中綿がポリエステル100%のジャケットはダウンジャケットでもないし中綿ダウンジャケットでもない
2020年12月7日 ネット通販 6
最近「ダウン(羽毛)」に関する表記がいい加減になってきていると感じる。
これまでもネット通販サイトでは、「ダウン」で検索すると多数の「中綿」ジャケットが上位に表示されたが、最近はメディア自体がこの表記基準を甘くしている。
これは百害あって一利なしである。
2007年から2008年にかけてはこんな問題が起きていた。
忘れている人のため、13年前のことなので知らないという若い人のために記事のリンクを貼る。
asahi.com(朝日新聞社): にせカシミヤあと絶たず 需要増え甘い検査、見分け困難 – ファッション&スタイル
掲載は2008年10月24日だ。
カシミヤ製品の偽装が止まらない。昨夏(2007年:筆者注)以降、4業者が公正取引委員会から排除命令を受けた。今年7月には、デパートの伊勢丹が販売した「カシミヤ50%」のストールに、全くカシミヤが入っていないことも発覚。公取委は景品表示法違反の疑いで調査している。
これまでに処分を受けたケースは、カシミヤ100%や50%のはずが3割未満だったセーター(小杉産業と丹羽幸)、70%のはずが0%のストール(ユナイテッドアローズ)、50%のはずが数%のセーターなど(日本生活協同組合連合会)がある。
この当時も散々話題になったが、カシミヤ0%なら触って気が付かないのかと、当時のユナイテッドアローズと伊勢丹のバイヤーやショップスタッフの触感を訝しく感じるが、50%が30%弱なら気が付かないだろうとは思う。
しかし、13年前はこれが厳しく叩かれた。
だが今はどうか。
例えば、メディアである宝島社、そしてファッションスナップは堂々とこんな記事を掲載している。宝島社はあまつさえ、掲載どころか商品をコラボ販売までしている。
宝島社によるコラボアパレルがシリーズ累計50万着突破、中綿ダウンジャケットなど新作が登場 (fashionsnap.com)
12月10日には、北欧ブランド「モズ(moz)」とのコラボアイテム「moz 中綿ダウンジャケット BOOK」(4980円/いずれも税別)を発売。ビッグシルエットのメンズサイズ、着膨れしにくいシルエットに仕上げたウィメンズサイズの2型が揃う。
とのことだが、中綿ダウンジャケットBOOKのサイトへ飛んでみようか。
moz(モズ) 中綿ダウンジャケット BOOK|宝島社 (tkj.jp)
お値段は4980円だが、商品詳細にはしっかりと「中綿ポリエステル100%」と表記されている。ダウンは0%である。
海外事情は詳しくないが、海外ではダウンが何十%か入っていて、ポリエステル中綿と混ざっていれば「ダウン表記が可能」とも聞くが、仮にそういう国があったとしてもこのmozのジャケットは「ダウン0%」であるから、ダウン表記は不可能である。
ポリエステル100%中綿なら「パデット」とか「中綿入り」とかそのように表記すべきで「中綿ダウン」なら、ポリエステルか何かの中綿とダウンが混ざっているかのように見えてしまう。
言葉で商売をしているメディアがこの体たらくではあまりにもだらしないとしか言いようがない。
ダウン0%で「中綿ダウン」という表記が許されるのであるなら、13年~12年前のカシミヤ0%ストールを「カシミヤ混」として販売した伊勢丹もユナイテッドアローズもOKだということになる。
お分かりだろうか?メディアの中の人達は。
ポリエステル100%中綿ジャケットなら4980円は別にお値段以上でもなんでもなく、値段相応だといえるし、素材組成だけで見れば、もっと安いポリエステル中綿ジャケットはイオンモールに行けば掃いて捨てるほど各ブランド店舗で販売されている。
商品に自信があるなら、堂々と「パデットジャケット」とか「中綿入りジャケット」とかそのように表記すればよいはずだが、それをせずにあたかも「ダウンが混入しているかのように」中綿ダウンと表記するのは、ブランド側も宝島社も優良誤認を誘って売るつもりだとしか考えられない。
ファッションスナップもそこは厳しく検閲すべきだったと思う。
ダウンに関してはユニクロ、ジーユーはまだまともで、中綿ジャケットは「パデットジャケット」と表記しているし、ポリエステル中綿とダウン(羽毛)の併用は「ハイブリッドダウン」と表記している。
Amazonや楽天、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなどの大手サイトは昔から「ダウン」表記に怪しいブランド・商品が多数出品されていたが、メディアまでが、カネ儲けのためにこれに加担するのはいかがなものか。いくら広告出稿料が減っているとはいえ、貧すれば鈍するの見本ではないか。
さらにいえば、「ダウン」ばかりでなく「レザー」も同様で「合成皮革」「人工皮革」もごっちゃになって上位表記されているし、アホなメディアやインフルエンサーはそれをさらに助長している。
以前も書いたがこんな「ダウン」や「レザー」がまかり通るなら、アクリル100%のカシミヤタッチセーターだって「カシミヤ」と表記しても何の問題もないことになってしまう。
本当に紛い物ばかりの世の中になってしまったと感じる。
【 ❗ スポーツ専門店が本気で考えたダウンジャケット❗ 】様々なダウンジャケットを使用し、本商品を生産しました。本商品のポイントは3点御座います。1、『暖かさと軽さを追求したダウンジャケット』軽くてやわらかくて暖かいダウンにする為に、中綿を高級ポリエステルにしております。
という謎の表記があるダウンジャケット(笑)をAmazonでどうぞ~
comment
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BOCONON より: 2020/12/07(月) 7:56 PM
昔のスーパーのダウンジャケット風の安物みたいに「タウンジャケット」って書けばいいのに(笑)。
確かにポリエステルのパデット(GU風な表記:paddedの意ならん)ジャケットじゃアウトドア活動には寒くてタウンユースでないと無理だろうしw -
sakeparadise より: 2020/12/09(水) 8:06 AM
電気をつける 消す 普通に使っているけど正しくは照明 電灯でしょう。街灯や野球場の照明に あ、電気がついた とはあまり言わない。照明灯に火が入りました はどうかと思うけど。二股ソケットで照明から電気を引いていた名残りなのかな?
Gジャンも正しくはJジャンでしょうが、訂正運動は今のところ起きていない。
言葉って長い間使われていると当たり前になるのでしょう。
ダウンは組成表示なのに、商品のデザイン特徴で使われているのだろうか?
私はダウンジャケットのジャケットの方に少し違和感がある。テーラードジャケットなど衿のデザインがある物の方がしっくりくる。
中綿ブルゾンは一般的だけど、ダウンブルゾンはあまり使わないのはなぜだろう? -
774 より: 2020/12/09(水) 11:36 AM
Gジャン、Gパンについては第2次大戦後、進駐してきたアメリカ軍の兵隊さん、G.I.さんたちが履いていたから、という説があるのでG表記になっています。もちろんジーンズといわれたときにGで始まるスペルと勘違いした可能性もありますけど。
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とおりすがりの元・服売り より: 2023/01/22(日) 1:15 PM
ユナイテッドアローズのカシミヤ表記事件は、当時は「なんでそんなミスが起きたんだろう?」って思ったものですが、中綿やポリエステルのジャケットをダウンと呼んでたりするのを見ると、今は「まぁそりゃそんなことが起きてもおかしくないな」と思ってしまいますね。
いろんな部分で、本来のワードの意味を分からず使ってるわけですね。。。 -
たかはし より: 2023/08/19(土) 6:20 PM
まさに今日、instagramで”ダウンコート”と商品名にあるのに組成表記はポリエステル100%の中綿コートを予約販売しついる某ブランドを見かけました。笑 最近の若い子たちは、詰め物はなんでも形が”ダウンコート”って呼んじゃうんですよねー 無知って怖すぎます。誰かしっかり指摘してあげてほしい。。
中綿ブルゾンが一番まともな表記ですかね
どうしてもダウンという単語を使いたいならフェイクダウンですかね
話はそれますが羽毛布団も微妙な表記が多いですね。
確信的にやっている業者は問題外ですが
そもそも正しい知識もない業者も多いですね。