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無制限に選択肢を増やすことは売上増にはつながらない?

 阪神百貨店の自主編集レディースジーンズ売り場「ジーンズハウス」は2011年3月に40坪も売り場面積を削減された。それまで100坪だったのが、60坪になった。

それでもボトムスの売上高は落ちずに伸び続け、今年上半期は前年比10%増で推移しているという。

そこでこんな記事を書いた。

大阪・梅田の阪神百貨店、強さはデパ地下だけじゃない
流行は下火でも売れる「ジーンズハウス」の秘密

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120823/235939/

30代半ば以上の女性のジーンズ着用比率は高い。
これについての統計データは業界団体にも存在していないのだが、とくにお子様をお持ちの主婦の方は驚くほどジーンズを穿いておられる。

「この層は価格にシビアだからユニクロとか低価格ブランドが主体じゃないの?」という意見もいただいたのだが、これも統計データが無く、経験則だけなのだがこの年代の方は意外にブランド志向も強い。
当然、低価格品も持っておられるが、リーバイスやサムシング、ブラッパーズなどのナショナルブランドもそれなりに所有されている。
もしかしたら、ナショナルブランドの型落ち品で安くなった物を購入されているのかもしれない。

阪神百貨店の主要顧客層が30代半ば以上の女性だったということは、ジーンズがダウントレンドと言われる中で、不幸中の幸いだったのではないだろうか。

もうひとつ、「テーマ別」コーナーの設置も大きい。
例えば「ホワイトジーンズ」とか「夏素材商品」というように、各ブランドからその時々にテーマに応じた商品を集めたコーナーを作っている。
これが消費者にとって分かりやすかったのではないかと考えられる。

もしかしたら、ジーンズの各ナショナルブランドが苦戦している理由の一つに、選択肢が多すぎてわかりにくいというものがあるのではないだろうか。

例えば「リーバイス」を例に考えてみたいのだが、永遠の定番「501」はよく知られているが、そのほかにも502、503、504、505、515、517、511など多数の品番がある。
これらはシルエットの違いで、細いか、太いか、ストレートかブーツカットかというふうに分けられている。

当然、売り場のPOPにも「501がレギュラーストレート」「505は細身のストレート」「517はブーツカット」などと表示されているが、これは一般消費者にとって意外に覚えにくいのかもしれない。

現在、ナショナルブランド各社はスキニー、タイトストレート、レギュラーストレート、少し太めのストレート、太めのストレート、ブーツカットと6種類くらいのシルエットのジーンズを発売している。
さらに股上の浅い深いなども加えると、微細な形の変化のバリエーションは10を越えるのではないだろうか。

果たしてそんなにもシルエットは必要なのだろうか?
3~4種類くらいで十分ではないのか?

これまでのナショナルブランド各社の製品を見ていると、無制限に選択肢を増やしているような気がしてならない。
「選択肢を増やせば利便性がアップし、消費者利益にさらにつながる」と考えているのだと推測するが、本当にそうだろうか?
消費者はジーンズの微細なシルエットの変化をそこまで理解していない。正確にいうなら理解していない消費者が大多数を占めている。
そんな「漠然とした消費者のニーズ」に合わせて10種類も異なるシルエットを作っていても、結局売れるシルエットは2つ、3つに集中するのだから、酷く効率が悪い。

販促コンサルタントの藤村正宏さんは、「消費者は自分のニーズを気づいていない」というブログを書いておられるが、その通りで、ある程度の選択肢を提示することは必要だが、無制限とも思えるような提案は余計に消費者を混乱させ、選ぶのに疲れさせるだけではないだろうか。

100円ショップでの糸販売を始めたニッケ

 毛紡績最大手のニッケが100円ショップ向け商品の開発・卸に参入したという記事が8月26日の産経新聞に掲載された。

「もっと薄利多売だと…」毛紡績最大手が100円ショップ事業に参入したワケ
http://www.sankeibiz.jp/business/news/120826/bsc1208261931002-n1.htm

見出しだけを読むと、一瞬「ニッケが100円ショップを展開か?」と勘違いしそうになるが、ニッケが100円ショップ向けの開発・卸企業を買収したという話だった。

ニッケというとメンズスーツ関連の生地が思い浮かぶ。
ダーバンの夏用メンズスーツ「モンスーン」の生地はたしかニッケが開発していたと記憶している。

さて、記事を引用すると

 大阪府枚方市の京阪電気鉄道枚方市駅からタクシーで10分あまり。企業の研究所や工場が集中する「枚方東部企業団地」の一角にこぢんまりした倉庫と社屋が現れる。昨年3月、ニッケグループの傘下に入った友栄(ゆうえい)の本社だ。

(中略)

 友栄の平成23年9月期の売上高は7億6千万円、24年9月期は8億円弱を見込む。利益は非公開だが、石井社長は「単月の赤字はなく、卸売業として安定して利益を生み出している」と打ち明ける。

 生産コストの安い中国やベトナムなど東南アジアのメーカーから製品を輸入するほか、プライベートブランド(PB=自主企画)商品を開発し、100円ショップチェーンに卸している。なかでも使い捨ての紙コップやストロー、アルミ鍋、割りばしなどアウトドア用品、パーティー用品の品ぞろえが豊富という。

とのことである。

この友栄という企業だが、数年前に一度訪問したことがある。
当時は違う仕事だったので取材ではなく、営業活動の一貫だった。

今回の買収は、友栄に後継者がいなかったことから、証券会社が仲介したと記事中にある。

実は、野田課長は友栄の創業家出身だが、経営には興味がなく、オーナーだった父に対し家業の売却をすすめた。ニッケグループに買収されてからも、好きなクリエーターとして残った異色の経歴を持つ。

とのことだ。

数年前にお相手していただいたのは、今回引退された創業社長だった。
真面目な商売人という印象で、かなり丁寧に対応していただいたことが印象に残っているが、社長はおそらく覚えておられないだろう。

さて、今回の買収によって、ニッケ側には

毛紡績最大手のニッケの本業とはまったく関係なさそうだが、「毛糸を100円ショップで販売できるかも」(石井社長)との思惑があったようだ。ニッケの毛糸は1玉800~千円程度の高級品が主流だが、子会社で1玉100円の新製品を開発し、今年7月から友栄を通じ、100円ショップへの納入を始めたところ、早くも好評を博しているという。「毛糸の新たな販路も開拓でき、シナジーが出ている」と石井社長は胸を張る。

との思惑がある。

昨日のブログの補足ではないが、早くも大手メーカーは雑貨店への「糸売り」に着手し始めているということになる。
多くの中小の糸メーカーは、「生地メーカーへの卸売りしか販路がない」と思い込んでいる。
実際に、最近接触の多い糸メーカー各社は「どのように卸先を広げるか?」「今の卸先に取り引き量をどれだけ増やせるか?」に重点を置いている。
これはこれで正しい営業戦略だと思う。

しかし、生地メーカーの廃業が相次ぎ、アパレル各社も製造量を絞り込んでいる現状では、生地メーカーを新規開拓することも、現在の卸売り先に取り引き量を増やしてもらうこともかなり困難である。

それならば、今まで遠い存在だと思われがちだった消費者に「糸そのもの」を販売してみてはどうか?
糸メーカーが直営ショップを運営しても良いだろうし、今回のニッケのように100円ショップや雑貨ショップへの「糸売り」を模索してみても良い。

今回のニッケの記事は、糸メーカー各社に大きな示唆を与えているのではないだろうか。

糸を雑貨店で販売してみては?

 最近、糸メーカーと知り合う機会が増えた。
彼らは生地メーカーに糸を販売することを主体としている。
生地メーカーはその糸で生地を製造し、アパレルや商社に販売する。

糸メーカーの方々に話を伺うと「我々は生地メーカーに販売することしかできない」という答えが返ってくる。
たしかにそれが一番王道だとは思うが、業績が伸び悩んでいるなら、まったく違う販路を開拓してみてはどうだろうか?

これまでからも手芸用品店などに販売されたことはあったかもしれないが、それをさらに一歩進めて雑貨店や100円ショップなどへの販売を模索してみてはどうか。

現在、無期限休業中の雑貨ショップ「タイガー」の内覧会にお邪魔したとき、けっこう広めのスペースで糸やリボンが売られているのを見た。
「タイガー」らしくカラーバリエーションが豊富で、ビビッドなカラーが多い。くすんだような色はあまりなかった。

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(タイガーで販売されている糸)

日本の雑貨ショップでも糸をこのような形で販売することは可能なのではないかと思う。

生地に関しては「メイドインジャパンの物が欲しい」という手芸ファンが数多く存在する。
国内でもいまだに糸を製造しているメーカーがある。(原料の綿花などは輸入だが)
これを「メイドインジャパンの糸ですよ」とそういう消費者層に販売することは不可能だろうか。

先日の「タイガー」内覧会でそんなことをふと思った。

強者に追随する弱者

 先日、某素材メーカーの役員から「百貨店アパレルから『ユニクロで売れているあの商品と同じ素材を売ってほしい』と言われることが、ここ数年で日常的になってきた」との声を聞いた。

これには正直驚きを隠せないのだが、ユニクロで売れている各種アイテムは、安ければ1000円、高くても5900円ほどである。(この範囲に収まりきらない商品も一部ある)
百貨店に納入するアパレルの店頭販売価格は、Tシャツ類を除くと安くて5900円、高ければ2万円以上になる。

ジーンズを例に採ると、ユニクロは3990円である。百貨店アパレルだと安くても1万円は超える。
価格にこれくらいの開きがある。

さて、ユニクロで某アイテムが50万枚売れたと仮定する。
百貨店アパレルが、それと同じ素材を使って商品を製造したとして、50万枚はとてもじゃないが売れない。
なぜなら店頭販売価格が違いすぎる。
ユニクロのこの商品の価格が2990円だとする。
おそらく百貨店アパレルは少なくとも9800円くらいになるだろう。

いくら同じ素材を使っているからと言って、近所のユニクロで2990円で購入できるものをわざわざ百貨店まで行って9800円で購入する消費者がどれほど存在するだろうか。

件の素材メーカー役員によると、百貨店アパレルは「ユニクロで50万枚売れたんだから、同じ素材を使えばうちだってそれ並みに売れるのではないか」と主張するらしい。

しかし、店頭販売価格が3倍近く違ううえに、顧客層もまるで異なる。
百貨店愛好者や高額所得者の中にもユニクロ愛好者はそれなりにいるが、ユニクロを愛好する消費者層は多岐に渡っている。低所得者層や中所得者層も数多く取り込んでいる。
高額所得者層の一部を取り込んでいるに過ぎない百貨店アパレルとは、顧客層も違えば、顧客数も大きく異なる。

これだけ異なるのに、何故百貨店アパレルが「ユニクロのあの商品と同じ素材を使えば、うちもユニクロ並みに売れる」との考えに至るのか理解に苦しむ。

何度もランチェスターの法則を引用している。
弱者の法則は、ニッチ戦略であり、1点突破主義である。
強者の法則は、追随主義であり、圧倒的な物量作戦である。

現在のアパレル業界を見ると、強者はユニクロであり、百貨店アパレルは弱者である。
強者ユニクロが、弱者の百貨店アパレルに対して追随主義で物量作戦を展開するなら理解できるが、弱者である百貨店アパレルが、強者ユニクロに追随するのは明らかに愚策である。
圧倒的物量で攻めるならまだしも、物量はユニクロに遠く及ばない。これではユニクロに勝てるはずが無い。

傍から見ていれば容易にわかりそうなものだが、いざ、自分がその中に入ってしまうと物事は見えないらしい。

自戒も込めて、改めて気をつけなくてはならないことを痛感した。

エドウインの損失隠しの衝撃

 8月24日にエドウインの投資損失隠しが新聞に掲載された。

ジーンズのエドウイン、200億円投資損失隠し
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120823-OYT1T01583.htm

大手ジーンズメーカー「エドウイン」グループが、証券投資の失敗を隠すために不正経理を繰り返していた疑いがあることが、関係者などへの取材でわかった。投資による損失額は200億円以上に上る可能性があるが、社内の一部の関係者しか知らなかったといい、エドウイン社は内部調査を始めた。

同社関係者らによると、同社は証券投資を行っていたが、2008年のリーマン・ショックを契機に200億円以上の運用損が発生した。融資を受けていた銀行などには、こうした損失を隠した決算書類が提出されていた。

 今月上旬、グループの経理担当者が自殺し、不正経理の疑いが発覚。会社あての遺書はなかったが、この経理担当者が持っていたパソコンの中に、投資の失敗を示す内容のメールが残されていた。

 同社は、問題の発覚後、内部調査を進めるとともに、弁護士事務所にも調査を依頼。読売新聞の取材に対し、同社関係者は「粉飾の可能性もあるとみて、内容を調査中」としている。

とのことである。

エドウインはなんといっても国内最大のジーンズブランドであるから、ジーンズ業界関係者には衝撃が走った。
素材メーカーや売り先の何人かに意見を伺ってみたが、「終日この話題で持ち切りだった」というものの、各人とも「今後の動きを静観する」としか言いようがない状況のようだ。

エドウインは株式非公開企業なので、取り引き先や納入業者でもトップクラスの人々しか正確な財務内容を知らない。

エドウイン本体と、「リー」「ラングラー」を展開する子会社のリージャパンを合わせて、売上高は250億円内外であると推測されている。このため、ほぼ年商に匹敵する損失が発覚した衝撃は大きい。

ただ、「オーナー家には今回の損失を大きく上回る資産があると聞いており、それを売却すれば補てんは可能ではないか」と推測する関係者もいる。

今回の件については、一般紙や経済誌のその後の報道を待つほかなさそうである。

知られざる実力派企業

 先日、久しぶりに高野口産地の岡田織物を訪問した。
何度も書いているように高野口産地は、和歌山県の高野山のふもとに位置し、カットパイルと呼ばれる素材を活かしてフェイクファーやモケット、金華山織りなどの素材を製造する産地である。

この岡田織物はほとんどフェイクファーに特化して製造販売する企業だ。

繊維業界の中でも高野口産地はそれほど知られていない場合がある。
もちろん岡田織物も知られていない場合もある。
高野口産地で製造するフェイクファーの特徴も知られていない。

安いアジア製に比べると、毛足が柔らかく滑らかで、少々引っ張っても毛が抜けないという特徴がある。

岡田織物はだいたい国内販売が7割、海外販売が3割という売り上げ構成となっている。
海外と聞くと、経済成長著しい中国か?と連想する方も多いが、ここはヨーロッパのラグジュアリーブランドへ販売している。
今秋物として、某イタリアブランドにはストール用に800反を販売したというし、某フランスブランドにはスカート用として2000メートルを販売した。
通常生地の反物は50メートル巻きが多いので、1反=50メートルと仮定すると、フランスブランド向けのスカート用生地はだいたい400反くらいとなる。

日本の有名アパレルブランドが、1型あたり3反~5反程度、多くても10反程度しか買わないことを考えると、イタリアブランドもフランスブランドも莫大な量を岡田織物から購入していることになる。

さて、残念なことに岡田織物のこの実績も世間的にはあまり知られていない。
おそらく繊維業界でも大部分の方はご存知ないかもしれない。

今回は岡田織物を一例に出したが、同じように知られていないが、実績のある企業は他にもたくさんあるにちがいない。
そういえば、デニム生地製造のクロキもヨーロッパのラグジュアリーブランドに生地を定期的に販売している。
これもクロキ側が情報発信を国内にしないので、あまり知られていない事例かもしれない。

そういう意味では国内製造業には、この他にもまだまだ隠れた実力企業が存在するのではないか。

このような企業と、デザイン力・発信力のある企業、販売営業力のある企業が上手く結び付いていないのが、現在の日本の繊維産業が苦戦している原因の一つではないかと感じる。

どこか一部が詰まっており、全体の流れが悪くなっているパイプラインを見ているような歯がゆさがある。

これも言うは易し、行うは難しなのだが。

底打ち感が出てきたジーンズメイト

 恒例のライトオンとジーンズメイトの8月売上速報が発表された。

ライトオンは

既存店売上高が前年比3・4%減
既存店客数が同8・7%減
既存店客単価が同5・5%増

だった。

ジーンズメイトは

既存店売上高が前年比6・0%増
既存店客数が同3・9%増
既存店客単価が同2・0%増

だった。

8月は全般的に盛り上がらない月次であるため、両社の実績もその雰囲気を反映していると感じられる。
ジーンズメイトは売上高、客数、客単価が3つとも前年実績を上回っており、ようやく一息ついたように見える。
しかし、昨年8月の実績を見ると、好調に転じたというよりは「底打ち感」が出てきたという方が正しいのではないか。

昨年8月の
既存店売上高は前年比17・4%減
既存店客数は同31・2%減
既存店客単価は同20・1%増

である。

一方、比較的好調を続けてきたライトオンだが、8月はやや苦戦したという印象を受けるかもしれない。
しかし、同じく昨年8月の実績を見る。

既存店売上高は前年比10・8%増
既存店客数は同13・2%増
既存店客単価は同2・2%減

である。

昨年が伸びすぎたので、今年は微減したというところが実状ではないだろうか。

今半期(2012年3~8月)の実績を見ると、これまで苦戦を続けてきたジーンズメイトにようやく底打ち感が出てきたと感じられる。まだ回復には至っていないと思われるが、今後どのように反転攻勢をかけるのか(かけるつもりがあるのか)に注目したい。

 

一体店員にどんな指導をしているの?

 先日、驚いたことがあった。
某店でセール品を物色していた時のことだ。
8月に底値にまで下がった夏物を購入して、10月末まで夏物で過ごす。
関西は10月半ばまでは25度以上の夏日が続く。昨年は10月末まで夏日が続いていた。
だから筆者は10月下旬まで夏服ですごしている。

我ながら衣料品業界関係者とは思えないダサさである。

「まだ50%オフか~、もう少し値下がりするのを待とう」

とぼんやり考えて値札を見比べていたら、「走るな!」という男性の威圧するような声が聞こえた。
声のする方向に目をやると、20代後半~30代前半くらいの男性が子供を睨みつけている。
どうやら小学校低学年の男の子二人が走っていたらしい。その男性の着用していたシャツは無印良品のチェックシャツなので、店員に見えたのだが、まさか店員が怒鳴るはずもない。

だから最初は、たまたま店の服を着たお父さんか親戚のオジサンかと思った。

しかし、名札を首からぶら下げていたから店員である。

これにはさすがに唖然とした。

いくら子供が目に余る様子だったと言っても怒鳴りつけることはおかしい。
個人的には、子供らはそれほど気になる騒ぎっぷりでもなかったと感じた。
この店員がたまたまイラついていただけかもしれないが、これは接客業としては失格である。
もう一度この店員に基礎から研修を受け直させるべきだろう。

日本では販売員は下に見られがちな職種である。
だから、応募する側も「販売員ならだれでもなれる」という軽い気持ちもある。
募集する店側も「まあ、品出しとレジ打ち、おたたみくらいを覚えてくれたらええよ」という軽い気持ちがあるのも事実だ。

そのため、こんな店員にたまにお目にかかる。

追記:今回のブログで多くの方々に誤解を与えたことはお詫び申し上げます。
    店名を削除させていただきます。申し訳ございませんでした。

    騒ぐ子供を注意することは間違っておらず、それをすることは当然なのですが、
    販売接客業は強い口調で注意、説得することはあっても「怒鳴りつける」という手段を採ることは
    原則ありません。(犯罪行為やそれに類した非常事態などが起きた場合は別です)
    どの店でもそういう指導はしていないはずなので疑問を感じたと書きたかったのですが、
    こちらの筆力と周囲への配慮が不足しておりました。
    
    かさねがさねお詫び申し上げます。

マスコミは煽りすぎじゃないか?

 自分がマスコミの片隅に身を置きながら、どうにも国内の報道に違和感を感じる。
とくに衣料品・ファッション関係の報道は針小棒大に「持ち上げて」それで終わりだ。
一部の媒体や記者を除くと追跡報道も突っ込んだ取材もあまりない。

先日から、デンマークの雑貨ショップ「タイガー」の顛末をしつこく書いているのは、それに対する抗議の意味もある。
スゴイスゴイと持ち上げておいて、何度も臨時休業を繰り返す原因については深く報道しない。
挙句の果てには、国内最大手の100円均一ショップ「ダイソー」まで脅かすのではないかという論調まで飛び出したのには驚くほかなかった。

そういうわけで、先日(8月17日)、ユニクロがアンダーカバーとのコラボ商品「UU」最終コレクションの先行発売を開始したのだが、この論調もにわかには信じられずにいる。
いわく、

銀座店には開店前から300人が行列をなし、売り切れアイテムが続出

と伝えられている。銀座店の様子は事実だろう。
しかし、これを持って「UU」は今秋冬物が爆発的に売れる。とは思えない。
現に、そこらのユニクロにだって今春夏物の「UU」は格安に値引きされて何型も残っているじゃないか。
無地の半袖Tシャツが790円に値下げされてるじゃないか。
ボーダー柄の半袖ポロシャツは残っているじゃないか。

実は昨年秋の「+J」の先行販売の報道を目にしたときには、その勢いが全店で続くのではないかと信じていた。
ところが、一部の商品は今年1月、2月までで売り切ることができたが、その他の商品はけっこう残っていた。
さらに言うなら、つい最近まで、昨年春夏物の「+J」が値下げされて販売されていた。

ちなみに昨年9月8日に、「+J」の先行販売会が行われたのだが、そのとき、

ユニクロ銀座店に長蛇の列

と報道されている。

今回の「UU」先行販売会の論調とそっくりではないか。

思い起こせば「+J」のファーストシーズンはかなり好評だった。
多くのアイテムが早い時期に完売した。
しかし、セカンドシーズン以降は店頭在庫を見ている印象では、通常のユニクロ商品並みの売れ行きだったと感じる。シーズン終盤になるまでほとんどのアイテムが品切れを起こしていなかった。

そして個人的には、ラストシーズンの「UU」は昨年秋冬の「+J」と同等に在庫が残ると見ている。

こういう状況を見ていると、「好調」という報道がどこまで真実を伝えているのか甚だ疑問を感じる。
昨年夏に煽りまくったステテコはどうだ?今夏は各量販店が投げ売りしているじゃないか。590円とか690円にまで値下がりしてるじゃないか。それでもまだまだ店頭在庫は残っている。

個人的に、ファッション関連の報道、とくに特定のアイテムや特定のブランドが「売れている」とか「絶好調」という報道は参考程度に聞き流すようにしている。
煽るだけがファッション報道ではないと思うのだが。
それに、マスコミが煽ってブームを起こすなんていう手法は90年代で終わっている。
意識的にか無意識的にか、日本のファッション報道はまだ煽り体質が色濃く残っている。それがどうにも鼻についてならない。

「タイガー」の無期限休業で、年内あと2店舗出店するのは難しくなったのでは?

 先週、金曜日に雑貨ショップ「タイガー」が二度目の臨時休業したことを書いた。
8月16日~18日の3日間休むということだったが、その後、本当に休業することとなってしまったようだ。
驚くことに再オープンは未定だという。いやはや。(; ̄Д ̄)

http://www.fashionsnap.com/news/2012-08-18/tiger-osaka-close/

デンマーク発の雑貨チェーン「Tiger(タイガー)」の日本第1号店「タイガーコペンハーゲン アメリカ村店」が、臨時休業を発表した。7月21日のオープン以来、想定以上の来店客数による品薄状態のための臨時休業は2度目。再オープンは未定となっている。
(中略)

当初は3日間の休業としていたが、17日に「しばらくの期間臨時休業」と発表した。

とのことである。

さて、金曜日に書いたことだが、日本での運営オペレーションを根本から見直す必要がある。
まず商品投入量を増やすこと、そして店内の一方通行を止めることである。
これができない限りは何度でも入場制限と臨時休業を繰り返すことになる。

今回の長期臨時休業は、「タイガー」というブランドへの渇望感を消費者に与えることになり、
再オープンの際は、熱狂的に迎えられることになる可能性が高いのではないか。
しかし、気になるのは「再オープンは未定」という部分である。
例えば、「9月中旬」とか「今秋」とか「12月」というようにある程度具体的な日程を提示した方がよかったのではないだろうか。それすら目途が立っていないということだろうか。

この長期休業という手段は今回限りにすべきである。こんなことが何度も続くようでは消費者から見放されてしまう。

さて、お盆前に日経ビジネスデジタルに寄稿した際にも書いたように、こんな調子では「タイガー」が「ダイソー」を脅かすことはありえないだろう。
そもそも「タイガー」が「ダイソー」を脅かすというのは贔屓の引き倒しも良いところで、まったく比較対象にならない。

「ダイソー」は生活に密着したアイデア日用雑貨を安く販売する店だ。
「タイガー」はファッション志向の雑貨を販売する店で、用途不明の商品も数多く置いている。
「タイガー」が国内30~50店舗くらいになれば多少の影響はあるかもしれないが、消費者は用途に応じて「タイガー」と「ダイソー」を使い分けるだろう。
現時点だって、「ダイソー」にファッション性のある雑貨類を探しに行く消費者の方が稀である。

「タイガー」がある程度の店舗数になって影響を受けるのは、
パルの「スリーコインズ」やファイブフォックスの「モノコムサ」、三日月百子の「ミカヅキモモコ」あたりである。
「タイガー」の店舗数が増えれば、上記あたりは壊滅的打撃をうけるのではないだろうか。

しかし、今回の無期限休業によって「タイガー」の日本展開は遅れが生じたのではないかと考えている。
順調にいけば、年内にあと2店舗大阪に出店するはずだったが、今からまたアメリカ村店の再構築に取りかからねばならない。
筆者は年内にあと2店舗出店することは難しいのではないかと見ている。

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