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南充浩 オフィシャルブログ

堺市ブランド創造事業の住民訴訟

2010年11月17日 未分類 0

今日は趣を変えて、失敗に終わった堺市ブランド創造事業について。

今年6月に堺市議が、創造事業を推進した木原敬介元市長や事業を受託した業者に対して、4億2000万円の損害賠償を請求するよう求める住民訴訟を起こし、10月に公判が始まった。
6月時点の産経新聞に掲載されているので、URLを貼り付けておく。

http://sankei.jp.msn.com/region/kinki/osaka/100630/osk1006300339002-n1.htm

堺市が平成17~20年度にかけて、「堺市の製品ブランド化を作る」として合計5億4000万円の税金を支出していた。当初は衣食住のすべての分野でのブランド確立を目指して、ニューヨークでレセプションを開いたりしていたが、最終的に「包丁だけ」をアピールすることに決まるという尻すぼみの結末を迎えた。

数年間の合計とはいえ、5億4000万円もの費用を使い、リサーチとプロモーションした結果が「包丁をアピールすることが有効だとわかった」であるから、なんと無駄な金を使ったものかと呆れてしまう。
この程度のリサーチであれば、単年度で3000万円も使えば十分な資料が完成したであろう。その木原敬介元市長とその側近は、業者に食い物にされたとしか思えない。

この事業が問題視され始めたのは昨年の9月。大阪の毎日放送(MBS)が夕方のニュース番組で扱ったためである。
自分も昨年9月のアパログでもそのMBSの報道に基づいて紹介させていただいている。

http://apalog.com/minami/archive/45

この一連のブログを読まれた、堺市議の田中たけよしさんからも、今年10月には地裁の口頭弁論が始まりましたとのお知らせをメールでいただいた。

常々、書いていることの繰り返しで恐縮だが、行政やそれに準じた「お役所的性質の組織」が主体となってブランド事業やファッションイベントを主催するのは、土台無理な話である。堺市も含めた大阪府内や関西地区にはそんな失敗談の屍がゴロゴロしている。批判を恐れずに言えば、国の経済産業省が推進しているJFW(ジャパンファッションウィーク)やJC(ジャパンクリエーション)などもかなりそれらに近付いているといえる。とくにJCは来年以降の展望がまったく持てていない。(来年以降もやるぞ。という掛け声だけはあるけれど)

「お役所」が声をかけて有識者ないし有力者を集めて合議制で事業を進めるというやり方では、動き出すまでに時間がかかるし、動き出してからもひたすら中庸を行く。ブランド事業やイベントは中庸では何の魅力もなくなるのに。である。
私見だが、少数の突出した企業や個人がリーダーシップを取り、お役所がサポートし、それに「賛同した人、企業だけが」ついていくという形が理想ではないだろうか。オール与党体制では何事も進まない。

今回の堺市の件で、疑問なのが「なぜファッションブランドに取り組もうと思ったのか?」である。現在、堺市を拠点とする繊維企業もアパレル企業もファッションデザイナーもいない。以前には福助が本社を置いていたが。そんな土壌がないのにファッションを掲げたこと自体が馬鹿げた取り組みだったと言える。
最終的に包丁に落ち着いたが、わざわざ5億4000万円もかけてリサーチせずとも、堺の包丁はもともと有名であった。最初から一番有名な包丁に絞って事業を推進し、徐々に他分野に広げるという手法を採るべきだった。
根本からの事業プランミスである。

この住民訴訟がどうなるのか、結果を待ちたい。

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