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南充浩 オフィシャルブログ

シンプル・ベーシックがトレンドでも従来的ジーンズは脚光を浴びない

2014年10月24日 未分類 0

 少し前からトレンドはシンプル・ベーシックに回帰している。
そこそこの価格とブランドステイタスのあるシンプル・ベーシック品に値ごろ感のあるデザイン物を合わせるという着こなしが一般的だ。
本当のお金持ちは高品質高価格なシンプル品を購入できるのだろうが、そういう人はあまり多くない。

ただ、何から何まで廉価、ファストでそろえるという風潮ではなくなってきつつある。

こうなると、ジーンズの人気が復活する芽があるのではないかと思えてくるが、いわゆる既存の大手ジーンズメーカーやビンテージ系のブランドはその恩恵を被っていないようだ。

どんな商品が人気なのかというと、端的にいえば、

リーバイスだと王道の501ではなく、スリムフィットの511である。

凹凸の激しい表面感のデニム生地
細部へのこだわりとよくわからないウンチク
武骨さ・粗野感
漂うビンテージ臭
コントラストのクッキリとしたヒゲとアタリ感

こういうものはまったく求められていない。

APCのジーンズが再人気だということを考えてもアメカジではなく、どちらかというとヨーロッパテイストが求められているのだろう。同じアメリカでもアイビー、プレッピーということだろう。

細身のテイパードかスリムストレート
シルエットが細いのでストレッチ混は必須
デニム生地の表面の凹凸感は激しくなく
洗い加工もできるだけクリーンに

そういう商品が今の気分なのだろう。

一部の例外としてはトレンドとして注目されているクラッシュ・リペア加工だろうが、
それでもジーンズメーカー側から言わせると、7~8年ほど前に流行したものとは少し異なるそうだ。
あの当時のクラッシュ・リペア加工は、いかにリアルさを追求するかに重点が置かれていたが、今秋の商品はリアルさは求められてない。

国内のジーンズメーカー各社は、90年代半ばのビンテージジーンズブーム以来、いかにリアルさを追求するかを競ってきた。生地メーカー、洗い加工場にもそういう気分は濃厚にあっただろう。

大手ジーンズメーカーはそれに対応した商品も発売している。
リーバイスの511、エドウインのキープブルーなんていうのはその代表例といえる。
しかし、それが会社の業績を大きく左右するほどの大ヒット品番になるかというとそれはちょっと難しいだろう。

消費者は分散してしまっており、以前のように「ジーンズといえば〇〇」という状態ではない。
いたるところにジーンズはあるから、伝統的ジーンズブランドだけに需要が集中することはありえない。

今回のシンプル・ベーシックトレンドはジーンズメーカーの得意とするコースではあるものの、芯というかポイントを外しているといえる。

そんな話をしていたら、ふと、ビンテージレプリカ系のジーンズはもっと苦労しているのではないかと思った。

何せ、もともとのブランドの出発点がビンテージの忠実なる再現である。
消費者にもそのイメージが定着してしまっている。
トレンドに合わせて商品を変えたところで、イメージを変えさせるまでには相当の時間が必要となるから、消費者の選択肢から外されることが多くなる。

先日も東京で「そういえば最近ビンテージ系ブランドの動向を耳にしないね」という話題になった。

個人的にはこうした傾向を指して、ジーンズの凋落とは思えない。
というのは、先ほども触れたようにジーンズの販路は拡大しているからである。
90年代後半までは専門店チェーン、量販店平場、百貨店平場の一部くらいしかジーンズを扱っていなかったが、2000年以降、レディースブランド、セレクトショップ、メンズクロージング系ブランドいずれも型数は多くないがジーンズを販売している。

各低価格SPAブランドも外資ファストブランドもジーンズを販売している。

ジーンズのブランド数は確実に増えているし、それを販売するチャネルも多様化している。
だから逆にジーンズは隆盛期を迎えているのではないかと思える。

「ジーンズ復権」という掛け声を聴くこともあるが、復権する必要なんてさらさらなく、よりアップデートさせることこそが最重要課題ではないかと考えている。

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