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アメリカ村のロープライス化・チープ化が進んでいる

 6月17日をもって、大阪・アメリカ村の商業施設「ビッグステップ」地下1階にあった「デニム研究所」が閉店した。
2009年9月のオープニングに取材した者としては寂しい限りである。

もともとは、藍布屋、正藍屋、Win&Sons、SPARK TRUE、ダニアジャパンの5社で結成した児島デニム協同組合が運営する5ブランド複合店としてスタートした。
デニム研究所の公式ホームページによると、その後「天領デニム」「The strike gold」「ENGINE LABEL」の3ブランドを加えた8ブランドの直営店として運営していたという。

現在は地元の児島店が営業中である。

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(2009年オープン当初のデニム研究所)

岡山・児島はジーンズの街として知られているが、ビッグジョン、ジョンブル、ドミンゴ、ベティスミス、マエノなど古くから知られる専業アパレルのほか、先に挙げた5社を始めとする小規模ジーンズアパレルが10年ほど前から続々と生まれている。こういうアパレルが共同で店舗を展開するのは、難しい部分はあるにせよ良い試みだと考えている。

さて、2009年9月のオープン以降、何度か平日の昼間にビッグステップ店を覗いたことがあるが、かなり閑散としていた。平日昼間ということもあるのだろうが、ビッグステップ全体が常に閑散としている印象がある。
地下1階のショップスペースだが、これがかなり広い。
オープン当初の5社集まっても半分くらいしか使いきれてなかった。おそらく100坪以上あるのではないかと思う。
あまりにも面積が広すぎたことも運営が難しかったのではないだろうか。

さて、このビッグステップが位置するアメリカ村だが、2000年代半ば以降、急速に地盤沈下している。
それに伴って、ビッグステップ自体も集客力を弱めており、有力ショップが続々と転出している。
ダニアジャパンの担当者もフェイスブックで、「アメリカ村の若年層化とロープライス化は予想以上だった」とコメントされいる。

御堂筋の東側に位置するラグジュアリ―ブランドショップ群や心斎橋筋商店街に比べると雲泥の差がある。
ビッグステップ自体も1階のユナイテッドアローズとローズバッド、2階のシップス、地下1階のアーバンリサーチが転出し、その後、1階のローズバッドの跡地にアルマーニエクスチェンジが入店したとはいえ、なかなかにブランドラインナップが苦しい印象は否めない。

現在のアメリカ村には目ぼしいブランドショップがあまりない。
町全体が「バッタ屋」という印象がある。
ここに7月21日に北欧の100円雑貨ショップ「タイガー」の日本1号店がオープンするが、はたしてアメリカ村再浮上の起爆剤となるのだろうか?

プライス的にはハマるように思えるが、心斎橋筋商店街に比べると年齢層は格段に若い。
中高生から20代前半がほとんどである。

タイガー効果があるのか、ないのか注目したい。

顔と体型が良いやつには勝てない

 メンズの夏物衣料というものは非常にバリエーションが少ない。
トップスだとTシャツ、ポロシャツ、布帛シャツの3つくらいしかない。
タンクトップを愛用している方もおられるが少数派である。
あまり腋毛を露出されても見苦しいと感じるのは筆者だけだろうか。

アイテムがシンプルになる分、着こなしも単調になり、秋冬物のように重ね着で顔や体型の悪さをカバーすることができない。
夏のファッション雑誌を読んでいると、つまるところ顔と体型が悪ければ、どんな人気ブランドのTシャツを着たところでダメではないかと強く思う。

6月10日に発売されたファッション雑誌「メンズジョーカー」7月号を読んでいたところ、半袖ラガーシャツに短めのショートパンツというコーディネイトが紹介されていた。おまけにサンダル履きである・・・・・・。

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(メンズジョーカーの掲載ページ)

着用者がモデルであったため、何とかサマになっているが、一般人が着用したならまるっきり日曜日の公園でボーっとしているお父さんである。
もしくは銭湯からの帰り道のオヤジである。

欧米の映画スターのファッションを紹介する雑誌もある。「Safari」がその代表例だろう。
しかし、あれも着用者が白人のイケメンであるから何となく「カッコイイ」と思えるが、そこらのオッサンが着たら、何の変哲もない服装である。
Tシャツに膝丈ショートパンツみたいなコーディネイトなので、日曜日に町内を1周すれば軽く数十人は見かけることができるだろう。

こういうことを書くと「ファッションとはそんなものではない」と諸先輩方からおしかりを受けそうだが、顔と体型が良ければ大概の洋服は似合うのではないかと思う。
反対に、顔と体型が残念ならばコーディネイトに少々工夫を凝らしたところであまり効果がない。

そういうわけで、顔と体型が残念な筆者は夏服が嫌いである。

スカイツリーが完成するまでの6年間無策だったのか?

 東京スカイツリーと隣接する大規模商業施設「東京ソラマチ」の開業によって、地元商店街が苦戦しているという報道が続いている。

以前にも書いたように、物販・飲食合わせて300店を越える商業施設「ソラマチ」があれば、買い物も食事・喫茶もすべてソラマチ内で事足りてしまい、地元商店街に立ち寄る必要などまるっきりない。
地元商店街に観光客が流れないのは当然の結果である。
地元商店街は今更何を慌てているのか不思議でならない。それとも本当に観光客が流れてくるとでも考えていたのだろうか。

これについて台東デザイナーズビレッジの鈴木淳村長もブログで述べられている。

http://blog.livedoor.jp/tdv001/archives/53946771.html

地元商店街は、観光客にとっては「非日常」というほど魅力的ではなく、
地元客は「非日常」を求めてソラマチに行ってしまうということでしょう。
自ら変化し、対応する必要性を説いていることについては同感。

開業前は多少賑わっていた地域も、開業後は閑散としてしまっているようです。
私も地元の人が「アルカキットやオリナスがガラガラだから買い物しやすい」と話しているのも聞きました。

2010年暮れぐらいにイトーヨーカドーが曳舟にできているので、
近隣商店街はこれでさらに厳しいことになっているでしょう。

もっとも、スカイツリー開業後の苦戦は予想の範囲内ではなかったでしょうか。
2006年にはスカイツリー候補地として決定しているのですから、
十分な魅力づくりと発信をする時間はあったはずです。

とのことであり、まったく同感である。

地元商店街に対しての報道を見る限りにおいて、まるで「ある朝、目が覚めたら突然スカイツリーが出来上がっていました」というくらいの「急な」印象を受ける。
しかし、実際のところは建設までに何年もかかっており、その間周囲の商店街からはその様子が逐一見えていたはずである。鈴木村長が書いておられるように2006年には建設候補地が決定しているとするなら、開業まで6年間も時間があった。
6年間という時間は、何らかの手立てを講じるには十分な時間である。

地元商店街は6年間何の手だても講じずにただボーっとしていただけなのだろうか?もしそうなら、スカイツリー開業による弊害は、自衛策を講じなかった地元商店街の責任である。

この地元商店街と同じような性癖が繊維産地にもある。
例えば、経産省のジャパンブランド認定事業の助成金は3年が期限である。
当然、3年目が終われば次はない。
ほんの数年前なら、この助成金が終わってもほかの行政からの助成金を取得することができた。
しかし、現在は財政が悪化していることもあり、ほかの助成金も望めない状況にある。

これは、ジャパンブランド事業に認定されたときからわかっていることである。
だから、3年後以降をどうするかを考えてスタートしなくてはならない。
だのに、助成金が終了してから「ワシら次はどうしたら良いのだろうか?」とようやく心配し始める産地企業が何社もある。

その案件については3年前から考えておかなくてはならないのでは?
助成金は「ある日突然に終了」するものではなく、3年後に終わるということは最初からわかっていることである。

6年間無策だった地元商店街、3年間無策だった産地企業。
現在苦境に立たされている原因はどちらも同じである。

衣料品の価格は少し戻ったものの・・・・・

 これは体感的な感覚なのだが、衣料品の値段は低値安定なのではないかと感じる。
毎月数社の月次売上高速報を見ているが、買い上げ客単価は前年増が増えている。
だいたい数%程度だが、ジーンズメイトでは20%増となった月もあった。

しかし、それは前年実績が低すぎたためではないのだろうか。

2009年・2010年ごろはファストファッション以外にも低価格品が溢れていた。

客寄せの意味もあったのだろうが、ジーンズメイトやライトオンで過去在庫の夏物トップスが、990円は当たり前で、590円や390円で投げ売りされていることがあった。

さすがに今春夏はここまでの投げ売りはない。

しかし、依然として990円という価格のセール品は売り場に残っている。
もしかしたら790円もあるかもしれない。

だから、買う立場からすると安い商品はまだまだあると感じてしまう。

さらに言うなら、そういう990円レベルの低価格品を扱うブランドやショップは増えているのではないかとも感じる。

何度も登場してもらってい友人のOEM会社だが、先日、中規模クラスの低価格カジュアルブランドの製造から手を引いたという。
だんだんと値入率が合わなくなってきたのだという。

ブランド側は店頭の値段は変えないが製造原価を切り詰めて、最終的には思いきった処分価格まで引き下げることを視野に入れているのではないだろうか。

値下げせずに売れればブランド側の利益が増える。
万が一売れ残ってもかなり思い切った値引きができる。
という二段構えなのだろう。

このブランドのみを見て決めつけるのは早計だが、衣料品の値段はまだ下がる要素が十分にあると考えているのだがいかがだろうか?

もちろんこういう動きとは無縁の高額ブランドはあるだろう。

しかし、一般大衆の目に触れやすい低価格ブランドは、ブランド数も増えているし、価格を下げる余地を残している。
衣料品全体の価格は、2年ほど前よりは少し戻したものの、今後大きく上昇するような事態は来ないのではないかと思えてならない。

堅調なライトオンの6月商況

 ライトオンとジーンズメイトの6月売上速報が発表された。

ライトオンは

既存店売上高が前年比0・6%増
既存店客数が同0・5%増
既存店客単価が同0・1%増

だった。

ジーンズメイトは

既存店売上高が前年比7・7%減
既存店客数が同10・5%減
既存店客単価が同3・2%増

だった。

この2社は5月21日~6月20日までの月次なので、後半に数日セールが入っているかもしれないが、あまりセール効果はない。むしろ6月21日からの7月度売り上げに反映される可能性が高い。

やはりゴールデンウイーク終了後の5月半ばから6月末までは商品のもっとも動きにくい時期の1つである。

この時期にライトオンは売り上げ高・客数ともに前年微増(ほぼ前年並み)をキープできたことはそれなりに評価ができる。

一方、ジーンズメイトは5月度こそ既存店客数が前年比2・0%減にまで回復したが、6月度はまた10%減となってしまった。
売り上げ高減少よりも客数減少の方が深刻である。

客単価は両社とも微増する傾向にあるが、これをもって「インフレに転じた」とは考えにくい。
これまで下がり続けてきた客単価が底を打って、やや回復したのではないかと感じる。
例えば2000円の商品が2100円に値上がりしても価格は5%増である。

依然として、衣料品の裾値は低い。
990円とか790円が当たり前に各店にある。

ジーンズメイトの店頭を見ても、2009年・2010年あたりは最安値で590円とか390円の夏物衣料(おそらく過去在庫)が並んでいたが、今夏はそこまでの低価格品は並んでいない。
せいぜい990円とか790円である。

インフレに転じたというなら、かつてのバブル期のように「3000円以下でまともな衣料品はない」ような状況が出現しないと信じ難いだろう。

メンズのスマートなレインシューズを開発してほしい

 昨日、大阪市内は豪雨だった。
朝から雨だったが、正午前から豪雨となり、一旦、雨足は弱まったが深夜再び豪雨となった。

たまたま巡り合わせが悪く、昨日は午前中からずっと移動ばかりだったのだが、靴に水が染みるのがとても苦痛だった。「靴」だけに「苦痛」とかそういうダジャレではない。( ー`дー´)キリッ

移動中に人々の足元を観察すると、
男性の9割以上は通常のスニーカーかワークブーツ、ビジネス用の革靴を履いておられる。
一方、女性は近年増えてきたカワイイ色柄の長靴のほか、デザインは通常のショートブーツに見えるレインシューズを履いておられる方がかなり多く、通常のスニーカーやパンプスを履いておられる方はかなり少なかった。

もちろん、男性の中にも通常のビジネス革靴に見えるけれども、特殊な加工を施したレインシューズを履いておられる方もいたかもしれないが、それはかなり少数派だろうと推測する。

過去の知識に照らし合わせると、男性のレインシューズはかなり少ない。
ほとんど無いと言っても過言ではないだろう。

アウトドアテイストの商品で言うと「LLビーン」の定番であるガムブーツ(ビーンブーツ)か、「コールハーン」の防水革靴くらいしか思いつかない。

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(LLビーンのビーンブーツ)

ほかにもあるのだろうが、それほどメジャーな商品は見当たらないし、なぜかデザインがあまり良くない。
少しデザインされた男性用長靴もあるのだろうが、多くの場合、男性が長靴を履くと「魚屋の大将」にしか見えない。

通販サイトで調べると、ビーンブーツは11000~16000円という価格なので、この11000円を買うのが一番良いのかもしれない。
コールハーンのレインシューズは、現在も継続しているのかどうかわからないが、数年前は2万9000円の価格だったと記憶している。赤貧洗うが如しの筆者には手の出る価格ではない。

雨の日の足元は完全に女性の方が選択肢が多く、性能も充実しているといえる。
とくにカワイイ色柄の長靴が市場に投入されたのが契機となっており、あっという間に多数の商品が販売されるようになった。

男性用にももう少しレインシューズのバリエーションが増えても良いのではないかと思う。
需要は確実にあると思っているのだが、なぜか各社はあまり開発に力を入れていない。

価格も2万9000円ではなく、中間価格帯の物を充実してもらいたい。

日本は湿潤な気候で1ヶ月間梅雨がある。そのほかにも「春の長雨」「秋の長雨」があり、夏の夕立もある。あれこれ合わせると体感的に年間の3分の1くらいは雨なのではないかと感じる。

これほど雨が多いので筆者は「需要がある」と思っているのだが、いまだに開発されていないということは、各靴メーカーは「需要がない」と判断しているということである。

実際のところ、デザインがスマートなレインシューズという需要はあるのだろうか?ないのだろうか?
靴に詳しい方に教えていただきたい。

ジーンズ専業メーカーは中間価格帯を手放すべきではなかった

 先日、久しぶりにフラリと「あべのHOOP」に立ち寄った。
近鉄百貨店グループのファッションビルである。
全館セールが6月23日から始まるそうだが、すでに1階のビームスは「店内一部セール」を開始していた。(_´Д`) アイーン

この2階に、「ナノ・ユニバース・ザ・ファーストフロア」が今春にオープンした。

店頭を見た感じでは意外にジーンズの品ぞろえが多い。
おそらく今秋以降、ジーンズは復権するのだろう。
すでにジョンブルはその見通しで今秋冬企画を進めている。

フランスのブランド「APC」の面が結構広くて取られており「なつかし~」という感じだ。
どこかの展示会で「最近、またAPCのジーンズが売れ始めているらしいですね」とお聞きしたのだが、まさにその傾向はあるようだ。

APCのジーンズの隣には、「ナノ・ユニバース・ザ・ファーストフロア」の自主企画ジーンズが並んでいる。

価格を見てみよう。
APCのジーンズは16800円
自主企画ジーンズは7140円

である。

物が良いとか悪いとかそういう話をしたいのではない。

この店を見ても「やはりジーンズの中間価格帯の需要は存在した」と強く感じる。

ジーンズの価格帯の分け方としては、人によっても少し異なるのだが個人的には、大きく、

1000円未満~4900円が低価格帯
5900円~9800円が中間価格帯
1万円以上が高価格帯

だと考えている。

1万5000円以上に超高価格帯を入れても良いかもしれない。

2000年以降、ジーンズ専業メーカーは「ジーンズの価格は二極化している」と主張して、中間価格帯を削り高価格帯を強化してきた。
8000~9800円という価格帯は一部存在しているが、専業メーカーの主力商品は10500円以上という状態が長らく続いている。

しかし、先日も書いたように中間価格帯の需要がなくなったわけではない。
例えば、この「ナノ・ユニバース」のように、そこへセレクトショップやSPAブランドが自主企画商品を投入しているわけである。

この「ナノ・ユニバース・ザ・ファーストフロア」の店頭でも、「APC」(1万6800円)を見て「良いな」と思っても実際に定価で買うには「ちょっと高いお(´;ω;`)」と感じるお客は多いだろう。
そのときに、隣に並んでいる自主企画商品(7140円)を見ると「値頃」だと感じるのではないか。

ジーンズ好きな方なら1万円でも2万円でも買う。
しかし、元々作業着から派生したカジュアルアイテムに1万円以上支払うことに抵抗を覚える消費者も相当数存在する。

今更遅いのかもしれないが、やはりジーンズ専業メーカーは中間価格帯を手放すべきではなかったと思えてならない。

「不射の射」に通じる?「売ろう」としない販売

 販売員がお客に声をかけるタイミングと、その文言は難しい。
個人的にはあまり付きまとわれるのもイヤだし、尋ねたいことがあるまで放っておいてほしいと思う。

しかし、量販店のテナントでかつて販売員をしていた立場としては、お客に何らかの声はかけないといけないことは理解している。
筆者が販売員だったころは、入店したお客に「いらっしゃませ」と声をかけて、しばらくしてから「よかったら試着してくださいね」とか「よかったら広げてご覧ください」というくらいに留めていた。
最近だと「いらっしゃませ」の代わりに「こんにちは」と声をかける店もある。GAPなんかがそうだ。

ちなみに女性販売員がアニメ声で「いらっしゃいまヘェ~」とリズムを付けて叫んでいるのは聞いているだけで寒くなる。(`Д´) ムキー!

先日、あるカジュアルチェーン店で、値下がりしている半袖シャツの値札をあれこれ見ていた。
要するにどれが一番安いかを比べていたわけである。(当然、その日に買うつもりはないv( ̄∇ ̄)v)
すると、男性店員が声をかけてきてくれた。この店は普段あまりうるさい接客をしないのだが、この店員は尋ねられてもいない素材の話を熱心に語り出した。

もちろん、態度は丁寧で彼に何の落ち度もないし「何とか売ろう」とする仕事熱心な態度も理解できるのだが、尋ねられてもいないのに素材の話を延々とするという手法にはあまり好感は持てなかった。
彼の戦術に問題があるということだろう。

とここまで書いて、昨日の日経ビジネスオンラインの記事が面白かったので紹介したい。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120614/233353/

紳士服のはるやまを展開するはるやま商事が、岡山のロードサイドに新タイプのスーツショップ「HALSUIT」を出店して売り上げを伸ばしているという話である。
前年比70%増の売上高云々という箇所は、1店舗だけの話なのであまり過剰に反応する必要はないが、それでも都会的な売り場作りの店が、ロードサイドでも支持されているというのは注目に値する。

外観はまるで貨物コンテナのよう。
内装と陳列は、都心路面店のようにコンテンポラリーである。
よくあるロードサイド店みたいに垢ぬけないビジュアルではない。

この店には有名スタイリストに弟子入りしたスタイリストが数名常駐しているという。
「なんだ。またスタイリストかよ。(゚д゚)、ペッ」と筆者はここで眉に唾をつけ始めた。(実際に唾はつけていないが)
しかし、次の一文でそのスタイリストの効果が理解できた。以下に引用する。

「研修してわかったのがスタイリストの先生と我々の圧倒的な違い。当然ですが、スタイリストには売ろうという姿勢がまったくない。顧客のイメージを作ることがすべて。研修でいっしょにデパートに行っても、売り上げを上げようと思っていないから、説得力がある。それに比べ我々はどこかに“売ろう”という感情が入っているんですね。先生によく叱られました。『売りたいという気持ちが入ってる』と。しかしこの感情は、長年店頭で接客した我々にとっては消し去っても消し去っても雑草のごとく芽生えてくる。ここがHALSUITでの接客の最大のポイントだと思います」

 現在6名いるスタイリストはほとんどが社内公募で集められたという。通常のはるやまの店舗で接客していたスタッフにはたしかに“売る”“売りたい”という姿勢が身に付いている。それを消し去るのは並大抵のことではないだろう。

 スタイリストの一人、金井卓也氏はこう語る。
「先生にはいつも『お客様は買いたいと思えば買うのだから。売ろうと思ったら駄目』と言われていました。いまも売りたいとは思いますが、それ以上にお客様に喜んでいただきたいと思っています。というのもカウンセリングを受けて購入していかれるお客様の表情が明らかに違うのです。これは以前のはるやまの店舗では見たことがなかった表情です。

とのことである。

とかく、販売ノルマに追われて必要以上に「売ろう」としがちなのが洋服小売店である。
筆者などは、ちょっと奇抜な色柄を薦める販売員に対して「この色、在庫が多すぎて減らしたいから薦めているんちゃうの?」とひねくれて捉えることもしばしばだ。

しかし、これまでのような「ガツガツした接客」に対して抵抗感がある消費者も増えている。

今回のはるやまの取り組みは小売店の接客のあり方に対して、新しい事例となるのではないだろうか。

ただ、こういう取り組みはある程度資金が潤沢な大手企業だからこそできる部分もある。これをいかに中小企業向けにアレンジして取り込むかが、その企業やお店の「センス」ということになるのだろう。

売ろうとせずに売る。何だか弓の名人の「不射の射」の寓話みたいである。

ちなみにこの記事は後篇に続くので、後篇を読み終わったあとに改めて感想をまとめてみたい。

夏冬のセールは止めてSPA方式の値下げにすればどうか?

 三越伊勢丹とルミネによるセール後倒しにも拘わらず、先週から早くもセールが始まっている。
とくに郊外型ショッピングセンターはほとんどのテナントがセールだし、都心店でもビームスなどは店頭に早々と「店内一部セール」という看板を出しており、6月23日から大々的なセールを開始するようだ。

さて、セール後倒しの時に「他店と2週間もズレちゃう~。・゚・(ノД`)」と騒いでいたアパレルだが、こうなってくると2週間どころではなく、1ヶ月ズレることになる。2週間くらいは我慢できるかもしれないが、1ヶ月ともなると消費者への説明もなかなかに難しい。果たしてどのように切りぬけるつもりだろうか。

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(現在の店頭のセールPOP)

今回のセール後倒しについては賛否両論さまざまある。

まずは「早まりすぎたセール時期を戻そうという大義は評価できる」という声がある。

これについては同感であるが、これまで自分らの都合で散々早めておきながら「何を今更」と思う。
西城秀樹さんの歌ではないが「今では遅すぎた~♪」である。
セールが6月中に始まるようになって早、数年が経過している。7月1日開始になってから10数年になる。
これだけ定着していれば、戻すのは並大抵の努力ではない。
戻すにしても同じくらいの年月は必要になる。
三越伊勢丹とルミネは最低でも数年我慢できるのだろうか?
筆者は到底我慢できるとは思えない。

次に「グローバルに合わせろ」という意見がある。

イギリスやアメリカのセール事情を主に指している。
しかし、同じファッション大国であるフランスやイタリアはセール開始時期を法律で規制している。
もっともネットショップはその法律の拘束を受けないらしいので、こちらも有名無実になりつつあるらしいが。

で、このグローバル論者に聞きたいのだが、フランスやイタリアはグローバルではないのだろうか?
各国それぞれの事情と思惑がある。
一言にグローバルとまとめるがどこの国に基準を合わせるのだろうか?
セールに関してはイギリス、アメリカで、福祉に関しては北欧諸国、ラグジュアリーブランドはフランスとイタリア、家電は韓国。
分野ごとにそんなに都合良くグローバルを使い分けられても困る。
どの国もそれぞれに長所短所があり、世界中の長所のみを合わせた国体にすることは不可能である。

グローバルなら、「フランスとイタリアのグローバルに合わせてセール開始日を法律規制しました( ー`дー´)キリッ」とも言える。それを言わないのは何故だろうか。

それに消費者心理で考えてみると、今、夏冬のセールにこだわっている消費者はそれほど存在するのだろうか?正月と重なる冬セールはまだしも、夏セールにそこまで期待を寄せている消費者がいるとは思えない。

ユニクロ、GAP、ポイント、H&MなどのSPAブランドの店内には年中セールコーナーがある。
入荷後一定期間が経過すれば自動的に値下がりするシステムである。
ただし、人気のあるアイテムはなかなか値下がりしないし、人気のないアイテムはすぐに大幅値下げがある。
これらのブランドで買いなれた消費者は常に安いアイテムを手に入れており、必然的に夏冬のセール時に買う洋服の数量は減っている。

正月と重なる冬セールを止めるのは難しいかもしれないが、夏セールは止めてしまえば良いと考えている。
SPA方式で、一定期間が経過した店頭商品は値下がりするというふうにするのが一番すっきりするのではないだろうか。

現在の各テナントの店頭セールでは、まだだいたいが20~30%オフでしかない。
例年だと、7月頭の全館セールが始まると半額になり、7月下旬を越えると70%オフになる。
8月のお盆前からは3枚1995円とか、3枚3000円とか、3枚5000円などのまとめ売りに突入する。

今年は、セール向け商材をため込まず、7月末から定価で販売できる晩夏企画を投入するアパレルも多いと聞く。どこまで値下がりするのかじっくり観察したい。

衣料品業界の高齢化は製造工場だけの問題ではない

 学生の間でファッション関連企業に就職したいと考えている人は年々減っているのではないだろうか。
ファッション専門学校各校も毎年入学者数が減少しているということを書く前に、そもそも毎年100人以上の入学者数がコンスタントに維持されているファッション専門学校など全国で見ても数えるほどしかない。
大概の専門学校の入学者数は毎年数十人レベルかそれ以下である。

というようなことを考えていたら、HAKATA PARIS NEWYORKでこんな一文があった。

http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/34d89ea90ccad6632d82deff0a415330

また、一般大学生が選ぶ「2012年就職人気企業ランキング」(ダイヤモンド・ビッグ&リード社調べ)でも、文系男子で150位、文系女子で100位、理系男子で99位、理系女子で30位のすべてに入っていない。

とのことである。
何が入っていないかというと、ファーストリテイリングがランクインしていないということである。

で、ためしに自分でもこのランキングを見てみた。

すると、

商社や原料メーカーを除くと、文系男子でファッション関連企業は76位に高島屋、87位に三越伊勢丹グループがランクインするほか、104位にスポーツメーカーのミズノがやっと顔を出すだけである。また理系男子では商社・原料メーカー以外のファッション関連企業はない。文系女子でも40位に三越伊勢丹グループが、84位に肌着メーカーのワコールが顔を見せるだけ。理系女子に至ってはまったくランクインしていない。

このうち高島屋と三越伊勢丹は、ファッション好きなので志望するというよりも、大手流通業としての志望者が多いのだろう。
90年代前半に就職活動を行った筆者の同級生や先輩にも大手流通に入社した人が何人もいた。
彼らは別に服が好きでも何でもなく、会社の知名度と規模の大きさだけで就職先を選んでいる。
西友に入社した同級生、そごうに入社した先輩がいた。

しかし、ご存知の通り、西友はウォルマートに買収され、同級生はなかなか厳しい環境で働いているようだ。
そごうも民事再生法を申請したため、その先輩も退職を余儀なくされた。

大学生の人気ランキングなので、過敏に反応する必要もないが、ファッション関連の企業への志望者はいないに等しい。ユニクロどころか、しまむらもポイント、ライトオン、ハニーズ、ユナイテッドアローズもランクインしていない。

同じSPA企業でも家具店のニトリは文系男子で55位に、理系男子で68位に、文系女子で53位にランクインしている。大学生にとっては洋服を扱うユニクロよりも家具販売のニトリの方が就職先として魅力的ということだろう。

このランキングだけで決めつけるのは早計だが、若者はファッション企業で働くことに魅力を感じていないということになる。

そういえば、以前、某インポートブランドの取締役部長がこんなことをおっしゃっていた。
「最近はファッション業界に就職する若い人が減った。とくにインポート業界は激減ですよ」と。

はからずもこの部長の言葉を裏付ける資料の一つにはなっている。
なるほど、ファッション業界は中高年ばかりになるわけである。

衣料品業界の高齢化は、製造工場だけの問題ではなかったようだ。

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