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大丸梅田店にポケモンセンターがオープン

 11月26日、大丸梅田店に国内最大規模のポケモンセンターがオープンした。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101126/biz1011261100005-n1.htm

記事によると、26日は平日にも関わらず、早朝から約200人の行列ができたという。

この記事を読んで、わけのわからんラグジュアリーな衣料ブランドを導入するよりも集客にはポケモンセンターの方がよほど効率的だと考えた。なかなかに良い手だと思う。

苦戦を続ける百貨店が続々とリニューアルを行っている。
ユニクロ、フォーエバー21、ヤマダ電機など低価格衣料品やファストファッション、家電量販店などをテナント導入している。これに対して旧世代の流通コンサルタント諸氏からは「あんな低価格品を導入するのは百貨店の品位を下げる」と猛反発の意見が聞こえる。

大丸百貨店は、これまでから従来型の百貨店にこだわらないテナントを導入してきた。大丸梅田店には、はるやまの2プライススーツショップ「パーフェクトスーツファクトリー(PSFA)」を、心斎橋北館にはファッションビル的ブランドをそろえたフロア「うふふガールズ」を誘致した。
今回のポケモンセンターも実に大丸らしい有効な取り組みだと思う。

百貨店が苦戦を続ける原因は、旧世代のコンサルタントの甘言に乗っかって、ラグジュアリーな女性衣料品ブランドに特化したためだと考えている。高度経済成長やバブル時代ならいざ知らず、世の女性がそれほど多数のラグジュアリー衣料品を求めているはずがない。また、都心駅前の百貨店の店舗数も多すぎる。売上が低下するのも当然である。

例えば大阪の梅田で考えてみると、
ラグジュアリーなファッション衣料は阪急百貨店で十分であり、大丸梅田店が追随してもそれは二番煎じであり、まったく意味がない。阪神百貨店は食料品が強いが、ファッション衣料を追いかける必要はない。だって追いかけても負けちゃうから。
来年春には伊勢丹ができるが、本店以外の地方店のオペレーションが下手くそな伊勢丹がどのような店作りになるのかに注目したい。

梅田の4店舗中、ラグジュアリーファッションは阪急1店舗で十分だと思う。食料品に特化した阪神、ポケモンセンターとPSFAを導入した大丸の住み分けはすごく良いアイデアである。伊勢丹がどういう店作りになるのかしらないが、4店舗すべてが高級ファッションブランドを重点的に扱うと、おそらく閉店せざるを得ない店舗が出てくるだろう。

海外の事例はあまり知らないが、
百貨店という業態が残っているのは米国に少しある程度で、ヨーロッパ諸国にはほとんどない。反対に韓国は百貨店天国でショッピングセンターがない。中国は百貨店、ファッションビルが乱立していると言われている。先進国中で日本は百貨店の数が多すぎる。

こんな状況下で、百貨店に「品格あるラグジュアリーなファッションブランドの導入」を提言するコンサルタントはいかがなものかと思う。まったく現実が見えておらず高度経済成長のノスタルジーに浸りきっているといえる。
百貨店はさらに淘汰されて減るべきだし、淘汰されたくないのなら、高級女性ファッション衣料一辺倒のテナント誘致を止めるべきである。

西友の同級生は今頃どうしているのかな?

 今月上旬に、西友のTOBに絡んで、元社外取締役の株式インサイダー取引疑惑が新聞報道された。
その報道を読んで最初に思ったのが「社員の給料安いのにインサイダーで儲けてるやつおるねんなあ」ということである。

西友には学生時代の同級生がいる。この3~4年は会っていないので今でも在籍しているかどうかはわからない。この同級生は、店舗配属経験もあり、本部勤務経験もある。
西友が事実上経営破綻して、ウォルマートの完全傘下企業になってからは、もともとそれほど給料が高くなかったのに、さらに厳しい給料体系になったらしい。
当時の同級生氏の給料は、大卒初任給とあまり変わらない水準で極限までコスト削減を強制されていたという。

そんな話を耳にしていたので、社外取締役のインサイダー疑惑については反発しか覚えなかった。

ところでこのインサイダーでひと儲けしたと言われている社外取締役はだれかな?と思っていたら先日、こんなブログを発見した。

「社外取締役」と「TOB」が西友インサイダー事件の核心/伊藤 博敏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101111-00000001-gendaibiz-bus_all

伊藤氏のブログを引用させていただくとと、その社外取締役は

『読売新聞』(11月5日付夕刊)は、72歳と年齢をつけて報じ、自動的に正体は割れた。ファッション業界ではその名を知られた女性で、男女雇用機会均等法のはるか前に大企業に入社、男性と張り合って仕事をし、関連会社役員を経て、現在、化粧品会社の役員を務める傍ら、ファッション関連の財団法人が運営する学校の名誉学長を務めている。

 米国に留学、ハーバードビジネススクールを卒業、海外にも知己は多く、経済産業省や文部科学省の審議会委員といった公職にも多数、就いており、まさに「女性管理職」「女性経営者」の草分け的存在。ファッション界という華やかさもあって、憧れを持つ女性は少なくない。

 本人は否定しているというが、TOBの直前、家族が西友株を購入、TOB発表後に売却して約1000万円程度の利益を得たというのだから疑惑は濃い。公表直前に87円だった終値は、公表翌日には117円となった。まさに”濡れ手に粟”である。

とのことである。

この取締役の正体は、自分にはピンとこなかったが、ファッション業界に従事する方ならほとんどが誰だかわかるらしい。
わからなかったので、ググるとすぐにわかった。2007年当時に西友の社外取締役で1938年生まれ女性は一人しかいない。
しかし、その名前を見てもピンと来ない自分は、ファッション業界に住まう人間ではないということを痛感した次第だ。

問題は、読売新聞がここまでの個人情報を掲載しているということである。もちろん一般紙の報道姿勢がすべて正しいとは言わないが、ほぼ容疑が固まったということではないのだろうか。もしくは、読売新聞的にはほぼ「クロ」だと断言していると思う。

一見すると華やかに見えるファッション業界だが、その下層にはドロドロの沈殿物が滞留している。華やかに見えるのは上澄み液だけであり、近年はその上澄み液ですら魅力がなくなりつつある。この72歳女性の疑惑も滞留する沈殿物の一かけらに過ぎないのではないだろうか。

口では残念と言いながら?

 日本繊維新聞が経営破綻してからもうすぐ1カ月になろうとしている。
この間、日本繊維新聞の破綻についてブログや紙面で言及された方があまりにも少なすぎ、首を傾げるばかりである。
知る範囲ではシナジープランニングの坂口昌章さんと、イッセイミヤケ前社長の太田伸之さんのお二方しかいない。ツイッター上ではもう少し多くの方の意見も目にしたのだが。

太田伸之さんのブログ
http://plaza.rakuten.co.jp/tribeca512/diary/201011120000/

太田さんは、日本繊維新聞の倒産を非常に残念がっておられ、繊研新聞1紙体制になることを危惧しておられる。(実は繊維ニュースも健在なのだが、忘れ去られている)
おっしゃることはその通りなのだが、ここで疑問もある。
太田さんにというよりも「日本繊維新聞破綻は残念」というコメントを出された繊維・アパレル企業に対してである。

残念と思われるのであれば、なぜ今まで日本繊維新聞の購読や広告出稿を止めてこられたのか。と思う。
購読部数が減り、広告出稿量が減れば早晩新聞は破綻する。新聞に限らず現行のビジネスモデルの出版業はもれなく破綻する。

もちろん、購読する価値も広告出稿する価値もないと、その媒体について判断されたのだろう。それなら「残念ですね」というようなコメントを出すのはいかがなものかと思う。
だってちっとも「残念」と思ってないことが丸わかりだからだ。
「紙面がなくなることは残念ですが、これも時代の流れでしょう」程度のコメントが一番しっくりくる。

ちょっと話が飛躍するが、
百貨店の閉館、遊園地の閉園にも同じことが言える。
「地元の駅前シンボルだった百貨店がなくなるのはさみしいです」「子供のころ行った遊園地が閉園するのはかなしいです」というコメントがよくテレビや新聞で報道されるが、そこまで愛着があるなら何故もっと頻繁に通ってあげなかったのかと思う。
結局、口では「さみしいです」と言いながらも本人たちはそれらの施設にまったく興味を持っていなかったのだろう。

「ああ、ついに」という感慨や郷愁はあっても「さみしいです、残念です」というような偽善的なコメントはもう止めにしないか。

ジーンズの重さの話し

 ジーンズの生地の厚さは通常、オンスという単位で表す。
このオンスというのはもともと重さの単位で、おそらく、ボクシングのグローブと同じだと思う。ボクシングのグローブも8オンスとか16オンスとかのランクがあり、数字が大きくなるほど重くなる。
ジーンズも同じで、数字が大きいほど重くて分厚い生地、数字が小さいほど薄くて軽い生地になる。

通常、ベーシックなジーンズは13・5オンスか14オンスとされているが、最近のジーンズは少しずつ生地が薄くなっており12~13オンスくらいが主流になっているように思える。夏場のライトオンスデニムはだいたい8~10オンスくらいである。
生地が薄くなった理由の1つには、軽さや柔らかさが好まれるようになったということが挙げられると思う。

先日、某ジーンズブランドの社長にお話を伺った。児島出身でこの道20年以上のベテランである。
この社長がおっしゃるには「中国で綿糸を買うとき、値段は重さで決まる。コスト削減のため、14オンス向けの太くて重い綿糸を使用せず、少し細くて軽い綿糸を使用しているのではないか」という。
日本の紡績では、細くてフラットな綿糸が値段が高く、太くて節がたくさんあるような綿糸は安い。そのため、ジーンズ向けの太くて節がたくさんあるような綿糸は、それほど高くなく、厚地のデニムも薄地のデニムもあまり値段が変わらないという。
薄手のジーンズが増えたのはこういう背景もあるのではないだろうか。

フック(大阪市)という会社が、流行とは反対の激重ジーンズシリーズを発売している。18オンス、23オンス、29オンスとバリエーションがある。29オンスを持たせていただいたが通常の14オンスの2倍以上の重量があり、かなり重くて固い。しかし、コアでマニアなファンがいるらしく限定1000本は完売したという。
重くて固くて穿きにくいが、風を遮断するため、保温性が高い。バイクに乗るときや真冬の着用は適している。

こういうニッチな商品も市場には登場している。

11月度売上速報 ジーンズメイトの苦戦が目立つ

 11月度売り上げ速報が発表された。

ライトオンの既存店売上高は前年比2・4%減
既存店客数は同4・7%減
既存店客単価は同2・3%増

とほぼ前年並みにだった。
同社の発表によると10月後半は活発に動いたものの、その後伸び悩んだという。

ジーンズメイトの既存店売上高は前年比17・2%減
既存店客数は同14・4%減
既存店客単価は同4・0%減

に終わった。
同社の発表によると防寒物のアウターが不振だったという。
今月頭からのダウンジャケットフェアは不振だったのだろうか?

ファッションセンターしまむらの既存店売上高は前年比3・2%増
同グループのアベイルの既存店売上高は前年比3・8%増

と微増し好調だった。

なお、これら企業は10月21日~11月20日の期間の売り上げであり、しまむらは既存店客数と既存店客単価を発表していない。

この3社を比較するとジーンズメイトだけが大きく売上高を落としている。ライトオンは微減、しまむらグループは微増である。とくにライトオンは、10月度売り上げ速報では、気温が冷え込んだ10月後半分をカウントできていなかったため約15%減だったが、今月はその後半分をカウントできて微減にまで回復している。
ジーンズメイトもライトオンと同じ条件だったにも関わらず、売り上げは回復できなかった。とくに10月後半の冷え込みがありながら防寒アウターが苦戦したと言うのは、なにか根本的な問題があるのではないだろうか?

今年末で文具券が廃止に。未使用券が42億円

 ギフト業界の業界雑誌に「月刊セレクト」という雑誌がある。
11月発売の12月号に興味深い記事があったので紹介したい。

全国共通文具券が今年10月末日で販売を終了。加盟店での使用も12月31日で終わる。来年1月1日以降は使用できなくなる。
記事によると、日本文具新興は「流通している文具券のうち約42億円が未使用券だと思われる」と分析している。

また記事では、12月31日までは、文具券の換金にも応じるという。例えば、500円の文具券を日本文具新興に送付すれば500円に換金できる。
まず考えにくいことだが、この42億円が一度に換金請求が来たら大変なことになる。おそらく同社には42億円分の支払い能力はないと思われる。記事中では同社担当者も「ゾっとする」との感想を漏らしている。

この文具券、最盛期には18億円の売り上げがあったが、近年は6億円程度に落ち込んでいたという。今年3月には音楽ギフトカードが廃止になっている。うろ覚えだが、数年前にはビール券も製造が縮小されたか、取り扱い店舗が減ったかというニュースがあったと思う。
この手の「○○券」でそれなりに知名度があり、現在も一定量の需要があるのは図書カード(旧 図書券)くらいではないだろうか。

もう10年以上前になるが「ぶん、ぶん、文具券~♪」というフレーズを使ったテレビCMも流れていたと思うが、記憶に残っている人はあまり多くいないようだ。

まだお手元に文具券をお持ちの方は年末までに使用か換金をお勧めしたい。

ホームセンターに「KITSON」のバッグが売っている。

 大阪にはJR難波駅という駅がある。
となりにスーパーのライフとホームセンターダイキが入店しているビルがある。
このホームセンター、ダイキに「KITSON」の布製トートバッグが2000円くらいで販売されている。

通常、ホームセンターあたりで販売されるようになるとそのブランドはおしまいである。ブランドとして存在していてもステイタス製は失われる。

もともとが「KITSON」のバッグは、形状がシンプルでデカいロゴが入っているだけのものであるから、それほどデザイン性が優れているわけではない。わざわざ原宿に出向かずともJR難波の隣のビルで、しかも割安な値段で購入できる。

ツイッターで教えていただいたのだが、ビックカメラでも購入できる店舗があるようだ。ビックカメラ難波店にあるかどうかはリサーチしていないのでなんとも言えないが。

KITSONの乱売ぶりを見るにつけ、ぼちぼち欧米ファストブランドは終わりを迎えつつあると感じている。

肌着メーカー、アズのステテコドットコム

 先日の保温肌着の件で、ありがたいことに以下のようなコメントをいただいた。

  • アズのサーモアジャスト、サーモキッスも他社と同様で綿と変わらないのかなと思ってしまったのですが、リストには無いのでどうだったのかちょっと興味があります。
    時間軸としては発熱繊維自体は昔からあってスポーツショップ向きには一着5000円前後で商品化はされていましたが、アズがあのオレンジの繊維に安価に着色し量産することに成功して販売。
    その1年後にヒートテックが開発されたはずですけど、あまりアズの事は取り上げられないようです。

    http://www.ascorp.co.jp/recruit/hit/hit01.html

  • とのことである。
    あの号ではアズの製品は比較物に入っていなかったのと、自分にそれに対する知識がないので、なんとも言えないのだが、アクリル混紡であればある程度は同じ結果になったのではないかという私見を持っている。

    「繊維ニュース」在籍時代にジーンズ以外にも様々なジャンルを担当兼務していたのだが、スポーツアパレルとメンズ肌着メーカーだけは担当したことがない。
    グンゼを筆頭に、アングル、ロイネ、アズ、オグランなどというメーカーがあったが、レディース肌着部門のあるグンゼとアングル以外はあまり接点がなかった。このうち、アングルは倒産して御幸毛織に買われてアングルミユキとして復活した。

    コメント氏がおっしゃるようにこの保温肌着分野で、安価品の先鞭を付けたはずのアズはあまり採り上げられなかった。
    代わりにというのもおかしな話であるが、アズはステテコで昨年夏に大ブレイクを果たした。こちらはどちらかというと夏向けの涼感肌着類である。

    白いステテコは昭和のオッサンの代名詞といえる。素材には綿の強撚のクレープ織りが使われている。このステテコに派手でポップな色柄を施した商品を「ステテコドットコム」として販売を開始したのが、アズである。
    綿のクレープ素材は、滋賀県の高島産地が生産しているのだが、白いステテコの衰退とともに生産量は減少の一途をたどっている。
    今回、アズの発売した色柄ステテコを高島産地では「イロテコ」「ガラテコ」と呼んでいる。
    ちなみに、今年の春夏シーズンには、アーバンリサーチ心斎橋店でも大々的にステテコドットコムの商品が販売されていた。

    これから冷え込む季節には不似合いであるが、アズが大々的に注目されたアイテムということで、ステテコに脱線させていただいた。悪しからず。

    http://www.steteco.com/

    堺市ブランド創造事業の住民訴訟

    今日は趣を変えて、失敗に終わった堺市ブランド創造事業について。

    今年6月に堺市議が、創造事業を推進した木原敬介元市長や事業を受託した業者に対して、4億2000万円の損害賠償を請求するよう求める住民訴訟を起こし、10月に公判が始まった。
    6月時点の産経新聞に掲載されているので、URLを貼り付けておく。

    http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/100630/osk1006300339002-n1.htm

    堺市が平成17~20年度にかけて、「堺市の製品ブランド化を作る」として合計5億4000万円の税金を支出していた。当初は衣食住のすべての分野でのブランド確立を目指して、ニューヨークでレセプションを開いたりしていたが、最終的に「包丁だけ」をアピールすることに決まるという尻すぼみの結末を迎えた。

    数年間の合計とはいえ、5億4000万円もの費用を使い、リサーチとプロモーションした結果が「包丁をアピールすることが有効だとわかった」であるから、なんと無駄な金を使ったものかと呆れてしまう。
    この程度のリサーチであれば、単年度で3000万円も使えば十分な資料が完成したであろう。その木原敬介元市長とその側近は、業者に食い物にされたとしか思えない。

    この事業が問題視され始めたのは昨年の9月。大阪の毎日放送(MBS)が夕方のニュース番組で扱ったためである。
    自分も昨年9月のアパログでもそのMBSの報道に基づいて紹介させていただいている。

    http://apalog.com/minami/archive/45

    この一連のブログを読まれた、堺市議の田中たけよしさんからも、今年10月には地裁の口頭弁論が始まりましたとのお知らせをメールでいただいた。

    常々、書いていることの繰り返しで恐縮だが、行政やそれに準じた「お役所的性質の組織」が主体となってブランド事業やファッションイベントを主催するのは、土台無理な話である。堺市も含めた大阪府内や関西地区にはそんな失敗談の屍がゴロゴロしている。批判を恐れずに言えば、国の経済産業省が推進しているJFW(ジャパンファッションウィーク)やJC(ジャパンクリエーション)などもかなりそれらに近付いているといえる。とくにJCは来年以降の展望がまったく持てていない。(来年以降もやるぞ。という掛け声だけはあるけれど)

    「お役所」が声をかけて有識者ないし有力者を集めて合議制で事業を進めるというやり方では、動き出すまでに時間がかかるし、動き出してからもひたすら中庸を行く。ブランド事業やイベントは中庸では何の魅力もなくなるのに。である。
    私見だが、少数の突出した企業や個人がリーダーシップを取り、お役所がサポートし、それに「賛同した人、企業だけが」ついていくという形が理想ではないだろうか。オール与党体制では何事も進まない。

    今回の堺市の件で、疑問なのが「なぜファッションブランドに取り組もうと思ったのか?」である。現在、堺市を拠点とする繊維企業もアパレル企業もファッションデザイナーもいない。以前には福助が本社を置いていたが。そんな土壌がないのにファッションを掲げたこと自体が馬鹿げた取り組みだったと言える。
    最終的に包丁に落ち着いたが、わざわざ5億4000万円もかけてリサーチせずとも、堺の包丁はもともと有名であった。最初から一番有名な包丁に絞って事業を推進し、徐々に他分野に広げるという手法を採るべきだった。
    根本からの事業プランミスである。

    この住民訴訟がどうなるのか、結果を待ちたい。

    保温肌着あれこれ。フィット感が重要

     肌着メーカーによると、もっとも肌着が活発に動く季節が冬だという。理由は保温肌着である。逆に夏の吸水速乾肌着はそこまでの動きではないようだ。
    しかし、今年夏ユニクロが「サラファイン」という夏向け肌着を発売したので、来年以降は夏肌着の動きがどうなるかはわからない。
    余談だが、サラファインには旭化成のキュプラという素材が使用されている。サラファインが増産出来なかった理由はキュプラの生産が追い付かなかったと言われている。

    さて、保温肌着の代名詞ともなりつつあるユニクロの「ヒートテック」だが、自分はパッチを1枚持っているのだが、それほど暖かいとは感じられない。1枚穿いた分だけの暖かさは実感するが、よく言われるように「汗をかいてしまう」ほどではない。別に普通のパッチでも同じではないかと思う。

     自分がときどき、コメントを発表させていただいたり、ショップレポートをさせていただいているモノ批評雑誌「monoqlo」(晋遊舎)という雑誌がある。古い記録で恐縮だが、この雑誌の今年1月号で、自分の担当ではないのだが各社の保温肌着を比較しているコーナーがある。
    横浜国立大学の藤本弥生准教授(当時)のコメントによると「各社の保温肌着に使用されている多くの素材は、アクリレート系吸湿合繊を原料としており、さほど違いがない。違いは他繊維との混紡率である」という。

    実は大概の繊維には吸湿発熱する性質がある。その温度が高いか低いかだけの違いで綿(コットン)でも実際は水分を吸着し、熱を放出する。吸湿発熱のアクリレート系繊維が開発されるまでは、ウールが保温肌着に使用されていた。
    他繊維とアクリレート系吸湿繊維との棍棒素材の発熱効果自体は、綿やウールと変わらないという実験結果もあるという。


    で、この号ではユニクロを含めて6社の保温肌着が比較されていたが、サーモグラフィーによると6社間で大きな差は出ていない。ただ、体感温度に差が出たのは着用時のフィット感にあった。フィット感が高い方が暖かく感じられる。薄手素材で肌に張り付く製品を「暖かい」と感じるようである。とくに袖口がピタっと貼りついている物の方が暖かいと感じやすい。

    極言すれば、素材自体の発熱効果はヒートテックもヒートファクトもウォームファクトもブレスサーモもウェルサームもヒートファイバーもそれほど変わらないということになる。あとは自分の体型に合ったフィット感の物を選ぶことが重要となる。

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