダルマの型落ち品だとか、ワークマンの吸水速乾Tシャツだとかをいずれも1000円未満で買っている。

こうなると、わざわざデカトロンのウェアを買わねばならない理由は全くない。ましてやユニクロ、ジーユーは店舗数が多いが、デカトロンの場合はわざわざ西宮ガーデンズくんだりまで出かけねばならないから時間的にもロスしかない。

価格的にもワークマン商品、ユニクロの値下げ品、ジーユーの値下げ品の方が安い。拗らせた舶来コンプレックスでも持ち合わせていない限りデカトロンを選ぶ理由がない。

 

それに加えて、先の愛読者の方が実際にデカトロン店舗で確認したという事例がある。

デカトロンはウェアだけではなく、道具類も企画生産販売をしているのだが、その道具類の修理や調整はやっていないということだった。

通常のスポーツ用品店、特に専門性が高い店で買うと、高い道具類も修理や調整をしてもらえる場合が多い。ラケットのガットを貼り替えてもらえたり、グローブの修理を請け負ってくれたりである。また専門店だと自転車のタイヤのパンク修理もしてもらえる。

しかし、デカトロンはその機能が一切なかったという。

極端な言い方をすると何か月か何年か使用して捨てるというサイクルになるが、使い捨てにするには「価格が高すぎる」というのが先の愛読者の見方である。

自転車もスポーツ用ということで5万円くらいするらしいが、タイヤのパンク修理さえできないのであれば、例えばアサヒサイクルなどの専門店で5万円の自転車を買ってパンク修理も受けられる方が圧倒的にお得である。もしくは自宅の近所の自転車やで買ってパンク修理も受けてもらうかである。この点から見てもデカトロンで買うメリットが消費者には無い。となると、デカトロンの直営店が売れないのは当然の結果といえる。

フランスブランドだからデザインがかわいいという評価もあるが、その評価だけでリピーターが増えるだろうか。1回か2回は買うかもしれないが、3回目、4回目は無いだろう。それがマス層の金銭感覚である。

低価格をウリにする薄利多売ブランドなら、マス層に対して数量を売ってナンボでしかないから、マス層がリピーターにならない時点でビジネスモデルは破綻している。

 

今後、デカトロンは記事によると「卸売りとネット通販に注力する」と説明されているが、この目標は画に描いた餅に終わるだろう。

まず、ネット通販だが、実店舗がゼロで実物を見たことも無い人がネット通販でどれだけ買うだろうか?品質や雰囲気が皆目わからないブランドの衣料品や道具を画像を見ただけで買う人はほとんどいないだろう。実店舗がゼロになった時点でデカトロンのネット通販もこれ以上は伸びにくくなったと見るべきだろう。

そして卸売りだが、当方はスポーツ小売店が専門ではないから知見が狭いが、狭い知見の範囲内でいうとデカトロンの商品をスポーツ小売店で見たことがない。

ましてや低価格がウリの薄利多売ブランドを卸売りしたところでデカトロンが獲得する営業利益が減るだけでしかない。そんな効率の悪い商売を利益第一主義の欧米企業がやるとは到底思えない。実店舗閉鎖と同時に日本から撤退というマイナスイメージを軽減させたいだけの発言ではないかと思う。少しブランクを開けて「ネット通販と卸売りも苦戦したので中止して日本から撤退します」と発表してマイナスイメージを分散化させる目論見ではないかと当方は見ている。

 

国内のメディア人、ファッション業界人、商業施設関係者は舶来コンプレックスを拗らせたような人が多いから、海外ブランドというと色めき立つが、いくら海外ブランドでもメリットが無いとマス層は支持しない。支持したとしても一過性で終わる。デカトロンもその一つに過ぎなかったということである。

 

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 comment
  • 名前 より: 2022/07/21(木) 11:27 PM

    デカトロンっていう名前が決定的に良くなかった気がします・・・

  • とおりすがりのオッサン より: 2022/07/22(金) 10:59 AM

    デカメロンかメガトロンならワンチャン・・・

  • ppp より: 2022/08/02(火) 7:23 AM

    デカトロン幕張店、自転車の店内修理サービスはやってたよ

  • PPP より: 2022/08/02(火) 7:27 AM

    有料だけどガットの張替えもしてた気がする

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