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格安のオーガニックコットン製品はありえない

 「オーガニックコットン」と銘打った商品にものすごく高い物と、かなりお安い物が存在する。それもあってオーガニックコットンというものにかなり不信感を抱いている。

農薬も化学肥料も使わずに栽培した綿をオーガニックコットンと呼ぶ。しかし、綿花栽培農家が、いきなり来年から「農薬も化学肥料も使用を止める」と決心して栽培してもそれは「オーガニックコットン」と呼べない。オーガニックコットンと呼ばれるまでには無農薬・無化学肥料栽培を3年継続しなくてはならないからだ。3年経過して初めて「オーガニックコットン」と呼ばれるようになる。

こうして見ると、オーガニックコットンに移行するまでかなりの時間と労力が必要であり、たとえTシャツとはいえ、2900円程度で販売できるはずがない。オーガニックコットンのTシャツが1万円の値段をつけていても不思議ではない。しかし、現状ではオーガニックコットンと銘打った商品で2900円程度の物が多数存在する。

例えば無印良品で販売されている。

なぜ無印良品がそんなに低価格で販売できるかといえば、100%オーガニックコットン使用ではなく、10%とか20%だけ配合しているからである。

通常、オーガニックコットンは肌触りが良く、アトピー性皮膚炎にも効果があると言われているが、10%だけ配合されたTシャツにその効果はない。商品タグに「オーガニックコットン」と書きたいがためのセールスプロモーションに過ぎない。そもそも10%や20%配合した程度で「オーガニックコットン」と書いても良いのか?という問題がある。
表記にもっと厳重なルールが必要ではないのかという議論も実際にある。

幸いにしてアトピー性皮膚炎を患っていない自分は、通常のコットンで十分なのでオーガニックコットンに対するニーズがない。さらに言えば、オーガニックコットン製品のカラーバリエーションの少なさも興味を抱けない理由の一つとなっている。
通常、ベージュ、薄緑、薄茶の3色のラインナップであるが、これは綿の色そのままである場合が多い。

赤や黒、オレンジ、パープルなどに染色すれば良いじゃないかと思うのだがそれではダメらしい。なぜなら通常の染料には化学物質が含まれており、それで染色するとオーガニックコットンの効果がなくなるためだ。ただ、天然の草木染めや100%天然成分の柿渋染めなどは、化学物質が含まれていないので、染色してもオーガニックコットンの効果がある。

しかしややこしいのが、黒や紺に染められた物でも「オーガニックコットン」と謳われているし、草木染め・柿渋染めと書かれていても化学物質を配合して使われている場合もある。いずれも極端に安い価格が付けられていたら要注意である。

上記のような要因が相まってますますオーガニックコットンへの胡散臭さが醸し出されているともいえる。
これはアパレルに限ったことではないのかもしれないのだが「言うた者勝ち」みたいな風潮はなんとかならないのだろうか?

綿花相場の史上最高値更新

 先日、紡績部長から綿花の高騰ぶりを聞いたばかりだが、綿花の高値があっさりと更新された。繊維ニュースより引用させていただく。

 25日のニューヨーク(NY)綿花定期相場は、期近(12月)物が前日比で5セント高い124.71セント(1ポンド)をつけ、史上最高値を更新した。

とのことである。

紡績部長にお聞きした時点での価格が119セントであり、これが150年ぶりの高値だった。
部長によるとアメリカ南北戦争当時の相場価格が170セントを越えていたというから、追いつくにはまだまだ余裕がある。
しかし、150年前と現在では物価も貨幣価値も違っているので、単純比較はできないだろう。

残念ながらそのあたりの知識が欠けているために、ここで比較を提示できない。
ああ、無力感。

衣料品の製造コストは原料高も含めて上昇する一方である。
しかし、衣料品の店頭価格は下がるばかり。

縫製の現場では、現在、中国の縫製スペースが満杯である。
多くの中国工場が、10月現在に発注すると、納期が3月末~4月10日ごろになるという。
どうしても早く欲しい場合は、工賃を上乗せするとそのオーダーを優先してくれるそうだ。うわさが本当なら、縫製工賃の上昇は避けられないだろう。
かといって、単純にベトナムやカンボジア、バングラディシュあたりの工場に振り替えられるかというと、そうでもなく「現地調達の副資材(ボタン、ファスナー、リベットなど)の品質が中国製品よりも悪い」という。ちなみに中国製副資材も国内製副資材よりも品質が劣る。

製品の価格下落も、中国の縫製スペースも繊維・アパレル業界の安易な物作りの姿勢のツケである。
ある業界の大先輩は「クラッシュは終わった。これからは再生に向かおう」というが、まだまだクラッシュし足りないのではないだろうか。再生に向かうのは数年以上先になると感じている

ユニクロ心斎橋店のお買い得ダウンジャケット

 昨日から全国的にグッと気温が下がった。
10月に入ってから東京は涼しいと聞いていたが、関西は朝晩こそ涼しかったものの、昼間は25度近くの日が続いており、秋冬物を着ようという気にはならなかった。
今回の急激な気温の低下で、秋物は残念ながら在庫になりそうだが、冬物・防寒物の動きは活発化するのではないだろうか。

昨日、予定がキャンセルになったので、
ふらりとユニクロ心斎橋店を覗いてみると、昨年のプレミアムダウンジャケットが3990円、4990円、5990円に値下がりして並んでいた。
3990円は肩に2本ラインが入ったもの、4990円はダイヤ型のキルティングダウン、5990円はネオレザーダウン。
いずれも昨年、色や素材感が「あれ」だと感じたものだった。

肩に2本ラインは、やけに本体とラインの色のコントラストがはっきりしすぎている。
ダイヤキルティングのは、ナイロンに光沢がありすぎるのでちょっとなあと感じる。
ネオレザーダウンは、ネオレザーの割には表面に光沢がありすぎで、コーティングを施したみたいに仕上がっている。

珍しく3品番ともサイズがそろっている。XSやXLサイズばかりではない。

しかし、値段的には非常にお買い得であり、ライトダウンではないので羽毛の量も多い。
今年のウルトラライトダウンが5990円なので、両方が並ぶと昨年物の方が値打ちがあるように思う。あまり色や素材感を気にしない方であれば昨年物の方がお買い得だと思う。

ダウンジャケットの製造にかかわっている方から伺ったのだが、
ユニクロのウルトラライトダウンは、ダウンパックを省いた構造になっており、日常生活での着用は問題ないのだが、経年変化には弱い。
モンベルのインナーダウンはダウンパック構造になっており、それなりにコストパフォーマンスもある。
しかし、パタゴニアは値段も高いがモンベルよりもさらに性能が良いとのこと。

品質から言えば

ユニクロ<モンベル<パタゴニア

だという。
値段通りに品質も差があるということになる。

機能性商品は価格の差が品質の差につながることが多いので非常にわかりやすい。
その点、カジュアルを含めたファッション用品は価格の差と品質の差が連動していない場合も多いのでわかりにくい。
デフレに陥った原因の一つに、そのわかりにくさもあると思う。

綿が150年ぶりの高騰

 先日、ある紡績の部長さんと同席した。
部長さんによると「綿の相場が高騰している。アメリカ南北戦争以来の高値」だという。
アメリカ南北戦争は1861年~1865年なので、およそ150年ぶりの高値ということになる。

10月26日付の「繊維ニュース」によると、世界的な綿花高騰を受けてパキスタン国内の綿花も高騰しているという。以下に引用させていただく。

パキスタンで綿花が一段と高騰している。洪水被害で今季の綿花収穫量が予想を下回ることが確実なことに加え、世界的な綿花高騰を受けてパキスタン国内でも綿花価格が上昇。先高感と需給タイト感から23日には紡績や綿花商が大量の買いに動き、一時は1マウント(37.32キロ)7800ルピーをつけるなどパニック相場の様相を呈してきた。

とのことである。

世界的な綿花高騰と洪水被害での収穫量低下のダブルパンチでパキスタンの綿花が値上がりしている。

冒頭の紡績部長さんによると、つい最近まで、綿が足りない分はポリエステルを混ぜることで乗り切っていたが、ポリエステルも若干値上がりし始めたという。これはポリエステルの需要増によるところが大きいようだ。

特殊な素材を除いては基本的なポリエステルは綿よりも安く、価格が上昇しにくい。
綿が足りない場合はポリエステルを混ぜることで値段を抑えられる。

原料は不足し、高騰しているが、製品の値段は上がらない。前年据え置きか、下手をするとさらに下がる傾向にある。製品代には、縫製・加工工賃ほどの上乗せはないとはいうものの、生産業者はますます苦しくなる。
また、アパレルのバーゲンセールもこれまで以上に利益を削ることになる。

もっともその部長さんによると「来年の綿の値段は落ち着くかもしれない。なぜなら、綿の高騰を見て、中国が綿の栽培量を増やす可能性が高い。そうすれば、再び綿の値段は落ち着く」という。さてどうなることやら。

ライトオンとジーンズメイトは10月度も大苦戦

 ライトオンとジーンズメイトの10月度売り上げ速報が発表された。
ライトオンの既存店売上高は前年比14・1%減
既存店客数は同13・5%減
既存店客単価は同0・7%減

ジーンズメイトの既存店売上高は前年比22・8%減
既存店客数は同17・7%減
既存店客単価は同6・2%減

に終わった。
ライトオンは客単価はほぼ前年並み、ジーンズメイトも6%減にまで
下げ幅が小さくなっていることから、単価下落もそろそろ底打ちになりつつある。
一方、両社とも客数の低下が止まっていない。

客数の低下が止まらないということは、消費者が離れている証拠であり、
マックハウスも含めて大手ジーンズチェーン店は、規模を縮小して事業の再構築に取りくむ必要がある。
ジーンズメイトは10月から新業態「ワケあり本舗」を
mina町田とPAT稲毛に出店した。
ありていに言えば、アウトレットの低価格店であるのだが、
FRグループの商業施設で、ライトオンも入店しているmina町田にアウトレットを出店するという取り組みには疑問を感じる。
さらに言えば、いくらアウトレットとはいえ、もう少しマシなネーミングはなかったのだろうかとも思う。

10月19日付けの繊研新聞一面には、7~9月のファッション消費が悪化したとのアンケート報告記事が掲載されており、10月以降の見通しも「現状変わらず」が7割を占めている。
9月末からの気温の低下で、ようやく秋物が動き出し、一部店舗では好調になりつつあると聞くが、大部分の店舗ではまだまだ売り上げが厳しい。

一番ファッションに夢を持っているのは「ハートキャッチプリキュア」?

 繊維、ファッション業界で多くの人と触れ合うと「ファッション」というものに夢や希望を持っていない人が多い。自分もそうなのだが。
ファッション専門学校への入学希望者が減少し続けているのもその表れではないかと思う。
アパレル各社を長い間見ていると、大きな成長を遂げた企業が例外で、ほとんどが中小、零細にとどまるか、または10年以内に消滅していく。大企業に成長を遂げてもいずれ縮小、経営統合、消滅する運命が待ち受けている。

アパレルやファッション産業に夢や希望があったのは80年代のバブル期までのことで、今の50歳以上でないとその当時の熱気やムードはわからない。40歳の自分が就職する直前でバブルは崩壊していた。
もちろん、今の20代でもファッションに夢を持って新たに事業を起こす人たちもいる。バブル期や高度経済成長期ならあっという間に百億円くらいになれたかもしれないが、現在ではそれは難しいだろう。
バブル期や高度経済成長期よりも慎重で、考え抜いた戦略が求められると思う。

そんな状況を見ていると、ファッションへの夢や情熱を一番まじめに訴えているのは「ハートキャッチプリキュア」ではないかと思えてくる。
ファッション部の部員を増やし、8か月くらいかけてファッションショーの準備をしている。当たっている部分も外れている部分もあるが、ファッションの素晴らしさを説いている。
だから意外に業界のおじさん、おばさんもこの番組を見ているのではないだろうか。

でも、やっぱり思う。「ハートキャッチプリキュア」のキャラクターみたいな考え方でこの業界に入ってくると、大きくなる前に潰れてしまうだろうなあ。

ハートキャッチプリキュアに見るファッションショー

JFWが開幕し、現在、東京コレクションが行われている。

ファッションショーと言えば、意外にファッション関係者に人気が高いのが「ハートキャッチプリキュア」だと思う。
17日の日曜日の回では、学園祭で念願のファッション部のファッションショーが開催された。放送当初からだから8カ月前後こだわってきたファッションショー。
その光景は、パリコレクションやミラノコレクションに見られるよな通常のファッションショーではなく、観客から歓声が飛ぶライブ形式の、いわば東京ガールズコレクション(TGC)や神戸コレクションと同じものだった。
画面を見る限り、観客も数千人(!)おり、規模的にも神戸コレクション並みであり「そんな大人数入れる体育館は学校にないやろ!」とツッコんでしまった。

これにはショックを受けたファッション関係者も多いようで、今の小さい女の子にとって「ファッションショー=TGC、神戸コレクション」になっているということになる。

実際にオーソドックスなファッションショーは見ていてあまり楽しい物ではないと思う。ライブや映画、演劇に比べて。自分は仕事なので何度か見させていただいたことがあるが、1時間を越えると眠くなる。
音楽はあるものの、ナレーションもなく、歓声も飛ばない。(当たり前だが)
ある意味静寂なのである。
これだと50分くらいで集中力が途切れ、1時間過ぎるころには意識を失っている場合がある。(早い話が眠っている)

これに比べ、TGCや神戸コレクション形式だとライブ感があるので1時間を越えても眠りに落ちることはあまりない。

オーソドックスなコレクションショーが廃れ、TGCなどのライブ形式に人気が集まるのも理解できる。これも時代の移り変わりかもしれない。

イキったオッサンの話

 ベストのことを「ジレ」とわざわざ呼ぶファッション業界人は好きではない。「ジレ」はフランス語でチョッキのことである。なぜわざわざフランス語に言い直しているのかわからないが、「ジレ」と呼ぶ業界人も消費者もえてして気取って嫌な奴である場合が多い。

先日、GAPで「ベスト」が値下げされていた。
「ええかも」と思って、商品を見ていたら、スカしたおじさまが来て店員に向かって「このジレなぁ」と話しかけたのである。
スカしたおじさま、大阪弁でいうと「イキったオッサン」になるのだが、いかにも鼻につく。

ファッション業界は商売目的のためか、商品名をときどきリニューアルする。スパッツをレギンスに、チョッキをベストに、オーバーオールをサロペットやコンビネゾンに、などなど。
そういえばスカーフも昔はネッカチーフと呼ばれていた。ネッカチーフは古すぎるとしても、わざわざスパッツをレギンスに言い直さなくてもと思う。

それとは反対にコール天という素材はコーデュロイと呼び直されて以降も、コール天という呼び名も残っている。おそらく、大多数の人はコール天でも通じると推測している。

商品名をリニューアルすることで、新しいイメージを与え消費を活性化するという意図はわかるのだが、訳知り顔に「ジレ」というイキったオッサンを見るとどうにも首を傾げたくなる。
こんなイキったオッサンは、ネクタイのことをイタリア語で「クラヴァッテ」とでも呼んでいるのであろうか?

東京スタイルとサンエーインターの統合

 昨日、多くの人を驚かせた東京スタイルとサンエーインターナショナルの経営統合の発表。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101014-00000610-san-bus_all

様々な識者の方々が詳細な解説をしてくださると思われるので、自分は感想を。

財務体質が強い東京スタイルと、財務がボロボロのサンエーインターの統合は、財務面では非常に良い組み合わせだったのではないだろうか。
あとは企業風土がまったくちがうので、そこがどうミックスされるかではないだろうか。直近では阪急・阪神と高島屋みたいに「やっぱり風土が合いませんでした。統合やめます」という事例もある。
自分のデスクで水を飲んだら叱られると言われる超体育会系気質の東京スタイルと、うまくサンエーインターの企業風土が溶け合うかどうか。

サンエーインターは昨年から大規模なリストラを進めていた。社員の首切りはもちろん、ブランドもいくつか廃止した。同社の数少なかったメンズブランド「abx」はけっこう好きでセールではときどき購入していた。
天王寺mio店での購入が一番多かったが、通常の夏冬のセールが始まって20日間くらいが経過すると、70%オフになるのが通例で、その時に購入するようにしていた。廃止される直前は定価を下げたこともあり、60%オフにしかならなかったのだが。

「abx」の物作りは、そんなに高品質とは思えないし、数年前までのデニム、カジュアルアイテムはそれほどではなかったが「70%オフなら良いか」という感じだった。あと、色や柄などのセンスは好きだった。

ドレスシャツの下には肌着着用が望ましい

 メンズスーツの着こなしルールでまったく納得できないことがある。
ドレスシャツの下に肌着のシャツを着ないというルールだ。もともとドレスシャツというのは肌着の変化したものであるので、その下に肌着シャツを着ることはおかしいというのだ。

しかし、これを日本に当てはめると、春・晩秋・冬くらいしか適応できないのではないだろうか。夏に肌着を着ないと汗で大変なことになる。
しかも日本はここ数年、夏は猛暑続きであり、35度を越える気温が8月いっぱい続く。素肌にドレスシャツだと汗でボトボト、スケスケになる。

しかしこのルール、多くのメンズファッション本にも書かれているし、ドン小西などというファッション電波芸人も自分の著書の中で大真面目に書いている。
ヨーロッパ、北米は夏でも冷涼な気温のところが多いから素肌にドレスシャツでも良いのかもしれない。天気予報を見ていると、ロンドンは夏でも25度以下の日がけっこうあったし、パリもそうだ。これなら汗の少ない体質であれば十分に素肌ドレスシャツが可能になる。

メンズファッション本の著者やドン小西は、炎天下ドレスシャツを着て営業に回る人間のことを考えたことがあるのだろうか?素肌ドレスシャツなんかで炎天下営業を回ったら大変なことになる。また汗でピタピタに張り付いてスケスケになったドレスシャツを着た営業マンなど見るだけで不快であろう。
所詮、ファッション本の著者やドン小西は冷房の効いた自動車で移動する人間である。炎天下を歩く営業マンのことなどこれっぽちも考えていない。

ドレスシャツの下には肌着着用が望ましい。オフィスにこもりっきりなら話は別だが。夏は汗を防ぐため、冬は寒さを防ぐため肌着を着るべきであり、ファッション本やファッション電波芸人はおかしな着こなしを軽々しく薦めるべきではない。

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