決して盤石ではないゾゾの足元。有力ブランドのゾゾ離れが起きる可能性
2018年4月4日 ネット通販 0
いまだに経済紙やらIT系オピニオンからは、ZOZOTOWNへの賞賛が相次いでいるが、現実的にはそれは盤石で強固なものとはいえない。
むしろ、何かのきっかけでそれが崩壊する可能性も十分に秘めている。
少し以前に東洋経済オンラインにこんな記事が掲載された。
「ゾゾ頼み」から脱却へ、アパレル企業の苦闘
https://toyokeizai.net/articles/-/210060
初期からZOZOTOWNに出店していた有名ブランド・有名セレクトショップの多くはこのタイトルが示すようにZOZOTOWNから離れたがっているのが現状である。
その理由はこの記事にも書かれてある。
1、ZOZOTOWNに徴収される手数料が年々値上がりしていること
2、値引きクーポンの乱発で買い上げ客単価は年々低下していること
3、低価格ブランドが大挙して出店していること
この3つが理由である。
1、については記事中でも
代表格であるゾゾタウンは、順調に商品取扱高の拡大を続ける傍ら、手数料比率を年々引き上げている。現状は30%程度と百貨店での手数料に匹敵。モールで購入した顧客の詳細なデータも、アパレル側は入手できない。
とあるが、当方が聞いた数字は35%とのことだった。
売上高の35%も徴収されては、百貨店に出店するのと変わらない。
おまけに大手ブランド・大手セレクトは製造を商社に任せており、その商社は、ブランドによっても異なるが製造時に平均で20%の利ザヤを稼いでいる。もちろん、ブランドによってはもっと低い%しか取られていないブランドもあるが。
製造時に商社に20%取られ、販売する時にZOZOTOWNに35%取られるため、大手ブランド・大手セレクトの稼げる利益は極端に低くなる。
高い販売価格の大半は商社とZOZOTOWNに取られることになるのだから、一体何のための価格かということになる。
2、についても記事中で語られているが、当方が有名ブランド担当者から聞いた数字でいえば、毎年ZOZOTOWNでの買い上げ客単価は20%減で低下しているとのことだ。
そして、3、についても記事中での言及があるが、この数年間でジーンズメイトやウィゴー、タカキューなどの低価格ブランドが続々とZOZOTOWNに出店しており、出店ブランド数は4000近くにまでなっている。
実際にZOZOTOWNをパソコンやスマホの画面で見ると、低価格ブランドの商品が上位に表示されている。
人は同じ物・似たような商品なら安い方で買う。
当然、有名ブランドや有名セレクトと似たような商品はこれらの低価格ブランドで買われることが増える。
彼らからすると出店するメリットはほぼなくなったといえる。
この東洋経済オンラインの記事は「とは言っても、自社ECサイトを強化することも困難で、各社はジレンマに苦しんでいる」という論調だが、実際のところは有力ブランドは何かきっかけがあれば、ZOZOTOWNから離脱する心づもりがあると耳にしている。
そこまでのジレンマも葛藤もないのだと。
そのきっかけとは何だろうか。
ある関係者は、ZOZOSUITの配布がなされなかったときではないかと推測している。
鳴り物入りで発表されたZOZOSUITは、先日、ようやく発送開始がアナウンスされたものの、ツイッターやフェイスブック、インスタグラム上でもいまだに「手元に届いた」という報告を当方は見たことがない。
もちろん、発表時に先行して何人かのインフルエンサーには配布されていたがそれっきりであり、すでにもう4月になっている。
そもそもベンチャーが開発したあのスーツを26万枚も製造できるのかという疑問もある。
スタートトゥデイ自体は、別のサイズ測定ノウハウや数値を高値で買ったりもしているため、ZOZOSUITがそちらに置き換わるのではないかという見方も業界内にはある。
そうなったときに、有名ブランドのゾゾ離れが起きるのではないかというわけだ。
ZOZOSUIT発表時には26万人分の体型データを手に入れた(手に入れることになる)強みというものが盛んに論じられたが、もし、ZOZOSUITが本当に配布されず、別の手法に置き換わってしまうなら、26万人分の体型データではなく26万人分のクレジットカードデータを手に入れることが目的だったのではないかとさえ思えてくる。
しかも、スーツがなければ測定できない体型データと異なり、クレジットカードデータはすでにスーツの申し込み時に入手できているのだから、別の測定方法に置き換わったところで、スタートトゥデイ自体には何の不都合もない。
また、気になる情報もある。
某有名ブランド担当者によると、ZOZOTOWNへの新規流入はほとんど増えなくなっているという。
他方、Amazonは今もどんどんと新規流入を増やしている。
これは、服しか売っていないZOZOTOWNに対して、なんでも幅広く売っているAmazonとの違いで、ZOZOTOWNの弱みもそこにある。
ZOZOTOWNの利用者は比較的服好き・ファッション好きにとどまっており、その層はもうすでに取り込み切ったと考えられる。
以前にもここで紹介したアンケート結果では、ZOZOTOWNの利用者はユニクロの半分以下、ニッセンよりも下位の9%強しかいなかった。
これが広く大衆から見たZOZOTOWNの認知度・支持率である。
他方Amazonは本、玩具、食品、雑貨、家電、文具と幅広い商品を扱っているから、服好きでなくても利用できるし、利用してしまう。
先日は当方もAmazonでコピー用紙を発注した。
服に興味のない人(それが圧倒的大衆)からすると「ZOZOTOWNって何?それ美味しいの?」というのが実情だ。
服好きしか利用せず、その層は取り込み切ったZOZOTOWNと、服好き以外の幅広い需要を集められるAmazonとでは土台が勝負にならない。
圧倒的にAmazonの勝ちだ。
しかも、Amazonは服にも熱心にアプローチをかけており、東京ファッションウィークのスポンサーまで務めている。
「日本のファッションガー」というなら、どうしてZOZOTOWNや楽天がスポンサーにならないのか不思議でならない。
100億円の絵を買うカネはあっても東京ファッションウィークに出資するカネはないということか。(笑)
そんなわけで、ZOZOTOWNの足元というのは意外に揺らいでいるように見えてしまう。
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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nebd50266b6df
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