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新会社でも自家工場群は残してもらいたい

 年明け早々にどう決着するのか話題を集めているのがエドウインの再建問題だろう。
12月14日の新聞報道によると、伊藤忠商事、豊田通商、ワールドが支援に名乗りを挙げているという。

ジーンズ業界に長く携わった者として、エドウインの再建問題の衝撃は大きい。
ジーンズナショナルブランド各社の売上高が年々縮小していく状況下で、最後の砦とも言える企業だった。
支援に名乗りを挙げた3社のうち、どこに支援先が決まろうとも、従来のエドウインとは企業風土の異なった新しいエドウインになるだろう。当然、純然たる「ジーンズ専業アパレル」ではなくなる。

経緯を整理すると8月下旬に200億円の損失隠しが報じられ、その後、さらなる損失隠し、債務超過などが報じられた。
今秋の報道によると、300億円を超えるデリバティブ損失、600億円にも及ぶ資産架空計上、500億円を超える債務超過状態、10年以上の粉飾決算などがあったとされている。

それを受けて、

12月14日に約20行の金融機関を集めた債権者説明会を開き、金融機関の債権放棄を伴う私的整理で再建を目指す方針を確認した。同社を巡っては、証券投資の失敗による損失を隠した不正経理の疑いが浮上。事実関係の解明と支援企業の選定を進めた後、常見修二社長は経営責任を取って退任する意向を示した。

と日経新聞が報じている。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD140O6_U2A211C1TJ1000/

私的整理すると企業は通常どうなるかというと、

一般的に私的整理で事業を継続する場合は、金融機関に債権放棄を求めるが、取り引き先との債権・債務は全額清算されるか、事業を継承した会社に引き継がれる。

と12月18日の繊研新聞が解説している。

ということは、事業継承会社の「新エドウイン」のような企業が立ち上げられ、現在の業務はそちらに引き継がれると見るべきだろう。

新会社の経営陣は支援企業から来ることが確実視されているので、企業体質は明らかに変わってしまう。
良いも悪いも含めた「ジーンズ専業アパレル」らしさとは、今後決別することになるだろう。

ただ、新会社になっても何とか東北地方(青森、秋田、宮城)にある15の縫製工場・加工場は残してもらいたいと思う。そこまで大規模な自家工場群を持つジーンズ専業アパレルはエドウインしかいない。
ある大手洗い加工場社長が今年7月ごろ「自社製品の製造を自家工場である程度賄いきれるジーンズアパレルはエドウインのほか、ドミンゴ、ブルーウェイくらいしか残っていない」とおっしゃっていた。

エドウインの場合、これでもピーク時よりは自家工場数が減ったと言われるが、それでも規模は業界でも群を抜いている。

エドウインのジーンズは海外でも高い評価を受けていると聞く。
そういう物作りの体制・体質を、何とか新会社でも残してもらいたいと切に望む。

絞り込む作業の方が大切では?

 以前、ジーンズ専業アパレルは選択肢を広げ過ぎたことがあだになったのではないかと書いたことがある。

先日、阪急百貨店うめだ本店のレディースジーンズ売り場を取材した。

http://www.apparel-mag.com/abm/article/trend/310

リニューアルした売り場はわずかに15坪しかない。
売り場を覗くといつものように様々なブランドが並べられている。
けれどもよく見ると、1品番しかないブランドもある。
普通のジーンズ売り場を見慣れている者にとってはちょっと奇妙に映る。

普通なら少なくとも同一ブランドで4~5品番並んでいる。

しかし、この売り場は狭さ故に、あえて「そのブランドの最も強い品番のみ」に絞り込んでいる。
だから「○○」というブランドはスキニーのみ、「××」というブランドはタイトストレートのみ、という陳列になっているわけだ。

筆者は個人的に「これまでのジーンズ業界に欠けていたのはこの視点ではないか」と感じた。

とくにこの売り場は「ファッションの切り口」を全面に打ち出し、ボリュームである中価格帯を捨てて高価格帯に絞り込んでいる。
ジーンズをファッションとして売るならこの提案はアリだろう。
いわゆる「専門店」「ブティック」「セレクトショップ」という業態ならこの手法は取り入れて良いのではないだろうか。

幅広い層に売ろうとするとどうしても選択肢を増やすことが当然と考えられている。
けれども、年配層にも広く支持されているユニクロでさえ、以前書いたようにメンズジーンズは4シルエットしか存在しない。
ジーンズナショナルブランドのように8種類も9種類ものシルエットは逆に必要ないのかもしれない。

ジーンズナショナルブランドはこれまで様々なシルエット、加工方法を編み出してきた。
そういう開発研究を続けるという姿勢自体は否定しない。
むしろドンドン研究開発を続けてもらいたいと思う。
けれども今後は、そこから絞り込んで提案するという作業が求められているのではないだろうか。

不振イベントのその後の意外な効果

 少し前のことになるが、通販サイトのZOZOTOWNがリアルな展示受注会「ZOZOCOLLE」を2日間に渡って開催した。
その結果は、入場客数が1万5000人、売上高が1億5000万円だった。
当初の計画では入場客数が3万人で、売上高が3億円だったのだからこれだけを見ると明らかに失敗である。

そのことについてブログで書いたことがある。

付け加えるなら、出展ブランドは200もあったのだから1ブランド当たりの平均売上高は75万円ということになり、多くのブランドは赤字を計上したことだろう。
さらに、売れたブランドと売れなかったブランドの格差は激しく、マスターマインドは何千万円単位の売上高があったと聞く。ということは、売上高が限りなくゼロに近かったブランドも多数あるということになる。

先日、このイベントについてさらに踏み込んで考察しているブログを見つけた。
出展社ご自身が書かれているので、発言の重みと説得力が段違いである。

「売れないZOZOCOLLE と 売れるZOZO 」

http://chapterworld.typepad.jp/sholife/2012/09/%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84zozocolle-%E3%81%A8-%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%82%8B-zozo-.html

先日、9月15日と16日にZOZOCOLLEなるものが幕張メッセで開催された。これは、ZOZOTOWNに出店しているメーカーの店舗が、ZOZOのお客様に商品を見てもらい先行受注をしてもらう。いわば、ZOZOTOWNはネットだけでなくリアルの商品展示会を開く、新しい試みであった。

結果は散々なものであった。予定では、3万人の入場と3億の売り上げ。しかし、実際は1.5万人の入場と1.5億の売り上げ、そしてほとんどの売り上げが、 ZOZOさんがライセンスで売った、マスターマインド(これは中国での二次マーケット用?)であった。弊社、CHAPTERWORLD, も散々な結果であった。私は、ZOZOCOLLEに関していい話を聞いたことがなかった。(経費の大幅な赤字である)

とのことである。ここまでなら、当ブログや他ブログでの指摘とほぼ同じであるが、このZOZOCOLLEは意外な効果もあったという。

しかし、話はこれで終わらない。多分多くの店舗からクレームがきたのだと思う。なにせ、多くの店舗さんは、かなり力を入れてZOZOCOLLEに出店していた。(多分1千万円近くかけた大手セレクトさんは大赤字)そこで、ZOZOは大盤振る舞いを行うこととした。32万人の上顧客に、2万円以上買ったら5000円のクーポンを、配布した。(先週の金曜日から、今週の土曜日まで)そしたら、ZOZOの売り上げが上がった。怖いほど上がった。(この3日間だけ、もちろん弊社の数字の話であるが)なにせ15億のクーポン、購買効果60億。(30万人 X 5000円、しかしそれを使うには、20000円 X 30万人)ZOZOの利益率は25%ぐらいなので25%OFFは問題ないのかもしれない。

儲かっている会社はこのようなことができる。やはりすごいと感謝している。しかし、ZOZOの顧客が本当に増えているのか?それはわからない。

とのことである。
意外な副産物といえる。

そしてこれは出展社ならではの視点であり、外野の人間では到底思い至らない。

筆者はあまりネット通販は使用しない。
何度か利用したことがあるが、数えるほどであり、実際の店舗で見つけた商品をネットで購入したことがるという程度である。その際は実際の店舗で何度か試着をし、素材の触感も確かめてからネットで購入するという念の入れようである。
ネットで購入するのは、「実際の店舗に足を運ぶ時間がないとき」「ネットで買った方が安い、もしくは多くの特典が付いているとき」に限られているのが現状である。

閑話休題

今回のイベントについてその後の効果に触れている論評を見たことがなかった。(当ブログも含めて)
このような効果があるなら、出展による赤字はちょっと割高な広告料を払ったと思えるだろう。

けれども結局、ネット顧客は「割引販売目的」なのかと思わないでもない。
そういう筆者が「割引販売目的」でしかネット通販を利用しないのだけれども。

で、ブログ主は

私も少しネットを理解してきたのだが、ネットは顧客の数である。もちろん良いもの、お客様の必要なものを売るのが前提であるが。大競争時代。(猫も杓子もネット)私は、ここにきて初めて新しく店を開きたいと店舗用地を探している。

と結んでおられるのだが、割引販売目的の顧客が多いネット通販全盛時代だからこそ、リアル店舗が脚光を浴びることがあるのではないかとも思う。

12月商戦は「好調」ではなさそう

 ライトオンとジーンズメイトの12月度売上速報は発表された。

ライトオンは
既存店売上高が前年比1・1%減
既存店客数が同7・5%減
既存店客単価が同6・9%増

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比1・1%増
既存店客数が同1・2%増
既存店客単価が同0・1%減

だった。

今秋冬の商況を業界全体で見ると、9月・10月絶不調、11月好調というところである。
11月は好調だったものの、セールが始まった12月はそれほどでもないという声を耳にする。

今回のライトオンとジーンズメイトの商況はその声を反映しているのではないかと感じる。
「好調だった」と報じている媒体もあるが、どう見ても「好調」ではない。
ほぼ前年並みなので「堅調」というべきだろう。

ジーンズメイトは長年続いてきた苦戦状態がようやく底を打ったのではないかと考えられる。

ところで、今回はライトオンの客数減の多さが気にかかる。
何度も書いているが発表されている「客数」は「入店客数」ではなく「買い上げ客数」であるので、客数が減るということは買い上げ客数が減っているということになる。
今回はその分、客単価が増えているので、複数の商品を購入する人が増えたのか、昨年よりセール商品の値引き率を高止まりさせたかのどちらかだろう。

買い上げ客数減少ということは、それだけ「消費者が欲しい」と思える物が無いということなので、小売業では要注意である。
客単価減少よりも客数減少の方が小売店にとっては深刻な問題である。

さて、あと1週間後には冬セールが大々的に始まるのだが、今回のセールは盛り上がるのだろうか?

小資本でも生き残りは可能ではないか

 12月19日、ヒルトン大阪のヒルトンプラザイースト3階にレディースブティック「ギャビィ」がオープンした。
なんでわざわざここで紹介するかというと、非常に小規模なレディースブティックだからだ。

写真
写真2

昨今の情勢では、都心一等地の商業施設にショップを構えるのは大手資本によるブランドだと相場が決まっている。その結果、どの商業施設も同じようなブランドがテナントとして納まっている。
「日本初出店」「関西初出店」などの文字が躍り、それが人目を引きつけるのはわずかな期間で、3年もしないうちに近隣に二号店、三号店が出店され、梅田も心斎橋も天王寺も同じラインナップですねということになる。

この「ギャビィ」は関西に4店舗しか展開していなかった。
南森町、千林店、香里園店、甲陽園店(西宮)である。
今回このうち、千林店と甲陽園店を閉店しての梅田のヒルトンへ出店である。

社長の福山陽さんに尋ねると「来年(2013年)で創業30周年を迎えるところへ、今回の話が持ち込まれたので決意しました」という。

4店舗で30年も続けてこられたところが大したものだと思う。
オリジナルブランドとイタリアからのインポートブランドを扱っていて、ジャケットやスーツは10万円くらいするし、セーターなんかも3万円くらいする。現在の通念だと「高い服」に分類される。
オリジナルブランドも扱っているブランドもそれほど有名でもない。

だから今後も爆発的に大きくなることはないと思うが、30年もやって来られたということはそれだけ固定客が存在するということだろう。
2年や3年、5年くらいはまったく売れなくても借金でなんとかビジネスを続けることはできる。しかし、10年以上続けようと思うとそれなりの売上高と利益がなくてはだめだ。
例え4店舗だとしても。

通常、繊維アパレル業界の人や我々も含めた報道側もついつい「年商規模は500億円」とか「中期目標で売上高100億円を目指す」などという情報に関心を向ける。
けれども真に価値のある情報とは、小規模ながら20年や30年続けてこられている企業の取り組みではないだろうか。
そういう情報が発信されないと、中小零細企業はまったく先行きに希望が持てない。生き残っているのは大手資本ばかりという状況になってしまう。現に繊維アパレル業界はそのようになりつつある。

もちろん「ギャビィ」にも幸運な側面はある。
例えば2013年で30周年を迎えるというからスタートしたのは83年だったということになる。
83年といえば高度経済成長は一段落したが、数年後にはバブル経済を迎えるほんの手前の時期である、今とは比べ物にならないほど景況感のあった時代であろう。
筆者は当時13歳なので景況感などまったくわからないのだが。

だから高額な商品も今よりは売りやすかっただろう。
その当時のお客が固定化し、今まで「ギャビィ」を支えてきたのだと思う。
もしスタート時が2000年代だったら、そういう高級店が支持されたかどうかわからない。固定客が多数生まれたかどうかも疑問だ。
そういう観点から見ると、時代の流れに上手く乗ることができたのではないかと思う。

けれども過ぎ去った良き時代をうらやんでいても仕方が無い。
今の情勢を踏まえる必要がある。それでもこの店には他の中小零細企業が参考にできる要素があるのではないかと思う。

報道側もそういう情報を拾い上げることができれば、繊維アパレル業界も変わるかもしれない。
そんなことを考えさせられた。

解体に向かう「ジーンズ村」

 先週金曜日に「児島の洗い加工場が破産申請する」と電話をもらったことはブログに書いた。
その洗い加工場は吉田染工で、正式に発表となったようだ。

吉田染工(株)/自己破産へ
http://n-seikei.jp/2012/12/post-13115.html

14日に事業停止し、破産申請の準備に入ったという。
負債総額は4億円だそうだ。

電話をくれた知人によると、受注が途切れることはなかったものの資金ショートに陥った結果だとのこと。

ご存知の方も多いが、この吉田染工はビッグジョンの洗い加工を主力に担当しており、大手洗い加工場の一つだった。

ジーンズの製造工程には洗い加工という工程が必ずある。
通常のカットソーやシャツ類には洗い加工という工程はない。最近でこそ、洗い加工を施したシャツやカットソーもあるが、必須ではない。洗い加工が必須であるアイテムはジーンズだけである。

かつてジーンズナショナルブランドが隆盛を極めていたころ、ブランドごとに主力となった洗い加工場があった。
エドウインは豊和、リーバイ・ストラウス・ジャパンは西江デニム、ボブソンは晃立、ビッグジョンは吉田染工、ラングラーは共和と言った具合だ。

このうち共和は数年前に廃業し、吉田染工は今月破産申請した。

今回の吉田染工の破綻原因について、先の記事では「海外生産の増加とジーンズ不振」を挙げている。
しかし、産地で尋ねるとそれだけではないという人もいる。
ジーンズ不振と言われながらも、ジーンズ関連企業は毎年続々と生まれている。
大手ブランドからの独立組、大手製造業からの独立組が小規模企業を立ち上げるためだ。

洗い加工場も例外ではない。独立組が立ち上げた新しい洗い加工場が生まれている。
ジーンズの国内生産総量自体はあまり増えていないにも拘わらず、製造先・加工先が増えるということは、一社あたりの売上高が減るということになる。
そういうことが製造業各社を苦しめているという。

なるほど。

そういえば、今月初めに6社が加盟する「岡山デニム協同組合」が発足したというニュースがあった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121204-00000062-minkei-l33

参加企業は「Klax-on(クラクション」(中庄)、「馬野」(岡山市北区)、「正藍屋」(児島上の町)、「バンザイ帝國」(児島味野)、「ミズタニ」(井原市)、「ハイロック」(児島田の口)の6社だが、ジーンズ業界に詳しい方以外はあまりなじみのない企業名ではないだろうか。
それぞれがオリジナルジーンズブランドを持っているが、どれも小規模である。

製造業・加工業だけではなく、ジーンズブランドもこのような小規模な独立組・新興組が次々と生まれている。

かつてジーンズというアイテムはナショナルブランドか専業メーカーにしか作れないアイテムだった。
かつてと言ってもほんの10年ほど前のことである。
しかし、ナショナルブランドや専業メーカーのOBや早期退職組がOEM/ODM事務所を多数立ち上げたため、ジーンズ製造のノウハウが業界に広まった。今ではそういう先に依頼すればどんなブランドでも及第点くらいのジーンズは製造できるようになった。
現にタケオキクチにもバーバリーブラックレーベルにもまともなジーンズが並んでいる。

それと同じことが製造業・加工業でも起きている。
かつての大手加工業が消えるということはその象徴的な出来事といえるのではないだろうか。

共倒れの危険性も感じるのだけど・・・・・

 阪急うめだ本店がリニューアルオープンし、JR大阪駅前はさらに混雑が増したように感じる今日この頃。
同じ駅前の大丸梅田店、阪神百貨店もそれなりに堅調な人入りである。
ルクアも昨年よりはやや落ち着いた感じはあるが、それでも人入りはまずまずである。
残るJR大阪三越伊勢丹はどうかというと相変わらず、人入りは少ない。

昨日このような記事が掲載された。

JR大阪三越伊勢丹、売り場縮小へ ルクアと一体的展開
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000033-asahi-ind

苦戦のJR大阪三越伊勢丹、隣の「ルクア」からテナント
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000589-san-bus_all

百貨店のJR大阪三越伊勢丹(大阪市)が売り場面積を縮小し、空いたスペースは専門店を運営する好調なルクアと一体的に展開することが分かった。2014年度末までに改装する。大阪三越伊勢丹は11年5月の開業から苦戦が続いており、専門店との融合で売り場の魅力を高め、収益改善を目指す。

JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)は大阪三越伊勢丹のてこ入れ策を話し合ってきたが、百貨店業態だけでの生き残りは難しいと判断。面積縮小で費用を削減し、専門店の導入で再建を図る。(朝日新聞)

との内容である。また

JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)が来年3月をめどに検討を進めているJR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)の再建策について、隣接するファッションビル「ルクア」のテナント店を入れる方向となったことが、19日に分かった。収益力の高い専門店で売り上げ増を図る。

平成26年度末までに行われるルクアとテナント店との契約更新に合わせ、売り場の拡大を求めるルクアのテナント店をJR大阪三越伊勢丹に移す考えだ。(産経新聞)

という。

ルクアのテナント店をJR大阪三越伊勢丹に移すというのが今回の主眼である。

筆者は意識的にJR大阪三越伊勢丹を見に行くようにしている。たいがい平日夕方7時くらいに行くのだが、いつ行っても閑散としている。時間的に地下二階の食品フロアはさみしくない程度にはお客が入っている。だが、決して混雑しているというレベルではない。

そこから上へ足を延ばす。
地下1階もまあ、人はいる。
地上1階はポツポツと人がいる。
地上4階くらいまでは何とかお客の姿を見ることができる。
地上4階から上はほとんどお客がいない。従業員のみのフロアも珍しくない。

毎日、24時間見ているわけではないので、混雑している時間帯や曜日もあるのかもしれない。
しかし、行くたびにこういう光景なので、平均すると人入りは少ないのだろうと判断できる。

正直な感想を言うなら、今年度の売上高は初年度を上回ることは決してないだろう。
なぜなら、「不振」と言われた初年度でも6月ごろまではオープン景気で、何十万人という客入りがあった。
今年度はそのオープン景気がない。入場客数は格段に落ちているはずだ。
これは筆者の推測だが、来年4月末までの全館売上高は300億円を下回るのではないだろうか。

その「テコ入れ策」としては、導入しているブランドを大きく入れ替える必要があるのだが、
駅前には阪急、大丸、阪神と百貨店が3つもあり、めぼしいブランドはどれかに入ってしまっている。
おまけに来春には伊勢丹の北側に「グランフロント」が開業する。ここに入店する有名ブランドもそれなりの数があるため、めぼしいブランドの導入は最早望めない。

そうなると、隣のファッションビル「ルクア」に入店するようなSPAブランドやセレクトショップの導入しか手はなくなる。今回の「ルクア」のテナントの一部を移動させるというのは、次善のプランであるとはいえる。

しかし、ルクアとJR三越大阪伊勢丹は同じJR西日本グループの運営するビルとはいえ、10階と5階と3階と地下1階くらいでしかつながっていない。10階はレストラン街であるので除外する。
こう考えるとルクアと伊勢丹は非常に回遊性が悪い。JR大阪三越伊勢丹の10階レストラン街は比較的混んでいる。その理由の一つはルクアと地続きであるためだ。

回遊性が悪いと、せっかくルクアからテナントを移動させてもあまり効力を発揮しないだろう。
とくにルクアからお客が流れてくることはそれほど期待できない。

もしかしたら主力テナントが入れ替わったルクアの売上高も下がってしまう可能性も否定できない。
今回の措置はルクアとJR大阪三越伊勢丹が共倒れになる危険性もあると考えている。

さて、先に引用した産経新聞の記事で気になる個所がある。

JR西日本の真鍋精志社長は同日の記者会見で「早期に再建策を作るべく、スペースの使い方を含めて検討をしている」と述べた。三越伊勢丹HDは「売り場面積の縮小は考えていない」とコメントしている。

とのことだが、三越伊勢丹側は「売り場面積の縮小は考えていない」とコメントしているがこれはどういうことだろうか?もしかして、先のプランはまだ内部でも確定できていないのだろうか?
伊勢丹側の売り場面積を縮小しなければルクアからテナントを導入することは不可能である。
伊勢丹側は単体でのテコ入れ策を模索中なのだろうか?

ルクアのテナントを導入するにしろ、そのプランが内部でコンセンサスを得ていないにしろ、今回の記事はその迷走ぶりが明らかになったと感じるが、みなさんはいかがだろうか?

高額インポートジーンズの市場規模

 2005年にブームだった高額インポートジーンズブランドだが、2008年以降ブームは終息した。
けれども、百貨店のジーンズ平場や一部のセレクトショップではいまだに根強い人気がある。
これを指して「高額ゾーンは堅調だ」という人もいるが、個人的な体感としては「堅調」とは言い難い雰囲気を感じる。
堅調ならなぜ「ヤヌーク」は2008年から日本でライセンス生産を始めたのか。
「ヤヌーク」はカイタックインターナショナルがライセンス生産することで販売価格を1万円くらい下げることに成功している。このライセンス生産によって2万8000~2万9000円だった価格が、1万8000~1万9000円程度に下がっている。
そこには2万円台後半の価格帯では消費が維持できないとの判断があったからではないのか?

さて、どうしてこのようなことをクドクドと書いているかと言うと、先日、洗い加工場で「高額インポートジーンズブランドの市場はどれくらいの規模か?」という話題が飛び出したからである。

その洗い加工場の社長と専務は「ピーク時(2005・2006年)は全ブランド合計の売上高が200億円前後」と見ておられた。そして、現在の全ブランド合計の売上高を「70億~80億円程度」とも見ておられた。

彼らの試算が正しければ、高額インポートジーンズブランド市場はピーク時の半分以下ということになる。

これを堅調と見るか、激減と見るかは意見の別れるところだろう。
個人的には「激減」と判断しても良いと考えている。
そして筆者と洗い加工場側と一致したのは「高額インポートジーンズ市場が今後爆発的に拡大することはない」という点である。
70億円が100億円になることはあっても、ピーク時(200億円)を越えるくらいに回復することはないということである。

現在も欧米では毎年新しいプレミアムジーンズブランドが生まれている。
それらは順次日本にも上陸し続けるわけだが、日本国内における高額インポートジーンズ市場というのは、80億円内外の市場を小規模な多数のブランドで分け合っている現在の状態が今後も続くのではないかと考えられる。
しかし、それこそが正しい高額ゾーンの消費の姿だとも思う。

ジーンズに1万9000円以上をためらいもなく払えるという人は少数派なのである。

縫製工場は自己発信が足りないのでは?

 昨日、井原市や神辺の産地を回っていて、話しているとあることに気が付いた。
ちなみにこのあたりはジーンズの一大産地である。

ジーンズについては最近は、一般消費者もかなり詳しい知識を持っている。
「Lightning」や「Free&easy」などのマニアックな雑誌のおかげだろう。
以前ならこだわりジーンズを詳細に解説するくらいだったが、最近だと生地メーカーや洗い加工場の工場現場まで取材に行って、写真やその工程を紹介している。
下手な業界紙よりも詳しくレポートされている場合もある。

われわれ取材する側の人間もジーンズの産地企業として、
生地メーカー(カイハラやクロキなど)と洗い加工場(豊和や西江デニムなど)はよく知っている。
けれども縫製工場はなかなか知らない。
生地メーカーや洗い加工場に教えてもらうことがほとんどである。

その原因について「縫製工場の自己発信、メディア露出がほとんどないからでは?」という結論に達した。
最近、レディースアパレル向けの縫製工場で自己発信を行い、業界紙などにも提言を行うところがいくつか現れているが、ジーンズ関連ではまだまだ少ない。
ジーンズ関連ではナショナルブランドの直営工場以外で、それほど大きい縫製工場は存在しない。多くが小規模工場である。

ある生地メーカーは「『○○ブランドの縫製を手掛けています』と発信することで、他のメーカーから仕事が来なくなることを恐れているのではないか?」との見方を示した。
たしかに、自己発信したりメディアで取り上げられたりすると、そういう反応もあるのかもしれない。

それでも縫製工場はもっと発信した方が良いと思う。

今でこそ生地メーカーや洗い加工場は「世界的○○ブランドに生地を販売しています」とか「あの人気ブランド○○の洗い加工を手掛けています」と自己発信し、それがステイタス性を生んでいるが、ほんの10年ほど前は「どこのブランドに生地を販売しているか言うと叱られる」という態度だった。
実際にそういう仕打ちを過去に受けていたのだろう。

けれども業界紙のみならず一般紙も盛んにそういう記事を載せ始めた。
すると、彼らも自信を持ったのか、思ったほどの叱責を受けなかったのか、ポロポロと口を割り始めた。(笑)

発信して露出するとそれを見たブランドやアパレルから新規で問い合わせがある。
それで販路が徐々に拡大していった。

そういう意味では、縫製工場も広く名前を知られた方が良い。
縫製工場を探しているアパレルやブランドは数多くあると思うが、具体的な工場名を知らないので、問い合わせのしようがない。
だから商社の製品部門やOEM業者、よくわからない謎のコーディネイターに依頼することになる。

もし、自社ホームページでだけでも発信することができれば問い合わせ件数はグッと増えるだろう。

生地メーカーでいうならカイハラの知名度は絶大だ。
ジーンズを作りたいと思っている人間なら真っ先に「ダメ元でカイハラに問い合わせてみよう」と考える。
縫製工場もそのような姿を目指してみてはどうだろうか?

そのカイハラでさえ、一般に知名度が高まったのはこの10年くらいである。
90年代前半にカイハラを知っている一般消費者はいなかっただろう。
カイハラを見ていればわかるが、情報発信は積み重ねが重要だ。

国内にはまだまだ優れた技術を持った縫製工場が残されていると聞く。
それをぜひとも発信していただきたい。

洗い加工の聖地では?

 デニムの生産地というと一般的に「児島」と返ってくる。
しかし、岡山県倉敷市児島にはデニム生地の製造工場はない。
あるのは洗い加工場と縫製工場、それに生地問屋、ジーンズ専業アパレルである。
じゃあデニム生地の製造工場はどこにあるのかというと、岡山県井原市と広島県福山市周辺である。

児島にはビッグジョン、ドミンゴ、ジョンブル、ベティスミスを始めとするジーンズ専業アパレルが多数存在するので「デニム=児島」というイメージが定着したのだろう。
厳密に言うなら、個人的には児島は「洗い加工の聖地」じゃないかと思う。

しかし、「児島=デニム」というイメージを定着させたことは上手かったのではないか。
専業アパレルが多数あるため、マスコミ、とくにファッション雑誌への打ち出しが他の地域と比較すると盛んだったことが幸いしたのではないだろうか。

今でこそ、デニム生地メーカーがファッション雑誌や一般のテレビ番組でも採り上げられるようになったが、ほんの10年前までは、デニム生地メーカーを始めとする製造加工業が採り上げられることは皆無に等しかった。
そういう過去の事情を考えると、ジーンズ専業アパレルがほとんど見当たらなかった岡山県井原市周辺は地味な扱いを受けても仕方がなかったかと思える。
一方、タカヤ商事やブルーウェイ、コダマコーポレーションなどのジーンズ専業アパレルが存在する福山市周辺はなぜ児島ほど知名度が高まらなかったのだろう?そこは不思議な現象である。

もしかすると過去の広告費用の使い方に差があったのだろうかと穿った見方をしてしまう。(笑)

なにはともあれ、この児島、井原、福山を合わせて業界では「三備地区」と呼ぶ。
以前、業界紙の大先輩から「備前、備中、備後の総称だから」と教えていただいたことがある。
国産デニム生地は欧米でも高く評価されているので、疲弊する他の国内産地よりもマシだと思われているフシがある。しかし、その「三備地区」とて現実は厳しい。
倒産や廃業が毎年後を絶たない。

「洗い加工王国」の児島だが、数年前、洗い加工大手の共和が廃業した。
その後も洗い加工場の廃業・倒産は続いている。
実は、今月14日の金曜日にも知り合いから「某洗い加工場が資金ショートして破産申請する」と連絡をもらった。
そういえば、以前、某コンサルタントの方から「今年は年末にかけて全国的に繊維産業の倒産・廃業が増えるもしれない」との予想を伺っていた。
どうやらそれが現実になる可能性が高いようだ。

そんなこんなで先週金曜日の電話で、改めて製造・加工業の厳しさを痛感した次第だ。

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