インターネット通販は価格競争でしかない
2018年11月22日 お買い得品 0
まだインターネット通販がバラ色の未来だと思っている老経営者は少なくないように感じる。
しかし、インターネット通販は基本的に価格競争でしかない。例えば、ZOZOTOWNは購入平均単価が下がり続けている。先日発表された中間決算によると、平均出荷単価は前年比5・0%減の7777円で、商品単価は0・2%減の3655円となっている。
ということは、ZOZOTOWNで買い物をしている人は、単価3700円弱の商品を2枚買っているということになる。
価格的にはかなり安い物が動いているということにになる。その原因は
1、低価格店の出店が増えた
2、割引きクーポンのばら撒き
この2点だと考えられる。
客寄せのためには低価格品を集めるか、割引きクーポンをブランド側持ちでばら撒くかしか打つ手がないということになる。
また、既存アクティブ会員の年間購入金額も減少し続けている。グラフを見てもらえば一目瞭然だが、2017年3月期の第1四半期決算では58,953円だったのが2019年3月期第2四半期決算では57,563円と1000円下がっている。ピーク時の64,290円からすると7000円近くも下がっている。そして2018年第3四半期からは下がり続けている。
これは取りも直さず、上の2点が原因だと考えられる。
これはZOZOTOWNだけではない。Amazonにしろ楽天にしろ、Yahoo!ショッピングにしろ集客策は値引きによるものが多い。
Amazonならタイムセールだし、楽天は楽天スーパーセールである。
消費者的立場からすると、インターネット通販は画面上で値段が見比べられるからすこぶる便利が良い。
ユニクロや無印良品、ジーユーなどの自社サイトでしか売っていないブランドは別として、さまざまな先に出店しているブランドは各サイトで値段を見比べてから買う。
当方にとっては、目当ての商品が安値で手に入ればそれで構わない。
どこで買おうが同じである。
ユニクロやジーユーのサイトは必ず火曜日と金曜日に値下がりをチェックする。なぜなら、火曜日に値下がりするからだ。金曜日は期間限定値下げが始まるからだ。
ユニクロとジーユーはこの2日だけチェックしてあとは放置である。特別な「ナンタラ感謝祭」とか「創業祭」の「日替わり値下げ」を除いては。これがもっとも効率的な利用法である。
一方、さまざまな先で売られているブランド品は簡単に値段比べが可能になる。
昨年末か今年の頭に、知り合いが「TAIONブランドのインナーダウンジャケットを買った」とツイートしていた。その時までこのブランドを知らなかったので、ウェブで検索してみると、インナージャケットが税抜き4990円でユニクロの商品と同等か少し安いくらいの価格だった。
見た目は似たような感じですが、ユニクロに飽きた人が支持しているのではないかと考えられる。
会社案内を見ると2016年創業と書いてあり、なかなかのやり手社長ではないかと想像される。
今秋もまだまだ当方にはダウンジャケットなんぞは必要ないが、とりあえずTAIONダウンジャケットをウェブサイトでチェックしていた。
自社サイトでも売られているし、各セレクトショップとのコラボもあるし、それがAmazonなどでも売られている。そのすべてが税込み5,389円で統一されているが、アダストリアのドットエスティで11月半ばから11月20日までの1週間ほど、期間限定で20%オフされて売られていた。
インナージャケットは税込み4311円にまで値下がりしている。
どうしようかなあと迷いながら、紺色のLサイズを買ってみた。安さに負けたわけである。
203円分のポイントも使うと4108円(税込み)にまで下がった。
期間限定とはいえ、自社も各社も値段を均一に守っているのに、この時期に早々と20%オフされていることに驚いた。メーカー側や他セレクトショップからするとたまらないだろうが、消費者の立場からいえば、ドットエスティで買うのが最も賢明である。
別注色が欲しいのでないなら、どこで買おうが商品は同じで、安いに越したことはない。
5389円で買うより4311円で買った方が良いに決まっている。余った1000円でガンプラを買うか、どこぞで定食でも食べられる。
結局、インターネット販売というのはこういうことなのである。
また、先日、週刊ポストにダウンジャケットの記事を寄稿した。
カナダグースだけじゃない ダウン購入は今冬が狙い目の理由
この中で、カナダグース以外に、ユニクロのシームレスダウン、デサントの水沢ダウン、そしてナンガダウンを勧めた。
もともと2万円台後半から3万円台で国産ダウンジャケットが買えるナンガダウンには注目していたのだが、今秋のお買い得商品があるのかをいくつかのサイトで調べてみたところ、Yahoo!ショッピングに多数、ナンガダウンを扱っている店が出店していた。
メーカーからの希望販売価格は定められているはずだが、そのなかにはちょくちょく3000円から5000円程度安く売っている店もあった。それも今秋物をである。
しかもそのほとんどが送料無料である。
当方が買うならこの3000円から5000円安い店の中から買う。
なぜなら物は同じだからだ。ならば安いに越したことはない。仮に5000円も浮けば、ユニクロで5枚くらい服が買えるし、なんならその金で居酒屋で飲み会もできる。
結局のところ、インターネット通販は究極的には集客の方法としては値引き販売しかない。ドゥクラッセが好調だといわれるが、ドゥクラッセだってしょっちゅう値下げ販売している。
今更、法的規制でインターネット販売を取り締まることはできない。インターネット販売が盛んになればなるほど競合を出し抜くために値引き販売で集客する店が増える。
こういう現状を見て、無責任コンサルタントやアホな経営者は「インターネット通販がブルーオーシャンだ」と思っているのだろうか。恐らく彼らは見ずに語っているのではないか。
今後もインターネット通販はますます価格競争が激化するだろう。インターネット通販は起死回生の切り札などでは決してない。
【告知】
11月24日に大阪でウェブコンテンツに関する有料トークショーを深地雅也氏と開催します。
https://eventon.jp/15080/
NOTEの有料記事もよろしくです
【有料記事】地方百貨店を再生したいなら「ファッション」を捨てよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n56ba091fab93
2016年に行ってお蔵入りした三越伊勢丹HDの大西洋・前社長のインタビューも一部に流用しています
当方が4108円で買ったTAIONダウンジャケットを定価でどうぞ~