無限に成長し続けることは難しい
2020年2月3日 未分類 2
何のかんのと言いながら、この今年50歳になるオッサンもネット通販での買い物に慣れてきた。
洋服もそれなりに買うようになったが、実物を見ずに買うのはやっぱり当たりはずれがある。さすがにサイズの買い間違えはなくなったが、シルエットとか生地の厚さなんかはやっぱり実物を見たり試着したりしないと思い通りの物は多くない。
洋服のネット通販に関して個人的には、Yahoo!ショッピング、Amazon、楽天の3大大手と、ユニクロやジーユー、ドットエスティなどの独自サイトがあれば事足りると感じている。
ZOZOは?という問いが聞こえてきそうだが、今までZOZOは買ったことがないし、多分これらからも買わない。
なぜなら、ZOZOに出ている目ぼしいブランドはすでに楽天にもAmazonにもYahoo!ショッピングにも出店しているし、独自サイトも強化に乗り出している。
これまでなら「ZOZOだけ」というブランドもあっただろうが、今後はその前提条件はなくなりつつある。さらにいえば、Yahoo!に買収されたことによって、Yahoo!ショッピングに将来的には吸収されてしまうのではないかと見ている。
1月31日に2020年第三四半期決算が発表された。
その結果を踏まえた記事がこれである。
2019年10〜12月期の業績は天候不順と消費増税の影響で売り上げが伸びなかった上、PGAゴルフツアーやバスキア展などの大型プロモーション費用も重なり、商品取扱高(GMV)は前年同期比0.3%増の942億円、営業利益は同42.0%減の61億円と大幅に落ち込んだ。
となっている。正直なところゴルフツアーやバスキア展がZOZOのプロモーションに効果があるとはさっぱり思えない。
以前から、ずっとこのブログで書いているが、ZOZOTOWNの形態で無限成長することはかなり難しい。なぜなら、目ぼしいブランドは存在数が限られていて、それを取り込んだ時点で伸びは止まる。
止めないでおくには、出店したブランドの売上高が伸び続けなくてはならないが、そんなことは一部を除いては不可能であり、それができるのなら今頃アパレル業界の業界規模は10兆円に簡単に回復できている。
また「新興ブランドを入店させれば」と言う意見もあるだろうが、今のご時世で国内で新しいブランドが急成長することは難しい。
15年くらい前までは数十億円とか100億円に到達する新興ブランドもあったが、2000年代後半以降はほとんどない。
ラグジュアリーブランドの導入に期待する声もあるが、それは確か一度断念しているはずで、実現はかなり難しいだろう。
ネット通販はどこも割引が最大の集客手法となっている。
楽天スーパーセールしかり、Amazonのタイムセールしかり、Yahoo!ショッピングのクーポンしかりだ。ユニクロだってオンラインでは専用割引クーポンが当たりやすいし、ドットエスティはタイムセールとシークレットセールの連発である。
当然、今のZOZOも割引クーポンの連発であり、はっきり言ってYahoo!ショッピングと同じように見える。しかも子会社なのだから、個人的にはYahoo!ショッピングがあれば独立したZOZOは要らないと感じる。
これを証明するようにZOZOの年間購入金額と平均購入単価は下がり続けている。
https://d31ex0fa3i203z.cloudfront.net/wp/ja/wp-content/uploads/2020/01/jp_2020_3Q.pdf
2020年3月期第三四半期のアクティブ会員一人当たりの年間購入金額は54092円と第二四半期と比べても700円くらい下がっているし、直近のピーク時だった18年3月期第二四半期の64290円と比べると1万円以上下がっている。
また20年3月期第三四半期の平均購入単価は4501円で、第二四半期よりは多いが、これは第二四半期の中心商材が夏物、第三四半期の中心商材が秋冬物だからだろう。ZOZOに限らず夏物は軽衣料中心で単価は低くなり、冬物は防寒アウターなどの重衣料が増えて単価は高くなる。第三四半期同士で比べると、18年、19年と徐々に単価が下がってている。
単価が下がると、購買者数を増やさないと売上高は増えない。
売上高=客単価×客数
でしかないからだ。
しかし、年間購入者数も頭打ちになっている。
20年3月期第三四半期の購入者数は815万6256人で、同第二四半期の822万6388人に比べるとわずかながらではあるが、7万人ほど減っている。
国内だけでいえば、当然の結果ではないかと思う。
なぜなら、ZOZOTOWNに興味のある人はすでにこれまでに購入客になってしまっているだろうし、今、購入していないのは当方も含めて興味のない人である。
そして、これまでのように目ぼしいブランドをZOZOが占有していれば、まだ増える可能性はあったが、ブランド側も楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングにも出店・出品するようになっているし、自社サイトも強化し始めている。今わざわざZOZOで買う必要性は極めて薄れている。
出店ブランド、出品ブランドが同質化すれば、伸び率が鈍化してしまうというのはファッションビルや百貨店、ショッピングセンターの現状と同じである。
それを打破するためにはオリジナル商品を発売するのが在庫のリスクは増えるが、効果的だとされている。なぜなら、他社店舗や他社施設では買えないからだ。その商品が欲しければそこで買うしかない。
ZOZOがPBに着手したのはそういう考えもあったのだろうと思う。
しかし、あまりにも物作りの体制も商品もお粗末すぎたし、商品展開計画も首をかしげたくなるようなものばかりだった。今から再チャレンジすることは難しいだろう。
一方、Amazonは派手な花火こそ打ち上げないが、ジワジワと着々とオリジナルの服飾雑貨や衣料品を少しずつ日本でも発売し始めている。米国事情は詳しくないが、米国では専門の工場を買収して展開しているらしいから、土台の物作りに対する姿勢がZOZOとはまったく異なる。
衣料品のネット通販においても楽天、Amazon、Yahoo!ショッピングの3大企業が今後は占有するのではないかと見ている。
この週刊ダイヤモンドに特集されてからもうすぐ1年。月日の経つのは早いな~
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のえみ より: 2020/02/03(月) 11:27 PM
はじめまして、いつも鋭い切り口の記事を楽しませていただいています。
「無限に成長し続けることは難しい」という今日の主題には同意を覚えるのみですが、ZOZOTOWNの良い部分が批判派にも擁護派にもあまり具体的に認識されていないのは歯がゆい部分もあります。
ブランドを横断して、身幅や着丈の範囲を絞ってアイテムを検索できること。一定の照明下での正面・横・背面の着画が確認できること(これは最近、ものによってブランドの雰囲気写真だけになったりもしていますが…)。そして最近ではセール品の返品も受け付けていること。これらを全部兼ね備えたサイトは、いまのところ他にはありません。
願わくば、その自らの美点をZOZOTOWNが見失わないでいてほしいところです。
論理的に考えれば服を売ってるだけで何百億も稼いでる時点で、ZOZOの前澤なんて胡散臭いと思うんすけど、投資家とか一般大衆はコロっと騙されちゃうんすよね。孫正義とかも若者が尊敬したりしてて、胡散臭い商売やってるハゲオヤジというイメージしかないアラフィフのオッサンはびっくりします。日経ビジネス電子版のコメント欄で前澤批判したら、前澤ファンがZOZOは凄いんだ!と反論してきてびっくりしましたが、結局は株価1/3とかになってババを引いたのは孫正義で逃げ切ったのが前澤という落ちになりそうですねw