月別: 4月 2013 (1ページ / 3ページ)

アートな雰囲気だけの広告www

 広報・広告宣伝・販促の業務以外の方には広告代理店というのがどういう役割を果たしているのかよくわからないのではないだろうか。
筆者は二度ほど広報という部門に配属されたことがあるのだが、その際に何社かの中小広告代理店との取り引きがあった。現在も個人的に仲良くしている広告代理店の人間もいる。
広報担当したのは1度目は今は亡きTシャツアパレルで、もう1度は某専門学校でだ。
両方とも広告出稿の対象はファッション雑誌だった。(もちろんそれ以外の媒体もあった)

ファッション雑誌に広告を出稿するという作業で広告代理店が登場するのだが、正直、「広告代理店無しでも大丈夫じゃないか?」と思ったことが何度もあった。

広告代理店の手数料はだいたい20%が相場である。
100万円の雑誌広告を出せば、20万円が広告代理店のマージンということになる。
代理店を外せば単純に20万円の経費を節約できるのではないかと当時思った。

広告代理店が年度末に「広告プラン」なるものを持参する。
何月にどの雑誌に掲載するかというプランをまとめた一覧表だ。
そして各雑誌の部数などが記された媒体資料と一緒に提出する。
しかし、その程度の提案なら別にそちらから受けずとも、各雑誌社に問い合わせてこちらが勝手にプランを作っても良いのではないかとも感じた。

雑誌に広告を出すことでどのような具体的効果があるのかを説明してくれた営業マンは経験上では皆無だ。

さて、こんな疑問を感じつつ、今も暮らしていたのだが先日、広告代理店を厳しく指摘する記事を拝読した。

経営者よ、広告代理店に“カモ”られるな!
大成功する「広告代理店との付き合い方」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130419/246959/?P=1

まさに筆者が感じていた疑問について具体例を挙げて説明してくれている。
近年にない良記事である。

この筆者はウェブ通販のマーケティングの専門のようだが、文章を読んでいくと、筆者が感じていた紙媒体への広告代理店のかかわり方に対する疑問に共通する部分も多々あった。
以下に引用しつつ進める。詳しく知りたい方は原文を全読することをお薦めする。

広告代理店の言われるがままになけなしのお金を支払い、広告を投下してみるが、レスポンスがほとんど無い、売り上げが上がらない、費用対効果も最悪……という状態になってしまう。

なぜこういうことが起きてしまうのか?

その理由はズバリ、

「広告代理店で働く人間の90%以上が、商品を売るプロではない」から。

さらに広告代理店は広告主にいかに多くの広告費をつぎ込んでもらうかによって売り上げが決まるわけだから、テレビだの新聞だのネットだの媒体(広告枠)をどんどん提案するプロなのである。

もっというと、

 「広告代理店で働く人間の90%以上が、広告の費用対効果を考えたことがない」から。

まさかと思っているかもしれない。でもためしに身近な広告代理店に「ご提案の広告をやったら、ウチの売り上げはどれぐらい伸びるの?」とぜひ聞きいてみるといい。彼らの多くは押しなべて「どちらかというと、広告は商品を直接売るもんじゃないんですよ~。よい認知とイメージを作って、御社の販促をバックアップするんですよ~」と答えるでしょう……。

それに対し、「では、その認知とイメージではいつ、どんなふうに、いくらの売り上げをもたらすのかを教えてもらえる?」と聞いてみるといい。間違いなくその広告代理店は“沈黙”するだろう……。

これは筆者が広報担当時代に良く見てきた光景である。
そう、多くの広告代理店の営業マンの仕事は「広告媒体を紹介すること」なのである。
だから雑誌、新聞、ネット、テレビ、イベントとどんどん「媒体」の種類のみを持参する。

そして、これは雑誌広告やパンフレット製作に携わる広告代理店の営業マンの特徴だが、

 そもそも広告代理店の社員の90%以上は“広告”の仕事を「販売業」だとは考えていない。デザイナーのほとんどは「アート」だと考え、CMプランナーのほとんどは「エンタメ」だと考え、営業のほとんどは「クリエイティブな広告」に憧れている(笑)。

という悪癖がある。

雑誌広告の製作やタイアップ記事の製作、パンフレット製作などの場合、撮影現場やインタビュー現場に必ず営業マンは立ち会う。そして色校正が出来上がったら広告主に持参してこう言う。
「良い写真に仕上がりましたよ」とか「きれいなページに仕上がりましたよ」「なかなかアートな雰囲気のページですよ」と。

いやいや、広告主は別に写真集を作っているわけではないからアートな雰囲気もきれいなページも必要ないのだよ。

それでも営業マンの主眼は「いかにアートなページを作るか(自分は作らないけど)」に注がれていることがわかる。

ファッション雑誌には純広告とタイアップ記事広告が掲載されている。
タイアップ記事広告はその名の通り、取材記事風にそのブランドやその商品について説明文が書き込まれているものである。
一方、純広告は「アーティスティック」な写真とブランドロゴだけ。あとはブランドの連絡先とショップ一覧が掲載されているだけである。
はっきりいって、消費者からすれば純広告を見ても何のことやらさっぱりわからない。
とりあずブランド名が分かるくらいだが、それすら分からない広告も時々お目にかかる。

「アーティスティック」な雰囲気で外国人がたたずんでいて、下にブランド名だけが書かれてある広告を見て
「あ~、このクリエイティブな雰囲気の写真が気に入ったからこのブランドのセーター買うわ」という消費者はほとんど存在しないだろう。

まだタイアップ記事広告の方が分かりやすい。

手持ちのファッション雑誌から2つほど挙げてみる。
ブランド名は塗りつぶしておいた。

BlogPaint
BlogPaint

さて、この純広告を見て購買意欲をそそられた方がいらっしゃるだろうか。
そんな方はほとんどいないと思う。

こういうのを提案する代理店が多いのは紹介した記事が書いている通り事実である。

上の記事はなかなか面白く、広告代理店との付き合い方22カ条が続いて提案されるのだが、そろそろ長くなってきたので明日のブログに回したい。

記者会見にて

 先日、こんなブログを拝読し「業界は違うがどこにも似たようなことがあるのだな~」と感じた。

いらざることを聞くメディア|野球報道
http://baseballstats2011.jp/archives/27016660.html

肝心なことを聞かずに、どうでもいいことをわざわざ聞くのが、今風のメディアだ。

当サイトの読者からも指摘があったが、ブランコが負け試合にしか本塁打を打っていないことを試合後にわざわざ聞いた記者がいる。4月18日のことだ。複数のメディアに載ったということは、一人ではなかったのかもしれない。
ブランコは、
「仕方がないよ。また明日、違う日になる」
と答えていたが、内心失礼な奴だと思ったことだろう。

誰が考えても、これは偶然でしかない。たまたまブランコが本塁打を打った試合が、負け試合になっただけだ。それをあたかもブランコに責任があるかのように問い詰めたのだ。

ありもしない妄説を持ち出して、犯人捜しをするのは、日本人の悪癖だ。
昔の田舎町では、「○○がこの町に来てから、火事が多くなった」みたいなまことしやかな噂がよく流れたものだ。

とのことである。
その続きがまた笑える事例である。

大昔、ヤクルトにやってきたチャーリー・マニエルに対して「エマニエル夫人をどう思うか?」ときいた記者がいた。私は高校生ながら恥ずかしく思った。

これには苦笑するほかない。

さて、これに似た類は普段お世話になっている繊維業界やアパレル業界の記者会見でもしばしば目にする。

本日、めでたくグランドオープンするグランフロント大阪なのだが、2月に記者会見があった。
注目の大型商業施設ということで多数のマスコミ関係者が出席しており、なかなかの壮観である。

一通りの概要説明が終わり、質疑応答が始まったのだが、終わり近くに飛び出した質問には耳を疑った。
五大紙の一つである大手新聞の経済部の記者さんだが
「今回の出店テナントのラインナップがアウトレットモールとほぼ同じなのですが、アウトレットモールとの競合をどうお考えでしょうか?」と質問をした。

アパレル業界・流通業界を少しかじった方ならおわかりだと思うが、
もともと正規店の在庫や型落ち商品を売るためにアウトレットモールというものができている。
だから、アウトレットモールに入店しているブランドは正規品の商業施設に入店していてもなんの不思議もない。
むしろ、本来の意味で考えるなら正規店があってこそのアウトレット店ということになる。

最近はアウトレットが増えすぎ、テナント側も正規品の在庫では対応できなくなり、アウトレット用に商品を製造するという不思議な現象がスタンダード化しつつあるが、この記者さんの質問とは別の話である。

この珍問に対して、表面上は一切動揺することなく返答したグランフロント側は立派だと感服した。

もう一つ印象に残っていることがある。

ユニクロ心斎橋店オープン前の内覧会のときだ。
旧心斎橋店(現ジーユー心斎橋店)オープンの際だから、9年ほど前だろうか。
これも五大紙の記者さんだが、「このビルの家主はだれですか?」と質問をした。

通常は店舗のことやブランドの今後の目標や出店計画のことを質問する。

その中には「リリースにしっかり明記されている」項目も多いのだが、そのあたりはご愛嬌と思うほかない。

良心的に解釈すればこの記者さんは何か他のまとめ記事で心斎橋筋商店街の各物件のオーナーを調べていたのかもしれない。しかし、それは会見の場で聞かずとも後日ユニクロ広報に質問すれば良いのではないかと思う。
筆者のようなしがない無名の業界紙記者ではなく、天下の大新聞の記者なら広報もそれなりの情報は提供してくれるはずである。

筆者も駆け出しのころには先輩記者から「とりあえず相手に覚えてもらうためには、何でも良いから質問しろ」という教育を受けたが、個人的にはあまりにもピントのズレた質問をするのは、たしかに相手に覚えてもらえるかもしれないが逆効果ではないのかと思う。

印刷部数を見比べてみると

 一般的に、ファッション雑誌をターゲットに広報宣伝を組み立てているアパレル企業やブランドは多い。
しかし、広く言われているように一部を除いてファッション雑誌全般的に部数は凋落しており、以前ほどの影響力がないのも事実である。

誌名は有名だけど実際の印刷部数は意外に少ないという雑誌もある。
各誌がだいたいどれくらいの部数があるのかを知っておくことはブランド側にとって重要である。

そこで参考になるのがこのサイトだ。

一般社団法人 日本雑誌協会
http://www.j-magazine.or.jp/magadata/?module=list&action=list

雑誌協会に加盟している出版社の各雑誌の3か月ごとの印刷部数を年4回発表している。

もうすぐ2013年1月~3月の数字が発表されると推測するが、現在は2012年10月~12月分が最新のデータである。
2008年からのデータが閲覧できるようになっている。

ためしに、2012年10月~12月の男性ファッション雑誌の部数を見比べてみよう。

男性ヤングアダルトのジャンルから

メンズクラブ、ゲイナー、ライトニングを見てみると、

メンズクラブが53034部
ゲイナーが91067部
ライトニングが87034部

となっている。
ビンテージジーンズ、ミリタリー、ヘビーデューティーに特化したマニアックな表情のライトニングの部数が意外に多いことがわかる。過去の統計では10万部を越えていた時期もある。

男性ミドルエイジを見比べる。

UOMOが50000部
LEONが81700部
メンズEXが39334部
Safariが141934部

となっている。
この層では一般的にLEONの知名度が高いが、実は部数が突出しているのはSafariであることがわかる。

このように見ると、各誌の影響力の大きさは一目瞭然となる。

男性ヤングだと

メンズノンノが146667部
メンズジョーカーが150067部

となっており、部数は後発のメンズジョーカーの方が多いくらいになっている。

レディースも見てみる。

女性ヤングの赤文字系雑誌はそれぞれ

VIVIが323334部
JJが138600部
Rayが139467部
CanCamが200000部

となっており、この層ではVIVIがもっとも印刷部数が多いことがわかる。

ちなみに2008年4月~2008年6月の時期のCanCamは553333部あったから4年で半減以下になっている。

付け加えるとこれはあくまでも印刷部数なので販売部数とは異なる。
印刷した部数すべてが完売することはほとんどないため、販売部数は印刷部数を下回るのが常だと考えた方が良いだろう。

雑誌の印刷部数を把握しないまま、イメージで広告掲載雑誌を選んでいる広報担当者もちょくちょくお見かけする。
せっかく公式に印刷部数が発表されているのだからこれを使用しない手はない。

雑誌に関するイメージも大事だが、実際の印刷部数を把握して影響力の強いと思われる媒体を選別することも広報担当者にとっては重要な仕事だろう。
いくらイメージが良くても印刷部数が極小の雑誌なら大枚をはたいて広告を掲載してもあまり効果がないことが予想されるし、少々ベタな印象の雑誌でも印刷部数が多ければそれなりの効果が期待できる場合も予想される。

イメージ先行で語られがちなファッション雑誌だが、たまには各雑誌の印刷部数を冷徹に見比べてみるのも一興である。

カラー対応商品が少ないのでは?

 ライトオンとジーンズメイトの4月度売上速報が発表された。
数字から見る限りほぼ、昨年と同じような売れ行きだったといえる。
ジーンズメイトは既存店売上高が昨年並みだが、全店売上高は前年比6・6%減少しているので、新店が思うように売れなかったと判断できる。

ライトオンは
既存店売上高が前年比0・7%増
既存店客数が同0・3%増
既存店客単価が同0・4%増

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比1・6%減
既存店客数が同2・1%減
既存店客単価が同0・5%増

だった。

両社ともリネン素材のシャツ、羽織物は好調に推移したというが、全体的には伸び悩んだという。

さて、店頭を見る限り、これと言って目新しい物はない。

明るい色彩のカラーパンツ類が他社では好調だと耳にするが、それほど入荷量があるようには見えない。
色が溢れているユニクロやその他SPAとはだいぶ見た感じが異なる。

一般的に派手な色彩のパンツは、一旦残ると売り切りにくいとの認識があるため、入荷量を抑えたのではないかと推測する。
しかし、色彩の変化というのはもっとも目立つため、店頭の雰囲気を変えるには一番手軽でもある。

各社が色を打ち出す中でジーンズチェーン店が地味に見える危険性は十分にある。

もしかするとそれなりの入荷量はあるのかもしれないが、ジーンズやベーシックなチノパンなどの商品量が多すぎるため、カラーパンツ類が目立っていないのかもしれない。

一つ残念に思うのが、ライトオンがこの2,3年メンズで展開していた「世界のカーゴパンツ企画」を今春はなくしてしまったことである。
店頭を見た印象ではベーシック路線に回帰しているようなのだが、そうなると、またベーシック低価格SPAとの値段競争にさらされやすくなるのではないかと思う。

もちろん、見た目が変わった商品をむやみにやれば良いというものではない。
ベーシックでも価値を感じさせられる商品をそろえるという手もある。
その場合、必要となるのは常に自店・自社の価値を消費者に伝え続けることになる。

従来型のジーンズチェーン店はそこが圧倒的に欠けていたと感じる。

以前の轍を踏むことは避けてもらいたいと願っている。

改めて製造業を評価したい

 ジャージデニムなる物がそれなりに浸透してきた。
現在のジャージデニムには編物と織物の二種類がある。

ジャージデニムというくらいだから当初は編物だった。
繊維業界外の方は違和感があるかもしれないが、セーターもカットソーもトレーニングに使うジャージも全部編物である。織物ではない。

インディゴ染めした糸で編んだデニムっぽく見えるジャージというのが正しい呼び方だろうか。
一口に編物といっても、丸編み、横編み、縦編みなど様々な編み方がある。

アメカジ好きの人からすると、裏毛スエット地のジャージデニムに一番魅力を感じるだろう。
トレーナーなどで使用されている裏面がループ状になった編み地である。
ファッション雑誌はこれを指して「裏面がパイルになったデニム生地」と表記するが、それデニム生地じゃねーし。と指摘したいところである。

さて、この編物の利点は柔らかく伸び縮みする点である。
物事にはメリットがあればデメリットがある。
編物のデメリットは、ジーンズの中古加工がしにくいこと、とくに穴をあけるダメージ加工は不可能に近い。
編み地は糸がすべてつながっているので、穴をあけるとそこからドンドンほつれてくる。
穴をあけてその周りを縫製して穴の広がりを止めるという作業が必要になるが、これでコストはアップする。
その工程を省略した場合は穴がドンドン広がり売り物にはならない。

そこで考え出されたのが裏毛調織物デニムである。
裏地は裏毛のように見えるが実は裏も織物になっており、二重織りの技術を応用した物だという。

通常のデニム生地(織物)は堅いから→柔らかい編物でデニム(ジャージデニム)を作ろう→編物じゃ中古加工がしにくいから編物風織物を開発したよ←イマココnew

というこの3段論法は何だか本末転倒のような気もするが、工場の位置する場所が国内か海外かは問わず、日本の繊維製造業の開発力というのは改めて感心させられる。

さて、何かと日本の繊維製造業に苦言を呈することも多い筆者だが、長年親しんだ繊維製造業には何とか今後も生き残ってもらいたいと思っている。

昨今、disられることが多い日本の製造業だが、久しぶりに援護する記事が掲載された。
この記事は繊維以外の製造業のすごさを語っているが、繊維製造業にも通じる部分がある。

経済産業省の「現役官僚が提言!」らしいんですが、何を言いたいのか良く分かりません
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20130422-00024512/

このお役人さんは、クールジャパンならぬ「狂うジャパン」を推進する経済産業省の人だけあって、日本のアニメコンテンツを製造業と対比して持ち上げているが、アニメ業界の低賃金重労働は周知の通りであり、その辺りを解消せずして何がコンテンツビジネスかと思うのだが。

で、もう一本同じ方の記事を紹介するが、こちらの方が製造業の実態が良く分かる。

製造業の人たちは本当に凄いんだぞ、って話
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/04/post-f6a5.html

確かに、現地で日本人水準の給料をもらっているというだけで特権階級ではある場合も多いんですけれども、私のような金勘定や資源系商取引でフワッと現地にいって交渉して帰ってくるだけの人間からしますと、恐ろしいほど優秀で独創的でマネジメント能力に優れた人たちが育っています。

 だって、家族連れて6年とか7年とか現地採用の皆さんと集団で工場転がしてモノ作って検品して輸出してるんすよ。日本企業だったら波を打ったように静かになる全社集会とか、一度中国工場の見物にいったことがあるんですけど、もうね、質問したくて社員同士でマイクの奪い合いが発生したりするんすよ。中国工場では備品がすぐになくなるから社員同士の持ち物チェックや監視カメラで見ながらも意識付けをして「お前らを信頼しているからな」とか言ってマネジメントやってるんすよ。

 んで、ちょっとでもギャラがいい働き口が見つかると従業員がごっそり移動してしまう、そうなると大変だから中国人の家族同士や地縁血縁駆使しながら欠員が出ないようにシフト組んだり地元有力者に頭下げて回って溶け込む努力して、ようやく普通に回るかな? という程度。日中間で小島巡って鬩ぎ合いがあると日本資本というだけでヘイトの対象になる、それでも工場開けて最前線で転がしてる。

 凄いんだよねえ、現地でマネジメントしている製造業の日本人社員。ハングリーではないとか、意志決定が遅いとかあれこれ注文つくことはあるみたいですけど、20代で500万600万貰って現地出向いてそのまま数年いる日本人とか、信頼せずにはいられません。

 彼らの創意工夫を引き出す努力は凄まじいです。製造工程改善し続けないと死んじゃうから。これはもうね、製造業のDNAですよ。以前、でっかい半導体工場とか視察したけど、それはもう凄かったです。いろいろあって書けないけど。

 そんで、そいつらはより安い労働力と安定した電力と港湾までの渋滞のない輸送路を求めて別の東南アジアに生産力を何割か持ってくんだとかで、準備してるわけです。本当に、文字通り泣きながらリストラしているわけですよ。中国人、給料上がってきてしまったから。数年一緒に働いた社員を、給料上がったからって解雇するんです。

 別の会社では、貿易実務のヘッドオフィスを香港に持っていたんですけど、マレーシアに移転しました。それはジャパンパッシングとかそういう文脈ではなく、製造業として、知的生産ではない分野のコストをどう下げるのか検討を重ねてのことでした。で、R&Dやデザイン部門をむしろ日本に戻したりしている。試作を日本でやるかどうか、検討しているのも、基礎研究を中国から引き上げるのも、理由は明確でコストと品質の兼ね合いからですよ。

 伊藤さんが「最近の日本製品の傾向として、このように過去の延長線上でのモノづくりや、機能性の重視のモノづくりばかりが重視され、全般的につまらなくなっている」とか書いてました。これ、単純にPanasonicのことですよね。でも、彼らが不振なのは、機能性を重視しきれなかったことですよ。必要な機能だけに絞り込んで、安く製造する力がなかったので、ノンブランドの製品に欧米市場で負けているんです。

ちょっと長文を引用してみたが、アジアの拠点を構える日系の繊維製造業にも共通する背景である。

この記事で一番気になったのが、次の箇所である。

また、「売り上げ・利益・シェアばかりを重視し、数字で見える成果のみを評価し」ているのがいけないみたいですが、売上と原価がしっかり管理できていなかったら、製造業は経営できないんですよ。だからこそ、数銭の社内レートですら各部門、各地域子会社と轟々の議論をするんじゃないでしょうかね。貿易分野は特に、ルーブルが何%下がった上がったで大騒ぎなんですけど。

これは経産省のお役人だけではなく、自主ブランド展開を目指す若手クリエイターもどきにも共通する欠点である。
彼らの多くはロットがまとまらないから手作りで作品を作る。
だから原材料費以外の採算は度外視しているケースが多い。
手編みのニット帽を1500円で販売する類のことである。

例えば彼の時給を800円と計算すると、編み上がるまでに2時間かかったならそれだけで1600円のコストがかかっていることになる。そこに毛糸やリボンなどの材料の原価が上乗せされる。
これで1800円くらいにはなるだろうか。ただし、これはまったく利益がない状態である。

利益ゼロでずっと手作りし続けるのか?ということになるが、1000円の利益を載せれば2800円となる。

だから少なくとも2900円程度の価格にはする必要があるのだが、残念なことに専門学校でそういう教育を受けていない場合が多い。
お役人もそうだが、学校関係者もお金の話はまるでタブーのように触れない。
それでまともなブランドビジネスが構築できるはずがない。

ちょっと長くなってしまったが、今回引用した2つの記事は製造業以外の方にも読んでいただく価値があると感じている。

グローバル戦略はローカライズ戦略と一体で

 日本マクドナルドが苦戦を続けている。
もちろん、金額ベースではすぐさま経営危機に陥るレベルではないが、前年割れを続けておりまったく勢いはない。
打ち出す方針も「60秒無料キャンペーン」や「ポテトホルダープレゼント」などピントのズレたものが多い。

この背景を的確に分析した記事があるのでご紹介したい。

マクドナルドは復活するか – 大西 宏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130409-00010001-agora-bus_all

おそらく原田社長の「日本のマクドナルドは世界の中で利益率が低く、米国本社から利益を底上げするようプレッシャーをかけられていた。このためリピーターを増やせるビッグマックの販売を強化して、運営コストのかかる季節限定商品をやめた」という発言が本当のところかもしれません。
マクドナルド原田社長「不評を買い続けたここ最近の施策は、米国本社からのプレッシャーによるもの」

とある。
実際、いくつもの紙面で原田社長は米国本社の圧力をにわかに語り始めるようになっている。

事実が発言が通りだとすると、米国本社は日本市場をあまり理解していないということになる。

それについて、記事ではこう指摘しておられる。

もし日本マクドナルドの失速が、米国本社からの圧力が原因となった迷走の結果だとすると、そこには非常に大きな教訓があります。グローバル化といっても、それぞれの国の市場に適応してこそ、ビジネスはうまくいきます。つまりグローバル戦略にはローカライズの戦略が表裏一体となっているということです。

米国市場のように「ボリュームと価格」で評価する顧客を多く抱えた市場と、「ボリュームと美味しさと価格」で評価する市場では自ずと戦略は異なってきます。しかも、比較的棲み分けができている米国市場と、いまだに激しい競争が行われている外食業界、しかもコンビニエンスという他業界との競争にも晒されている日本市場をマクドナルド本社が切り分けて考えられないとすれば、おのずと限界がでてきます。

とのことである。

このローカライズという考え方はすべての分野に当てはまる。
日本国内の錚々たる百貨店アパレルは10年以上前から中国に進出しているが、各社とも惨憺たる有様だ。
一方、あまり注目されていないがハニーズは600店舗以上を展開するようになっている。
これはローカライズができたかそうでないかと言う部分が大きいのではないか。

欧米企業だって日本市場にローカライズできずにテスコとカルフールは撤退している。
西友を傘下に収めたウォルマートも長い時間を費やしている割にはほとんど効果が上がっていない。

さて、今月はH&Mが関西に3店舗を連続出店し、フォーエバー21が初の関西出店を果たした。
取材で見ていると、欧米SPAも日本へのローカライズはブランドによって格差があると感じる。

GAPジャパンだが、最近は新店内覧会も開催しないし業界紙・経済誌への取材対応もほとんどない。
しかし、商品を見る限りは90年代の上陸当初に比べるとサイズやシルエットはずいぶんと日本市場に対応している。上陸当初の数年間はサイズは大きいし、洗濯すれば異様に縮む素材使いがあったりして、ちょっと使いづらいブランドという印象だった。

H&Mは取材対応は、これまで非常に丁寧だし、何よりもジャパン社がある。
H&Mには欲しい服があまりないのでいまだに商品は購入したことがない。そのためシルエットやサイズ感はわからないが、あまり不都合は聞いたことがない。

フォーエバー21は初めて取材したが、ジャパン社がない点や取材対応、店作りを見る限りはあまり日本市場にローカライズしていないように見える。
とはいえ、国内で13店舗も展開しているのでそれなりに支持はされているのかもしれないが、筆者個人には低価格以上の魅力は今のところ感じられない。

日本企業が海外市場で失敗するのも、欧米企業が日本市場で失敗するのもローカライズできたかそうでないかという部分が大きいのだろう。
今をときめくグローバルSPAだが、何社が日本市場に適合でき、何社が適合できずに撤退もしくは衰退するのだろうか。
あと数年はじっくり観察したい。

差別化よりも独自化を

 バブル崩壊後から2000年代前半くらいまで「差別化云々」という言葉をイヤになるほど耳にした。
どの企業でも「差別化に取り組み云々」「差別化戦略云々」とおっしゃっていたが、成功した例はほとんどない。

繊維・アパレル業界はいまだに「差別化商品が云々」という言葉が登場する。
肌着業界なんて今も「差別化商材云々」という言葉の登場回数は比較的多い。

保温肌着というドル箱のような商品群が各社にある。
これまで、薄く軽くを各社がひたすらに追求してきた。
そこに消費者ニーズがあると考えられていたし、マスコミの報道を信じた結果である。

さて、「差別化」と言う言葉は、競合相手があって初めて成り立つ。
相手の商品とどのように差異を際立たせるかというのが「差別化」の取り組みになる。
保温肌着だとA社より「軽く薄く」を追求しても軽量化には限界がある。重量ゼロの商品は製造できないからだ。
じゃあ、ということで次なる差別化を考える。
そう、だいたいが機能の積み上げである。

抗菌消臭加工を付加しようとか、保湿機能をプラスしようとか、吸水速乾も必要だとか、場合によるとそれらを全部付けてしまえ!となる。
かつてのワイシャツがそうだった。
形態安定加工がブームとなり、各社が差別化を求めた結果、毎シーズン新機能が一つずつプラスされることになり、末期には7つの機能をもったワイシャツが登場した。しかも値段は据え置きだ。

「形態安定加工+抗菌消臭+坊汚+吸水速乾+マイナスイオン+UVカット+ビタミンC加工」

なんていうウルトラスーパーミラクルな機能を持ったワイシャツまで開発された。

みなさんに質問したいがそんなワイシャツ欲しいだろうか?

結局、繊維・アパレル業界の「差別化」の行きつく先は往々にして7つの機能を持ったワイシャツの類である。

差別化なんて目指すな!

http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-11502302193.html

これはどういうことかというと、向こうも差別化しようとしているから、差別化できても、また差別化されてしまう。
そこでまたさらに差別化しても、また差別化される。
差別化、差別化、差別化・・・。

これの繰り返しになってしまう。
「差別化スパイラル」にはまりこんでしまうってことなんです。
これはもう地獄です。
安売り競争がいい例です。

真似されない「価値」を創り出さなければならないんです。
差別化で「価値」を出すのは、すごく難しいということです。

競合他社のことを知らなくてもいいと言っているのではありません。
知った上で、どれだけちがった価値を出せるか?
それを考えて、しっかりとシナリオを立案しなければならないということなんです。
業績がいい企業や、売れているお店、売れている商品は「差別化」なんてコトバ使わない。

「独自化」

そうなんです。
あなたや、あなたの商品、あなたの会社の「価値」を高めるのは、差別化ではなく、独自化しなければならないということなのです。

以上の引用を参考にしていただきたい。

今冬の保温肌着は、厚手素材・天然素材・起毛加工あたりがブームになりそうだ。
消費者の反応は今のところわからないが、メーカー各社は共通して企画を打ち出している。
はっきり言って似たような商品が店頭に並ぶ。

じゃあ来季は「差別化」を目指して各社は抗菌消臭加工でもプラスオンするのだろうか?

アズという肌着メーカーがある。
正直に言うと、老舗でそれなりの大手でありながら知名度はそれほど高くないと感じる。

ここは、昔懐かしいお爺ちゃんの定番品であるラクダ色のシャツとパッチをいまだにコンスタントに製造販売している。あの手の商品を製造している先が減ったこともあって売上高は減るどころか増える傾向にあるという。

また横編みで昔懐かしいラクダ色の腹巻きも製造している。

通常の肌着や現在の店頭に並ぶカラフルな腹巻きの多くは丸編みという手法で編まれている。
横編みで腹巻きを編んでいるのはこの会社くらいになってしまった。
ちなみにアズは横編み技術を応用して、横編みのカラフルな色柄腹巻きも製造している。

これら商品の独自性はかなり注目に値する。
おそらくアズは狙って独自化したわけではなく、他社が止めていった結果として、自然に独自化されたものだと考えられる。
それでも結果往来だ。

堂々と独自性をアピールすれば良いと思う。

その価値を大いに伝えるべきではないか。例え結果的に自然発生した独自化であってもだ。

自社の独自性に気付いていない企業はまだまだある。とくに製造業は探そうともしていないように見える。
差別化商材を考える時間があるなら、自社の独自性を探した方が賢明ではないだろうか。

少数企業への集中

 今春も大阪市内で新店オープンや新商業施設オープンが続いている。
大阪市内でとことさら強調してもあまり意味はない。大阪の地場の企業などほんのわずかで、ほとんどは東京を拠点とする全国チェーン店だったりグローバルSPAだったりする。

たまたま開発案件が2011年から2013年にかけて大阪市内に集中していたということだろう。
別に大阪の市場が国内外から注目されていたわけではない。

以前にも書いたが、新店出店する企業はほとんど決まっている。
屋号を変えて、複数店舗を出店していても運営する会社は同じである。
来週にオープンするグランフロント大阪も、屋号を変えて複数業態で出店する企業が数多くある。
例えば、ユナイテッドアローズは4店舗を出店し、連結子会社のコーエンとフィーゴを合わせるとグループだけで6店舗の出店となる。
アーバンリサーチ、パルグループ、ジュンが3店舗ずつ出店するという具合だ。

結局、新店オープンと言ってもほんの一握りの大手が複数の屋号を使い分けて出店するという形態が増えている。

さて、筆者はときどきOEM/ODMの相談を受けることがある。
OEM/ODM業者というのは、取り組み相手先があって初めて成り立つ業態である。
自社ブランドを所有しているわけでもないし、直営店舗を持っているわけでもない。

相手ブランドからの依頼があって初めて仕事が発生する。

複数のOEM/ODM業者との付き合いがあるので、彼らの取り組み先を尋ねてみると、ほとんど同じ先の仕事を請け負っている。
製造請け負いをするOEM/ODM業者であるから、当然好調なブランドと取り組みたい。
衣料品販売は全体的に極めて苦戦しており、一部に好調なブランドが存在するという具合だから、当然各業者の取り組み先も集中することになる。

例えばA社、B社、C社というOEM/ODM業者があったとする。
3社に「どこのブランドと取り組んでいるんですか?」と尋ねると、体感的な感想だが、3社の取り組み先は7割程度は重なると感じる。
「え?全員が●●ブランドも××ブランドもやってるんですか?」という感じだ。

新規出店できる企業が限られているのと似たような状況にある。

優良ブランドからの受注を巡って多くのOEM/ODM業者が厳しい競争を繰り広げているのが現状である。

こうなると発注するブランド側の立場が強くなり、製造工賃の引き下げや据え置き、商品品質のさらなる向上など、要求がどんどんエスカレートする。

そういう状況を傍から見ていると、とてつもない閉塞感を感じる。

じゃあそれを打破してやろうというガッツもなければ、仕掛けをつくる財力も筆者にはない。
閉塞感を感じただけでお終いという情けない結末なのだが、これが衣料品業界の現実である。

タイミングを逃すと・・・・・・

 昨年夏物と思しき色柄ステテコが安売りされている風景をよく目にする。
2011年に色柄のステテコブームがあり、2012年はユニクロまでがステテコ商戦に参戦した。

その結果、過剰供給に陥り、各社のステテコは大量の在庫となってしまった。

大手肌着メーカー3社に尋ねたところそのすべてが売れ行き不良で在庫を抱えているという。
そのユニクロ自体が、真冬になっても夏物のステテコを売り続けていたのがすべてを物語っているといえるだろう。
ヒートテックステテコなる珍奇な防寒物と、昨夏の売れ残ったステテコが同時に売り場に並ぶというシーズンレスな光景を多くの方が目にされたと思う。

多くの色柄ステテコは単なる平織り生地やニット生地を使用しており、ステテコというよりはロングトランクスといった方が実状に近い。
ステテコには、強撚の緯糸で織られたシボのあるクレープ素材を使用するのが本来の姿である。
その綿クレープ素材の一大産地が滋賀県湖西の高島産地だ。

高島産地の方は、「亜流がたくさん発売されてしまってステテコの枠組みがボヤけてしまった。しかし、ステテコというアイテムの知名度が飛躍的に向上したのは喜ぶべきこと」と一定の評価をされているが、まさにその通りだろう。

なにはともあれ、ほとんど見向きもされなかったステテコというアイテムが復活したことは歓迎すべきことである。
いくら亜流が増えたと言っても。

さて、その色柄ステテコなのだが、その嚆矢となったのはアズのステテコドットコムだろう。
この提案は2005年から始まっている。
実に6年間かけて市場を育ててきた。

色柄でファッション性を採り入れたステテコは、ファッション雑誌を中心にPR活動が展開された。
業界紙は当然のことながら、一般紙でも長らく取り上げられることはなかった。
2009年に筆者も一度取材依頼をしたことがあるが「業界紙には対応いたしません」という返事だった。
一般紙でもあまり見かけたことがないので新聞というメディア自体に対応する気がなかったのだろう。

さて、PRに関していうと、ファッションブランドには「ファッション雑誌以外に対応しない」という先がけっこうある。
ファッション雑誌は新聞に比べるとマスではない。とくに雑誌の発行部数が凋落している現状では、以前に比べるとさらにマスなメディアではなくなっている。
どちらかというとコアな特定のファン層が読むメディアである。

中小規模のブランドとしてはその特定のコアなファン層にだけ届けば良いという考えなのだろう。
メディアの活用としてこれには一理ある。

しかし、今から振り返るとステテコドットコムは業界紙も含んだ新聞メディアに広く対応すべきだったと考えている。
とくに2011年夏にステテコブームが到来した際には、新聞各紙で広く「色柄ステテコの発祥」たる位置付けをアピールすべきだったと思う。

たしかに色柄ステテコはファッション性があるが、それでもステテコはファッション衣料ではない。
ジーンズやチノパンとは役割が違う。いくら外出もできる色柄ステテコといっても、それで遠出をしようと言う人はあまりいないだろう。せいぜいが近所のコンビニに行く程度の使用法である。
おもな用途はズボン下であり、ホームウエアである。

ファッション性を加味しているが、その性質は限りなく実用衣料である。

そうなると、ファッション雑誌よりも一般全国紙で記事を書いてもらう方が広く顧客を集めやすい。
自身が身を置いているからではなく、業界紙も大いに活用すべきだったと思う。
とくに2011年には類似商品が多数出てきたのだから、その「元祖」としての地位を広い層にアピールすべきだったと感じている。
元祖としての地位をアピールしないと他の大手企業の商品群に埋没してしまうからだ。
それには大衆にその存在とこれまでの活動を知ってもらうのがもっとも効果的だ。

ファッション雑誌でイメージを先行発信する手法は良かった。
これがアウター衣料のブランドならそのままでも良かったのだろうが、残念ながら肌着兼ホームウエアというアイテムなのでどこかで一般大衆向けの発信にシフトする必要性があった。
そのタイミングは2011年夏だったのではないだろうか。

そう考えるとステテコドットコムのPR戦略は少し残念だったと感じられてならない。

最後に背中を押したのは?

 ビッグジョンの経営が新体制に移行したわけだが、それを最終的に後押しした要因の一つに「ディッキーズ」ブランドが2011年末で無くなったことがあると思う。
2011年にディッキーズジャパンが設立されたことは記憶に新しい。

2002年にビッグジョンはディッキーズのサブライセンシー契約を結んだ。
カジュアルパンツ部門についての契約である。

記憶をたどると、2002年当時は今ほど「ディッキーズ」は人気ブランドではなかった。
割合に昔から流通しているブランドだったし、商品もそれほど特徴のあるデザインではなかった。
ベーシックでちょっとユニフォームチックなチノパンが多い印象だった。

ビッグジョンの前はワーキングユニフォーム大手の自重堂がカジュアルパンツ部門でサブライセンシー契約を結んでいたと記憶している。

そんなわけで2002年当時の筆者はディッキーズにそれほど注目を寄せなかった。

ところが、2000年代後半になると特にメンズで、ディッキーズ人気が加熱してきた。
2007年でジーンズブームが終わり、代わってチノパンが人気アイテムとして伸びてきたので、おそらくその兼ね合いもあったのだろう。
それなりの歴史を持ちつつ、メジャーすぎないブランドというところが受けたのかもしれない。

2010年ごろにはビッグジョンの経営を支えるようなブランドにまで成長した。
そのころのディッキーズの売上高が10数億円だったと耳にしている。

先日、山陽新聞でビッグジョンの直近の売上高(13年1月期)が25億円だと発表されていたが、ビッグジョンの幹部によるとあれは新聞側の独自の調査によるものだという。
しかし、当たらずといえども遠からずだから、その数字を引用すると、ディッキーズの売上高がそのまま残っていれば売上高は40億円内外あったことになる。

一気に10数億円の売上高が2011年末を最後に無くなったのはとてつもなく痛かったことだろう。

これが無くなったことで旧経営陣も決断を下したのだろうと思う。

しかし、「好調だ。好調だ」と耳にしていた「ディッキーズ」でさえ、売上高は10数億円にすぎなかったというのが、単品アイテムの卸売りビジネスの限界点を感じさせる。
「ディッキーズ」はファッション雑誌での露出も格段に多かったし、有力セレクトショップとのコラボレーションも多かった。それでもその程度の売上高だったということになる。

高度経済成長期やバブル期を経た卸売り主体のジーンズナショナルブランド各社が、最盛期には売上高100億円を軽々と突破していたことと比べると雲泥の差がある。

単品アイテムの卸売り型アパレルで売上高100億円を越えるようなことは今後ないだろう。
直営店展開を組み合わせるか、20億円内外の規模のブランドを複数所有するかでないと実現はできない。

以上のような状況を受け止め、ジーンズ業界は「古き良き時代の夢」から覚めなくてはならないのではないだろうか。

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