4ブランドの軽量ダウンジャケット比較(前篇)
2012年2月16日 未分類 0
1月19日発行のモノ批評雑誌「MONOQLO」(晋遊舎)で、モンベル、ユニクロ、無印良品、ジーユーの4ブランドの2011年秋冬軽量ダウンジャケットの比較対象を行わせてもらった。
筆者が書いたレポートを基にライターさんと編集部に再構成していただいた。
もうすぐ発売期間も終了することもあり、手元に個人的に撮影した写真データもいくつか残っているので、補足掲載してみたい。
まず、4ブランドの軽量ダウンジャケットの寸法を採寸してみた。
いずれの商品もMサイズである。
採寸は腋のすぐ下の胸幅と、裾幅である。
床に置いて平面の状態で採寸した。
当然誤差はあると思うが、以下のような寸法である。
【ジーユー】 わきの下の胸周り 50センチ
裾周り 43・5センチ
【無印良品】 わきの下の胸周り 52センチ
裾周り 48センチ
【ユニクロ】 わきの下の胸周り 54・5センチ
裾周り 48・5センチ
【モンベル】 わきの下の胸周り 52センチ
裾周り 52センチ
平面の状態の測定なので、立体に換算するには2倍するとおおよその数値となる。
この計測から、ジーユーのシルエットがもっともタイトであることがわかる。
またモンベルの軽量ダウンは、「寸胴」なシルエットであることもわかる。
ユニクロのウルトラライトダウンがもっともゆったりとしたシルエットであることもわかる。
元来、ジーユーは若者層をターゲットとしていることもあり、こういうタイトなシルエットにしたのだろう。
さて、寸評だが、「MONOQLO」誌上では、ジーユーがCランク、無印良品がCランク、ユニクロがAランク、モンベルがAランクとなっていたが、もう少し細かく分類すると、ジーユーが「Cランクの上」、無印良品は「Cランクの下」、ユニクロは「Bランクの上」か「Aランクの下」、モンベルがAランクにするのがふさわしいのではないかと考えている。
ジーユーの評価が低かったのは、
試着した結果の腕の上げにくさである。
もしかしたらタイトなシルエットが祟っているのかもしれない。
ひょっとしたら元々の型紙(パターン)がおかしいのかもしれない。
いずれにせよ、4ブランド中で「腕が上げにくい」のはこのジーユーだけだった。
しかし、作りとしてはなかなかによくできている部分もある。
まず、身頃のファスナーの取っ手にテープ状の布が付けられている。
定価2990円としては手が込んでいる。なぜかというと、定価6980円の無印良品のダウンのファスナーの取っ手には、テープもリボンも取り付けられていないからだ。
(ジーユーのダウンジャケットのファスナーの取っ手)
あと、裾にゴムでパイピングされている。
これがあることで、タイトなシルエットにも拘わらず、前を閉めやすい。
実際に着比べてみて分かったのだが、裾がゴムでパイピングされているのとされていないのとでは、前を閉めるという動作が大きく左右される。
ファスナーで前を閉めるためには、一度、前方に引っ張らねばならない。
裾がゴムでパイピングされていると、タイトなシルエットの物でも伸びるので閉めやすい。
パイピングがないと、前方には伸びにくいので閉めにくい。
(ジーユーのダウンジャケットの裾はゴムでパイピング)
無印良品の軽量ダウンは、裾がゴムでパイピングされていないので前のファスナーが閉めにくい。
さらに、ファスナーの取っ手が小さくて細いので、指でつまみにくい。
これは完全に付属品の選択を誤っている。
(4ブランド中でもっともつまみにくかった無印良品のファスナーの取っ手)
ジーユーのようにファスナーの取っ手にリボンやテープを取り付けないのであれば、もっと幅広い取っ手を採用すべきなのだが、なぜかそうしていない。閉めた後の見栄えを考えたのだろうか?
筆者はファスナーの取っ手を少々小さくしたところで見栄えが大きく変わるとは思えない。
閉めやすさという機能性を重視すべきではないかと考える。
(ゴムでパイピングされていない無印良品のダウンジャケットの裾)
ジーユー、無印良品とも
表面を切り裂いて、内蔵されているダウンボールを確認したが、
小さく細かいダウンが主体であった。
この2ブランドを価格面で比べてみると、
ジーユーが定価2990円、無印良品が定価6980円である。
価格面から考えてみると、ジーユーの品質は妥当、無印良品の価格は高すぎるといえる。
とくにユニクロのウルトラライトダウンが定価5990円であることを考慮すると、
無印良品の定価がユニクロよりも1000円近く高いことには説得力がないと感じる。
そろそろ長くなってきたので、ユニクロとモンベルについては次回としたい。