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南充浩 オフィシャルブログ

エドウインが事業再生ADRを申請

2013年11月28日 未分類 0

 これに触れないわけにはいかない。
昨日、国内ジーンズメーカー最大手のエドウインが事業再生ADRを申請した。

エドウインの状況については東京商工リサーチの記事がもっとも詳しい。
おそらく業界紙を含めてもエドウインの内部事情をここまで詳細に書いた記事は見当たらないだろう。
筆者も反省することしきりである。

国内ジーンズ最大手、(株)エドウインが事業再生ADR申請
http://www.ma-cp.com/yougo/65.html

(株)エドウイン(TSR企業コード:290779600、荒川区東日暮里3-27-6、設立昭和44年9月、資本金5600万円、常見修二社長)と、グループ会社28社のうち金融債務のある16社の計17社は11月26日、事業再生実務者協会に対し事業再生ADR手続きの利用を申請した。

 エドウインは、国内ジーンズメーカー最大手、エドウィングループの中核企業。昭和22年、繊維製品を販売する「常見米八商店」として創業し、44年9月にエドウインが設立された。いわゆる「アメカジブーム」を追い風としてジーンズメーカーとして業容を拡大し、63年5月には製造部門を(株)エドウィン商事(TSR企業コード:295130784、同所)として分離。国内グループ企業28社を擁し、生産拠点は東北を中心に12カ所にのぼっている。

 グループで「EDWIN」ブランドを中心とするジーンズを製造、販売し、取り扱いブランドは「EDWIN」のほか「SOMETHING」、「C-SEVENTEEN」、「Gold Rush」など。「EDWIN」の「503」拡販に際してはハリウッドの人気俳優のブラッド・ピットを起用したことで話題を呼んだ。また、オリジナルブランドに加え、米国3大ジーンズブランドの一角を占める「LEE」、「Wrangler」の日本における商権を獲得し、売上高は卸売部門のエドウインが平成25年5月期で約261億円、企画・製造部門のエドウィン商事が24年1月期で約300億円をあげていた。

 しかし、ファストファッションの台頭に加え、東日本大震災の影響などから近年の業績は伸び悩んでいた。また、デリバティブ損失の発生なども噂されていた。
 こうしたなか平成24年8月、グループの経理責任者が急死し、その原因が証券投資の失敗などによる200億円の損失隠しにあることが報じられた。その損失発生に関連して、不適切な会計処理が行われていた可能性があるとしてエドウインに第三者委員会が設置され、これに伴い、グループ全体の動向が注目されていた。
 その後、取引銀行による10数回にわたるバンクミーティングを開き経営再建策を模索していたが、取引銀行の間でも意向の足並みがそろわず、再建計画の策定がなかなか進んでいなかった。

 一方、今年10月21日には都内で取引先約130社を集め説明会を開催。席上では、エドウインのフィナンシャルアドバイザーである野村総研から、業績や資金繰りに問題がないことが伝えられたが、具体的な再建策などについて詳しい説明がなく、関係先の間では困惑の声もあがっていた。

 すでに返済の一時停止は行われているが、今回の事業再生ADR申請は第三者的な検証を目的としたもの。再建計画についても同様に検証されていく予定。今後、継続しているスポンサー選定とともにエドウィングループの再建に向けての動向が注目される。

とのことである。

昨年8月に損失や債務超過が発覚した直後には経営再建の支援について伊藤忠商事、豊田通商、ワールドが手を挙げたと報道されたが、その後立ち消えになって約1年である。
つい最近、何社かの小売店の社長にお会いする機会があったが、取り引き関係のある彼らですら「エドウインさんのその後はどうなったんでしょう?」と心配されていたほど、この手の情報は業界に漏れてこなかった。

民事再生法、会社更生法、破産とは異なるADRとは何かというと、

http://www.ma-cp.com/yougo/65.html

事業再生ADRとは、
2007年より施行された過剰債務に悩む主に大企業向けの事業再生の新手法で、
訴訟手続きによらず中立的立場の専門家を介して紛争解決を図る方法。
※ ADR(Alternative Dispute Resolution)の略で、裁判外紛争解決手続の意味。

当事者間の話し合い(私的整理)と、裁判所による裁断(法的整理)の中間に位置する手続きで、
具体的には、仲裁、調停、斡旋などの種類があり、
認証紛争解決事業者であるJATP(Japanese Association of Turnaround Professionals 事業再生実務家協会)が仲介に入り、事業再生計画に基づいて当事者間の仲裁や調停を行う。

メリットとして以下が挙げられる。
・取引金融機関への影響に限定されるため、民事再生法などと違い、一般取引先との関係が維持され、事業価値の毀損が少なくて済む。
・手続き期間が短いため、早期に再生が図れる。
・期限切れ繰越欠損金と債務免除益の相殺など、税法上の特例も受けられる。

とのことである。

エドウインの営業活動は今日も続いており、記事中でもあるように「業績や資金繰りに問題がない」とのことであるし、実際に店舗取材を行っても、売れ筋ランキングにはエドウイン、リー、サムシングの商品が必ず何型かランクインしている。そういう観点からするとエドウインの経営再建は十分に可能だろうと思う。

現時点では決して倒産ではないが、公平な目から見て、経営破綻したと言わざるを得ない。

さて、今後であるがどのようか形になるのかはわからないが、経営再建は十分可能だろう。ただし、再建されたエドウインはこれまでとは全体の人員、社内の雰囲気、販売政策などが大きく異なることになるだろうと推測する。

新体制になるであろうエドウインの今後に筆者は逆に期待してみたい。
それは少し楽観的に過ぎるだろうか?

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