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ブランドロゴ入りのTシャツは意外と売りやすいアイテム

8月4日の土曜日、ビッグジョン大阪店のプレオープンにお邪魔した。

ジーンズメーカーのビッグジョンが、直営の大阪店を出店した。
今回は、8月5日に東京と大阪の同時オープンだという。

東京店は東京支社と併設で9坪の小さな店だが、大阪店は40坪の面積がある。
しかし、ビッグジョンとしてはとりあえず1年間の挑戦と位置付けており、ダメだった場合、1年間で撤退する。
売れ行きが良ければ、2年目が始まるということになる。

これに先駆けて、エドウインも堀江に大阪店をオープンした。

ジーンズメーカーもようやく直営店出店に積極的になり始めたといえる。

もちろん、これまでもエドウインもビッグジョンも直営店は出店していたが、これまで成功しないままに今に至っており、両社とも何度目かの仕切り直しだといえる。

ビッグジョンが今回、直営店出店に改めて積極的になったのは、岡山・児島の大型直営店が好調だからだとのことだ。

これまで何度か直営店を出店してきたが、いずれも長続きしていない。
長続きしていないということは、売上高が厳しかったということだろう。
売れていれば続けている。

これはエドウインとて同じだ。
売れ行きが悪かったから直営店が減ったのである。

これまで失敗続きだった直営店だが、児島店で好成績となったことからビッグジョンは自信を取り戻したのだろうと思う。

これに先駆けて、ビッグジョンとアダム・エ・ロペとのコラボ商品発売も始まった。

ムードだけでいうなら、ビッグジョンは少し上昇する兆しが出てきたのではないかと感じる。

これまでビッグジョンは、アダム・エ・ロペみたいな「イケてる」セレクトショップやブランドとコラボはあまりなかった(少しはあったが)し、それがウェブメディアに大きく載ることはなかった。今回はファッションスナップドットコムが掲載している。
それはなぜかというと、ブランド側もメディア側も「専業ジーンズメーカーはダサい」と思っていたからだ。これは当方の妄想ではない。はっきりと何度も目の前でそう言い切られた。

そのことから考えると、少しムードは好転しつつあるのではないかと感じられる。

背景には、大手有名各店はメジャーブランドをこぞって扱っており、同質化が進んでいたことが挙げられる。同質化を小手先の別注品番やらコラボ商品で凌いでいたにすぎず、同質化を回避するためにマイナーブランドを取り入れたいという各社の意向が働いているのではないかと考えられる。

とはいえ、このチャンスをぜひモノにしてもらいたいと願わずにはいられない。

両社の店舗は当たり前だが、ジーンズがほとんどで、ジーンズがメインに見えている。

しかし、ボトムスというのは売れにくい。
なぜかというと、どこかで教えてもらったのだが、だいたいの人は、パンツ1本に対してトップス3~5種類を着まわすのだそうだ。

例えば、ビッグジョンのワンウォッシュのスキニージーンズを1本買ったとする。
これに対して3種類~5種類くらいのトップスを着まわす人が多いらしい。
自分で考えてみてもそうで、トップスの所有数に比べるとズボンの所有数は少ない。
一つのジーンズに対して、いろいろなTシャツ、いろいろなポロシャツ、セーターなどを着まわす。

そうするとトップスほどズボンは売れないということになる。
売れる枚数はトップスより絶対的に少ない。

だからパンツ専門店はなかなか成立しにくい。

ハニーズのパンツ専門の新業態「パンツワールド」もあっという間にひっそりとなくなってしまった。

エドウインにしろビッグジョンにしろ、ジーンズが主力商品なのでどうしてもパンツ主体の店になってしまう。
今更、この2社にトータルアイテムを作れと言ったところで、不良在庫を増やしてお終いになるだろう。

しかし、どんなブランドでも作りやすくて効果的なトップスアイテムが一つある。

ブランドのロゴ入りTシャツである。

これはある人に指摘されて気が付いたのだが、ブランドのロゴ入りTシャツというのはすごく売れやすいのだそうだ。
そのショップなりブランドのファンなら、ロゴ入りTシャツは買ってしまう商品なのだという。
おまけにジーンズやジャケットに比べると、Tシャツは安いからこれまた買いやすい。

だから、その人は、あるブランドに対して「比較的低価格のロゴ入りTシャツを作ればいい」と提案していた。

ところがブランド側は「俺たちダサいから」とか「俺たちのロゴ入りTシャツなんて誰が欲しいの?」と否定的になりがちだが、そのブランドの愛用者なら、ロゴ入りTシャツを買うことには抵抗はほとんどない。むしろ喜んで買うくらいではないかと思う。

だからエドウインとビッグジョンのショップももっとロゴ入りTシャツを全面的に打ち出して売れば良いのではないかと思う。
値段はジーンズより安くて買いやすいし、ちょうど今は夏だから半袖のTシャツは売りやすいし、売れやすい。

先日、ZOZOとしまむらのコラボTシャツがZOZOで売り出された。
シュプリームを丸パクリしたデザインと「しまむら」という平仮名のロゴが絶妙にダサかった。
値段もしまむらではあり得ないほど高い値段設定で2160円だった。
ダサい上に高いなんてTシャツを誰が買うのかと思ったが初日に完売していた。
完売といっても、製造関係者によると初回は、たった600枚投入しただけだということで、まあ、個人的にはあんなのを2000円も払って買いたいとは思わないから、最初から1万枚とか2万枚を用意しても売れ残っただろうと思っている。

まあ、それはさておき、あんなのでもそれなりに売れるのだから、エドウインやビッグジョンのロゴ入りTシャツもそれなりに売れるだろう。
何より、エドウインのグループ会社である、LEEのロゴ入りTシャツは売れているではないか。

また、あんなにクソダサいチャンピオンのロゴ入りTシャツだって売れているじゃないか。

ということは、ブランドロゴのデザインが少々ダサくても売れやすいということである。

そんなわけで、もう少し両店ともブランドロゴ入りTシャツを目立つように陳列して販売してみてはどうか。

また、売れ行きが鈍いブランドやショップは、自ブランドのロゴ入りTシャツの発売を検討してみてはどうか。その店を利用しているファンからするとブランドロゴ入りTシャツというのは絶対に欲しいアイテムの一つだからだ。

業界人の嗜好とお客の嗜好はちょっと違っていることが多く、ブランドロゴ入りTシャツに関する嗜好もその一つといえるのではないか。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

 

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エドウインのロゴ入りTシャツをどうぞ~

銭湯からジーンズショップに転換した企業があったほど、昔はジーンズが「売れる商品」だった

先日、ワークとジーンズカジュアルを両刀で攻めるブランド「ブルーモンスタークロージング」を運営するブリッツワークスの青野睦社長と対談した。対談というと大げさだが雑談した。

この雑談はブリッツワークスのウェブサイトに記事として近々掲載される予定となっている。

https://www.bmc-tokyo.com/

↑ここね。

で、ついでに告知・拡散を頼まれたのでやっておくと、5月の連休にセメントプロデュースデザインの金谷勉社長と居酒屋で対談した。その様子が動画で編集されているので興味のある人は見ていただきたい。

当方は自分の顔と声が嫌いなので見ようとは思わないが。(笑)
金持ちになったら中条きよしみたいな顔に整形したいと思っている。

8月から配信開始なのでどうぞ。 ↑

それはさておき、青野社長との対談で、様々なジーンズカジュアル店や国内ジーンズメーカーの話が出たが、その中で、ジーンズカジュアルチェーン店の生い立ちみたいなのも話題に上った。

某大手チェーン店はもともとワーキングウェア販売店(今でいうところのワークマン)だったが、ジーンズブームを見た創業者が、これを商機だと考えてジーンズ販売店に変えた。

また、2015年末で廃業したジーンズショップ デンバーを運営していたモリオカという会社は、もともとは銭湯として起業している。ところが折からのジーンズブームを見た創業者がジーンズ販売店へと業種を変更した。

当方は生まれてなかったり、生まれて間もなかったりするが、1960年代後半~1970年代にかけて、ジーンズが爆発的に売れた。
ジーンズというのはホットなアイテムだったといえる。
だから、それを見ていた人たちが「チャンスがある」ということで、ジーンズ販売店に業種を変更することが相次いだ。
ワーキングウェアからジーンズとか、スーツからジーンズというのはまだわかるが、銭湯からジーンズというのは今からするとちょっと想像できない。

しかし、80年代~90年代前半に続々と街中にコンビニができ、酒屋や小間物屋がフランチャイズでコンビニに変わっていったが、それと同様だと考えれば何となく当時のムードはわかる。

90年代後半~2005年くらいにかけては携帯電話ショップが続々とできて、商店街の電器屋なんかが携帯電話ショップに変わっていった。

まあ、そういうことである。

現在、わざわざジーンズショップを開業したり、コンビニを開業したり、携帯電話ショップを開業したりしようとする人はほとんどいない。
もう優勝劣敗がついてしまったし、マーケットも飽和状態にある。いるとしたらよほどのお馬鹿さんか変わり者だろう。

そして90年代後半からはジーンズショップが業態変更を始めている。
従来型のジーンズとジーンズショップが曲がり角になりつつあると見えたのだろう。

水戸のジーンズショップ「ポイント」は「ローリーズファーム」という自社ブランドを開発して、SPA企業へと転身を図った。
これが現在のアダストリアホールディングスである。

また、東大阪のジーンズショップであるジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を97年に立ち上げた。現在は社名もアーバンリサーチに変わっている。

こうして見ると、90年代後半は従来型のジーンズが曲がり角に差し掛かっており、その当時のホットな業態はSPAかセレクトショップだったといえる。

それから20年が経過した現在では、わざわざSPAブランドやセレクトショップを立ち上げようという人は減っている。
ゼロではないが20年前と比べると減っていると感じる。

今、起業したり業態を転換したりしようという人は、必ずウェブを前面に押し出す。
衣料品を売るにしてもウェブを介在させることがほとんどだ。

SPAブランドもセレクトショップも優勝劣敗が決しているし、市場を見渡しても飽和状態にある。
だから「海外へ進出せよ」とか「海外需要を取り込め」という議論になるが、SPAブランドはまだしも、いわゆる教科書的「セレクトショップ」では利益率も低く、各地のローカルトレンドに細かく対応しなくてはならないため、大規模企業にはなりにくい。

欧米のセレクトショップのほとんどが零細規模であることがそれを証明している。

SPAとて、海外進出とはいわず、立ち上げるだけでも莫大な資金が必要になる。

物事は何でもそうだが、黎明期には小規模企業が大雑把なプランと勢いだけでやっても何とかなるが、市場が成熟してくると、徐々に細分化され大規模な資本投下が求められるようになる。
今更、零細企業がSPAブランドを立ち上げることはかなり難しくなっている。
新たにSPAブランドを立ち上げるなら、中規模以上の企業が新ブランドとして立ち上げるか、そういう企業から支援されるかでないと不可能になっている。

デザイン業の黎明期には、オンワード樫山のデザイナーだった大河原邦男氏が、アニメのメカニックデザインへ転身して、後年、ガンダムのモビルスーツをデザインして大ヒットを飛ばしたが、今はそんなことは不可能になっている。

アパレルブランドのデザイナーが、アニメ制作会社にメカニックデザイナーやキャラクターデザイナーとして転身することは現在はほぼ不可能である。
これは成熟化し、細分化した結果そうなっており、SPAもセレクトショップも同様の状況にある。

そんなことをツラツラと考えると、「こだわり」だとか「本物」だとか掲げているジーンズショップの多くも当時の「売れるアイテム」「売りやすいアイテム」に飛びついただけだし、90年代に立ち上がったSPAやセレクトショップも同様だということがわかる。

「売れる物」「売りやすい物」を売るというのはビジネスとしては正解なので、そういう意味では、ジーンズもSPAもセレクトも今までの商品ややり方で売れないのなら、売れるように変わるというのが自然な流れなのではないかと思う。

とはいえ、どのように変われば良いのかというのは当方にもわからない。わかるならそれを指南して巨万の富を得て、中条きよしみたいな顔にとっくの昔に整形している。

とりあえずいえることは、「今まで通りのやり方以外は邪道」とか「新しいやり方は偽物」というような思考停止のままでは、永遠に売れるようにはならないということだけである。

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ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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そんなブルーモンスタークロージング(BMC)のパンツをAmazonでどうぞ~

ジーンズショップオサダの経営破綻から見るジーンズカジュアルチェーン店が苦戦する理由

静岡の有力チェーン店と呼ばれたジーンズショップオサダが民事再生法を申請した。

静岡拠点のジーンズショップオサダが民事再生法適用を申請
https://www.wwdjapan.com/627235

地域の有力チェーン店と呼ばれていたが、最近は資金繰りの悪化が指摘されていた。
4月にお会いした某カジュアルメーカーの社長は「銀行からオサダと取引を控えるように勧告されている。理由はオサダの経営状態が悪いから」と話していた。
それほどに悪化しているのかと驚いたが、はからずもその話が現実化したといえる。

このブログでも6月8日の朝に

ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ
http://minamimitsuhiro.info/archives/2573.html

を上げたが、文中に匿名で「銀行から取引中止を勧告された」と書いてあるのはオサダのことで、その日の夕方に民事再生法申請が報道された。

なお記事によると

8日付で企業再生支援のKSG(東京)との間でスポンサー契約を結んでおり、支援を受けながら再建を図ることになる。

とのことで早速スポンサーが確定している。

このオサダ以外にも業界での知名度は高いが近年は苦戦に転じていると言われている地域有力チェーン店が何社もある。
これまで何度も危機を乗り越えてきた地域有力チェーン店だが、ついに息切れし始めたといえる。
もちろんすべてのチェーン店がなくなるとは思わないが、ジーンズカジュアルチェーン店という業態そのものが時流には合わなくなってきており、今のままの業態で営業を続けると、最終的には何社かを残してあとはすべて淘汰されてしまうのではないだろうか。

衣料品業界の流れを見てみよう。
90年代半ばからSPA(製造小売り)がブームとなって大きく進んだ。
SPA化がすべて正しいとは思わないが、商品の独自化を極限まで追求すると、小売店がSPA化せざるを得ない。

これはカルチュアコンビニエンスクラブの増田宗昭社長も以前のインタビューで指摘されていたことだが、商品の独自化を追求すればするほど、SPA化に行き着く。
考えてみれば当たり前のことだ。

例えば、リーバイス501という名作ジーンズがあるが、これを何千店もが販売していたら同質化してしまう。
リーバイス501はジョイントで買おうが、三信で買おうが、フロムUSAで買おうが同じである。
だったら、安く買えるところが一番良いということになる。
実店舗の場合、店長や販売員に惹かれて多少高くてもそこで買うという人もいるが、大多数の人は安いところで買う。
そしてその安売りで人気を集めたのが昔のジーンズメイトである。

一方、同質商品を扱っているなら小型店よりも大型店の方が良いということになる。
リーバイス501は90年代前半でもブルーの濃淡だけで10色くらいあったから、3色しかそろえていない小型店よりも10色すべてそろえている大型店の方が良いと消費者は評価する。
その結果が90年代から進んだジーンズチェーン店の大型化であり、この90年代で街角の30坪くらいの小型店は軒並み死に絶えたといえる。

それによって、各地の国道沿いに大型ジーンズチェーン店が生まれたが、商品の独自性がなかったことと、98年からのユニクロフリースブームに端を発した低価格カジュアルブームによって、フロムUSAもロードランナーも三信衣料も倒産してしまった。

97年、98年というのは今から見るとターニングポイントともいえる時期で、このころ、東大阪のジーンズチェーン店だったジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を開業した。また、水戸のジーンズチェーン店だった「ポイント」は自社SPAブランド「ローリーズファーム」を開発した。

そして、2000年を越えるあたりから、他のジーンズチェーン店もSPA化を模索するようになるが、なかなかうまく行かずに、揺らぎ続けたままに2018年を迎えている。

その代表例がライトオンだろう。3年~5年ごとに「SPA化推進」を掲げてみたり、「仕入れ品強化」を掲げてみたり、を繰り返している。
リーバイスやエドウインからの仕入れ品が何割かあって、残りをSPAで埋めるのが本来は理想的だといえる。

しかし、実際の業務ではそれを守り続けることが難しく、決算によって施策が揺れ動くことを繰り返している。

ジーンズメイト、マックハウスも同様でSPA化に乗り出してはいるもののそれほどそのバランスのとり方には苦心が見える。

一方、オサダを含めた地域有力チェーン店はSPA化にはあまり取り組んでこなかった。
取り組んでこなかったという側面と、店舗数の関係で取り組めなかったという側面の両方があると思う。

オサダと仲の良かった他地域のチェーン店も構成比で2割程度のSPA商品があったが、これも多少増えたり減ったりを繰り返しているが、数年前の状況でいえば、オサダはほとんど自社製品がなかった。
売れ残るリスクを考えるとそれはそれで間違いではないが、品ぞろえの独自性ということから考えると、オサダにそろっている物はすべて他店でも買えるということになってしまう。
そうすると、品ぞろえという観点では競争力が低下する。

また、彼らが主力としてきた「ジーンズ」という商品がそこまで大量に求められているのかという疑問もある。

バッタ屋の店頭で立っていると「デニム生地のズボン」を求める割合は、明らかに50代以上の年配層が多い。
20代、30代はそこまで「デニム生地のズボン」を求める人はいない。

もちろん、身の周り検査だけのことだが、実際にメーカーに尋ねても40代半ば以上の男女の方がジーンズを求める声が大きいという答えが返ってくる。

ジーンズは決してなくならないが、それを主力にするということは、「年配向けの店」ということに自動的になってしまっている。
年配向けの店ならそれに徹した品ぞろえ、販促をすべきだが、チェーン店の多くはいまだに若者向けを目指しており、現状の品ぞろえとの乖離が激しい。ここにもライトオン、マックハウス、ジーンズメイトを含めた全ジーンズチェーン店の苦戦の原因があるのではないか。

スポンサーのサポートで再建を目指すオサダだが、従来型のジーンズチェーン店を志向するのであれば、業績が上向くことは考えにくい。早晩、二度目の経営破綻に陥るだろう。

現在の市場で求められているカジュアルはどういうものかを固定概念を捨てて考えてみる必要がある。
これはオサダに限らず、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトも含めた全ジーンズチェーン店が真剣に向き合うべき課題である。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na09a16d24294

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ほんまか?

ターゲットと販路によっては「色落ちしないデニム」を作ったら良いんじゃないの?

昔、ボブソン、ラングラー、リーバイスのジーンズを販売していたのでジーンズは好きだが、独立したころから、いわゆる「デニム業界」の姿勢には疑問を感じるようになった。

デニム生地は、よく知られているように、

中心部分を白いまま「芯白」の状態で残してその周りをインディゴ染めした経糸と、白いままの緯糸で織った綾織り生地で、経糸3本に緯糸1本の割合

となっている。
この芯白がデニムが色落ちする理由の一つである。

デニム生地は色落ちするというのが絶対的な定義だが、そこに過度にこだわる必要があるのか疑問を感じる。
例えば、ソファーやラグマットにデニム生地を使いたいという要望が増えている。
ところが通常のデニム生地を使うと、白いズボンやシャツ、淡色のズボンやシャツを着て座ったときに移染する可能性がある。
それが理由でデニム生地の使用を躊躇するブランドは少なくない。
ブランド側の懸念は当たり前だ。
当方が家具ブランドでも使わない。

洗い加工場の三陽ハイクリーナーの独自雑貨ブランド「アライヤン」は、それを懸念してか、洗い加工を施して色を薄くしたデニム生地を使う。洗い加工で色を薄くすれば移染する可能性が低まる。

これはこれで一つの解決策といえるが、濃紺のデニムにもまた魅力がある。
あの見た目のデニムを使いたいという要望もある。

そういう需要を取りこぼさないためには、「色落ちしないデニム」「色落ちしにくいデニム」を作れば良いのではないかと思う。
実際にそういうデニム生地もある。
もちろん、正統的な製法ではないし、厳密な定義からするとデニム生地ではない。

このブログでも以前に提案したことがあったが、デニム業界とそれに近い筋からは「そんなものはデニムではない」という反発があった。
しかし、需要があるなら対応すればよいだけのことではないか。
さらにいえば、通常のデニムを作る傍らそういう色落ちしないデニムを作れば良いだけのことで、通常のデニムを廃止しろと言っているわけでもない。何を反発しているのかさっぱり理解ができない。

なぜそういう「使い分け」の提案すら反発するのか理解不能だ。

先日、こんなニュースがあった。

経年変化を楽しめるデニム地の床が誕生
https://www.wwdjapan.com/572475

 建材用床材の製造・販売を手がける田島ルーフィングが、デニム生地メーカー大手のカイハラとコラボレーションし、デニム生地を用いた床用タイル“デニムフロア”を発売した。価格は1平方メートルあたり1万5000円。
“デニムフロア”は、表面にデニム生地を用いた床用タイルで、田島独自の加工技術と特殊コーティングにより、ジーンズのような経年変化を楽しむことができる。色落ちや経年変化がポジティブにとらえられるデニムの特性を生かすことで、床の傷や劣化というネガティブなイメージを払拭する狙いがある。

とのことで、床材の開発自体は良いと思うのだが、問題は以下だ。

 

ただし、インディゴ染料で染められたデニム生地を使用しているため、衣類に色移りする可能性があるといい、住宅内部での使用には注意が必要だ。

 

ここで色落ちさせる意味があるとはまったく思えない。
それこそ、色落ちしにくいデニム・色落ちしないデニムを使うべきではないのか。

こんな不便で高い物を自宅の床に敷きたいという人はほとんどいないだろう。
マニアのための床材だといえる。

オフィスや店舗に敷いたところで、やっぱり白い靴や白い什器に移染する可能性があるから、それほど使い勝手は良くない。

たしかにコンセプトや見た目は面白いが実用的ではない。
「見せる」だけの商材となる可能性が非常に高い。

ここでもまた「USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?」を思い出した。

400万人の集客で良ければ、USJは映画に特化したテーマパークで良かったが、1000万人の集客を目指すと映画に特化しているとマニアック過ぎて達成できない。

という一節だ。
この商材でどれほどの売上高を目指しているのかはわからない。
もし、年間数千万円程度で良いならこのままで達成できる可能性が高い。
この商材は「映画に特化したUSJ」だといえる。

しかし、何億円規模の販売を目指しているなら、色落ちしにくい・色落ちしないデニムに変更すべきだ。
これは「1000万人を集客」できるような商材ではない。

以前にも書いたが、オイルをしみこませてぬるぬるしてオイルのニオイがするバブアーのコートや、頻繁な修理が必要で洗濯するにも一苦労というマッキントッシュのゴム引きコートは、どんなにその魅力を力説したところでそんな不便な商材はマスには売れない。
しかも安ければまだ売れるかもしれないが、高いとなるとよほどのマニアしか買わない。

これを指して「消費者の感性が退化している」とか「消費者が堕落した」とか非難するのはお門違いも甚だしい。

消費者ニーズを理解しない方が退化して堕落している。

この色落ちするデニムの床材は、20坪で99万円になる。
これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれだが、当方なら99万円も払ってこんな不便な床材は敷きたくない。

変える部分と変えない部分の見極めということになるが、当初のUSJでは「映画に特化した」部分は「変えない部分」と考えられていたが、大衆化するためにはそれは「変える部分」だった。

デニム生地の「色落ちすること」はデニム業界人やそれに近しい人は「変えてないいけない部分」と見ているが、果たしてそうだろうか?そこは販路とターゲットによっては「変えるべき部分」だと断言できる。
衣料品業界にはこの手の見誤りはデニムに限らず、まだまだたくさんある。そこを整理するだけで少しは売上高が増えるのではないかと思う。

それができない限りはまだまだ売上高は低下し続ける。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

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アライヤンってこんな商品群。一例が↓

素材にすらトレンドは存在する。若者に好まれる80年代調デニム生地

初心者向けファッション指南業者の間ではなぜかトレンド不要論がまかり通っているが、以前のブログで書いたように裾丈の長さすらトレンドに左右される。
ズボンや上着の太さも同様だ。
だいたい10年~20年くらいでトレンドが変化する。もっとわかりやすく言うと、大衆の好むポイントが変化する。

変化しなかったら欧米人は古代ローマ帝国時代から服装が変化しないということになるし、日本人は縄文時代から変化していないということになる。

また、好まれる素材もトレンドによって変化する。
トレンド不要論者はこの部分も無視している。

先日から2つのブランドの展示会と店舗内覧会に行った。

ワンオーとガービッジというブランドだ。
ワンオーはいくつかファッション系のメディアで取り上げられているから見た人も多いだろう。

ガービッジのリメイクジーンズ

ワンオーのリメイク商品

ガービッジは小松昇平氏というベテランデザイナーが再スタートで始めたブランドである。

両方とも、どカジュアルで、リメイク商品を目玉としている。
とくにジーンズのリメイクを一押ししている。

正直にいうと、リメイクジーンズの良さは当方にはさっぱりわからない。
破れた箇所を縫い合わせたり、裏布を当てて継ぎ当てたりすることは理解できる。
いわゆる、リペア加工ジーンズと同じだからだ。

しかし、そこに派手なワッペンを貼ったり、目立つ刺繍を入れたりすることは理解ができないし、それを着用したいとも思わない。

disっているのではない。自分の好みではないと言っているのである。

当方なら着用しないし、買わないが、この2つのブランドはいずれも大手有名セレクトショップへの卸売りが決定しているという。
こんなものをあの店に置くのかと驚くのだが、大手セレクトショップの連中はそういう目端だけは効くから、この手の商品が仲間内では盛り上がっているのだろうし、そういうものを好む雰囲気が上得意客の間には広がっているのだろう。
これこそ、まさに「トレンド」である。

新ブランド「ガービッジ」は古着のリーバイス501を仕入れてリメイクすることに現時点では特化している。
ワンオーも古着をリメイクしている。もっともこちらはジーンズに限らず、さまざまなウェアをリメイクしている。

微妙な差異はあるのだが、共通しているのはリメイクに使用する古着ジーンズは、いずれもジーンズマニアが喜ぶような「タテ落ち・凸凹表面感」のデニム生地で作られているのではないというところだ。

80年代~90年代前半の空紡糸デニム生地で作られた古着のリーバイス

ビンテージジーンズブームの後で作られたタテ落ちデニム生地を使ったジーンズ

80年代後半から90年代前半の、のっぺりと凹凸感のない空紡糸デニム生地で作られたジーンズを使用している。

ジーンズ業界の人にとっては基本知識だろうが、そうではない人のために少し空紡糸について書いてみる。
めんどくさい人は読み飛ばしてもらいたい。

空紡糸はオープンエンド糸とも呼ばれ、空気の流れによって原綿を糸に紡ぐ技術である。
空紡糸で織ったり編まれたりした生地は、カサカサしたドライな手触りと、見た目の厚さよりも軽いという特徴がある。
空紡糸との反対はリング糸と呼ばれ、こちらは空紡糸の生地に比べると、ややしっとりとした手触りがあり重量感もある。

空紡糸はその製造工程によって空気を含むので見た目の厚さよりも軽くなる。
また、繊維の長さの違う原綿をそのまま糸にするので、不均一な肌触りとなる。

逆にリング糸は原綿の繊維の長さをそろえて紡績する。

この空紡糸は製造コストが安くて大量生産に適しているから、安くて大量生産大好き国家のアメリカでは非常に喜ばれた。
80年代~90年代前半のアメリカではこの空紡糸の生地が本当によく使われた。
ジーンズしかりTシャツしかりである。

一方、世界的なジーンズのトレンドは、96年くらいに日本で生まれたビンテージジーンズブームによって、80年代以前の「タテ落ち・凹凸感のあるデニム」が好まれるようになった。
現在のマスはこちらになった。
一説には日本のデニム生地工場が世界的に評価されたのは、世界でもいち早く、このビンテージ風デニム生地を再現できたことによるものだといわれている。

さてガービッジが80年代~90年代前半の空紡糸リーバイス501のみをリメイクに使用する理由は2つ考えられる。

1、80年代以前のリーバイス古着は、かつてのビンテージジーンズブームでほとんど買いつくされ、今では手に入らなくなったから
2、空紡糸使いのデニム生地が今のトレンドだから

この2つである。

1の理由はいかんともしがたい。
ないものはない。

問題は2である。
当方も含めた40代以上のオッサン・オバハンにとってのデニム生地とは、ビンテージ風デニム生地で、その価値は不変だと思っている。

しかし、10代後半から20代の若者にとっての注目ジーンズとは、あの安物臭い80年代~90年代前半の空紡糸デニム生地を使ったジーンズなのである。

当方が、月に何度か講義するファッション専門学校の学生は、今わざわざジーンズを買うとしたら、あの80年代風デニム生地を使ったジーンズや80年代の古着を買っている。彼らの間ではあれが「かっこいい」のである。
どう見ても30年前に見た地元の中学生とか高校生にしか見えないのだが、それが良いらしい。

これが「トレンドの変化」である。
変化した理由はいろいろあるだろう。
もしかすると単純にオッサン・オバハンが穿いているから、タテ落ちデニム生地のジーンズは「オッサン・オバハン専用アイテム」に見えるだけなのかもしれない。
しかし、このようにして素材ですら、「トレンド」が変化する。
これを無視してトレンド不要論をぶち上げるのはいかがなものか?
それは単なるポジショントークではないのか。

良心的に指南するなら、「10年~20年ぐらいでトレンドは絶対に変化するからその都度ある程度アジャストすべきだ」と説くことではないのかと思う。

NOTEを更新~♪
三越伊勢丹HDが「ケイタマルヤマ」を手放す理由とは?
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ジーンズメイトには新ブランド投入ではなく抜本的な改革が必要

 先日、ジーンズメイトの新自社ブランド「メイト」を売り場で見た。
その感想は「決して悪くない」である。

メンズでいうと、ジーンズ、ボタンダウンシャツ、ジャケットというラインナップで、今後、さらに新型も投入されるのではないかと思う。
素材を触ってみたが、まあ、それなりに悪くはない。

試着してみたわけではないが、マネキンに着せている感じをみると、シルエットやサイズ感も悪くはない。
認知されれば(これが難しいのだが)、それなりに売れるのではないかと思う。

ジーンズは、最近増えているハイストレッチデニム生地が採用されており、かなり伸縮性が高い。
穿いてみれば快適なのだろうとは思う。

ジーンズメイトの新ブランド「メイト」のジーンズ
http://www.jeansmate.co.jp/brand/mate/

しかし、懸念・疑問も山のようにある。

まず、商品のテイストを見ると、男性は30代・40代をターゲットにしていると感じられる。
そうなると、何年か前から発売していた自社ブランド「ブルースタンダード」と重なる。

ブルースタンダードのターゲットは37・5歳だ。
「メイト」と同じである。自社ブランド同士が競合することになる。
売上高が低下しているジーンズメイトにあって、自社ブランド同士が競合して食い合うことは決して良い状況ではない。

また、テイストも似ており、メイトはベーシックなトラッドカジュアルであり、ブルースタンダードも同じである。
売上高が100億円を割り込んだジーンズメイトにあって、同じターゲットで、同じテイストの自社ブランドが2つも必要だろうか。
当方は2つも必要ないと思う。

そのあたりを意識してか、ブルースタンダードはブランドロゴを変え、商品テイストもやや若向きに変わったように感じるが、売上高が縮小し続けているジーンズメイトに2つのメイン自社ブランドが並立する意味があるとは思えない。

どちらか1つを廃止すべきか、まったく異なるテイストに変える必要があるのではないか。

次に、「メイト」を並べる店頭の印象だが、これが従来の店づくりと変わっていない。
内装、什器、他の商品群、ともに従来と変わっていない。

そうするとどうなるかというと、中高生向けの店にオッサン向け商品が並んでいるという状態がまるで解消されていないということになる。

これはブルースタンダードが開始されたときからまったく解消されていないジーンズメイト最大の課題である。
いくら素材が良かろうが、テイストが良かろうが、店舗と商品がミスマッチなら売れるはずもない。

ここを解消せずして、いくら「モノヅクリガー」と叫んでみたところでそんなものは、供給側の自己満足でしかない。
ライザップの手腕もあまり当てにならないのではないかと思う。

また、価格設定も微妙だと感じる。

ジーンズが4990~6990円なのだが、ユニクロよりは高い。
決して高すぎるとは思わないが、すごく価格訴求力があるわけでもない。
わざわざ、ユニクロではなくここで買う意味が感じられない。

もちろん、製造工程や商品の完成度からして、この価格設定が不当だとは思わないし、ジーンズメイト側も相当に努力しているとは思うが、ユニクロの3990円ジーンズではなく、ここで買う意味を感じられないという消費者は相当多いのではないかと思う。

そこを覆す説得力を今度どれだけ高められるかである。
これはかなりハードルが高い。

また、売り場全体で見たときに、いかにも中高生向けというデザインで価格も激安な商品があふれている中で、このテイスト、この価格ではブルースタンダード同様にかなり浮いていて、割高に見えるという逆効果もある。

シンボリックな新商品を開発するよりも、店舗内装・什器の変更、他の仕入れ商品のマーチャンダイジングの変更こそが、ジーンズメイトの急務である。
ここを放置したままで、新商品を開発・投入するというのは、典型的な物作り脳で、これまでのアパレル業界の悪癖そのものである。

今春くらいからジーンズメイトの店頭はかなり商品量が減っている。
以前だと圧迫感があるくらいに商品が陳列されていたが、これがだいぶと間引かれて、逆に店頭はえらくスペースが空いているようにさえ感じられる。

経済誌や業界紙では、第1四半期決算でわずかながら黒字転換したため、ライザップの経営手腕を持ち上げているが、この微細な黒字転換は商品の仕入れ量・製造量を抑え、店頭在庫を圧縮したことによるものでしかない。
逆に営業利益率は前期よりも低下している。

小手先で改善しただけで、根本的問題は何も解決していないとさえいえる。

目新しさが何もない新ブランド「メイト」を投入した程度では戦局は変わらない。
先日、ライザップはグンゼと提携して、着用しているだけでバイタルデータがわかる機能性ウェアを発表した。
例えば、こういう画期的な機能性商品を投入するくらいのインパクトがないと、新商品投入という手段では局面は打破できない。
いっそのこと、グンゼが開発したこの機能性衣料をライザップ傘下のジーンズメイトで販売してみてはどうか。

従来のアパレル的な新ブランド投入よりもよほど、効果が期待できるのではないか。

ジーンズメイトが上昇基調に転じるには、「メイト」投入のみでは厳しく、店作りから含めた抜本的な改革がなされない限りは不可能に近いと言わざるを得ない。

今後の施策を見守りたい。

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販売政策と商品の値下げから見たライトオンの赤字転落

 最近、こまめにチェックしていなかったのだが、ライトオンの既存店売上高が悪いことに気が付いた。

9月度は既存店売上高が前年比11%減である。で、久しぶりにライトオンの月次売上高の推移をまとめてみようと思っていたら、決算発表があった。(笑)
月次が悪いから決算も当然悪い。

売上高が800億2800万円(対前期比7・4%減)
営業損失が28億4900万円
経常損失が28億8800万円
当期損失が44億2100万円

という減収大幅赤字に転落している。

ちなみに2016年8月期は

営業利益37億3300万円
経常利益36億7700万円
当期利益17億5400万円

だったから、すさまじい減収赤字転落である。

昨年度までは、経済誌や業界紙はこぞって「増収増益でライトオン復活」とはやし立てていたが、途端に一変してしまったわけだ。
経済誌や業界紙の分析、見通しがいかに当てにならないかがよくわかる。

店頭を定期的に見ている当方の感想からすると、月次の苦戦、決算の悪化は予想外だった。
なぜなら、店頭に並んでいる商品そのものは、実は2016年度よりも2017年度の方が良いものが多いからだ。

正直なところ、2016年度はほとんどライトオンで買い物をしていない。
しかし、2016年12月からはライトオンで再び定期的に買い始めた。

なぜなら、商品自体も良くなったし、何よりも投げ売りともいうべき破格値の割引が増えたからだ。
物と割引、この二つがそろわないと当方はなかなか買わない。正確には「買えない」だろうか。(笑)
ライトオンが好調だった2016年度は、物もイマイチだったし、割引率が小さかったから買う物がなかった。

それが、2016年9月以降は、物も良くなったし何より割引率が大きくなった。

けれども冷静に考えてみると、割引率が大きくなったから利益が悪化して赤字転落したともいえる。
ライトオンは過去も随分と決算の悪い時期が続いたが、その間は、当方はけっこうライトオンで頻繁に買っていた。
逆に決算が好転した2015年度、2016年度はほとんどライトオンでは買い物をしなかった。

ということは、当方が買うようになるということは、物自体の出来はさておき、売れなくて在庫がダブついているから投げ売りが行われるということであり、買わないということは投げ売りをせずともプロパーかそれに近い価格で商品が売れているということになる。

いやはや。当方はライトオンにとっては逆バロメーターかもしれない。

それはさておき。

2017年度の月次売上報告を見ると、ほとんどの月で既存店も全店も前年割れを起こしている。
前年をクリアしたのは、2017年11月だけだ。
あと、前年並みといえるのは、2017年5月と8月のみだ。

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1515514

5月は全店売上高が97・2%、8月は全店売上高が99・7%だ。
また既存店も5月は92・0%、8月は97・7%だ。

これ以外の月はすべて10%以上売上高を減らしている。

ちなみにファッションに熱心な人にはあまりライトオンは注目されていないが、実は全国に510店舗強もある。
かなりの店数だといえ、それなりに有力な販売店だといえる。

月次で気になるのは、客単価はほとんど減っておらず、逆に増えている月もあるのに、11月、5月、8月以外が大幅な減収になっているのは、客数が大幅に減っているところである。

前年並みとか数%減の月もあるが、25%減とか15%減という月もある。総じて、客数は減少傾向である。

小売店で気を付けなくてはならないのは、大幅な客数の減少である。
ここで出されている客数は来店客数ではなく、買い上げ客数である。買い上げ客数が大幅に減少しているということは消費者が離れているということになる。

小売店としてはけっこう厳しい状況にあるといえる。
月次報告から浮かび上がるライトオンの状況は、客単価は現状維持から上昇基調にあるが、客数は大幅減が続いている。そのため、売上高が低下しているということになる。

また、赤字転落の要因は、在庫処分のために値下げ販売をしたことで利益を削ったとライトオン自身が認めている。たしかに2015年度・2016年度は値引き販売が少なかった。当方が買わなかったくらいだ。

じゃあ、どんな商品が好調だったのかと問われると、当方は答えられない。ちょっと思い当たらない。

逆に、当時からライトオンの好調な決算は「見せかけだ」という指摘が業界にはあった。
それはどういうことかというと、1つは値引き販売をしないから利益がかさ上げされているというものである。

その分、売れ残り在庫を少なからず抱えてしまった。決算では在庫は資産として計上されるというのは初歩的な知識で、見せかけの資産が増えていたということになる。
その証拠に2016年後半から前年以前の在庫を大幅に値引きして販売するというケースが頻発していた。
例えば、当方が買ったダウンジャケット類だ。

丸八真綿とコラボしたマルハチダウンジャケットだが、2015年冬に投入された。2016年1月の冬バーゲンでもほとんど値引き販売されなかった。これまでのライトオンを知る人間からすると珍しいなと感じた。1店舗あたり結構な枚数が投入されていたから、値引きなしであの枚数が売り切れたとは考えにくい。

しかし、2月後半には店頭から消えていたからおそらく倉庫へ格納したのだろうと推測していたら、2016年秋に昨年商品が再投入された。
やっぱり格納していたのだと確信した。

そして、12月ごろからは大幅値引きで売られ始めた。
定価13000円の商品が8900円くらいまで値引きされた。
その時に、当方は2015年冬に買いそびれていたダウンジャケットを1枚買った。

また年が明けて2017年1月になると、撥水機能のあるモッズコート風ダウンジャケットが5900円くらいに値引きして販売されていた。
たしか定価の6割引きくらいである。これも思わず買ってしまった。
結局このモッズダウンはヘビーローテーションとなり、今年3月まで随分と着用した。5900円のもとは十分にとった。

このように、持ち越した在庫の処分が、2016年後半からは頻繁に行われた。そういう意味で2015年度・2016年度の増益は単に在庫処分を延期させた産物でしかなかったといえる。

そして、業界で指摘されたもう一つの理由は、ライトオンも含めた各社が行っていた「2枚目半額セール」である。
1枚目は定価だが、2枚目は半額になるといういうあの売り方である。
これをやると、無理にでも2枚買う人が増えるが、その反面、2枚買った人はしばらく買わなくなる。
ジーンズでもTシャツでも良いのだが、何せ一挙に2枚手に入るのだから、そのアイテムに関してはしばらく買わなくても事足りる。
そうすると来店頻度も下がる。来店頻度が下がれば購入頻度も下がる。

ネット販売があるじゃないかという声が聞こえてきそうだが、隆盛を極めたといわれるネット販売だが、利用者数は25%強に過ぎない。
裏を返せば75%の人はネット販売を利用しないということになる。

だから、「2枚目半額セール」に対して「単なる需要の先食いに過ぎない」という指摘の声が当時からあった。

販売政策と店頭から見えてくる赤字の原因はこの二つだろう。
2017年度の赤字は、2015年度と2016年度で生み出されたもので、2015年度と2016年度の好調は赤字を先延ばししただけに過ぎなかったともいえる。

さて、ジーンズカジュアルチェーン大手はライトオンも含め、マックハウス、ジーンズメイトも厳しい。
マックハウスは売上高縮小を続けているし、ジーンズメイトは売上高100億円を割り込んだ。赤字続きを食い止めて黒字転換したとはいえ、単に仕入れ量と過剰在庫を減らしただけのことで、抜本的解決には至っていない。

ジーンズカジュアルチェーンの苦戦が続く理由は、ジーンズを基調としたカジュアルウェアという商品がユニクロをはじめとしてどこにでも売られているというところにある。
仮にユニクロがなくなってもローリーズファーム、ジーユー、無印良品、GAP、ウィゴーなどなどがあり、ジーンズというアイテムを基調としたカジュアルウェア、カジュアルスタイリングは扱っていないブランドがないほどに増えている。

そうなると、競争が激化するのは当然で、全社が共存共栄はあり得ない。一人当たりが年間に買うジーンズカジュアルは限られているから、それをどのブランドが占めるかという競争である。

今のままだと価格ではユニクロに勝てず、ファッション性や見せ方では他のSPAブランドに勝てないという状況にある。
ジーンズ業界お得意の「モノ作りガー」という売り方はあるが、それをやれば寄ってくるのはマス層ではなく、マニアみたいな少数派ばかりになる。

ユニクロをはじめとするSPA各社やセレクトショップに埋没しないためにはどうするのか?ライトオンも含めたジーンズカジュアルチェーン各社は真剣にその課題と向き合う必要がある。
残された時間はあまり多くはないと思うが、どうだろうか。

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ジョガーパンツ風ジーンズで生じている「織物」と「編み物」の錯誤

今日はかなりニッチでミクロな話を。

衣料品や生地で、誤解が生じやすい原因の一つとして「名称の定義」があやふや、誤って使われやすいということがある。

例えば、ディーゼルが先行発売し、他社が追随してあっという間に消費者にも浸透したジョガーパンツ風のジーンズ。

通常のストレッチジーンズよりもキックバック性の高いストレッチデニム生地が使用されている。

ウエスト部分がゴム入りだったり、裾がリブ使い・ゴム入りになっていたりというデザインが多いので、着想の元ネタはいわゆるスエットのズボンだったと考えられる。

スエットのズボン風のジーンズがあれば面白いんじゃないかという発想ではないかと想像する。

デニム生地にもストレッチ入りは普及していたが、スエットズボンのリラックス感を再現するためには通常のストレッチデニム生地では不十分でもっとソフトで伸縮性があることが求められる。

そこで、当初の業界には二つの商品があった。

●ディーゼルのジョグジーンズのように、あくまでも織物であるデニム生地で伸縮性の高さとソフト感を追求した商品群。

●もう1つは、スエット生地(編み物)をデニム風に見せた商品群。

とこの2つである。

当初は、デニム風スエット生地を着用した商品群がけっこう店頭に出回っていたが、今はほとんど消えた。

理由は、スエット生地(正規名称は裏毛)はいくら見た目や色合いをデニムに似せても、所詮は編み物なので、ヒゲ加工を施した際にもし、1本でも糸が切れるとそこから穴が拡大して破れてしまうという欠点がある。
また、織物のデニム生地と異なり、ヒゲ加工を施してもメリハリの効いたヒゲが表現しにくいという欠点もあった。

 

そのため、ディーゼルのジョグジーンズに追随したデニム生地使用の商品群が現在の店頭ではほとんどとなっている。
デニム風スエット生地の商品が根絶されたわけではないが、それはあくまでも「デニムっぽいスエット」として商品デザインされていて、デニムの代わりにはなりえていない。

 

各店頭をざっと見まわした感じでいうと、ディーゼルはじめエドウイン、ユニクロとほぼすべてが「ニットデニム」とか「ジョガーパンツ」とか名乗っていながら織物であるストレッチデニム生地を使用している。
だから、もともとは「デニム風ニット(スエット生地は編み物だからニット)」だったのが、現状は「ニット風デニム生地」へと逆転しているのである。

「ニットデニムパンツ」ではなく「ニット風デニムパンツ」が正しい。

まあ、以上のような状況を頭に入れて、続きを読んでいただきたい。

しかし、業界人でもこの「ニット風デニム生地(織物)」と「デニム風裏毛生地(編み物)」の区別ができない人が相当数存在する。
それは、製造方法の違いだけでなく、見た目でも判別できていない。

例えば、名実ともに国内ナンバーワンブランドといえるユニクロでさえそうだ。

現在、ユニクロは「イージージーンズ」というソフトでストレッチ性の高い生地を使用したジーンズを発売している。

そのソフト感、ストレッチ性はほとんどスエットやTシャツなどと変わらないので、ニット(編み物)のように感じられる。
生地の裏面を見ても、パイル状っぽくなっているので、トレーナー類と同じ裏毛生地なのかと見誤ってしまう。

しかし、このイージージーンズに使われている生地はれっきとした「織物」なのである。
経糸と緯糸で構成された織物だ。
純然たるデニム生地ではなく、二重織の技術を応用したデニム風織物というのが正式な生地の説明になる。

それをユニクロでさえ「ニット生地」と認識しているようで、「裏地パイル」と説明してしまっている。
それは弛んだ緯糸で決して、タオル生地のような「パイル」ではない。

ユニクロのイージージーンズ

イージージーンズに使用されている生地の裏面が白くて裏毛状になっている理由は、

1、二重織なので表面と裏面に出てくる色や柄が異なる
2、ループ状に見えるのは緯糸が弛んでいるから。
それは不良品ではなく、ストレッチ性とソフト感を出すためにわざと緯糸を弛ませている

というこの2つである。

実は同じ技法で織った二重織り生地でも緯糸をもっとピンと張ることで、裏面の見え方はまったく異なる。

過去の他社製品に使用された二重織りの裏面

しかし、ピンと張るとソフト感とストレッチ性は幾分か損なわれる。

結局どこまでソフトにするのか、ストレッチ性を高めるのか、で緯糸の張り具合を変えるのであり、それを考えることが本来の商品企画である。

ソフト感とストレッチ性を幾分か殺しても良いのか、逆に高めたいのか。
ならそれを実現できる生地はどのように織るのか。緯糸は弛ませるのか張るのか。

それが企画の仕事だ。

ユニクロでさえ見分けができないということは、そういうことをすべて生地問屋や生地メーカー、製造業者に丸投げしているから、わからないのである。

かくして、安易な誤った説明が流布され、消費者も混乱するし、メディアも混乱する。
だからファッション、衣料品業界は「ええかげん」とみなされがちになる。

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アパレル業界は丸投げ体質か?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n7d4a58f99afe

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ジーンズとデニムパンツに関する事実誤認のお手本のような記事

 つい最近、トンデモない記事を見てしまった。

おじさんを惑わせる「デニムとジーンズの違い」とは?
http://diamond.jp/articles/-/139366?display=b

結論からいうと、「おじさんを惑わせているのはアンタだ!」ということになる。

この記事の筆者は、ジーンズ=ダサい、デニム=今風でカッコイイ、ということが言いたかったのだろうが、それにしてもいたるところに事実誤認がある。

ファッションなんて個人の主観が入るから数値的な「正解」なんてものはないが、事実誤認はそれとは異なる。こういうことを放置しておくと、工業・ビジネス的な用語の定義までが狂うことになってしまう。

まず、

デニムの語源はフランス語で「ニーム産のサージ(織物)」(serge de Nimes、サージ デ ニームが省略されたもの)の意。一方、ジーンズは「スポーツウエア・作業衣などに広く使われる厚手の綿布」をあらわしています。

とあるが、すでにここで事実誤認がある。

デニムの語源はその通りで、デニムとは生地の名称である。デニムのフランス語読みの「ドゥニーム」がかつてオリゾンティ傘下にあり、現在、ウィゴー傘下にある「ドゥニーム」というジーンズブランドの名称のルーツである。

しかし、後半は全く間違っている。
ジーンズとは、デニム生地で作られた5ポケット型ズボンの総称である。
ジーンズが綿布を指すなんてことは完全なる誤認である。

じゃあ、デニム生地の定義とはなんだろう。

経糸に紺色、緯糸に白い染色しない糸を使って織った綾織生地のことである。
もっというと、経糸の紺色は、糸の中心部分は染めずに芯白の状態になっているのが、本来である。

今では経糸が黒のブラックデニムや、経糸の紺色が芯まで染められた「色落ちしにくいデニム生地」、経糸が色糸のカラーデニムなんていう派生形もある。

一方、同じ商品を指す言葉として、少し古語になってしまった「ジーパン」というのもある。
「太陽にほえろ」でもそんなあだ名の刑事がいた。

この記事の中でもジーパンという言葉が出てくる。

ジーパンは和製英語?で、日本人が作った造語だ。
これは、GI(ジーアイ)パンツの略語だ。
戦後直後に生まれた。

GIとはアメリカ軍人の意味で、戦後直後、アメリカが中古ジーンズを我が国に輸入したときにこの名称が生まれた。

だからジーパンをもしも、英語表記するなら、G-PAN となる。

一方、ジーンズは、JEANSと英語では表記する。
カタカナで書くとジーパンもジーンズも似たような字面で発音も似たようになるが、英語で表記するとまったく異なることがわかる。

JEANSの語源だが、先のドゥニーム生地をイタリアのジェノバから輸出していたということになるらしい。イタリア語ではジェノバはGenoaと表記するが、英語ではイタリア語のGはJに変わることが多いので、JEANSになった。

イタリア語のGIAPPONEが、英語ではJAPANになるのと同じである。

そして、デニム生地で作られたズボンはすべてデニムパンツと呼ぶことができる。

ジーンズとはまったく形がちがうカーゴパンツ(両腿脇にポケットがあるので6ポケットパンツとも呼ばれる)も、一昨年ジーユーが売りに売りまくったガウチョパンツもデニム生地で作られていればデニムパンツと呼ぶこともできる。

デニム生地で作られたズボンの総称がデニムパンツであり、その中で、5ポケット型やそれに類した形状のズボンをジーンズと呼ぶ。そしてジーンズの和製造語がジーパンである。

おじさんにファッションを解説するなら用語を正しく解説すべきであり、異なる自己流の解釈を一般的かのように唱えることは、それこそ「おじさんを惑わせる」行為以外の何物でもない。
こういう手合いがスタイリストを名乗るのはいかがなものか。

さらにこのトンデモ記事では

具体的なブランド名は控えますが、数千円~1万円程度のものではなく、できれば2~3万円程度の「デニム」を1本手に入れてみてください。

と主張するが、もはや意味不明だ。

おそらく、2万~3万円の「デニム」はかっこいい、9000円くらいの「ジーパン」はダサいということが主張したいのだろうと思うが、その手のブランドのステマだろうかと思う。

9000円くらいのエドウインやリーバイスにも現代風にアレンジされた品番がある。それを穿けば良い。
また3990円のユニクロ、3980円の無印良品のジーンズもかなり見た目はグレードアップされていて、それこそ、ファッションに詳しくない人では、穿いていても「ブランドもの」と区別できないレベルに達している。

この記事を書いた人は商品知識が浅すぎる。本当にスタイリストとして様々な商品を見ているのだろうか?

今秋物で入荷したばかりのライトオンのオリジナルブランド「バックナンバー」の6900円ジーンズだってなかなかの見た目になっていて、おそらくこの人では「ブランドもの」と区別することすらできないだろう。

ジレについても書いていたことがあるが、早い話がベストと同じ商品群を指し、それのフランス語がジレだというだけのことで、日本語のチョッキとまったく同じだ。

だから、チョッキ=ベスト=ジレ であり、呼び方が今風だから云々なんてのはアホの寝言でしかない。
そもそも、イキって「ジレ」なんて、底の浅いファッショニスタどもが勝手に雰囲気づくりのために呼び始めただけのことであり、ベストで定着していた一般名称を混乱させたにすぎない。

中にはアホな販売員もいて、「ベストとジレは少し違いますよ」なんて真顔で接客してきたこともあった。コイツハナニヲイッテルンダ・・・・・

この手のアホな人たちはそのうち、「ネクタイとクラヴァットは違いますよ」なんて言い出しそうである。

こういう名称なんて一般の人が詳しく知っている必要はさらさらないが、仮にもファッションを仕事にしていて、スタイリストなんてことをやっているのだったら、名称は正しく認識してもらいたい。もちろん件のジレ販売員もである。そうでなければ、余計な混乱を引き起こすだけのことになり、消費者を惑わすだけの害悪な存在にしかならない。

noteで有料記事を始めてみました。

三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n101ec8cd6c29?creator_urlname=minami_mitsuhiro

ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd2f9baabd416?creator_urlname=minami_mitsuhiro

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ジーンズ専業メーカーが苦境に陥った4つの理由

 先日、久しぶりに西の方にある某ジーンズ専業メーカーの社員さんにお会いした。

御多分に漏れず、このメーカーの業績も悪く、売上高もピーク時の6割程度にまで落ち込んでおり、大規模なリストラも何度か行われている。

そういう状況なので、さぞかし社内にも危機感がみなぎっているのかと思ったら、年配層・上層部はまるで危機感がなく、そのうちにまた売れるようになると考えているとのことで、その暢気さに驚かされた。

その根拠ない自信はどこから湧いて出るのだろうか。
それくらい楽天的なら人生も楽しいだろうなあ。

ジーンズ専業メーカーが苦戦に陥った理由はさまざまある。

1、主要卸先だったジーンズ専門店チェーンの激減
2、そのジーンズ専門店チェーンのSPA化
3、他のメーカーもジーンズやカジュアルパンツも企画製造するように(できるように)なった
4、低価格商品の見た目が向上した

おもにはこの4点だと考えている。

まず、1だが、三信衣料の倒産から始まり、フロムUSA、ロードランナーの倒産、マルフルの解散、デンバーの廃業などジーンズチェーン店の倒産や廃業が相次いだ。

また生き残った大手のライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの苦戦も挙げられる。

要するに卸売り先が減っているのである。

次に2だが、OEM/ODM業者の増加によって、ジーンズ専門店チェーンも自主企画製品が作れるようになった。
有名なところだとライトオンのバックナンバーなんていうのはその典型だが、生き残った地方専門店も自主企画製品を企画製造販売し始めている。
仕入れ100%という店が少なくなった。

3はジーンズ専門店チェーンに限らず、OEM/ODM業者の増加で、様々なブランドが自主企画のジーンズやカジュアルパンツを企画製造できるようになった。

タケオキクチやポールスミスでもオリジナルジーンズが販売されているご時世だし、ビームスやユナイテッドアローズもオリジナルジーンズを企画製造販売している。

ジーンズ専業メーカーとしての優位性はほとんどなくなっている。

4はユニクロやアダストリア、ジーユー、無印良品などの低価格ブランドが企画製造しているジーンズやカジュアルパンツの見た目が良くなり、ジーンズ専業メーカーの商品との区別が一見したくらいではつけられなくなった。

OEM/ODM業者の増加に加えて、これまでジーンズ専業メーカーとガッチリ組んでいた縫製工場や洗い加工場がそういう低価格ブランドや百貨店ブランド、セレクトショップのオリジナルジーンズの製造に携わるようになったことも大きい。

かつてナショナルブランドを手掛けていた洗い加工場が今ではアダストリアのジーンズのOEM生産を手掛けているなんてことは別に珍しいことではなくなっている。

製造・加工する工場が同じなのだから、ジーンズ専業メーカーとその他ブランドとの商品の見た目にそん色がなくなるのは当然である。

こういう状況なのだから、何らかの変革・努力なしにはジーンズ専業メーカーの業績が回復することはありえない。従来通りのままなら縮小を続けていくしかない。

苦境が続いている業種だから少しは危機感を持っているのかと思ったら、まだそんな暢気でいるのだから驚くほかない。

他の不振アパレルメーカーや小売店も年配層・上層部にはこれほど暢気坊主がそろっているのだろうか?
もしそうなら座して死を待つばかりである。

この手のジーンズメーカーのベテラン社員は以前は

「低価格ブランドや百貨店向けブランドのジーンズとワシらのジーンズは物が違う」

と言っていた。空元気なのか本当にそう思い込んでいるのかはわからなかったが。

しかし、今では製造・加工している工場も同じだし、使用しているデニム生地も同じ先から仕入れているわけで、ユニクロだってカイハラのデニム生地を使用している。
そうするとおのずと見た目はほとんど変わらなくなる。
おまけに低価格ブランドの商品価格は専業ブランドの半分程度である。

似たような物なら安い方を買う人は増えるのが当然である。

こういう状況になると、専業メーカーはえてして「わしらのジーンズはこの部分の縫製仕様が(少しだけ)異なる」なんてことを言い募るのだが、そのミクロの違いに満足する人は数少ない。
おとなしくその少数派に向けた小規模ブランドに転身すればまだしも、なぜだか昔の栄光が忘れられずに、ミクロの違いを持ってマスに売ろうとし続けている。

売上高3億円とか5億円くらいならそういうミクロの違いが大好きなマニアを集めることは可能だろうが、50億円とか100億円規模の売上高を作ることは不可能である。
ミクロの違いを支持する人はそんなにたくさん存在しない。

それにしてもここまで苦境に追い込まれながら、まったく認識が変わらないメーカーがあることには驚かされるばかりである。
このジーンズ専業メーカーはそうやって今後さらに縮小し続けていくのだろう。

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