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南充浩 オフィシャルブログ

製造加工業

衣料品の「製造の多層化」が進む理由

2021年7月8日 製造加工業 2

猫も杓子もD2Cで笑えてくるのだが、有象無象のD2Cが増えすぎ、わけのわからない仕入れ品販売までがD2Cを名乗っている。 そういう有象無象のD2Cは必ず「中間段階を排除して割安な良品を提供する」と唱えるのだが、欧米各国の事例は知らないが、我が国内でいうなら、流通段階はこの25年間くらいでかなり整理されている。 問屋が何重にも介在するなんてことは、ほとんど無く

「技術力の高さ」のみでは国内の生地製造業者は立ち行かない

2021年6月29日 企業研究 0

極薄生地「天女の羽衣」を開発した天池合繊の倒産は、全国の生地製造業者には大きな衝撃を与えたと感じる。 実際に、そのように感想を述べる生地製造業者も幾人か身の周りにおり、個人的には天池合繊への面識はないものの、天女の羽衣自体は知っているため有体に感想を述べれば、同様に「驚いた」というところである。 天池合繊の倒産については前回のブログをどうぞ。  

値段が高くて取扱いの難しい生地はいくら技術力が高くても売れない

2021年6月28日 経営破綻 1

極薄生地である「天女の羽衣」で業界内には知られる天池合繊が破産申請した。 負債総額は3億5000万円。 今回はこのWWDの記事が最も詳しく適切である。   世界最軽量「天女の羽衣」の天池合繊が破産申請、世界で高い評価 | WWDJAPAN   様々な媒体で「天女の羽衣」は他社が引き継ぐと報道されているが、WWDの 「天女の羽衣」は小松マテ

必需品でもあり「趣味の一品」でもあるのが洋服

2021年6月21日 未分類 4

SNSをやり始めて11年くらいになる。 繊維の製造加工業者も手軽に発信ができるようになったのは非常に良いことである。自分がSNSを開始したころは、製造加工業者の中でも「進んでいる」と言われた人たちしかやっていなかった。 当時、国内の製造加工業者はSNS上で「工賃が安すぎる」「安物のファストファッションは悪だ」という主張を繰り返していた。 11年が経過した。

大手セレクトこそ実店舗が重要

2021年6月17日 売り場探訪 4

つい数日前にこんな内容の連絡があった。 知り合いのOEM業者からである。 「大手セレクトショップ各社が厳しい。発注を絞っていたり期中対応が増えていたりする。ECが好調と言われる『あの』大手セレクトも仕入れは絞っているのでトータルでは厳しいようだ」 との内容である。 実際の連絡には全て社名が書かれていたのだが、あえて社名は伏せておく。   大手セレク

物を売るには「営業担当者」と「見せ方」が重要

2021年6月9日 企業研究 2

良い物を作れば必ず売れる。 そう考えている日本人はまだまだ多い。 漫画やドラマ、映画のように、名もない会社が素晴らしい新製品を開発し、それを縁もゆかりもない大手企行が見つけて即採用し、バカ売れする。 そんなことは現実ではほぼ起こり得ない。 特に繊維・衣料品業界ではほとんどそんな事例を見かけたことがない。ゼロではないが、それは宝くじに当たる程度の低確率だと考え

「日本製生地の良さって何?」という難問

2021年6月8日 産地 1

先日、久しぶりにClubhouseという音声SNSを使って山本晴邦さんと話をした。 自分が使うのは1ヶ月半ぶりくらいだろうか。今年春先の異様なブームのときに試しにインストールしてみたが、4月以降はほとんど使わなくなった。 理由は、喋る相手がそれほどいないからだ。また他人の話を毎日聞くほど他人に興味がない。 短かったブームの頃には「次世代SNS」とか散々に持ち

物作り系ブランドが苦戦しやすい理由

2021年6月2日 企業研究 3

これまで、何度も製造加工業や老舗メーカーが企画製造した衣料品がなぜ売れにくいのかということを書いてきたが、当方の拙さのために伝わらないことが多かった。 これは工場発のブランドもそうだし、ジーンズやワイシャツ、スーツなどの専業老舗アパレルメーカーも同様である。 「物」自体の作り込みや品質の高さを追求するのは当然のことだが、ともすると、それの実現にのみ注力してし

エドウインが直営国内4工場を閉鎖へ

2021年5月31日 ジーンズ 2

週末に、国内最大手のジーンズメーカー、エドウインが子会社のジーンズ縫製工場である秋田ホーセなど秋田県内の4工場閉鎖を発表した。 秋田ホーセ、秋田の4工場閉鎖へ エドウイン子会社: 日本経済新聞 (nikkei.com)   ジーンズ国内最大手のエドウイン(東京・品川)の全額出資子会社、秋田ホーセ(秋田県五城目町)は秋田県内の4工場を閉鎖する。新型コ

「過剰な高品質アピール」は衣料品ビジネスではあまり役に立たない

2021年5月27日 製造加工業 0

このところ、三陽商会のニュースがあちこちで伝えられており、もちろん良い書かれ方ばかりではないが、広報的にはかなり頑張っているのではないかと思って見ている。 復活への模索が伝えられるのだが、その中で時々気になる表現に出くわす。 これはSNS上にいる製造加工業者やファッションこだわり派からも、似たような見解が10年前から唱えられ続けているのだが「高品質」「品質」

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