月別: 9月 2012 (1ページ / 2ページ)

底打ち感が出てきたジーンズメイト

 恒例のライトオンとジーンズメイトの9月度売上速報が発表された。

ライトオンは
既存店売上高が前年比6・8%減
既存店客数が同5・5%減
既存店客単価が同1・3%減

だった。

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比2・8%増
既存店客数が同5・5%増
既存店客単価が同2・6%減

だった。

この両社は20日締めなので、9月の高気温の影響をかなり受けていると考えられる。
9月21日夜から急激に秋らしく気温が低下したため、その恩恵を受けていない。

友人のOEMメーカーからは「高気温が続いた9月は、追加も新規もさっぱり話が来なかった。秋分の日に冷え込んでからはようやく声がかかるようになった」との声を聞いている。

気温が急激に上がれば夏物が、気温が低下すれば秋冬物が動くのが昔から変わらない消費動向だが、今回もそれに当てはまったようだ。

ジーンズメイトは8月度に続いて、前年実績を更新しており、ようやく下げ止まり感が出てきたといえる。

昨年の9月度は

既存店売上高が前年比17・8%減
既存店客数が同31・9%減
既存店客単価が同20・7%増

だったことを考えると、今年9月度の実績は「好調に転じた」というよりも「底打ち感が出てきた」というほうが正しいのではないか。

展示会場でのデジャビュ

 先日、某小規模アパレルの展示会にお邪魔した。
このアパレルの卸売り先は小型専門店が多い。
展示会を拝見した感想だが、迷走している小型専門店が多いと感じる。

展示会で多いのが「どの商品が売れ筋?」と尋ねる風景。
売れ筋情報を収集することは非常に重要である。
問題は次の言葉。「売れ筋の1位から5位まで仕入れるわ」。
で、この専門店は他のアパレルでも「売れ筋のみ」を仕入れる。
その結果、店はアパレル数社の「売れ筋の集合体」となる。

さて、この手の店が売れていると聞いたためしがない。
先ほどのアパレルに聞くと、「各社の売れ筋上位だけを集めている店はたいてい売れ行きが悪い」との答え。

生地の展示会にお邪魔することも多い。

いろいろなアパレルが商談をしている。
今度はアパレルが生地を仕入れる側である。
「どの生地が売れ筋?」
あれあれ?どこかで見たような光景が・・・・・・・・・(・∀・)

売れ筋情報を収集することは非常に重要である。
問題は次の言葉。「売れ筋の1位から5位まで仕入れるよ」。
デジャビュ・・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ

以下リフレイン。

まるっきり同じことが繰り返されている。
念のために付け加える。きちんとコンセプトを持って、自社のブランドを考慮して、しっかり商品計画を立てる専門店やアパレルも少なからず存在する。
けれども、先ほどのような企業もかなりの割合で存在する。

最近では、展示会で「売れ筋上位ランキング商品」をPOPにして貼り出す企業もある。
以前にもご紹介した丸安毛糸なんかはそうだ。
以前に掲載した写真を再掲載する。

IMG_0319

(丸安毛糸の売れ筋ランキングPOP)

このPOPの効果は絶大で、売れ筋上位に受注は集中するそうである。

先ほどの「売れ筋集合体」を企画するような企業はとくに、物を自分で判断せずに、売れ筋情報に判断基準を委ねているということになる。

ここで「売れ筋上位ランキング」POPの活用法を提案したい。

いっそのことランキング内にこっそりと自社が売りたい商品も忍ばせておいてはどうか。

「売れ筋集合体」を志向するような先は、結局「売れ筋」という安心材料が欲しいだけだろうし、各社の売れ筋ばかりを集めたところで売れない。

ハリウッド映画の大半が「全米ナンバーワンヒット」を称するようなもので、生地や素材メーカー、アパレルメーカーだってこの程度のプロモーションの術策を使っても良いのではないか。

まあ、しかし、「売れ筋集合体」を志向する小売り店やアパレルの多いこと。

売れ筋のみを集めるということは、他社と同じ物だけを扱っているということになってしまう。
そこで同質化が起きる。
同質化すると必ず価格競争が起きる。同じ物なら安いに越したことはない。
350ミリリットルで100円のコカコーラと、350ミリリットルで120円のコカコーラがあればどちらで買うかは明白である。わざわざ120円のコカコーラを買う人はよほどの物好きであろう。

そんなわけで、展示会場での「売れ筋ランキング」POPはかなり有効に活用できますヨ。

アメリカ村復活のきっかけになるかな??

 先日、東京から出張してきたデザイナーにアメリカ村で会った。
彼らの感想が面白かった。
「ダボダボのBボーイスタイルの人がたくさんいてびっくりした。あんなかっこうの人は東京ではほとんど見かけなくなりましたよ(笑)」。

ここでいうBボーイスタイルとはヒップホップ系のファッションを指しており、10年ほど前までは、ダボダボのパンツにダボダボのTシャツを着用するというのが定番だった。
しかし、トレンドがタイトシルエットに移るにつれて、そういう人たちは徐々に姿を消して行った。
今もヒップホップテイストを好む人はいるようだが、その昔に比べるとずいぶんとジャストサイズの服を着用するようになっている。

こういう背景があり、先ほどの感想につながる。
東京都心ではヒップホップ系ファッションの人自体が少なくなり、ごくまれに見かけたとしてもジャストサイズの服を着用していることが多い。

しかし、アメリカ村には希少種の往年のヒップホップスタイルの人が多数存在しており、東京から来た彼らの目を惹いたというわけである。

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(希少種のヒップホップスタイル)

昔は大阪のファッションの中心といわれたアメリカ村だが、今はそうではない。
何しろ全国的に絶滅したと思われている希少種が多数生き残っているほど、トレンドとは無縁の地域だ。

今は安物を叩き売るような店ばかりだし、まともなブランドはほとんど退店してしまった。
以前なら「タケオキクチ」「ボイコット」「無印良品」「ビームス」「ユナイテッドアローズ」「シップス」「アーバンリサーチ」「ディーゼル」というような錚々たるブランドがアメリカ村内に店舗を構えていたが、今では「アルマーニエクスチェンジ」「ラブレス」「アディダス」「アメリカンアパレル」「アグ」くらいだろうか。

その彼らだっていつまで店を構えているかはわからない。

で、ここからが本題なのだが、9月22日、デンマークの雑貨ショップ「タイガー」が1ヶ月強の休業から再オープンした。
この辺りのくだりは、日経トレンディの記事が詳しいのでそちらに譲りたい。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120921/1043725/

「タイガー」というブランドは、アメリカ村内にオープンしたショップとしては、久しぶりの大ヒットブランドだと思う。
先年、ムートンブーツブランド「アグ」がオープンしたが、タイガーほどの大騒動にはならなかった。
タイガーの店舗運営は、日経トレンディの記事内でも指摘されているように商品供給に危うさが付きまとっている。しかし、アメリカ村でこれほどの成果を挙げたブランドは本当に久しぶりである。

オープン当日に行列ができるのは当たり前。
行列ができたからといって、その後も売れ行きが好調とは限らない。
そんな事例はここ数年掃いて捨てるほどある。そのうちにひっそりと閉店している。

だからオープン当日の「○○人が行列を作った」という記事は別に興味が無い。
タイガーは商品供給や、店内オペレーションのまずさがあったとはいえ、その後も行列が出来続けた。
そういう意味ではこの注目度は本物だろう。それがいつまで続くかはわからないけれども。

もしタイガーがこのまま成功すれば、アメリカ村にもう一度、ブランドショップがある程度戻ってくるのではないかと期待をしてしまう。

タイガーを起爆剤としてアメリカ村が再構成されることはありえるのだろうか。
注意深く眺めてみたい。

一過性のイベントではなく継続的な取り組みが必要

 八王子のみやしんの廃業について、多くの方が意見を書かれている。
個人的にはみやしんについて知識を持ち合わせていないので、書きようがない。

これについては、奥田染工場のブログを読んでいただくのが一番だと思う。
ちょっと長文であるが、八王子の同業者として、製造業者としての衷心がにじみ出ている。

みやしんの廃業について思うこと 『いいものを作ることと儲かることはそもそも違う』について:ゆるゆるnotes
http://blog.okudaprint.com/2012-09/miyashin

また、台東デザイナーズビレッジの鈴木村長のブログもお薦めしたい。

八王子の工場見学
http://blog.livedoor.jp/tdv001/archives/54175898.html

産地製造業の廃業はこの八王子だけの問題ではなく、日本全国共通の問題となっている。
ファッション関連の人とお話しすると「デニムは世界的に有名ですから安泰ですよね」という言葉を聞くこともあるが、デニムの三備産地だって廃業はある。
児島の洗い加工場なんてずいぶん社数が減っている。いずれも倒産か廃業だ。

で、こうした状況がわかっているのかいないのか、アパレルブランドや百貨店などでは昨年あたりから「国産フェア」に類する催し物が増えた。
あえて催し物としたのは、売り場での物産展だけではなくイベントも含ませたいためである。

しかし、こうした一過性のイベントが産地復活の手助けになるとは思えない。
もちろん、やらないよりはましだが、その程度の効果しかないと思う。
そこには継続的な取り組みが求められる。
アパレルや百貨店が真に産地復興を望んでいるのなら、一回こっきり・その場限りのイベントで終わらせるのではなく、継続的に少量ではあってもその産地との取り引きを一定期間継続すべきである。

この部分については先ほどの鈴木村長のブログから引用させていただく。
自分の言いたいことが、ほぼそのまままとめられているからである。

みやしんの廃業について元アパレルトップで、現在小売業の方が書かれたブログ記事がありました。
その中に、工場で織り傷を見つけた部下を褒める記述がありました。

なるほどアパレルらしい、百貨店らしいと感じました。
織物の魅力や価値を認めるのではなくて、傷などの品質しかわからないのだ、と。

また、ファッションショーで生地を使うことが支援だとか、生地以外のコスト削減を提案していました。
それらも無いよりはあったほうがいいでしょう。

本来国内アパレルや百貨店がすべきことは、
そんな一過性のイベントや、小手先だけ対処療法ではなく、
織物を活かす企画をすること。
そのために工場にもっと出向く、理解する、協働する仕組みと社風を作ること。
織物や織物工場の価値や魅力をお客様に十二分に伝えること。
じゃないのでしょうか。

とのことである。

これまでアパレルやブランド側は、産地企業が表に出ることを極度に嫌がってきた。
近年その傾向はようやく崩れつつある。
ユニクロが自社のジーンズにカイハラのタグを付けて販売することはその典型例だろう。
しかし、多くの産地企業は往年の因習に今も囚われている。ダジャレではないがトラウマになっていると感じる。

いろいろな産地企業に、「取り引き先各社に、『貴ブランドでうちの生地が採用されています』と告知したいのですが、よろしいでしょうか?」と問い合わせてみたらどうかと提案するが、ほとんどの企業は「そんなことしたらブランドから叱られる」と答える。
その確率は体感的に7割を超えるのではないか。

けれどもブランド側の姿勢も随分と変わっており、打診をすれば4~5割の先は「いいですよ」と答えると考えている。

昨日、話していたら日本には生地ブランドが無いことに気が付いた。
人口に膾炙しているのは、西陣織だとか○○縮だとか、●●紬だとかほとんどが和装の生地である。
しかも地域ブランドであって、企業ブランドではない。

これまで産地の価値を伝えて来なかったアパレルやブランド側にも責任はあるが、過ぎたことを言っても仕方がない。今後はアパレル側も、そしてトラウマを乗り越えて産地側も情報発信をする必要がある。
ちょっと遅すぎる感じもするが、おそらくこの機会を逃せば国内産地のほとんどが無くなってしまうだろう。

生地作りも縫製もオートメーション化されてるわけではない

 暑さ寒さも彼岸までというが、いやはや今年は彼岸でピタリと涼しくなった。
21日までの暑さが嘘のようである。

そんな中、22日まで4日間もJIAM(国際アパレルマシンショー)という展示会でブースのお手伝いをした。
何が展示されているかというと、ミシンとか裁断機とか、ハンガーだとかそういうアパレル製造に必要な機械のモロモロが展示されている。

ブースでお留守番をしたり、ときどき他のブースに取材に伺ったりして4日間を過ごした。

お邪魔したブースの中の一つにヤマトミシンがある。
今回いろいろと新製品を発表されていたのだが、その中から一つを紹介されたときに、「自分も含めて洋服の生産現場をどれほど想像できているのかなあ」と思い知らされた物がある。

それは熱圧着用の圧着機である。

防水ジャケットなどは通常針と糸では縫わない。
針の穴から水が浸入するからである。本格的な物は熱圧着されている。
糊(接着材)を熱で溶かして、生地と生地をくっつける。
その際、100度以上の熱で溶かすし、機材によっては蒸気も出す。
だから、その製造現場は、高熱が充満しており、オペレーターは汗だくで作業するとのことである。

今回のヤマトミシンの圧着機は全体的に高熱を出さずに、ほんの1か所だけが熱くなることで省電力のほか、部屋の中の温度上昇を抑えられるという。

この説明を聞いて、自分が「そんな苦労をすっかり忘れていた」ことに気が付かされた。
各製造現場の人たちはクーラーの効いた快適な状況で作業をしているのではない。
むしろ暑かったり寒かったりという厳しい環境で作業をされている。

何度も現場を拝見して知っていたはずなのに。

先日、福井でダナックスの合繊染色工場を見学させていただいた。
ほとんど自動化されており、人員はそれほど必要ないようだが、合繊は高温で染色する。
当然、工場の中はかなり高温である。ここで毎日作業するスタッフは冬は暖かいかもしれないが、夏は汗だくである。

これは生地を織ったり、編んだりする工場だって同じだ。
めちゃくちゃ暑い中で生地を織ったり編んだりしている。
湿度が高い方が糸が切れにくいとかで、かなり高温多湿な室温に調整しているところも少なくない。

こういう状況を目にすると、生地も服もけっして自動で作られているわけではないということを痛感する。
人が携わっているし、それもかなり厳しい環境下で作業をしている。
これを見たら消費者だって軽々しく「服は安かったらええやん」とは言えなくなるだろう。アパレルや商社、セレクトショップや百貨店の人間だって、「あと100円安くなりませんか?」とは軽々しく言えないだろう。

そもそも、アパレルの企画担当者は工場を見たことがあるのだろうか?

幸いにして普段交流させていただいている企画マンやデザイナーは、工場見学の好きな方が多い。

しかし、聞くところによると大手アパレルの企画担当者やデザイナーは工場を見たことが無い人も多いという。
だから彼らは「今すぐ新しい生地が織れませんか?」とか「来週までに縫製できませんか?」などと無茶を言う。
中には工場見学に誘うと「汚れるのがイヤ」とか「汚いから」と断る人もいるとか。

こんな人たちが企画やデザインをしているようでは、到底まともな物はできない。
他社の売れ筋の劣化コピーを思いつくのが関の山である。

自分たちが着飾ってキレイなオフィスで他社からパクって企画した商品を作ってくれているのは、彼らが嫌がる「汚い」場所なのである。彼ら・彼女らは、生地も縫製も完全オートメーションで作業されているとでも思っているのだろうか?
工場側の人間は作業はすべてロボットに任せて、自分らと同じように冷房の効いた快適なお部屋で機械の管理だけをしているとでも思っているのだろうか?

だからアパレルの企画の多くは、地に足のついてない浮ついた物で終わるのではないだろうか。

売るのも買うのも男性でした

 昨日、レディース肌着のことを書いたら、昔のことを思い出した。
97年に初めてレディース肌着という分野を担当することになった。

関西に本社がある企業がメインだったので
ワコール、グンゼ、ルシアン、アングルなどを定期的に訪問した。

97年までレディース肌着なんてまったく無縁だったし、テレビのCMを見ても女性ばかり登場するので、企業に勤務するのも当然女性が多いだろうと考えていた。

初めて訪問したときに、出迎えてくれた広報担当者、営業担当者、企画担当者のすべてが男性だった。
しかもサラリーマン然としたスーツをビシっと着こんでいる。
あれ?なんだかイメージがちがうなあ・・・・・・・・・・と感じた。

社内全体もどうやら男性の方が多そうだ。

そうは言うもの定期的に訪問するうちに、その環境に慣れてしまった。

しかし、女性の肌に直接着ける肌着は、やっぱり女性でないと分からないと思う。
ジーンズやセーターやジャケットなどは、女性向け商品であっても男性が企画できなくもないと思う。
肌着ほど厳密な着心地や機能性などは求められないからだ。
レディースブランドを展開する著名な男性デザイナーは数多い。
けれどもその多くは、ゲイであると言われている。
男性の感覚のままでは女性服をデザインしにくいのだろう。

肌に直接身につける物ではない女性服をデザインするにしても、それほどに女性的感覚が必要とされるのに、女性肌着ならなおさらではないのだろうか。

その後、それらのメーカーの展示会にも何度かお邪魔した。

例えばワコール。
当時のワコール社内は、女性肌着の売り上げ構成比が圧倒的に高い。
9割以上は女性肌着やブラジャーの売り上げだった。

量販店向けにはウィング事業部、百貨店向けには本体事業部と別れていた。
両方の事業部の展示会を覗いたことがある。
メーカー側も先日書いたようにスーツ姿の年配男性が多い。
その上、量販店や百貨店の女性肌着バイヤーも圧倒的に男性の方が多かったのである。

だから、メーカー側もバイヤーも両方とも背広を着込んだ50歳前後のオッチャンという光景も珍しくなかった。
初めて見たときはちょっと異様な光景だと感じた。

念のために付け加えると、ワコール以外のメーカーの展示会も大同小異であった。
各社とも展示会場では男性の姿が多い。

売る方も買う方も50歳前後の男性。しかもファッショナブルではないスーツを着込んでいる。
会場だけ見ていると、とてもあの華やかなイメージの商品を売り買いしているとは思えない。

女性肌着は、女性の感覚がもっとも必要とされる商品なのに売るのも買うのも、そして企画するのも年配男性という構図はやはりどこか違うように感じる。
ここを是正しないと女性肌着メーカーは「真のヒット商品」を生み出せないのではないかと思う。

男性社員の多さに驚く

 15年前から不思議だったのが、女性肌着メーカーに男性社員が多いことだ。

営業担当者も男性、営業責任者・企画責任者も男性、当然役員も男性。
かろうじて企画の現場に女性が何人かいたくらいだろうか。

しかも服装コードは固く、サラリーマン然としたスーツを着込んでいる。

慣れるまではすごく戸惑ったがあった。
企画責任者と営業責任者が2人そろって出てきてくださった場合、スーツを着込んだ50歳前後の男性2人が、女性の肌着を握りしめて熱弁をふるうわけである。
それを伺っているこちらも30歳手前のオッサンである。
こちらも女性肌着をいじくりまわすのは何となく恥ずかしい。

オッサン3人がブラジャーやショーツを指さしながら「あーでもない」「こーでもない」と語り合っているわけだから、傍から見ているとなかなか変態チックな光景である。

肌着というのは体に密着させるものなので、男性が女性肌着の着け心地やフィット感については絶対に体感できない。そういう商品を扱う企業がなぜ、男性社員の方が人数が多いのか疑問を感じた。

数年のブランクがあって、昨年あたりからまた肌着メーカーにお邪魔する機会が増えた。
あの当時よりは各社とも女性スタッフが増えた印象はあるが、それでもいまだに男性社員の方が多い。

一方、女性服の会社を訪ねると、社内は女性社員が多数を占める場合が多い。
社長以外に2,3人の男性がいて、それ以外は皆女性という会社もさほど珍しくない。
カジュアルブランドにしろ、フォーマルブランドにしろ、ニットブランドにしろ、肌着よりも体に密着はしない。
密着はしないから、着心地やシルエットに対して女性の意見をそれほど重要視せずにやり過ごすことも不可能ではない。
それでも女性スタッフが過半数を占める。

だのに。

女性でなければ体感できない「肌着」というアイテムを製造販売する企業にどうして女性スタッフが少ないのか、いくら考えても不思議である。
肌着メーカーこそ、女性スタッフが過半数以上を占めるべきではないだろうか。

この理由については、いまだに明確な答えを見つけられていない。

小規模な女性肌着メーカーが誕生することは、最近でこそ珍しくなくなったが、15年前には大手企業しか見当たらなかった。
その大手企業は、これまで合繊メーカーや紡績といった素材メーカーとがっちり提携して商品開発を行ってきた。
素材メーカーの生産規模は大きい。
この大ロットの原料を活かせるのは大手ブランドしかない。

新進の小規模ブランドが肌着に参入しにくかった背景である。

もしかしたら、大手肌着メーカーに男性社員が多いことは、こういう大手素材メーカーとの提携に理由があるのだろうか。大手素材メーカーは概して男性社員が多い。そこと商談を行う女性肌着メーカーにも男性社員が多く求められたということはないだろうか。

いずれにせよ、女性しか体感できない肌着という分野こそ、本来、女性社員がもっとも求められるはずである。
社内の男女比を逆転させるだけで、案外、肌着メーカーの業績は好転するのではないかと思ってしまう。

中期的展望での育成を期待したい

 ZOZOTOWN初のリアルイベントが9月15日、16日の二日間開催された。
これは一般顧客向けの展示受注会で、ネット通販がいかにリアルな予約販売に結びつくか業界からも注目が集まっていた。

さて、ネットではこのイベントの結果が報道されている。
そこから数字的に第1回目のこのイベントの成否を考えてみたい。

9月15日、16日の2日間、幕張メッセにてファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」が日本初の一般顧客向け合同ファッション展示会「ZOZOCOLLE」が開催。 1万人が来場し、1億5000万円の総受注を受けるなど、大盛況のうちに幕を閉じました。

「ZOZOCOLLE」は、ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」が行う初めてのリアルイベント。「FRABOIS」「Ne-net」「IENA」「Banner Barrett」など人気ブランドから、「UNITED ARROWS」「BEAMS」「nano・universe」など人気セレクトショップまで、人気の200ブランドが店頭に並ぶ前の最新アイテムを展示し、お客さんより予約を受け付けるという斬新な試み。

イベント終了後に発表されたファクトデータによると、会期2日間の総来場者数は1万人で、男女比は男性50.4%、女性49.6%、平均年齢は29歳。大人のファッションフリークが訪れたことで、総受注額が1億5000万円と、大規模な予約展示会となりました。

http://getnews.jp/archives/252185

とのことである。

2日間の来場者が計1万人、売上高が1億5000万円という結果だが、数字的にはやはり大きい。

これをもう少し細かく分解してみたい。

まず来場者数は2日間で1万人だから1日あたりは5000人
営業時間は初日が11時~19時(最終入場18時半)
二日目が10時~17時(最終入場16時半)である。

初日が10時間営業、二日目が8時間営業なので、
初日は1時間当たり平均500人の入場ペース、二日目は1時間当たり平均600人の入場ペース

となる。

これが街の小さいホールなら500人来るとかなりの集客感となるが、いかんせん、会場は幕張メッセである。
この会場に1時間あたり500~600人の入場ではちょっと空間が大きすぎて、人口密度が低く感じられたのではないだろうか?
もちろん滞留時間が長いので最初に入場した客が最後まで滞在したとしても5000人で幕張メッセという空間では混雑感は感じられなかったのではないだろうか。

次に売上高だが2日間で合計1億5000万円なので
1日当たりの売上高は7500万円
これだけ見ると非常に大きな数字であるが、出展ブランドは200である。
200ブランドの平均売上高を求めると1ブランドあたり37万5000円である。
1ブランドの1日当たりの平均売上高は37万5000円となる。
2日間合計の1ブランドの平均売上高は75万円。

1ブランドあたりの1日平均売上高が37万5000円はちょっと少ないのではないだろうか。
当然ブランドによって優劣があったであろうから、1日に100万円や200万円売れたブランドがある一方で、ほとんどゼロに近かったブランドも相当数あったと推測される。

100万円のブランド1つと、売上高ゼロのブランド1つ、この2ブランドの平均売上高は1社あたり50万円となる。こうして見ると、37万5000円という売上高はかなり厳しい結果だったのではないだろうか。

ちなみに1万人来場者があって、総額1億5000万円であるから、平均客単価は1万5000円である。
平均客単価はまずまずだろうか。

もちろん売上高1億5000万円というのはかなり大きな数字である。
しかし、200ブランドの合計売上高としては物足りないと言わざるを得ないのではないか。

入場料は1000円だから1万人の入場者で、合計1千万円である。
しかし、会場賃料、アルバイトなどの人件費、会場施工費などの経費を考えると1千万円では厳しい。

発表された数字から推測すると、第1回目は期待されたほどの実績ではなかったのではないだろうか。

この理由をいくつか考えてみたい。
まず、秋物を予約までして買いたいと思う消費者が予想以上に減っているということではないか。
次に、サイト全体の売れ行きが大きく成長したのは、日本全国の地方からの買い物客が多いためで、決して東京近郊だけの売り上げではないということだろう。
さらに、入場料1000円を払ってまで先物を手に入れたいと考える消費者はそれほどいないということもあろう。

先日、福井県の大飯原発のある大飯町に取材に行ったことがある。
ここは道路と大きなホール以外何もない。スーパーもコンビニもほとんどない。
ここで農家を営む若者がいるのだが、彼は「フィルソン」のウールベストを着、「エヴィス」のジーンズを穿き、「レッドウィング」のアイリッシュセッターブーツを履いている。

都会のワークカジュアル好きの若者と遜色ないブランドを手に入れている。
彼が購入する先はネット通販である。
ZOZOTOWNというサイトは、この福井県大飯町の若者のような地方からの買い物客に支えられている側面が大きいのではないだろうか。

こうした地方の若者がわざわざ幕張メッセまで来るとは考えられない。
もちろん、熱心なファンは来場しただろうが、サイトを利用している人数からすると少数派だったのではないか。

さて、このイベントの方向性だが、主催者と出展社が中期的に取り組めば成長する可能性が大いにある。
中期的というのは5~10年くらいを想定している。
けれども、あと2~3回開催して今回のような結果が続いた場合、主催者と出展社が短気を起こしてしまえばその時点で打ち切りとなる可能性もあると思っている。

ぜひとも中期的展望でのイベント育成に期待したい。

ベーシック路線とファッション化の間で揺れ動くユニクロ

 9月11日の繊研新聞にユニクロ関連の記事が掲載されていた。

「ファッション性と価格もう一度追求」

一部を抜粋引用する。

 国内の既存店回復は、女性客獲得がカギを握る。11年からのベーシック回帰では、ビッグヒットとなる商品が今一つ生み出せなかった。「この何年間か価格を追求してこなかったし、絞ったファッションを追求してこなかった」。
 ジーユーの絶好調を目の当たりにして「ファッションを低価格で購入するニーズの強さを再認識した」。

ただしユニクロでは一過性のトレンドを追求するのではなく~

とある。
そしてその処方箋が、

ヒートテックやウルトラライトダウンなどこれまでのベーシックな売れ筋にファッション性を加えていく。今秋打ち出しているレギンスパンツはこれまでのイージーパンツを進化させたもので小売価格1990円と通常価格より安い。

とのことである。

ユニクロは、2~3年おきにベーシック路線とファッション路線を行ったり来たりしている。
どちらの路線に振っても思ったほど売上高が伸びないためである。
それはユニクロというブランドの売上高が大きすぎるための飽和現象だと思うのだが、経営者はそうは思っていないようだ。

現在のユニクロの店頭のつまらなさは文面を読む限り経営陣も理解しているらしい。
女性顧客獲得が既存店回復につながるかどうかは多少思い込みがあるのではないかとも感じる。
ユニクロは男性売り上げがかなり大きく、そこはしまむらとは違う構造であるはずだ。

彼らがいう「ファッション性」が、今秋物で追加された「プレミアムダウンウルトラライトジャケット(呼び名を昨年と変えた意味がまったくわからない)」にチェック柄の品番が差し込まれていることだとは驚いた。
またヒートテックに関しては「UU」にヒートテックホームウェアの上下セット(早い話がパジャマ代わりのスエット上下)を指しているのだと想像する。

しかし、UUとしてコラボしている「アンダーカバー」とはスエット上下セットを販売するようなブランドだったのだろうかと首を傾げたくなる。

もしかしたら、先日から開始したメンズビジネスシャツのパターンオーダーも彼らは「ファッション化」として現業に差し込んできたのだろうか?

そして文面のレギンスパンツのくだりは「ファッション性」ではなく、「低価格追求」を指しているとしか読めない。

たしかに現在のユニクロの店頭はベーシックアイテムしかなく、購買意欲がそそられない。
肌着や靴下類、小物雑貨を含めれば、一説には国民の9割以上がユニクロ商品を所有しているといわれる現状では、ベーシックアイテムのカラーバリエーションだけでは購買が伸びるはずが無い。

何度も繰り返して恐縮だが、無地オックスフォードボタンダウンシャツが6色展開されていたとしても、よほどのユニクロマニアでない限りは、全色そろえようなどと考える日本人はごく少数である。
ブルックスブラザーズのボタンダウンシャツとはブランドステイタスが違う。

ファッション性の高いブランドであるはずのアンダーカバーとのコラボライン「UU」にしたところで、現状のユニクロ本体の商品を少しばかり味付けしたに過ぎないし、先ほども挙げたようなヒートテックスエット上下セットなどという本来のブランドテイストとかけ離れたアイテムを出すことは、効果策ではないように見える。

今秋以降、「ファッション化」の答えが示されると思うのだが、現在のような施策だけで終わってしまうのなら、今回の「ファッション化」も失敗に終わる可能性が高いのではないか。
また、2年後くらいには「ベーシック路線回帰宣言」を行うことになるだろう。

百貨店の衣料品ってそれほど儲かっていたかな?

 12日に阪急百貨店梅田本店の第2期棟オープンの記者会見が行われた。

この会見には出席していないのだが、各メディアでその構想が報道されている。
個人的に一番面白いと思ったのは東洋経済。

http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/9722bc764305caff9712124c5f1ba4d4/page/1/

とくにこの個所に注目した。
以下に引用する。

10階は雑貨のフロア「うめだスーク」(スークはアラビア語で「市場」の意味)。
「雑貨を中心に、クリエーターや作家の手作りの品なども展示する。
全体の4分の1の売り場は1~2週間で商品が入れ替わるようにし、導線もあえて迷ってしまうような作りにして、散歩気分で発見する楽しみを提案したい。まったく新しい業態を開発したと思っている」(内山啓治本店長)と自信のフロアだ。

「近年の百貨店は自分たちのもうかるものばかりに力を入れて、食品と衣類ばかりになってしまった。もうからないけど面白いものを、ところどころに混ぜていかないとダメだ。10階はそうした『面白いもの』の象徴となるはず」(椙岡会長)。

とのことである。

百貨店の凋落の原因の一つにレディースファッション衣料への過度の特化を挙げる方が多い。
その昔、大食堂あり、家電売り場あり、おもちゃ売り場あり、屋上遊園地あり、と百貨店はファッション以外も広く取りそろえ、女性のファッション購買客以外の広い層も取り込んでいた。
それが百貨店の盛況ぶりを生んだと分析されている。

そして、レディースファッション衣料への過度な特化はバブル期に、百貨店側が売り場の効率化を求めたためで、コンサルタントの安易な言葉に乗っかった結果だともいわれている。

今回の阪急の取り組みは、こういう指摘を踏まえた部分もあるのではないかと推測する。

けれども、自称「ファッションの阪急」というだけあって、この10階もファッション的な切り口での編集だとこの文面からは読み取れる。
大型ブランドを導入するか、個人作家が展開するような小規模ブランドを導入するかの違いである。

一つ気になったのは、「食品と衣料がもうかる」と語っておられる部分だ。
本当にもうかっているのだろうか?
とくに衣料品はそれほど儲かる業態なのだろうか?それほど儲かる業態なら一部を除くアパレル各社は何故あれほど苦戦しているのだろうか?現在の百貨店はそれほど利益が高い業態だろうか?
付け加えるなら百貨店をメイン販路としているブランドで儲かっているブランドはそれほどないはずなのだが。

10月下旬の先行オープン、11月21日のグランドオープンはおそらく多くのお客が押し寄せるだろう。
しかし、JR大阪三越伊勢丹の例もあるように、来場客が多くても売上高には結び付かない場合がある。

阪急の構想が図に当たるかどうか注目してみたい。

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