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南充浩 オフィシャルブログ

ベーシック路線とファッション化の間で揺れ動くユニクロ

2012年9月18日 未分類 0

 9月11日の繊研新聞にユニクロ関連の記事が掲載されていた。

「ファッション性と価格もう一度追求」

一部を抜粋引用する。

 国内の既存店回復は、女性客獲得がカギを握る。11年からのベーシック回帰では、ビッグヒットとなる商品が今一つ生み出せなかった。「この何年間か価格を追求してこなかったし、絞ったファッションを追求してこなかった」。
 ジーユーの絶好調を目の当たりにして「ファッションを低価格で購入するニーズの強さを再認識した」。

ただしユニクロでは一過性のトレンドを追求するのではなく~

とある。
そしてその処方箋が、

ヒートテックやウルトラライトダウンなどこれまでのベーシックな売れ筋にファッション性を加えていく。今秋打ち出しているレギンスパンツはこれまでのイージーパンツを進化させたもので小売価格1990円と通常価格より安い。

とのことである。

ユニクロは、2~3年おきにベーシック路線とファッション路線を行ったり来たりしている。
どちらの路線に振っても思ったほど売上高が伸びないためである。
それはユニクロというブランドの売上高が大きすぎるための飽和現象だと思うのだが、経営者はそうは思っていないようだ。

現在のユニクロの店頭のつまらなさは文面を読む限り経営陣も理解しているらしい。
女性顧客獲得が既存店回復につながるかどうかは多少思い込みがあるのではないかとも感じる。
ユニクロは男性売り上げがかなり大きく、そこはしまむらとは違う構造であるはずだ。

彼らがいう「ファッション性」が、今秋物で追加された「プレミアムダウンウルトラライトジャケット(呼び名を昨年と変えた意味がまったくわからない)」にチェック柄の品番が差し込まれていることだとは驚いた。
またヒートテックに関しては「UU」にヒートテックホームウェアの上下セット(早い話がパジャマ代わりのスエット上下)を指しているのだと想像する。

しかし、UUとしてコラボしている「アンダーカバー」とはスエット上下セットを販売するようなブランドだったのだろうかと首を傾げたくなる。

もしかしたら、先日から開始したメンズビジネスシャツのパターンオーダーも彼らは「ファッション化」として現業に差し込んできたのだろうか?

そして文面のレギンスパンツのくだりは「ファッション性」ではなく、「低価格追求」を指しているとしか読めない。

たしかに現在のユニクロの店頭はベーシックアイテムしかなく、購買意欲がそそられない。
肌着や靴下類、小物雑貨を含めれば、一説には国民の9割以上がユニクロ商品を所有しているといわれる現状では、ベーシックアイテムのカラーバリエーションだけでは購買が伸びるはずが無い。

何度も繰り返して恐縮だが、無地オックスフォードボタンダウンシャツが6色展開されていたとしても、よほどのユニクロマニアでない限りは、全色そろえようなどと考える日本人はごく少数である。
ブルックスブラザーズのボタンダウンシャツとはブランドステイタスが違う。

ファッション性の高いブランドであるはずのアンダーカバーとのコラボライン「UU」にしたところで、現状のユニクロ本体の商品を少しばかり味付けしたに過ぎないし、先ほども挙げたようなヒートテックスエット上下セットなどという本来のブランドテイストとかけ離れたアイテムを出すことは、効果策ではないように見える。

今秋以降、「ファッション化」の答えが示されると思うのだが、現在のような施策だけで終わってしまうのなら、今回の「ファッション化」も失敗に終わる可能性が高いのではないか。
また、2年後くらいには「ベーシック路線回帰宣言」を行うことになるだろう。

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