新会社でも自家工場群は残してもらいたい
2012年12月31日 未分類 0
年明け早々にどう決着するのか話題を集めているのがエドウインの再建問題だろう。
12月14日の新聞報道によると、伊藤忠商事、豊田通商、ワールドが支援に名乗りを挙げているという。
ジーンズ業界に長く携わった者として、エドウインの再建問題の衝撃は大きい。
ジーンズナショナルブランド各社の売上高が年々縮小していく状況下で、最後の砦とも言える企業だった。
支援に名乗りを挙げた3社のうち、どこに支援先が決まろうとも、従来のエドウインとは企業風土の異なった新しいエドウインになるだろう。当然、純然たる「ジーンズ専業アパレル」ではなくなる。
経緯を整理すると8月下旬に200億円の損失隠しが報じられ、その後、さらなる損失隠し、債務超過などが報じられた。
今秋の報道によると、300億円を超えるデリバティブ損失、600億円にも及ぶ資産架空計上、500億円を超える債務超過状態、10年以上の粉飾決算などがあったとされている。
それを受けて、
12月14日に約20行の金融機関を集めた債権者説明会を開き、金融機関の債権放棄を伴う私的整理で再建を目指す方針を確認した。同社を巡っては、証券投資の失敗による損失を隠した不正経理の疑いが浮上。事実関係の解明と支援企業の選定を進めた後、常見修二社長は経営責任を取って退任する意向を示した。
と日経新聞が報じている。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD140O6_U2A211C1TJ1000/
私的整理すると企業は通常どうなるかというと、
一般的に私的整理で事業を継続する場合は、金融機関に債権放棄を求めるが、取り引き先との債権・債務は全額清算されるか、事業を継承した会社に引き継がれる。
と12月18日の繊研新聞が解説している。
ということは、事業継承会社の「新エドウイン」のような企業が立ち上げられ、現在の業務はそちらに引き継がれると見るべきだろう。
新会社の経営陣は支援企業から来ることが確実視されているので、企業体質は明らかに変わってしまう。
良いも悪いも含めた「ジーンズ専業アパレル」らしさとは、今後決別することになるだろう。
ただ、新会社になっても何とか東北地方(青森、秋田、宮城)にある15の縫製工場・加工場は残してもらいたいと思う。そこまで大規模な自家工場群を持つジーンズ専業アパレルはエドウインしかいない。
ある大手洗い加工場社長が今年7月ごろ「自社製品の製造を自家工場である程度賄いきれるジーンズアパレルはエドウインのほか、ドミンゴ、ブルーウェイくらいしか残っていない」とおっしゃっていた。
エドウインの場合、これでもピーク時よりは自家工場数が減ったと言われるが、それでも規模は業界でも群を抜いている。
エドウインのジーンズは海外でも高い評価を受けていると聞く。
そういう物作りの体制・体質を、何とか新会社でも残してもらいたいと切に望む。