月別: 6月 2014 (1ページ / 3ページ)

来店を促す仕掛け作りを工夫せよ

 店の売上高を増やそうと思ったら、とりあえず店に来てもらうほかない。
ネット通販をやっている店もあるが、小規模店の場合ネット通販が爆発的に売上高を増やすとは考えにくい。
そもそもアパレル製品自体がネット通販にそこまで適していないのではないかという部分がある。

試着をしたい
素材の触感を確かめたい

こういう消費者は少なからず存在する。

売上金額でいうと、ユニクロは通販だけで200億円もあるというが、リアル店舗も含めたユニクロの売上高に占める割合は小さいといえる。
ユニクロ単体の売上高は2013年8月期で8300億円ほどだから、2・5%ほどにすぎない。

それはさておき。

リアル店舗への来店者を増やすという狙いにおいて、先日紹介したコージィコーポレーションのように、消費者参加型のイベントを行うという手がある。
ワークショップや体験教室というものである。
これを開催することによって、顧客との関係性が強化されやすい。

ニットキッチン元社長は、ネット通販で買った商品のリアル店舗での受け取りを提案されている。

Buy Online Pick Up in Store
http://ameblo.jp/knitkitchen/entry-11884524151.html

詳しくは原文をお読みいただきたいが、配送が意外に不便な場合もある。
例えば、休日に配送を頼んでいて、それが午前指定にもかかわらず、道路の渋滞などの理由で午後にズレこむことがある。その場合、配送をずっと待っていなくてはならない。

トイレに入っている間や、コンビニにジュースを買いに行っている間に、配送が来てしまい、不在通知が入れられていることもある。その場合は再度配送に時間指定をして待機せねばならない。

そういうことを防ぐために、よく足を運ぶ店で受け取れるようにすると利便性が上がるのではないかというわけだ。

〇〇ブランドの商品をオンライン通販で購入し、会社帰りの通り道にある〇〇ブランド心斎橋店で受け取って帰宅する。

これだと配送を待ち続けるという時間の無駄もなくなる。

店舗に寄ってもらうと、もしかしたらついでに何かほかの商品を買ってもらえる可能性もある。
買ってもらえなくたって、そこで接客をして関係性を深めることもできる。
決して物を売りつけるばかりが接客ではない。

少し前にこんな記事が話題となった。

「一生ビールが飲み放題で10万円!」~飲食店の新しい資金調達方法が凄い(アメリカ)
http://www.huffingtonpost.jp/ichiro-wada/all-you-can-drink_b_5429532.html

筆者の知人の人気ブロガー、和田さんが書いておられる。

以下、要点を抜き出す。

*アメリカミネアポリスの「Northbound Smokehouse & Brewpub」というお店は2年前にオープンした、店内でビール醸造もする本格的なパブ。
*開店のときに、資金があと220,000ドル(約2,200万円)必要だった。投資家に引き受けてもらう手もあったが、投資家が過半の議決権を要求したので諦めた。
*1,000ドルぐらいなら出せるのにという友人の声から、こんな資金提供をお願いすることにした。
*3種類の選択肢
1.1,000ドル 一生ビールが無料
2.1,000ドルの株 (議決権なし) 全株式の0.1%にあたる
3.5,000ドルの株 全株式の0.5%の株とビールが一生無料
*資金は集まった。
1.46人
2.42人 
3.30人

さて、その結果だけど、それは驚くべきものだ。

現在1日あたり17杯の無料のビールを提供しているが、その一杯あたりの経費はわずか40セントにしか過ぎない。

無料のビールを飲みに来てくれたひとは、ビール1杯で帰ることはなく、料理なども注文してくれるし、なにより友達などを連れて来てくれる。

お店は極めて繁盛しており、オーナーは100人のチアリーダーに支えられているようだと感想を述べている。

とのことである。

来店するということはビールだけを飲んで帰ることはまず考えにくい。
最低でも1品や2品はつまむ。
ピーナッツだけかもしれないし、ピーナツとチーズだけかもしれない。
それでも最低でも数百円の売上高はプラスされる。

この仕組みが日本でも通用するかどうかはわからない。
どこかの飲食店が試してみたという噂も耳にしないが、なかなか有効な手段だと思える。

一見すると単に話題集めの奇抜な企画だと思えるが、売上高を増やすとともに顧客との関係性の強化の同時を両立させている。

来店してくれた限りは必ず1品くらいは食べ物をオーダーする。
また自分が10万円払って支援している店だから足しげく通うようになる。
来店した際は必ずVIP待遇が約束されているわけだから、気分が良いし、友人知人にも紹介する。

大手との競争、ネット通販との競争というと、「安売り」しか頭にない業界関係者が大勢いるが、こういう仕掛けづくりによってリアル店舗はまだまだ活路があるといえる。
ワークショップ・体験教室の強化しかり、通販購入商品のリアル店舗受け取りしかり、有料会員募集しかり、である。

物だけ並べていても売れる時代ではない。
だからと言って、単に「SALE」とだけ書いたはがきを頻繁に投入しても意味がない。
消費者は「SALE」とだけ書かれた催事には興味がないのである。
もしそれで客が増えたとしても、それは安売りに興味がある客がほとんどである。

上のような仕掛けづくりができた店と、できない店の格差は今後ますます広がる。

ジルボーの終了

 6月23日付の繊研プラスに「フランソワ・G、ジーンズ業界に復帰」という記事が掲載された。

http://www.senken.co.jp/news/francois-girbaud-j-brand/

一部メディアによると、フランス人デザイナー、フランソワ・ジルボーが、ファーストリテイリング(FR)傘下の米「Jブランド」に移籍し、ジーンズ業界に復帰する。

 同氏が手掛けていた仏ジーンズカジュアルブランド「マリテ+フランソワ・ジルボー」は13年11月、会社更生法が適用されたが再建に至らなかった。Jブランドでのポストや契約内容については明らかにされていない。

とのことである。

しかし、

FRはJブランドのジルボー氏起用について「聞いていない」(広報)としている。

とのことであり、今後どうなるのかが気になる。

国内でも長らく親しまれているジーンズカジュアルブランド「マリテ+フランソワ・ジルボー」だが、業界ではインポートジーンズに分類される。
国内の総代理店はタカヤ商事である。

インポート業界では、今年年初から、「ジルボーの本国が倒産の危機にある」という情報で持ちきりだった。
しかし、メディアにニュースとしては流れてこなかった。
今回の報道はかなり時間が経過してからの事後報道であるとはいえ、初めて本国の破たんが公式に報道されたものといえる。

情報が流れ始めた今年年初のインポート業界ではどういう動きがあったかというと、
ジルボーと同価格帯のカジュアルパンツを扱う各代理店が、ジルボーの後釜を狙って激しい営業活動を繰り広げていた。
本国が倒産したということは、今秋冬物から商品は輸入されない。
それまでジルボーを扱っていた専門店にも当然商品は納入されない。
ジルボーが並べられていたスペースが空く。

そこでジルボーの代わりに「当社が扱っている〇〇ブランドを扱いませんか?」と持ちかけるのである。

展示会などではそんな営業風景を見ていたから、ジルボーの本国倒産がいつ報道されるのかと待っていたのだが、ようやく報道されたわけである。
ここまで報道されなかったのは何か理由でもあったのだろうか?

さて、こうなると当然、国内のジルボーも今後なくなるということになる。

現在、直営店が8店舗ある。アウトレットを含めると9店舗だが、筆者が耳にしているところでは、今秋で全店閉鎖になると聞いている。
商品の供給は今春夏物までしかないからだ。
昨年11月に本国が倒産しているということは、今秋冬物は企画されていないということになる。

卸売りも当然、今春夏物で終了する。

直営店運営、国内向けの卸売りを手掛けていたタカヤ商事には大きな痛手である。

アウトレットを含めて9店舗と一部卸売りを行っていたことから類推すると、売上高は10億円強あったと思われる。これが消えてしまうのだから痛い。
今からジーンズカジュアルブランドで10億円規模まで育てるとなるとかなりの時間が必要になるし、第一、ジーンズカジュアルブランドなるものが10億円規模にまで到達できるかどうかである。

バブル崩壊直後くらいまでなら、ジーンズカジュアルブランドを立ち上げても10億円規模まで到達することは不可能ではなかった。
しかし、現在の状況下ではジーンズカジュアルブランドというジャンルそのものが新規立ち上げで10億円にまで到達させることはかなり難しい。

タカヤ商事にはこの難局をどうにか乗り越えてもらいたい。

雑誌広告より店頭イベントを

 ファミリー向けSPAのコージィコーポレーションの今8月期が増収増益の見込みだそうだ。

http://www.senken.co.jp/news/cozycorporation/

少し前からこの会社の名前を知っておられる方は、ファミリー向けSPAというより、子供服SPAというイメージが強いのではないかと思う。

記事では利益額は書かれていないが、売上高は87億円の見通しである。

筆者が注目したのは次の一節である。

販促面では、今期はテレビCMや雑誌などのメディア露出はやめ、店頭でイベントの仕掛けを積極化した。子供向けの似顔絵プレゼントや、ネイルアート体験などを企画し、店頭の活性化につなげた。

とある。

本文の写真では、女児にネイルアートを施しているものが掲載されている。

これは販促の一つのやり方として他社も注目すべきではないか。
ファッションブランドの多くは販促の一番の手段を「雑誌」だという。
雑誌広告、雑誌に記事として掲載される、である。
ここでいう雑誌とは主にファッション雑誌を指しており、経済雑誌や情報雑誌ではない。

筆者の知る多くのブランドのプレス担当者は「ファッション雑誌」が最大の販促ツールだと考えている。
けれどもファッション雑誌に以前ほどの影響力がなくなったのはメディア関係者なら皆知っている。

宝島社の雑誌を除くと、各雑誌の部数は軒並み減少しており、広告出稿の減少を主要因とした営業不振から廃刊が相次いでいる。
こういう状態ではファッション雑誌そのものの影響力は低下するのは、自明の理であり当然である。

筆者が知る小規模ブランドの中にもファッション雑誌に掲載される場合がある。
掲載されても多くの場合は、それほどの反響はない。
ゼロではないが、一般的に考えられているような反響はない。
掲載された洋服が飛ぶように1日で100枚売れたとかそういうことは耳にしたことがない。
せいぜい問い合わせが10件あったとか、雑誌を見た人が数人店に来たとか、数枚売れたとかそういう場合がほとんどである。

きっちりしたデータが無いので恐縮だが、体感だとファッション雑誌の影響力低下が顕著になったのは2000年代半ば以降ではないかと感じる。

ならば、コージィコーポレーションのように雑誌への広告出稿費を顧客参加型のイベントに切り替えた方が、効率的ではないのか。

何度も書くように、ファッション雑誌への広告出稿費は相場として1P=100万円である。
2P見開きなら200万円である。

もちろん、割引とか投げ売りの場合もあるからもっと安くで出稿できることもあるが、定価相場はそんなものである。

200万円で店舗内のイベントをするとなると、イベント内容にもよるがかなり多くの店舗で開催できる。
これが年間1000万円の出稿予算を持っていたとすると、1000万円すべてを店舗イベントに振り分ければ相当大規模なイベントが可能になる。

現在の物販では消費者参加型のものが強い集客力を持つ。
ワークショップが流行しているのもその一例だろう。
消費者が店舗イベントに参加することで、消費者も満足感を得られるし、店舗やブランドとの心理的結びつきも強化される。

囲い込みというと、前時代的なにおいがしてあまり好きではないので、ここでは関係性が強化されると言いなおしておこう。

また店舗でイベントをすることで集客すると、なぜか流動客も多く入店してくる。
不思議なことに混雑している店に関係のないお客まで集まる。

こう考えると店舗イベントを強化することは良いこと尽くしだといえる。

東京の有名ブランドのプレス担当者と接すると、彼らの多くは「1に雑誌、2に雑誌」という見方をしていると感じる。しかし、その見方は古く、10年前で終わった価値観を今もそのまま引きずっているといえる。

雑誌偏重の販促、広報体制をそろそろ本気で見直す時期に差し掛かっているのではないか。

低価格SPAが基準に

 先日、6月20日繊研プラスに掲載されたアンケート結果を見て驚いた。

服飾系専門学校生1601人を対象としたアンケートである。
「よく買うブランド」という項目に登場したブランドを見てもらいたい。

http://www.senken.co.jp/news/fashionstudent-favoritebrand-senkenshirabe/

1位ユニクロ
2位ZARA
3位H&M
4位アースミュージック&エコロジー
5位ジーユー
6位ローリーズファーム
7位フォーエバー21、アクシーズファム
9位ウィゴー
10位ジーナシス、ニコアンド、マウジー

となっている。

1位から9位まですべて低価格SPAである。
10位もマウジーが同率で入っている以外は2つともアダストリアホールディングの低価格SPAである。

ファッション業界人は驚かれたのではないか。

もちろん「よく買うブランド」と「欲しいと思っているブランド」は異なる。
〇〇は欲しいけど高いからユニクロで我慢しておこうということは普通にある。

そういう専門学校生も相当数いたに違いないと推測する。

若者層の就職先、アルバイト先がなかったため、可処分所得が減少したせいもあるだろう。
しかし、20年前、10年前の専門学校生の中には、少ないアルバイト代を貯めて高額なデザイナーズブランドを買うという人もちょくちょく見かけた。

生活を切り詰めてまで不相応な高額ブランドを買うという行為の良し悪しは当然ある。
けれどもファッション好きが高じて専門学校へ進学したという生徒らしいといえば生徒らしさがある。

このラインナップだとそこら辺の一般人と何ら変わらない。

こういうブランドのみを愛用した人が、今後、企業に入ってデザイナーになったり、独立してブランドを立ち上げたり、バイヤーになったりするわけである。
彼らにとっては低価格SPAが基準となるわけだから、それ以上の物作りや企画案など出てくるはずがない。
バイヤーだって同じである。

シナジープランニングの坂口昌章さんが以前に「今の若いバイヤーは良い物に触れずに育ってきたから、良い物がわからない」ということをおっしゃったことがあるが、アンケート結果のラインナップを見ていると、そういう傾向がより深刻化しているといえる。

ちなみに先ほどの記事には3年前のランキングも掲載されている。
見比べてみよう

1位ユニクロ
2位ZARA
3位ローリーズファーム
4位ジーナシス
5位H&M

とここまでは今年とあまり変わらないが、

6位ヴィヴィアン・ウエストウッド、リミ・フゥ
9位コムデギャルソン
10位アクシーズファム

となっている。

高額ブランドが3つ(ヴィヴィアン、リミ・フゥ、ギャルソン)ランクインしている。
これがもっと以前だとさらに高額ブランドのランクインが増えているであろう。

坂口さんのご指摘よりもそういう事態はさらに進んでいるといえる。

さて、アパレル業界では低価格化はそろそろ底打ちとなり、価格は現状維持ないしは値上げへと向かおうとしている。

原料高、中国工場の人件費高騰、円安基調などを考慮するとこれ以上の値下げは難しい。
最悪でも現状維持、できれば値上げをしたいというのがアパレル各社の本音である。
中小・零細規模のブランドは、大手の低価格ブランドとの競合に見切りをつけ、高付加価値高価格路線を進もうとしている。

5年後、10年後はますますその動きが顕著になっていると考えられる。
(世界経済・日本経済が現在の延長線上にあると仮定した場合)

例えば、10年後だと先ほどのアンケートに答えた専門学校生は30歳前後になっている。
アパレルに入社しているならそろそろ中堅に差し掛かろうかという年代といえる。
零細企業だったら企画チーフくらいには抜擢されているかもしれない。
そうなったときに、高付加価値高価格路線への舵取りができるのだろうか。
本人の努力次第という側面もあるが、よほどさまざまなブランドに実際に触れてみないと、難しいのではないか。

単に危機を叫んでいても仕方がないので、アパレル業界のエライサンたちが真に人材育成を考えているなら、せめて専門学校生に対して何か手を打つべきではないだろうか。
彼らに良い物に触れさせる機会を増やすような取り組みを考える必要がある。

真に人材育成を考えているのならネ。

高品質の基準ではない

 汗っかきの筆者にとって、夏の愛用アイテムは無印良品の「汗じみしにくいTシャツ」である。
けっこう汗をかいても、それがTシャツ表面にはなかなか浮かんでこないという優れものである。

2年くらいまえにボーダー柄のを2枚購入したが、具合がよかったので昨年、無地Vネックを購入した。
今年は、すでに1050円(税込)に値下げされていた無地クルーネックを1枚購入した。
残念ながら今年はボーダー柄は廃止されてしまったようだ。

写真4

(今年購入したクルーネック)

汗のことで話を続けると、黒や紺のTシャツだと、汗が乾いたあとが白く残るものと残らないものがある。
あれはどういう差があるのだろう?いまだに解明できていない。だれかご存知の方がおられたらお教えいただきたい。
無印の「汗じみしにくいTシャツ」はもちろん、白く残らない。
そういう意味でも重宝している。

どうして汗じみしないのかというと、タグには「汗じみを抑える加工を施しました」と書いてある。
なるほど。

ところで、気になるのはこのTシャツがオーガニックコットン100%で製造されているところである。

オーガニックコットンとは、無農薬で化学肥料を使わず育てた綿花のことである。
土壌汚染をこれ以上広げないというための社会運動といえる。
一種の自然環境保護運動ともいえる。

ときどき、肌荒れに効くとか肌荒れしにくいという声を聴くが、そういう科学的データは存在していない。
ただ、そういう効果を感じる方もおられるのは事実である。

自然栽培されているから肌荒れに効果があるという意見もある。

これまでのオーガニックコットン製品といえば、綿花そのものの色合いである生成りがベースで、そこに草木染を施したものが主流だった。
そういう天然成分のみだから肌荒れに効果があるのかもしれない。

近年、黒や紺などの濃色や、すごく明るい色合いに着色したオーガニックコットン製品がある。
この無印のTシャツのように何らかの加工を施した製品もある。

濃色や明るい色合いに染色するためには化学物質を大量に含んだ染料を使用しなくてはならない。
また加工を施すには何らかの化学物質を用いなくてはならない。

こうなると、本来のオーガニックコットンの意味はほとんどなくなる。
化学薬品を使用するのであれば、通常栽培の綿花を使用してもなんら変わらない。

消費者の中には、化学薬品を嫌ってオーガニックコットンを求める方もおられるが、濃色やカラフルに染色されたオーガニックコットン生地は化学薬品を含んでいることをご理解いただいた方が良いだろう。
また、何らかの加工を施されたものも同様である。
そういう方は天然草木染のオーガニックコットン製品をご使用いただいた方が良い。

一方、土壌を守るためには、加工法がどうであれオーガニックコットンを普及させた方が良いという考え方もある。
これもその通りである。

収穫後に化学染料で染色されようが、化学的加工を施されようが、オーガニックコットン栽培が広まればそれだけ土壌汚染は少なくなる。

濃色やカラフルに染色することでファッション用途が広がり、オーガニックコットン栽培が増えれば良いという考え方は否定されるべきではないだろう。

ただ、「肌に優しい」ことを目当てにオーガニックコットン製品をお求めの方には、濃色や明色のオーガニックコットン製品、〇〇加工を施したオーガニックコットン製品はオススメできない。
化学物質使用という点では通常栽培のコットン商品と何も変わらない。

それにしてもオーガニックコットンを巡る問題は難しい。

いえることは「オーガニックコットン使用」という表記は決して「高品質の基準」ではないということである。

「普通」の人々がわざわざ「普通」を志向するのかな?

 筆者のようなファッション感覚のない人間からすると「ノームコア」という概念がよく理解できない。
アメリカで生まれた概念でノーマル+ハードコアの造語だということは理解している。
そのアイコンの一つが故スティーブ・ジョブズだということも理解している。

彼は黒無地のタートルニットとリーバイスのジーンズ、ニューバランスのスニーカーを愛用していた。
黒無地のタートルニットはイッセイミヤケだそうで、価格がお高いので一般人はちょっと手が出しにくい。
しかし、ユニクロか無印良品の商品で代用すればだれでも簡単に真似ができる。

真似ができるどころか冬のイオンモールに行けばそんな服装のオッサンであふれている。

このファッショントレンドが日本の一般人に流行するかどうかは見方の分かれるところだが、筆者は一般人にはあまり流行しないと考えている。
そんなわけで先日、日経ビジネスオンラインにそんな記事を書いた。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140616/266899/

究極の普通とでも訳すべきノームコアが新鮮に見えるのは、普段から珍奇な洋服を見続け、着続けている業界人やファッションマニア、ファッション変態に限られるのではないか。

一般人は以前から、「普通」の服装が多く、今現在、普通の服装をしている人々が、わざわざ「普通」の服装を特別に志向するということは考えにくい。
つながりがどうのこうのという見方があるが、似たような服装をするのはこれまでから日本人の特性であるし、それをわざわざ意識するとも思えない。

筆者のような人間からすると、全身ユニクロ、全身無印良品、またはユニクロ+無印良品のコーディネイトで事足りるのではないかと考えてしまう。

ジョブズのイッセイミヤケのタートルネックセーターに大きなロゴが入っていればまた話は別である。
それは、他のブランドでは代用できない。
けれども、ロゴは入っていないのである。
だったら、ユニクロでも無印良品でもライトオンのPBでも構わない。どうせ他人からは区別できない。

そんなわけで、ノームコアがトレンドになりうるのは、業界人やファッションマニア、ファッション貴族、ファッション変態に限られるのではないかと思う。
彼らの言葉遊び・観念遊びではないかと感じる。

一般大衆は今までから「普通」だったし、今後も「普通」であり続けるだろうからだ。
今後急速に一般大衆がファッションの珍奇性を競う傾向が強まるとは思えない。
そんな風潮は遅くとも2000年代前半で終了している。

すでに一般大衆はずっと以前からノームコアだったのではないかと感じられる。

リアル店舗でのバーゲン後倒しって意味あるの?

 「今日からオンライン通販でサマーセール開始」という案内メールが何通か来た。

securedownload2

今夏のセール開催時期はバラける傾向にある。
正月と重なる冬セールと異なり、夏セールは毎年分散するし、毎年さほど盛り上がらない。

アウトレットモールは6月の初旬から夏セールを開催するところが多い。
しかし、アウトレットモールで「バーゲンセール」というのもイマイチ意味不明である。
もともとは、サンプル品、過剰在庫品、B品などを定価よりもはるかに安く販売するのがアウトレットである。そのアウトレットに「夏のバーゲン」「冬のバーゲン」が存在すること自体が奇妙である。

実際のところ、現在のアウトレットモールは、アウトレットモール風の郊外型ショッピングセンターとなっているから、そんなもんである。

そのほかのファッションビルや百貨店などの商業施設は6月21日以降に開始するところがほとんどだ。
ルミネと三越伊勢丹は例によって7月中旬くらいから遅めのスタートとなる。

でもルミネはインターネット通販サイト、アイルミネでリアル店舗よりも先駆けてバーゲンを開始する。
なんだそりゃ?

自らセールを後倒ししておいて、自社サイトでは先行バーゲンを開始する。
いつも建前だけを取り繕うようなルミネのやり方は本当に好きになれない。

まだ三越伊勢丹の方が筋が通っていると感じる。
その三越伊勢丹も今夏以降縮小が決まっているJR大阪三越伊勢丹では、5月ごろから早々に売り尽くしセールを開始しているが、まあ仕方のない範疇だといえるだろう。

で、セール開始時期で毎回散々揉めるのだが、各ブランドの通販サイトではセールは先行開始されるのが通例となってきた。
今回だと今日からだ。

リアル店舗でのセール開始時期を後倒ししようという三越伊勢丹の主張の意味は理解できなくはない。
(繰り返すがルミネの取ってつけたような対応は毎回理解できない)

それに対して賛同する方々がいることも理解できる。

けれども商業施設に入っているようなブランドがオンライン通販ではかなり前倒しでバーゲンを開始する。

こうなると、リアル店舗でセール後倒しをする意味があるのかと感じてしまう。

施設側、ブランド側のエライサンは「全員がネットをやっているわけではない」と考えているのかもしれないが、これだけスマホやタブレット端末が広がっているならほとんどの人間はネットをやっていると考えた方が適切ではないか。

先日、電車に60代と思われるご婦人方のグループが乗ってこられた。
にぎやかだったので会話の内容は嫌でも耳に飛び込んでくる。
食事会だか旅行だかにみんなで出かけられるようだ。
しかし、店などの予約は全部インターネットで行ったのだそうだ。

アパレル業界のエライサンたちは「50代以上のミセスはインターネットをあまりしない」と考えている節があるが、現実では60代の専業主婦と思われる人々でさえ、インターネットで店の予約をしている。
アパレル業界のエライサンよりインターネットを使いこなしている。
だからたとえ60代以上のミセス向けブランドといえども、ホームページくらいは所有すべきなのである。

インターネットで出た情報は全年代に拡散していると考えた方が良いのではないか。

となると、ネットで先行バーゲンを行えば、ほとんどの消費者に知られているのが実情ではないだろうか。

しかも実際のところ、有力ブランドの路面店ですら5月下旬くらいから「店内一部30~50%オフ」という貼り紙をしている。

BlogPaint

これを見ても商業施設がセール開始時期を固定化したり後倒しを画策するのは実情とは合わなくなってきていると感じる。

バーゲンが早まることで定価販売比率が下がり、利益が圧迫されるという主張は理解できる。
だからといって、実情にそぐわなくなってきていることを続けていても意味がない。

ユニクロのように大量生産し、半年かけて売り減らすビジネスモデルを一般的なアパレルは選択できない。

鮮度を保つために多品種小ロットで新製品を逐次投入するほかない。
(小ロットといえども1型100枚くらいの生産量は最低でも必要だが)

ならZARAのように店頭入荷後、一定期間経過後は順次自動的にマークダウンしていくという方式の方が良いのではないか。
ZARAは多品種小ロット生産で、売り切るスタイルである。
待っていれば値段が下がるかもしれないが、定価のままで売り切れる可能性もある。何しろ1店舗あたりの投入枚数は少ないし、よほどの定番品でない限り再入荷もしない。
それでも売れ残った商品は自動的に順次値下げされてゆく。

この方式ならセール待ちによって定価販売比率が下がる危険性も少ない。

でもまあ、これまでの業界体質を見ていると半永久的に変わらないのだろうなあとも思う。
何しろ根っから保守的な業界だから。
それとも高度経済成長からバブル崩壊までの成功体験が強烈すぎたのだろうか。

ファストファッションらしさ

 何を書くかというのはけっこうその日の気分で決めていることが多い。
今日は散々迷った挙句、昨日の続きを書くことに決めた。うん。迷った分だけ時間の無駄だった。。゜゜(´□`。)°゜。

クリーニング屋さんのブログによるH&MとZARAについてご紹介したい。

H&M ZARA は安いだけに購入には覚悟が必要
http://ameblo.jp/cleaning-bee/entry-11877448054.html

なぜ覚悟が必要かというと、

今朝クリーニング屋の方とお話ししていると、最近ZARAやH&Mの衣料からよく、色が出るということをお聞きしました。

からである。

色が出るとは・・・

生地に色をつける時に十分な行程をしていない場合、洗濯するとその色が滲み出ることを言います。

そんな時は洗濯している液は透明からいろいろな色へ変化します。
こういった色が滲み出ることは有名なメーカーでもそのような事例があります。
特にイタリア製のインポート物とかね。

でも、H&MやZARAは特に多いみたいで、僕たちクリーニング屋さんも注意しています。
最近では、お客様とのトラブルを避けるためにH&MやZARAなどのクリーニングの取り扱いをお断りするクリーニング店もあるみたいです。

でも、これは仕方が無いコト
クリーニングにすら耐えられない商品です。
僕もクリーニングしたくないです。

とのことである。

アパレル業界的にいえば、洗濯堅牢度が低いということになる。

文中にもあるように高額な欧米インポート物も物性でいうととても低い場合がある。
以前、高額な欧米インポートジーンズが流行した当時、2005年前後のことである。
某児島のジーンズ製造業の社長と雑談をした。

その社長がいうには、「欧米のブランドには不良品に近い物がときどき混じっている。例えば、洗い加工を施す際に、薬剤によって金属ボタンが腐食していることがある。ワシらにそういう修理が依頼される」とのことだった。
現在は欧米ブランドの検品体制は向上しているのかもしれないが、高額品といえどもインポートブランドにはそういう怖さがある。

それはさておき。

H&MやZARAの洗濯堅牢度が低いことは、無理からぬことである。
H&Mはトレンドの速さと価格の安さを実現するために、そこはあえて犠牲にしている。
ZARAは定価ならH&Mどころかユニクロよりも高いくらいであるが、こちらもトレンドの速さのためにそういう側面は犠牲にしていると見るべきだろう。

トレンドの速さ以外のZARAの特徴はなんだろう?というのが長年の疑問だった。

これに対して、ディマンドワークスの齊藤 孝浩さんは、「パターンの良さ」をあげておられることがあった。
彼によると、ZARAのパターン(型紙)は着用した人を細く見せる効果があるのだという。

ためしに今年初頭、2000円弱に値下がりしたシャツを2枚買ってみたが、そういわれればそんな気もした。

ただし、気になる点が1つあった。
筆者は日本人体系であり、標準的日本人よりもおそらく手の長さが短めである。
ZARAのシャツは欧米体型に合わせているのか、筆者には手が長すぎた。

実はZARAがまだ心斎橋ビブレに入店していたころ、12年くらい前に、何枚かシャツを買ったことがある。
もちろん、990円くらいに値下がりした際であることは言うまでもない。

その時も筆者には手が長かった。

当時は上陸したばかりだし、日本国内の店舗数も少なかった。
東京に数店、大阪には心斎橋ビブレ店のみだったと記憶している。
その程度の店舗数の国に合わせてサイズを変更できないことは十二分に理解できる。

しかし、あれから12年近くが経過し、国内店舗数も10倍くらいに増えているはずだが、それでも手の長さが変わらなかったことにはちょっと驚かされた。
だからこそ効率的に洋服が生産できるのかもしれないが。

それはさておき。

H&M、ZARAの製品にはクリーニングによる色落ちの恐れがあるということだ。

このブログをフェイスブックでシェアしたところ、業界関係者からは「その価格帯の服をクリーニングに出す人がいることに驚かされた」との意見をいただいた。
なるほど。である。

昨日書いたように、筆者も低価格品はわざわざ料金を支払ってまでクリーニングに出そうとは思わない。
できるだけ家庭洗濯で済ませてしまう。
下手をすると商品購入金額よりもメンテナンス料の方が高くなってしまう。

H&M、ZARAでこの堅牢度なら、それよりも価格の安いフォーエバー21やベルシュカはどうなってしまうのか。

店頭で両ブランドの商品を見た限りでは、素材はさらにペラペラになっており、1シーズンで使い捨てるというのが最も賢明な使用法ではないかと感じる。
それこそがまさにファストファッションにふさわしい使い方だと言えるだろう。

愛読しているクリーニング屋視点のブログ

 ファッション関係の人間では絶対に書けない内容を多く挙げているので、敬意を表して読んでいるブログがある。

大阪のクリーニング屋さんが書いているブログである。

http://ameblo.jp/cleaning-bee/

昨日はクリーニング屋の視点で、ユニクロはなぜ売れ続けるのか?というエントリーがアップされていた。

http://ameblo.jp/cleaning-bee/entry-11879677554.html

興味のある人はジャンプして全文を読んでいただきたいが、ユニクロの高品質さは、家庭洗濯を想定しているからではないのか?というのが彼の推論である。
ユニクロの商品は定価で買っても安い。しかも購入者の多くは値引き時に買っていると推測され、かなりの安値で購入している。
安値で購入した商品をわざわざクリーニングに出すだろうか?
貧乏人の筆者なら出さない。

ここ2年ほどはユニクロで買うことはめっきり減った。
それでも先日、昨年物のグラフィックTシャツが390円(税抜)まで値下がりしていたので購入した。
昨年物のプレミアムコットンTシャツヘンリーネックも500円(同)にまで値下がりしていたので購入した。

こういう投げ売り商品をちょくちょく買っている。
ウールのセーター、カーディガン類でも990円に値下がりしたのを購入したこともある。

990円に値下がりしたセーターをわざわざ代金を支払ってまでクリーニングに出そうと思うかである。
筆者は出そうとは思わない。

おそらく、同様に考える消費者も多いだろう。だからユニクロ商品は家庭洗濯が前提として作られているのではないかというのが彼の推論である。

こういう視点はファッション業界関係者からは出てこない。

このほかにも、東京シャツの商品は低価格で見た目も良いが使用している芯地の品質が良くないとか、
H&MやZARAの商品はクリーニングをすると色が出てしまうことが多いとか、という価値ある指摘が多い。
H&MやZARAはクリーニングに耐えられないほどの生地、縫製仕様だと指摘している。

H&M、ZARAについてのエントリーは興味深いので後日、別途ご紹介したい。

さて、ユニクロについてだが、先ほどのエントリーでは「出始めの頃は品質が良くなかった」と書かれてある。
お若い消費者はご存じないかもしれないが、90年代半ばまでユニクロは量販店アパレルの製品と並行輸入商品が並ぶ「安物屋」だった。

筆者が初めてユニクロの店舗を見たのは94年前後である。
そのときは、美濃屋がライセンス生産する「コンバース」のトレーナー、Tシャツ類と、並行輸入のリーバイスが並ぶ店だった。「とくに買いたい物がない」と感じたことを覚えている。

彼のエントリーの内容に沿って話を進める。

今でもユニクロ製品の品質は良いと書かれてあり、筆者も概ね賛同するが、細かく指摘するなら2010年ごろからユニクロと言えども品質は低下気味にあると感じる。

というのは全品番の生地が薄くなっているからだ。
とくに綿、ウールなどの天然繊維系は顕著だと感じる。

おそらくこれは綿、ウールなどの原料高騰が関係していると推測している。
ユニクロは今秋から、ようやく製造コスト増を転嫁して5%程度店頭価格を上げると発表したが、原材料の高騰ぶりからいうと、とっくに値上げしててもおかしくない状況だった。
価格を据え置くためには原材料の使用量を減らすことが一番の対策であるから、生地が薄くなったのはやむを得ない措置だったと感じる。

また、知り合いのデザイナーマンから言わせると縫製仕様も年々簡素化されているとのことである。
これは中国工場の人件費高騰に関連してのコスト削減だろう。

ユニクロの高品質がピーク時を迎えたのは2000年代半ばから2010年ごろの数年間ではないかと感じる。
好き嫌いは別として「+J」の品質はすばらしかったが、「UU」の使用素材はあまり大したことはなかった。

エントリーの中から、他のアパレルブランドへの苦言も以下に引用してみる。

ここまで、アフターフォローの力を入れているアパレルはほとんど無いかと思います。
全てだとは言いませんが、洗濯表示にドライマークを付けていればいいというアパレルさんも少なくないかと思います。

例えば、ポリエステル100%の薄手のブラウスが水洗い× ドライ◯ になっているなんてよくあること。ちなみにポリエステル素材はドライクリーニングすると、衣類の色が流れ出る可能性がすごく高いので僕たちはクリーニング店はドライクリーニングで洗いません。
もちろん、水洗いで洗います。

とのことである。
ポリエステルは概して水洗いに強く、色落ちしにくく、型崩れしにくい。洗濯による縮みも少ない。シワもよらない。
よほど特殊なポリエステル繊維を使用しない限り、家庭洗濯にもっとも適した繊維である。
それを自社の保身のためとはいえ、「水洗い×」「ドライ〇」と表示するのはいかがなものか。
ドライクリーニングで色落ちさせることが消費者利益・消費者満足につながるのか?

このあたりは、他のアパレルはもう一度自社のスタンスを見直すべきではないか。

スペックだけでは勝負にならない

 先日、ユニクロでカットソーライクジーンズが2900円(税抜)に値下がりしているのを発見した。

ジーンズ業界では2~3年ほど前からニットデニムやジャージデニムという名前でストレッチ性の高い素材を用いたパンツが提案されている。
定番の綿100%の14オンスデニムに比べるとソフトでキックバック性が高いため、着用するとはるかに楽である。

そのため、一定の支持が集まり、市民権を得るようになった。

ジーンズ業界の方にとっては当たり前のことなのでここからは読み飛ばしてもらいたいが、一口に「ニットデニム」と言ってもだいたい大雑把に分けると3種類の生地がある。

1つは文字通り、丸編み生地である。
スエット(トレーナー)に使われる裏毛素材が使用されることが多い。

写真裏毛

(裏毛素材のイメージ)

2つ目は強力なストレッチ性を効かせた薄手ライトオンスデニム

写真 ジャージ

3つ目は一見すると裏毛に見える二重織りデニム

である。
1つ目は編み物、2つ目と3つ目は織物である。

さて、先日値下がりを発見したユニクロのカットソーライクジーンズは3つ目の二重織りを応用したストレッチ素材を使用している。

写真 ジャージ2

(ユニクロのカットソーライクジーンズの生地の裏側)

市場を見渡す限りではこの二重織りストレッチ素材を使用している低価格ブランドはあまりない。
低価格ブランドのニットデニムは知る限りにおいては1つ目か2つ目の素材を使用することが多い。

何が言いたいかというと、中~高価格商品を打ち出すジーンズメーカー、ジーンズブランドは商品スペックを打ち出すだけではユニクロに対抗できないことがより鮮明になったということである。
別にジーンズメーカー、ジーンズブランドに限ったことではなく、他のジャンルのブランドも同じである。

例えば、名門ジーンズメーカー、ドミンゴは「ブロカント」の2012秋冬商品としてこの二重織りによるニットジーンズを発売している。

IMG_0682

(ブロカントの二重織りデニム)

ユニクロとの違いは、ブロカントの方が使用している糸の番手が太いことである。
触り比べた感触ではブロカントの方が、本物のヘビーオンスデニムにより近かった。

しかし、そんなものはユニクロとブロカントを触り比べてみないとわからないことだし、ユニクロの商品はこれはこれで一定のクオリティに達している。
通常に着用するぶんには何の問題もないし、わざわざ「ユニクロだ」と言わなければ、価格以上の商品に見える。

これに対抗するには従来通りに「スペック」を並べているだけで良いのだろうか?
筆者はそれに対しては効果があまり期待できないと考える。

お断りしておくが、今回は物作りについて議題に乗せたいのではない。
売り方とか販促についてより考えを深めてたいのである。

一般大衆に向かって「当社の二重織りデニムはユニクロよりも糸の番手が太いです」なんてスペックを叫んでみたところで誰が興味を示すだろうか?

もっと違うことをアピールする必要があるのではないか。

それは、たとえば自社工場だったり、自社工場のある地域のことだったり、創業数十年以上という歴史だったり、ブランドに込めた思いだったり、が適切ではないだろうか。

自社工場を構える物作り系のブランドの中には「そんなことをアピールするのはダサいのでは?」と懸念を示すところもある。
けれども、現在の風潮はそうではない。

むしろ自社工場を持たないブランドが多い中で、曲がりなりにも自社工場を維持してきたというのは類まれなステイタスだといえる。
そしてその歴史はいくら売上高が1兆円あっても買うことはできないのである。

物作り系である以上、ある程度のスペックをアピールする必要はある。しかし、それだけにとどまらないアピールを心がけてもらいたいと切に願う。

1 / 3ページ

©Style Picks Co., Ltd.