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JR大阪三越伊勢丹の不振は、どっちつかずの品ぞろえが原因では?

 今日は2月29日。
4年に一度しかない珍しい日である。
などと書き出してみた。

最近、話題に上ることがめっきり少ないJR大阪三越伊勢丹。
あまりに業績が良くないため、話題にするのもはばかられるのだろうか。

業績不振の原因として業界紙、一般紙ともに「伊勢丹流のディスプレイが理解されなかった」としている。
一応、これが伊勢丹側の公式見解なのだろう。

しかし、個人的にはこれは違うと感じている。
以下私見になるので、あたっている部分もあろうが、外れている部分もあるだろう。

「伊勢丹流のディスプレイ」が理解されないのは、何も大阪に限ったことではない。
新宿以外の店舗では理解されていない。そうでなければ、小倉と吉祥寺は撤退する必要がなかったし、京都店は初年度苦戦しなかったはずである。

一つにはJR大阪三越伊勢丹の苦戦の原因は人気ブランドが集められなかったことだろう。
徒歩数分の場所に大丸梅田店、阪急梅田という二大百貨店が隣接している。
大丸と阪急両方に出店しているブランドは数多くあるが、じゃあ、そのブランドが「さらに伊勢丹にも」ということになるだろうか?こんな近接した場所で3店舗同時に出店するブランドは数少ないだろう。

「大丸と阪急が圧力云々」という噂を聞くことがあるが、圧力をどうこうするより以前に、徒歩数分圏内に3店舗目をオープンしたがるブランドはそれほど多くはないはずである。

次に、大阪で「三越」と言えば、北浜にあった三越を思い出す消費者は多い。
北浜の三越を愛用していた消費者というと今は65歳以上である。
JR大阪三越伊勢丹の内覧会にも出席した。
その当日、業界関係者とマスコミ以外に、一般の上得意顧客も多数招待されていた。
これは推測だが、おそらく、北浜三越で保管されていた顧客名簿を使ったのだろう。
上得意客の多くが65歳以上と見える老年層だった。

完成したJR大阪三越伊勢丹の内部を見ると、若い層にとってはコンサバすぎるし、
旧北浜三越の顧客である65歳以上にとっては若すぎる。

隣に同じJR西日本グループのファッションビル「ルクア」があり、こちらは20代~40代までをターゲットとして、若い層に人気のあるブランドを集めている。
そのため、三越伊勢丹がトレンドブランドを集めても仕方がない。

ややコンサバ寄りのブランド集積となるのは自然の成り行きである。
しかし、旧北浜三越の上得意客には「若すぎる、トレンドすぎる」品ぞろえとなってしまった印象がある。
極言すればJR大阪三越伊勢丹の品ぞろえは、若向きでも老年向きでもないどっちつかずのブランドを集積したものであると感じる。

どっちつかずの品ぞろえは、当然、どっちの層からも相手にされない。
JR大阪三越伊勢丹の苦戦はそういうことではないだろうか。

さて、じゃあ、結果論だが、
旧北浜三越の顧客名簿を基に販促活動を行うのであれば、もっと老年向きの品ぞろえにしても良かったのではないだろうか。
繰り返すがあくまでも結果論である。

東京の大森に老年向け商品を集積して大成功をおさめているダイシン百貨店がある。
シルバー向けブランドのみを扱っており、近隣の老人はこぞって買い物をするという。
また三越日本橋店も富裕な老年層の顧客が多い。
お盆前に行くと、「回り灯篭」が催事場で販売されていることがある。

JR大阪三越伊勢丹は、ここまで老年層に特化しても良かったのではないか?

もうすぐ開業1年である。
次年度以降に向けて大幅にテコ入れを考えているはずだ。
「人気のトレンドブランドを集積して」とか「伊勢丹流のファッションをさらに純化させて」とか考えているならおそらく失敗するだろう。

個人的には、催事場で「回り灯篭」を販売するくらいの決断が必要なのではないかと思う。

高野口産地は「エコファー」ブームに便乗してしまえ

 最近欧米からのインポートブランドの展示会で、フェイクファーを使っているアイテムをよく目にする。

一つには原皮の価格が上がっているのかもしれないし、そのほかには欧米で動物愛護の機運が高まっているからかもしれない。もしくはその両方なのだろうか。

リアルファー使いを見かけることが少なくなってきたように感じる。

もっともファッショナブルな分野は苦手な筆者なので、インポートブランドと言ってもそれほど高級・ハイセンスなブランドの展示会にお呼ばれすることは少ない。
もう少しデイリーユースなカジュアルブランドが多いのだが、価格帯で言えば、それでもユニクロを遥かに超える価格帯である。
フェイクファーのブルゾンでだいたい2万円~5万円というブランドが多い。

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マルシェ交流会 006

マルシェ交流会 007

(フェイクファー、否「エコファー」使いブルゾンあれこれ)

そういう状況で、筆者は「これは高野口産地のチャーーーンスやんか」とほくそ笑んでいる。
うむ。展示会に気味が悪いオッサンが紛れ込んでいるようだ。

ご存知の方も多いが、和歌山県の高野山のふもとにある産地を「高野口産地」という。
毛足の長い織物・編物を得意としており、総称して「カットパイル」という。
カットパイルの一つにフェイクファーが含まれている。

国内産地のご多聞にもれず、高野口産地のフェイクファーは価格が高い。
ロットにもよるだろうが、1メートルで最低でも1500円はする。
しかし、面白い物が数多くある。

見た目が本物そっくりに再現されているフェイクファーや、ウール100%やアルパカなどの獣毛を使っているフェイクファー、逆にリアルファーではありえないようなビビッドなカラーリングのフェイクファー、先日このブログでもお伝えした発熱素材を使った機能性フェイクファーなど多彩である。

昨今、欧米では動物愛護運動の高まりから、高級ブランドがわざとフェイクファーを使用する例が増えつつある。
「フェイク」ではニセモノ臭いので、そういう場合は「エコファー」と名乗っていることが多い。

筆者が高野口産地に提案したいのは「この機運に便乗してしまえっ!」である。

筆者が見る限り、欧米ブランドで使用されているフェイクファーは手触り・見た目ともにチープ感を克服できていない印象がある。生地の値段は欧米ブランドが使用している方が安いのだろうが、高野口産地の素材の方が手触り・見た目ともに圧勝しているケースが多い。

高野口産地にネックがあるなら「価格が高い」ところだろうか。

その高価格をある程度吸収できるような高級ブランドに売り込めばどうかと思う。
しかし、往々にして高級ブランドも価格にシビアだったりするので、生半可なことでは突破できないのかもしれない。

しかし、筆者はこの機運を利用しないのはもったいないと思うのだ。
まさに「モッタイナイ」の思想である。

で、こういうことは待っていてもブームは起きないし、生地の買い付けも生まれない。
自らが動いて仕掛ける必要がある。

ついでにいうと、ファーを使ったアイテムは毎年一定量は流通するが、ファーブームというのは何年かに一度しか来ない。今を逃すと、ブームは何年後に来るかわからない。
便乗しない手はない。

高野口産地の皆さんには迅速に、そして苛烈に激烈に仕掛けてもらいたいと願う次第である。

和柄は着物への導入となりえるのか?

 今日は軽い感想などを。

先日、京都で軽い食事会をした。
その席上で着物についての話題となったのだが、さらに話が進み、「和柄の洋服は着物の入り口になりえるか?」というテーマになった。
なにぶん、酩酊していたので明確な結論は出ずに、グダグダな方向へと進んで終わった。
ありがちな展開である。

それはさておき。

通常、アパレルでは「和柄の洋服」というジャンルは主流ではない。
どちらかというと傍流だったりイロモノだったりという扱いである。
一口に「和柄」と言っても、和風モチーフのグラフィックをワンポイント使いにとどめているものから、
「遠山の金さん」の入れ墨よろしく、全身を覆っているものまである。

ワンポイント使いにとどめているものは、他のテイストの洋服とも合わせやすいし、これはこれでありだろうと思う。
一応、伝統的な日本の柄をモチーフとしているので、自国の文化と洋装文化を上手くマッチングさせたとも言える。

問題は、入れ墨よろしく全身を覆うタイプのモノである。
入れ墨といっても昨今流行している「タトゥー」なるお洒落なものではない。
銭湯では入浴を断られるタイプのものである。

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(見事な鯉)

もちろんこちらも日本伝統の柄をモチーフとしており、和と洋の融合と言えなくもないのだが、着用者は特定層に限られているように感じる。

全身を覆うタイプの和柄アイテムには、
「不良少年が愛用するもの」というイメージがつきまとっているように感じる。
しかも都心ではなく郊外の。

正直、このタイプのものは大衆に広がるとは思えない。

ためしにインターネットで検索してみると、さまざまなブランド(?)、メーカー(?)のものが数多く出てくる。
メジャーなブランドはあまり存在せず、アパレル業界的には無名に近い小ブランドが乱立している印象である。
大衆には広がりにくいが、特定のコアな固定客がそれなりに存在しているということだろう。

先日の席上でライターの方が「女性の和柄キャミソール」の話題を俎上に乗せられた。
そういえば、和柄談義はここから始まったのだった。
いくつか、インターネットの画面で和柄キャミソールを拝見したが、龍とか般若とか虎とかドぎつい物のでなければ、それなりにコーディネイトのアクセントとなりそうである。
もっとも女性向けなので、ドぎつい柄は存在せず、草花をモチーフとしたものが主流だった。

まあ、結論としては、般若とか明王とか虎などのイカツイ柄でなく、柄の大きさもワンポイント程度にとどめてあるものならある程度の大衆が購入する可能性はあると思う。
また、柄だけとはいえ「和」に親しませることによって、本格的な和装へと誘導することも不可能ではないように思う。

そういえば、もともとハワイのアロハシャツも和柄からスタートしたと聞いている。

アロハシャツや現在の和柄洋服のように、和を洋装に反映させても良いと思うし、
以前に提唱した洋装向けの生地で着物を作っても良いと思う。

さらに言えば、和と洋を折衷した着こなしでも構わないと思う。
ちょうど、明治から昭和初期にかけてのスタイルを思い浮かべてもらいたい。長袖Tシャツの上から着物を着て、ブーツや革靴を穿き、ハンチングやキャスケットを被ったようなコーディネイトである。

ただ、やっぱり、「遠山の金さん」の入れ墨のように全身を覆う和柄アイテムの利用はちょっとご遠慮申し上げたい。

ジーンズは今後編物が主体になる?

 ぼちぼちと展示会を廻っているが、ブルージーンズは相も変わらず苦戦中である。
レディースは言わずもがなだが、メンズも大部分は低調だ。
じゃあ、何が売れているのかというと、レディースはレギンス、ショートパンツ、スカート、ワンピースあたり。
メンズだとチノパン、カーゴパンツ、オリーブグリーンやマスタード色のタイトフィットカラーパンツなどであり、昨年春夏や一昨年春夏とあまり変わり映えしない。

ジーンズブランドだと、レディースはレギンスとジーンズの中間形態である「デギンス」と呼ばれる商品がいまだに好調だという。
見た目はスキニージーンズっぽいが、実際は厚手のレギンスのような生地である。
いわゆる編物である。

ガス 003

 

(ガスジーンズのレディース向けデギンス)

で、ここから思考が飛躍するのだが、
先日、エドウインがジャージ素材のジーンズを発表した。
昨年秋口にはディーゼルも同じジャンルの商品を発売している。

これらはインディゴ色の糸で編んだジャージパンツに洗い加工を施して、従来のジーンズに見える商品である。

織物よりも編物の方がストレッチ性があり、動きやすいし肌触りも良い。

従来型のブルージーンズが不調なのは、凹凸感のあるザラザラとした生地の触感だとか、ストレッチ性が低く固いデニム生地の履き心地だとかが若い層に敬遠されているのではないかとも感じる。

だからこそ、レディースは「デギンス」が売れ、エドウインやディーゼルからはデニム風のジャージパンツが発売されるのだろう。
某インポート業者によると、ディーゼルのデニムジャージは好調らしく「いくら在庫があってもどんどん売れて行く」という状態らしい。

JERSEY~1

(エドウインのジャージデニム)

人間は、一旦、「楽さ(たのしさではなく、ラクさ)」を覚えると、そこに安住してしまう。

デギンスも含めてジャージ素材のデニムがどんどん発売されれば、ますます従来型の織物のジーンズは売れなくなるのではないだろうか。

将来、いつの間にやら、織物のジーンズは絶滅してしまいデニム風ジャージだけが生き残っているというようなことになるかもしれない。

織物のデニムを使った「ブルージーンズ」というアイテムに転換期が訪れた気がしないでもない。
というのは考えすぎだろうか。

地力が高まったライトオン

 恒例のライトオンとジーンズメイトの2月度売上速報が発表されたのでまとめる。

ライトオンは
既存店売上高が前年比10・9%増
既存店客数が同11・2%増
既存店客単価が同0・3%減

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比11・2%減
既存店客数が同21・8%減
既存店客単価が同13・7%増

だった。

ライトオンの数字で特筆すべきは、やはり既存店客数の増加だろう。

もともと流通小売り業では「ニッパチ」という言葉があるくらい、2月と8月は販売力の落ちる月である。
とくにセールが早まってからは、冬は1月10日ごろまで、夏は7月半ばまでで完全に消費が止まる。
1月半ばから2月末まで小売り店は非常に寂しい売上高で耐え忍ばねばならない。

「春物を早く立ち上げれば良い」という処方箋を提案する方もいらっしゃるが、これはブランド力によって大きく成否が左右される。
ステイタス性の高いブランドなら、「体感気温に左右されない」顧客がそれなりに付いているが、
ステイタス性が低く、デイリーユース的なブランドであるなら顧客の大部分は体感温度に左右される。

デイリーユースブランドの多くの顧客は
「寒くなったから防寒を買う」「暑くなったから半袖を買う」という人が多い。
したがって1月末や2月頭に春物や夏物を立ち上げたとしても「見てる方が寒なるわ~」という一言で片づけられてしまう。

筆者は以前、イズミヤの子会社で、量販店内でテナントショップを展開する会社で販売員をしていたことがあるのだが、1月20日ごろに冬物をすべて引き上げて、春夏物に切り替えたことがある。
その際、自店の売上高が激減した。
もっとも寒さの厳しいときに、春夏物ばかりになった店頭に、お客は興味を示さなかった。

これが量販店のテナントではなく、ステイタス性のそこそこに高いブランドショップなら話は変わっていたのかもしれない。
しかし、量販店でデイリーユースなカジュアルを買う消費者は、体感温度に大きく左右されることを痛感した。

さて、このもっとも売れない2月に、客数を伸ばしているライトオンはまさに回復傾向が顕著であり、その地力の高さが証明されたのではないだろうか。
ちなみに昨年の2月度も既存店売上高は前年比3・4%増、既存店客数は同1・2%減だから、
苦戦した一昨年よりも着実に実績を回復させている。

消費者のライトオン支持はますます強まっていると感じられる。

153人との関係性

 近年、利用者が拡大しているツイッターとフェイスブックだが、使い方やそれについての考え方は様々ある。
諸説を眺めているがなかなかどれが正しいのか見極められない。
そして、どれもある程度正しいような気もする。

経済学や社会学と同じで、正しい一つの結論というものは無いのだろうとも思う。

ツイッターのフォロワーやフェイスブックの友達が多ければ多いほど良いという意見もあるし、
ツイッターのフォロワーは多い方が良いが、フェイスブックで500人以上友達がいる奴は信用できないという意見もある。
また「150人以上フォロワーや友達がいる奴は胡散臭い」という声もある。
ツイッターでフォローが1万人いる奴はイケてない。などなど。

である。

さて、先日、販促コンサルタントの藤村正宏さんのメルマガが届いたのでご紹介したい。
今回はフェイスブックについて書かれている。

以下に引用する。

霊長類(サルやヒト)は、その種によって
群れの数がだいたい決まっているそうです。

これは大脳新皮質の割合と群れの数は正比例しているということ。
  

   ・テナガザル   2.08%   15匹
   ・ゴリラ      2.65%   35匹
   ・チンパンジー  3.20%   65匹

  真ん中の数字、%と書いてあるところが、
  脳の中で大脳新皮質が占める割合です。
  そしてこれをわれわれホモ・サピエンスに当てはめてみると。

   ・人類      4.10%  150匹

  面白いでしょ。
  通常の集団は人類でも150人程度。

  人間が、特徴を覚えておくことができる数は150人前後ということ。

  現代でも、世界中に
  原始的なコミュニティで生活している人たちがいます。

  そのコミュニティの平均人数は

   153人

  
  これはちょうど3世代の血のつながる人数に相当するそうです。

  面白いなと思った。
 
  どうしてかというと

  Facebookなどの
  ソーシャルネットワークサービスの友達の数なども

  150人前後が親しい関係になるというデーターがあるから。

  これって、人間の脳からきている数字なんですね。

  ということは、153人の熱烈に応援してくれる、
  ファンのようなお客さまを作ることができる。

  そういうことですよね。

  その信者のようなファン層に向かって
  有益な情報を発信しつづけ、関係性を構築すればいい。

 
  ボクが言っていることは間違いないな。
  そう思ったデーターでした。

  
  でもね・・・

  「ソーシャルメディアなどを使って『関係性』を作りましょう。
   ファンや信者のようなお客さまを、しっかりフォローすると
   会社や店は、繁盛するようになります。」

  そういうことを言うと、

  「そりゃそういう客が大切っていのはわかるけどね。
   あまり人数が多くない信者を少しくらい増やしたからって
   うちの売上にそんなに影響でるのかなぁ?
   うちはたくさんの不特定多数に向けて訴求するんだから。
   100万人規模に訴求しなきゃ意味ないよ」

  なんて言う、大企業の人がいます。
  こういうふうに考えてしまうのが、知らない恐ろしさです。

  いつの間にか、同業他社に先を越されて
  気づいたときには、もう手遅れ。
  そんな事態になってからでは、遅いのです。

  153人のコミュニティの数をバカにしてはいけません。

  
  たとえば、あなたのファンの人153人が
  あなたの発信した情報を拡散する。

  それぞれファンのソーシャルグラフの153名がまた
  Facebookやツイッターで
  コメントしたり、いいね!をしたり、RTしたりして

  それがまた153人に伝わっただけで
  

  153×153×153=3,581,577人

  350万人以上になるのです。

  大金を使って、マスコミを使い
  不特定多数に情報を垂れ流す時代ではない。

  そういうことです。

  
  あなたの周りのファンのような153人のお客さまと
  しっかりとコミュニケーションして、関係性を深めていきましょう。

  そうすることで、その先には膨大なお客さまがいるのです。

  

とのことである。

なかなかに楽観的な部分もあるように思うが、
一つの意見として傾聴するに値するのではないだろうか。

メルマガ文中にもあるように
「少しでも不特定多数に発信したい」
という思いから新聞・雑誌・テレビに広告をすることを考える中小零細企業は数多い。

手近なところで言えば業界新聞だし、
清水の舞台から飛び降りるつもりならテレビCMだろう。

しかし、である。
以前も書いたように「広告」、ましてやイメージ訴求の側面性が強い「純広告」は継続的に出稿しないと効果がない。ルイ・ヴィトンやユニクロなどの超有名ブランドなら、1年に1回の広告掲載でも注目を集めるし、消費者の記憶にも残る。

けれども、知名度の無いブランドや、新しく出来たばかりの企業の「純広告」を1年に1度だけ出稿しても、注目も集めないし、消費者の記憶にも残らない。
そして広告料は高い。
雑誌だと見開き2Pで200万円という定価が大まかな相場である。
もちろん部数の多寡や誌面の知名度によって広告出稿料金は上下する。

テレビだと2週間の放映で3000万円内外は最低必要だろう。

中小零細企業が「今期の決算で黒字やったから100万円だけ広告するわ。来年はできるかどうかわからんけどな」というスタンスで広告出稿をするなら、ほとんどの場合、何の効果もない。
最低でも月刊雑誌だと年間4~6回広告出稿は必要になる。
1回こっきりなら、その100万円で盛大な社内宴会を開いた方が、社員の士気が上がる。

そういう中小零細企業こそ、諸説あるにしてもソーシャルメディアを活用する方が良い。
藤村さんが説いておられるように地道に「150人」のフォロワーや友達と関係を深める方が効果がある。

中小零細企業の方々は一度、取り組んでみてはいかがだろうか?

エドウインが米国法人を設立へ

 1月13日付けの繊研新聞にエドウインが3月をめどに米国法人を設立するという記事が掲載されている。

あのジーンズのエドウインが米ロサンゼルスにエドウインUSAを設立し、現地でジーンズの生産を開始するという。
今回のエドウインの米国法人設立は、
先日、このブログでも書いたことがある、大手洗い加工場の豊和の米国工場設立が大きく影響している。

新聞の記事中にも「同社の取り引き先である豊和がロサンゼルスの加工場デニムテックを買収し、米国生産の仕組みができた」と説明されている。
もともとジーンズの大手専業メーカー各社は、それぞれ決まった洗い加工場とほぼ専属的に取り引きを行っていた経緯がある。

2000年ごろまでは、エドウインは豊和、リーバイスは西江デニム、ビッグジョンは吉田染工、ボブソンは晃立、ラングラーは共和という図式だった。
ちなみにドミンゴの洗い加工も豊和が行っている。

このうち、ラングラージャパンが展開していたラングラーだが、ラングラージャパンがVFジャパンに組織改編され、そのVFジャパンが解散したことで、ラングラーブランドのライセンスは、エドウインの子会社であるリージャパンが獲得した。
このため、現在のラングラーブランドの洗い加工は共和が担当していない。

共和そのものは2009年9月に事業を停止し破産申請している。

エドウインは、現在、子会社リージャパンを通じて「リー」と「ラングラー」という2つの伝統的なジーンズブランドを所有していることになる。

閑話休題

さて、記事によると「カイハラが米綿を使用してデニム生地を日本で製造し、米国に輸出する。米国での生産をデニムテック(新社名ホーワ・デニムテックUSA)に委託し、(中略)、販売はエドウインUSAが、セールスレップ(販売代行)を通じて行う」とある。

製品は「エドウイン」ブランドとして販売し、価格は未定だが1本100ドル以上の高級品市場を開拓するという。

この記事から推察すると米国では100ドル以上のジーンズは高級品と認識されているようだ。
しかし、100ドルというと今の為替で換算すると8000円弱ということになる。
1ドル100円で換算しても10000円である。

日本だと8000円弱のジーンズは高級品ではなく、中級品扱いである。
やはり、ジーンズ=作業着という認識の強い米国では、100ドル以上のジーンズは「高級品」なのだろうか?

しかし、まあ、何とかの一つ覚えみたいに「アジア、アジア」という報道ばかりでいささかうんざりしていたところなので、このエドウインの米国法人設立は興味深い。
エドウインには、ぜひとも米国市場で成功してもらいたい。

4ブランドの軽量ダウンジャケット比較(番外編)

 先日、モンベル、ユニクロ、無印良品、ジーユーの4ブランドの軽量ダウンジャケット比較の結果報告を行ったが、個人的に興味深かったのが各社のブランド織りネームの有無である。

まず、2990円と4ブランド中で最も定価の安かったジーユーは
襟裏にブランド織りネームとサイズネームがなかった。
これは単純に織りネーム代と縫製取り付け代をカットしたと推測される。
またこれによって、脱いだ後に襟裏を見てもどこのブランドかわからず、一種の匿名性が獲得できている。
「ユニバレ」ならぬ「ジユバレ」を防ぐ効果もある。

襟ネームなし

(ブランド織りネームもサイズネームもない襟裏)

ただし、ジーユーも販売枚数がそれなりに増えてきたので、
ブランドネームを見ずとも、デザインで「ジユバレ」する危険性があるのだが。

それとジーユーは首元のファスナーカバーがモンベル、無印とは逆で右側に付いていた。
これについての理由はわからない。
どなたかご存知の方がいたらご教授いただきたい。
もしかしたらあまり深い理由はないのかもしれない。

首元のファスナーカバー

(右側に付いたファスナーカバー)

次に、無印良品である。
無印良品はずっと以前からサイズネームのみを取り付けてきた。
そのスタンスは今も変わらない。

サイズネームのみ

しかし、近年、Tシャツなどの低価格アイテムにはサイズネームもなく、
襟裏にプリントしてある商品もある。
無印良品の中では比較的高額(6980円)な軽量ダウンにはサイズネームが付けてある。
これはTシャツなど単価が低いとネーム代と縫製代を吸収できないが、高額な物ならコストに吸収できるという考え方なのではないだろうか。

ここはまるっきりユニクロと逆の発想である。

さて、ユニクロだが、定価5990円のウルトラライトダウンの襟裏にはブランドロゴとサイズがプリントしてある。
織りネームを取り付けるという手法ではない。
一方、定価1990円のネルシャツにはブランド織りネームとサイズネームが縫い付けてある。
この関係性は無印良品と逆である。

襟ネームとサイズネームはプリント

ここからは推測だが、原則、織りネームを取り付けるのがユニクロのスタンスだが、
そこそこに高品質素材を使用したウルトラライトダウンは定価5990円に抑えるために、省略してプリントしたのではないだろうか。
さらに、友人が指摘した通り「7グラム軽くさせるための方策」でもあったのではないか。

この思想の違いが、現在のユニクロと無印良品の立ち位置を象徴しているように思えてならない。

モンベルは、定価が1万8800円なので、
ブランド織りネームもサイズネームもあるし、首元にはブランドロゴの刺繍まである。
これは価格的に見ても当然の措置だろう。

襟ネームとサイズネーム
首元には刺繍

今後、軽量ダウンはさらなる低価格化が進みそうな気配である。
量販店やホームセンターには、ジーユーを下回る定価1990円とか2560円とかいう商品がすでに陳列されている。品質的には高くないと思われるが、消費者からすると今後はよほどの上手い打ち出しをしないと、

軽量ダウン=低価格品

というイメージで同一視される危険性が高まってきたように思う。

その以前に、軽量ダウンでイオンやイトーヨーカドーなどの量販店が参入したことで、この商品群は終焉を迎えたとも考えられる。
保温肌着などはすでにその兆候が出ている。
ユニクロのヒートテックが量販店商品の中ではもっとも高額になってしまっている。

量販店各社が参入すると「その商品が終わる」という状況は、これからも変わることがなさそうだ。

4ブランドの軽量ダウンジャケット比較(後篇)

 今日は4ブランドの軽量ダウンジャケット比較で、ユニクロとモンベルを採り上げたい。

ユニクロはご存知「ウルトラライトダウン」である。
昨日も書いたように4ブランドともMサイズで比較している。

ウルトラライトダウンはすべての部分で簡素化してある。
ただし、使用素材のクオリティは定価5990円の割に高い。
表面を覆う東レの開発素材のナイロンは高密度で薄く柔らかい。
中に詰めたダウンボールはフィルパワー640強ということなので、700以上を使用している本格的アウトドアブランドには及ばないものの、低価格ブランドのなかでは群を抜いている。

簡素化してある部分を挙げると
1、まず襟裏にブランド織りネーム、サイズネームがない。
プリントして済ませてある。

襟ネームとサイズネームはプリント

(ブランドネームとサイズネームはプリント)

2、前を閉めるファスナーの取っ手にリボンやテープがない。
ただし、無印良品と異なり、幅広い取っ手を使っているのでつまみにくさはない。

3、ダウンジャケットで多く見られる、襟元のファスナーカバーが無い。

ヒモがないファスナー

(ヒモがないファスナーと、省略された襟もとのファスナーカバー)

他社ブランドと比べて簡素化してあるところはこの3点だろうか。

筆者は当初、「製造工程を少なくすることで、縫製のコストダウンを狙ったのではないか」とレポートに書いて提出したが、その後、ジーンズOEM事務所を経営する友人から、
「コストダウンの側面もあるが、7グラムの軽量化のための措置ではないか」と指摘された。

これには目から鱗で、お恥ずかしいことだが完全に失念していた。

2011秋冬発売の「ウルトラライトダウン」の総重量は199グラムで、2010秋冬発売の商品よりも7グラム軽量化されている。
2010秋冬モデルは総重量206グラムだった。

筆者はこの7グラムの軽量化にほとんど意義を見いだせないのだが、先の3点によって7グラムの軽量化を果たしたと考えるべきだろう。

次はモンベルである。

モンベルは価格1万8800円にふさわしい商品だといえる。
中に詰められているダウンボールのフィルパワーは900で、総重量は145グラムだという。
フィルパワー900というと、他のアウトドアブランドよりも品質の高い最高級のダウンボールである。
総重量も最も軽い。

裾はゴムでパイピングされていないが、胸幅と裾幅が等しい寸胴なシルエットなので、窮屈感を感じずに閉めることができる。

あと、表面を覆う「バリスティックエアナイロン」も細い糸で高密度に織られている。

襟元にはブランドロゴの刺繍が入り、ブランド織りネーム、サイズネームも襟裏に縫い付けられている。

首元には刺繍

(襟元のブランドロゴの刺繍)

襟ネームとサイズネーム

(ブランドネームとサイズネーム)

首元のファスナーカバー

 
(襟元のファスナーカバー)

ファスナー

(ひも付きのファスナーの取っ手)

他の3ブランドと比べると値段もダントツに高いだけのことはある。
ただ、意地悪く言えば「他の3ブランドよりも高価格なのでこれくらいは当然」とも言える。

しかし、個人的には5990円でここまでの商品を販売したユニクロのモノづくりに驚きを感じる。
色が変だとか、デザインがモサっとしているとか、CMでの打ち出し方法がおかしいとか、気になる点はいくらでもあるが、黒や紺などのベーシックな色なら、普段着使いではこれで十分ではないかと思う。

現在、どの店頭でもユニクロは完売状態に近いが、定価も4990円に下がっている。
もし、気に入った色とサイズが残っており、値段も3990円に下がるなら非常にお買い得である。

今回の結果は

モンベル>ユニクロ>無印良品≒ジーユー

という評価を下した。

しかし、消費者側からのコストパフォーマンスなら

ユニクロ≧モンベル>ジーユー>無印良品

ではないだろうか。

ちなみにこの4ブランドに限らず、どの軽量ダウンジャケットにも、ダウンボールを詰めるダウンパックは使用されていない。そのため、縫い目や表面の生地から羽根が飛び出ることは覚悟しなくてはならない。

ただし、ダウンジャケットにもうこれ以上の軽量化は必要ないと考えている。
日本人の「軽さ」へのこだわりは、他国の人々に比べて異常である。
そこまで体がヤワなのだろうか?血流が悪く疲労がたまりやすい体質なのだろうか?

2012秋冬は意義のない軽量化競争ではなく、
品質やデザイン、色柄での競争を望みたい。

4ブランドの軽量ダウンジャケット比較(前篇)

 1月19日発行のモノ批評雑誌「MONOQLO」(晋遊舎)で、モンベル、ユニクロ、無印良品、ジーユーの4ブランドの2011年秋冬軽量ダウンジャケットの比較対象を行わせてもらった。

筆者が書いたレポートを基にライターさんと編集部に再構成していただいた。

もうすぐ発売期間も終了することもあり、手元に個人的に撮影した写真データもいくつか残っているので、補足掲載してみたい。

まず、4ブランドの軽量ダウンジャケットの寸法を採寸してみた。
いずれの商品もMサイズである。
採寸は腋のすぐ下の胸幅と、裾幅である。
床に置いて平面の状態で採寸した。
当然誤差はあると思うが、以下のような寸法である。

【ジーユー】   わきの下の胸周り 50センチ
          裾周り      43・5センチ

【無印良品】   わきの下の胸周り 52センチ
           裾周り      48センチ

【ユニクロ】    わきの下の胸周り 54・5センチ
           裾周り      48・5センチ

【モンベル】    わきの下の胸周り 52センチ
           裾周り      52センチ

平面の状態の測定なので、立体に換算するには2倍するとおおよその数値となる。

この計測から、ジーユーのシルエットがもっともタイトであることがわかる。
またモンベルの軽量ダウンは、「寸胴」なシルエットであることもわかる。
ユニクロのウルトラライトダウンがもっともゆったりとしたシルエットであることもわかる。

元来、ジーユーは若者層をターゲットとしていることもあり、こういうタイトなシルエットにしたのだろう。

さて、寸評だが、「MONOQLO」誌上では、ジーユーがCランク、無印良品がCランク、ユニクロがAランク、モンベルがAランクとなっていたが、もう少し細かく分類すると、ジーユーが「Cランクの上」、無印良品は「Cランクの下」、ユニクロは「Bランクの上」か「Aランクの下」、モンベルがAランクにするのがふさわしいのではないかと考えている。

ジーユーの評価が低かったのは、
試着した結果の腕の上げにくさである。
もしかしたらタイトなシルエットが祟っているのかもしれない。
ひょっとしたら元々の型紙(パターン)がおかしいのかもしれない。
いずれにせよ、4ブランド中で「腕が上げにくい」のはこのジーユーだけだった。

しかし、作りとしてはなかなかによくできている部分もある。
まず、身頃のファスナーの取っ手にテープ状の布が付けられている。
定価2990円としては手が込んでいる。なぜかというと、定価6980円の無印良品のダウンのファスナーの取っ手には、テープもリボンも取り付けられていないからだ。

ファスナー

 

(ジーユーのダウンジャケットのファスナーの取っ手)

あと、裾にゴムでパイピングされている。
これがあることで、タイトなシルエットにも拘わらず、前を閉めやすい。
実際に着比べてみて分かったのだが、裾がゴムでパイピングされているのとされていないのとでは、前を閉めるという動作が大きく左右される。

ファスナーで前を閉めるためには、一度、前方に引っ張らねばならない。
裾がゴムでパイピングされていると、タイトなシルエットの物でも伸びるので閉めやすい。
パイピングがないと、前方には伸びにくいので閉めにくい。

裾ゴム

(ジーユーのダウンジャケットの裾はゴムでパイピング)

無印良品の軽量ダウンは、裾がゴムでパイピングされていないので前のファスナーが閉めにくい。
さらに、ファスナーの取っ手が小さくて細いので、指でつまみにくい。
これは完全に付属品の選択を誤っている。

ファスナー

(4ブランド中でもっともつまみにくかった無印良品のファスナーの取っ手)

ジーユーのようにファスナーの取っ手にリボンやテープを取り付けないのであれば、もっと幅広い取っ手を採用すべきなのだが、なぜかそうしていない。閉めた後の見栄えを考えたのだろうか?
筆者はファスナーの取っ手を少々小さくしたところで見栄えが大きく変わるとは思えない。
閉めやすさという機能性を重視すべきではないかと考える。

裾ゴム無し

(ゴムでパイピングされていない無印良品のダウンジャケットの裾)

ジーユー、無印良品とも
表面を切り裂いて、内蔵されているダウンボールを確認したが、
小さく細かいダウンが主体であった。

この2ブランドを価格面で比べてみると、
ジーユーが定価2990円、無印良品が定価6980円である。
価格面から考えてみると、ジーユーの品質は妥当、無印良品の価格は高すぎるといえる。
とくにユニクロのウルトラライトダウンが定価5990円であることを考慮すると、
無印良品の定価がユニクロよりも1000円近く高いことには説得力がないと感じる。

そろそろ長くなってきたので、ユニクロとモンベルについては次回としたい。

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