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南充浩 オフィシャルブログ

4ブランドの軽量ダウンジャケット比較(後篇)

2012年2月17日 商品比較 0

 今日は4ブランドの軽量ダウンジャケット比較で、ユニクロとモンベルを採り上げたい。

ユニクロはご存知「ウルトラライトダウン」である。
昨日も書いたように4ブランドともMサイズで比較している。

ウルトラライトダウンはすべての部分で簡素化してある。
ただし、使用素材のクオリティは定価5990円の割に高い。
表面を覆う東レの開発素材のナイロンは高密度で薄く柔らかい。
中に詰めたダウンボールはフィルパワー640強ということなので、700以上を使用している本格的アウトドアブランドには及ばないものの、低価格ブランドのなかでは群を抜いている。

簡素化してある部分を挙げると
1、まず襟裏にブランド織りネーム、サイズネームがない。
プリントして済ませてある。

襟ネームとサイズネームはプリント

(ブランドネームとサイズネームはプリント)

2、前を閉めるファスナーの取っ手にリボンやテープがない。
ただし、無印良品と異なり、幅広い取っ手を使っているのでつまみにくさはない。

3、ダウンジャケットで多く見られる、襟元のファスナーカバーが無い。

ヒモがないファスナー

(ヒモがないファスナーと、省略された襟もとのファスナーカバー)

他社ブランドと比べて簡素化してあるところはこの3点だろうか。

筆者は当初、「製造工程を少なくすることで、縫製のコストダウンを狙ったのではないか」とレポートに書いて提出したが、その後、ジーンズOEM事務所を経営する友人から、
「コストダウンの側面もあるが、7グラムの軽量化のための措置ではないか」と指摘された。

これには目から鱗で、お恥ずかしいことだが完全に失念していた。

2011秋冬発売の「ウルトラライトダウン」の総重量は199グラムで、2010秋冬発売の商品よりも7グラム軽量化されている。
2010秋冬モデルは総重量206グラムだった。

筆者はこの7グラムの軽量化にほとんど意義を見いだせないのだが、先の3点によって7グラムの軽量化を果たしたと考えるべきだろう。

次はモンベルである。

モンベルは価格1万8800円にふさわしい商品だといえる。
中に詰められているダウンボールのフィルパワーは900で、総重量は145グラムだという。
フィルパワー900というと、他のアウトドアブランドよりも品質の高い最高級のダウンボールである。
総重量も最も軽い。

裾はゴムでパイピングされていないが、胸幅と裾幅が等しい寸胴なシルエットなので、窮屈感を感じずに閉めることができる。

あと、表面を覆う「バリスティックエアナイロン」も細い糸で高密度に織られている。

襟元にはブランドロゴの刺繍が入り、ブランド織りネーム、サイズネームも襟裏に縫い付けられている。

首元には刺繍

(襟元のブランドロゴの刺繍)

襟ネームとサイズネーム

(ブランドネームとサイズネーム)

首元のファスナーカバー

 
(襟元のファスナーカバー)

ファスナー

(ひも付きのファスナーの取っ手)

他の3ブランドと比べると値段もダントツに高いだけのことはある。
ただ、意地悪く言えば「他の3ブランドよりも高価格なのでこれくらいは当然」とも言える。

しかし、個人的には5990円でここまでの商品を販売したユニクロのモノづくりに驚きを感じる。
色が変だとか、デザインがモサっとしているとか、CMでの打ち出し方法がおかしいとか、気になる点はいくらでもあるが、黒や紺などのベーシックな色なら、普段着使いではこれで十分ではないかと思う。

現在、どの店頭でもユニクロは完売状態に近いが、定価も4990円に下がっている。
もし、気に入った色とサイズが残っており、値段も3990円に下がるなら非常にお買い得である。

今回の結果は

モンベル>ユニクロ>無印良品≒ジーユー

という評価を下した。

しかし、消費者側からのコストパフォーマンスなら

ユニクロ≧モンベル>ジーユー>無印良品

ではないだろうか。

ちなみにこの4ブランドに限らず、どの軽量ダウンジャケットにも、ダウンボールを詰めるダウンパックは使用されていない。そのため、縫い目や表面の生地から羽根が飛び出ることは覚悟しなくてはならない。

ただし、ダウンジャケットにもうこれ以上の軽量化は必要ないと考えている。
日本人の「軽さ」へのこだわりは、他国の人々に比べて異常である。
そこまで体がヤワなのだろうか?血流が悪く疲労がたまりやすい体質なのだろうか?

2012秋冬は意義のない軽量化競争ではなく、
品質やデザイン、色柄での競争を望みたい。

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