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南充浩 オフィシャルブログ

従業員に新社長の抑止を期待するのは無理がある

2014年10月30日 未分類 0

 このブログ主はときどき興味深いことを書いているので、ぜひ皆さんも定期的にお読みになることをお勧めしたい。ただし、筆者はこのブログ主とは結論が異なる場合が多い。

今朝のブログもなかなか興味深く、繊維・アパレル業界には掃いて捨てるほどある事例だ。

あなたは社長を止めれるか。
http://www.apalog.com/lemonade/archive/24

日、ある方から相談を持ちかけられた。生地商社のウェブ担当者である。同社は歴史ある中堅企業で、このほど親族が新社長に就任、その勢いのまま自社で二次製品の展開も始めた。

ウェブ担当者の話によると、ホームページを全面リニューアルしたのにアクセスとコンヴァージョンが落ちていて困っている、とのことだった。ちなみにアクセスとは訪問者数(ユニークユーザーともいう)、コンヴァージョンとは成約数(同サイトでいえばお問い合わせ数やウェブでの発注数)のことである。

ホームページを見るといやはや立派。動画やイラストなどを駆使し、最新の技術をふんだんに使っておられた。自社内で更新できるCMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入し、レスポンシブデザインを取り入れてスマートフォンへの対応も万全にしていた。一見してラグジュアリーブランドのようなそのウェブサイトの制作費用は軽く4桁を越えていた。

その資金力にも驚くが、何よりも疑問なのがそのサイト構成である。

同社のメイン顧客はアパレルメーカーである。自社企画したテキスタイルを産地企業に発注し、出来上がったサンプルを展示会などでアパレルメーカーに提案し、受注をもらうビジネスモデルだ。いわばBtoBである。さらにウェブサイト上で生地サンプルを発注できるECページ(電子商取引)があり、これが売上の20%程度を確保しているという。

二次製品事業といえば全売上げの数パーセントにも満たない状況である。

にも関わらずリニューアルしたサイトは、トップ画面に製品を着用したモデルがポーズを決めながら歩く動画が流れるなど、生地商社とは思えない構成になっている。これにより、稼ぎ頭だったECページのアクセスが激減し、伴って発注数が減ったのだという。

とのことであり、まさしく、このブログ主が指摘する通りにこんな見栄えだけにこだわったウェブサイトで業者向けの生地販売が伸びるはずもない。

つい最近、親族が新社長として就任した中堅生地商社ってどこだろうな?と考えると、2~3社思いつく。
アソコかアソコだなと。
目ぼしい企業のウェブサイトを見るとどれもまあ、指摘されたような作りになっているが、片方がより文中の指摘に近い。おそらくこの会社で間違いないだろう。
近年、さまざまなシステム構築や見栄えに湯水のごとく金を投資(浪費)しているという噂もよく耳にする。

ウェブ担当者の話の中で「新社長の意向だから」という言葉が乱発していた。つまり自分は新社長の言う通りやっただけだと言いたいのだろう。
(中略)
これ、誰が悪いのだろうか。

やはり、一番の悪はこのウェブ担当者である。

とある。

筆者は、この部分に関してブログ主の意見には反対である。
一番の悪は新社長である。

このウェブ担当者が新社長の暴走を止めるべきだというのがブログ主の意見であるが、繊維関係の同族企業の社長ははっきり言って我がままワンマンが多い。
ウェブ担当者が新社長のプランに反対を唱えた場合、即座に解雇されることも珍しくない。
閑職に追いやられたり畑違いの業務に異動させられることなんて日常茶飯事である。
減俸・降格くらいは簡単に起こり得る。

そういうリスクを負ってまで反対できる社員がどれだけ存在するのだろうか。
ウェブ担当者が保身に走ったところで誰も責められないだろう。

反対意見を口にしにくい風潮を作り上げている新社長と経営陣、そして新社長の不見識にその責任があると、筆者は思う。

ましてや、文中にもあるように、この手の会社において「ウェブ担当者は極端に地位が低い」のである。
いくらリテラシーがあろうが、極端に低い地位とみなされている者が、おいそれと我がままワンマンの社長に異論を唱えられるはずもない。

ウェブ担当者を悪と決めつけるのは酷ではないか。

この記事のみで判断するのは早計に過ぎるが、そのウェブ担当者には同情を禁じ得ない。

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