スペックだけでは勝負にならない
2014年6月17日 未分類 0
先日、ユニクロでカットソーライクジーンズが2900円(税抜)に値下がりしているのを発見した。
ジーンズ業界では2~3年ほど前からニットデニムやジャージデニムという名前でストレッチ性の高い素材を用いたパンツが提案されている。
定番の綿100%の14オンスデニムに比べるとソフトでキックバック性が高いため、着用するとはるかに楽である。
そのため、一定の支持が集まり、市民権を得るようになった。
ジーンズ業界の方にとっては当たり前のことなのでここからは読み飛ばしてもらいたいが、一口に「ニットデニム」と言ってもだいたい大雑把に分けると3種類の生地がある。
1つは文字通り、丸編み生地である。
スエット(トレーナー)に使われる裏毛素材が使用されることが多い。
(裏毛素材のイメージ)
2つ目は強力なストレッチ性を効かせた薄手ライトオンスデニム
3つ目は一見すると裏毛に見える二重織りデニム
である。
1つ目は編み物、2つ目と3つ目は織物である。
さて、先日値下がりを発見したユニクロのカットソーライクジーンズは3つ目の二重織りを応用したストレッチ素材を使用している。
(ユニクロのカットソーライクジーンズの生地の裏側)
市場を見渡す限りではこの二重織りストレッチ素材を使用している低価格ブランドはあまりない。
低価格ブランドのニットデニムは知る限りにおいては1つ目か2つ目の素材を使用することが多い。
何が言いたいかというと、中~高価格商品を打ち出すジーンズメーカー、ジーンズブランドは商品スペックを打ち出すだけではユニクロに対抗できないことがより鮮明になったということである。
別にジーンズメーカー、ジーンズブランドに限ったことではなく、他のジャンルのブランドも同じである。
例えば、名門ジーンズメーカー、ドミンゴは「ブロカント」の2012秋冬商品としてこの二重織りによるニットジーンズを発売している。
(ブロカントの二重織りデニム)
ユニクロとの違いは、ブロカントの方が使用している糸の番手が太いことである。
触り比べた感触ではブロカントの方が、本物のヘビーオンスデニムにより近かった。
しかし、そんなものはユニクロとブロカントを触り比べてみないとわからないことだし、ユニクロの商品はこれはこれで一定のクオリティに達している。
通常に着用するぶんには何の問題もないし、わざわざ「ユニクロだ」と言わなければ、価格以上の商品に見える。
これに対抗するには従来通りに「スペック」を並べているだけで良いのだろうか?
筆者はそれに対しては効果があまり期待できないと考える。
お断りしておくが、今回は物作りについて議題に乗せたいのではない。
売り方とか販促についてより考えを深めてたいのである。
一般大衆に向かって「当社の二重織りデニムはユニクロよりも糸の番手が太いです」なんてスペックを叫んでみたところで誰が興味を示すだろうか?
もっと違うことをアピールする必要があるのではないか。
それは、たとえば自社工場だったり、自社工場のある地域のことだったり、創業数十年以上という歴史だったり、ブランドに込めた思いだったり、が適切ではないだろうか。
自社工場を構える物作り系のブランドの中には「そんなことをアピールするのはダサいのでは?」と懸念を示すところもある。
けれども、現在の風潮はそうではない。
むしろ自社工場を持たないブランドが多い中で、曲がりなりにも自社工場を維持してきたというのは類まれなステイタスだといえる。
そしてその歴史はいくら売上高が1兆円あっても買うことはできないのである。
物作り系である以上、ある程度のスペックをアピールする必要はある。しかし、それだけにとどまらないアピールを心がけてもらいたいと切に願う。