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南充浩 オフィシャルブログ

低価格帯で姿を消し始めたインナーダウンベストとウールの柄物セーター

2022年10月14日 お買い得品 1

今日はちょっと軽い感じで。

百貨店に並んでいるようなラグジュアリー価格一歩手前みたいな価格帯の衣料品はさておき、ユニクロからユニクロ同等、それ以下の価格帯では徐々に姿を消し始めたアイテムがある。

2022年10月現在の店頭を見ると、今秋から姿を消し始めたのが、インナーダウンベストである。

 

スーツのジャケットの下に薄手のインナーダウンベストを着ているのはオッサンのスタイルと揶揄されるほどに広まったのだが、元々は、2000年代半ばくらいにLeonやSafariなどのオッサン向けファッション雑誌で「ジャケットの下にダウンを着るのがイケている」というキャンペーンが行われて注目されたコーディネイトだった。

物事は何でもコモディティ化するから、それがコモディティ化されその後一気に広まったのは、ユニクロのおかげといえる。ユニクロが広めた結果、オッサンサラリーマンの象徴スタイルにまでなってしまった。

ただ、真冬に中綿無しのウールコートや綿コートを着ると当たり前だが寒い。その時に通常のダウンだとよほどのオーバーサイズのコートでないとその上からは着られないが、インナーダウンだと薄手なので通常のサイズ感のコート類(タイトシルエットなコート類は着用不可能)なら着用でき、しかも暖かいという効果がある。オッサンにも広がるのは当然だったといえる。

特にスーツのジャケットの中に着るには袖のあるブルゾンタイプよりも袖の無いベストの方が重宝される。

 

さて、そんなインナーダウンベストだが、ユニクロやそれ以下の価格帯ブランドからは今秋姿を消しつつある。ユニクロは21年秋冬まで「ウルトラライトダウンコンパクトベスト」というネーミングでメンズは4990円で発売し続けていた。当方は2990円に値下がりした時に買っていた。まあ、いわゆるインナーダウンベストである。これが2022年10月現在、店頭からは昨年までの売れ残り在庫品以外は完全に姿を消している。

代わりに発売されたのが、「ヒートテックウォームパデットベスト」である。見た目はウルトラライトダウンコンパクトベストとほぼ同じだが、中の詰め物がダウンではなくポリエステル60%・レーヨン40%に変わっている。いわゆる合繊中綿ベストになった。表の生地はナイロン100%で組成は変わっていないが、個人的には今のナイロンタフタはチープになったと見えてしまう。中綿と表生地の両方をグレードダウンしたことで定価は3990円に抑えているのだろう。

 

ジーユーはとっくにダウンの取り扱いをやめているので、問題外である。

 

ネット通販で調べてみると、タイオンのインナーダウンベストはベーシックデザイン品番は今秋も4290円(税込み)のまま継続しているが、新デザイン品番やセレクトショップとのコラボアイテムはもう少し値上がりしており、5000~1万円となっている。

 

価格据え置きでインナーダウンベストを継続しているのが無印良品である。

価格は2990円で中の詰め物はダウン90%・フェザー10%であり、ユニクロでさえ撤退した商品を価格据え置きで継続しているコスパはすごいと感じる。

ただし、今シーズンは表生地が少し異なるため商品名も「再生ナイロン軽量ノーカラーベスト」となっており、再生ナイロンを使っていると商品説明文にある。ただ、昨年のナイロンタフタよりはチープになっているように見えるのは再生ナイロンであるためだろう。

 

そして、ダウン混中綿ベストを税込み1900円で販売しているのがワークマンである。

商品名は「リペアテック洗えるフュージョンダウンライトベスト」(長っ)である。

中の詰め物はポリエステル50%・ダウン35%・アクリル10%・フェザー5%という組成である。表生地はナイロン100%で、裏地の背中部分はポリエステル100%である。

デザインやテイストがアウトドアチックで、テイラードジャケットのインナーとしては少し使いにくいかもしれないので、評価の分かれるところではあろうが、コスパという点では相当に高いのではないかと思う。

 

まあ、ダウン素材にこだわる必要がないと考えている人ならユニクロのヒートテックナンチャラベストでも構わないだろうが、何となく合繊中綿にモッサリ感を感じる人なら、ユニクロはお勧めできない。

かつてのユニクロと同等価格を望むのならタイオンだろうし、それ以下を探すなら無印良品だろう。ダウン混でも構わないとかとにかく安さを追求するのならワークマンだろうと思う。

ユニクロのヒートテックナンチャラベストを3990円で買う理由は皆無といえる。

ただ、もうこの価格帯でのダウンアウターというのは今後さらに減り、いずれは消滅してしまうのではないかと考えられる。

22年秋物から急速に姿を消したのは、やはりロシアのウクライナ侵略による影響と、ドル以外の通貨が全て全面安になっていることだろうと考えられる。

コロナ禍の影響もありそうだが、21年秋までできていたので、それよりはウクライナ侵略とドル独歩高による影響の方が大きいのではないだろうか。

 

このダウンと同じく、この価格帯から姿を消しつつあるのが、ウール100%の柄物セーターで、ユニクロでも柄物セーターは今のところすべて合繊である。無地のベーシックセーターではユニクロと無印良品が継続しているが、これとていつまで続くか分からない。

 

10年くらい前からウールとダウンの原料価格は上がり続けており、いずれは低価格帯では商品が作れなくなると言われていたが、20年からのコロナ禍、22年からのウクライナ侵略とドル独歩高によってその時計の針は一気に進められてしまったといえる。

柄物ウールセーターとダウンアウター類は今後、最低でも1万円以上出さねば買えないアイテムとなると考えられるから、こだわりのある人は今の手持ちのアイテムを大事に使うことをお勧めしたい。

 

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 comment
  • BOCONON より: 2022/10/15(土) 9:10 PM

    今回の記事を読んで「そんなものかな」と思ったのですが,今日実際ユニクロ行って見てみたら,成程 “ヒートテックウォームパデットベスト” というのはガワ生地が甚だチープな感じがしますね。ネットでユニクロのサイト見てもそんなに安っぽい感じはしなかったから,洋服はやっぱり現物を見てみないと分からない,と思ったことでした。
    ウルトラライトダウンベストも何かと女子ウケが悪かったから,「ヒートテック~ベスト」もスーツやテイラード・ジャケットの下に着るというのは(大きなお世話ですが)どうにも推奨しかねる。僕もあの合わせ方は見た目 “蟬の裏っ側” を連想したりするのでやりたくない。
         ↓
    https://nikkan-spa.jp/1419947

    ベストはともかく奇妙なのは,秋葉原の小さな店ではウルトラライトダウンジャケット推しのようでずらりと並んでいるけれど,厚みのあるダウンジャケットはあまり置いてなくて真っ黒と赤いのしかなかった事。真冬の外出に着られるようなダウンジャケットはまだこれから入荷するのだろうか。

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