月別: 10月 2014 (1ページ / 3ページ)

PBで低価格から高価格まではカバーできない

 日本マクドナルドの不振が止まらない。
最近では日本ばかりでなく、本国のアメリカでも不調に転じている。
米国の事情はわからないから、日本国内の事情で考えてみたい。

日本マクドナルドはこの15年、安さを武器に集客してきた。
15年もその路線が続けば、マクドナルド=安いというイメージが消費者にはこびりついている。
現に、今も100円マックは継続しており、それ目当てのお客は相当数存在するだろう。

売上高=客単価×買い上げ客数 だから、売上高を増やすには客単価か買い上げ客数のどちらか、もしくはその両方を上げること考えなくてはならない。

マクドナルドは安価で集客して、その客に高額商品を買ってもらいたいと考えている。
セットメニューがやたら高かったりするのはそのためである。
700円近くも出すなら、そこらの街の定食屋か王将で定食でも食べた方がマシである。
同じ値段でもっと満足度は高くなるし、腹持ちも良い。

安さを武器に集めた消費者というのは「安い」のが好きな人達であり、その人達に高額商品を買ってもらおうと考えていることがそもそも間違いだといえる。

洋服の場合、マクドナルドの立ち位置は外資ファストブランドやユニクロ、ジーユー、しまむらあたりに位置付けられるだろう。

彼らの自社企画商品の洋服も安い。

先日、東京のウェブメディア担当の方と話す機会があったのだが、

彼は

「ユニクロとH&Mは低価格から始まって、中価格帯を目指しているように見える。これまでファッションブランドは高価格帯ブランドがセカンドラインを作って廉価版に降りてくるというビジネスモデルしかなかったが、低価格から上を目指すというビジネスモデルをユニクロとH&Mが採っているのは面白い。これが成功すれば画期的なことだ」

と主張していて、なるほどと肯かされた。

ユニクロとH&Mの価格とイメージの上昇戦略の一つとして、デザイナーや有名ブランドとのコラボがある。

ジル・サンダーとコラボした+J、アンダーカバーとコラボしたUU、セオリーとのコラボ品、今ならイネス・ド・ラ・フレサンジュとのコラボだ。

H&Mの場合はコム・デ・ギャルソンやランバンなど、今秋のアレキサンダー・ワンとのコラボだ。

自社企画のプライベートブランド品はいくら、素材や機能やスペックを謳ったところで、ユニクロやH&Mの店舗では動きにくい。
ユニクロで50,000円のコートを買いたいと思っている人が一体どれだけ存在するだろうか。
それがブランドイメージというものである。

だったら、他の有名ブランドとのコラボ商品を投入すれば、PB品よりも一格上の価格帯を付けることができる。
PB品を扱う同じ店舗でも異なる価格帯の商品を無理なく扱うことが可能だ。

終了間際にはあまり神通力が無くなっていたように見えた「+J」だが、発売当初はすごい売れ行きであっと言う間に完売する品番もあったし、普段ユニクロなんて見向きもしないファッショニスタも店頭を見に行った。

マクドナルドもこの方式を取り入れてはどうだろうか?
飲食のことは詳しくないから素人考えで恐縮だが、著名なシェフやレストラン、著名な農園や食材ブランドなどとのコラボ商品を企画してみてはどうか。
PB品として高額品を販売することはどうみても無理がある。
繰り返しになってしまうが、人々はマクドナルドのPB品に高級感は求めていないし、そういうイメージをまるっきり持っていない。

15年以上も「安い」というブランドイメージを消費者に刷り込んできたのだから、それを払しょくするには同じくらいの時間は必要になる。

何事にもスピード感を求めるアメリカ企業には気長な取り組みはおそらく無理なのだろうが。

従業員に新社長の抑止を期待するのは無理がある

 このブログ主はときどき興味深いことを書いているので、ぜひ皆さんも定期的にお読みになることをお勧めしたい。ただし、筆者はこのブログ主とは結論が異なる場合が多い。

今朝のブログもなかなか興味深く、繊維・アパレル業界には掃いて捨てるほどある事例だ。

あなたは社長を止めれるか。
http://www.apalog.com/lemonade/archive/24

日、ある方から相談を持ちかけられた。生地商社のウェブ担当者である。同社は歴史ある中堅企業で、このほど親族が新社長に就任、その勢いのまま自社で二次製品の展開も始めた。

ウェブ担当者の話によると、ホームページを全面リニューアルしたのにアクセスとコンヴァージョンが落ちていて困っている、とのことだった。ちなみにアクセスとは訪問者数(ユニークユーザーともいう)、コンヴァージョンとは成約数(同サイトでいえばお問い合わせ数やウェブでの発注数)のことである。

ホームページを見るといやはや立派。動画やイラストなどを駆使し、最新の技術をふんだんに使っておられた。自社内で更新できるCMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入し、レスポンシブデザインを取り入れてスマートフォンへの対応も万全にしていた。一見してラグジュアリーブランドのようなそのウェブサイトの制作費用は軽く4桁を越えていた。

その資金力にも驚くが、何よりも疑問なのがそのサイト構成である。

同社のメイン顧客はアパレルメーカーである。自社企画したテキスタイルを産地企業に発注し、出来上がったサンプルを展示会などでアパレルメーカーに提案し、受注をもらうビジネスモデルだ。いわばBtoBである。さらにウェブサイト上で生地サンプルを発注できるECページ(電子商取引)があり、これが売上の20%程度を確保しているという。

二次製品事業といえば全売上げの数パーセントにも満たない状況である。

にも関わらずリニューアルしたサイトは、トップ画面に製品を着用したモデルがポーズを決めながら歩く動画が流れるなど、生地商社とは思えない構成になっている。これにより、稼ぎ頭だったECページのアクセスが激減し、伴って発注数が減ったのだという。

とのことであり、まさしく、このブログ主が指摘する通りにこんな見栄えだけにこだわったウェブサイトで業者向けの生地販売が伸びるはずもない。

つい最近、親族が新社長として就任した中堅生地商社ってどこだろうな?と考えると、2~3社思いつく。
アソコかアソコだなと。
目ぼしい企業のウェブサイトを見るとどれもまあ、指摘されたような作りになっているが、片方がより文中の指摘に近い。おそらくこの会社で間違いないだろう。
近年、さまざまなシステム構築や見栄えに湯水のごとく金を投資(浪費)しているという噂もよく耳にする。

ウェブ担当者の話の中で「新社長の意向だから」という言葉が乱発していた。つまり自分は新社長の言う通りやっただけだと言いたいのだろう。
(中略)
これ、誰が悪いのだろうか。

やはり、一番の悪はこのウェブ担当者である。

とある。

筆者は、この部分に関してブログ主の意見には反対である。
一番の悪は新社長である。

このウェブ担当者が新社長の暴走を止めるべきだというのがブログ主の意見であるが、繊維関係の同族企業の社長ははっきり言って我がままワンマンが多い。
ウェブ担当者が新社長のプランに反対を唱えた場合、即座に解雇されることも珍しくない。
閑職に追いやられたり畑違いの業務に異動させられることなんて日常茶飯事である。
減俸・降格くらいは簡単に起こり得る。

そういうリスクを負ってまで反対できる社員がどれだけ存在するのだろうか。
ウェブ担当者が保身に走ったところで誰も責められないだろう。

反対意見を口にしにくい風潮を作り上げている新社長と経営陣、そして新社長の不見識にその責任があると、筆者は思う。

ましてや、文中にもあるように、この手の会社において「ウェブ担当者は極端に地位が低い」のである。
いくらリテラシーがあろうが、極端に低い地位とみなされている者が、おいそれと我がままワンマンの社長に異論を唱えられるはずもない。

ウェブ担当者を悪と決めつけるのは酷ではないか。

この記事のみで判断するのは早計に過ぎるが、そのウェブ担当者には同情を禁じ得ない。

ユニクロが躍進しなくても衣料品の低価格化は進んだ

 衣料品の価格が低下した大きな要因の一つにユニクロの躍進があったことは間違いないだろう。
繊維・衣料品業界にはユニクロをはじめとする低価格ブランドへの恨みが渦巻いているのだが、もし、衣料品業界がこぞって高価格路線を維持していたらどうだっただろうか?とたまに考えることがある。

高価格路線を維持した衣料品としては着物が挙げられるが、その着物は市場規模をすっかりと縮小させてしまった。年間3000億円程度の市場規模しかない。
底打ちをして微増に転じたというものの、この市場規模が今後も5000億円にまで拡大することはないと見ている。

年間3000億円というが、着物は「10万円程度では安物」という高単価だから、販売されている枚数はすごく少ないのだろうと推測できる。

洋服がバブル期の高価格を維持していたら、着物のように衰退したのではないかとふと考えてしまう。

それにもし、ユニクロが現れなかったとしても衣料品の価格は下落したのではないだろうか。

というのも、バブル期はジャスコ、イトーヨーカドーなどのGMSが低価格衣料を提供しており、衣料品の売れ行きは好調だった。
今では想像できないだろうが、GMS・量販店の利益の稼ぎ頭は衣料品という時代があった。

また、紳士服量販店チェーンもこのころ急速に伸びた。
青山、アオキ、はるやま、コナカなどである。
スーツ、ワイシャツ、ネクタイがメイン商材だが、一部で当時から低価格カジュアルウェアを扱っていた。

レディースだと、キャビン、リオチェーン、鈴屋、鈴丹などの低価格カジュアルチェーンが躍進していた。
筆者が大学卒業後に初めて勤めた三元株式会社も低価格衣料品チェーンで、当時はそれなりに注目企業の一つだった。

もし、ユニクロが躍進しなくても、これらの衣料品が需要を伸ばしていたのではないかと想像する。
そうなると相対的に衣料品の価格は下がったのではないか。
とくにバブル崩壊後は同じように衣料品の価格が下がり、その主役がユニクロではなく、GMS・量販店や低価格チェーン店だっただけではないのだろうか。

また、H&Mやフォーエバー21などの外資ファストブランドも放っておいても上陸してきただろうから、現在と大きく市況は変わらなかったのではないか。

タラレバの話だが、そんな風に想像する。

自動車、家電などの工業製品は開発当初は驚くほどの高価格で発売されるが、何年か経過すると量産され、廉価版が発売される。携帯電話も同じだ。

そういえば、30年ほど前のVHSビデオデッキが20万円くらいしていた記憶がある。
今、DVDレコーダーだって数万円程度で購入できる。

40型の液晶薄型テレビだって10万円以下で購入できる。
たしか発売当初は40万円以上していた記憶がある。

洋服だって大量生産・大量販売を前提とした工業製品である。
だったら、廉価版が発売されても何の不思議もない。
ユニクロが躍進せずとも同じような価格帯の商品は発売されていたのではないだろうか。

すでにGMS・量販店の低価格衣料品、低価格衣料品チェーンの萌芽は20数年前から生まれていたからだ。

となると、低価格志向に嘆いていても仕方がないから、各ブランドは自社が思うような価格で販売するための販売方法を模索するべきだろう。

売上高はどのくらいに設定するのか?

まさかユニクロみたいに6000億円とか8000億円を目指したいわけじゃないだろう。
また目指せるとも思っていないだろう。

どうしてその価格で販売したいのか?販売しなくてはならないのか?

これをちゃんと消費者に説明し、訴えることができなくてはならない。

そのあたりを地道に取り組むしか方法はない。

低価格の風潮を嘆いてみても始まらないし、バブル期のように高額衣料品ブランドのブームが押し寄せて、そこに若者が長蛇の列を作るなんて状況は今後も出現しないだろう。

工業製品としての衣料品に背を向けて工芸品・一点物として取り組むならそれはそれでありだと思う。
筆者個人はそういうブランドとは縁がないし、きっと今後も購入することはないだろうけど。

ただ、工業製品的な衣料品を企画製造しておいて、今の状況を嘆くのはちょっと筋違いだと思うのだが。

偽エース登板

 何を書こうかなあと迷っていたら、こんな記事を読んで、深く感銘を受けたのでどうしてもご紹介したくなった。
記事で紹介されている会社はどの業界に属するのかはわからないが、繊維・アパレル業界でもこういう人はかなり存在する。
まさにアパレルあるあるである。

なぜ“エース社長”は期待外れに終わったのか
ねつ造された「社史」を信じた会社の悲劇

http://diamond.jp/articles/-/61186

業績が停滞していたある企業に、新社長が就任した。新社長は、過去に会社の主力事業を立ち上げて成功させた若きエース。

新社長の評価は瞬く間に下がっていった。やり手のエースのはずの人物が、なぜ結果を出せなかったのだろうか。

彼は信長でも秀吉でもなく、家康だったのである。

 エース新社長の功績として語られてきた主力事業には、奇しくも他に2人の人物が関係している。最初に、その事業の基本モデルをつくったのは地方拠点のA氏である。

A氏の成功モデルに目をつけ、それを全国的に水平展開させたのが本社のB氏である。彼は、事業モデルを標準化し、わかりやすい指標を作り、リーダーを育成した。そのことによって、地方支社でしか通用しないと思われていたビジネスが、全国規模に広がり始めた。

ここでやっと、件のエースの登場である。彼は、B氏の施策の成果が見えそうなタイミングでこの事業部へやってきた。「私にやらせてほしい」と手を挙げたのである。エースは、成功に対して目鼻も利くし、商売のセンスもあるのだ。そして、A氏とB氏が作り上げた事業に対し、大規模かつ大量の経営資源の投入を行い、CMを使った派手なプロモーションで盛り上げた。結果的に、事業は大成功。エースは「時の人」となった。これが、社内外でよく知られるエースの功績の真実である。

とある。まったくどこかで聞いたようなお話である。(笑)

この真実が知られていないのには、理由がある。それはエース自身が、A氏とB氏の存在を巧みに消したからである。A氏とB氏を含む事業の初期段階から携わってきたメンバーに、一人また一人と冷や飯を食わせて退職に追い込み、ときには別事業に異動させ、ときには独立を促す。

年月を経た後、その事業の成功はエースの“超人的なリーダーシップ”と“独創的なアイデア”によって成し遂げられたことになってしまった。意図的な歴史の改ざんである。

今回のケースでもっとも問題だったのは、歴史を改ざんしたエース自身も、いつのまにか自分は凄い人だと誤解してしまったことだろう。

しかし、よくあることだが、エースのようなタイプの人は、偽のストーリーを語っている間に、自分自身の力で本当に実現させた!と思いこむほどの強い自己暗示力を持っている。

繊維・アパレル業界にも多くの「カリスマ」「エース」が存在する。
もちろん、真実のカリスマがたしかに存在する。
就任した先々ですべて結果を残せるとは限らないが、野球で例えるなら勝ち星の方が負け数より多いとか、必ず10勝以上するとか、そんな人である。

しかし、世間的知名度が高い割には、就任した先々で全く結果を残せない全敗状態とか、成功したのは最初に自分が所属していた企業でのみとか、そういう人も数多く存在する。

こういう人々は、上の記事に紹介されているような「偽エース」だったということだろう。

偽エースには美点が一つだけある。
それは自己ブランディングと自己宣伝が異様に上手いことである。
残念なことに、ほとんどの場合、その能力は「自己」のみに発揮され、自己が属する企業やブランドに発揮されるわけではない。

この美点が自己の属する企業やブランドにまで発揮されれば、偽エースを登板させる意味もあるのだが。

そういえば、先ごろ、連敗記録絶賛更新中の偽エースを登板させて経営破綻した企業があった。

評判のみで飛びつくのは危険だということである。

手数を増やすのも有効な手段

 少し前にブログを毎日書く方法をエントリーした。

お役立ち情報を書くのが最大のポイントであろう。
というのは、自社の告知や商品の告知ばかりでは、読み物として面白くないからあまり読まれなくなるからだ。

ただ、「まとまった文章なんて書けないよ~」とおっしゃる方もおられるだろうから、
手数で対応することをお勧めしたい。

大阪のグレイスというブティックのブログである。

http://ameblo.jp/boutique-grace/

毎日4~6本も記事をアップしている。
昨日の10月26日も5本も記事をアップしている。

ただし、1本あたりの文字数はあまり多くない。
ブログ主の日記のようなエントリーもある。

それでも新商品の入荷はお役立ち情報に類するといえる。
新商品が入荷すると、まず、

コーディネートをして置き撮りしている

次に、

店主ないし、娘さんが試着した写真を掲載している

この2つで、読者にとってのお役立ち情報となる。
まず、コーディネイトの置き撮りが掲載されることによって、
自身のコーディネイトの参考にすることができる。

極端に言えば、何もその商品をそのまま買う必要はない。
手持ちの類似アイテムを使って類似コーディネイトをすることが可能になる。

次に店主や娘さんが着用した写真を掲載することで、その商品のサイズ感がわかる。
置き撮りだけでは、サイズ感はわかりにくい。
いくら事細かにサイズスペックが記されていてもだ。

だからこそ大手のインターネット通販各社はモデル着用の写真を掲載している。

しかし、モデルでは体型が整いすぎていて一般人には参考にならないことも多い。
「おお、このブルゾンはこんなに細身だったのか」と店頭で着用してみて驚かされることもある。

それが店主や娘さんなら一般人もよりサイズ感が分かり易い。

ブログの更新方法として圧倒的手数というのも有効な手段といえる。

ブログによる発信について何度か書いているが、本来は製造業者にもこのようなやり方をやってもらいたいなと思っている。

忙しくてそんなことを書いている時間がない

という声をいただくことがあるが、ブティックのオーナー店主だって暇ではない。
1日1本ならまだしも1日に数本も書いて、なおかつ、毎回コーディネイトを決めて写真を撮影して、それをアップするのである。
かなりの手間と時間がかかっている。
それでも毎日数本の記事をアップしているのだから、筆者は製造業者だって1日に1本くらいはブログ記事を書けると思う。

新聞、テレビが取材してくれることが一番の理想形だが、待っていてもなかなか取材には来てもらえない。
だったら、自分から発信した方が効率的である。
いまどきは大手マスコミだってインターネットで元ネタを集めている。
そこで検索に引っかかれば大手マスコミからの取材が舞い込むこともある。
自分で発信することで他社からも取材されやすくなる。

そんなわけで一念発起して自己発信に取り組んでいただきたいと願ってやまない。

シンプル・ベーシックがトレンドでも従来的ジーンズは脚光を浴びない

 少し前からトレンドはシンプル・ベーシックに回帰している。
そこそこの価格とブランドステイタスのあるシンプル・ベーシック品に値ごろ感のあるデザイン物を合わせるという着こなしが一般的だ。
本当のお金持ちは高品質高価格なシンプル品を購入できるのだろうが、そういう人はあまり多くない。

ただ、何から何まで廉価、ファストでそろえるという風潮ではなくなってきつつある。

こうなると、ジーンズの人気が復活する芽があるのではないかと思えてくるが、いわゆる既存の大手ジーンズメーカーやビンテージ系のブランドはその恩恵を被っていないようだ。

どんな商品が人気なのかというと、端的にいえば、

リーバイスだと王道の501ではなく、スリムフィットの511である。

凹凸の激しい表面感のデニム生地
細部へのこだわりとよくわからないウンチク
武骨さ・粗野感
漂うビンテージ臭
コントラストのクッキリとしたヒゲとアタリ感

こういうものはまったく求められていない。

APCのジーンズが再人気だということを考えてもアメカジではなく、どちらかというとヨーロッパテイストが求められているのだろう。同じアメリカでもアイビー、プレッピーということだろう。

細身のテイパードかスリムストレート
シルエットが細いのでストレッチ混は必須
デニム生地の表面の凹凸感は激しくなく
洗い加工もできるだけクリーンに

そういう商品が今の気分なのだろう。

一部の例外としてはトレンドとして注目されているクラッシュ・リペア加工だろうが、
それでもジーンズメーカー側から言わせると、7~8年ほど前に流行したものとは少し異なるそうだ。
あの当時のクラッシュ・リペア加工は、いかにリアルさを追求するかに重点が置かれていたが、今秋の商品はリアルさは求められてない。

国内のジーンズメーカー各社は、90年代半ばのビンテージジーンズブーム以来、いかにリアルさを追求するかを競ってきた。生地メーカー、洗い加工場にもそういう気分は濃厚にあっただろう。

大手ジーンズメーカーはそれに対応した商品も発売している。
リーバイスの511、エドウインのキープブルーなんていうのはその代表例といえる。
しかし、それが会社の業績を大きく左右するほどの大ヒット品番になるかというとそれはちょっと難しいだろう。

消費者は分散してしまっており、以前のように「ジーンズといえば〇〇」という状態ではない。
いたるところにジーンズはあるから、伝統的ジーンズブランドだけに需要が集中することはありえない。

今回のシンプル・ベーシックトレンドはジーンズメーカーの得意とするコースではあるものの、芯というかポイントを外しているといえる。

そんな話をしていたら、ふと、ビンテージレプリカ系のジーンズはもっと苦労しているのではないかと思った。

何せ、もともとのブランドの出発点がビンテージの忠実なる再現である。
消費者にもそのイメージが定着してしまっている。
トレンドに合わせて商品を変えたところで、イメージを変えさせるまでには相当の時間が必要となるから、消費者の選択肢から外されることが多くなる。

先日も東京で「そういえば最近ビンテージ系ブランドの動向を耳にしないね」という話題になった。

個人的にはこうした傾向を指して、ジーンズの凋落とは思えない。
というのは、先ほども触れたようにジーンズの販路は拡大しているからである。
90年代後半までは専門店チェーン、量販店平場、百貨店平場の一部くらいしかジーンズを扱っていなかったが、2000年以降、レディースブランド、セレクトショップ、メンズクロージング系ブランドいずれも型数は多くないがジーンズを販売している。

各低価格SPAブランドも外資ファストブランドもジーンズを販売している。

ジーンズのブランド数は確実に増えているし、それを販売するチャネルも多様化している。
だから逆にジーンズは隆盛期を迎えているのではないかと思える。

「ジーンズ復権」という掛け声を聴くこともあるが、復権する必要なんてさらさらなく、よりアップデートさせることこそが最重要課題ではないかと考えている。

iPhone 6 Plusでカーゴパンツが復活する?

 発売後、賛否両論あるiphone6とiphone6プラスだが、販売台数だけを見るなら好調だといえる。
とくに、巨大化したiphone6プラスだが、否定論も多い割には「大きくなって文字や画面が見やすい」という賛同の声もよく耳にする。

筆者は昨年購入したiphone5sをいまだに使用しており、普段はズボンの前ポケットに入れているのだが、iphone6プラスを所有しておられる人は一体どこのポケットに収納しておられるのかという疑問をふと感じる。

おそらく、ズボンの後ろポケットという人が多いのではないかと想像するのだが、後ろポケットに入れるのは個人的にはあまり好きではない。
座ったときに尻が圧迫して画面が割れそうな気がしてしまう。

男性ならまだしも女性だとどのポケットに収納されるのだろうか?
女性のズボンは男性のものよりポケットが小さい。

そんなことを考えていたら、こんな海外の記事を発見した。

iPhone 6 Plus によって、カーゴパンツの時代がまたやってくる
http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/26/apples-huge-new-phones-could-bring-back-cargo-pants_n_5886120.html

両腿にポケットのついたパンツをカーゴパンツと呼ぶ。
一時期はトレンドアイテムだったが、最近では実はあまり動いていないアイテムだった。

文中では

フラッピーなパッチポケットのファッションタイプは愛すべき嫌われ者だ。

とある。
実際に、国内アパレルで尋ねても「この1年くらいはほとんど動かなかったアイテムですねえ」という応えが返ってきた。
そういえば、売り場でもあまり見かけなくなっている。

しかし、このままiphone6プラスが売れ続ければ、またカーゴパンツが復活するかもしれない。

この記事にも

もし人々が大きなスマートフォンを持ち歩くというのなら、より大きなポケットの付いたズボンを履くことは理に適っている。今でさえカーゴパンツのポケットは「小型がトレンド」だとネアリー氏は話す。Leeは来春のシーズン商品にカプリパンツに加えて縦横6インチのポケットの付いたカーゴパンツを発売する予定だ。

と紹介されているが、国内のLeeは同じものを発売するのだろうか?

で、国内でも発売する際には、単に「欧米のトレンドを導入しました~」というよりは、

いっそのこと「iphone6プラスに対応しました」と言い切ってしまった方が良いのではないかと思う。

直截的にいうと、物は言いようである。
その方が話題にもなりやすい。

ちょっと想像してみると、お尻のポケットに入れるよりも太もものポケットに入れた方が、画面の割れる危険性も低下するだろうし動きやすい。

現在のところ、国内アパレルの展示会ではあまり注目されていないカーゴパンツだが、来年から対応するブランドは果たして現れるのだろうか?
ちょっと注目してみたい。

東京コレクションブランドの知名度はそれほど高くない

 ここ10日間ほど、ファッション系ニュースサイトは東京コレクション一色だった。
正式にはメルセデスベンツファッションウィーク東京だが、デザイナーズブランドのファッションショーをここでは従来通りに東京コレクションと便宜上呼ばせていただく。

ニュースサイトを見る限りにおいてはどれだけコレクションショーが盛り上がっているのかと感じてしまう。

そんな中、一人の業界の先輩が

「18歳くらいの若い女性を連れて行ったが、コレクションに登場するブランドをほとんど知らなかった」

と驚いた様子でフェイスブックに書きこんでおられた。
この先輩によると、若い女性はかなり熱心な勉強家らしく、それが余計に驚かれた様子だった。

告知が足りないのではない。
ファッション系を扱うウェブメディアは連日東京コレクションをひっきりなしに報道していた。
むしろ告知、報道は過多だったといえる。

ファッション系の各ブロガーさんも東京コレクションについて何度も書いておられる。

これだけ報道されていて、ほとんど知られていないということは、そもそも一般の消費者から東京コレクションというイベントがそれほど興味を持たれていないと言えるのではないか。

この女性だけの事例で決めつけては早計かもしれないが、「熱心な勉強家」と評されるほどの人がほとんど登場ブランドについて知らないというのは、一般消費者に知られていないということよりも却って性質が悪いともいえる。

東京コレクションのブランドがなぜ知られていないか、もしくは一般消費者からそれほど興味を持たれていないかというと、店頭で彼らの商品をほとんど目にする機会がないからだろう。

東京コレクションに登場するブランドの年商の低さは以前にも言及したことがある。
何年も連続して出展していて、業界での知名度もそこそこあるブランドでさえ、年商1億円前後あるかないかというのは珍しくない。
年商数千万円程度のブランドなんてざらにある。

それだけあればそこそこ売れているじゃないかというのは早とちりである。

そこからまず、商品の製造費を支払わねばならない。
原価率は様々だろうが、仮に40%と仮定した場合、年商1億円だとそのうちの4000万が製造費として支払われることになる。

もう残りは6000万円である。

東京コレクションは年に2回あり、1ステージ開催するのに少なくとも1000万円くらいの費用が必要だと言われている。
1年間に2000万円の経費がかかることになり、残りは4000万円になる。

そこからさらに、自社スタッフの人件費、アトリエ・事務所の家賃、直営店がある場合なら直営店の家賃、それぞれの光熱費・通信費・送料・手数料などが差し引かれることになる。

年商規模1億円のブランドでやっと1000万円が利益として残るくらいだろう。
年商規模数千万円のブランドなら完全に赤字になる。

それはさておき。

年商規模1億円とか数千万円のブランドの販路は、売れているかどうか分からない事務所兼アトリエ兼の直営ショップ、それから数型ずつを卸売りする専門店が数店から10店舗ある程度だろうか。

これでは、各ブランドの商品が一般消費者の目に留まることはかなり難しいといえる。
コレクションショーの報道のされ方の割には、「じゃあ実際にどこに行ったら商品が見えるのか」ということになる。

あそこに行けばまとまった型数の商品が見られるよ、と言えるブランドはほんの一部である。

広く知らしめるためには、報道件数を増やすことが有効な手段の一つである。
だから、東京コレクションを知らしめるためには報道が先行するのはやむを得ないといえる。

しかし、業界人が「東京コレクションは広く認知されて盛り上がっている」と考えるのは現状を把握できていないということになる。
どちらかというと、「知名度を高めるための報道が先行している」というのが正しい現状認識であろう。

今後、何年か後には東京コレクション出展ブランドの一般消費者への知名度が高まることになるのか、報道は盛んにされども姿は見えずという状態が延々と続くことになるのかは、ちょっと予測が難しい。

現地適合化が重要

 先日、

値段は競合の2倍――それでもカシオの電卓がインドで売れる、2つの理由
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1410/16/news044.html

という記事を読んで、海外での販売が成功するには現地適合化できるかどうかだよな。と改めて感じた。

1980年代からインドで電卓を販売していたが、値段が高いため知名度の割に売れていなかったカシオ。しかし2010年発売の新商品が大ヒット、以来インドでの売れ行きはずっと好調だという。高くても売れる、その秘密とは?
というリードから始まる。

売れている理由を手短にまとめる。

1つはインド特有の桁(けた)表示に対応したこと。
そしてもう1つは検算機能のステップが競合製品と比べて最多だったことだ。

とのことだ。

この記事を読んで初めて知ったのだが、インドの数字の桁の区切り方は特殊なのだそうだ。

英語圏では3桁ずつカンマで区切っていくのが普通だ。しかしインドやバングラデシュなど南アジアでは、独特の桁の区切り方をする。千の位が3桁区切りなのは英語圏と同じ。しかしその次からは2桁ずつ区切っていくのだ。

とのことだ。
日本も欧米に合わせて数字は3桁ずつで区切っている。

次の検算機能だが、インドではレジスターが発達しておらず、電卓で計算して会計をするという。

支払いの時、客が購入した商品を足して合計金額をそのまま見せたり、あるいは1日の営業が終わって店を閉めたあと、売り上げを確認するために電卓を使って計算したり……といった使い方をするのだという。

 こういったときに活躍するのが、「検算機能」(製品名の「CHECK CALCURATOR」はここから来ている)。これは、計算結果が出たあとに、入力した数字を順に出せるという機能だ。例えば「10+20+30+40=100」と計算した後で、検算(CHECK)ボタンを押していくと、順番に「+40、+30、+20……」と表示されていくのである。

 日本の電卓だと一部の製品にしか搭載されていない機能だが、インドの電卓ではこれが必須。客に「金額をごまかしているのではないか」と文句を言われた時にさかのぼって数字を見せたり、売り上げの計算をしたときに文字通り検算に使ったり……という使い方が一般的だという。

とのことだ。

そして、

これだけニーズが強い検算機能に目をつけたカシオは、MJ-120Dを「検算できるステップ数が業界最多」だと売り出した。多くても99ステップが主流だったところに、150ステップ戻れる機能を搭載したのである。

この2つの機能を現地に最適化させたことでカシオの計算機はインドで圧倒的なシェアを持つに至った。

いやはや、現地適合化こそ、海外市場で売れる最大の手法であることが改めてわかる。
2000年代前半に国内大手総合アパレルがこぞって中国市場へ進出したが、無残に破れたが、最大の理由は現地市場に適合化できなかったからだとされている。

また、日本で大人気が続くスターバックスコーヒーだが、本国アメリカでは人気に陰りが生じていると報じられている。
日本で人気が続いている理由について、出店場所に応じた店舗設計に柔軟に対応しているためではないかと指摘する識者もいる。外装も画一的ではない。
これも現地適合化といえるのではないか。

欧米企業でも本国のやり方をそのまま持ち込んで失敗した例は数多い。
カルフールやテスコの撤退はその好例だろう。
鳴かず飛ばずが続くウォルマートもその一例といえる。

今ではそれなりにステイタス性のあるブランドとして国内では認知されている「ポール・スミス」だが、上陸当初は英国そのままのサイズスペックだったため、日本人の体型には合わず苦戦したと聞いている。
人気が出たのはサイズスペックを日本人の体型に合わせてからである。

結局、グローバル市場で成功するには、ローカル市場に如何に対応できるかにかかっているといえるのではないか。
グローバル化はグローカル化だと言われる所以である。

自家工場を所有していることを消費者にアピールしよう

 昨今、日本製が注目を集めており、アパレルブランドが国内自家工場を持っていることが今までとは反対に付加価値になりつつあるように感じる。

国内自家工場で工員を確保することの難しさについては今回は置いておく。
純粋に販促的価値について考えてみたい。

アパレルブランドは国内に数あれど、自社縫製工場を所有しているブランドは少ない。
いずれも協力工場、下請け工場へ縫製を発注している。
最近では、OEM、ODM、商社の製品化部門の発達によって、デザイン、パターンづくりまで外注に丸投げできるようになった。
極端に言えば、資金さえ持っていれば誰でもブランドが作れる時代になった。

そうした中で、何十年前から自家縫製工場を維持し続けているアパレルブランドというのは打ち出しようによってはものすごい付加価値になる。

まず、社会貢献という点でアピールが可能である。
何十年間も一定の人数を雇用し続けているのだから、これは社会貢献である。
しかもそれが廃れ行く繊維製造業なのだから、なおさらであろう。

次に物作りの背景が見えやすいということだ。
OEM、ODM、商社の製品部門に丸投げしているブランドが物作りについて語るケースが増えた(こういうブランドは機を見るに敏であり、すぐさま対応してしまう)が、ちょっと物作りを知っている人間が見れば、嘘八百ならぬ嘘五百ぐらいを書き連ねているとわかってしまう程度の文言でアピールしており、そのメッキは剥がれやすい。
しかし、自家工場を所有していれば、そこから語られる言葉は本物である。

これだけ〇〇産、〇〇製が注目されている環境下でいうと、自家縫製工場(一部、洗い加工場も)を所有しているジーンズメーカーはそれが大変な付加価値であることに気が付くべきだろう。
筆者から見ると、上層部はまだその価値に気付いていないように見える。

例えば、国内最大手のエドウインであるが、東北の青森・秋田に自家縫製工場を13所有している。ほかに洗い加工場が2、検品工場が1である。
これだけの大工場群を何十年も維持し続けているジーンズメーカーはエドウインだけである。
これは消費者に向けてもっとアピールすべきである。
しかも工場建設は昭和50年代から始めているから、現在で30数年維持し続けていることになる。
工員は今のところ全員地元の日本人だそうだ。

これは大変な実績である。

しかし、どうも上層部にはこれが消費者に対するアピールポイントになりうるという考えが薄いように感じられる。
もったいないことだ。

有名タレントや有名モデルと契約するよりもこちらの方がよほどニュースバリューがある。

同じくカイタックインターナショナルも国内に大型工場を保有している。
こちらの場所は岡山県総社市近辺である。

カイタックインターナショナルというと量販店向けジーンズと欧米からのインポートジーンズというイメージがあるが、れっきとした国内工場も所有している。

この工場がフル稼働すると月産3万本の生産能力があるといわれており、エドウインに次いで国内2位の生産規模がある。

残念ながらこの事実はあまり知られていない。
お恥ずかしいことだが、筆者が知ったのもつい最近のことである。

これも大いに価値ある情報だと言えるのだが、どうもこれをアピールする気配は残念ながら見受けられない。
もったいないことである。

現在、それなりの規模の自社縫製工場を所有しているジーンズメーカーはこの2社以外だと、ジョンブル、ドミンゴ、ブルーウェイ、タカヤ商事、ベティスミスくらいになってしまっている。往時からすると激減している。

なぜ、彼らが自社の物作りを打ち出さないかというと、やはりどこかに「工場をアピールすることが格好悪い」と考えている節があるからだ。

以前、某ブランドの若手がポツリとこんなことをつぶやいた。

「今まで、工場とか物作りとかを過度にアピールすることは格好悪い、ダサいと考えてきましたが、今はそうではないんですね」と。

これはおそらく全社に共通した感覚ではないだろうか。
その元となるのは90年代半ばのビンテージジーンズブームである。
虚実取り混ぜて物作りを大いにアピールした彼らだが、1社として自家工場は所有していない。
かろうじて例外と言えるのは、洗い加工場の晃立の子会社になっているステュディオ・ダ・ルチザンくらいだろうか。
何せ、親会社が洗い加工場なのだから縫製はともかく、洗い加工に関してはグループ内で賄えるからだ。

ジーンズメーカー各社はそういうブームに乗ったビンテージブランドとは一線を画したいとの思いがどこかにあったようだ。

しかし、ブームが過ぎ去ってもう15年近くが経過している。
そろそろ社会に蔓延するムードは変わりつつある。
変わりつつあるというよりもはっきりと変わっているのではないかと個人的には感じられる。

そろそろエドウイン、カイタックインターナショナルを含む全社に自社の大いなる価値に気付いてもらいたいと願っているのだが。

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