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南充浩 オフィシャルブログ

東京コレクションブランドの知名度はそれほど高くない

2014年10月22日 未分類 0

 ここ10日間ほど、ファッション系ニュースサイトは東京コレクション一色だった。
正式にはメルセデスベンツファッションウィーク東京だが、デザイナーズブランドのファッションショーをここでは従来通りに東京コレクションと便宜上呼ばせていただく。

ニュースサイトを見る限りにおいてはどれだけコレクションショーが盛り上がっているのかと感じてしまう。

そんな中、一人の業界の先輩が

「18歳くらいの若い女性を連れて行ったが、コレクションに登場するブランドをほとんど知らなかった」

と驚いた様子でフェイスブックに書きこんでおられた。
この先輩によると、若い女性はかなり熱心な勉強家らしく、それが余計に驚かれた様子だった。

告知が足りないのではない。
ファッション系を扱うウェブメディアは連日東京コレクションをひっきりなしに報道していた。
むしろ告知、報道は過多だったといえる。

ファッション系の各ブロガーさんも東京コレクションについて何度も書いておられる。

これだけ報道されていて、ほとんど知られていないということは、そもそも一般の消費者から東京コレクションというイベントがそれほど興味を持たれていないと言えるのではないか。

この女性だけの事例で決めつけては早計かもしれないが、「熱心な勉強家」と評されるほどの人がほとんど登場ブランドについて知らないというのは、一般消費者に知られていないということよりも却って性質が悪いともいえる。

東京コレクションのブランドがなぜ知られていないか、もしくは一般消費者からそれほど興味を持たれていないかというと、店頭で彼らの商品をほとんど目にする機会がないからだろう。

東京コレクションに登場するブランドの年商の低さは以前にも言及したことがある。
何年も連続して出展していて、業界での知名度もそこそこあるブランドでさえ、年商1億円前後あるかないかというのは珍しくない。
年商数千万円程度のブランドなんてざらにある。

それだけあればそこそこ売れているじゃないかというのは早とちりである。

そこからまず、商品の製造費を支払わねばならない。
原価率は様々だろうが、仮に40%と仮定した場合、年商1億円だとそのうちの4000万が製造費として支払われることになる。

もう残りは6000万円である。

東京コレクションは年に2回あり、1ステージ開催するのに少なくとも1000万円くらいの費用が必要だと言われている。
1年間に2000万円の経費がかかることになり、残りは4000万円になる。

そこからさらに、自社スタッフの人件費、アトリエ・事務所の家賃、直営店がある場合なら直営店の家賃、それぞれの光熱費・通信費・送料・手数料などが差し引かれることになる。

年商規模1億円のブランドでやっと1000万円が利益として残るくらいだろう。
年商規模数千万円のブランドなら完全に赤字になる。

それはさておき。

年商規模1億円とか数千万円のブランドの販路は、売れているかどうか分からない事務所兼アトリエ兼の直営ショップ、それから数型ずつを卸売りする専門店が数店から10店舗ある程度だろうか。

これでは、各ブランドの商品が一般消費者の目に留まることはかなり難しいといえる。
コレクションショーの報道のされ方の割には、「じゃあ実際にどこに行ったら商品が見えるのか」ということになる。

あそこに行けばまとまった型数の商品が見られるよ、と言えるブランドはほんの一部である。

広く知らしめるためには、報道件数を増やすことが有効な手段の一つである。
だから、東京コレクションを知らしめるためには報道が先行するのはやむを得ないといえる。

しかし、業界人が「東京コレクションは広く認知されて盛り上がっている」と考えるのは現状を把握できていないということになる。
どちらかというと、「知名度を高めるための報道が先行している」というのが正しい現状認識であろう。

今後、何年か後には東京コレクション出展ブランドの一般消費者への知名度が高まることになるのか、報道は盛んにされども姿は見えずという状態が延々と続くことになるのかは、ちょっと予測が難しい。

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