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南充浩 オフィシャルブログ

小資本でも生き残りは可能ではないか

2012年12月25日 未分類 0

 12月19日、ヒルトン大阪のヒルトンプラザイースト3階にレディースブティック「ギャビィ」がオープンした。
なんでわざわざここで紹介するかというと、非常に小規模なレディースブティックだからだ。

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昨今の情勢では、都心一等地の商業施設にショップを構えるのは大手資本によるブランドだと相場が決まっている。その結果、どの商業施設も同じようなブランドがテナントとして納まっている。
「日本初出店」「関西初出店」などの文字が躍り、それが人目を引きつけるのはわずかな期間で、3年もしないうちに近隣に二号店、三号店が出店され、梅田も心斎橋も天王寺も同じラインナップですねということになる。

この「ギャビィ」は関西に4店舗しか展開していなかった。
南森町、千林店、香里園店、甲陽園店(西宮)である。
今回このうち、千林店と甲陽園店を閉店しての梅田のヒルトンへ出店である。

社長の福山陽さんに尋ねると「来年(2013年)で創業30周年を迎えるところへ、今回の話が持ち込まれたので決意しました」という。

4店舗で30年も続けてこられたところが大したものだと思う。
オリジナルブランドとイタリアからのインポートブランドを扱っていて、ジャケットやスーツは10万円くらいするし、セーターなんかも3万円くらいする。現在の通念だと「高い服」に分類される。
オリジナルブランドも扱っているブランドもそれほど有名でもない。

だから今後も爆発的に大きくなることはないと思うが、30年もやって来られたということはそれだけ固定客が存在するということだろう。
2年や3年、5年くらいはまったく売れなくても借金でなんとかビジネスを続けることはできる。しかし、10年以上続けようと思うとそれなりの売上高と利益がなくてはだめだ。
例え4店舗だとしても。

通常、繊維アパレル業界の人や我々も含めた報道側もついつい「年商規模は500億円」とか「中期目標で売上高100億円を目指す」などという情報に関心を向ける。
けれども真に価値のある情報とは、小規模ながら20年や30年続けてこられている企業の取り組みではないだろうか。
そういう情報が発信されないと、中小零細企業はまったく先行きに希望が持てない。生き残っているのは大手資本ばかりという状況になってしまう。現に繊維アパレル業界はそのようになりつつある。

もちろん「ギャビィ」にも幸運な側面はある。
例えば2013年で30周年を迎えるというからスタートしたのは83年だったということになる。
83年といえば高度経済成長は一段落したが、数年後にはバブル経済を迎えるほんの手前の時期である、今とは比べ物にならないほど景況感のあった時代であろう。
筆者は当時13歳なので景況感などまったくわからないのだが。

だから高額な商品も今よりは売りやすかっただろう。
その当時のお客が固定化し、今まで「ギャビィ」を支えてきたのだと思う。
もしスタート時が2000年代だったら、そういう高級店が支持されたかどうかわからない。固定客が多数生まれたかどうかも疑問だ。
そういう観点から見ると、時代の流れに上手く乗ることができたのではないかと思う。

けれども過ぎ去った良き時代をうらやんでいても仕方が無い。
今の情勢を踏まえる必要がある。それでもこの店には他の中小零細企業が参考にできる要素があるのではないかと思う。

報道側もそういう情報を拾い上げることができれば、繊維アパレル業界も変わるかもしれない。
そんなことを考えさせられた。

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