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ネット通販が流行れば流行るほど衣料品デフレは進む

衣料品業界には安易なインターネット通販救世主論があるように感じるが、実際のところ、インターネット通販の行き着く先は低価格競争にしかならない。

楽天は3月、6月、9月、12月の年に4回、楽天スーパーセールを開催している。
開催日は確定していないが、開催月は毎年変わらない。

Amazonは頻繁にタイムセールを開催しているし、タイムセール抜きでも商品の価格が上下動を繰り返し、驚くほど値下げされる瞬間もある。
Yahoo!ショッピングも値下げもあれば、割引きクーポンを配布することも多い。

ジーユーの通販サイトだって「オンライン限定割引品」がときどき出現するし、アダストリアホールディングスの「ドットエスティ」も在庫過多な商品はタイムセールを繰り返している。

どうしてこういうことになるかというと、実店舗の場合、そんなに数は多くないかもしれないが、店長や販売員に惹かれて安くもないのにその店で購入するという場合があるが、インターネット通販の場合は、そこには魅力的な店長も店員も存在しない。
ひたすら画面で商品画像とスペック、価格を見比べるだけである。

集客の手段に「値引き販売」「安売り」が占める割合は実店舗よりも大きくならざるを得ない。

ジーユーやユニクロのように自社ECサイトのみでしか販売していないなら、値引き販売せずとも集客はある程度可能になる。
なぜなら、その商品はそのサイトに行かなければ買えないからだ。

ところが、AmazonにもZOZOにもYahoo!にも楽天にも出店・出品しているブランドはどうだろうか。
客はそれらすべてを見比べて一番安く売っているサイトで購入する。
あとは、それに付随するサービスの良し悪しで決める。
例えば「返品無料」だとか「送料無料」だとかそういうサービスである。

スタートアップ界隈やイシキタカイ系には、信者ともいえるZOZOファンがいるのだが、残念ながらすでにZOZOも安売りサイトの1つと化している。

1、ウィゴーやジーンズメイトなどの低価格ブランドの出店が増えている
2、割引きクーポン券の乱発
3、頻繁なセールの開催

がその理由である。

この結果、某有名ブランドの担当者によると「ZOZOの買い上げ客単価は前年比20%減で推移している」という。
また、別の有名ブランド担当者によると「最近、ZOZOの担当者は『割引クーポンを何枚発行できますか?』としか言わなくなった」ともいう。

先日も5月17日から23日にかけて大安売り大会「ZOZOウィーク」が開催されたばかりだ。
ゴールデンウィークが終わると衣料品は途端に売上高が下がることが多いが、それにしても5月17日の時点で「最大90%オフ」の安売りは破格である。

 

しかも「本気のZOZO」とまで書かれており、じゃあ、これまでは本気じゃなかったのか?と思わず突っ込まずにはいられない。

ZOZOの安売りサイト化は、周知されつつあり、公認会計士のブログにも登場する。

第2回 3415TOKYO BASE株主総会レポート2018.5.25
http://www.bcjosaka.com/entry/2018/05/26/015947

トウキョウベースの株主総会でも以下のような質疑応答があったことが触れられている。

ZOZOのマーケットが低価格傾向になっており、クーポンを利用した安売り競争でどこも利益が取れなくなっている。ZOZOで安い商品を出していたがやめた。ZOZOの中で予約の先行受注というやり方で質を高めたい。マーケットインにはまらずプロダクトアウトでやりたい。

とのことで、ZOZO依存比率が86%と異様に高いトウキョウベースですらこの認識を持っているということである。

このブログの論調はトウキョウベースに対して好意的だが、一連の質疑応答に関しては首を傾げざるを得ない返答が多いので、また後日別途考えてみたいと思う。

ニューズピックスというサイトに集う人々はZOZO信者率が驚くほど高く、一種異様な空間を作り上げており、ZOZOと楽天を比べることはナンセンスみたいな風潮が流れているが果たしてそうだろうか。

最早、同レベルの低価格商品が並んでいる現在、楽天とZOZOはそれなりに購買層がかぶりつつあるのではないかと思う。
そして、以前にこのブログで紹介したように、今の高校生・大学生にとっては服を買うサイトは親ぐるみで幼少期から慣れ親しんだAmazonと楽天だということを忘れてはならない。

数年前のZOZOは高感度・高価格ブランドの集うファッション専用サイトだったかもしれないが、今はショップリストあたりと同等の低価格ブランドサイトへと急速に変貌しつつある。

低価格衣料が強い楽天やブランド品の割引が強いAmazonと競合する立場にある。
そして、「服しか売っていない」ZOZOと「服も売っている」Amazon・楽天とを比べた場合、どちらが集客しやすいかというのは一目瞭然だろう。圧倒的にAmazon・楽天である。

ティッシュ、トイレットペーパー、水、洗剤などの日用消耗品や、キャンプ道具や釣り竿などの趣味の用品、ガンプラやゲームソフト、ゲーム機などをAmazonや楽天で買ったついでに服も買うという人の方が圧倒的に多い。

そして楽天はともかくとして、Amazonは急速にブランド品を強化しており、ユナイテッドアローズもビームスもアーバンリサーチもZOZOに行かずともAmazonでも買える。

インターネット通販が隆盛を誇れば誇るほど、衣料品のデフレ傾向はさらに進む。
ZOZOですらすでに低価格サイト化しているのが現状である。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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暇つぶしに楽天の本でもどうぞ。

EC売上高においてZOZO比率の高い企業と低い企業 ~ZOZOに依存している企業と離脱可能な企業~

アパレル業界は猫も杓子もネット通販という感じになっており、その中でもアパレル製品に関してのみ影響力が強いとされるのがスタートトゥデイの運営するECモール「ZOZOTOWN」である。

水面下では有力ブランドがゾゾ離れを画策しているといわれるが、果たしてそういう有力ブランドのECにおけるゾゾ比率はどの程度なのか。
それをまとめてくれたお役立ちNOTEがある。

「業界の美肌プリンス」の異名を欲しいままにする深地雅也さんがまとめてくれているので紹介する。

大手アパレルのEC売上におけるZOZO比率をまとめてみた
https://note.mu/fukaji/n/n4888917d9f0c

ユナイテッドアローズ、パルグループ、ベイクルーズ、アダストリアホールディングス、オンワード樫山、トウキョウベースの6社のゾゾ比率をまとめている。

本文記事を読んでもらえればわかるが、決算書類に書かれてあることをもとにしてゾゾ比率を算出している。
算出というほどのことではなく、各社はゾゾ比率がどれくらいかを自社で発表している。

まず、ユナイテッドアローズ。

ユナイテッドアローズのZOZO売上構成比は全体の57%。232億円の57%ですから正確な売上は132億円。2017年と比較すると、EC全体が202億円でZOZO売上構成比が60%で121億円。まとめたものが下記になります。

   2017年3月期 2018年3月期
EC全体    202億円   232億円
ZOZO売上   121億円   132億円
自社EC売上  40億円    54億円
ZOZO比率    60%     57%

となっている。

また

ユナイテッドアローズのECはスタートトゥデイがフルフィルメントを担当していますから、自社ECが伸びてもスタートトゥデイに恩恵があります。

とのことで、ユナイテッドアローズはゾゾへの依存度が少し高すぎるといえる。

続いてパルグループである。

パルは先日、公開されてましたのですぐわかります。

EC全体   110億2100万円
ZOZO売上 71億8300万円
自社売上   19億8700万円
ZOZO比率    65%

となっており、自社運営のサイト「パルクローゼット」の売上高は微々たるものだということがわかる。
ここもゾゾ依存度が高すぎる。

3番目はベイクルーズ。

2017年末の記事ではその当時の数字が、

EC全体   275億円
ZOZO売上 107億円 ※ZOZO比率39%から逆算
自社売上   137億円
ZOZO比率    39%

とのことで、ここはゾゾ比率を下げることに成功している。

アダストリアもゾゾ比率は比較的低い。

EC全体    333億円
自社売上   172億円
ZOZO比率  48%以下

アダストリアは自社ECサイトのドットエスティがあり、こちらはなかなか健闘している。
ドットエスティは4000円以上で送料が無料となるため、何万円買おうが送料200円が必要なZOZOTOWNで買うよりもお得だから、アダストリアの商品をネットで買う際には必ずドットエスティで買っている。
ここもゾゾ比率は今後さらに下がると見ている。

オンワード樫山もゾゾ比率は低い。

EC全体    203億円
自社     152億円 ※自社比率75%から逆算
ZOZO比率   25%以下

オンワード樫山の主力ブランドは23区にしろ組曲にしろ、40代以上が主力客層となっており、30代前半がメイン顧客のZOZOTOWNとは最初から親和性が低い。
このため、今後もオンワード樫山のゾゾ比率は高まらないまま推移するだろう。
オンワード樫山にとってはゾゾはほとんど必要ではないと思う。

最後のトウキョウベースは反対にゾゾ依存度がもっとも高い。
個人的には高すぎて逆に危険ではないかとさえ思う。

EC全体    49億7000万円
ZOZO比率    86%
自社比率    14%以下

自社ECはほとんど売れていないに等しい。

スタートトゥデイとトウキョウベースは経営者のタイプがビッグマウス同士で似ていると感じる。
似ている者同士は同族嫌悪になるか、べったりになるかのどちらかなので、この場合は後者なのではないかと見ている。
いくら馬が合うといっても、ここまで他社に依存しているのは危険極まりないと思うのだが。

ざっと深地さんのNOTEを引用抜粋してきたが、今後、ゾゾ離脱が早期に可能な企業はこの6社のうち、ベイクルーズとオンワード樫山とアダストリアホールディングスだろう。そこにストライプデパートメントを立ち上げたストライプインターナショナルも加わる。
この4社はすぐにでもゾゾ離脱が可能なので、今後何かのきっかけがあればゾゾを離脱してもまったく不思議ではない。
とくにオンワード樫山はZOZOTOWNの必要性をまったく感じてないのではないかと見ているがどうだろうか?

逆にゾゾと心中しかねないのがトウキョウベースであり、自社比率14%というのは危険水域に達しているのではないか。
パルグループも同様であり、ちょっと自社サイトの力が弱すぎる。

離脱する腹積もりはあるが、なかなか踏ん切りがつかないのがユナイテッドアローズではないか。

トウキョウベースやパルほどは依存していないが、離脱するには依存度が高すぎる。
ユナイテッドアローズは今後どうするのだろうか?
自社ECサイトを強化するのか、このままゾゾ比率を50~40%くらいで維持するのか。
どちらの方向を選ぶのだろうか。
ちょっと注目して観察してみたいと思う。

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原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
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オンワード樫山の商品はAmazonでも買える。

「服しか売っていない」ZOZOTOWNの限界と、「服も売っている」Amazonや楽天への支持率の高さ

衣料品業界に何となく居続けているが、「趣味は衣料品だけです」という人はほとんど見たことがない。
仕事にしているくらいなので衣料品自体は好きな人ばかりだが、趣味はまた別にある。

それはキャンプだったりサーフィンだったり音楽鑑賞だったりする。

「趣味は衣料品のみ」という人は衣料品業界人といえども皆無に等しい。

そう考えると、「服だけしか売っていない」ZOZOTOWNは、「服も売っている」Amazonや楽天、Yahoo!ショッピングなどには到底勝てないことは明白である。

つい昨日、仕事を共にしている「業界の美肌プリンス」の名を欲しいままにする深地雅也さんとこんな話をした。

高校生20人くらいに向かってファッション専門学校の講義をしたそうだが、ネット通販について質問したところ、「ゾゾで買う」と言った学生は1人しかおらず、あとの残りはAmazon、楽天が多かったとのことだ。

もちろん、「身の周り調査」に過ぎないが、同じ経験は当方にもある。
18~22歳くらいまでのファッション専門学校生に尋ねてみると、ZOZOTOWNで買うと答える生徒は毎年ほとんどいない。

ZOZOTOWNの主要客層は20代半ばから30代後半の男女であり、それ以外の年代へのリーチは弱い。
主要客層の下の年代を取り込むか、さらに上の年代(40代以上)を取り込むかは、企業戦略の分かれ目でどちらが正解とも言えないが、ZOZOTOWNの場合は「ツケ払い」の開始という施策を見ても、下の年代の取り込みを選択したと思える。

しかし、現時点では下の年代の取り込みはほとんど奏功していないといえる。
その結果が、高校生・ファッション専門学校生がほとんどZOZOTOWNでは買っていない現状に現れているのではないか。

じゃあ、どうしてAmazonや楽天が高校生や専門学校生を取り込めたかというと、服以外の商品が豊富に売っているからだ。
というよりも服はおまけの付けたしで、本来は服以外の商品が主力だった。
Amazonが日本に上陸してからもう13年以上になる。
楽天がスタートして15年以上になる。

初期からのユーザーはもう40代・50代になっており、その人たちの子供は生まれたときからAmazonや楽天で商品を買われていることになる。

Amazonは当初は本の通販だったし、楽天も雑貨や家電などが主力だった。
両方とも服の販売は付けたしだったり後付けだったりする。

当然、初期からのユーザーは自分の子供が生まれても、その子供に本やおもちゃ、ゲーム機・ゲームソフトなどをAmazonや楽天で買い与えていただろう。全部ではないにせよ、相当数をAmazonや楽天で買い与えていると考えられる。
常にレイトマジョリティーに属する当方だって、長男が小学校6年生くらいのとき(今から10年くらい前)、日本の書店ではなかなか売っていないゲームの本が欲しいと言われ、初めてAmazonで購入した記憶がある。

小さい頃からAmazonや楽天に慣れ親しんでいる子供たちが高校生や専門学校生になったとき、今までまったく馴染みのないZOZOTOWNを選ぶか、小さい頃から慣れ親しんだAmazonや楽天を選ぶかは、明らかだろう。
そんな見ず知らずのサイトでは服なんて買わない。

おまけに楽天も服を売っているし、Amazonはここ数年で服も豊富に売っている。
じゃあ、今までゲーム機やおもちゃを買ったサイトでついでに服も買うようになるのは当たり前だ。

当方だって、サイズが思ったよりも小さかったので無料返品したが、今年の正月にはAmazonでコーエンのステンカラーコートを買ってみた。
決してZOZOTOWNではない。

当方がZOZOTOWNを利用しない理由は前澤友作社長の顔付き・顔立ちが嫌いなことと、何万円買おうが送料は200円かかるからだ。
Amazonなら2000円以上で送料無料になるし、ユニクロ・ジーユーサイトなら5000円以上で送料無料になる。
アダストリアホールディングスのドットエスティだと4000円以上で無料だ。
ヨドバシカメラドットコムなら1円の商品でも無料配送してくれる。

どちらがお得なのかは一目瞭然だ。

当方にとってZOZOTOWNはウェブ版のカタログ、リサーチ目的で閲覧するページに過ぎない。

Amazonだとパソコン回りの機器と趣味のガンプラを見たついでに服や靴、リュックなどを検索して価格を調べる。
お買い得品があればガンプラのついでに買う。

また、Yahoo!ショッピングも同じ理由で利用する。
Amazonよりも検索が当方にとって使いやすいし、Amazonにはないお買い得品もある。

先日もこのブログで紹介したが、ZOZOTOWNへの加入数はここ1年で1万7000人しか増えていない。

日本国内だけで考えると、ある程度「ファッションに興味のある人たち」という客層をZOZOTOWNは取り込み切ったのではないかと思う。
そして、ファッションに興味のある人たちというのは圧倒的に少数派である。

大多数の人、いわゆるマスはそこまでファッションには興味はない。もちろん、無関心ではないがすごく興味があるわけではない。

そういう人たちが「服しか売っていない」ZOZOTOWNに今後加入することは考えられない。
そういうマスの人たちは「服も売っている」Amazonや楽天、Yahoo!ショッピング、ヨドバシカメラドットコムあたりがすべて取り込んでしまうだろう。

ZOZOTOWNは海外に活路を見出すという意見もあるが、それも容易い道ではないと思う。
なぜなら、すでに各国には大手の衣料品通販サイトがあるからだ。
地元で名前の通ったサイトよりも海外からやってきた得体のしれないZOZOTOWNなるサイトでわざわざ服を買いたいと考える人がどれほどいるだろうか。

日本国内に置き換えてみたら良いだろう。
中国でも韓国でもインドでも構わないが、その国の有名衣料品通販サイトが上陸したとして、真っ先に飛びつく人は少ないだろう。
それよりは知名度があるZOZOTOWNで買う人が多いだろう。

それと同じことだ。

そんなわけで、今後はさらにAmazonは猛威を振るうだろうし、楽天やYahoo!ショッピングもなかなか侮れない底力を持っているといえる。
すでにこれらの「服も売っている」サイトは子供までを囲い込んでおり、全年代をしっかりとつかんでいるといえる。

服なんて所詮は生活で必要な物の一つに過ぎないし、そこに特化したZOZOTOWNの市場規模は当然小さくなる。業界人やインフルエンサーが思うほどには、大きな市場は決してつかめない。

ファッション業界人は認めたくないかもしれないが、ガンプラの横に服を並べて売っているAmazonや、塩昆布の詰め合わせの隣に服を並べて売っている楽天の方が一般人の嗜好にはるかに合っているということだ。
そしてマスに売るとはそういうことなのである。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n2eb0ac5ccb54

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たまには楽天の本もどうぞ~

決して盤石ではないゾゾの足元。有力ブランドのゾゾ離れが起きる可能性

いまだに経済紙やらIT系オピニオンからは、ZOZOTOWNへの賞賛が相次いでいるが、現実的にはそれは盤石で強固なものとはいえない。
むしろ、何かのきっかけでそれが崩壊する可能性も十分に秘めている。

少し以前に東洋経済オンラインにこんな記事が掲載された。

「ゾゾ頼み」から脱却へ、アパレル企業の苦闘
https://toyokeizai.net/articles/-/210060

初期からZOZOTOWNに出店していた有名ブランド・有名セレクトショップの多くはこのタイトルが示すようにZOZOTOWNから離れたがっているのが現状である。
その理由はこの記事にも書かれてある。

1、ZOZOTOWNに徴収される手数料が年々値上がりしていること
2、値引きクーポンの乱発で買い上げ客単価は年々低下していること
3、低価格ブランドが大挙して出店していること

この3つが理由である。
1、については記事中でも

代表格であるゾゾタウンは、順調に商品取扱高の拡大を続ける傍ら、手数料比率を年々引き上げている。現状は30%程度と百貨店での手数料に匹敵。モールで購入した顧客の詳細なデータも、アパレル側は入手できない。

とあるが、当方が聞いた数字は35%とのことだった。
売上高の35%も徴収されては、百貨店に出店するのと変わらない。
おまけに大手ブランド・大手セレクトは製造を商社に任せており、その商社は、ブランドによっても異なるが製造時に平均で20%の利ザヤを稼いでいる。もちろん、ブランドによってはもっと低い%しか取られていないブランドもあるが。

製造時に商社に20%取られ、販売する時にZOZOTOWNに35%取られるため、大手ブランド・大手セレクトの稼げる利益は極端に低くなる。
高い販売価格の大半は商社とZOZOTOWNに取られることになるのだから、一体何のための価格かということになる。

2、についても記事中で語られているが、当方が有名ブランド担当者から聞いた数字でいえば、毎年ZOZOTOWNでの買い上げ客単価は20%減で低下しているとのことだ。

そして、3、についても記事中での言及があるが、この数年間でジーンズメイトやウィゴー、タカキューなどの低価格ブランドが続々とZOZOTOWNに出店しており、出店ブランド数は4000近くにまでなっている。
実際にZOZOTOWNをパソコンやスマホの画面で見ると、低価格ブランドの商品が上位に表示されている。

人は同じ物・似たような商品なら安い方で買う。

当然、有名ブランドや有名セレクトと似たような商品はこれらの低価格ブランドで買われることが増える。

彼らからすると出店するメリットはほぼなくなったといえる。

この東洋経済オンラインの記事は「とは言っても、自社ECサイトを強化することも困難で、各社はジレンマに苦しんでいる」という論調だが、実際のところは有力ブランドは何かきっかけがあれば、ZOZOTOWNから離脱する心づもりがあると耳にしている。
そこまでのジレンマも葛藤もないのだと。

そのきっかけとは何だろうか。

ある関係者は、ZOZOSUITの配布がなされなかったときではないかと推測している。

鳴り物入りで発表されたZOZOSUITは、先日、ようやく発送開始がアナウンスされたものの、ツイッターやフェイスブック、インスタグラム上でもいまだに「手元に届いた」という報告を当方は見たことがない。
もちろん、発表時に先行して何人かのインフルエンサーには配布されていたがそれっきりであり、すでにもう4月になっている。

そもそもベンチャーが開発したあのスーツを26万枚も製造できるのかという疑問もある。

スタートトゥデイ自体は、別のサイズ測定ノウハウや数値を高値で買ったりもしているため、ZOZOSUITがそちらに置き換わるのではないかという見方も業界内にはある。

そうなったときに、有名ブランドのゾゾ離れが起きるのではないかというわけだ。

ZOZOSUIT発表時には26万人分の体型データを手に入れた(手に入れることになる)強みというものが盛んに論じられたが、もし、ZOZOSUITが本当に配布されず、別の手法に置き換わってしまうなら、26万人分の体型データではなく26万人分のクレジットカードデータを手に入れることが目的だったのではないかとさえ思えてくる。

しかも、スーツがなければ測定できない体型データと異なり、クレジットカードデータはすでにスーツの申し込み時に入手できているのだから、別の測定方法に置き換わったところで、スタートトゥデイ自体には何の不都合もない。

また、気になる情報もある。
某有名ブランド担当者によると、ZOZOTOWNへの新規流入はほとんど増えなくなっているという。
他方、Amazonは今もどんどんと新規流入を増やしている。

これは、服しか売っていないZOZOTOWNに対して、なんでも幅広く売っているAmazonとの違いで、ZOZOTOWNの弱みもそこにある。

ZOZOTOWNの利用者は比較的服好き・ファッション好きにとどまっており、その層はもうすでに取り込み切ったと考えられる。
以前にもここで紹介したアンケート結果では、ZOZOTOWNの利用者はユニクロの半分以下、ニッセンよりも下位の9%強しかいなかった。
これが広く大衆から見たZOZOTOWNの認知度・支持率である。

 

他方Amazonは本、玩具、食品、雑貨、家電、文具と幅広い商品を扱っているから、服好きでなくても利用できるし、利用してしまう。
先日は当方もAmazonでコピー用紙を発注した。

服に興味のない人(それが圧倒的大衆)からすると「ZOZOTOWNって何?それ美味しいの?」というのが実情だ。

服好きしか利用せず、その層は取り込み切ったZOZOTOWNと、服好き以外の幅広い需要を集められるAmazonとでは土台が勝負にならない。
圧倒的にAmazonの勝ちだ。

しかも、Amazonは服にも熱心にアプローチをかけており、東京ファッションウィークのスポンサーまで務めている。
「日本のファッションガー」というなら、どうしてZOZOTOWNや楽天がスポンサーにならないのか不思議でならない。
100億円の絵を買うカネはあっても東京ファッションウィークに出資するカネはないということか。(笑)

そんなわけで、ZOZOTOWNの足元というのは意外に揺らいでいるように見えてしまう。

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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
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プライベートブランド「ゾゾ」のすごさは商品ではなく、そのプロモーション手法にある

プライベートブランド「ゾゾ」が発表され、各報道を見ると、矛盾した言説・受け答えが溢れており、読めば読むほど整合性がなくなる。
長らく交流している方から、ゾゾ商品のサイトが完成していると教えていただき、直接自分の目で確認することにした。

http://zozo.jp/pb/

基本的に、ゾゾという商品はフルオーダーではなく、パターンオーダーだということがわかる。
ゾゾスーツでの採寸によって、サイズを合わせるという「仕掛け」によって、「一からその人に合うサイズの服を作る」と思っている人が多いように感じる。
とくに、衣料品業界外のイシキタカイ系ジャーナリストや経済紙関係者にはその嫌いが多い。

採寸によって、一から型紙を起こすというのは、「フルオーダー」でこれは何十万円もする。
何せ、ゼロから形を作り上げるのである。

一方、近年、3万円前後で「オーダースーツ」が売られるようになっているが、これはフルオーダーではなく、パターンオーダーないしイージーオーダーと呼ばれる手法で、厳密にいうとパターンオーダーとイージーオーダーは別らしいが、ここではほぼ同じとして取り扱わせてもらう。

あらかじめ決まったパターン(型紙)があり、採寸したデータをもとにそれを微修正するのがパターンオーダーである。

A6サイズのスーツがあったとして、採寸したデータをもとに、袖を短くしたりウエストを広げたりと微修正する。
襟の形やボタンの種類を選べるようなオプションを付けることができるが、それもゼロから作り上げるわけではない。

これによって、製造期間は短縮できるし、製造コストも抑えることができる。
だから3万円前後でオーダースーツが作れるというわけだ。

受注して即日~2週間で納品できると謳っているゾゾは取りも直さずパターンオーダー商品だといえる。
また「即日納品」が可能だということは、あらかじめ標準商品を何枚か作りおいていて、その標準商品に適応した体格の人から受注があれば、それを即座に送り出すということになり、これなどはパターンオーダーですらなく、単なる既製服販売と同じということになる。
既製Tシャツ1200円というのは、果たして「破格値の安さ」といえるだろうか?

標準商品で満足できない人には、採寸データをもとにした「微修正」が加えられる。
裾丈の長さ、袖の長さ、袖幅などなどを微修正する。

これはジーンズでも同じである。

型紙の微修正なんていうのは、現在ではパソコンのCADCAMを使って行う。
袖丈や袖幅を変更した際に最適なように全体を自動的に微修正してくれる。

ジーンズで限りなく、ウエストのデカい人(150センチくらい)がいて、それ用にウエストを広げた場合、グレーディングと呼ばれる各部の比率変更が必要となる。これを今ではパソコンソフトでできる。
ウエスト150センチに広げた場合、それに比例して各部を広げると、ジーンズの裾幅なんてめちゃくちゃに広くなって袴みたいなジーンズになってしまう。
それではさすがにおかしいので、裾幅はあまり広げずにウエストだけを広げる。
これがグレーディングという作業で、標準とされるS~Lサイズだって同じグレーディングが行われている。

例えば、アダストリアのレイジブルーの商品で見てみよう。

http://www.dot-st.com/rageblue/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?ITEM_CD=780048

このズボンのサイズは

Sサイズ ウエスト74センチ・もも周り62センチ・裾幅31センチ

となっている。また、

Lサイズ ウエスト89センチ・もも周り64センチ・裾幅34センチ

となっている。

見比べてみてどうだろうか?
ウエストは15センチ拡大しているのに、もも周りは2センチしか違わない。
裾幅も3センチしか大きくなっていない。

これはウエストに比例して各部を広げていないという証明で、このサイズ比率の変更がグレーディングであり、これは既製服でも普通に用いられている。

ゾゾのオーダーとはパターンオーダーと採寸によるグレーディングを合わせた手法で、「完全オーダーメイド」ではなく、イシキタカイ系が夢想するような「フルオーダー」でもないということである。

商品そのものについてはどうだろうか。
Tシャツとジーンズの画像と説明文を見た限りでは、はっきり言って「普通」である。
恐ろしくかっこいいわけでもないし、恐ろしくダサいわけでもない。
あくまでも「普通」であり、それ以上でもそれ以下でもない。

素材も普通だが、ちょっと奇妙なこともある。

メンズのTシャツの使用素材は40番手双糸なのに対して、レディースのTシャツは20番手単糸なのである。(ウェブサイトにそう書いてある)

ちょっとでも生地や糸の知識がある人にはその可笑しさが伝わると思うのだが、そうではない人のために蛇足ながら説明をする。

この二つの生地は一見するとほぼ同じに見えるだろう。
生地の厚さも同じだ。

しかし、どちらが高品質な素材かというとメンズである。

20番、40番とは糸の太さを表す「番手」であり、数字が大きい方が糸は細くなる。
40番より20番の方が糸が太い。

ところが、糸というのは1本だけで生地を織ったり編んだりせずに、2本を撚り合わせて使うこともある。
1本の糸で織ったり編んだりすると「単糸使い」といい、2本撚り合わせた糸で生地を構築すると「双糸使い」となる。
当然、糸を2本使っているので、材料費は「双糸使い」の方が高くなる。

じゃあどうしてそんなめんどくさい「双糸使い」なんていう生地があるのかというと、単糸使いの生地は総じて、洗濯をすると斜行しやすくなるからだ。とくにTシャツやカットソーの単糸生地は斜行しやすい。これを防ぐために「双糸使い」という生地がある。

そういう意味でメンズTシャツ素材の方が圧倒的にレディースよりも高品質である。

またなぜ生地の厚さが同じかというと、細い40番手の糸も2本撚り合わせると、太さは倍になる。当たり前だ。
40番手2本で、20番手単糸と同じ太さの糸になるため、それぞれを使って編んだ生地は厚さは同じになる。

だから、見た目はメンズもレディースも同じ生地に見えるが、中身は別物だ。

通常、レディースの方の生地クオリティをメンズより落とすことは考えにくく、これは恐らく、同じ生地が手配できなかったための代替措置ではないかと思う。
それでも当方なら20番単糸生地をメンズに使うが、あえてそれをレディースに持ってきたスタートトゥデイは本当に生地に興味がないんだと思う。

プライベートブランド「ゾゾ」の商品自体は限りなく「普通」で、レディースのTシャツ生地のクオリティはあまり高くない。
ジーンズも普通だし、デニム生地も綿99%・ポリウレタン1%の12・75オンスデニム生地なので、ありふれている。

ゾゾの「物」自体は大したことがない。現段階では。

ゾゾのすごいところはその「仕掛け」「販促の手法」にある。
アパレル業界が見習うべきはこの部分である。

まず、採寸できるゾゾスーツの開発に投資するという「仕掛け」。

そして、そのスーツを無料配布するという手法。
それで期待感を煽り、商品の発表ということになるが、期待感で煽られている人が多数いるため(特に経済系インフルエンサーやメディアなど)、メディアに大量に記事掲載される。

従来からあるパターンオーダーと場合によっては既製服販売に過ぎないものが、最新鋭テクノロジーで作られた服かのように報道される。

商品自体はあくまでも「普通」だし、その供給システムも従来型パターンオーダーの域を何一つ出ていないのに、最新テクノロジー服という「イメージ」だけが醸成され続けていく。

この「イメージ戦略」は正直なところ、海外ラグジュアリーブランドにも匹敵するといえる。
単なる塩化ビニールの鞄をさも「良い物」というイメージを与えているルイ・ヴィトンと同じ手法といえる。

そういう意味では、この「仕掛け」「販促手法」「見せ方」は見事だというほかない。

そもそも、今の衣料品でだれもが驚くような画期的な商品なんてものは出現しない。
もしかしたら、未来においては1ミリ秒で蒸着できるようなコンバットスーツが開発されるかもしれないが、そういうものでない限りは、驚くほど画期的な服なんてものは出現しない。

そういうものが現れるとしたら、ハイテクノロジーを詰め込んだウェアラブルだったり、ハイテク機能を満載した機能素材で作られた服くらいしかない。

洋服という商品においては「物自体」での差別化や革新は生まれにくくなっており、「普通の物」と「従来型パターンオーダー」という手垢にまみれた供給システムを再編集して見せなおしたというスタートトゥデイの手腕はすさまじいものがある。
国内のアパレル業界に足りないのはこの部分であり、そこは大いに見習うべきである。

ただし、個人的にはこの商品を買おうとは思わない。
ユニクロで1990円に値下がりしたジーンズを無料で裾上げしてもらった方がコスパが高い。

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怪しさと矛盾点が際立つプライベートブランド「ゾゾ」の発表

ようやく、延び延びになっていたZOZOTOWNのプライベートブランド「ZOZO」の一端が発表になった。
どんな商品なのかなと一応興味を持って外野から眺めていたが、第1弾はTシャツ(1200円)とジーンズ(3800円)だと判明し、正直期待外れだと感じた。

価格面でいうと、ユニクロに合わせてきたという感じだが、体型測定スーツ「ZOZOSUIT」で得られることになるであろう26万人の膨大な体型データを使ってTシャツを作る必要があるのかと正直疑問しか感じない。

某人気ブランドの中の人が言っていた「ZOZO社員は本気でユニクロと競合する気でいる」というのは価格設定を見ると、本当だったのだとわかる。ただし、値段が同じくらいだからユニクロと同等には売れない。それなら、今頃イオンもイトーヨーカドーもジーンズメイトももっと衣料品が売れている。

ZOZOSUITが発表されたときには随分と熱狂があったが、発送が延び延びになり、有名人と一部顧客にしか届いていない状況にあり、身の回りでも「発注したけど遅いからもう興味が薄れた」という人もちらほら現れている。

ZOZOSUITの報道や熱狂には違和感があり、その違和感は今でもあるのだが、例えばこういう見出しの記事については本当に疑問しか感じない。

一つ断っておくと、ZOZOSUITのような開発は続けるべきだし、全否定するのはナンセンスだが、逆に持ち上げすぎるのもどうかと思う。

「ミリ単位の精度求めた」ZOZOSUITの体型計測データが生み出すスタートトゥデイの新展開
http://jp.techcrunch.com/2018/01/31/zozo-maezawa-kanayama/

この「ミリ単位の精度」っていうのがちょっとどうかと思う。
例えば、今回発表されたTシャツだ。

Tシャツは、ニット生地で綿100%組成であろうが、生地の構造上伸縮性がある。
5ミリくらいは普通に伸び縮みするから、はっきり言って「ミリ単位の精度」なんてものはTシャツには必要ない。
さらにいえば、縫製する段階で普通に1ミリくらいはズレや誤差がある。
逆にミリ単位の精度で縫製できる工員なんてほとんどいない。

これはセーターでも同じで、5ミリや1センチは伸縮性が生地自体にあるし、縫製やリンキングの段階で1ミリくらいは普通にズレる。

いくらミリ単位でデータを調整しても実際の製造工程では1ミリや2ミリは確実にズレるから無駄である。

こういう発言をする人やこういう記事を書く人は衣料品を精密機器か何かと勘違いしているのではないか。
こういう発言や記事が独り歩きして、ミリ単位の服なんていうユニコーンやグリフォンみたいな奇妙な空想の産物が生まれる。

逆に、そういう「ミリ単位」という発表をある程度信用していたからTシャツという選択には首を傾げてしまう。
ミリ単位が売り物になるのは例えば、スーツ、ワイシャツ、ビジネス用コートなど、である。
こちらは1ミリ・2ミリの精度なんて意味がないが、5ミリや1センチは重要な差になる。

ワイシャツの首回りが1センチ変わればフィット感も見た目も大きく変わる。
昔のソフトスーツは別としてスーツだって1センチの差で大きくシルエットが変わる。

Tシャツやセーターの着心地にミリ単位の精度はまったく必要ないのに、それを選んでしまうところが拍子抜けというか期待外れだった。

またワイドシルエットの商品もミリ単位では着心地は左右されない。

おわかりだろうか?ガウチョパンツやそれのフルレングス版ワイドパンツなんて1ミリや2ミリ細かろうが太かろうが着心地には全く関係ない。
今春にジーユーから発売されているリーバイスセカンドの完コピジージャンだってダボっとした古臭いシルエットだから1ミリ違ったところでまったく着心地には影響しない。

ミリ単位の精度が求められるのは先に挙げたスーツ、ワイシャツ類とタイトシルエットが売り物のカジュアル商品に限られる。それだって実際のところ1ミリや2ミリ程度は誤差があるし縫製段階でズレる。
これが現実の洋服である。

しかし、ZOZOSUITによる採寸がまったく無駄とは思っていない。
むしろ、着心地よりもそのデータを使って「より美しいシルエット」「よりスマートに見えるシルエット」作りに取り組むべきである。

今回の会見の記事はこちらがコンパクトにまとめられている。

“ZOZOSUIT”到着は最大8カ月の遅延も、PB発表で前澤社長が決算会見に登場
https://www.wwdjapan.com/515448

最大8か月の遅延って、今年の8月ごろ届くということだから、はっきり言ってますます興味は薄れる。
忘れたころに届くことになって「ああ、そんなのも頼んでいたっけなあ」という感じになるだろう。

今回、前澤友作・社長は

「注目すべきは値段。メディアにはいろんな予測記事が出ていたが、期待を上回るというか下回るというか、Tシャツが税込1200円、デニムは税込3800円で販売する。過剰に在庫を積み上げるつもりはない。オーダーメードに近い受発注生産を行うことで、価格を下げられた」とコメント。

と話しているが、オーダーメードに近い受注生産だから価格が安いというところがちょっと意味不明だ。
恐らく、在庫を持たずにその都度生産するから、在庫処分での投げ売りが無くなるからその分販売定価を下げたということなのだろうが、その都度縫製する方が普通は縫製工賃は高くなる。
極端な話、一挙に100枚縫製した方が、1枚ずつその都度縫製するよりも工賃はずっと安くなる。
逆に1枚とか2枚しか縫わないサンプル縫製の工賃は最低でも5000円とか1万円くらいはする。
どう考えてもシステムに矛盾がある。
しかも生地は、専用生地ならどこかの問屋が備蓄しているとしか考えられず、専用生地でないなら、市場に流通している「在り物」の定番
生地をその都度購入することになる。
「在り物」の定番生地ならはっきり言ってユニクロにはまったく生地の値打ちではかなわないが、そのことは理解しているのだろうか?

また

ヤマト運輸の配送運賃変更による経費15億円やPB業務委託の13億5000万円などのコストが発生したにもかかわらず、増収増益を記録した。

という箇所があるが、やはりPB製造にはOEMやODMを使っているということだろうか。
たしか、工場なんかも買ったというような記事も読んだ記憶があるが、PB業務委託13・5億円ということは製造も委託していると考えられ、それはとりもなおさずOEM・ODMを使用したということになる。

なんだか生産システムも製造も矛盾だらけの内容だが、ますます実態の見えない怪しげなプロジェクトだとしか感じられなくなっている。
各メディアの記事の書き方が悪いのか、説明した方の説明が悪いのかわからないが、その結果、怪しさと矛盾点だけが際立ってしまっている。

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不振イベントのその後の意外な効果

 少し前のことになるが、通販サイトのZOZOTOWNがリアルな展示受注会「ZOZOCOLLE」を2日間に渡って開催した。
その結果は、入場客数が1万5000人、売上高が1億5000万円だった。
当初の計画では入場客数が3万人で、売上高が3億円だったのだからこれだけを見ると明らかに失敗である。

そのことについてブログで書いたことがある。

付け加えるなら、出展ブランドは200もあったのだから1ブランド当たりの平均売上高は75万円ということになり、多くのブランドは赤字を計上したことだろう。
さらに、売れたブランドと売れなかったブランドの格差は激しく、マスターマインドは何千万円単位の売上高があったと聞く。ということは、売上高が限りなくゼロに近かったブランドも多数あるということになる。

先日、このイベントについてさらに踏み込んで考察しているブログを見つけた。
出展社ご自身が書かれているので、発言の重みと説得力が段違いである。

「売れないZOZOCOLLE と 売れるZOZO 」

http://chapterworld.typepad.jp/sholife/2012/09/%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84zozocolle-%E3%81%A8-%E5%A3%B2%E3%82%8C%E3%82%8B-zozo-.html

先日、9月15日と16日にZOZOCOLLEなるものが幕張メッセで開催された。これは、ZOZOTOWNに出店しているメーカーの店舗が、ZOZOのお客様に商品を見てもらい先行受注をしてもらう。いわば、ZOZOTOWNはネットだけでなくリアルの商品展示会を開く、新しい試みであった。

結果は散々なものであった。予定では、3万人の入場と3億の売り上げ。しかし、実際は1.5万人の入場と1.5億の売り上げ、そしてほとんどの売り上げが、 ZOZOさんがライセンスで売った、マスターマインド(これは中国での二次マーケット用?)であった。弊社、CHAPTERWORLD, も散々な結果であった。私は、ZOZOCOLLEに関していい話を聞いたことがなかった。(経費の大幅な赤字である)

とのことである。ここまでなら、当ブログや他ブログでの指摘とほぼ同じであるが、このZOZOCOLLEは意外な効果もあったという。

しかし、話はこれで終わらない。多分多くの店舗からクレームがきたのだと思う。なにせ、多くの店舗さんは、かなり力を入れてZOZOCOLLEに出店していた。(多分1千万円近くかけた大手セレクトさんは大赤字)そこで、ZOZOは大盤振る舞いを行うこととした。32万人の上顧客に、2万円以上買ったら5000円のクーポンを、配布した。(先週の金曜日から、今週の土曜日まで)そしたら、ZOZOの売り上げが上がった。怖いほど上がった。(この3日間だけ、もちろん弊社の数字の話であるが)なにせ15億のクーポン、購買効果60億。(30万人 X 5000円、しかしそれを使うには、20000円 X 30万人)ZOZOの利益率は25%ぐらいなので25%OFFは問題ないのかもしれない。

儲かっている会社はこのようなことができる。やはりすごいと感謝している。しかし、ZOZOの顧客が本当に増えているのか?それはわからない。

とのことである。
意外な副産物といえる。

そしてこれは出展社ならではの視点であり、外野の人間では到底思い至らない。

筆者はあまりネット通販は使用しない。
何度か利用したことがあるが、数えるほどであり、実際の店舗で見つけた商品をネットで購入したことがるという程度である。その際は実際の店舗で何度か試着をし、素材の触感も確かめてからネットで購入するという念の入れようである。
ネットで購入するのは、「実際の店舗に足を運ぶ時間がないとき」「ネットで買った方が安い、もしくは多くの特典が付いているとき」に限られているのが現状である。

閑話休題

今回のイベントについてその後の効果に触れている論評を見たことがなかった。(当ブログも含めて)
このような効果があるなら、出展による赤字はちょっと割高な広告料を払ったと思えるだろう。

けれども結局、ネット顧客は「割引販売目的」なのかと思わないでもない。
そういう筆者が「割引販売目的」でしかネット通販を利用しないのだけれども。

で、ブログ主は

私も少しネットを理解してきたのだが、ネットは顧客の数である。もちろん良いもの、お客様の必要なものを売るのが前提であるが。大競争時代。(猫も杓子もネット)私は、ここにきて初めて新しく店を開きたいと店舗用地を探している。

と結んでおられるのだが、割引販売目的の顧客が多いネット通販全盛時代だからこそ、リアル店舗が脚光を浴びることがあるのではないかとも思う。

中期的展望での育成を期待したい

 ZOZOTOWN初のリアルイベントが9月15日、16日の二日間開催された。
これは一般顧客向けの展示受注会で、ネット通販がいかにリアルな予約販売に結びつくか業界からも注目が集まっていた。

さて、ネットではこのイベントの結果が報道されている。
そこから数字的に第1回目のこのイベントの成否を考えてみたい。

9月15日、16日の2日間、幕張メッセにてファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」が日本初の一般顧客向け合同ファッション展示会「ZOZOCOLLE」が開催。 1万人が来場し、1億5000万円の総受注を受けるなど、大盛況のうちに幕を閉じました。

「ZOZOCOLLE」は、ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」が行う初めてのリアルイベント。「FRABOIS」「Ne-net」「IENA」「Banner Barrett」など人気ブランドから、「UNITED ARROWS」「BEAMS」「nano・universe」など人気セレクトショップまで、人気の200ブランドが店頭に並ぶ前の最新アイテムを展示し、お客さんより予約を受け付けるという斬新な試み。

イベント終了後に発表されたファクトデータによると、会期2日間の総来場者数は1万人で、男女比は男性50.4%、女性49.6%、平均年齢は29歳。大人のファッションフリークが訪れたことで、総受注額が1億5000万円と、大規模な予約展示会となりました。

http://getnews.jp/archives/252185

とのことである。

2日間の来場者が計1万人、売上高が1億5000万円という結果だが、数字的にはやはり大きい。

これをもう少し細かく分解してみたい。

まず来場者数は2日間で1万人だから1日あたりは5000人
営業時間は初日が11時~19時(最終入場18時半)
二日目が10時~17時(最終入場16時半)である。

初日が10時間営業、二日目が8時間営業なので、
初日は1時間当たり平均500人の入場ペース、二日目は1時間当たり平均600人の入場ペース

となる。

これが街の小さいホールなら500人来るとかなりの集客感となるが、いかんせん、会場は幕張メッセである。
この会場に1時間あたり500~600人の入場ではちょっと空間が大きすぎて、人口密度が低く感じられたのではないだろうか?
もちろん滞留時間が長いので最初に入場した客が最後まで滞在したとしても5000人で幕張メッセという空間では混雑感は感じられなかったのではないだろうか。

次に売上高だが2日間で合計1億5000万円なので
1日当たりの売上高は7500万円
これだけ見ると非常に大きな数字であるが、出展ブランドは200である。
200ブランドの平均売上高を求めると1ブランドあたり37万5000円である。
1ブランドの1日当たりの平均売上高は37万5000円となる。
2日間合計の1ブランドの平均売上高は75万円。

1ブランドあたりの1日平均売上高が37万5000円はちょっと少ないのではないだろうか。
当然ブランドによって優劣があったであろうから、1日に100万円や200万円売れたブランドがある一方で、ほとんどゼロに近かったブランドも相当数あったと推測される。

100万円のブランド1つと、売上高ゼロのブランド1つ、この2ブランドの平均売上高は1社あたり50万円となる。こうして見ると、37万5000円という売上高はかなり厳しい結果だったのではないだろうか。

ちなみに1万人来場者があって、総額1億5000万円であるから、平均客単価は1万5000円である。
平均客単価はまずまずだろうか。

もちろん売上高1億5000万円というのはかなり大きな数字である。
しかし、200ブランドの合計売上高としては物足りないと言わざるを得ないのではないか。

入場料は1000円だから1万人の入場者で、合計1千万円である。
しかし、会場賃料、アルバイトなどの人件費、会場施工費などの経費を考えると1千万円では厳しい。

発表された数字から推測すると、第1回目は期待されたほどの実績ではなかったのではないだろうか。

この理由をいくつか考えてみたい。
まず、秋物を予約までして買いたいと思う消費者が予想以上に減っているということではないか。
次に、サイト全体の売れ行きが大きく成長したのは、日本全国の地方からの買い物客が多いためで、決して東京近郊だけの売り上げではないということだろう。
さらに、入場料1000円を払ってまで先物を手に入れたいと考える消費者はそれほどいないということもあろう。

先日、福井県の大飯原発のある大飯町に取材に行ったことがある。
ここは道路と大きなホール以外何もない。スーパーもコンビニもほとんどない。
ここで農家を営む若者がいるのだが、彼は「フィルソン」のウールベストを着、「エヴィス」のジーンズを穿き、「レッドウィング」のアイリッシュセッターブーツを履いている。

都会のワークカジュアル好きの若者と遜色ないブランドを手に入れている。
彼が購入する先はネット通販である。
ZOZOTOWNというサイトは、この福井県大飯町の若者のような地方からの買い物客に支えられている側面が大きいのではないだろうか。

こうした地方の若者がわざわざ幕張メッセまで来るとは考えられない。
もちろん、熱心なファンは来場しただろうが、サイトを利用している人数からすると少数派だったのではないか。

さて、このイベントの方向性だが、主催者と出展社が中期的に取り組めば成長する可能性が大いにある。
中期的というのは5~10年くらいを想定している。
けれども、あと2~3回開催して今回のような結果が続いた場合、主催者と出展社が短気を起こしてしまえばその時点で打ち切りとなる可能性もあると思っている。

ぜひとも中期的展望でのイベント育成に期待したい。

©Style Picks Co., Ltd.