ユニクロよりも素材が劣り、割高感があるグッディ
2011年9月28日 売り場探訪 0
イトーヨーカドーのSPA衣料ブランド「グッディ」が開始された。
各識者の意見を拝読しているとあまり評判は良くないように感じられる。
先日、初めて現物を確認してきたので、感想をまとめたい。
まず最初の印象は「ユニクロに似てるなあ」である。
ファーストシーズンということで展開アイテムも絞っているのだろうが、メインとなるのがライトダウン、ネルシャツ、スエットフルジップパーカ、チノパン、フリースジャケット、チノパンなど、ほぼユニクロと同じアイテムである。
これでは「ユニクロの後追い」の印象は免れ得ない。
すべてのアイテムをチェックすることは時間的に無理なので目に付いたものを数点詳細に見てみる。
メンズに柄入りのストールがある。
おそらく先染め織物であろうか。
素材はアクリル100%で価格は2990円。
素材の割に価格が高い。ユニクロは1990円で展開している。
次にメンズの薄型ダウン「ライトウォームダウン」。
これはダウンとフェザー以外にアクリルが4%が混入されている。
価格は6990円。
ユニクロのウルトラライトダウンが5990円であることを考えると割高感がある。
何よりもアクリル4%というところが、材料費を削減しているとしか思えない。
次にレディースの裏毛スエットフルジップパーカ。
綿55%・ポリエステル45%の素材で、やや肉薄であるのと、ポリエステル独特の光沢感があるため、チープな印象が強い。
価格は2990円でユニクロと同じ。
ユニクロのスエットフルジップパーカは、毎シーズン発売される定番アイテムだが、今秋冬は素材を変更している。ユニクロのHPによると、綿66%・ポリエステル34%となっている。
3年前に購入したスエットフルジップパーカは綿100%であったため、その当時からすると素材は見劣りする。
今回の「グッディ」とユニクロの措置は、昨年末をピークとした綿花高騰の影響だろう。
綿が高額なので、配合率を減らしその分をポリエステルで補っている。
現在は綿花の価格相場も落ち着いているので来年のスエットはまた異なる配合率になるだろう。
ざっと駆け足で見た印象だが、素材感がユニクロよりも劣るが、価格は同等かアイテムによってはユニクロよりも高く設定されている。
この状態が今後のシーズンも続くようであればユニクロに追いつくことなど到底不可能ではないか。
以前にも同じことを書いたのだが、ランチェスターの理論というものがある。
この理論では、業界1位企業が勝つためには物量作戦であり、追随作戦であると説く。
反対に業界2位以下の企業が勝つためには、一点突破主義であり、差別化戦略であると説く。
メンズのツープライススーツで考えると、
ツープライススーツショップの嚆矢となった「ザ・スーパースーツストア」を展開したオンリーは売上高が80億円内外の企業である。オンリーはランチェスター理論通りに、差別化販売戦略を打ち出した。
しかし、スーツ業界最大手は青山商事である。青山商事はこれに「追随」して「ザ・スーツカンパニー」を打ち出して圧倒的な物量で市場を席巻した。これもランチェスター理論通りである。
さて、これを低価格カジュアルに当てはめると、
業界1位はユニクロである。イトーヨーカドーもイオンも2位以下である。
しかし、スーツ業界とは逆に、2位以下のイトーヨーカドーが業界1位のユニクロに追随しているのである。
これでは永遠に勝ち目がない。
イトーヨーカドーとイオンを始めとする量販店各社は、業界1位のユニクロに追随している限り、ユニクロを越えることは不可能である。
量販店各社が衣料品を復活させたいのであれば、ユニクロへの追随を止めることが先決である。