差別化よりも独自化を
2013年4月19日 未分類 0
バブル崩壊後から2000年代前半くらいまで「差別化云々」という言葉をイヤになるほど耳にした。
どの企業でも「差別化に取り組み云々」「差別化戦略云々」とおっしゃっていたが、成功した例はほとんどない。
繊維・アパレル業界はいまだに「差別化商品が云々」という言葉が登場する。
肌着業界なんて今も「差別化商材云々」という言葉の登場回数は比較的多い。
保温肌着というドル箱のような商品群が各社にある。
これまで、薄く軽くを各社がひたすらに追求してきた。
そこに消費者ニーズがあると考えられていたし、マスコミの報道を信じた結果である。
さて、「差別化」と言う言葉は、競合相手があって初めて成り立つ。
相手の商品とどのように差異を際立たせるかというのが「差別化」の取り組みになる。
保温肌着だとA社より「軽く薄く」を追求しても軽量化には限界がある。重量ゼロの商品は製造できないからだ。
じゃあ、ということで次なる差別化を考える。
そう、だいたいが機能の積み上げである。
抗菌消臭加工を付加しようとか、保湿機能をプラスしようとか、吸水速乾も必要だとか、場合によるとそれらを全部付けてしまえ!となる。
かつてのワイシャツがそうだった。
形態安定加工がブームとなり、各社が差別化を求めた結果、毎シーズン新機能が一つずつプラスされることになり、末期には7つの機能をもったワイシャツが登場した。しかも値段は据え置きだ。
「形態安定加工+抗菌消臭+坊汚+吸水速乾+マイナスイオン+UVカット+ビタミンC加工」
なんていうウルトラスーパーミラクルな機能を持ったワイシャツまで開発された。
みなさんに質問したいがそんなワイシャツ欲しいだろうか?
結局、繊維・アパレル業界の「差別化」の行きつく先は往々にして7つの機能を持ったワイシャツの類である。
差別化なんて目指すな!
http://ameblo.jp/ex-ma11091520sukotto/entry-11502302193.html
これはどういうことかというと、向こうも差別化しようとしているから、差別化できても、また差別化されてしまう。
そこでまたさらに差別化しても、また差別化される。
差別化、差別化、差別化・・・。
これの繰り返しになってしまう。
「差別化スパイラル」にはまりこんでしまうってことなんです。
これはもう地獄です。
安売り競争がいい例です。
真似されない「価値」を創り出さなければならないんです。
差別化で「価値」を出すのは、すごく難しいということです。
競合他社のことを知らなくてもいいと言っているのではありません。
知った上で、どれだけちがった価値を出せるか?
それを考えて、しっかりとシナリオを立案しなければならないということなんです。
業績がいい企業や、売れているお店、売れている商品は「差別化」なんてコトバ使わない。
「独自化」
そうなんです。
あなたや、あなたの商品、あなたの会社の「価値」を高めるのは、差別化ではなく、独自化しなければならないということなのです。
以上の引用を参考にしていただきたい。
今冬の保温肌着は、厚手素材・天然素材・起毛加工あたりがブームになりそうだ。
消費者の反応は今のところわからないが、メーカー各社は共通して企画を打ち出している。
はっきり言って似たような商品が店頭に並ぶ。
じゃあ来季は「差別化」を目指して各社は抗菌消臭加工でもプラスオンするのだろうか?
アズという肌着メーカーがある。
正直に言うと、老舗でそれなりの大手でありながら知名度はそれほど高くないと感じる。
ここは、昔懐かしいお爺ちゃんの定番品であるラクダ色のシャツとパッチをいまだにコンスタントに製造販売している。あの手の商品を製造している先が減ったこともあって売上高は減るどころか増える傾向にあるという。
また横編みで昔懐かしいラクダ色の腹巻きも製造している。
通常の肌着や現在の店頭に並ぶカラフルな腹巻きの多くは丸編みという手法で編まれている。
横編みで腹巻きを編んでいるのはこの会社くらいになってしまった。
ちなみにアズは横編み技術を応用して、横編みのカラフルな色柄腹巻きも製造している。
これら商品の独自性はかなり注目に値する。
おそらくアズは狙って独自化したわけではなく、他社が止めていった結果として、自然に独自化されたものだと考えられる。
それでも結果往来だ。
堂々と独自性をアピールすれば良いと思う。
その価値を大いに伝えるべきではないか。例え結果的に自然発生した独自化であってもだ。
自社の独自性に気付いていない企業はまだまだある。とくに製造業は探そうともしていないように見える。
差別化商材を考える時間があるなら、自社の独自性を探した方が賢明ではないだろうか。