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プライベートブランド「ゾゾ」のすごさは商品ではなく、そのプロモーション手法にある

プライベートブランド「ゾゾ」が発表され、各報道を見ると、矛盾した言説・受け答えが溢れており、読めば読むほど整合性がなくなる。
長らく交流している方から、ゾゾ商品のサイトが完成していると教えていただき、直接自分の目で確認することにした。

http://zozo.jp/pb/

基本的に、ゾゾという商品はフルオーダーではなく、パターンオーダーだということがわかる。
ゾゾスーツでの採寸によって、サイズを合わせるという「仕掛け」によって、「一からその人に合うサイズの服を作る」と思っている人が多いように感じる。
とくに、衣料品業界外のイシキタカイ系ジャーナリストや経済紙関係者にはその嫌いが多い。

採寸によって、一から型紙を起こすというのは、「フルオーダー」でこれは何十万円もする。
何せ、ゼロから形を作り上げるのである。

一方、近年、3万円前後で「オーダースーツ」が売られるようになっているが、これはフルオーダーではなく、パターンオーダーないしイージーオーダーと呼ばれる手法で、厳密にいうとパターンオーダーとイージーオーダーは別らしいが、ここではほぼ同じとして取り扱わせてもらう。

あらかじめ決まったパターン(型紙)があり、採寸したデータをもとにそれを微修正するのがパターンオーダーである。

A6サイズのスーツがあったとして、採寸したデータをもとに、袖を短くしたりウエストを広げたりと微修正する。
襟の形やボタンの種類を選べるようなオプションを付けることができるが、それもゼロから作り上げるわけではない。

これによって、製造期間は短縮できるし、製造コストも抑えることができる。
だから3万円前後でオーダースーツが作れるというわけだ。

受注して即日~2週間で納品できると謳っているゾゾは取りも直さずパターンオーダー商品だといえる。
また「即日納品」が可能だということは、あらかじめ標準商品を何枚か作りおいていて、その標準商品に適応した体格の人から受注があれば、それを即座に送り出すということになり、これなどはパターンオーダーですらなく、単なる既製服販売と同じということになる。
既製Tシャツ1200円というのは、果たして「破格値の安さ」といえるだろうか?

標準商品で満足できない人には、採寸データをもとにした「微修正」が加えられる。
裾丈の長さ、袖の長さ、袖幅などなどを微修正する。

これはジーンズでも同じである。

型紙の微修正なんていうのは、現在ではパソコンのCADCAMを使って行う。
袖丈や袖幅を変更した際に最適なように全体を自動的に微修正してくれる。

ジーンズで限りなく、ウエストのデカい人(150センチくらい)がいて、それ用にウエストを広げた場合、グレーディングと呼ばれる各部の比率変更が必要となる。これを今ではパソコンソフトでできる。
ウエスト150センチに広げた場合、それに比例して各部を広げると、ジーンズの裾幅なんてめちゃくちゃに広くなって袴みたいなジーンズになってしまう。
それではさすがにおかしいので、裾幅はあまり広げずにウエストだけを広げる。
これがグレーディングという作業で、標準とされるS~Lサイズだって同じグレーディングが行われている。

例えば、アダストリアのレイジブルーの商品で見てみよう。

http://www.dot-st.com/rageblue/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?ITEM_CD=780048

このズボンのサイズは

Sサイズ ウエスト74センチ・もも周り62センチ・裾幅31センチ

となっている。また、

Lサイズ ウエスト89センチ・もも周り64センチ・裾幅34センチ

となっている。

見比べてみてどうだろうか?
ウエストは15センチ拡大しているのに、もも周りは2センチしか違わない。
裾幅も3センチしか大きくなっていない。

これはウエストに比例して各部を広げていないという証明で、このサイズ比率の変更がグレーディングであり、これは既製服でも普通に用いられている。

ゾゾのオーダーとはパターンオーダーと採寸によるグレーディングを合わせた手法で、「完全オーダーメイド」ではなく、イシキタカイ系が夢想するような「フルオーダー」でもないということである。

商品そのものについてはどうだろうか。
Tシャツとジーンズの画像と説明文を見た限りでは、はっきり言って「普通」である。
恐ろしくかっこいいわけでもないし、恐ろしくダサいわけでもない。
あくまでも「普通」であり、それ以上でもそれ以下でもない。

素材も普通だが、ちょっと奇妙なこともある。

メンズのTシャツの使用素材は40番手双糸なのに対して、レディースのTシャツは20番手単糸なのである。(ウェブサイトにそう書いてある)

ちょっとでも生地や糸の知識がある人にはその可笑しさが伝わると思うのだが、そうではない人のために蛇足ながら説明をする。

この二つの生地は一見するとほぼ同じに見えるだろう。
生地の厚さも同じだ。

しかし、どちらが高品質な素材かというとメンズである。

20番、40番とは糸の太さを表す「番手」であり、数字が大きい方が糸は細くなる。
40番より20番の方が糸が太い。

ところが、糸というのは1本だけで生地を織ったり編んだりせずに、2本を撚り合わせて使うこともある。
1本の糸で織ったり編んだりすると「単糸使い」といい、2本撚り合わせた糸で生地を構築すると「双糸使い」となる。
当然、糸を2本使っているので、材料費は「双糸使い」の方が高くなる。

じゃあどうしてそんなめんどくさい「双糸使い」なんていう生地があるのかというと、単糸使いの生地は総じて、洗濯をすると斜行しやすくなるからだ。とくにTシャツやカットソーの単糸生地は斜行しやすい。これを防ぐために「双糸使い」という生地がある。

そういう意味でメンズTシャツ素材の方が圧倒的にレディースよりも高品質である。

またなぜ生地の厚さが同じかというと、細い40番手の糸も2本撚り合わせると、太さは倍になる。当たり前だ。
40番手2本で、20番手単糸と同じ太さの糸になるため、それぞれを使って編んだ生地は厚さは同じになる。

だから、見た目はメンズもレディースも同じ生地に見えるが、中身は別物だ。

通常、レディースの方の生地クオリティをメンズより落とすことは考えにくく、これは恐らく、同じ生地が手配できなかったための代替措置ではないかと思う。
それでも当方なら20番単糸生地をメンズに使うが、あえてそれをレディースに持ってきたスタートトゥデイは本当に生地に興味がないんだと思う。

プライベートブランド「ゾゾ」の商品自体は限りなく「普通」で、レディースのTシャツ生地のクオリティはあまり高くない。
ジーンズも普通だし、デニム生地も綿99%・ポリウレタン1%の12・75オンスデニム生地なので、ありふれている。

ゾゾの「物」自体は大したことがない。現段階では。

ゾゾのすごいところはその「仕掛け」「販促の手法」にある。
アパレル業界が見習うべきはこの部分である。

まず、採寸できるゾゾスーツの開発に投資するという「仕掛け」。

そして、そのスーツを無料配布するという手法。
それで期待感を煽り、商品の発表ということになるが、期待感で煽られている人が多数いるため(特に経済系インフルエンサーやメディアなど)、メディアに大量に記事掲載される。

従来からあるパターンオーダーと場合によっては既製服販売に過ぎないものが、最新鋭テクノロジーで作られた服かのように報道される。

商品自体はあくまでも「普通」だし、その供給システムも従来型パターンオーダーの域を何一つ出ていないのに、最新テクノロジー服という「イメージ」だけが醸成され続けていく。

この「イメージ戦略」は正直なところ、海外ラグジュアリーブランドにも匹敵するといえる。
単なる塩化ビニールの鞄をさも「良い物」というイメージを与えているルイ・ヴィトンと同じ手法といえる。

そういう意味では、この「仕掛け」「販促手法」「見せ方」は見事だというほかない。

そもそも、今の衣料品でだれもが驚くような画期的な商品なんてものは出現しない。
もしかしたら、未来においては1ミリ秒で蒸着できるようなコンバットスーツが開発されるかもしれないが、そういうものでない限りは、驚くほど画期的な服なんてものは出現しない。

そういうものが現れるとしたら、ハイテクノロジーを詰め込んだウェアラブルだったり、ハイテク機能を満載した機能素材で作られた服くらいしかない。

洋服という商品においては「物自体」での差別化や革新は生まれにくくなっており、「普通の物」と「従来型パターンオーダー」という手垢にまみれた供給システムを再編集して見せなおしたというスタートトゥデイの手腕はすさまじいものがある。
国内のアパレル業界に足りないのはこの部分であり、そこは大いに見習うべきである。

ただし、個人的にはこの商品を買おうとは思わない。
ユニクロで1990円に値下がりしたジーンズを無料で裾上げしてもらった方がコスパが高い。

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怪しさと矛盾点が際立つプライベートブランド「ゾゾ」の発表

ようやく、延び延びになっていたZOZOTOWNのプライベートブランド「ZOZO」の一端が発表になった。
どんな商品なのかなと一応興味を持って外野から眺めていたが、第1弾はTシャツ(1200円)とジーンズ(3800円)だと判明し、正直期待外れだと感じた。

価格面でいうと、ユニクロに合わせてきたという感じだが、体型測定スーツ「ZOZOSUIT」で得られることになるであろう26万人の膨大な体型データを使ってTシャツを作る必要があるのかと正直疑問しか感じない。

某人気ブランドの中の人が言っていた「ZOZO社員は本気でユニクロと競合する気でいる」というのは価格設定を見ると、本当だったのだとわかる。ただし、値段が同じくらいだからユニクロと同等には売れない。それなら、今頃イオンもイトーヨーカドーもジーンズメイトももっと衣料品が売れている。

ZOZOSUITが発表されたときには随分と熱狂があったが、発送が延び延びになり、有名人と一部顧客にしか届いていない状況にあり、身の回りでも「発注したけど遅いからもう興味が薄れた」という人もちらほら現れている。

ZOZOSUITの報道や熱狂には違和感があり、その違和感は今でもあるのだが、例えばこういう見出しの記事については本当に疑問しか感じない。

一つ断っておくと、ZOZOSUITのような開発は続けるべきだし、全否定するのはナンセンスだが、逆に持ち上げすぎるのもどうかと思う。

「ミリ単位の精度求めた」ZOZOSUITの体型計測データが生み出すスタートトゥデイの新展開
http://jp.techcrunch.com/2018/01/31/zozo-maezawa-kanayama/

この「ミリ単位の精度」っていうのがちょっとどうかと思う。
例えば、今回発表されたTシャツだ。

Tシャツは、ニット生地で綿100%組成であろうが、生地の構造上伸縮性がある。
5ミリくらいは普通に伸び縮みするから、はっきり言って「ミリ単位の精度」なんてものはTシャツには必要ない。
さらにいえば、縫製する段階で普通に1ミリくらいはズレや誤差がある。
逆にミリ単位の精度で縫製できる工員なんてほとんどいない。

これはセーターでも同じで、5ミリや1センチは伸縮性が生地自体にあるし、縫製やリンキングの段階で1ミリくらいは普通にズレる。

いくらミリ単位でデータを調整しても実際の製造工程では1ミリや2ミリは確実にズレるから無駄である。

こういう発言をする人やこういう記事を書く人は衣料品を精密機器か何かと勘違いしているのではないか。
こういう発言や記事が独り歩きして、ミリ単位の服なんていうユニコーンやグリフォンみたいな奇妙な空想の産物が生まれる。

逆に、そういう「ミリ単位」という発表をある程度信用していたからTシャツという選択には首を傾げてしまう。
ミリ単位が売り物になるのは例えば、スーツ、ワイシャツ、ビジネス用コートなど、である。
こちらは1ミリ・2ミリの精度なんて意味がないが、5ミリや1センチは重要な差になる。

ワイシャツの首回りが1センチ変わればフィット感も見た目も大きく変わる。
昔のソフトスーツは別としてスーツだって1センチの差で大きくシルエットが変わる。

Tシャツやセーターの着心地にミリ単位の精度はまったく必要ないのに、それを選んでしまうところが拍子抜けというか期待外れだった。

またワイドシルエットの商品もミリ単位では着心地は左右されない。

おわかりだろうか?ガウチョパンツやそれのフルレングス版ワイドパンツなんて1ミリや2ミリ細かろうが太かろうが着心地には全く関係ない。
今春にジーユーから発売されているリーバイスセカンドの完コピジージャンだってダボっとした古臭いシルエットだから1ミリ違ったところでまったく着心地には影響しない。

ミリ単位の精度が求められるのは先に挙げたスーツ、ワイシャツ類とタイトシルエットが売り物のカジュアル商品に限られる。それだって実際のところ1ミリや2ミリ程度は誤差があるし縫製段階でズレる。
これが現実の洋服である。

しかし、ZOZOSUITによる採寸がまったく無駄とは思っていない。
むしろ、着心地よりもそのデータを使って「より美しいシルエット」「よりスマートに見えるシルエット」作りに取り組むべきである。

今回の会見の記事はこちらがコンパクトにまとめられている。

“ZOZOSUIT”到着は最大8カ月の遅延も、PB発表で前澤社長が決算会見に登場
https://www.wwdjapan.com/515448

最大8か月の遅延って、今年の8月ごろ届くということだから、はっきり言ってますます興味は薄れる。
忘れたころに届くことになって「ああ、そんなのも頼んでいたっけなあ」という感じになるだろう。

今回、前澤友作・社長は

「注目すべきは値段。メディアにはいろんな予測記事が出ていたが、期待を上回るというか下回るというか、Tシャツが税込1200円、デニムは税込3800円で販売する。過剰に在庫を積み上げるつもりはない。オーダーメードに近い受発注生産を行うことで、価格を下げられた」とコメント。

と話しているが、オーダーメードに近い受注生産だから価格が安いというところがちょっと意味不明だ。
恐らく、在庫を持たずにその都度生産するから、在庫処分での投げ売りが無くなるからその分販売定価を下げたということなのだろうが、その都度縫製する方が普通は縫製工賃は高くなる。
極端な話、一挙に100枚縫製した方が、1枚ずつその都度縫製するよりも工賃はずっと安くなる。
逆に1枚とか2枚しか縫わないサンプル縫製の工賃は最低でも5000円とか1万円くらいはする。
どう考えてもシステムに矛盾がある。
しかも生地は、専用生地ならどこかの問屋が備蓄しているとしか考えられず、専用生地でないなら、市場に流通している「在り物」の定番
生地をその都度購入することになる。
「在り物」の定番生地ならはっきり言ってユニクロにはまったく生地の値打ちではかなわないが、そのことは理解しているのだろうか?

また

ヤマト運輸の配送運賃変更による経費15億円やPB業務委託の13億5000万円などのコストが発生したにもかかわらず、増収増益を記録した。

という箇所があるが、やはりPB製造にはOEMやODMを使っているということだろうか。
たしか、工場なんかも買ったというような記事も読んだ記憶があるが、PB業務委託13・5億円ということは製造も委託していると考えられ、それはとりもなおさずOEM・ODMを使用したということになる。

なんだか生産システムも製造も矛盾だらけの内容だが、ますます実態の見えない怪しげなプロジェクトだとしか感じられなくなっている。
各メディアの記事の書き方が悪いのか、説明した方の説明が悪いのかわからないが、その結果、怪しさと矛盾点だけが際立ってしまっている。

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不振イベントのその後の意外な効果

 少し前のことになるが、通販サイトのZOZOTOWNがリアルな展示受注会「ZOZOCOLLE」を2日間に渡って開催した。
その結果は、入場客数が1万5000人、売上高が1億5000万円だった。
当初の計画では入場客数が3万人で、売上高が3億円だったのだからこれだけを見ると明らかに失敗である。

そのことについてブログで書いたことがある。

付け加えるなら、出展ブランドは200もあったのだから1ブランド当たりの平均売上高は75万円ということになり、多くのブランドは赤字を計上したことだろう。
さらに、売れたブランドと売れなかったブランドの格差は激しく、マスターマインドは何千万円単位の売上高があったと聞く。ということは、売上高が限りなくゼロに近かったブランドも多数あるということになる。

先日、このイベントについてさらに踏み込んで考察しているブログを見つけた。
出展社ご自身が書かれているので、発言の重みと説得力が段違いである。

「売れないZOZOCOLLE と 売れるZOZO 」

http://chapterworld.typepad.jp/sholife/2012/09/%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84zozocolle-%E3%81%A8-%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%82%8B-zozo-.html

先日、9月15日と16日にZOZOCOLLEなるものが幕張メッセで開催された。これは、ZOZOTOWNに出店しているメーカーの店舗が、ZOZOのお客様に商品を見てもらい先行受注をしてもらう。いわば、ZOZOTOWNはネットだけでなくリアルの商品展示会を開く、新しい試みであった。

結果は散々なものであった。予定では、3万人の入場と3億の売り上げ。しかし、実際は1.5万人の入場と1.5億の売り上げ、そしてほとんどの売り上げが、 ZOZOさんがライセンスで売った、マスターマインド(これは中国での二次マーケット用?)であった。弊社、CHAPTERWORLD, も散々な結果であった。私は、ZOZOCOLLEに関していい話を聞いたことがなかった。(経費の大幅な赤字である)

とのことである。ここまでなら、当ブログや他ブログでの指摘とほぼ同じであるが、このZOZOCOLLEは意外な効果もあったという。

しかし、話はこれで終わらない。多分多くの店舗からクレームがきたのだと思う。なにせ、多くの店舗さんは、かなり力を入れてZOZOCOLLEに出店していた。(多分1千万円近くかけた大手セレクトさんは大赤字)そこで、ZOZOは大盤振る舞いを行うこととした。32万人の上顧客に、2万円以上買ったら5000円のクーポンを、配布した。(先週の金曜日から、今週の土曜日まで)そしたら、ZOZOの売り上げが上がった。怖いほど上がった。(この3日間だけ、もちろん弊社の数字の話であるが)なにせ15億のクーポン、購買効果60億。(30万人 X 5000円、しかしそれを使うには、20000円 X 30万人)ZOZOの利益率は25%ぐらいなので25%OFFは問題ないのかもしれない。

儲かっている会社はこのようなことができる。やはりすごいと感謝している。しかし、ZOZOの顧客が本当に増えているのか?それはわからない。

とのことである。
意外な副産物といえる。

そしてこれは出展社ならではの視点であり、外野の人間では到底思い至らない。

筆者はあまりネット通販は使用しない。
何度か利用したことがあるが、数えるほどであり、実際の店舗で見つけた商品をネットで購入したことがるという程度である。その際は実際の店舗で何度か試着をし、素材の触感も確かめてからネットで購入するという念の入れようである。
ネットで購入するのは、「実際の店舗に足を運ぶ時間がないとき」「ネットで買った方が安い、もしくは多くの特典が付いているとき」に限られているのが現状である。

閑話休題

今回のイベントについてその後の効果に触れている論評を見たことがなかった。(当ブログも含めて)
このような効果があるなら、出展による赤字はちょっと割高な広告料を払ったと思えるだろう。

けれども結局、ネット顧客は「割引販売目的」なのかと思わないでもない。
そういう筆者が「割引販売目的」でしかネット通販を利用しないのだけれども。

で、ブログ主は

私も少しネットを理解してきたのだが、ネットは顧客の数である。もちろん良いもの、お客様の必要なものを売るのが前提であるが。大競争時代。(猫も杓子もネット)私は、ここにきて初めて新しく店を開きたいと店舗用地を探している。

と結んでおられるのだが、割引販売目的の顧客が多いネット通販全盛時代だからこそ、リアル店舗が脚光を浴びることがあるのではないかとも思う。

中期的展望での育成を期待したい

 ZOZOTOWN初のリアルイベントが9月15日、16日の二日間開催された。
これは一般顧客向けの展示受注会で、ネット通販がいかにリアルな予約販売に結びつくか業界からも注目が集まっていた。

さて、ネットではこのイベントの結果が報道されている。
そこから数字的に第1回目のこのイベントの成否を考えてみたい。

9月15日、16日の2日間、幕張メッセにてファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」が日本初の一般顧客向け合同ファッション展示会「ZOZOCOLLE」が開催。 1万人が来場し、1億5000万円の総受注を受けるなど、大盛況のうちに幕を閉じました。

「ZOZOCOLLE」は、ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」が行う初めてのリアルイベント。「FRABOIS」「Ne-net」「IENA」「Banner Barrett」など人気ブランドから、「UNITED ARROWS」「BEAMS」「nano・universe」など人気セレクトショップまで、人気の200ブランドが店頭に並ぶ前の最新アイテムを展示し、お客さんより予約を受け付けるという斬新な試み。

イベント終了後に発表されたファクトデータによると、会期2日間の総来場者数は1万人で、男女比は男性50.4%、女性49.6%、平均年齢は29歳。大人のファッションフリークが訪れたことで、総受注額が1億5000万円と、大規模な予約展示会となりました。

http://getnews.jp/archives/252185

とのことである。

2日間の来場者が計1万人、売上高が1億5000万円という結果だが、数字的にはやはり大きい。

これをもう少し細かく分解してみたい。

まず来場者数は2日間で1万人だから1日あたりは5000人
営業時間は初日が11時~19時(最終入場18時半)
二日目が10時~17時(最終入場16時半)である。

初日が10時間営業、二日目が8時間営業なので、
初日は1時間当たり平均500人の入場ペース、二日目は1時間当たり平均600人の入場ペース

となる。

これが街の小さいホールなら500人来るとかなりの集客感となるが、いかんせん、会場は幕張メッセである。
この会場に1時間あたり500~600人の入場ではちょっと空間が大きすぎて、人口密度が低く感じられたのではないだろうか?
もちろん滞留時間が長いので最初に入場した客が最後まで滞在したとしても5000人で幕張メッセという空間では混雑感は感じられなかったのではないだろうか。

次に売上高だが2日間で合計1億5000万円なので
1日当たりの売上高は7500万円
これだけ見ると非常に大きな数字であるが、出展ブランドは200である。
200ブランドの平均売上高を求めると1ブランドあたり37万5000円である。
1ブランドの1日当たりの平均売上高は37万5000円となる。
2日間合計の1ブランドの平均売上高は75万円。

1ブランドあたりの1日平均売上高が37万5000円はちょっと少ないのではないだろうか。
当然ブランドによって優劣があったであろうから、1日に100万円や200万円売れたブランドがある一方で、ほとんどゼロに近かったブランドも相当数あったと推測される。

100万円のブランド1つと、売上高ゼロのブランド1つ、この2ブランドの平均売上高は1社あたり50万円となる。こうして見ると、37万5000円という売上高はかなり厳しい結果だったのではないだろうか。

ちなみに1万人来場者があって、総額1億5000万円であるから、平均客単価は1万5000円である。
平均客単価はまずまずだろうか。

もちろん売上高1億5000万円というのはかなり大きな数字である。
しかし、200ブランドの合計売上高としては物足りないと言わざるを得ないのではないか。

入場料は1000円だから1万人の入場者で、合計1千万円である。
しかし、会場賃料、アルバイトなどの人件費、会場施工費などの経費を考えると1千万円では厳しい。

発表された数字から推測すると、第1回目は期待されたほどの実績ではなかったのではないだろうか。

この理由をいくつか考えてみたい。
まず、秋物を予約までして買いたいと思う消費者が予想以上に減っているということではないか。
次に、サイト全体の売れ行きが大きく成長したのは、日本全国の地方からの買い物客が多いためで、決して東京近郊だけの売り上げではないということだろう。
さらに、入場料1000円を払ってまで先物を手に入れたいと考える消費者はそれほどいないということもあろう。

先日、福井県の大飯原発のある大飯町に取材に行ったことがある。
ここは道路と大きなホール以外何もない。スーパーもコンビニもほとんどない。
ここで農家を営む若者がいるのだが、彼は「フィルソン」のウールベストを着、「エヴィス」のジーンズを穿き、「レッドウィング」のアイリッシュセッターブーツを履いている。

都会のワークカジュアル好きの若者と遜色ないブランドを手に入れている。
彼が購入する先はネット通販である。
ZOZOTOWNというサイトは、この福井県大飯町の若者のような地方からの買い物客に支えられている側面が大きいのではないだろうか。

こうした地方の若者がわざわざ幕張メッセまで来るとは考えられない。
もちろん、熱心なファンは来場しただろうが、サイトを利用している人数からすると少数派だったのではないか。

さて、このイベントの方向性だが、主催者と出展社が中期的に取り組めば成長する可能性が大いにある。
中期的というのは5~10年くらいを想定している。
けれども、あと2~3回開催して今回のような結果が続いた場合、主催者と出展社が短気を起こしてしまえばその時点で打ち切りとなる可能性もあると思っている。

ぜひとも中期的展望でのイベント育成に期待したい。

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