MENU

南充浩 オフィシャルブログ

残り時間が少なくなったジーンズメイト

2011年9月15日 未分類 0

 あまり報道されていないので、あらためて採り上げてみる。
9月9日にジーンズメイトの業績予想が修正された。はっきり言えば「下方修正」である。
これに伴って、2012年2月期決算も下方修正されている。

2012年2月期の当初予想は

売上高125億円
営業損失4億5000万円
経常損失4億4500万円
当期損失13億円

だった。

これを

売上高118億4000万円
営業損失2億2000万円
経常損失2億円
当期損失11億円

に修正した。
赤字幅はやや縮小されているが、逆に売上高は減っている。

ちなみにジーンズメイトのピーク時には300億円前後の売上高があったから、もはや半分以下に縮小している。

苦戦の最大の原因は基幹業態である「ジーンズメイト」店の不振である。
ジーンズメイト各店の店頭を見るに、旧来型ジーンズカジュアルショップの域を出ていない。
同じく全国チェーン店であるライトオンの店頭と見比べるとその差は歴然である。かと言ってライトオンの店頭が特別に上手い作りをしているわけではない。ただ、現在のトレンドの潮流の範疇内にそれなりに止まっているというレベルである。

ジーンズメイトの店内に潜り込んで一つ一つの商品を吟味して見比べてみると、意外に掘り出し物がある。
それが590円とか990円で投げ売られているのであるから、お買い得であり、ある意味「穴場」といえる。

しかし、内装も含めた店作りが現代にマッチしておらず、バブル期のジーンズ店からほとんど変わっていない。さらにジーンズメイトは自らの存在価値を「安売り」にしか求めていない。

今の消費者にとって「安い」ということは一つの目玉にはなるものの、「安物ブランド」全体が底上げされており、従来型の「ただ単に安い」というブランドでは太刀打ちできない。
金森努さんも原稿で述べられているが、一口に「安い」と言っても、ベーシックで高品質が欲しければユニクロに行く。
また、品質はさておき、トレンドアイテムが欲しければH&M、ZARA、フォーエバー21に行く。
さらにアメカジが欲しければGAPの安売りコーナーで十分であるし、タマヤとかハニーズとかポイントとかリオチェーン、ウィゴー、しまむらなど国内のトレンド型安売りブランドも掃いて捨てるほどある。

これらブランド群に対して、ジーンズメイトが「安さ」以外の要素で勝っている部分があるだろうか?
残念ながら今の時点では一つも見当たらない。

そんなジーンズメイトが重すぎる腰をやっとこさ上げて、今年からメンズのナチュラルトレンドショップ「PLAINN(プレイン)」と、レディースのナチュラルカジュアルショップ「ブルーベルマーケット」を立ち上げた。
実際に店頭を見たが、ジーンズメイトとはどちらもイメージを一新しており悪くない印象である。
しかし、出店速度が遅い。プレインが現在4店舗、ブルーベルマーケットが3店舗である。

画像 001

(プレインの店頭)

画像 067

(ブルーベルマーケットの店頭)

個人的にはこの2業態を育成することで、基幹業態「ジーンズメイト」がリニューアルされることに唯一の希望を見出している。

ただ、経営陣の施策を見ていると、まださらなる安売りに注力したいという意思を感じるのだがうがち過ぎか?

格安雑貨店「ハッピードア」と、在庫安売り店「ワケあり本舗」のこの2業態を強烈に推進したいという姿勢が見える。残念ながら格安雑貨ならすでに各社の100円均一店もあるし、300円均一店もある。今更この市場に進出するのは得策ではない。また在庫安売り店はあくまでもアウトレットであり、しかも店名自体がファッション店であることを否定している。

プレインとブルーベルマーケットを上手く育成できれば、と考えていたが、ジーンズメイトの持ち時間はどうやら残り少なくなってきたようだ。

この記事をSNSでシェア

Message

CAPTCHA


南充浩 オフィシャルブログ

南充浩 オフィシャルブログ