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南充浩 オフィシャルブログ

外資低価格ブランドの撤退・縮小が止まらない理由

2022年7月22日 トレンド 0

外資低価格ブランドの日本撤退や事業規模の縮小が相次いでいる。

衣料品でいえば、GAP、ZARA、H&Mの3つしか残っていない。

オールドネイビー、ウィークデイ、モンキ、ストラディヴァリウス、アメリカンイーグルなどが日本から撤退した。また、本国の経営破綻でフォーエバー21も撤退、日本国内運営会社不手際によってトップショップも撤退に追い込まれた。

デカトロンは上陸からたった3年で今年実店舗全店を閉鎖し、大幅に事業縮小している。

 

これらの撤退・縮小組みに共通することは、メンズの消費者目線でいうなら「思ったほど安くなかったし、商品的に際立った部分もなかった」という点である。

もちろん、異論反論はあってしかるべきで、以前コメントにもいただいたことがあるがレディースやキッズはその限りではないという部分もあるだろう。

ただ、当方が自分の服(メンズ服)を買うという視点でいうと「思ったほど安くなかったし、商品的にも際立ったものがなかった」という感想になってしまう。

例えば、特にオールドネイビーだと「安い」が喧伝されていたため、生来の安物好きの当方は「一体どれほど安いのだろうか?」と期待感に胸を膨らませていた。

そして実際にオープンした店頭で商品を見ると、

・GAPの最終値下げ品より高い

・ジーユーより高い

・ユニクロの最終値下げ品より高い

という感想と

・GAPのメンズと商品そのものの違いがわかりにくい

というものだった。

そうすると、当方の判断基準としては

「GAPの最終値下げ品でいいんじゃね?」

となってしまう。最終処分までに売り切れてしまう商品も当然あるだろうが、それは縁が無かったということになる。

 

オールドネイビーに限らず、撤退した外資低価格衣料品ブランドは概して同じ感想を当方に与えてくれた。

結論からすると、国内既存の低価格ブランドのメリットを越えるものを外資低価格ブランドに感じなかったということになる。

 

これと同じ感想を持ったのが、ウォルマートの傘下になった西友である。

国内の経済が暗転し、名だたる大企業が経営破綻に追い込まれたのはバブル崩壊直後ではなく、97年以降のことである。西友もそのうちの一つで2002年にウォルマートと資本業務提携をし、2008年にウォルマートの完全子会社となった。

エブリデーロープライスを掲げるウォルマートと資本業務提携した2002年から、当方は近所の西友の商品がどれほど安くなるのかと大いに期待した。

総合スーパーで服を買う習慣はないから、主に期待したのは食料品だった。

実際に売り場に足を運んでみると、確かに高くはないが期待したほど安くはない。平均的な安さである。むしろ、万代やスーパー玉出の方が西友よりも安い。

ハッキリ言うと、当方は

「え?エブリデーロープライスってこの程度?」

と失望してしまった。万代とスーパー玉出を併用した方がずっと安く食料品を買える。

そして完全子会社化された2008年以降も同様だった。

たまに西友で買うことはあるが、メインの買い場は万代で、たまにスーパー玉出を使う。極極まれに西友で食品を買う。そういう使い方になった。

そして子会社化から12年後の2020年、ウォルマートは西友の株式を85%売却した。

 

米ウォルマート、西友の株式85%を売却 買い手は楽天と米投資ファンド

先日も西友の売り場を眺めてみたが、売却前と売却後はほとんど何も変わらないという感じだ。

ただ、2020年以降の値上げ基調で、商品によっては西友の方が万代よりも安い物がチラホラと存在するようになった。

記事には

 

“エブリデー・ロー・プライス(毎日が低価格)”戦略などウォルマート流の売り場作りで成長を目指したものの、日本市場におけるスーパーの競争激化により苦戦していた。

 

とあるが、まさにその通りで、万代とスーパー玉出のエブリデーロープライスには遠く及ばなかったといえる。

衣料品ブランドも同様で、国内既存各社に負けたといえる。

それこそ、当方がオールドネイビーに対して抱いた感想は撤退・縮小した全ブランドに概して共通する感想である。

 

当方は全く美味しいとも魅力的とも感じていないが、そう感じている日本人が多い中国市場だが、やはり外資低価格ブランドの撤退は多い。ウイグルの新疆綿問題がそれを手伝っているという部分はあるが、それが顕在化する前から撤退・縮小は相次いでいた。

理由は現地の低価格ブランドに負けたからである。

 

「ザラ」姉妹ブランドの「ベルシュカ」など、中国市場から完全撤退へ 実店舗に続いてECも閉店

近年、「ピースバード(PEACEBIRD)」や「アーバン レヴィヴォ(URBAN REVIVO)」といった中国ブランドの台頭により、中国のファストファッション市場の競争は激化している。「ベルシュカ」「プル&べアー」「ストラディヴァリウス」も競合と同じような商品を提案しているが、ファッションと価格に敏感な若年層からの支持を得られなかったようだ。

 

とあり、その通りだろう。現地の低価格ブランドは中途半端な欧米低価格ブランドでは太刀打ちできないほどに安い。その一端はシーインの投げ売り価格を見れば容易にご理解していただけるのではないだろうか。

結局、日中ともに外資低価格ブランドの多くはウォルマートも含めて現地低価格ブランドとの競争に敗れたというのが実態だと考えられる。

 

この一連の動向に対して、日本の大手メディアや年配評論家はほぼ口をそろえて「日本市場が見捨てられた」と結論付けるが、これは不見識なのかポジショントークなのか舶来コンプレックスが極まったものなのか、だろう。

その論法で行くなら中国市場もベルシュカに見捨てられということになり、彼らが説く「中国市場有望説」とは矛盾することになる。

ウォルマートなんてその見方がおかしいことの典型で、それなら、なぜ、ウォルマートは足掛け18年間も苦戦し続けたのか。ウォルマートが見捨てたというより、ウォルマートが日本人に見捨てられたという方が適正だろう。当方は関西在住なので万代と玉出があればウォルマートは必要なかったが、他の地域にも似たようなプライスリーダー店が存在し、それらとの競争にウォルマートが敗れたということに他ならない。

そしてそれはウォルマートだけではなく、撤退・縮小を余儀なくされた外資低価格ブランド全てに当てはまるといえる。

リーマンショックとともに始まった2008年以降の外資低価格ブランドブームも2010年代後半に失速し、2020年のコロナ禍でとどめを刺されたということになる。

 

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