月別: 9月 2011 (1ページ / 2ページ)

量販店は肌着、靴下、ホームウェアに特化してみては?

 先日、イトーヨーカドーが新しく開始したSPA型カジュアルブランド「グッディ」について書いたのだが、ファーストシーズンの打ち出しアイテムがほとんどユニクロと被っており、ユニクロの二番煎じにしか見えない。

現段階では、ライトダウン、フリース、ネルシャツとユニクロがメインで打ち出している商材とほぼ同じものをラインナップしている。せっかくのカジュアルブランドであるなら、例えばセーターをユニクロより強化してみるとか、デニムシャツを大幅に打ち出してみるというようにユニクロとの差別化を図るべきではないだろうか。

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(イトーヨーカドーのグッディ)

常々イトーヨーカドー、イオンに代表される量販店にそもそも「ファッション」衣料が必要なのだろうかと感じていた。持って回った言い方だが、直言すると量販店にファッション衣料は必要ないと考えている。

なぜなら、売れないから。

バブル崩壊以降の消費者には「洋服が欲しいなあ、そうだ、ヨーカドーに買いに行こう」という意識が無くなっている。
消費者はファッション衣料を買う場として、ユニクロ、しまむら、無印良品その他低価格SPAブランドは認識しているが、量販店をそのようには認識していない。

ただ、量販店各社は、バブル崩壊まで衣料品で利益の大部分を稼いできたという経緯がある。
そのため、上層部は「利益率を高めるためには衣料品強化しかない」と思いこんでおり、そしてできもしないファッション衣料を強化しては失敗することを繰り返している。

もし、自分なら量販店の衣料品をどのように扱うかを考えてみた。
あくまでも仮定の話である。

量販店でファッション衣料を扱うのは無理なので、すっぱりあきらめる。
その代わりに肌着、靴下、パジャマ、ワイシャツ、ネクタイ、ホームウェアなどの実用衣料に特化する。

そこで300円均一とか500円均一という品ぞろえをしてしまえば、何のことはない単なる在庫処分の投げ売り店である。それでは意味がない。

ある程度ディスプレイをカッコヨクしながら、肌着や靴下を圧倒的に集めてみてはどうか。
300円くらいから数千円、一万円くらいまでの各価格帯・各ブランドの肌着を集積したらどうだろうか?

もちろん、靴下、ホームウェアなども同様である。
ただ、メンズのビジネスウエア(ワイシャツ、ネクタイ)などは従来の品ぞろえのままにする。なぜなら、量販店は男性が自分で買うのではなく、奥さんや娘さんなどの代理購買が多い。
そして、悲しいかな、奥さんや娘さんは、低価格のワイシャツやネクタイを選ぶ傾向が強い。

ここで、肌着、靴下、ホームウェアを強化する理由は2つある。

1、女性向け商品には嗜好品の要素が強い
2、吸水速乾や保温、保湿などの機能性が重視される商材である

嗜好性が高い女性商品を集積すると、女性は不思議なことに同じような商品であっても色違いや柄違い、デザイン違いで複数枚を購入してくれる場合が多い。
また機能性が重視されているため、きちんとその機能性が打ち出されていれば、販売しやすい。さらに昨今では高機能商品であれば少々値段が高くても消費者が購入してくれるという風潮も強まっている。

高機能性のある肌着、靴下、ホームウェアこそ「ファッション」に弱い量販店にもっとも適した商品であると考えている。

そして何より、肌着や靴下、ホームウェアを圧倒的に集積することで、ユニクロとの差別化を果たすことができる。

ただ、前例のない売り場作りであるから、実現するには相当ハードルが高いことは容易に想像できる。
今の量販店各社の上層部が決断を下せるとも思えない。

しかし、勝ち目のない「ファッション」を取り組むよりはよほど勝算が高いと思うのだが。。。。

死屍累々のジーンズカジュアルチェーン店

 先日、ライトオンの2011年8月期決算が発表された。

売上高     806億6600万円(前期比7・3%減)
営業利益    22億8300万円(前期比71・8%増)
経常利益    21億6200万円(前期比78・1%増)
当期損失    17億9200万円

と減収に終わった。
営業利益と経常利益は増益となったが当期損失の赤字幅は昨年よりも拡大している。

2012年8月期は

売上高     810億円
営業利益    21億8000万円
経常利益    20億円
当期利益     4億3000万円

を見込む。

月次売上速報を見ても、売上減少には歯止めがかかってきており、底打ち感もある。
おそらく、今後も売上高800億円内外で推移するのではないだろうか。

先日、ジーンズカジュアルチェーン店が話題に上ったのだが、
全国チェーン店はこのライトオン、マックハウス、ジーンズメイトのわずかに3社しか残っていない。

OEM生産に携わる友人は、若いころからさまざまなジーンズカジュアルチェーン店向けの商材を作ってきた。
彼がこの15年間を振り返ると、

レオ、フロムUSA、ロードランナー、マルフル、八王子マルカワ、三信衣料、アイビー商事、
カジュアルハウス306などなどと死屍累々である。

レオはマックハウスと資本提携した後、吸収されてしまい、屋号もマックハウスに統一された。
フロムUSAは倒産後、札幌の発信グループに買収され、ロードランナーとして蘇ったものの、今度は発信グループ自体が倒産してしまいロードランナーも消滅した。

マルフルはアオキに買収され、MXと名を変えた後、アオキに吸収され一事業部となった。さらにその後、MX事業部自体が解散となり店舗も閉鎖され、完全消滅した。

関西の有力店であった三信衣料も倒産したときには驚かされたし、同じく関西のアイビー商事も徐々に縮小してしまい、最後は2店舗くらいの運営をして消滅した。

直近の倒産だとカジュアルハウス306である。

これだけこの15年間に大型店舗が倒産消滅していれば、そこを主要販売先としていたジーンズナショナルブランドが凋落しても不思議ではない。
ここで言うジーンズナショナルブランドとは「エドウイン」「リーバイス」「リー」「ラングラー」「ビッグジョン」「ボブソン」「スウィートキャメル」あたりのことである。

こうしたジーンズカジュアルチェーン店はどこに負けたのか?ということになると、
月並みだが、ユニクロ、しまむら、ポイント、ハニーズなどの低価格SPAチェーン店に負けたと言うしかない。
当初の予定ではその一角に食い込むはずだった青山商事の「キャラジャ」は鳴かず飛ばずであり、30店舗規模から拡大できていない。今後も「キャラジャ」の成長は難しいだろう。

問題は消滅したジーンズカジュアルチェーン店が、昔ながらのジーンズを主体にTシャツ、スエット、ネルシャツなどの簡単なトップスを売るというスタイルから脱皮できなかったことにある。
ディスプレイも古臭く、古典的ウエスタンショップの雰囲気を払しょくすることができなかった。

トータルなスタイリングを提案する低価格SPAブランドに負けたことは自然な流れといえる。

ユニクロよりも素材が劣り、割高感があるグッディ

 イトーヨーカドーのSPA衣料ブランド「グッディ」が開始された。
各識者の意見を拝読しているとあまり評判は良くないように感じられる。

先日、初めて現物を確認してきたので、感想をまとめたい。

まず最初の印象は「ユニクロに似てるなあ」である。
ファーストシーズンということで展開アイテムも絞っているのだろうが、メインとなるのがライトダウン、ネルシャツ、スエットフルジップパーカ、チノパン、フリースジャケット、チノパンなど、ほぼユニクロと同じアイテムである。
これでは「ユニクロの後追い」の印象は免れ得ない。

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すべてのアイテムをチェックすることは時間的に無理なので目に付いたものを数点詳細に見てみる。

メンズに柄入りのストールがある。
おそらく先染め織物であろうか。
素材はアクリル100%で価格は2990円。
素材の割に価格が高い。ユニクロは1990円で展開している。

次にメンズの薄型ダウン「ライトウォームダウン」。
これはダウンとフェザー以外にアクリルが4%が混入されている。
価格は6990円。
ユニクロのウルトラライトダウンが5990円であることを考えると割高感がある。
何よりもアクリル4%というところが、材料費を削減しているとしか思えない。

次にレディースの裏毛スエットフルジップパーカ。
綿55%・ポリエステル45%の素材で、やや肉薄であるのと、ポリエステル独特の光沢感があるため、チープな印象が強い。
価格は2990円でユニクロと同じ。

ユニクロのスエットフルジップパーカは、毎シーズン発売される定番アイテムだが、今秋冬は素材を変更している。ユニクロのHPによると、綿66%・ポリエステル34%となっている。
3年前に購入したスエットフルジップパーカは綿100%であったため、その当時からすると素材は見劣りする。

今回の「グッディ」とユニクロの措置は、昨年末をピークとした綿花高騰の影響だろう。
綿が高額なので、配合率を減らしその分をポリエステルで補っている。
現在は綿花の価格相場も落ち着いているので来年のスエットはまた異なる配合率になるだろう。

ざっと駆け足で見た印象だが、素材感がユニクロよりも劣るが、価格は同等かアイテムによってはユニクロよりも高く設定されている。
この状態が今後のシーズンも続くようであればユニクロに追いつくことなど到底不可能ではないか。

以前にも同じことを書いたのだが、ランチェスターの理論というものがある。
この理論では、業界1位企業が勝つためには物量作戦であり、追随作戦であると説く。
反対に業界2位以下の企業が勝つためには、一点突破主義であり、差別化戦略であると説く。

メンズのツープライススーツで考えると、
ツープライススーツショップの嚆矢となった「ザ・スーパースーツストア」を展開したオンリーは売上高が80億円内外の企業である。オンリーはランチェスター理論通りに、差別化販売戦略を打ち出した。
しかし、スーツ業界最大手は青山商事である。青山商事はこれに「追随」して「ザ・スーツカンパニー」を打ち出して圧倒的な物量で市場を席巻した。これもランチェスター理論通りである。

さて、これを低価格カジュアルに当てはめると、
業界1位はユニクロである。イトーヨーカドーもイオンも2位以下である。
しかし、スーツ業界とは逆に、2位以下のイトーヨーカドーが業界1位のユニクロに追随しているのである。
これでは永遠に勝ち目がない。
イトーヨーカドーとイオンを始めとする量販店各社は、業界1位のユニクロに追随している限り、ユニクロを越えることは不可能である。

量販店各社が衣料品を復活させたいのであれば、ユニクロへの追随を止めることが先決である。

客数30%減は危険な兆候

 ライトオンとジーンズメイトの9月度売上速報をまとめる。

ライトオン
既存店売上高が前年比1・3%減
既存店客数が同4・4%減
既存店客単価が同3・2%増

ジーンズメイト
既存店売上高が前年比17・8%減
既存店客数が同31・9%減
既存店客単価が同20・7%増

となっている。
ライトオンは明らかに下げ止まりの傾向であるが、ジーンズメイトの客数減には歯止めがかかる気配がない。

ちなみに しまむらグループの9月度売上速報は
しまむらの既存店売上高が前年比1・8%減
アベイルの既存店売上高が前年比3・7%増

となっており、堅調だといえる。

こうして見ると、ジーンズメイトを除く2社は先月までの堅調さをある程度維持していることがわかる。

ジーンズメイトは、客単価は上昇しているものの、客数減が大きすぎる。
毎回客数減への警鐘ばかり鳴らしていても仕方がないので、若者人口が減っているという現実を踏まえて、ある程度の客数減は当然という前提に立ってみたい。
人口が減っているため、客数は伸びることはないという視点で見ると、
客単価アップへの取り組みは正解である。

昨年までのジーンズメイトの商品価格が安すぎたともいえる。
それは、定価設定が低すぎたのではなく、処分在庫品を投げ売りしすぎていたというのが、昨年までの店頭を見た感想である。
この数年間、意外にジーンズメイトで購入した商品を多く所有している。
ただし、格安価格で購入している。

夏用の半袖シャツ、Tシャツ、ポロシャツ類を昨年も一昨年も買ったが、990円以上で購入したことがない。
最高で990円、安ければ590円で購入している。
また、昨日のブログでも登場した今年の正月に買ったダウンジャケットだが、2900に値下がりした時点で買っている。ちなみにこのダウンは7900円→4900円→3900円と値下がりし、期間限定で1000円引きされたので2900円で買うことができた次第である。

冬物のウールのセーターも990円に値下がりした時点で買った記憶がある。

さて、ジーンズメイトの単価増は20%前後なので、
例えば、これまで990円でセールしていたものを1200円で販売して購入してもらえれば、これで20%増である。590円の物は710円で、2900円の物は3500円で販売すれば達成できる。

こうして具体的に数字化してみると、販売することがそれほど難しい価格上昇ではない。
今春夏の店頭を見ると、昨年よりも投げ売り価格が減ったことがわかる。そのための客単価上昇であろう。

他方、客数減だが、若者人口が減少しているという背景を考えるなら、ある程度の減少は仕方がないのかもしれない。前年同数~5%減や10%減までは「当然」と見なしても良いのだろうか。
しかし、30%減が慢性化しているのは、危険な兆候であると言わざるを得ないだろう。

これは明らかに現状の店舗が消費者に支持されていない証拠だろう。
それは販売価格を20%上げたからではなく、店作りが今の消費者の志向に合致していないからである。
個々の商品がそれほど悪いわけでもない。ジーンズメイトの扱っている商品を個々で取りだしてみれば、それなりにデザインも良く、それなりに品質も維持されている。
ただ、それが集積すると何故か「良く」見えない。

ジーンズメイト本体が店作りを見直すことを期待したい。

タウンユース用防寒アウターに過度な軽量化は必要ない

 通常の電車・バスによる通勤通学において防寒アウターの過度な軽量化は必要だろうか?という疑問が常々ある。なお、バイクによる移動や、自転車による長時間に渡る移動はこの範疇には含まない。

もちろん、本格的な競技向けスポーツや、1000メートルを越えるような冬山登山では、軽量化というのは一つの機能であることは承知している。服や靴などを1グラム軽くするだけで記録タイムが大きく変わったり、登山での疲労度が軽減されたりするからである。

今回、疑問を感じているのは、あくまでも日常生活的なタウンユースの場合である。
具体例を挙げると、ユニクロのウルトラライトダウンである。
昨年秋冬に発売されたウルトラライトダウンは206グラム、今秋冬商品はさらに改良を加えて199グラムであるという。
ウルトラライトダウンは本格的な競技用・登山用には不向きであり、あくまでもタウンユース限定である。バイク乗りに言わせると「寒すぎてバイク時の着用も不可能」であるという。
果たして、タウンユースにおいて7グラムを軽減することにどれほどの効果があるというのだろうか?わずか1円玉7枚分の重さを軽減したところで、タウンユーザーにはどっちでも良いことである。
まさか、7グラム軽くなったことで、通勤時における疲労度が圧倒的に改善されるようなことはありえないだろう。

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じゃあ、全般的にどれくらいの重さだと防寒アウターは「重い」と感じるのだろう?
さっそく手持ちの防寒アウターを計量してみた。

まず
ユニクロの「ライトダウンジャケット」

今の「ウルトラライトダウン」が発売される前の商品である。
重さは500グラム

今年正月に購入したジーンズメイトの軽量ダウン
ちなみに価格は2900円にまで値下がりしてから買った。
重さは385グラム

2008年にファミリーセールで購入した「クロコダイル」の軽量ダウン
重さは375グラム

もうひとつ。
昨年秋に息子用にジーユーで購入した薄手のダウンジャケット
重さは310グラム

だった。

手持ちの中で最も重いと感じられる防寒アウターも計量してみる。

2000年のそごう心斎橋本店の閉店時に、閉店セールで買った「フォーバーズ」のロングコート
厚手のヘリンボーンツイードで織られており、丈の長さはひざ丈を越える。
ずっと重いなあと感じていたのだが、計ってみると
2キログラム

もあった。重いはずだわ。

知り合いのデザイナーさんからいただいた10年以上前の「グレンフェル」のロングダッフルコート
これも2キログラム

2007年ごろに買った「無印良品」のショートダッフルコート
これは少し軽くて愛用していたのだが、
1キログラム

だった。

なお、家庭用の計量秤を使用したので多少の誤差はあるかもしれない。

さてさて、ダウンジャケットは4種類計量してみたのだが、
そのどれもが手に取った感触で「重い」と感じた物はない。

ウールのコートは3種類計量してみたが、
「フォーバーズ」「グレンフェル」(各々2キログラムずつ)は明らかに手に取った瞬間に「重い」と感じ、
「無印良品」(1キログラム)は「まあこんなものか、ダウンよりは重いがそれほど苦にするほどでもない」という感想である。

この計量結果を踏まえると、
500グラム以下(500グラムも含まれる)のアウターの重さは、それほど気にならない方が多いのではないかと推測される。
残念ながら600グラム~900グラムの防寒アウターの手持ちがなかったため、どこからが「重い」と感じる境目なのかは今回は探求できなかった。

「ウルトラライトダウン」は昨年時点で重さが206グラムであるため、今秋冬商品で7グラムを軽減する必要はなかったのではないだろうか。
もっとも、毎年何かしらをバージョンアップさせるのがユニクロの姿勢であるため、7グラムの軽量化もその一環であることは重々承知している。
しかし、バージョンアップを図るのであれば、7グラムの軽量化よりも保温性とかウオッシャブルなど他の機能性に目を向けるべきではないだろうか。

冒頭にも書いたように、本格的な競技用、本格的な登山用であれば7グラムの軽量化は大いに取り組むべき課題である。しかし、ウルトラライトダウンの用途はタウンユースに限られている。あれを着て1000メートル級の冬山登山に臨むのは自殺行為である。
タウンユース用の防寒アウターであれば、500グラム以下の総重量は、ほとんど気にならないし過度に軽量化しても着用者に何の効果もない。

意味のない7グラムの軽量化は、まさに売るための「販促用語」に過ぎないのではないかと疑っている次第である。そして、ユニクロにはこの「販促用語」が溢れており、物事の本質をごまかしているとも感じられる。

ユニクロの「ウルトラライトダウン」に追随して、低価格ゾーンの他社アパレルでも過度な軽量化追求の動きを目にすることがある。元来、タウンユースとしてしか着用できない低価格ゾーンの防寒アウターに過度な軽量化はまったく必要ない。400グラム前後をキープすれば十分である。
「ユニクロが199グラムなら、うちは185グラムだ」などという過度な競争は製造コストを下げるだけの方便にしか聞こえない。200グラムを切ったタウンユース用のアウターを、そこから7グラム下げようが、15グラム下げようが利用者にはまったく何の着用メリットもない。
むしろ詰め物が減った分だけ防寒性がおろそかになっているのではないかとさえ思う。

他社が、無意味な「アウター軽量化過当競争」に参加しないことを望んでやまない。

大阪のもう一つの得意分野は子供服

 昨日、「大阪ファッション」の得意分野をまとめてみたのだが、もうひとつ、大阪が得意とするアパレル分野がある。それは子供服である。

子供服専門アパレルという業種に限ってみれば、メンズやレディースと比べて格段に大阪本社のアパレルが多い。
また神戸も入れると、かなりの数の有名ブランドの本社が関西に集中している。

「ミキハウス」の三起商行
フーセンウサギ
フィス
コージーコーポレーション
丸高衣料

などが大阪本社である。

また神戸だと

ファミリア
ベベ
FOインターナショナル
キムラタン

などとなる。
従業員1~10人程度の小規模ブランドなら大阪・神戸にはそれこそ無数にある。

その昔、大阪市福島区周辺にはメリヤス工場が多かったという。
メリヤスとカタカナで書くと雰囲気が伝わらないので、莫大小と漢字にしてみる。

いわゆる伸縮性のあるTシャツなどに使われる素材を昔はメリヤスと呼んだ。
着脱のしやすさ、動きやすさを考えると子供服にはメリヤスが適している。
その影響から福島区周辺には子供服や肌着の会社が数多くあった。
10年ほど前に会社が清算された子供服メーカー、カメオカもその一つである。

ただ、子供服という分野がファッションイベントとして盛り上がるかというといささか疑問である。
どうしてもパパママ親子イベント的になり、親子連れ以外には興味を持たれないのではないだろうか。
そういうこともあり、あえて子供服を採り上げなかった。

しかし、大阪の行政(大阪市、大阪府)がバックアップして強化するには適した分野であると思う。
ファッションショーはそれほどの効果がないと推測するが、展示会や受注会をグレードアップさせるような手法は意外に効果が高いのではないだろうか。

大阪に基盤を持たないヤングメンズやヤングレディースブランドを誘致して、一回こっきりのファッションショーを開いたとしてそれのどこが「大阪の繊維産業育成」につながるというのだろうか。
もちろん経済効果はゼロではないが、その日限りで終わりである。

もし、本気で「大阪の繊維産業育成」を考えるのであるなら、今現在でも大阪を拠点に全国や世界に通用している分野に力を入れるべきでないか。

それが昨日挙げた「ジーンズカジュアル」であり、今日採り上げた「子供服」である。

「大阪ファッション」はジーンズカジュアルとデザイナーブランドで

 9月18日、知人に誘われて大阪のファッションイベント「大阪スタイリングエキスポ」に行った。

知らない方のために、少し解説すると、
大阪を拠点とするデザイナーズブランドを発信する「大阪コレクション」が2004年に終了し、
2006年から消費者参加型を志向したイベント「大阪ライフスタイルコレクション」が始まった。
しかし、これが一回で休止となり、2007年からは同じタイトルで専門学校対抗のファッションコンクールとなった。

はっきり言うとこの専門学校対抗のファッションコンクールは緊急避難的措置として、お茶を濁した内容だったにも関わらず、2009年まで無為無策のまま3年間も続いた。
2010年から再びリニューアルし、「大阪スタイリングエキスポ」と名前を変えた。
今回はその2年目である。

昨年とほぼ同じ内容であったため、特別な感想はない。
「ふーん」と言ってしまえば終わる。

さて、このイベント中に使われた言葉に「大阪らしいファッションの発信」とある。大阪スタイリングエキスポに関わらず過去のイベントすべてで使われていた共通の言葉である。
しかし、「大阪らしいファッション」って何だ?
これがきっちりと定義できていないと、今後もこのファッションイベントは迷走を続けることになる。
主催者側はそんなことは気にしていないと思うが。

大阪のファッションイベントはすべからく「大阪らしいファッション」というキーワードをブチ上げたがる。
しかし、「大阪らしいファッション」とは何か?明確な答えを出せたイベントは不幸にしていまだに拝見していない。

今日は「大阪らしいファッション」について考えてみたい。
「大阪らしいファッション」と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、
大阪のおばちゃん愛用のアニマル柄のトップスであろう。
単なる豹柄や虎柄ではなく、豹や虎のリアルな顔がデカデカとプリントされたものである。
そこに黒いスパッツを穿き、ヘンテコリンなパーマヘアに紫色のメッシュで着色する。

だいだいこんな感じだろうか。
ならば、この大阪のおばちゃんルックを発信すべきか?
だが、そこには何となくためらいがある。ちっともカッコヨクない。

そこで、大阪が拠点となって、全国に発信できたファッションを思い返してみる。ここには過去の事例も含みたい。

個人的にはジーンズカジュアルを挙げたい。
良く知られているエヴィスは大阪で創業され、今でも市内に多数の店舗を構えている。
登記上の本社は奈良県だが、大阪と見なしてもあまり差支えないだろう。
また、ステュディオ・ダ・ルチザンは正真正銘大阪拠点である。
フルカウント、ウェアハウス、RNAも大阪を拠点としている。
ややマニアックだが、サムライジーンズも大阪が拠点である。

近年、低価格カジュアルSPAとして進捗著しいウィゴーも大阪が創業の地であり、東京に移転したが、つい先日まで本社がアメリカ村にあった。
パルグループの「チャオパニック」も一端に加えても良いかもしれない。

ジーンズカジュアル分野においては、大阪は現在もある程度の発信力を持っている。
70年代・80年代は今よりももっと絶大な発信力があったというし、90年代でも今以上のトレンド発信があった。

他のジャンルではどうだろうか?
思いつくのはメンズスーツアパレルである。
大阪には谷町筋という南北に走る大通りがある。
その谷町4丁目付近に、以前は大手のメンズスーツアパレル各社が本社を構えていた。
トレンザ、メルボ紳士服、ジョイックスコーポレーション、大賀、ロンナーなどなど。
以前は、大阪で「谷町筋」と言えば「メンズスーツの街」というイメージがあった。

今は各社が本社を移転してしまい、ジョイックスコーポレーションとロンナーが登記上の本社を残すのみとなっている。

「谷町筋復興キャンペーン」みたいなことも打ち出せないではないと思うが、ちょっと実状にはそぐわなくなりすぎたのかもしれない。

もうひとつ。以前に神戸ファッションマートのスタッフの方からこんなことを聞いた。
「神戸でデザイナーブランドを集めようとした場合、意外に服を扱っているブランドが少ない。バッグ、靴、アクセサリーが多い。その点、大阪は、まだ服を扱っているデザイナーが多い」という。

もちろん、東京には遠く及ばないが、大阪はいまだに個人デザイナーによるデザイナーブランドがある程度集積している。繊維産業華やかなりし頃の余韻だろうか。

かつての大阪の利点は、繊維の製造場所が近いということにあった。
合繊メーカーと紡績の本社が大阪市内にある。
また、京都、和歌山、滋賀、泉南、西脇、福井、奈良などの各繊維産地が大阪を中心にほぼ同心円状に等距離で存在している。
ウールの尾州やデニムの岡山・福山も新幹線で1時間圏内である。
タオルの今治が遠いが、それでも東京に比べると近い。

浜松と桐生、足利、新潟あたりが遠く離れているだけである。

大阪という土地はかつては衣料の製造に非常に適した土地だった。
これだけ寂れてしまったにも関わらず、いまだにデザイナーズブランドが一定数量以上存在するのは、この影響があるのかもしれない。

とすると、「大阪らしいファッション」というお題でファッションイベントを考えたときに、
デザイナーズブランドとジーンズカジュアル、この2本立てで行くのがもっとも大阪の伝統に沿ったものではないかと思う。

無理やりに「スタイリスト」にスポットを当ててみたり、お茶を濁す形で「学生コンテスト」を開催するよりもよほど実状に適っているのではないだろうか。

大丸梅田店を冷笑していたライバル店こそ見識が低い

 大阪・梅田の百貨店で最も好調なのが大丸梅田店である。
その好調ぶりが先日、産経新聞に掲載されたので改めて紹介したい。

「大丸梅田店は大阪百貨店戦争の勝ち組?! 絶好調の理由は…」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110918/biz11091818010004-n1.htm

大丸梅田店(大阪市北区)の快進撃が続いている。昭和58年のオープン以来、最大規模となる改装を今春実施し、売り場面積を改装前の約1・6倍にあたる6万4千平方メートルに広げた。4月19日のグランドオープンから4カ月間(8月19日まで)の売上高が前年同期比75%増に達し、8月単月では前年同月比89%増と過去最高を記録した。

という。
面積が60%増になっているのだから、売上高が増えても当然という考え方も成り立つが、広い面積の店舗が必ずしも売れているというわけではないから、オープン景気もあるとはいえ、前年比75%増は好調と断じても差し支えないだろう。
また、夏枯れで数字の伸びない8月にも、倍増近い前年比89%増と売り上げを拡大している部分は特筆すべきである。

産経新聞は、好調の要因として

大丸梅田店は、今回の大改装で、人気キャラクターグッズの「ポケモンセンター」とミニカー玩具の「トミカショップ」、生活雑貨「東急ハンズ」、カジュアル衣料「ユニクロ」などをテナントとして誘致した。

 首都圏では、高級ブランドの路面店オープンのあおりを受け、百貨店からの撤退が相次ぎ、空いた空間をさまざまなテナントが埋めているケースが目立つ。大丸梅田店の動きについて「あれは百貨店ではない」(ライバル店)といった冷ややかな声もあった。しかし、ふたを開けてみれば、来店客数と売上高の増加に貢献している。

 もともと大丸梅田店はJR大阪駅周辺で働く30歳代前後の女性を主力購買層に置いていた。増床で従来の百貨店にはなかったテナントが入ったことで、客層が広がり、売り場の担当者は「今では家族連れや年齢層の高い人の姿もよく見られるようになった」と話す。

とする。

今年3月17日のこのブログでも指摘させていただいたが、
「ポケモンセンター」「トミカショップ」「ユニクロ」「東急ハンズ」の導入が客数を牽引している。
http://blog.livedoor.jp/minamimitsu00/archives/2424110.html

百貨店の凋落の原因の一つとして「高価格帯の婦人服に特化しすぎた」ことが挙げられる。
昔、百貨店が隆盛を誇った高度経済成長期には、家電売り場があり、おもちゃ売り場があり、最上階には遊園地と家族で楽しめる大食堂があった。
これによって、若い子連れ夫婦からお年寄りまで幅広い客層を取り込むことができた。
実際に、筆者は体験していないが、子供の頃、百貨店の大食堂に家族で行くのが楽しみだったと語る方々は多い。また、筆者自身も子供の頃、百貨店の屋上遊園地で何度か遊んだことを記憶している。

それが、バブル期から効率的な売り場作りを追求しすぎて、もっとも単価が高く、楽に売れる高級婦人服への集中度を過剰に高めた。これが現在に続く百貨店凋落の原因である。
百貨店は、そのころから「ファッションに興味があって、高い値段の服が欲しい、40代までの女性」しか行かない商業施設となった。自ら顧客層を絞り込みすぎたと言える。
その結果、百貨店に行きたがる子供や男性はめっきり減少した。もちろん、お年寄りも減少した。

今回の大丸梅田の取り組みは、お年寄りは別としても子供と男性を百貨店に呼び戻すという目的を達成している。

「ポケモンセンター」「トミカショップ」=子供
「東急ハンズ」=男性

がターゲットである。

このテナントがあることによって、20代後半~30代前半の子連れの若いお母さん層も来店しやすくなる。
通常の「レディースウエアしかない百貨店」に子連れで出かける場合、たいてい、子供が同行することを嫌がる。
なぜなら、百貨店に行っても退屈だからだ。
屋上遊園地はない、おもちゃ売り場はない。ゲームセンターもない。
だから、子連れの主婦層は郊外型のショッピングセンターに行くことになる。

しかし、「ポケモンセンター」「トミカショップ」が大丸梅田店にあることで、子連れで来店しても、子供が退屈しないで済む。また夫を同行させても、夫も「東急ハンズ」で時間を潰すことができる。
従来型の百貨店だと、夫は休憩スペースのベンチに座ってジュースでも飲んでいるのが、精一杯の時間つぶしである。

大丸梅田店のテナント導入は論理的で合理的である。

文中にあるように「あれは百貨店ではない」などと寝ぼけたことを言っているから、ライバル店はダメなのである。
だいたいにして、高級な婦人服を欲しいと思う消費者がどれだけ存在すると考えているのだろうか?
梅田地区に絞って考えると、阪急、阪神、大丸、伊勢丹と4つの百貨店がある。
「高級婦人服が欲しい」と考える消費者は、4つの百貨店すべてで買い物するはずがない。どれか1つ、せいぜい2つまでである。

そして、ユニクロの登場以来、低価格ブランド各社の「品質」も向上している。
これは「物性面」だけの品質ではなく、店頭での見せ方、ブランドとしての宣伝手法、洋服のデザインすべてをひっくるめたものである。明らかにバブル期の「安物」ブランドとは異なる。
消費者は、百貨店だけで洋服を買う必要がない。
極言すれば、百貨店で服を買う必要がない。

大丸梅田店を冷笑していたライバル店の思考は明らかにバブル期で停滞してしまっている。
安物売り場にもバブル期で思考が停滞している幹部を見かけるが、百貨店にもバブル期で思考が停滞している従業員が多い。

今後、大丸梅田店の売り上げがどのように変化するのかは注目が必要だが、
「ヤングから40代ミセスまでの高級婦人服ブランドをそろえるのが百貨店」という考えが変えられない百貨店は、今後、間違いなく滅び去るだろう。

ユニクロの過剰表現が鼻に付く

 販促のセミナーとか広報・プレスリリースのセミナーを受講すれば「良い印象を持たれるように説明文を書きなさい」と教えられる。そのことは誠に正論であり、合成皮革という素材を「本革に似せたニセモノです」と説明するよりも「本革よりもお手入れが簡単です」とか「本革と違って雨に濡れても大丈夫です」とプラス面を強調するほうが良い。

 知り合いのデザイナーが数年前に、見た目が絹とそっくりなポリエステル生地でコートを製造したことがある。
絹のコートなら59000円くらいになるが、彼の作ったコートは29000円に価格を抑えることができた。何分、小規模デザイナーなのでこの価格だが、もしも大ロットで作れば19000円とか9800円くらいにまで価格を下げることができただろうと推測される。

さて、絹をポリエステルで代替する理由として、「そっちの方が生地の値段が安いからですわ。コストダウンです」と説明したら、正直者ではあるが販促や広報の観点から言えば失格である。
ちなみに筆者はそういう正直者が大好きであるが。
彼は元来正直者なのだが、さすがに20年以上もキャリアを積むと、多少なりとも上手な説明ができるようになっている。
彼は「絹よりもポリエステルの方がお手入れが楽ですよ。ムシに喰われることもありません」「シワになりにくく水に濡れても大丈夫です」「絹だと通常洗濯は難しいですが、ポリエステルなのでお洗濯も可能です」とプラス面を強調するように説明したところ、その商品を完売することができた。

ことほど左様にプラス面を強調することは、販促や広報の観点からすれば重要なことである。

これらのことが十分理解できているつもりだが、最近のユニクロの販促コピーは過剰表示スレスレではないかと感じる。

まず、先日発表があった「究極の服」であるが、何を持って「究極」と打ち出しているのかさっぱりわからない。
価格なのか、デザインなのか、素材なのか、シルエットなのか、縫製なのか、機能なのか。
9月23日に店頭に並ぶそうなので、店頭で商品を手にすれば何か分かるかもしれないが、現在、メルマガで送られてきた写真を見ただけでは、「見た目だけモードを気取ったダサい服」としか感じられない。

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(これが究極の服  笑)

だいたい「究極」という冠が付いたもので「ウワッ スゲー」と驚いたためしがない。
よく、アニメや特撮で「究極の○○」が登場するが、「究極」という語感からインスピレーションされるものに対して、現実に提示される事象は限りなくショボく感じられる。もしくは、内容がさっぱりわからないという事態に陥る。

「仮面ライダークウガ」の後半のキーワードが「究極の闇」だったが、どれほど恐ろしい空間環境なのかは画面を見ていてもさっぱり伝わらなかった。
「北斗の拳」では究極奥義「無想転生」が、宿敵ラオウとの最後の戦いでお目見えするのだが、誌面を見る限り「分かったような分からないような」奥義であった。
また「Zガンダム」は当初「究極のガンダム」というキャッチコピーだったが、翌年あっさりとその続編「ガンダムZZ(ダブルゼータ)」が始まってしまい、機体性能もZZガンダムの方が上だったため、いつの間にか「究極のガンダム」という触れ込みはなかったことにされてしまった。

「究極」と冠が付くと、名前負けしてしまうのが相場であるらしい。
「究極の服」にも同様の匂いを感じる。

また今秋冬物として、店頭に並んでいる「ウォームイージーパンツ」なる商品のキャッチコピーにも首を傾げさせられる。この商品は表地がスポーツウエアで見られるようなポリエステル布帛素材であり、裏にフリースが貼られているもので、フリースの欠点である風通しの良さをポリエステル布帛で防いでいる。

店頭POPのキャッチコピーで「はくフリース、という新発想。」と書かれているのだが、フリース使いのウォームパンツは何も今秋冬に初めてユニクロが開発したわけでも何でもなく、10年くらい前から存在している。もちろんその当時のユニクロでも販売されていたし、それ以外の量販店や安物チェーン店でも販売されていた。
我が家の中2の次男は、小学生のころからフリースパンツを冬場に愛用している。

今更、何が「新発想」なのだろうか?

10年近く前からある商品に対して、今更「新発想」とは過大表現ではないだろうか?

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(疑問を感じるPOP)

刺激的なコピーを付けた方が消費者の目を引き付けやすい。
しかし、事実ではないことを喧伝するのは商道徳として正しいとは思えない。
商売である以上、「売ること」は大切だが「売らんがため」なら何をしても良いと考えるのは筋違いである。
そんな手段で国内売上高1兆円・全世界売上高5兆円を達成したところで、到底、ユニクロと柳井正会長を称賛する気にはなれない。

残り時間が少なくなったジーンズメイト

 あまり報道されていないので、あらためて採り上げてみる。
9月9日にジーンズメイトの業績予想が修正された。はっきり言えば「下方修正」である。
これに伴って、2012年2月期決算も下方修正されている。

2012年2月期の当初予想は

売上高125億円
営業損失4億5000万円
経常損失4億4500万円
当期損失13億円

だった。

これを

売上高118億4000万円
営業損失2億2000万円
経常損失2億円
当期損失11億円

に修正した。
赤字幅はやや縮小されているが、逆に売上高は減っている。

ちなみにジーンズメイトのピーク時には300億円前後の売上高があったから、もはや半分以下に縮小している。

苦戦の最大の原因は基幹業態である「ジーンズメイト」店の不振である。
ジーンズメイト各店の店頭を見るに、旧来型ジーンズカジュアルショップの域を出ていない。
同じく全国チェーン店であるライトオンの店頭と見比べるとその差は歴然である。かと言ってライトオンの店頭が特別に上手い作りをしているわけではない。ただ、現在のトレンドの潮流の範疇内にそれなりに止まっているというレベルである。

ジーンズメイトの店内に潜り込んで一つ一つの商品を吟味して見比べてみると、意外に掘り出し物がある。
それが590円とか990円で投げ売られているのであるから、お買い得であり、ある意味「穴場」といえる。

しかし、内装も含めた店作りが現代にマッチしておらず、バブル期のジーンズ店からほとんど変わっていない。さらにジーンズメイトは自らの存在価値を「安売り」にしか求めていない。

今の消費者にとって「安い」ということは一つの目玉にはなるものの、「安物ブランド」全体が底上げされており、従来型の「ただ単に安い」というブランドでは太刀打ちできない。
金森努さんも原稿で述べられているが、一口に「安い」と言っても、ベーシックで高品質が欲しければユニクロに行く。
また、品質はさておき、トレンドアイテムが欲しければH&M、ZARA、フォーエバー21に行く。
さらにアメカジが欲しければGAPの安売りコーナーで十分であるし、タマヤとかハニーズとかポイントとかリオチェーン、ウィゴー、しまむらなど国内のトレンド型安売りブランドも掃いて捨てるほどある。

これらブランド群に対して、ジーンズメイトが「安さ」以外の要素で勝っている部分があるだろうか?
残念ながら今の時点では一つも見当たらない。

そんなジーンズメイトが重すぎる腰をやっとこさ上げて、今年からメンズのナチュラルトレンドショップ「PLAINN(プレイン)」と、レディースのナチュラルカジュアルショップ「ブルーベルマーケット」を立ち上げた。
実際に店頭を見たが、ジーンズメイトとはどちらもイメージを一新しており悪くない印象である。
しかし、出店速度が遅い。プレインが現在4店舗、ブルーベルマーケットが3店舗である。

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(プレインの店頭)

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(ブルーベルマーケットの店頭)

個人的にはこの2業態を育成することで、基幹業態「ジーンズメイト」がリニューアルされることに唯一の希望を見出している。

ただ、経営陣の施策を見ていると、まださらなる安売りに注力したいという意思を感じるのだがうがち過ぎか?

格安雑貨店「ハッピードア」と、在庫安売り店「ワケあり本舗」のこの2業態を強烈に推進したいという姿勢が見える。残念ながら格安雑貨ならすでに各社の100円均一店もあるし、300円均一店もある。今更この市場に進出するのは得策ではない。また在庫安売り店はあくまでもアウトレットであり、しかも店名自体がファッション店であることを否定している。

プレインとブルーベルマーケットを上手く育成できれば、と考えていたが、ジーンズメイトの持ち時間はどうやら残り少なくなってきたようだ。

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