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南充浩 オフィシャルブログ

PBで低価格から高価格まではカバーできない

2014年10月31日 未分類 0

 日本マクドナルドの不振が止まらない。
最近では日本ばかりでなく、本国のアメリカでも不調に転じている。
米国の事情はわからないから、日本国内の事情で考えてみたい。

日本マクドナルドはこの15年、安さを武器に集客してきた。
15年もその路線が続けば、マクドナルド=安いというイメージが消費者にはこびりついている。
現に、今も100円マックは継続しており、それ目当てのお客は相当数存在するだろう。

売上高=客単価×買い上げ客数 だから、売上高を増やすには客単価か買い上げ客数のどちらか、もしくはその両方を上げること考えなくてはならない。

マクドナルドは安価で集客して、その客に高額商品を買ってもらいたいと考えている。
セットメニューがやたら高かったりするのはそのためである。
700円近くも出すなら、そこらの街の定食屋か王将で定食でも食べた方がマシである。
同じ値段でもっと満足度は高くなるし、腹持ちも良い。

安さを武器に集めた消費者というのは「安い」のが好きな人達であり、その人達に高額商品を買ってもらおうと考えていることがそもそも間違いだといえる。

洋服の場合、マクドナルドの立ち位置は外資ファストブランドやユニクロ、ジーユー、しまむらあたりに位置付けられるだろう。

彼らの自社企画商品の洋服も安い。

先日、東京のウェブメディア担当の方と話す機会があったのだが、

彼は

「ユニクロとH&Mは低価格から始まって、中価格帯を目指しているように見える。これまでファッションブランドは高価格帯ブランドがセカンドラインを作って廉価版に降りてくるというビジネスモデルしかなかったが、低価格から上を目指すというビジネスモデルをユニクロとH&Mが採っているのは面白い。これが成功すれば画期的なことだ」

と主張していて、なるほどと肯かされた。

ユニクロとH&Mの価格とイメージの上昇戦略の一つとして、デザイナーや有名ブランドとのコラボがある。

ジル・サンダーとコラボした+J、アンダーカバーとコラボしたUU、セオリーとのコラボ品、今ならイネス・ド・ラ・フレサンジュとのコラボだ。

H&Mの場合はコム・デ・ギャルソンやランバンなど、今秋のアレキサンダー・ワンとのコラボだ。

自社企画のプライベートブランド品はいくら、素材や機能やスペックを謳ったところで、ユニクロやH&Mの店舗では動きにくい。
ユニクロで50,000円のコートを買いたいと思っている人が一体どれだけ存在するだろうか。
それがブランドイメージというものである。

だったら、他の有名ブランドとのコラボ商品を投入すれば、PB品よりも一格上の価格帯を付けることができる。
PB品を扱う同じ店舗でも異なる価格帯の商品を無理なく扱うことが可能だ。

終了間際にはあまり神通力が無くなっていたように見えた「+J」だが、発売当初はすごい売れ行きであっと言う間に完売する品番もあったし、普段ユニクロなんて見向きもしないファッショニスタも店頭を見に行った。

マクドナルドもこの方式を取り入れてはどうだろうか?
飲食のことは詳しくないから素人考えで恐縮だが、著名なシェフやレストラン、著名な農園や食材ブランドなどとのコラボ商品を企画してみてはどうか。
PB品として高額品を販売することはどうみても無理がある。
繰り返しになってしまうが、人々はマクドナルドのPB品に高級感は求めていないし、そういうイメージをまるっきり持っていない。

15年以上も「安い」というブランドイメージを消費者に刷り込んできたのだから、それを払しょくするには同じくらいの時間は必要になる。

何事にもスピード感を求めるアメリカ企業には気長な取り組みはおそらく無理なのだろうが。

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