月別: 11月 2013 (1ページ / 2ページ)

挑戦する価値はある

 本日はちょっとお気楽に。

先日、以前から気になっていたグンゼのルームダウンシューズを購入した。
定価は980円である。ダウン65%・フェザー35%でこの価格は安いと思う。
色柄のバリエーションはけっこうある。ワゴンにだいぶ残り少なくなっていたのだが、それでもメンズの無地は6色あった。

写真2

さて、このダウンシューズだがグンゼの広報によると「隠れたヒット商品」なのだそうだ。
ヒット商品なら隠れなくても良いと思うのだが、このあたりはグンゼの社風だろう。生産面からもあまり大口のヒットになると困るのかもしれない。
販路は量販店とのことで、筆者が購入したのはイトーヨーカドーだった。

グンゼは定期的に展示会や会見に招いていただいているが、販路がほぼ量販店に限定されているあたりがなんとももったいないと感じてしまう。
たしか肌着も百貨店を止めて量販店に絞ることになったと記憶している。

余計なおせっかいかもしれないが、販路を変える努力をしてみても良いのではないかと思う。
例えばこのルームダウンシューズなら雑貨店やセレクトショップ、ライフスタイル店などにも卸せるのではないだろうか。もしかしたらインテリアショップ・家具店のような先でも良いかもしれない。
家具を中心としたインテリアショップ・家具店は、商品の回転率が低い。毎年家具を買い替える家庭なんてそんなに存在しない。1つ家具を買ったら最低でも数年以上は使用する。
転勤による引っ越しとか、息子・娘が独立・結婚するなんていうとき以外は買い替え需要は頻繁に起こらない。
耐久性も良いし、価格も高い。ユニクロで1000円のTシャツを衝動買いするようなわけにはいかない。

だからインテリアショップ・家具店は数年前から、毎月買い足してもらえたり、衝動買いしてもらえるような雑貨類・軽衣料類を店頭で販売するケースが増えた。
これで固定客を作って、毎月の売上高を稼げるというわけである。

グンゼのルームダウンシューズなんてそういう衝動買い雑貨にぴったりではないだろうか。

「そういうお洒落ショップはグンゼという大衆的なブランドとのコラボや取り引きを嫌がる」という声も聞こえてきそうだが、寝具の東京西川とナノユニバースのコラボダウンジャケットが販売されている。
初めて見たときには、「東京西川???」と疑問符が3つくらい並んだものだが、見慣れてくると羽毛布団で定評のある西川とのコラボはありではないかと思えてくる。

東京西川というブランド名を「お洒落」だと感じる方は少ないだろう。
はっきり言って「布団屋さん」というイメージしかないはずだ。少なくとも筆者はそうだ。
そんなベタなブランドとナノユニバースのコラボがそれなりに受け入れられているのだから、グンゼだって可能ではないかと思うのである。

他人の会社だからひどく無責任に言ってしまうのだが、挑戦してみる価値はあると思う。

さて、自宅には昨年購入したユニクロのフリースルームシューズがある。
形状としてはルームシューズというよりはスリッパである。かかとのホールドがない。定価は990円だ。
今回何日間か、それとグンゼのダウンルームシューズを履き比べてみた。
かかとのホールドがある分、グンゼのルームダウンの方が暖かいが、底の分厚さはユニクロの方が上だ。
グンゼは底を改良すると良いと思うが、おそらくコストが跳ね上がることになる。
スリッパの底は洋服を作るように簡単にはいかないらしい。

写真

逆にユニクロのフリースルームシューズのコストパフォーマンスの高さを再認識した。

ここでこんなことを思い出した。以前、どなたかが仰っていたのだが
「ユニクロのスリッパ類の販売戦略はすごい。990円と言う定価はスリッパとしては決して安くはないが、ユニクロの店頭に並んでいたら高いとは感じない。そのほかの商品群と同じ価格帯だ。スリッパ単体として見れば利益を確保できやすい」と指摘されていたことがある。
どなただったかは失念してしまった。

加えてスリッパ底のクオリティは高い。こういうところにユニクロの底力を感じる。

話を戻すとグンゼは新しい販路を開拓できる商品と物作りシステムを持っている。あとは企業としての決断と営業担当者の挑戦だけだろう。まあ、他人の会社だから気軽に言えるのだけど(笑)

エドウインが事業再生ADRを申請

 これに触れないわけにはいかない。
昨日、国内ジーンズメーカー最大手のエドウインが事業再生ADRを申請した。

エドウインの状況については東京商工リサーチの記事がもっとも詳しい。
おそらく業界紙を含めてもエドウインの内部事情をここまで詳細に書いた記事は見当たらないだろう。
筆者も反省することしきりである。

国内ジーンズ最大手、(株)エドウインが事業再生ADR申請
http://www.ma-cp.com/yougo/65.html

(株)エドウイン(TSR企業コード:290779600、荒川区東日暮里3-27-6、設立昭和44年9月、資本金5600万円、常見修二社長)と、グループ会社28社のうち金融債務のある16社の計17社は11月26日、事業再生実務者協会に対し事業再生ADR手続きの利用を申請した。

 エドウインは、国内ジーンズメーカー最大手、エドウィングループの中核企業。昭和22年、繊維製品を販売する「常見米八商店」として創業し、44年9月にエドウインが設立された。いわゆる「アメカジブーム」を追い風としてジーンズメーカーとして業容を拡大し、63年5月には製造部門を(株)エドウィン商事(TSR企業コード:295130784、同所)として分離。国内グループ企業28社を擁し、生産拠点は東北を中心に12カ所にのぼっている。

 グループで「EDWIN」ブランドを中心とするジーンズを製造、販売し、取り扱いブランドは「EDWIN」のほか「SOMETHING」、「C-SEVENTEEN」、「Gold Rush」など。「EDWIN」の「503」拡販に際してはハリウッドの人気俳優のブラッド・ピットを起用したことで話題を呼んだ。また、オリジナルブランドに加え、米国3大ジーンズブランドの一角を占める「LEE」、「Wrangler」の日本における商権を獲得し、売上高は卸売部門のエドウインが平成25年5月期で約261億円、企画・製造部門のエドウィン商事が24年1月期で約300億円をあげていた。

 しかし、ファストファッションの台頭に加え、東日本大震災の影響などから近年の業績は伸び悩んでいた。また、デリバティブ損失の発生なども噂されていた。
 こうしたなか平成24年8月、グループの経理責任者が急死し、その原因が証券投資の失敗などによる200億円の損失隠しにあることが報じられた。その損失発生に関連して、不適切な会計処理が行われていた可能性があるとしてエドウインに第三者委員会が設置され、これに伴い、グループ全体の動向が注目されていた。
 その後、取引銀行による10数回にわたるバンクミーティングを開き経営再建策を模索していたが、取引銀行の間でも意向の足並みがそろわず、再建計画の策定がなかなか進んでいなかった。

 一方、今年10月21日には都内で取引先約130社を集め説明会を開催。席上では、エドウインのフィナンシャルアドバイザーである野村総研から、業績や資金繰りに問題がないことが伝えられたが、具体的な再建策などについて詳しい説明がなく、関係先の間では困惑の声もあがっていた。

 すでに返済の一時停止は行われているが、今回の事業再生ADR申請は第三者的な検証を目的としたもの。再建計画についても同様に検証されていく予定。今後、継続しているスポンサー選定とともにエドウィングループの再建に向けての動向が注目される。

とのことである。

昨年8月に損失や債務超過が発覚した直後には経営再建の支援について伊藤忠商事、豊田通商、ワールドが手を挙げたと報道されたが、その後立ち消えになって約1年である。
つい最近、何社かの小売店の社長にお会いする機会があったが、取り引き関係のある彼らですら「エドウインさんのその後はどうなったんでしょう?」と心配されていたほど、この手の情報は業界に漏れてこなかった。

民事再生法、会社更生法、破産とは異なるADRとは何かというと、

http://www.ma-cp.com/yougo/65.html

事業再生ADRとは、
2007年より施行された過剰債務に悩む主に大企業向けの事業再生の新手法で、
訴訟手続きによらず中立的立場の専門家を介して紛争解決を図る方法。
※ ADR(Alternative Dispute Resolution)の略で、裁判外紛争解決手続の意味。

当事者間の話し合い(私的整理)と、裁判所による裁断(法的整理)の中間に位置する手続きで、
具体的には、仲裁、調停、斡旋などの種類があり、
認証紛争解決事業者であるJATP(Japanese Association of Turnaround Professionals 事業再生実務家協会)が仲介に入り、事業再生計画に基づいて当事者間の仲裁や調停を行う。

メリットとして以下が挙げられる。
・取引金融機関への影響に限定されるため、民事再生法などと違い、一般取引先との関係が維持され、事業価値の毀損が少なくて済む。
・手続き期間が短いため、早期に再生が図れる。
・期限切れ繰越欠損金と債務免除益の相殺など、税法上の特例も受けられる。

とのことである。

エドウインの営業活動は今日も続いており、記事中でもあるように「業績や資金繰りに問題がない」とのことであるし、実際に店舗取材を行っても、売れ筋ランキングにはエドウイン、リー、サムシングの商品が必ず何型かランクインしている。そういう観点からするとエドウインの経営再建は十分に可能だろうと思う。

現時点では決して倒産ではないが、公平な目から見て、経営破綻したと言わざるを得ない。

さて、今後であるがどのようか形になるのかはわからないが、経営再建は十分可能だろう。ただし、再建されたエドウインはこれまでとは全体の人員、社内の雰囲気、販売政策などが大きく異なることになるだろうと推測する。

新体制になるであろうエドウインの今後に筆者は逆に期待してみたい。
それは少し楽観的に過ぎるだろうか?

リアル店舗とイメージ戦略が乖離している

 事前にお断りしておくが、ジーンズメイトは単品で探せば結構良いアイテムがある。
昨年からオリジナル製品への取り組みも始まっている。筆者としては何とか成功してもらいたいと願っているのだが、現在、同社が打ち出そうとしているイメージと既存店の顧客層、店作りが適合していない印象を受ける。

90年代後半から関西圏にも出店が始まった。
そこから断続的に何店舗かを見ているが、顧客層はだいたい中高生、大学生の男子が多いように見える。
女性も中高生が見かけるが、男女比でいうと圧倒的に男性が多い。

品ぞろえ的にも店構えからしても高校生向けという印象が強い。

しかし、昨年から打ち出したメンズのオリジナルブランド「ブルースタンダード」は「37・5歳の新定番」がコンセプトであり、30代半ば~40代半ばがターゲットとなっている。
雑誌でいうなら「Safari」や「オーシャンズ」あたりを狙っている。実際に「オーシャンズ」とのタイアップ商品がある。

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商品作りと雑誌のイメージ戦略は30代半ば、その他の品ぞろえと店作りは高校生向けでは、せっかくのイメージ戦略が生きてこない。
高校生に「オーシャンズ」のような商品は興味がないだろうし、「オーシャンズ」読者が高校生向けショップに足を運ぼうと思うことはない。

その差を埋めるためにインターネット通販があるということになるのだろうが、リアル店舗とインターネット通販を切り離して考える消費者は少ない。リアル店舗がない場合はサイトのイメージのみで顧客を獲得できるが、リアル店舗がある場合、必ずリアル店舗のイメージにインターネット通販は引きずられる。

せっかくオリジナル商品を作って雑誌とのタイアップでイメージ戦略を進めているなら、リアル店舗の店作りと他の商品構成もそちらにあわせないと効果がない。
逆にイメージ戦略を既存顧客層に合わせるかのどちらかである。

ただ、過去の同社の取り組みでは10代男子をターゲットとした雑誌類に重点的に広告を出稿していた時期があることを考えると、10代男子に販促してもあまり効果が無いと考えたのではないか。

たしかに、今の10代は洋服にお金をかけない。
そもそもお金を持っていない。
だから10代が支持するのは、ジーユーであり、ハニーズであり、しまむらという低価格ブランドである。

そういえば、先日、業界の先輩が「男子顧客に支持されているジーンズメイトなら、ハニーズの男子版を目指した方が有効じゃないか」と提案されていた。

なるほど、その路線もありだろう。

仮説を立てることは重要

 仕事柄、いろんなブランドの展示会に招待していただく。
展示会を開催するのは、一部の例外はあるがだいたいが卸売りが主体のブランドである。

展示会でブランド側、メーカー側の話を伺うと「この展示会では何が売れ筋ですか?」「どんなのを仕入れたら良いですか?」と尋ねてくるバイヤーが多いとのこと。
これは何も今に始まったことではなく、筆者の知る限り10年以上前からそうだとのこと。
これには業績不振が続いており、何を売ったら良いのかわからなくなっているバイヤーの自信のなさが表れているのだと思う。

もちろんそうではないバイヤーもいらっしゃるが、それはあくまでも少数派のようだ。

例えば、「この展示会での売れ筋はなんですか?」という質問には、売れ筋の情報を収集する目的のほかに、他社が多く買い付けた商品を仕入れていれば、大きな失敗は起こさないだろうという安全志向も同時に存在しているのではないか。

「どんなのがオススメですか?」と尋ねるのも、メーカー側の自信作がどれなのかを確認するという意味合いもあるが、自分ではセレクトできないのでオススメ品を教えてもらいたいという心理も働いているように感じる。

自分で考えなくなったバイヤーが多いという印象を持つメーカー、ブランドは多い。

さて、先日、滋賀の有力カジュアル店ボーンフリーにお邪魔した。
今年で創業40周年を迎えた名店である。

ボーンフリーの堀江明廣社長は勉強熱心な方で、さまざまな各地のセミナーや展示会にも積極的に出かけて行かれることに定評がある。

その堀江社長が「展示会に行くときは、自分の中で仮説を立ててから行くんですよ」とおっしゃった。
例えば「半年前からミニスカートが良さそうな兆候があるが、メーカー側はどのように感じているのかな?こちらの考えは正しいのか?それとも単なる思いすごしかな?」ということを想定して、展示会に出かけるそうである。

事前に「予断」を持って物を見るのは判断を誤ることにもなりかねないが、何の予備知識も無しに展示会を見ても「ほー、そうですかー」というだけであってビジネスには何の進展もない。
それどころか「何を仕入れたら良いですか?」という先の質問にもつながる危険性もある。
メーカー、ブランド側からすれば「貴店の今期の商品政策なんて知りませんやん」という感じだろう。

そう言う意味では「仮説」は重要である。

一部の例外はあるにしても不調専門店ほど、仮説も立てずにメーカー・ブランド側へ商品政策を丸投げする先ほどのようなケースが多いように感じる。
だから不調なのか、不調だからそうなったのかは卵と鶏の関係のようにどちらが先かは判然としないのだが。

厳しい中にも売れ筋はあるじゃないですか

 10月、11月と店頭が活発に動いているという話はほとんど聞こえてこない。
10月は業界を通じて軒並み苦戦した。11月に入って気温が下がって秋冬物が動くかと思われたが、12月のプレセール待ちの消費者が多いように感じる。
現時点、11月25日なら確実にプレセール待ちで定価品は動かない。
ユニクロが11月22日から25日まで4日間、創業感謝祭を開催したがプレセール待ち消費者を先んじて獲得するには良いタイミングだったのではないか。

さて、ライトオンとジーンズメイトの10月度、11月度商況も市況に同調してあまり芳しくない。

ライトオンの10月度は
既存店売上高が前年比11・9%減
既存店客数が同5・1%減
既存店客単価が同7・1%減

11月度は
既存店売上高が前年比7・6%減
既存店客数が同3・4%減
既存店客単価が同4・3%減

に終わっている。

ジーンズメイトの10月度は
既存店売上高が前年比7・5%減
既存店客数が同0・4%増
既存店客単価が同7・8%減

11月度は
既存店売上高が前年比6・5%減
既存店客数が同2・3%増
既存店客単価が同8・6%減

に終わっている。

このうち、唯一、ジーンズメイトの既存店客数が微増しているのが救いである。
しかし、客単価が落ちているということはセールを乱発して集客した可能性があり、セール無しでの集客に今後の課題があるのではないか。

レディースブランドの展示会や店舗取材を行うと、「今秋はロゴ入りトレーナーやスエットパーカがよく売れていますよ」という声を耳にする。80年代風のタイトスカートとコーディネイトするそうだ。
もちろん、タイトスカートも売れている。
タイトスカートというといかにもレディースブランドっぽい仕様を想像するが、素材や仕様にあまりこだわりはないらしく、例えば「リー」のデニムタイトスカートなんていうアイテムも好調に動いている。
形がタイトスカートであれば素材や仕様はあまり関係なく、それぞれのブランドのテイストに応じて支持されているようだ。

市況が鈍いから売れ行きも鈍いよね。
気温が高いから秋冬物が動かないよね。
プレセール待ちの消費者が多いから商品が動かないよね。
ジーンズがトレンドじゃないからジーンズカジュアルショップは厳しいよね。

これはすべて事実ではあるが、でも売れているアイテムも世の中に存在している。
そのアイテムがヒラヒラしたデザインの薄手のスカートやワンピースだったり、ドレープ感のあるフェミニンなカットソーだったりしたらジーンズカジュアルショップが苦戦するのも理解はできる。

けれども今秋動いているのは、本来ならジーンズカジュアルショップがもっとも得意とするアイテムの一つであるロゴ入りのトレーナーやスエットパーカなのである。
タイトスカートだってデニム素材やカジュアル素材の商品はそれなりに好調なのであり、デニムのタイトスカートなんて本来はジーンズカジュアルショップの得意とするアイテムの一つではないか。

本来の得意アイテムが売れ筋に浮上しているにもかかわらず、ジーンズカジュアルショップが不調だというのは厳しいようだが、イメージの打ち出しや集客や販促、ショップイメージの構築が成功していないのではないか。

今の消費者には、いわゆる「どカジュアルアイテム」であってもジーンズカジュアルショップで購入するという選択肢がないのではないか。

ジーンズカジュアルショップはそういう意味でショップイメージの構築に失敗しているといえる。

せっかく「どカジュアルアイテム」が脚光を浴びているのだから、ジーンズカジュアルショップには何とかがんばってもらいたいのだが。

気象観測衛星が欲しい?

 このブログの読者や筆者のSNSのフォロワーさんにはけっこうユニクロの人や元ユニクロの人がいらっしゃる。最初にフォローされたときには「監視されてるっ!!!ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!」とちょっと慌てふためいたことは内緒である。

そんなうちのお1人の元ユニクロの方に先日会う機会があった。
ちょうど良い機会だということで、同社の欠品に対する考え方について質問してみた。

同社が欠品を嫌うことは業界でも有名だ。
そうは言っても、現実問題としてユニクロを何店舗か覗いてみると、人気の高い商品の特定のサイズや色柄が欠品していることは良くある。
またオンラインショップでも欠品していることはある。

それはそれで仕方がない。
無限に製造して備蓄するわけにもいかないし、なくなったからと言って即座に製造できるものでもない。
特定の商品に人気が集中すればいくら製造枚数が莫大なユニクロといえども欠品して当然である。

しかし、やはりというか予想通りというかそういう場合、叱られるそうである。
反対に驚いたのは売りすぎても叱られるそうである。
例えば、週末値引きでウルトラライトダウンを値下げしたとする。その際のウルトラライトダウンは当然のことながら、販売計画枚数というものが設定されている。
仮に10万枚だとしよう。
けれども急激な寒波が襲ってきたり、ウルトラライトダウンが何故か予想以上の人気だったりした場合、30万枚売れてしまうこともある。

そうした場合も「見込みが甘かった」「販売計画が狂った」と言って叱られるという。

通常のアパレル企業なら、「計画の3倍も売ったのか。すごいじゃないか。祝杯を挙げよう」てな感じで褒められるわけだがそうではないらしい。
常に計画通りに販売し、計画通りの時期に売り切ることが求められているようだ。
これはこれでキツい話である。

その人に確認すると
「理想としているのは、入荷してから一度も欠品せずに計画通りの枚数が販売でき、シーズン終わりには在庫が残らないように売り切れる体制」だという。

いやはや、そんなことができれば神業である。
そんな神業を持った人ならユニクロにずっと在籍する必要もないから、さっさと独立していると思うのだが。

その体制はアパレル各社にとっても理想である。
理想を追求する姿勢はたしかに必要だ。常に現実との妥協ばかりでは進歩はない。
しかし、実現不可能な高すぎる理想を過度に追求するのもどうかと思う。

とは言っても、ユニクロはファッション衣料というより実用衣料の要素が大きい。
気温の上下で売れ行きが大きく左右される。
極度に暑くなったり寒くなったりすると明らかに店頭が活性化する。

11月に入ってから急激に冷える日が何日かあった。
そんな日の平日昼間にキューズモールのユニクロを覗いてみると、レジには長蛇の列ができていた。
ヒートテックやウルトラライトダウンやセーター類などを買うお客がズラリと並んでいたというわけだ。

逆に気温が高かった10月の売れ行きはあまり芳しく既存店売上高は前年比13・8%減だった。

まあ、それほど気温要因に左右される。

その人が言ったのか、他の誰かが言ったのかを思い出せないのだが、「有名デザイナーを高額な契約金で雇ったり、いろんな施設を作ったりするような金があるなら自社専用の気象観測衛星でも打ち上げてもらいたい」という言葉を耳にしたことがある。
冗談めかした言葉ではあるが、神業の販売計画を達成するためにはそれが必要不可欠だというのが本音なのだろう。発言主の気持ちはよくわかる。

そんなわけで、神業的販売計画達成のためには気象観測衛星ユニクロ1号の打ち上げが待ち望まれている。(笑)

変わらなければ生き残れない

 先日、過激すぎるとの抗議によってホクトのキノコのCMが放送中止になった。
日曜日の朝以外はあまりテレビを見ない筆者であるから、このCMをテレビ画面で見たことはない。
興味本位でyoutubeを検索して見てみた。なるほど、過激と言えば過激だ。
だが、面白いしインパクトがある。視聴者の印象に残りやすい。

このCMの放送中止を受けて、いくつかの報道記事を読んだが、放送中止という事象のみを採り上げただけにすぎないものが多かった。その中で日経ビジネスオンラインの昨日の記事はホクト側の狙いも書かれてあり秀逸だったと感じる。

「立派なキノコ」のCMはなぜ生まれたのか
キノコ大手、ホクトの決断と異常気象の接点
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20131118/255999/

とくに注目したいのがホクト側の決意である。
食品業界にあまり詳しくない筆者はホクトがどんな企業なのかあまり知らない。
そこで記事はホクトの業界における位置付けを説明してくれている。

ホクトの主力商品はエリンギ、マイタケ、ブナシメジなどの食用キノコ。中でもエリンギでは4割強、ブナシメジも3割強のシェアを押さえる食用キノコ業界の最大手だ。

とのことである。

その最大手が危機感を覚え、画期的ともいえるテレビCM作りに着手したのである。

業績を見れば、その答えが見えてくる。

 ホクトの売上高を見ると、2009年3月期以降、2012年3月期までは微増。2013年3月期はわずかに前年比を下回ったものの、ここ数年500億円前後で推移している。

 一方、営業利益は大きく変動している。2009年3月期から2011年3月期までは順調に成長を続けてきたが、2012年には前の期に比べ約2割減少。さらに2013年3月期は前の期に比べ7割減にまで落ち込んだ。2011年3月期には98億6100万円あった営業利益が、わずか2年で23億5900万円まで激減している。

 売上高はほとんど変わらないのに利益だけが目減りする。その大きな要因と思われるのが、食品スーパーなどによる特売の増加だ。

(中略)

その中にあって、キノコ類は工場栽培によって安定供給が約束されている。売り場の目玉とするには格好の存在となった。その結果、特売などで扱われる回数が増えていった。

これがホクトの利益を圧迫した。さらに2014年4月には消費増税が控えている。消費者の節約意識が高まり、食品スーパー側も必死で利益を確保すべく、食品メーカーなどへの圧力は増すと考えられる。つまりホクトにとって、商品の販売環境が今よりも良好になるとは考えにくい。

 中長期的に見ても、日本が今後、本格的な人口減少時代を迎えることは間違いない。消費者が財布の紐をゆるめず、また胃袋の数そのものも減り続けていけば、確実にキノコの販売数は落ちる。たとえ日本国内でトップシェアを誇る商品を2つ抱えていたとしても、売上高が今後も伸びるわけではない。

この危機感から

そんな危機感が、超安定企業のホクトを奮い立たせた。

 「我々は変わらなければいけない。チャレンジしよう」。そう決断して乗り出したのが、今回のテレビCMだった。

 テレビCMによって多くの人がキノコに注目するようになれば、キノコ市場全体が活性化される。停滞気味のキノコ市場に一石を投じ、食卓でのキノコの利用頻度を増やしてもらいたいという思いが、ホクトを動かした。

「普段食品スーパーに行かない男性や10代の若い世代にも、ホクトの名前を覚えてもらうことができた」と同社の小竹貴子取締役は振り返る。「過激すぎる」といった負の反響も出たものの、確かに「キノコ=ホクト」というイメージは、消費者に強く刷り込まれたはずだ。

(中略)

トップシェアの老舗企業でさえ、生まれ変わらなければ存続できない。ホクトのテレビCMは、その挑戦の最初の一歩だった。

とのことである。
業界トップシェアの企業でありながらこの危機感と、挑戦性には感服するほかない。

ある程度の「負の反響」が出るのは想定済みだったのではないか。それでもやると決めた姿勢は評価に値する。
翻ってみて、繊維・ファッション業界はどうだろうか。多くの「老舗」はそこまで腹を括っているだろうか?
前年踏襲型の企画、店作り、商慣行に浸りきっていないだろうか?それらの「老舗」はホクトのように業界で圧倒的シェアを占めているわけではない。老舗とは言っても位置付けは中堅である。
先進的なことをやっているつもりのSPAやギャル系ブランドですら、タレントとのタイアップ、読モのプロデュース商品、と各社決まりきった手法しか打ち出せないでいる。
異なっているのは各々が起用するタレントと読モだけであろう。

大手でも老舗でもないが、ホクトの取り組みは短パン社長を彷彿とさせる部分がある。
短パン社長率いるレディースニットブランド「フラムクリップ」の今月の展示会案内状は以前も紹介した。

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感想はいろいろだろう。
筆者もちょっと変態チックだと思わなくもない。(笑)

自身のブログにも書かれているが、
「ふざけているんですか」「もう送ってこないでください」
という反響もあったという。そういう反応を示す人の気持ちはよく理解できる。(笑)

ただ、フラムクリップのような零細に近いブランドが「シュっ」と澄ました案内状を百年作り続けたところで業界関係者の興味も、一般消費者の関心も惹くことはない。

業界は異なるといえど、キノコ業界最大手のホクトが見せた挑戦性は繊維・ファッション業界も大いに参考にすべきではないか。

ダブルミーニング

 食品の産地偽装報道が連日続いており、ちょっと食傷気味でもある。

繊維・ファッション業界にも偽装っぽい表示や表記はけっこうある。
某コンサルタントに言わせると「弱り切った繊維業界なんて叩いても仕方がないから飛び火はしないだろう」とのことだが、個人的には今後、繊維製品に対する視線も厳しくなるのではないかと考えている。

明らかに偽装というわけではないが、ちょっと紛らわしい表記の一例として「児島デニム」を取り上げたい。
最近、デニムには二つの意味があり、文脈で使い分けられることが求められる。

一つは、デニム生地の意味
もう一つは、デニムパンツ(=ジーンズ)の意味である。

児島というのは岡山県倉敷市児島のことだ。

児島デニムの「デニム」がデニムパンツの意味であるなら、それは正しい表記である。
児島にはジーンズアパレル、縫製工場、洗い加工場が多数ある。
児島地区でジーンズを製造しているのは間違いのない事実である。

しかし、デニムがデニム生地のことを指しているならそれは誤った表記である。

なぜなら児島には織布工場がないからだ。
児島ではデニム生地は織られていない。

デニム生地の織布工場が集積しているのはおもに岡山県井原市周辺と広島県福山市周辺に限られている。

だから「児島デニム」のデニムがデニム生地を指しているのならそれは明らかな誤表記である。

ただし、人々が「児島デニム」と口にする際の「デニム」はどちらを指しているのか判然としない。
個人的体感で言うなら、明らかに「デニム生地」を意味していると思われる文脈で使用される人も一定数量いらっしゃると感じる。
会話の中で出てくる際に、いちいち「児島にデニム織布工場はありませんよ。あなたは誤認識していらっしゃいますよ」と訂正するのも無粋な話であるから、聞き流している。
けれども表記されているなら話は別ということになる。

まあそんなわけで産地偽装や虚偽記載がこれだけ話題となったのだから、今後は表記に細心の注意を払った方が良いのではないかと思う。

基本的な告知活動について

 ご存知の方は読み飛ばしていただきたい。

今回はひどく基本的なことを書いてみる。
最近は、産地製造業や工場が自社オリジナル製品を立ち上げることが増えた。
そのため、自社の新製品のことを報道機関に告知する。
その告知の方法の一つとしてプレスリリースがある。

自社の製品やサービスの特徴や利点をわかりやすい文章にして報道機関に送るわけである。
これを読んだ報道機関は、ほとんどそのままの形で掲載ないし報道することもあれば、ネタとして取っておいて、後にいくつかの事例と合わせて紹介することもある。

自社製品の特徴や利点を文章にするといっても、主観バリバリの文章は問題外で、ある程度の客観性が求められる。根拠もなく「当社の製品は本当に良い製品なのです」なんて主張はまったく無意味だし、科学的・歴史的根拠もないのに「世界最高の品質です」なんて煽り文句は逆効果になる。

もう一つ、注意が必要なことがある。
プレスリリースを作成し、送付したとしても、必ずしも掲載・報道されるわけではないという点である。
プレスリリースを受け取って掲載・報道するかどうか決めるのは報道機関である。
そのためにプレスリリースによる掲載・報道は無料なのである。

例えば「いつごろに掲載されますか?」と広報担当者や広報代行業に尋ねられても、明確な返事をすることは不可能である。

掲載されるかもしれないし、されないかもしれない。
されるとしたら明日掲載されるかもしれないし、忘れた頃、例えば半年後や1年後に何らかの形で掲載されるかもしれない。
プレスリリースを送付するというのはそういう告知活動なのである。

希望した日時に必ず掲載してもらおうと思うならそれはプレスリリースではなく、それは広告出稿であり、もしくはタイアップ記事(記事広告)である。
通常の広告は純広告といい、記事形式になった広告をタイアップ記事もしくは記事広告と呼ぶ。
どちらももちろん料金が発生する。

料金は媒体と掲載スペースによってさまざまだが、業界紙なら数万円~100万円くらい、ファッション雑誌なら1P100万円くらい、一般紙(大手新聞)なら数十万~数千万円くらいを目安に考えておくとそれほど大きな誤差はないだろう。
純広告よりも記事広告の方を高めに価格を設定している媒体も多い。ファッション雑誌でも記事広告の方が高価な場合が多い。

製造業者や工場が自社製品や独自サービスを新開発することはまだまだ続くだろうから、以上のことを念頭に置いて告知活動をなさることをお勧めする。

一時代の終焉

 大阪市内ではかつてのお洒落スポットだった南船場4丁目、堀江地区の凋落が激しい。
南船場4丁目では物販店は一部を除いて入れ替わりが非常に激しい。新規店はすぐに閉店して入れ替わる。
比較的長期続いているのは飲食店ばかりという印象だ。

堀江地区も似たような印象があるが飲食店は南船場よりも少ないと感じる。

堀江地区といえば、ブランド路面店が両側にずらりと並んだ「立花通り」が有名だったが、ここも最近、有名ブランドの撤退が相次いでいる。
中でももっとも衝撃的だったのは、10月6日に「APC」が閉店したことだろう。
ちなみに「APC」は新店をなんばパークス内にオープンしているので、どうしても商品が欲しい方はそちらに行かれることをお勧めする。

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以前、といっても10年以上前のこと。立花通りが活況を呈していたころ、APCが入居していたビルのオーナーに取材したことがある。
APCの誘致に成功したことで、寂れた家具屋と仏壇屋ストリートだった立花通りがファッションストリートへと変貌したという話だった。
立花通りの街興しの起爆剤となったAPCが撤退したということは、何だか時代の変遷を象徴しているように感じる。
立花通りの路面店を閉店して、なんばパークスへ移転。
路面店を廃止して、商業施設内へ。一部の有力商店街以外は、日本全国どこでもこの流れではないだろうか。

立花通りからの有名ブランドの撤退は相次いでいる。
アンドA、ローリーズファーム&ハレ、アメリカンラグシー、CA4LAが撤退し、今夏はRニューボールドも撤退した。
ついでにいうと、いつもドアが閉まっていて入りづらかったヒステリックグラマーだが、いつのころからかドアを開けっ放しにしている。店舗のセオリーからするとドアは開けっぱなしの方が客は心理的に入りやすい。
閉めっぱなしのドアを開けなければならないほど、店に来る客数が減っていたのではないかと感じてしまう。

新規店の参入もあるが、今春オープンしたASOKO以外は割合に小粒という印象は否めない。
もっとも、ASOKOの客層が従来の立花通りを贔屓にしていた客層かというとそうでもない。いつも満員の店頭を定期的に観察していればわかるが、10年前に堀江地区を盛り上げた客層に近い感覚の人は半分くらいだろうか。

さらに言えば、ASOKOは活況を呈しているが、周りの店舗への波及効果は少ないように見える。
実際に統計を取ったわけではないので、あくまでも印象論だが、ASOKOで買い物をした客が周辺店舗でも買い物をしているようにはあまり見えない。
そういう意味でも周辺店舗とは客層が異なるのではないかと推測している次第だ。

近年の堀江地区の様子を見ていると、地盤沈下に打つ手なしに見えるのだが、実はそうでもないらしい。

以前に比べると、堀江地区界隈には30代くらいの若い子連れ夫婦の住居が増えたと聞く。
昔の堀江地区は20代の若者向けにブランドを集積し活況を呈していたが、現在、堀江地区で若者の姿を見かけることは以前より減っている。そうなると当然若者向けブランドは運営が苦しくなる。撤退しても当然である。

そこで、最近増えている若い夫婦に向けた店を増やせば良いと提案する人もいる。
若者向けに特化したブランド集積を続けるよりははるかに効果的だと思われるがどうだろうか?

堀江地区を見渡すとそういう店はまだあまり多くない。
いもしない若者に向けて街興しをPRするよりも、近隣に住まう30代夫婦に向けてPRしたほうが得策ではないか。

某広告代理店の人が「堀江をもう一回アピールするような企画をやりたい」とおっしゃっているが、彼の企画ではどんな人をターゲットにするかが明確ではない。ターゲットの明確でない企画に誰が乗るのか。おそらく彼はターゲットを自分のクライアント企業に合わせようとしているので、いまだに若者向けの企画を考えている節がある。
もし実現したとしてもそれはほとんど効果を発揮しないだろう。

そういうわけで、堀江地区を再興したいのなら、30代夫婦に向けた企画を練るべきだろうと考える。

ちなみにこのまま何も手を打たなければ、間違いなく地盤沈下はますます進む。

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