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南充浩 オフィシャルブログ

夏冬のセールは止めてSPA方式の値下げにすればどうか?

2012年6月19日 未分類 0

 三越伊勢丹とルミネによるセール後倒しにも拘わらず、先週から早くもセールが始まっている。
とくに郊外型ショッピングセンターはほとんどのテナントがセールだし、都心店でもビームスなどは店頭に早々と「店内一部セール」という看板を出しており、6月23日から大々的なセールを開始するようだ。

さて、セール後倒しの時に「他店と2週間もズレちゃう~。・゚・(ノД`)」と騒いでいたアパレルだが、こうなってくると2週間どころではなく、1ヶ月ズレることになる。2週間くらいは我慢できるかもしれないが、1ヶ月ともなると消費者への説明もなかなかに難しい。果たしてどのように切りぬけるつもりだろうか。

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(現在の店頭のセールPOP)

今回のセール後倒しについては賛否両論さまざまある。

まずは「早まりすぎたセール時期を戻そうという大義は評価できる」という声がある。

これについては同感であるが、これまで自分らの都合で散々早めておきながら「何を今更」と思う。
西城秀樹さんの歌ではないが「今では遅すぎた~♪」である。
セールが6月中に始まるようになって早、数年が経過している。7月1日開始になってから10数年になる。
これだけ定着していれば、戻すのは並大抵の努力ではない。
戻すにしても同じくらいの年月は必要になる。
三越伊勢丹とルミネは最低でも数年我慢できるのだろうか?
筆者は到底我慢できるとは思えない。

次に「グローバルに合わせろ」という意見がある。

イギリスやアメリカのセール事情を主に指している。
しかし、同じファッション大国であるフランスやイタリアはセール開始時期を法律で規制している。
もっともネットショップはその法律の拘束を受けないらしいので、こちらも有名無実になりつつあるらしいが。

で、このグローバル論者に聞きたいのだが、フランスやイタリアはグローバルではないのだろうか?
各国それぞれの事情と思惑がある。
一言にグローバルとまとめるがどこの国に基準を合わせるのだろうか?
セールに関してはイギリス、アメリカで、福祉に関しては北欧諸国、ラグジュアリーブランドはフランスとイタリア、家電は韓国。
分野ごとにそんなに都合良くグローバルを使い分けられても困る。
どの国もそれぞれに長所短所があり、世界中の長所のみを合わせた国体にすることは不可能である。

グローバルなら、「フランスとイタリアのグローバルに合わせてセール開始日を法律規制しました( ー`дー´)キリッ」とも言える。それを言わないのは何故だろうか。

それに消費者心理で考えてみると、今、夏冬のセールにこだわっている消費者はそれほど存在するのだろうか?正月と重なる冬セールはまだしも、夏セールにそこまで期待を寄せている消費者がいるとは思えない。

ユニクロ、GAP、ポイント、H&MなどのSPAブランドの店内には年中セールコーナーがある。
入荷後一定期間が経過すれば自動的に値下がりするシステムである。
ただし、人気のあるアイテムはなかなか値下がりしないし、人気のないアイテムはすぐに大幅値下げがある。
これらのブランドで買いなれた消費者は常に安いアイテムを手に入れており、必然的に夏冬のセール時に買う洋服の数量は減っている。

正月と重なる冬セールを止めるのは難しいかもしれないが、夏セールは止めてしまえば良いと考えている。
SPA方式で、一定期間が経過した店頭商品は値下がりするというふうにするのが一番すっきりするのではないだろうか。

現在の各テナントの店頭セールでは、まだだいたいが20~30%オフでしかない。
例年だと、7月頭の全館セールが始まると半額になり、7月下旬を越えると70%オフになる。
8月のお盆前からは3枚1995円とか、3枚3000円とか、3枚5000円などのまとめ売りに突入する。

今年は、セール向け商材をため込まず、7月末から定価で販売できる晩夏企画を投入するアパレルも多いと聞く。どこまで値下がりするのかじっくり観察したい。

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