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ジーンズメイトには新ブランド投入ではなく抜本的な改革が必要

 先日、ジーンズメイトの新自社ブランド「メイト」を売り場で見た。
その感想は「決して悪くない」である。

メンズでいうと、ジーンズ、ボタンダウンシャツ、ジャケットというラインナップで、今後、さらに新型も投入されるのではないかと思う。
素材を触ってみたが、まあ、それなりに悪くはない。

試着してみたわけではないが、マネキンに着せている感じをみると、シルエットやサイズ感も悪くはない。
認知されれば(これが難しいのだが)、それなりに売れるのではないかと思う。

ジーンズは、最近増えているハイストレッチデニム生地が採用されており、かなり伸縮性が高い。
穿いてみれば快適なのだろうとは思う。

ジーンズメイトの新ブランド「メイト」のジーンズ
http://www.jeansmate.co.jp/brand/mate/

しかし、懸念・疑問も山のようにある。

まず、商品のテイストを見ると、男性は30代・40代をターゲットにしていると感じられる。
そうなると、何年か前から発売していた自社ブランド「ブルースタンダード」と重なる。

ブルースタンダードのターゲットは37・5歳だ。
「メイト」と同じである。自社ブランド同士が競合することになる。
売上高が低下しているジーンズメイトにあって、自社ブランド同士が競合して食い合うことは決して良い状況ではない。

また、テイストも似ており、メイトはベーシックなトラッドカジュアルであり、ブルースタンダードも同じである。
売上高が100億円を割り込んだジーンズメイトにあって、同じターゲットで、同じテイストの自社ブランドが2つも必要だろうか。
当方は2つも必要ないと思う。

そのあたりを意識してか、ブルースタンダードはブランドロゴを変え、商品テイストもやや若向きに変わったように感じるが、売上高が縮小し続けているジーンズメイトに2つのメイン自社ブランドが並立する意味があるとは思えない。

どちらか1つを廃止すべきか、まったく異なるテイストに変える必要があるのではないか。

次に、「メイト」を並べる店頭の印象だが、これが従来の店づくりと変わっていない。
内装、什器、他の商品群、ともに従来と変わっていない。

そうするとどうなるかというと、中高生向けの店にオッサン向け商品が並んでいるという状態がまるで解消されていないということになる。

これはブルースタンダードが開始されたときからまったく解消されていないジーンズメイト最大の課題である。
いくら素材が良かろうが、テイストが良かろうが、店舗と商品がミスマッチなら売れるはずもない。

ここを解消せずして、いくら「モノヅクリガー」と叫んでみたところでそんなものは、供給側の自己満足でしかない。
ライザップの手腕もあまり当てにならないのではないかと思う。

また、価格設定も微妙だと感じる。

ジーンズが4990~6990円なのだが、ユニクロよりは高い。
決して高すぎるとは思わないが、すごく価格訴求力があるわけでもない。
わざわざ、ユニクロではなくここで買う意味が感じられない。

もちろん、製造工程や商品の完成度からして、この価格設定が不当だとは思わないし、ジーンズメイト側も相当に努力しているとは思うが、ユニクロの3990円ジーンズではなく、ここで買う意味を感じられないという消費者は相当多いのではないかと思う。

そこを覆す説得力を今度どれだけ高められるかである。
これはかなりハードルが高い。

また、売り場全体で見たときに、いかにも中高生向けというデザインで価格も激安な商品があふれている中で、このテイスト、この価格ではブルースタンダード同様にかなり浮いていて、割高に見えるという逆効果もある。

シンボリックな新商品を開発するよりも、店舗内装・什器の変更、他の仕入れ商品のマーチャンダイジングの変更こそが、ジーンズメイトの急務である。
ここを放置したままで、新商品を開発・投入するというのは、典型的な物作り脳で、これまでのアパレル業界の悪癖そのものである。

今春くらいからジーンズメイトの店頭はかなり商品量が減っている。
以前だと圧迫感があるくらいに商品が陳列されていたが、これがだいぶと間引かれて、逆に店頭はえらくスペースが空いているようにさえ感じられる。

経済誌や業界紙では、第1四半期決算でわずかながら黒字転換したため、ライザップの経営手腕を持ち上げているが、この微細な黒字転換は商品の仕入れ量・製造量を抑え、店頭在庫を圧縮したことによるものでしかない。
逆に営業利益率は前期よりも低下している。

小手先で改善しただけで、根本的問題は何も解決していないとさえいえる。

目新しさが何もない新ブランド「メイト」を投入した程度では戦局は変わらない。
先日、ライザップはグンゼと提携して、着用しているだけでバイタルデータがわかる機能性ウェアを発表した。
例えば、こういう画期的な機能性商品を投入するくらいのインパクトがないと、新商品投入という手段では局面は打破できない。
いっそのこと、グンゼが開発したこの機能性衣料をライザップ傘下のジーンズメイトで販売してみてはどうか。

従来のアパレル的な新ブランド投入よりもよほど、効果が期待できるのではないか。

ジーンズメイトが上昇基調に転じるには、「メイト」投入のみでは厳しく、店作りから含めた抜本的な改革がなされない限りは不可能に近いと言わざるを得ない。

今後の施策を見守りたい。

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販売政策と商品の値下げから見たライトオンの赤字転落

 最近、こまめにチェックしていなかったのだが、ライトオンの既存店売上高が悪いことに気が付いた。

9月度は既存店売上高が前年比11%減である。で、久しぶりにライトオンの月次売上高の推移をまとめてみようと思っていたら、決算発表があった。(笑)
月次が悪いから決算も当然悪い。

売上高が800億2800万円(対前期比7・4%減)
営業損失が28億4900万円
経常損失が28億8800万円
当期損失が44億2100万円

という減収大幅赤字に転落している。

ちなみに2016年8月期は

営業利益37億3300万円
経常利益36億7700万円
当期利益17億5400万円

だったから、すさまじい減収赤字転落である。

昨年度までは、経済誌や業界紙はこぞって「増収増益でライトオン復活」とはやし立てていたが、途端に一変してしまったわけだ。
経済誌や業界紙の分析、見通しがいかに当てにならないかがよくわかる。

店頭を定期的に見ている当方の感想からすると、月次の苦戦、決算の悪化は予想外だった。
なぜなら、店頭に並んでいる商品そのものは、実は2016年度よりも2017年度の方が良いものが多いからだ。

正直なところ、2016年度はほとんどライトオンで買い物をしていない。
しかし、2016年12月からはライトオンで再び定期的に買い始めた。

なぜなら、商品自体も良くなったし、何よりも投げ売りともいうべき破格値の割引が増えたからだ。
物と割引、この二つがそろわないと当方はなかなか買わない。正確には「買えない」だろうか。(笑)
ライトオンが好調だった2016年度は、物もイマイチだったし、割引率が小さかったから買う物がなかった。

それが、2016年9月以降は、物も良くなったし何より割引率が大きくなった。

けれども冷静に考えてみると、割引率が大きくなったから利益が悪化して赤字転落したともいえる。
ライトオンは過去も随分と決算の悪い時期が続いたが、その間は、当方はけっこうライトオンで頻繁に買っていた。
逆に決算が好転した2015年度、2016年度はほとんどライトオンでは買い物をしなかった。

ということは、当方が買うようになるということは、物自体の出来はさておき、売れなくて在庫がダブついているから投げ売りが行われるということであり、買わないということは投げ売りをせずともプロパーかそれに近い価格で商品が売れているということになる。

いやはや。当方はライトオンにとっては逆バロメーターかもしれない。

それはさておき。

2017年度の月次売上報告を見ると、ほとんどの月で既存店も全店も前年割れを起こしている。
前年をクリアしたのは、2017年11月だけだ。
あと、前年並みといえるのは、2017年5月と8月のみだ。

http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1515514

5月は全店売上高が97・2%、8月は全店売上高が99・7%だ。
また既存店も5月は92・0%、8月は97・7%だ。

これ以外の月はすべて10%以上売上高を減らしている。

ちなみにファッションに熱心な人にはあまりライトオンは注目されていないが、実は全国に510店舗強もある。
かなりの店数だといえ、それなりに有力な販売店だといえる。

月次で気になるのは、客単価はほとんど減っておらず、逆に増えている月もあるのに、11月、5月、8月以外が大幅な減収になっているのは、客数が大幅に減っているところである。

前年並みとか数%減の月もあるが、25%減とか15%減という月もある。総じて、客数は減少傾向である。

小売店で気を付けなくてはならないのは、大幅な客数の減少である。
ここで出されている客数は来店客数ではなく、買い上げ客数である。買い上げ客数が大幅に減少しているということは消費者が離れているということになる。

小売店としてはけっこう厳しい状況にあるといえる。
月次報告から浮かび上がるライトオンの状況は、客単価は現状維持から上昇基調にあるが、客数は大幅減が続いている。そのため、売上高が低下しているということになる。

また、赤字転落の要因は、在庫処分のために値下げ販売をしたことで利益を削ったとライトオン自身が認めている。たしかに2015年度・2016年度は値引き販売が少なかった。当方が買わなかったくらいだ。

じゃあ、どんな商品が好調だったのかと問われると、当方は答えられない。ちょっと思い当たらない。

逆に、当時からライトオンの好調な決算は「見せかけだ」という指摘が業界にはあった。
それはどういうことかというと、1つは値引き販売をしないから利益がかさ上げされているというものである。

その分、売れ残り在庫を少なからず抱えてしまった。決算では在庫は資産として計上されるというのは初歩的な知識で、見せかけの資産が増えていたということになる。
その証拠に2016年後半から前年以前の在庫を大幅に値引きして販売するというケースが頻発していた。
例えば、当方が買ったダウンジャケット類だ。

丸八真綿とコラボしたマルハチダウンジャケットだが、2015年冬に投入された。2016年1月の冬バーゲンでもほとんど値引き販売されなかった。これまでのライトオンを知る人間からすると珍しいなと感じた。1店舗あたり結構な枚数が投入されていたから、値引きなしであの枚数が売り切れたとは考えにくい。

しかし、2月後半には店頭から消えていたからおそらく倉庫へ格納したのだろうと推測していたら、2016年秋に昨年商品が再投入された。
やっぱり格納していたのだと確信した。

そして、12月ごろからは大幅値引きで売られ始めた。
定価13000円の商品が8900円くらいまで値引きされた。
その時に、当方は2015年冬に買いそびれていたダウンジャケットを1枚買った。

また年が明けて2017年1月になると、撥水機能のあるモッズコート風ダウンジャケットが5900円くらいに値引きして販売されていた。
たしか定価の6割引きくらいである。これも思わず買ってしまった。
結局このモッズダウンはヘビーローテーションとなり、今年3月まで随分と着用した。5900円のもとは十分にとった。

このように、持ち越した在庫の処分が、2016年後半からは頻繁に行われた。そういう意味で2015年度・2016年度の増益は単に在庫処分を延期させた産物でしかなかったといえる。

そして、業界で指摘されたもう一つの理由は、ライトオンも含めた各社が行っていた「2枚目半額セール」である。
1枚目は定価だが、2枚目は半額になるといういうあの売り方である。
これをやると、無理にでも2枚買う人が増えるが、その反面、2枚買った人はしばらく買わなくなる。
ジーンズでもTシャツでも良いのだが、何せ一挙に2枚手に入るのだから、そのアイテムに関してはしばらく買わなくても事足りる。
そうすると来店頻度も下がる。来店頻度が下がれば購入頻度も下がる。

ネット販売があるじゃないかという声が聞こえてきそうだが、隆盛を極めたといわれるネット販売だが、利用者数は25%強に過ぎない。
裏を返せば75%の人はネット販売を利用しないということになる。

だから、「2枚目半額セール」に対して「単なる需要の先食いに過ぎない」という指摘の声が当時からあった。

販売政策と店頭から見えてくる赤字の原因はこの二つだろう。
2017年度の赤字は、2015年度と2016年度で生み出されたもので、2015年度と2016年度の好調は赤字を先延ばししただけに過ぎなかったともいえる。

さて、ジーンズカジュアルチェーン大手はライトオンも含め、マックハウス、ジーンズメイトも厳しい。
マックハウスは売上高縮小を続けているし、ジーンズメイトは売上高100億円を割り込んだ。赤字続きを食い止めて黒字転換したとはいえ、単に仕入れ量と過剰在庫を減らしただけのことで、抜本的解決には至っていない。

ジーンズカジュアルチェーンの苦戦が続く理由は、ジーンズを基調としたカジュアルウェアという商品がユニクロをはじめとしてどこにでも売られているというところにある。
仮にユニクロがなくなってもローリーズファーム、ジーユー、無印良品、GAP、ウィゴーなどなどがあり、ジーンズというアイテムを基調としたカジュアルウェア、カジュアルスタイリングは扱っていないブランドがないほどに増えている。

そうなると、競争が激化するのは当然で、全社が共存共栄はあり得ない。一人当たりが年間に買うジーンズカジュアルは限られているから、それをどのブランドが占めるかという競争である。

今のままだと価格ではユニクロに勝てず、ファッション性や見せ方では他のSPAブランドに勝てないという状況にある。
ジーンズ業界お得意の「モノ作りガー」という売り方はあるが、それをやれば寄ってくるのはマス層ではなく、マニアみたいな少数派ばかりになる。

ユニクロをはじめとするSPA各社やセレクトショップに埋没しないためにはどうするのか?ライトオンも含めたジーンズカジュアルチェーン各社は真剣にその課題と向き合う必要がある。
残された時間はあまり多くはないと思うが、どうだろうか。

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ジョガーパンツ風ジーンズで生じている「織物」と「編み物」の錯誤

今日はかなりニッチでミクロな話を。

衣料品や生地で、誤解が生じやすい原因の一つとして「名称の定義」があやふや、誤って使われやすいということがある。

例えば、ディーゼルが先行発売し、他社が追随してあっという間に消費者にも浸透したジョガーパンツ風のジーンズ。

通常のストレッチジーンズよりもキックバック性の高いストレッチデニム生地が使用されている。

ウエスト部分がゴム入りだったり、裾がリブ使い・ゴム入りになっていたりというデザインが多いので、着想の元ネタはいわゆるスエットのズボンだったと考えられる。

スエットのズボン風のジーンズがあれば面白いんじゃないかという発想ではないかと想像する。

デニム生地にもストレッチ入りは普及していたが、スエットズボンのリラックス感を再現するためには通常のストレッチデニム生地では不十分でもっとソフトで伸縮性があることが求められる。

そこで、当初の業界には二つの商品があった。

●ディーゼルのジョグジーンズのように、あくまでも織物であるデニム生地で伸縮性の高さとソフト感を追求した商品群。

●もう1つは、スエット生地(編み物)をデニム風に見せた商品群。

とこの2つである。

当初は、デニム風スエット生地を着用した商品群がけっこう店頭に出回っていたが、今はほとんど消えた。

理由は、スエット生地(正規名称は裏毛)はいくら見た目や色合いをデニムに似せても、所詮は編み物なので、ヒゲ加工を施した際にもし、1本でも糸が切れるとそこから穴が拡大して破れてしまうという欠点がある。
また、織物のデニム生地と異なり、ヒゲ加工を施してもメリハリの効いたヒゲが表現しにくいという欠点もあった。

 

そのため、ディーゼルのジョグジーンズに追随したデニム生地使用の商品群が現在の店頭ではほとんどとなっている。
デニム風スエット生地の商品が根絶されたわけではないが、それはあくまでも「デニムっぽいスエット」として商品デザインされていて、デニムの代わりにはなりえていない。

 

各店頭をざっと見まわした感じでいうと、ディーゼルはじめエドウイン、ユニクロとほぼすべてが「ニットデニム」とか「ジョガーパンツ」とか名乗っていながら織物であるストレッチデニム生地を使用している。
だから、もともとは「デニム風ニット(スエット生地は編み物だからニット)」だったのが、現状は「ニット風デニム生地」へと逆転しているのである。

「ニットデニムパンツ」ではなく「ニット風デニムパンツ」が正しい。

まあ、以上のような状況を頭に入れて、続きを読んでいただきたい。

しかし、業界人でもこの「ニット風デニム生地(織物)」と「デニム風裏毛生地(編み物)」の区別ができない人が相当数存在する。
それは、製造方法の違いだけでなく、見た目でも判別できていない。

例えば、名実ともに国内ナンバーワンブランドといえるユニクロでさえそうだ。

現在、ユニクロは「イージージーンズ」というソフトでストレッチ性の高い生地を使用したジーンズを発売している。

そのソフト感、ストレッチ性はほとんどスエットやTシャツなどと変わらないので、ニット(編み物)のように感じられる。
生地の裏面を見ても、パイル状っぽくなっているので、トレーナー類と同じ裏毛生地なのかと見誤ってしまう。

しかし、このイージージーンズに使われている生地はれっきとした「織物」なのである。
経糸と緯糸で構成された織物だ。
純然たるデニム生地ではなく、二重織の技術を応用したデニム風織物というのが正式な生地の説明になる。

それをユニクロでさえ「ニット生地」と認識しているようで、「裏地パイル」と説明してしまっている。
それは弛んだ緯糸で決して、タオル生地のような「パイル」ではない。

ユニクロのイージージーンズ

イージージーンズに使用されている生地の裏面が白くて裏毛状になっている理由は、

1、二重織なので表面と裏面に出てくる色や柄が異なる
2、ループ状に見えるのは緯糸が弛んでいるから。
それは不良品ではなく、ストレッチ性とソフト感を出すためにわざと緯糸を弛ませている

というこの2つである。

実は同じ技法で織った二重織り生地でも緯糸をもっとピンと張ることで、裏面の見え方はまったく異なる。

過去の他社製品に使用された二重織りの裏面

しかし、ピンと張るとソフト感とストレッチ性は幾分か損なわれる。

結局どこまでソフトにするのか、ストレッチ性を高めるのか、で緯糸の張り具合を変えるのであり、それを考えることが本来の商品企画である。

ソフト感とストレッチ性を幾分か殺しても良いのか、逆に高めたいのか。
ならそれを実現できる生地はどのように織るのか。緯糸は弛ませるのか張るのか。

それが企画の仕事だ。

ユニクロでさえ見分けができないということは、そういうことをすべて生地問屋や生地メーカー、製造業者に丸投げしているから、わからないのである。

かくして、安易な誤った説明が流布され、消費者も混乱するし、メディアも混乱する。
だからファッション、衣料品業界は「ええかげん」とみなされがちになる。

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アパレル業界は丸投げ体質か?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n7d4a58f99afe

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ジーンズとデニムパンツに関する事実誤認のお手本のような記事

 つい最近、トンデモない記事を見てしまった。

おじさんを惑わせる「デニムとジーンズの違い」とは?
http://diamond.jp/articles/-/139366?display=b

結論からいうと、「おじさんを惑わせているのはアンタだ!」ということになる。

この記事の筆者は、ジーンズ=ダサい、デニム=今風でカッコイイ、ということが言いたかったのだろうが、それにしてもいたるところに事実誤認がある。

ファッションなんて個人の主観が入るから数値的な「正解」なんてものはないが、事実誤認はそれとは異なる。こういうことを放置しておくと、工業・ビジネス的な用語の定義までが狂うことになってしまう。

まず、

デニムの語源はフランス語で「ニーム産のサージ(織物)」(serge de Nimes、サージ デ ニームが省略されたもの)の意。一方、ジーンズは「スポーツウエア・作業衣などに広く使われる厚手の綿布」をあらわしています。

とあるが、すでにここで事実誤認がある。

デニムの語源はその通りで、デニムとは生地の名称である。デニムのフランス語読みの「ドゥニーム」がかつてオリゾンティ傘下にあり、現在、ウィゴー傘下にある「ドゥニーム」というジーンズブランドの名称のルーツである。

しかし、後半は全く間違っている。
ジーンズとは、デニム生地で作られた5ポケット型ズボンの総称である。
ジーンズが綿布を指すなんてことは完全なる誤認である。

じゃあ、デニム生地の定義とはなんだろう。

経糸に紺色、緯糸に白い染色しない糸を使って織った綾織生地のことである。
もっというと、経糸の紺色は、糸の中心部分は染めずに芯白の状態になっているのが、本来である。

今では経糸が黒のブラックデニムや、経糸の紺色が芯まで染められた「色落ちしにくいデニム生地」、経糸が色糸のカラーデニムなんていう派生形もある。

一方、同じ商品を指す言葉として、少し古語になってしまった「ジーパン」というのもある。
「太陽にほえろ」でもそんなあだ名の刑事がいた。

この記事の中でもジーパンという言葉が出てくる。

ジーパンは和製英語?で、日本人が作った造語だ。
これは、GI(ジーアイ)パンツの略語だ。
戦後直後に生まれた。

GIとはアメリカ軍人の意味で、戦後直後、アメリカが中古ジーンズを我が国に輸入したときにこの名称が生まれた。

だからジーパンをもしも、英語表記するなら、G-PAN となる。

一方、ジーンズは、JEANSと英語では表記する。
カタカナで書くとジーパンもジーンズも似たような字面で発音も似たようになるが、英語で表記するとまったく異なることがわかる。

JEANSの語源だが、先のドゥニーム生地をイタリアのジェノバから輸出していたということになるらしい。イタリア語ではジェノバはGenoaと表記するが、英語ではイタリア語のGはJに変わることが多いので、JEANSになった。

イタリア語のGIAPPONEが、英語ではJAPANになるのと同じである。

そして、デニム生地で作られたズボンはすべてデニムパンツと呼ぶことができる。

ジーンズとはまったく形がちがうカーゴパンツ(両腿脇にポケットがあるので6ポケットパンツとも呼ばれる)も、一昨年ジーユーが売りに売りまくったガウチョパンツもデニム生地で作られていればデニムパンツと呼ぶこともできる。

デニム生地で作られたズボンの総称がデニムパンツであり、その中で、5ポケット型やそれに類した形状のズボンをジーンズと呼ぶ。そしてジーンズの和製造語がジーパンである。

おじさんにファッションを解説するなら用語を正しく解説すべきであり、異なる自己流の解釈を一般的かのように唱えることは、それこそ「おじさんを惑わせる」行為以外の何物でもない。
こういう手合いがスタイリストを名乗るのはいかがなものか。

さらにこのトンデモ記事では

具体的なブランド名は控えますが、数千円~1万円程度のものではなく、できれば2~3万円程度の「デニム」を1本手に入れてみてください。

と主張するが、もはや意味不明だ。

おそらく、2万~3万円の「デニム」はかっこいい、9000円くらいの「ジーパン」はダサいということが主張したいのだろうと思うが、その手のブランドのステマだろうかと思う。

9000円くらいのエドウインやリーバイスにも現代風にアレンジされた品番がある。それを穿けば良い。
また3990円のユニクロ、3980円の無印良品のジーンズもかなり見た目はグレードアップされていて、それこそ、ファッションに詳しくない人では、穿いていても「ブランドもの」と区別できないレベルに達している。

この記事を書いた人は商品知識が浅すぎる。本当にスタイリストとして様々な商品を見ているのだろうか?

今秋物で入荷したばかりのライトオンのオリジナルブランド「バックナンバー」の6900円ジーンズだってなかなかの見た目になっていて、おそらくこの人では「ブランドもの」と区別することすらできないだろう。

ジレについても書いていたことがあるが、早い話がベストと同じ商品群を指し、それのフランス語がジレだというだけのことで、日本語のチョッキとまったく同じだ。

だから、チョッキ=ベスト=ジレ であり、呼び方が今風だから云々なんてのはアホの寝言でしかない。
そもそも、イキって「ジレ」なんて、底の浅いファッショニスタどもが勝手に雰囲気づくりのために呼び始めただけのことであり、ベストで定着していた一般名称を混乱させたにすぎない。

中にはアホな販売員もいて、「ベストとジレは少し違いますよ」なんて真顔で接客してきたこともあった。コイツハナニヲイッテルンダ・・・・・

この手のアホな人たちはそのうち、「ネクタイとクラヴァットは違いますよ」なんて言い出しそうである。

こういう名称なんて一般の人が詳しく知っている必要はさらさらないが、仮にもファッションを仕事にしていて、スタイリストなんてことをやっているのだったら、名称は正しく認識してもらいたい。もちろん件のジレ販売員もである。そうでなければ、余計な混乱を引き起こすだけのことになり、消費者を惑わすだけの害悪な存在にしかならない。

noteで有料記事を始めてみました。

三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n101ec8cd6c29?creator_urlname=minami_mitsuhiro

ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd2f9baabd416?creator_urlname=minami_mitsuhiro

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ジーンズ専業メーカーが苦境に陥った4つの理由

 先日、久しぶりに西の方にある某ジーンズ専業メーカーの社員さんにお会いした。

御多分に漏れず、このメーカーの業績も悪く、売上高もピーク時の6割程度にまで落ち込んでおり、大規模なリストラも何度か行われている。

そういう状況なので、さぞかし社内にも危機感がみなぎっているのかと思ったら、年配層・上層部はまるで危機感がなく、そのうちにまた売れるようになると考えているとのことで、その暢気さに驚かされた。

その根拠ない自信はどこから湧いて出るのだろうか。
それくらい楽天的なら人生も楽しいだろうなあ。

ジーンズ専業メーカーが苦戦に陥った理由はさまざまある。

1、主要卸先だったジーンズ専門店チェーンの激減
2、そのジーンズ専門店チェーンのSPA化
3、他のメーカーもジーンズやカジュアルパンツも企画製造するように(できるように)なった
4、低価格商品の見た目が向上した

おもにはこの4点だと考えている。

まず、1だが、三信衣料の倒産から始まり、フロムUSA、ロードランナーの倒産、マルフルの解散、デンバーの廃業などジーンズチェーン店の倒産や廃業が相次いだ。

また生き残った大手のライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの苦戦も挙げられる。

要するに卸売り先が減っているのである。

次に2だが、OEM/ODM業者の増加によって、ジーンズ専門店チェーンも自主企画製品が作れるようになった。
有名なところだとライトオンのバックナンバーなんていうのはその典型だが、生き残った地方専門店も自主企画製品を企画製造販売し始めている。
仕入れ100%という店が少なくなった。

3はジーンズ専門店チェーンに限らず、OEM/ODM業者の増加で、様々なブランドが自主企画のジーンズやカジュアルパンツを企画製造できるようになった。

タケオキクチやポールスミスでもオリジナルジーンズが販売されているご時世だし、ビームスやユナイテッドアローズもオリジナルジーンズを企画製造販売している。

ジーンズ専業メーカーとしての優位性はほとんどなくなっている。

4はユニクロやアダストリア、ジーユー、無印良品などの低価格ブランドが企画製造しているジーンズやカジュアルパンツの見た目が良くなり、ジーンズ専業メーカーの商品との区別が一見したくらいではつけられなくなった。

OEM/ODM業者の増加に加えて、これまでジーンズ専業メーカーとガッチリ組んでいた縫製工場や洗い加工場がそういう低価格ブランドや百貨店ブランド、セレクトショップのオリジナルジーンズの製造に携わるようになったことも大きい。

かつてナショナルブランドを手掛けていた洗い加工場が今ではアダストリアのジーンズのOEM生産を手掛けているなんてことは別に珍しいことではなくなっている。

製造・加工する工場が同じなのだから、ジーンズ専業メーカーとその他ブランドとの商品の見た目にそん色がなくなるのは当然である。

こういう状況なのだから、何らかの変革・努力なしにはジーンズ専業メーカーの業績が回復することはありえない。従来通りのままなら縮小を続けていくしかない。

苦境が続いている業種だから少しは危機感を持っているのかと思ったら、まだそんな暢気でいるのだから驚くほかない。

他の不振アパレルメーカーや小売店も年配層・上層部にはこれほど暢気坊主がそろっているのだろうか?
もしそうなら座して死を待つばかりである。

この手のジーンズメーカーのベテラン社員は以前は

「低価格ブランドや百貨店向けブランドのジーンズとワシらのジーンズは物が違う」

と言っていた。空元気なのか本当にそう思い込んでいるのかはわからなかったが。

しかし、今では製造・加工している工場も同じだし、使用しているデニム生地も同じ先から仕入れているわけで、ユニクロだってカイハラのデニム生地を使用している。
そうするとおのずと見た目はほとんど変わらなくなる。
おまけに低価格ブランドの商品価格は専業ブランドの半分程度である。

似たような物なら安い方を買う人は増えるのが当然である。

こういう状況になると、専業メーカーはえてして「わしらのジーンズはこの部分の縫製仕様が(少しだけ)異なる」なんてことを言い募るのだが、そのミクロの違いに満足する人は数少ない。
おとなしくその少数派に向けた小規模ブランドに転身すればまだしも、なぜだか昔の栄光が忘れられずに、ミクロの違いを持ってマスに売ろうとし続けている。

売上高3億円とか5億円くらいならそういうミクロの違いが大好きなマニアを集めることは可能だろうが、50億円とか100億円規模の売上高を作ることは不可能である。
ミクロの違いを支持する人はそんなにたくさん存在しない。

それにしてもここまで苦境に追い込まれながら、まったく認識が変わらないメーカーがあることには驚かされるばかりである。
このジーンズ専業メーカーはそうやって今後さらに縮小し続けていくのだろう。

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ジーンズもデニム生地も特別視されなくなった

 今回はジーンズの話でも。

3年くらい前から「若い人がリーバイスの古着ジーンズを買っている。しかも80年代とか90年代前半の物を」という話をよく耳にする。
40代以上の層からすると、若い人の嗜好が何とも奇異に感じる。

というのは、当時のジーンズは股上が深く、何よりも使用しているデニム生地がのっぺりしていてヒゲなどのアタリ感がまったくでないといういう特徴がある。

これは「カッコ悪いジーンズの象徴」として、少なくともこの20年間とらえ続けられてきた商品だから、30代半ば以上のオッサン層からすると、それを嬉々として買い漁っている若い人の嗜好が奇異に感じられるというわけだ。

そしてこの商品傾向は90年代半ばまで続いた。

ジーンズ、デニム生地の傾向は90年代前半と後半で丸っきり変わってしまうのである。

90年代前半にはレーヨンやテンセルなどの素材を交織・混紡したソフトジーンズブームが起きる。
95年・96年ごろからビンテージジーンズブームが起きる。

ビンテージジーンズブームによって、デニム生地の傾向はそれまでと180度、いや540度変わってしまう。

綿100%の厚くて固い、ヒゲやアタリが出やすい表面に凹凸感のあるデニム生地が喜ばれるようになる。
そしてヒゲやアタリと同時に「タテ落ち」と呼ばれる縦方向へ細かくスジが出るような落ち方が好まれるようになった。

いわば色落ちのメリハリがはっきりくっきりわかるようになる。
ソフトジーンズも含めたそれまでのジーンズの色落ちにはメリハリがほとんどなかった。

そして99年ごろからはローライズジーンズブームが始まり股上が浅くなった。

現在、主流となっているジーンズは90年代半ばのビンテージジーンズブームと99年ごろのローライズジーンズが合体融合したものといえる。

デニム生地に関していえば、95年ごろから「タテ落ち」が王道となって今に至る。
そういう価値観が元になって、80年代・90年代前半のあのジーンズはこの20年間「超ダサい物」と評価されていた。

もうすでにちょうど1年前にこのことを書いているブログがあるからご紹介したい。

ダサ・デニムは、もはや ダサくないのだ。そーなのだ。
http://ameblo.jp/tcd-co-ltd/entry-12147427811.html

先日、あるカジュアルブランドのデザイナーと話をしたが、その際、

「20代~30代前半の若い人が運営しているブランドでは、80年代の『あのデニム生地』が使いたいというが、国内でも中国でも『あのデニム生地』はほとんど製造されていないから困っている」

という話題が出た。

国内のデニム生地メーカーの多くは、80年代のあのデニム生地を作ることを嫌がるし、現在は大量生産を行っていない。また中国のデニム生地メーカーも日本ブランドにその感覚を合わせているから、中国でもあまり生産されていない。

おそらく、日本や中国が技術指導を行っていない東南アジアの工場では作られているのではないかと思うが、どうだろうか。

先に挙げたTCDさんのブログから画像をお借りする。
今のデニム生地と80年代のデニム生地ではこれほど見え方が異なる。
左が80年代のデニム生地、右が現在のデニム生地である。

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色落ちの違いがお分かりになるだろう。

だから、先のデザイナーは、80年代デニム生地を好む若い層を指して、「30代半ば以上と以下では洋服に関する感覚がまったく異なっている」と指摘する。

そういえば、ここ何日間かで20代前半と思しき、若い女性がモロに80年代調のジーンズを穿いているのをちょこちょこ見かける。
生地はもちろん、あののっぺりとしたデニム生地。
形はおへそまで隠れるであろうハイウエストで、それは昨今のデザイン的ハイウエストジーンズとも形状が異なっている。

どう見ても、25年前(四半世紀前!)、筆者が大学4年生くらいの時代の人にしか見えないのだが、それがよしとされる感覚はやっぱりだいぶと異なっているといえる。

どうしてこういうことになったのかというと、20代の人は物心ついたころから、ずっと今のビンテージ調デニム生地を使ったジーンズを見て育ってきた。
40代以上のオッサンは、その商品を「20年前にわざわざ選んで買った」のだが、彼らからすると「当たり前に在る物、なんの変哲もない物」ということになる。

そして、若者にとって記憶にない80年代・90年代前半の「あのジーンズ」は「見たこともない斬新な商品」に見えるのだろう。

オッサン世代からすると、ほぼゴミ屑同然だった80年代・90年代前半のリーバイスの古着が、人気沸騰で品切れ状態になるというのも信じられない話である。

前回も書いたが、老若男女を問わず、「色落ちしにくいデニム」が一定の支持を受け、若者層にのっぺりとしたデニム生地が受けている状況を見ると、これまでデニム生地業界やジーンズ業界が「ジーンズとは」「デニムの魅力とは」と力説してきたことがどうもニッチなマニア層だけのものとなりつつあるように思える。

ジーンズやデニム生地は特別なアイテムや生地ではなく、洋服や生地の一種に過ぎなくなっているということで、今後はますますジーンズやデニム生地への特別視はなくなるだろう。

こっそりひっそりインスタグラムやってます。
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/




スタートから1か月間で600本を出荷したジーンズブランド「BMC」

 リストラ、ブランド廃止、大量閉店、会社倒産、廃業が日常茶飯事なアパレル・繊維業界において、年齢制限やらその他もろもろの理由で再就職ではなく、独立・起業を選ぶ人もいる。

そういう人から相談を受けることが増えたが、基本的には筆者はこの業界での起業をあまりお勧めしない。
右肩下がりの業界なので確率論で言えば失敗する確率の方が高いからである。
今では大企業然としている大手アパレルだってその昔は起業からスタートしているわけだが、彼らの多くは戦後直後とか高度経済成長期やバブル期に創業しており、もちろん並大抵の苦労でなかったことはいうまでもないが、商品が欠乏していた時代なのである意味で、商品を並べたら売れたという要素も大きかった。

もともと商品自体がなので、「市場に無い物」を提案すると売れる確率が高かった。
しかし、現在はそういう時代ではない。
物はあふれているし、基本的にどんなデザイン・テイストの服も流通している。
「画期的に新しいデザイン」の商品というものを考案することすら難しい。

プラットフォームの時代だ!なんていう人もいるが、すでにプラットフォーム自体が溢れかえっており、プラットフォーム間での優劣の格差が大きくなっている。
結局は、品ぞろえの豊富さと割安感(激安ではない)の競争となっており、それを突き詰めるとAmazonには勝てないよねという話になる。

一説にはAmazonの物流倉庫の広さは東京都中野区とほぼ同面積だという。
ネット上ではスペースは無限にあるから、Amazonは中野区と同じ広さの倉庫に並べた商品をネット上で見せられるということになる。
そして価格幅も大きい。高額品もあるが、激安商品もある。

ここで伊勢丹新宿店がいくら「品揃えの豊富さを追求しました」なんて言ったって、中野区ほどの広さの倉庫にある商品すべてを見せているAmazonに勝てるはずもない。
逆に伊勢丹新宿店の品ぞろえの中途半端さが目立つだけになる。
イオンモールがいくら広大でも中野区ほどの広さはない。

この話はまた後日書いてみるが、そういう状況なので、新しいブランドがおいそれと売れる可能性は極めて低い。

安全なのはOEM/ODM屋を開業することだが、ここもすでに山ほど競争相手があって、大手とつながらないと生き残れない。多くの競争相手があるから大手は強気で工賃とマージンを叩いてくる。
嫌ならよそへ仕事を振るよというわけだ。
1枚のマージン50円で100枚のロットの製造を請け負わなくてはならなくなる。
だからOEM/ODM屋を開業するのも茨の道である。

そんな中、エドウインを退職して、ジーンズブランドを起業した人がいる。
ブリッツワークスという社名で、ブルーモンスタークロージング、略して「BMC」というブランドを開始した。

http://www.bmc-tokyo.com/

こんなブランドである。

価格は6900円、生地と加工は日本、縫製は中国製。

販路はジーンズ専門店チェーンで、ターゲット層は30代・40代の父親で、いわゆる昔ながらのジーンズカジュアルが好きな男性と設定する。
ちょっとコテコテ系の加工である。

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で、相談を受けたのだが、正直なところなかなか厳しいのではないかというのが最初の感想だった。

なぜなら、5900・6900・7900円というのはジーンズというアイテムで要望は多いが、メーカーの供給が少ない価格帯である。
市場規模としてはそれなりにあると個人的には見ているが、メーカーからすると「旨味がない」とか「売りにくい」と思われている価格帯で、ほぼ真空状態になっている。

そこにあえて参入するというのは、ハイリスクハイリターンといえる。

しかし、決心が固いようでそのまま起業して活動を開始された。

今回、東京出張で現状をうかがうことができた。
7月末に店頭デビューして、なんと1か月間で600本を地方のジーンズ専門店チェーンに納品したという。
8月も商談が好調に進み、9月末には納品が累計で1000本を越える見込みだともいうから恐れ入る。

失礼だが無名のブランドで活動開始早々にこれだけの本数を納品できるのは、上場の滑り出しといえるのではないだろうか。
社長となった青野さんの営業力がすさまじいと思う。

9月以降の商況がどうなるかはまだまだ予断を許さないが、注目の新ブランドといえる。

青野社長と初めてお会いしたのは、昨年10月のデザビレで開催した講演会でだった。
TOKIOの長瀬智也似のイケメンがけっこう前の列で座っておられて、ちょっとウケを狙ってしゃべってみても、ニヤリと不敵な笑み(に見えた)を浮かべるだけだったので、「後でしばかれるかも」と壇上から内心ちょっとビビっていたのだが、終わってから懇親会で話してみると好青年だったのでホッとした次第である。

個人的には5900~7900円で、それなりにデザイン性のあるジーンズは市場に必要ではないかと思っていた。
業界の人も含めて多くの人が事実に反してこう考えている。
「3990円のユニクロか、1万円を越えるジーンズしかない。この価格差はつらい。ユニクロに2000~3000円足して買えるようなファッションジーンズがほしい」と。

実際はそうではなくて、探せば5900~7900円の商品はある。少ないけど。
ただし、あるという情報が消費者にも業界人にもあまり伝わっていないのだ。

そんなわけでその市場に飛び込んで上場の滑り出しを見せた青野社長の胆力には驚嘆するばかりである。

5900~7900円のファッションジーンズというジャンルをぜひとも確立してもらいたいと思う。





ブルーウェイブランドが今秋から正式に復活

 昨年6月に倒産したブルーワークスカンパニーが展開していた国産ジーンズブランド「ブルーウェイ」と国産スラックスブランド「コントライバンス」の復活が正式に決定した。

昨年倒産したブルーウェイのブランドが復活
https://www.wwdjapan.com/fashion/2016/08/16/00021246.html


といっても、ブルーワークスカンパニーという会社が復活するわけではない。
元ブルーワークスカンパニーの社員が商標権を取得して、今後は企画製造・販売を行うということである。

元ブルーワークスカンパニーの中田直樹氏が、かつての得意先からブランド消滅を惜しむ声を受けて、新会社はね(東京)を設立し社長に就任。今年6月から「コントライバンス」のテスト販売を開始していた。今後は同ブランドの企画・製造、および「ブルーウェイ」の関東地区での卸売りを営業代行として行う。また、元同社の営業部長であり、両ブランドの商標を所有する山本聖人氏は、新会社じんくら(広島)を立ち上げ、西日本で卸売りを担当する。

という経緯だ。

実は今年の6月くらいから「ブルーウェイ」の新商品が出回っているという情報を耳にしていた。
正式に復活したという報せは受け取っていなかったので、おかしいな?と思いながら、もうすぐ正式にブランドが復活するのではないかと推測していた。

もともと昨年6月に倒産したブルーワークスカンパニーだが、その後、同業の何社かが商標獲得に手を挙げたという噂を耳にしていた。
その中の三備地区の某量販店向けカジュアルパンツメーカーがもっとも商標取得に熱心だとも聞いていた。

まったくの第三者的立場から見ると、その某社は旧ブルーウェイの本社とも近隣にある上に、主力商材は1900~4900円の量販店向けの低価格カジュアルパンツであることから、7900円以上の高価格帯のブルーウェイの商品を扱うには打ってつけだった。
自社の主力商品とまったく被らないから住み分けしやすく、新販路獲得もしやすい。
部外者としてはその某社で決まりだろうと勝手に思い込んでいたが、元社員が商標を獲得するというのは予想外だった。

しかし、心情的に考えれば、商標に愛着を持っていた元従業員が獲得するほうがしっくりとくる。

今後の商況がどうなるかはわからないが、ブランドにとっては一番良い結果だったのではないかと思う。

ただ、正式に復活したといっても、商品の供給過多な状況下において、売れ行きが易々と伸びる可能性は低い。
コツコツと小さい売上高を積み重ねるという売り方になると見たほうが良いだろう。

今回、復活発表に先立って、株式会社はねの中田社長から「コントライバンス」のトラウザーをサンプルでいただいた。
濃紺ストレッチデニム素材とカラーストレッチピケ素材があったのだが、ストレッチデニム素材を送っていただいた。

サイズはL(32インチ)を選んで正解だった。
ストレッチ素材ということもあって、ウエストはおそらくM(30インチ)でも合ったのではないかと思う。
なぜなら少し伸びるからだ。

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しかし、筆者の太ももとふくらはぎは太い。
Lでも意外にピタっとするが、Mならレオタード状態になってしまっただろう。

太短い脚のおっさんがシルエットを露わにするのは、他人が見て気持ちの良いものではないだろう。
筆者自身もわざわざそんなものを他人に露出したいとは思わない。

デニム素材だが、表面はフラットで変な凹凸感はない。
中田社長に聞くと「通常のデニム生地なので洗濯を繰り返すうちに色落ちする」そうだが、わざわざ説明せねば、洋服に詳しい人以外はこれがデニム生地だとはわからないだろう。
それほどにフラットな表面感である。

組成は綿98%・ポリウレタン2%だが、表示から予想するよりもストレッチ性は高いように感じる。

丈は8分丈で今風である。

デニム生地特有のズッシリ感もなく、むしろ、合繊が含まれているかと思うくらいに軽さがある。

いわゆるオフィスカジュアルにも着用が可能だ。

今後、色落ちするとどういう見え方になるのか穿き込んで実験してみたいと思う。

ウェブサイトでも通販が開始されているので気になる人はこちらを見てもらいたい。

http://contrivance.jp

さて、ブルーウェイの歴史について検索してみたがウェブ上では出てこない。
そこで昭和63年発行の古い業界誌を引っ張り出してみると、創業は昭和24年とあるから、1949年になる。

ここからは推測だが、この時期に日本では国産ジーンズは誕生していない。
日本で国産ジーンズが作られるようになったのは1960年代以降である。
それに際して、作業服メーカーや学生服メーカーがジーンズメーカーに転身している。
ブルーウェイも創業当時はそういう被服を扱っていたのだろう。

その後、93年にインポートブランドを扱う関連会社としてブルーワークスカンパニーが設立される。
ジーンズチェーン店が相次いで倒産するなどして、ブルーウェイの業績が年々低下し、2012年にブルーワークスカンパニーがブルーウェイを吸収する形で事業を継続した。
しかし、その後も業績の悪化は止まらず2015年6月にブルーワークスカンパニーも倒産した。

それにしても昔はもっとたくさんのジーンズメーカーがあった。
ちょっとページを繰ってみると、フジタツ、ドット、大石貿易、日本ハーフ、サンダイヤアパレル、帝人ワオなどの社名が並んでいる。

各社の年商を見ると最低でも10億円を越えている。
ジーンズをやっていれば儲かった時代だったというわけだ。

作りさえすれば売れていたのが70年代と80年代だった。
一転したのが90年代後半からで、現在の状況に至る。

仮に75年に創業したメーカーがあったとして、不況が押し寄せたのは97年ごろだから、優に22年間の猶予があったといえる。
前半の15年はイケイケドンドンだったとして、残り7年間で社内体制を一新することはできなかったのだろうかと部外者としては疑問に感じる。

しかし、筆者がもし75年当時の社員だったとして、97年に不況が押し寄せても「変わらなければ生き残れない」などとは考えられなかっただろう。
当然経営者も同じだっただろう。

その結果、2000年に入る前に多くのジーンズメーカーが淘汰され、2000年代になってもまだ淘汰が進んだ。

先ごろ、WWDで恒例のジーンズ特集号が発売されたが、ナショナルブランドのジーンズメーカーとして掲載されているのはエドウインとリーバイ・ストラウス・ジャパンだけである。
あとは年配の人なら耳にしたことがないようなインポートブランドやSPAブランドばかりである。

筆者が業界紙でジーンズ関係を担当したのが98年だから、たった18年でガラっと様変わりしたということになる。

ブルーウェイブランドの復活とともに改めて「昭和は遠くになりにけり」だと感じた。



ダメージジーンズにも価格破壊の波

 ジーンズに詳しい方にとっては当たり前のことなので読み飛ばしてもらいたい。

今春は低価格SPAまでが破れたジーンズを発売している。
あれはわざわざ新品の物を加工で破いているわけで、穴が開いたままの状態の物を「クラッシュ加工」「ダメージ加工」、その穴を布を当てたり、ミシンで破れ目を再度縫ったりして塞いだ物を「リペア加工」と呼ぶ。

似ているけれども厳密に言えば両者は別物である。

このクラッシュ(ダメージ)加工、リペア加工はこれまで中価格帯~高額ブランドのみの展開だったが、今春からついに低価格SPAが発売を開始した。

この加工の好き嫌いは置いておく。

個人的にダメージ加工は嫌いである。
穴が開いているから夏は涼しいが冬は寒い。
たまに真冬でも膝が丸見えになるくらい破れているジーンズを穿いている人を見かけるが寒くないのだろうか?

それと、この加工は穿くときに足先に破れ目が引っかかり易い。
足先が引っかかると破れ目が拡大する。
長年所有すればするほど足先の引っかかる回数が増えて穴が拡大し続け、最後はボロ布のようになってしまう。

それよりは冬でも寒くなく、足先も引っかからないリペア加工の方が好きである。

ユニクロは今春、ダメージ加工のジーンズを3990円で発売した。
H&Mも3900~4900円でダメージ加工ジーンズを発売している。
ZARAはリペア加工ジーンズを7990円で発売しており、一部商品はすでに半額に下がっている。

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(ユニクロのダメージジーンズ)

これまで低価格ブランドにダメージ加工、リペア加工のジーンズがなかったのは加工代が高いからである。
国内の洗い加工場で加工を施した場合、各工場で価格は様々だが最低でも2000円や3000円はするだろう。
そうすると必然的に低価格では展開できなくなる。

当然、これらの低価格SPAは海外の工場で加工を施していると考えられるが、海外の工場でも通常の洗い加工よりは加工賃が高くなるから、3900円前後で発売できるというのはなかなか画期的なことだといえる。

なぜ加工賃が高くなるかというと、各ジーンズを1本ずつ加工してリアルに破らなくてはならない。
リペア加工だと破ってからさらに再度縫わねばならない。
ワンウォッシュだと大量の枚数を洗濯機に突っ込んで洗うことが可能だが、ダメージ、リペア加工はどんなに効率的に組み立てても1本ずつ加工する工程が必ず入る。
その手間賃によって加工賃は高くなる。

ワンウォッシュのジーンズとダメージ加工のジーンズが同じ3990円で発売されるというのはこれまではあり得なかった。
かなり戦略的な重点商品として低価格SPAは位置づけているのではないか。

ただ、好き嫌いのはっきりと別れる商品なので、マス層に広まるかどうかはちょっと不透明ではないか。

今春のこの3ブランドの取り組みを見て、ジーンズの価格破壊も極まったと感じる。
今までは加工賃の問題からダメージ、リペア加工を低価格ゾーンで展開することは難しかった。
それゆえに、ウンチクのある高額ブランドから安くても7000円~8000円商品まででこの加工を囲い込むことができていた。

ところがこれが3900円前後で発売できるようになった。

見た目もそこまでおかしくはない。
ジーンズに詳しい人が見れば、あちこち甘い部分が見えるかもしれないが、一般消費者レベルではこれで十分にそれらしく見えている。

こうなると、もういわゆる商品デザインだけで、低価格商品との差別化は不可能である。
非常に細かいウンチクの世界に逃げ込むくらいしか手はない。
しかしそのウンチクの世界はニッチな市場である。何ブランドもが生息できるほどの規模ではない。

こういう低価格ブランドの価格破壊に対して、絶対悪とみなす人も出てくるだろうが、筆者は絶対悪とは思わない。
所詮、服なんて工業製品だから、これまで高額品だったものに対して低価格代替品が登場するのは当たり前である。テレビだってパソコンだってスマホだって電子レンジだって同じことである。

逆にいうとこれまでよくダメージ・リペア加工は持ちこたえたと思う。

しかし、その特別感もこれまでである。
もうジーンズに特別な手法はほぼなくなった。

そしてこの低価格代替品が登場するのは、洋服において何もジーンズだけではない。
もうすでに洋服は低価格代替品が出回っている業界であり、ジーンズにとっての最後の砦ともいえるダメージ・リペア加工にもついに低価格代替品が登場したということになる。

デザインや商品の見え方だけで低価格ブランドとの差別化を図るのは今後ますます困難になるだろう。
かと言ってウンチクの市場はそれほどの規模がない。
ある程度の規模を求めるブランドは、デザインや商品の見え方だけに頼らないブランド作りに取り組まねばならない。

言うは易しだが行うは難しである。
筆者だって「じゃあどうすれば良いのか?」と問われても即座に返答できない。
そういう難しい局面に業界は突入しているとしか言えない。
いやはや。




エドウインが503をリニューアル

 今回は展示会レポートを。

エドウインが定番ジーンズの「503」を今秋冬からリニューアルする。

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最大のリニューアル点はデニム生地。
強撚糸で織って、そこに液体アンモニア加工を施すことで、綿100%でありながら緩やかなナチュラルストレッチ性と光沢感、ソフト感が出た。
個人的には、そのソフト感が印象に残っている。
14オンスデニムなので市場に出回っているデニム生地より重く感じる。
手にしたときのソフト感を言葉で表現するのは難しいが、しいていうなら、超ヘビーオンスのレーヨン混デニム生地に近いとでも言えば分かりやすいだろうか。

ターゲット層は30代半ばから上のベーシックを好む層。
あくまでもファッション好みではない層と言った方が伝わり易いのではないか。

以前に発表した「Eスタンダード」もベーシック路線だが、こちらはトレンド層を意識しており、非トレンド層の「503」との棲み分けを図る。

さて、この「液体アンモニア加工」だが、日清紡の技術である。
かつてジーンズ業界で一世を風靡したことがある。

90年代半ばにビンテージジーンズが登場するまで、ジーンズというアイテムは「きれい目」路線を進んでいた。
その理由はさまざま考えられる。

作業着として誕生したジーンズがファッションアイテムとなった。
ファッションアイテムにはなったものの、「ドレス」「フォーマル」ジャンルからは阻害されていた。
90年代前半に筆者自身も経験したことがあるのだが、ヨーロッパではジーンズ穿きでは入店すら拒むレストランがあった。
この扱いは日本でも同様である、というより日本は欧米のやり口をコピーしていたに過ぎない。
90年代後半に盛り上がった?カジュアルフライデーでもジーンズは除外されていた。

オッサン世代は当時を思い返してもらいたい。
ゴルフスラックスやチノパンはOKだったが、多くの会社でジーンズは除外されていたはずだ。

それほどにジーンズは「フォーマル」ではないと位置づけられていた。
出自がワーク、カジュアルのジーンズとしては通常の衣服と同等になるためには、きれい目に進むという方向性は当たり前だったといえる。

生地に光沢感があってソフト感があるという「液体アンモニア加工」が各ナショナルブランドで重宝されたのは当然の成り行きだといえる。
この「ジーンズきれい目化路線」の最終形態が、90年代前半に登場したレーヨン、テンセルのソフトジーンズだったのではないかと個人的には見ている。

しかし、その反動から90年代半ばから粗野でワークテイストに溢れたビンテージジーンズがブームとなる。
そのブームを誰が仕掛けたとか仕掛けられたとかそういうことはここでは除外する。

ここからデニム生地にも一気に反動が押し寄せる。
表面に凹凸感があって固くて色落ちのしやすいデニム生地が好まれるようになる。
液体アンモニア加工とは正反対である。
デニム生地を織る糸も、ストレートで滑らかな糸に代わって、節くれだった不均一なスラブ糸が好まれるようになる。

この流れはほんの2,3年前まで続く。
厳密にいうと今でも続いているといえる。

ただし、2008年にスキニージーンズが登場してから、ストレッチ混デニム生地が標準となった。
その影響もあり、デニム生地は全体的に12オンス前後にまで軽量化したが、デニム生地そのものの表情は相変わらずビンテージ感が好まれていた。
この傾向は今でも残っている。しかし、現在は、それと反対の潮流が勢力を盛り返しつつあり、併存している状態だといえる。

エドウインの503に液体アンモニア加工が大々的に採用されるということは、きれい目なジーンズ、きれい目なデニム生地の需要が大々的に復活したと考えられる。

粗野なデニムときれいなデニム、この両方が現在は並立しており、それぞれにファンがいるといえる。
もしかすると購入者は同じで、その日の気分やコーディネイトによって使い分けているだけなのかもしれない。

実は業界紙記者になったころ、液体アンモニア加工の特徴をレクチャーしてもらったが、それほどの違いがあまりわからなかった。
しかし、今回の展示ではそのソフト感がはっきりとわかった。
当時は経験不足でその差異がわからなかったが、20年近くが経過してようやくその違いが分かるようになったということだろうか。

ジーンズファンからするとエドウインのジーンズはきれいすぎると言われる。
縫製などのクオリティの高さは折り紙つきだが、いわゆる粗野感は微塵もない。
今回の503なんてその典型ではないかと思う。

しかし、個人的にはそれで良いのではないかとも思う。
なぜなら、粗野感のあるジーンズを欲しがっている日本人が一体どれほど存在するのか。
それに粗野感あふれるジーンズを企画製造しているブランドは一体いくつ存在するのか。

ならマスメーカーとしてエドウインはマス層に向けた商品を提供すれば良いのではないかと思う。
粗野感あふれるジーンズが欲しい人は多数存在するその手のブランドの商品をチョイスすれば良いのではないか。

ちなみに、エドウインは単一ブランドでありながら、多くのテイストの商品を企画製造している。
けっこう先端層に向けた提案もあるのだが、ブランド名が同じなので、先端層からは敬遠されることもある。
これはもしかしたら、以前の「ボブソン」が踏んだのと同じ轍なのかもしれない。

非トレンド向けの「503」、トレンド層向けの「Eスタンダード」のほか、地方や都心下町に根強く残る元ヤンキー層に向けたこんなコテコテ商品も作り続けている。

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元ヤンキー層のファッションの嗜好にはまったく興味も共感も持てないが、この手の商品が非トレンドアイテムになってから久しく、この手の有力ブランドの存在感がほぼなくなっている。
トゥルーレリジョンはジャパン社を解散しているし、韓国ブランドのレッドペッパーやロリータジーンズもほとんど存在感がない。

オズファーストのクックジーンズが根強い固定ファンを集めているが、東京都心では存在感があまりない。
関西や地方都市限定という印象が強い。

そんな中、エドウインのこの手の商品はそれなりに収益を上げている。
これは残存者メリットといえるだろう。
資金的にゆとりがある大手ならではの戦略ともいえる。

注意深く見ていてもらいたいのだが、日曜日のショッピングセンターにはこれを穿いた元ヤンキー層が多数闊歩していることに気が付くはずである。
都心でもあべのキューズモールでは多数見かける。

そこに市場が残っているから取りに行くというのもまた一つの立派な営業方針といえる。





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