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南充浩 オフィシャルブログ

変わらなければ生き残れない

2013年11月21日 未分類 0

 先日、過激すぎるとの抗議によってホクトのキノコのCMが放送中止になった。
日曜日の朝以外はあまりテレビを見ない筆者であるから、このCMをテレビ画面で見たことはない。
興味本位でyoutubeを検索して見てみた。なるほど、過激と言えば過激だ。
だが、面白いしインパクトがある。視聴者の印象に残りやすい。

このCMの放送中止を受けて、いくつかの報道記事を読んだが、放送中止という事象のみを採り上げただけにすぎないものが多かった。その中で日経ビジネスオンラインの昨日の記事はホクト側の狙いも書かれてあり秀逸だったと感じる。

「立派なキノコ」のCMはなぜ生まれたのか
キノコ大手、ホクトの決断と異常気象の接点
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20131118/255999/

とくに注目したいのがホクト側の決意である。
食品業界にあまり詳しくない筆者はホクトがどんな企業なのかあまり知らない。
そこで記事はホクトの業界における位置付けを説明してくれている。

ホクトの主力商品はエリンギ、マイタケ、ブナシメジなどの食用キノコ。中でもエリンギでは4割強、ブナシメジも3割強のシェアを押さえる食用キノコ業界の最大手だ。

とのことである。

その最大手が危機感を覚え、画期的ともいえるテレビCM作りに着手したのである。

業績を見れば、その答えが見えてくる。

 ホクトの売上高を見ると、2009年3月期以降、2012年3月期までは微増。2013年3月期はわずかに前年比を下回ったものの、ここ数年500億円前後で推移している。

 一方、営業利益は大きく変動している。2009年3月期から2011年3月期までは順調に成長を続けてきたが、2012年には前の期に比べ約2割減少。さらに2013年3月期は前の期に比べ7割減にまで落ち込んだ。2011年3月期には98億6100万円あった営業利益が、わずか2年で23億5900万円まで激減している。

 売上高はほとんど変わらないのに利益だけが目減りする。その大きな要因と思われるのが、食品スーパーなどによる特売の増加だ。

(中略)

その中にあって、キノコ類は工場栽培によって安定供給が約束されている。売り場の目玉とするには格好の存在となった。その結果、特売などで扱われる回数が増えていった。

これがホクトの利益を圧迫した。さらに2014年4月には消費増税が控えている。消費者の節約意識が高まり、食品スーパー側も必死で利益を確保すべく、食品メーカーなどへの圧力は増すと考えられる。つまりホクトにとって、商品の販売環境が今よりも良好になるとは考えにくい。

 中長期的に見ても、日本が今後、本格的な人口減少時代を迎えることは間違いない。消費者が財布の紐をゆるめず、また胃袋の数そのものも減り続けていけば、確実にキノコの販売数は落ちる。たとえ日本国内でトップシェアを誇る商品を2つ抱えていたとしても、売上高が今後も伸びるわけではない。

この危機感から

そんな危機感が、超安定企業のホクトを奮い立たせた。

 「我々は変わらなければいけない。チャレンジしよう」。そう決断して乗り出したのが、今回のテレビCMだった。

 テレビCMによって多くの人がキノコに注目するようになれば、キノコ市場全体が活性化される。停滞気味のキノコ市場に一石を投じ、食卓でのキノコの利用頻度を増やしてもらいたいという思いが、ホクトを動かした。

「普段食品スーパーに行かない男性や10代の若い世代にも、ホクトの名前を覚えてもらうことができた」と同社の小竹貴子取締役は振り返る。「過激すぎる」といった負の反響も出たものの、確かに「キノコ=ホクト」というイメージは、消費者に強く刷り込まれたはずだ。

(中略)

トップシェアの老舗企業でさえ、生まれ変わらなければ存続できない。ホクトのテレビCMは、その挑戦の最初の一歩だった。

とのことである。
業界トップシェアの企業でありながらこの危機感と、挑戦性には感服するほかない。

ある程度の「負の反響」が出るのは想定済みだったのではないか。それでもやると決めた姿勢は評価に値する。
翻ってみて、繊維・ファッション業界はどうだろうか。多くの「老舗」はそこまで腹を括っているだろうか?
前年踏襲型の企画、店作り、商慣行に浸りきっていないだろうか?それらの「老舗」はホクトのように業界で圧倒的シェアを占めているわけではない。老舗とは言っても位置付けは中堅である。
先進的なことをやっているつもりのSPAやギャル系ブランドですら、タレントとのタイアップ、読モのプロデュース商品、と各社決まりきった手法しか打ち出せないでいる。
異なっているのは各々が起用するタレントと読モだけであろう。

大手でも老舗でもないが、ホクトの取り組みは短パン社長を彷彿とさせる部分がある。
短パン社長率いるレディースニットブランド「フラムクリップ」の今月の展示会案内状は以前も紹介した。

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感想はいろいろだろう。
筆者もちょっと変態チックだと思わなくもない。(笑)

自身のブログにも書かれているが、
「ふざけているんですか」「もう送ってこないでください」
という反響もあったという。そういう反応を示す人の気持ちはよく理解できる。(笑)

ただ、フラムクリップのような零細に近いブランドが「シュっ」と澄ました案内状を百年作り続けたところで業界関係者の興味も、一般消費者の関心も惹くことはない。

業界は異なるといえど、キノコ業界最大手のホクトが見せた挑戦性は繊維・ファッション業界も大いに参考にすべきではないか。

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