月別: 7月 2011 (1ページ / 3ページ)

何円で買えばユニクロ商品はお得か

 先日、アパログで小島健輔さんがユニクロの原価率について独自に算出されていた。

http://www.apalog.com/kojima/archive/762

小島さんによると、ユニクロの原価率は38%だという。

一般的にあまり知られていないが、ユニクロもOEM生産を使うことがある。
過去、何社もが手掛けていたのだが、徐々に減っていき、現在ではメンズ1社・レディース1社が担当するのみとなっている。しかもその両社ともに取引額は徐々に縮小している。

かつて、そのレディースに所属したことのある友人によると、
10年くらい前のユニクロの原価率もだいたい38%前後だったという。
原価率38%前後という数字はかなり信憑性が高いのではないか。

そこで、ユニクロの商品がどこくらいまで下がったらお買い得であるのかを考えてみたい。

アイテムごとによっても原価率は若干変わるものだが、とりあえず平均38%であるとして考えよう。
だとすると、1500円のTシャツの原価は570円ということになる。
1500円のTシャツは990円→790円→590円→500円と段階的に値下がりしていくが、
590円でほぼ原価並み、500円では原価割れだ。
だとすると500円で買うのがもっともお得だが、そこまで下がるには相当の時間がかかる。

こう考えると590円で買うか、790円で買うのがもっとも良いのではないだろうか。
790円時点だと色柄は豊富に残っている場合が多い。

もうひとつ、ジーンズを見てみよう。
ユニクロのジーンズの中心価格帯は現在3990円である。
原価率を38%だと仮定するなら、1516円ということになる。
ジーンズの値下がり方は
3990円→2990円→1990円→1290円→990円
となることが多い。

1290円だと原価割れの可能性が高い。

今回のは仮定に基づいた推量だが、買い物をする際の一つの目安にはなるのではないだろうか。

客数減が止まらないジーンズメイト

 恒例のライトオンとジーンズメイトの7月売上速報が先日公表された。
いつものように6月21日~7月20日までの売り上げ実績である。

ライトオンは
既存店売上高が前年比3・4%増
既存店客数が同5・4%減
既存店客単価が同9・3%増

だった。

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比9・1%減
既存店客数が同23・7%減
既存店客単価が同18・0%増

である。
ライトオンは今年2月以来、5か月ぶりに既存店売上高が前年実績を上回った。
この要因として①6月末から気温が急上昇して、夏物衣類がうごいたこと②バーゲン開始が早まり、6月25日ごろには確実にバーゲンに突入していたこと、の2つが挙げられるのではないか。

一方ジーンズメイトは相変わらず苦戦が続く。
売上高は9%減にとどまっているが、これは客単価が18%増となったことによる。
もっとも昨年までのジーンズメイトは激安を極めていたから、商品価格を18%上げることは、高級店に移行することを意味するものではない。
いわばTシャツを500円で販売していた店が、900円のTシャツを販売するようになった程度の差である。
そしてジーンズメイトを常に脅かし続けているのが、止まらない客数の大幅減少である。
今回も24%減である。
買い上げ客数が2割以上減っている状況が続くのはかなりの危機である。

両社共通していることは客単価が上がっていることであり、
日付はちがうが、両社ともに客単価向上を表明した記事がそれぞれ繊研新聞に掲載されたから考えると、こちらはある程度成功しつつあるのではないだろうか。

寂れゆく南船場・堀江地区

 ローカルな話題で申し訳ないが、大阪市中心部でもっとも勢いがないのが、南船場4丁目と南北堀江地区だろう。10年くらい前までは、小型・中型の路面店が集積した話題のスポットだったが、凋落するのはあっという間だった。今では、撤退したまま空家となった店舗が数多く点在する。

南船場4丁目が注目を集め始めたのは90年代半ば、堀江は90年代後半だった。
それまでの南船場4丁目はオフィス街である本町と商店街のある心斎橋の間に横たわる微妙な空間だった。
北堀江は元々材木商が集まった地域だったが、再開発当時は住宅街。南堀江は家具店と仏壇屋の街だった。

南船場・堀江が人気スポットだったころ、それまでのメイン商店街だった心斎橋筋商店街は苦境に立たされていた。これが2000年代半ばから立場が逆転し始めた。
阿倍野と梅田に大型商業施設が今春完成したことにより、心斎橋筋商店街もやや苦戦しているとはいえ、南船場・堀江に比べると人通りはまだまだ多い。

さて、つい先日、リーバイスストア南船場店が撤退した。
今週の火曜日には店舗内から什器などの撤去作業が行われていた。
あまりお客が入っている姿を見かけたことがなかったので、撤退は当然の措置だろう。
もちろん、「リーバイス」というブランドの商品展開のアンバランスさ(ジーンズを中心としたボトムスが多すぎ、トップス類のバリエーションが少なすぎる)や、ジーンズ低迷などの要素もあっただろうが、やはり南船場という立地も悪かったのではないだろうか。

CA3G0124

(撤退作業中のリーバイスストア)

以前、書いたことがあるが、昨年10月に知人が個人経営の小型店を南船場に出店した。
彼によると「出店後半年で、近隣の店舗が8店舗撤退した」という。
それほど南船場は集客の出来ない地域になったといえる。これは堀江地区も同様で、メインストリートの立花通りにも数店舗の空き店舗がある。

以前、南船場・堀江でアトリエ兼ショップ用の物件を探したことがある某デザイナーによると
「南船場・堀江が人気スポットとなってから地価や家賃が急上昇した。その後、人気が凋落した今も家賃は高止まりしたままだ」という。
集客が難しい地区であるにも関わらず、家賃が高止まりしたままなので、空き店舗が埋まらない。
空き店舗が埋まらないので、その地区はさらに寂れた印象を与えるという悪循環スパイラルに陥っている。

これを解決するには、地主が家賃を下げることがもっとも効果的である。
おそらく、人間心理として一度上げてしまった価格をなかなか下げる決断ができないのだろうと推測するが、借り手が見つからないなら意味がない。

ただ、洋服の価格と同じで「むやみに下げれば良いというものではない」とも思う。
地主が家賃を下げたくないのであれば、家賃が高くても借り手が集まるような工夫が必要であろう。
そのためには、地主たちがコストをかけて地区集客キャンペーンを行うことが望ましいのではないか。平凡な例えではあるが地区を挙げて「○○祭り」を定期的に開催するような取り組みでも良いのではないか。

今のまま無策状態が続くなら、撤退店舗がまだまだ増え、地区がさらに寂れることは火を見るより明らかだ。

マイナスイメージを転換するユニクロのコピーライト

 ユニクロのプレスリリースや販促コピーは非常に勉強させられることが多い。
昨日、送られてきたメルマガは、秋冬の新作ががっちり紹介されていた。
その中で、恒例のウルトラライトダウンの紹介にこんな一節があった。
「ダウンパックを使わない製法と極細ナイロンを使用して、驚きの軽さを実現しました。~」

一般的なダウンジャケットは、羽毛を入れるダウンパックと呼ばれる袋と、表生地との2重構造にすることで、羽毛が生地の間から飛び出ることを防いでいる。
ダウンパック内蔵のダウンジャケットの方が一般的には「良い商品」とされている。
いろいろ調べてみると、高級ブランドでも縫製をしっかりしているのでダウンパックなしという商品も一部にはあるようだが。

ただ、これまでの経験でいうなら、わざわざ「ダウンパックなし」をメリットとして表示したブランドはあまり知らない。あまりどころか実際には一つもしらない。
「ダウンパックなし」とわざわざ表示しなかったのは、2つの理由があると思う。

1、一般消費者がダウンパックなるものをあまり知らない
2、「ダウンパックなし」を表示すると「安物」という悪い印象を与える

ではないだろうか。
もしかしたら他にも理由があるかもしれないが、その場合はご指摘いただきたい。

今回、ユニクロはあえて「ダウンパックなし」をメリットとして表示している。
先のような文言でまとめるなら、ダウンパックなしが非常にプラス要素に思える。これはユニクロの販促チームの手腕といえるだろう。
ユニクロは昨年10月にウルトラライトダウンにダウンパックがないというリリースを自社のHPで発表している。
http://www.uniqlo.com/jp/corp/pressrelease/2010/10/100614_outer.html

これによると、

生地に熱と圧力を掛けることで、糸と糸の間の目がつまり、羽毛が抜けにくくなりました。この特別な加工により、ダウンパックを使用する必要がなくなり、ダウンパック分の重量を軽くすることができました。

とのことである。
新しい技術を開発したので、「理論上」ダウンパックは不要になったというわけだ。

このようにユニクロは、他のアイテムや取り組みにおいてもリリースの書き方や販促コピーで、元来マイナス要素と受け取られかねない事象を、うまくプラスっぽく転換している。

個人的には絶対買わないけど上手いネーミングだなあと思うのが「ネオレザー」である。
ネオレザーとははっきり言ってしまえば、ポリウレタンの合皮である。
合皮=合成皮革という素材名の持つチープ感はただごとではない。
「ゴウセイヒカク」と声に出して発音してもチープ感が漂ってくる。

素材名としては、どちらかといえばマイナスイメージが強いといえる。
これを「ネオレザー」と言い換えることによってプラスイメージに転換している。
ネオ(ドイツ語で新しい)レザーとくれば、「何だかカッコよさげだし、新開発素材みたい」という印象を受ける。
実際は新しくもなんともない、普通の合成皮革であるとしても。

おそらく繊維業界人は最初に、「ネオレザー」と聞いたとき冷笑したはずである。
「ネオレザーって大層な名前付けてるけど、実際はゴウセイヒカクですやん」という風に。
自分もそうであったし、今でもそう思っている。

ユニクロをすごいなあと思うのは、いくら冷笑しても「ネオレザー」という表記を止めなかったことである。
発売からもう3年以上が経過していると思うが、今ではすっかり「はいはい。ネオレザーね」という感じで、多くの人が受け入れている。

コピーライトの巧みさと、冷笑されても恥ずかしげもなく言い続けるというユニクロの姿勢は、他企業の販促担当者が大いに見習うべき点ではないかと思う。

スーパークールビズのデメリットに目から鱗が落ちる

 今まで、快適性や効率面からスーパークールビズの推進について賛同するブログを書いてきたが、先日、東洋経済オンラインにブランド側が抱えるスーパークールビズの問題点をまとめた記事が掲載された。
恥ずかしながら、自分の中でこの観点は抜け落ちていた部分であり、目からウロコが落ちる思いだった。

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(はるやま商事のSAVE BIZのイラストより)

紳士服店には両刃の剣 スーパークールビズ旋風
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/d8ba0d4f16f3b45833cd949fa6b43c24/

本文は長文なので、件の個所を抜粋引用したい。

環境省が提唱したスーパークールビズ期間は、5月から10月末まで。開始月と終了月をそれぞれひと月分延ばした。毎年スーツ販売が通常の水準に戻る10月も含まれており、秋のスーツ販売にも影を落としそうだ。さらに来年以降も電力不足が続き、こうした動きが通年化した場合、結果的にスーツが着用される期間は短くなる。

 一般的にスーツは、汗などで濡れた状態での摩擦に弱い。スーパークールビズの浸透でスーツを着る機会が減り、摩耗が抑制されると、当然ながら買い替え頻度も低下。年間の販売量に影響を与える可能性も考えられよう。

 スーパークールビズ商品とスーツとの単価の差が大きいことも課題だ。中心価格帯が3万~4万円台のスーツに対し、シャツは1枚3000~4000円程度。シャツやスラックスなどでスーツと同じ利益の絶対額を稼ぐには、「何倍も売らなければならない」(大手紳士服専門店)。

 確かに目先では、売り上げ増に貢献しているスーパークールビズ。が、事は日本人の生活習慣にも絡むため、業界にとって追い風となるか逆風となるか、予断を許さない。「スーパークールビズ元年」は、紳士服専門店の存在意義を改めて問うている。

とのことである。

現在、紳士服売り場はスーパークールビズが商況を牽引しており、
例年よりも好調に推移している。これは、青山やアオキだけではなく百貨店も同じである。
しかし、上に引用したように、秋以降のスーツの販売数は一転して減る可能性が高い。

さらに来年以降も電力供給は回復しない可能性が高く、スーパークールビズの流れは、最低でも何年間か続く。
そうなると、年間のスーツ販売数量は間違いなく減る。
記事でも述べられているが、いくらスーツが値崩れしているとはいえ、通常3万~4万円が中心価格であり、シャツやポロシャツはせいぜいが数千円だ。スーツと比べると圧倒的に安い。
これでは、シャツやポロシャツの販売枚数が伸びても、紳士服店の売上高は下がることとなる。

そして、手持ちのスーツの着用回数が減ることで、スーツの傷みも軽減され、買い替え需要も減ることになる。

さて、この対策であるが、容易に考えが浮かばない。

一つは、ビジネスも年間軽装化すると考えて、カジュアルアイテムを強化することが良いのではないか。
青山商事はすでに「ザ・スーツカンパニー」で売り場の半分くらいをカジュアル単品アイテム化している。
またAOKIも「ORIHICA(オリヒカ)」というスーツ&カジュアルショップを展開している。
この2社は既存路線の拡大で、対応できるのではないだろうか。

はるやま商事は「PSFA(パーフェクトスーツファクトリー)」、コナカは「スーツセレクト」というツープライススーツショップを展開しているが、正直に言えば、カジュアルアイテムが弱い。スーツ需要が減れば苦戦を強いられるであろう。

スーツの買い替え需要減少に対応する措置として、「傷みやすい」生地を使ってみてはどうか?
「傷みやすい」というと語弊があるが、決して粗悪品を使うのではなく、逆に高級素材を今以上に採用するのである。
以前にも書いたことがあるが、スーツ用の毛織物素材は、高級になればなるほど細番手のウールで織られており、薄く柔らかいが、耐久性がない。
「スーパー100」とか「スーパー120」、「スーパー150」という超細番手のウールで織られた生地は高級だが、弱い。ちなみに「スーパー○○」という上の素材は、数字が大きければ大きいほど細い糸が使われており、手触りは滑らかになるが、その分耐久性がなくなる。

ツープライススーツショップで販売しているスーツの29800円以上の商品のすべてを超細番手ウール素材に切り替える。そうすれば、着用回数が減っても摩耗しやすく、すぐに買い替えが必要となる。
また消費者へも「高級素材使用」を大々的にアピールしやすくなる。

安値で高級素材使用の商品が手に入るので、消費者にとっても悪くない話だと思うのだが。

第二期ブログ奨学生募集 

 今回は、繊維業界ともアパレルとも関係のない日記のようなブログを。

いつもお世話になっているライブドアさんが、第二期ブログ奨学生の募集を開始した。
昨年9月に合格してから、変わったことと言えば、あまりないのだが、PV数は大きく増えた。
月曜日から金曜日までの週5日間更新しているのだが、
正直ネタに困ることも多々ある。

頭の中をほじくり返してウダウダしていると、何となくネタが浮かんできて、
ブログが書けてしまったという際どい日も多かった。

「今日○○食った」とか「今日は○○さんと呑みに行った」というような
グルメ日記は書かないようにしようと心がけている。
心がけていることはこれくらいかも。

でも、合格したのは一つのチャンスをいただいたと思って日々感謝。

こちらが応募の詳細。

http://scholarship.livedoor.com/

http://corp.livedoor.com/press/2011/0719561

もう一回応募できないのは何とも残念 (>_<) 明日は海賊戦隊ゴーカイジャーと仮面ライダー000を見るので、早寝せねば。

謎多き格安オーガニックコットン製品

 個人的によく分からないのがオーガニックコットンである。
化学肥料を使わず、無農薬で育てた綿花のことを指すくらいはわかる。
綿花というものはエコに見えるが、元来、栽培過程で化学肥料や農薬を大量に使用するため、かなり土壌を汚染してしまうものらしい。
そこで、オーガニックコットンという取り組みが注目を集めたといえる。

オーガニックコットンって何が良いのか?ということになると人によって千差万別である。
一般には「無農薬で育てられたからアトピーにも効果がある」と言われることが多いのだが、「通常の綿でも残留農薬などはほとんどないから、あまり変わらないですよ」とおっしゃる専門家もいらっしゃる。
また、「オーガニックコットンです」と言いながらも、色とりどりの染料で染めてしまった結果、通常の綿となんら変わらない素材になり果てていることも数多くある。なぜなら、草木染めなどの場合を除いて、一般の染料には化学物質が多く含まれているためである。

さらに、オーガニックコットン製品を合成洗剤で洗濯すれば、それはもはや通常の綿製品となんら変わらなくなってしまうという事実もある。

このように見てくると、オーガニックコットンという製品自体にはそれほど、「効能」や「機能」があるわけではなく、それよりも「土壌汚染を食い止めていますよ」という生産体制に対する支持であると言える。
ただ、日本人の悲しい性で、何かしらの「効能」や「機能」がないと支持しづらいと感じる人が多いのも事実であり、自分もその一人なのだが。

ちなみにオーガニックコットン製品のほとんどが、ベージュや薄茶色などナチュラル色であるのは、以上のような理由がある。一方、「オーガニックコットン使用」と書いていながら、鮮やかな色彩に染められている製品も最近は見かける。これはオーガニックコットンを通常の綿花のように扱った製品と言えるだろう。

化学肥料を使わず無農薬で綿花を栽培するというやり方は、非効率的なので高コスト化するため、オーガニックコットン製品は価格が必然的に高くなる。これは当然だろう。

冒頭で書いた「分からない」というのは、
最近、格安の「オーガニックコットン」製品が出回っていることである。
たとえば「無印良品」では「オーガニックコットン100%使用」と書かれたTシャツやシャツが1990円とか2980円とかで販売されている。いったいどのようにして価格をそこまで抑えているのだろうか?
まったく構造がわからない。

その辺りの事情にお詳しい方がいらっしゃるなら、ぜひともお教えいただきたい。

最近は「オーガニックコットン」という表示が、一種の「販促ツール」化しているのではないかとも思える。綿花には各産地によって様々な種類がある。スビン綿とか海島綿とかギザなどなど。
それぞれ産地によって、繊維長が長い物や短い物がある。繊維長が長いと滑らかでつややかな生地になるし、短い物はごつごつとした表面感になる。
これは誰にでも分かりやすい特色といえる。
しかし、「オーガニックコットン」製品にはそのような特徴はない。
「土壌汚染しない栽培方法で作っていますよ」という栽培方法に共感する人々が「値段は高いけど買う」という社会貢献活動だったはずである。
しかし、格安製品にオーガニックコットン表示をすることは、単なる「販促ツール」であるような気がしてならない。
いわば吸水速乾素材の「クールマックス」と同じ扱いではないだろうか。

まだまだ謎が深いぞ。オーガニックコットン。

ジーンズ生産数量が減り続ける理由

 昨日、日本ジーンズ協議会から2010年度のジーンズ生産統計が発表された。
例年だと秋以降の発表になるので、今回は予想外に早い。

ボトムス合計数量は4591万本で、
2009年の5063万本よりも約500万本減産している。

内訳をみると、
ブルージーンズが2425万本
カラージーンズが1564万本
ショートパンツ・スカートが602万本
で合計4591万本となる。

http://www.apparel-mag.com/pdf/papers/p005_jeanstokei_2010.pdf

先日もこのブログで書いたように、
ボトムス合計の生産数量は2006年から比べても2000万本以上減産している。

http://blog.livedoor.jp/minamimitsu00/archives/2873264.html

ボトムス合計で生産量が最も多かったのが、1998年の7614万本である。
またブルージーンズだけの生産量が最も多かったのは、 2005年の4945万本である。

1998年のボトムス合計が多いのは、この当時カラーストレッチパンツブームだったことから、カラージーンズの生産数量が増えたためで、カラージーンズブームは2000年まで続く。

またブルージーンズの生産量がピークとなる2005年はプレミアムジーンズブームで、レディースの生産本数がズバ抜けて多い。ちなみに2005年のレディースブルージーンズの生産数量は3010万本であり、メンズの1708万本の約1・5倍の数量を生産している。

そして大きく生産数量が減るのが2008年であり、その理由は、プレミアムジーンズブームが終了したことに加えて、ジーンズのOEM/ODM生産が主流となり、ジーンズ協議会非加盟企業が多数ジーンズを扱いだしたことによる。

以前にも書いたが、日本ジーンズ協議会に加盟しているジーンズ専業アパレルは、10社ほどであり、ユニクロ、しまむら、ハニーズ、ポイント、無印良品、ウィゴーなど低価格ゾーンを大量生産販売しているSPA企業の生産数は、毎年の生産統計に反映されていない。
また専業アパレルでもボブソン、ブルーウェイ、ドミンゴも非加盟であり、ジーンズカジュアルブランドとして確立した感のあるジョンブルも加盟していない。
もちろんエヴィスや東洋エンタープライズ「シュガーケーン」、ウェアハウスなどビンテージ系のブランドも加盟していない。
さらに量販店向け大手ジーンズメーカーであるカイタックインターナショナル、コイズミクロージングも加盟していない。

おそらく、これら非加盟企業のボトムス全体の生産数量は4000万本以上に上ると推定される。

来年後半に発表される2011年ジーンズ生産統計では、生産数量はさらに減少し、非加盟企業の推定生産本数がさらに増えると考えられる。おそらく2011年度統計では加盟企業と非加盟企業の生産数量は逆転するのではないだろうか。

以上から、ジーンズ生産数量が減少している理由は、

ジーンズブームが去ったから
日本ジーンズ協議会の非加盟企業が力を持ち始めてきたから

という二点に集約される。
正直申し上げて、すでに「日本ジーンズ協議会」という枠組みそのものが現状に即していないのではないかと思う。
日本ジーンズ協議会が現状に即した組織となるためには、先述したユニクロを筆頭とするSPA企業や、ビンテージ系のブランドなどを加盟させる必要があるのだが、果たしてそれを古参の加盟企業が認可するかどうか。

秋物からの値上げを撤回したハニーズ

 以前、今秋物から衣料品の価格が少し上がる方向にあると書いたことがある。
しかし、今夏のセールを見ていると、安値競争も極致にあるように思える。
例えば、期間限定出店とはいえ、心斎橋ビッグステップ1階にパルグループのアウトレット店がオープンした。
そこでは当初、3枚3000円で昨年春夏物が販売されたが、6月下旬からは3枚1990円とさらに値下げされた。

またユニクロではアニメや芸能グループとコラボレーションした半袖Tシャツが次々と値下げされて、最終的には1枚500円で販売されているし、無印良品でも1990円の50%オフとか、店舗によって異なるが、春物70%オフなどの商品が溢れている。

こういう状況に消費者が慣れきってしまっているところに、秋物からの値上げは受け入れられるのかどうか、かなり疑問を感じる。

7月7日の繊研新聞に「ハニーズ 価格は上げられず1980円商品再強化」という記事が掲載された。
今年3月にハニーズは「原材料高騰のため、秋物から主体だった1980円の価格帯を2480円にシフトしていく」と公表した。しかし、その後の既存店大幅客数減から一転して「1980円価格帯を維持する」ことを決めたという。

たしかに、月次売り上げ発表でもハニーズは、苦戦を続けており、既存店売上高・既存店客数ともに大幅に減っている。一方、同じカジュアルチェーン店でもあまり売上高や客数が減っていない企業もあり、ハニーズは明らかに苦戦組に入っている。
今回の「1980円維持」の決断もやむなしというところだろう。

ただ、逆説的に考えてみると、
1980円を2480円に値上げしたからと言って、客数がさらに何割も減るだろうか?
ハニーズは、今現在1980円を維持しているにも関わらず客数が20%近く減っているのである。その価格を秋以降維持したからと言って、客数が増えるのだろうか?良くて現状維持ではないか。

現在、日本の衣料品販売価格は世界一安いと思う。
その割に物性品質は高い。同じ価格帯ならH&Mやフォーエバー21などは日本ブランドの足元にも及ばない。
安値競争に警鐘を鳴らす際に「値段を下げたからといって、売れる枚数が2倍に増えるわけではない」という言い方をされることがある。
たしかにその通りで、ユニクロが1500円のTシャツを500円に見切り値下げして、そのTシャツを3枚買う人がいるだろうか?おそらくほとんどいない。たいがいの人は1枚か2枚しか買わない。ところがこのTシャツは2枚販売しても1000円で、定価よりも500円安い。
500円Tシャツは4枚まとめ買いするお客が増えて、初めて「値下げによる販促効果が表れた」といえる。

となると、ハニーズが500円値上げしたことによって、
客数が今よりも何割も減るとは思えないし、販売枚数が大きく下がるとは思えない。
むしろ、価格以外の「何か」を訴求したり、仕掛けたりして2480円でも今と同等の客数を維持することを考える方が効果的ではないか。
その「仕掛け」とは、年初に放送されたような意味不明なテレビCMではないことを蛇足ながら付け加えておきたい。

以前、某団体の役員が「マスコミが衣料品値上げキャンペーンを張るべきだ」と主張されたことがあるが、
マスコミがキャンペーンを張るのではなく、衣料品業界が一丸となって値上げキャンペーンを展開するべきなのである。そうでなければ、衣料品の価格は永遠に上がらないだろう。

製造業のディスプレイ下手

 国内の大型展示会と言えば、東京ギフトショーや今週始まるIFF(インターナショナルファッションフェア)がある。
IFFよりも、東京ギフトショーの方が、大がかりな造作のブースが多い。
ジャングルみたいに植物を植え込んだものや、アドバルーンを上げたものなどさまざまである。

展示会の出展ブースは派手な飾りつけを行えば行うほど、費用は高くなるので、派手に飾りつけているブースに対して「もったいない。金の無駄やで」と揶揄する方々も多くいらっしゃる。
一方、シンプルすぎる出展ブースも多々ある。
ハンガーに衣服をチョロッとかけただけとか、棚に一列陳列しただけとかで、まことに味気ない。
よく言えば「質実剛健」とか「剛毅木訥」なのかもしれないのだが。

さて、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)という概念がある。
VMDに関しては大家が多くいらっしゃるので門外漢が多くを語ることは避けようと思う。というか積極的に避けたい!

下記のHPにVMDの基本概念がわかりやすく書かれており、参考にさせていただいた。

http://www.f-biz.net/kiso01/kisotisiki004.html

ここに消費者が購入を決める際の心の変遷に順番が書かれているので引用させていただく。

①Attention(注意):「あっ、何かしら、気になるわ。」

  4~8mの距離なので、が決め手になる。

②Interest(関心):「まあ、ステキ!ちょっと覗いてみよう。」

  2~4mの距離なので、デザインが決め手になる。

③Desire(欲求):「コレいいな、欲しいな。」

  1~2mの距離なので、素材感が決め手になる。

④Memory(記憶):「どんな服と合うかしら、でも、ちょっと他の店も見てみようかな。」

  45㎝~1mの距離なので、着まわし感が決め手になる

⑤Action(行動):「やっぱりコレにしよう!コレください!」

  45㎝以下の距離なので、着心地感が決め手になる

という順番になり、遠くからの認知は一番最初は色である。ここには柄も付け足して良いのではないかと思う。
色柄で認知して、さらに近付いて衣服のデザインを知覚する。
その後、さらに近づいて素材感(織り、編み、表面感などなど)を知覚する。
着まわし感というのは、頭の中で「手持ちのあれとあれをコレに組み合わせて~」と考えることであろう。
最後の着心地は、試着してみないとわからない。45センチ以下というよりは、試着して密着した距離であると考えた方が良いだろう。

こう考えてみると、展示会のブース作りも同じで、
まず最初に遠くからでも分かるような色柄や目立った造作が必要となるといえる。

ところが、多くの国内企業は
「うちの商品は触ってもらえればわかる」というスタンスを採っており、
これでは、なかなかお客を集めることは難しい。
なぜなら素材感がわかるためには、1~2メートルにまで近づいてもらう必要があるからだ。
言ってみれば、先の5条件のうちの③番からいきなり始めているようなものである。

これは海外展示会の出展にも通じることであり、シナジープランニングの坂口昌章さんによると
「海外展示会こそ、ブースの造作も含めた遠目からでも分かる演出が必要となるが、国内企業の多くは、ディスプレイをないがしろにし過ぎている」
とのことである。

普段交流させていただいている国内生地製造企業は、フランスのプルミエールヴィジョン(PV)や香港や上海の海外展示会にも出展されるケースが多い。
果たしてブースのディスプレイにも気を配っておられるだろうか?
生地を触ってもらうためにはブース全体の飾りつけも大いに影響する要素であるし、
また、自慢の生地にしても白無地や黒無地ばかりでは、触ってもらうには至らないことも指摘したい。
売り物である生地もやはり、最初に遠目から認知されるのは「色柄」である。
いかに、目を引く特徴的な色柄の生地を開発できるかという点も、展示会で成果を得るためには重要である。

国内企業が、海外の大型展示会で勝ち抜くためには、色柄提案やブース全体のディスプレイからの改善が必要といえる。

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