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南充浩 オフィシャルブログ

記者会見にて

2013年4月26日 未分類 0

 先日、こんなブログを拝読し「業界は違うがどこにも似たようなことがあるのだな~」と感じた。

いらざることを聞くメディア|野球報道
http://baseballstats2011.jp/archives/27016660.html

肝心なことを聞かずに、どうでもいいことをわざわざ聞くのが、今風のメディアだ。

当サイトの読者からも指摘があったが、ブランコが負け試合にしか本塁打を打っていないことを試合後にわざわざ聞いた記者がいる。4月18日のことだ。複数のメディアに載ったということは、一人ではなかったのかもしれない。
ブランコは、
「仕方がないよ。また明日、違う日になる」
と答えていたが、内心失礼な奴だと思ったことだろう。

誰が考えても、これは偶然でしかない。たまたまブランコが本塁打を打った試合が、負け試合になっただけだ。それをあたかもブランコに責任があるかのように問い詰めたのだ。

ありもしない妄説を持ち出して、犯人捜しをするのは、日本人の悪癖だ。
昔の田舎町では、「○○がこの町に来てから、火事が多くなった」みたいなまことしやかな噂がよく流れたものだ。

とのことである。
その続きがまた笑える事例である。

大昔、ヤクルトにやってきたチャーリー・マニエルに対して「エマニエル夫人をどう思うか?」ときいた記者がいた。私は高校生ながら恥ずかしく思った。

これには苦笑するほかない。

さて、これに似た類は普段お世話になっている繊維業界やアパレル業界の記者会見でもしばしば目にする。

本日、めでたくグランドオープンするグランフロント大阪なのだが、2月に記者会見があった。
注目の大型商業施設ということで多数のマスコミ関係者が出席しており、なかなかの壮観である。

一通りの概要説明が終わり、質疑応答が始まったのだが、終わり近くに飛び出した質問には耳を疑った。
五大紙の一つである大手新聞の経済部の記者さんだが
「今回の出店テナントのラインナップがアウトレットモールとほぼ同じなのですが、アウトレットモールとの競合をどうお考えでしょうか?」と質問をした。

アパレル業界・流通業界を少しかじった方ならおわかりだと思うが、
もともと正規店の在庫や型落ち商品を売るためにアウトレットモールというものができている。
だから、アウトレットモールに入店しているブランドは正規品の商業施設に入店していてもなんの不思議もない。
むしろ、本来の意味で考えるなら正規店があってこそのアウトレット店ということになる。

最近はアウトレットが増えすぎ、テナント側も正規品の在庫では対応できなくなり、アウトレット用に商品を製造するという不思議な現象がスタンダード化しつつあるが、この記者さんの質問とは別の話である。

この珍問に対して、表面上は一切動揺することなく返答したグランフロント側は立派だと感服した。

もう一つ印象に残っていることがある。

ユニクロ心斎橋店オープン前の内覧会のときだ。
旧心斎橋店(現ジーユー心斎橋店)オープンの際だから、9年ほど前だろうか。
これも五大紙の記者さんだが、「このビルの家主はだれですか?」と質問をした。

通常は店舗のことやブランドの今後の目標や出店計画のことを質問する。

その中には「リリースにしっかり明記されている」項目も多いのだが、そのあたりはご愛嬌と思うほかない。

良心的に解釈すればこの記者さんは何か他のまとめ記事で心斎橋筋商店街の各物件のオーナーを調べていたのかもしれない。しかし、それは会見の場で聞かずとも後日ユニクロ広報に質問すれば良いのではないかと思う。
筆者のようなしがない無名の業界紙記者ではなく、天下の大新聞の記者なら広報もそれなりの情報は提供してくれるはずである。

筆者も駆け出しのころには先輩記者から「とりあえず相手に覚えてもらうためには、何でも良いから質問しろ」という教育を受けたが、個人的にはあまりにもピントのズレた質問をするのは、たしかに相手に覚えてもらえるかもしれないが逆効果ではないのかと思う。

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