
必需品でもあり「趣味の一品」でもあるのが洋服
2021年6月21日 未分類 4
SNSをやり始めて11年くらいになる。
繊維の製造加工業者も手軽に発信ができるようになったのは非常に良いことである。自分がSNSを開始したころは、製造加工業者の中でも「進んでいる」と言われた人たちしかやっていなかった。
当時、国内の製造加工業者はSNS上で「工賃が安すぎる」「安物のファストファッションは悪だ」という主張を繰り返していた。
11年が経過した。
主張している人物が交代しただけで、主張している内容はまったく変わっていない。
11年前にAさんという人が主張していたが、いつの間にか消えて、11年後に年齢もまったく異なるBさんがSNSデビューをして同じ主張をしている。
当方にはそう見える。
しかし、この主張はあと何十年繰り返したところで、洋服の販売価格はそう変わらないだろうと思う。
消費者物価が上がればそれにつれて価格は上がり、工賃も上がるだろうが、物価も同様にスライドしているので生活感としては今とそう変わらないだろう。
当方は常々、洋服というのは全裸で暮らすわけにはいかないから、必需品であるとともに、趣味の一品となっているとこのブログで書いてきた。
洋服にいろいろと凝るのは趣味の一つに過ぎないと今も思っている。ただし、必需品の側面もあるから、他の趣味とは異なり間口は広い。洋服を着たことがない人は日本にはいない。そのため、他の趣味と比べると甲論乙駁が広く行われやすい。
先日、ブログのコメント欄にこんなコメントをいただいた。
『冷蔵庫とかパソコンに10万20万円出すのは悩むけど、服は悩まず買っちゃうんだよねぇ』みたいな会話してて、服好きな業界人の価値観は一般人とは違うんだなぁ、と思いましたw
である。
まさに、これが一般大衆の感覚だろう。
当方も同様である。10万円のエアコンなら買うが10万円の服はよほどのことがない限りは買わない。今使っているパソコンが壊れたら、8万円くらいのパソコンは買うが、8万円の服は買わない。
世の中には趣味が様々ある。趣味も年々多様化している。
このブログで何度かとりあげているBMCの青野睦社長に影響され、Superペーパーライダーである自分も中型バイクにチャレンジしてみようかと思ったことがある。1カ月ほど前のことだ。
今の世の中はパソコンとスマホでどんなバイクがあるのかを簡単に調べられる。
レアな車種の中古で云々なんてことは全く眼中にないから、国産の今の新車を調べてみた。調べてみてその価格の高さに驚いた。安くてもだいたい50万円弱である。高い物だと100万円を越える。
根っからのバイク好きではない当方からすると「異様に高い」と感じられる。
また100万円あれば軽自動車を買った方がマシではないかとすら思った。
だが、バイクが趣味の人からすると、「あのメーカーのあの車種が50万円なら安い」という風になる。
また、当方は家族がいなくなって、仕事をする以外の時間が暇になったので、ガンダムのプラモデルを7年前から作り始めた。
凝った器具なんてないので、そんなに上手いわけではないが、毎月2~3個くらいのガンプラを買っている。
数百円から3000円くらいまでのハイグレード(例外は数種類ある)か、3000~6000円くらいのマスターグレードを買うばかりだが、ガンプラにはさらに上の2万円くらいするパーフェクトグレードがある。
長年ガンプラを作り続けてくると、1000円のガンプラなら安い、3000円くらいなら値ごろ、5000円か6000円くらいでも仕方がないと感じ始めてきた。
何なら、2万円台のパーフェクトグレードさえ「さほど高い」とは感じなくなってきている。
しかし、どうだろうか?一般の人からすると2万円台のガンプラは高いだろう。当方が買っている服よりもはるかに高い。
スーツ類を除いて1万円を越える単品服をこの10年間は買ったことがない。だが、ガンプラなら5000円とか6000円でも買ってしまうことがある。(もちろん、最低でもジョーシンで2割引きだが)
ガンプラに興味の無い人からすると5000円のガンプラだって高いのではないかと思う。
洋服も同様ではないかと思う。
2005年頃までのように、数万円の服と3000円の服で明確に見た目にも差があった時代だと、高くてもそういう見た目の服を買いたい、嫌だけど買わざるを得ない消費者が多数いた。
当方だって94年当時はバーゲン値引きされて6万円に下がったスーツを買ってしまっている。
だが、2000年代後半に入って、低価格品と見た目はあまり変わらなくなって(縫製仕様などは異なるが)しまうと、低価格服で構わないと考える人が増えるのは当然だろう。
それでも高価格な服にこだわるということは最早、それは「趣味の世界」であり、当方が「2万円のガンプラを買ってみようかな」と思うのと一緒だし、「ついつい50万円で新バイクを買っちゃったよ」というバイク好きと同じである。
そのあたりの心理を理解せずに「安い服はケシカラン」「服は人が作っているから高いんだ」と叫び続けたところで「同好の士」からの賛同は得られても、大衆からの支持は得られないだろう。
当方にとっては、「同好の士」同士で作ったり買ったりしていればいいのではないかとしか思えない。なぜ、マスに対して「自己都合」で高い服を売りたがるのか理解できない。
comment
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とおりすがりの元・服売り より: 2021/06/21(月) 2:05 PM
人それぞれ、物に対する価格の高い・低いの基準は違う。
これって本来、洋服に限らずあらゆることに言えるはずなんですけどね…。
第三者的視点というか、外から見たときにどう思うか?って視点があれば、さほど違和感のないというか、当たり前の話だと思うんですが。
そうではない方がままいる、ということなのでしょうか?自分は現在SEで、パソコンというかパソコンゲームが趣味ですが、パソコンだといろんなメーカーが作っていますから、さらに細かい基準になってきますよね。
例えば、同じ値段でもメーカーAはこれだけスペックあるけど、メーカーBはそうでもない。
代わりにメーカーBではこのパーツを使ってるので…とかなんとか。特定のジャンルに絞ってその趣味の人であっても、価格に対しどこを重視するか?は全然違うように感じます。
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BOCONON より: 2021/06/21(月) 9:26 PM
今回の記事,「御説御尤も」・・・と言うよりは「そりゃ当たり前でしょ」という気がしますね。洋服を趣味にしていて,安くはない服でも気に入れば買う人間なんて昔からそんなに沢山いた筈がない。僕は中小企業にしか勤めた事がないけど,僕以外特に服好き,あるいは服にお金かけてる人間は(社長や重役,社長の息子でもなきゃ)あんまり見た事がない。大方は「タカキューは高い」なんて言ってるレヴェルでした。
つまりは程度の問題ですね。最近は収入格差がひどくなるばかりで百貨店やセレクトショップで買い物する人は減る一方だ,という話。それは致し方ない所はあるけれど,だからって「クルマなんて必要ない」「ファストフード食べて,スマホで気晴らしして,服はユニクロや GU やワークマンでじゅうぶん」「一生アパート暮らしでいいや」なんて言ってしまえばそれは最早人生お仕舞いみたいなものではないですか? それは日本の社会とその将来のためにも良い事じゃありますまい? 僕はそう思いますよ。
こんな事はあまり言いたくないが,「安い服でじゅうぶんさ」と言っているような人も,「そのネクタイ変」「靴が黒でベルトが茶ってw」などと言われれば皆口惜しそうに「オレはき,気にしない!」などと言うものですからね。あんまり「すっぱいブドウの論理」的な話は聞きたくないです。(誤解のないように申し添えておきますが,僕は洋服にお金かけない人をバカにしているのではありません。僕も20代の頃は本とレコードしか買わないような生活だったから,その頃の服装なんて思い出したくもないような有様であります)。
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ハマオ より: 2021/06/21(月) 11:30 PM
服とファッションの違いかなと思います。
南さんが言われる様に人は裸では過ごせないので服を着なければいけないので少しでも安く済ませたいと思います。
ファッションは付加価値なので人それぞれ価値感が違うので高い 安いは十人十色ですね。
自分の経験に照らしてみると
10代から30代まではファッションを楽しんでいましたが結婚して家族が増えるにつれて、
服に変化して行きました。
買場も百貨店からモールに完全に代わってしまいました。
ワードロープはユニクロのコラボが増える一方です。
そこが自分の最低限の基準になってしまいました。
なぜ、マスに対して「自己都合」で高い服を売りたがるのか理解できない。
確かにそうですね
ファッション系の専門学校の職員室 できればランチ時を覗いてみてください
エルメスのスカーフを巻いた先生が 焼きそばUFOをすすっています
セレクトショップで買い集めた 海外ブランドでまとめた先生が おにぎり1個とカップスープを食べています
身につけているものと 食事のバランスがとれていない
それが自覚できているのか いないのか
少なくとも世間の人は 欲しい服があれば 上記の食生活をしながら
何万円もするアイテムを購入すると思っていますよ
スーツもポロシャツも少し前は それなりの金額を出さないと
購入できなかった
いまはできる
その変化をわかっていない人だけを対象にしていても
「趣味」の世界は維持できても
「ビジネス」には広がらないと思いますね
しみじみ
ところで ガンダムのプラモ 作っているときは楽しいと思いますが
完成したらどうするのですか
ケースにいれて 楽しむのですか