月別: 11月 2011 (1ページ / 2ページ)

大学1年生を採用するなら高卒採用でも構わないのでは?

 大卒予定者の就職活動には疑問を感じていた。
かくいう自分も20年前には一度「シューカツ(当時そんな言葉はなかった)」しているのだが、茶番だという思いしか残らなかった。

逆に企業サイドの採用方法にも疑問ばかりである。
なぜ、大卒新卒を年に1度だけ採用するのか。もうバブルがはじけて20年になるというのに。

そんな中、ユニクロが新しい採用を打ち出した。
もうご存知の方も多いと思うが、大学1年生から採用するという。

個人的にはそのメリットがほとんど分からないが、
これまでの大卒一括採用に風穴をあけるという意味では、大いに評価できるのではないか。

他方、疑問も数多く残る。
まず、大学1年生で良いなら、なぜ高卒採用にしないかという点である。
ユニクロ信者は、「4年間ユニクロで教育されることに意味がある」というが、それなら高卒で採用して4年間教育しても同じであろう。

先日、ブロゴスにその疑問点を上手くまとめられたブログが掲載されたのでご紹介したい。

http://blogos.com/article/25405/

以下に引用する。

それはさておき、大学1年すなわち高校を卒業してすぐの段階で採用を決めることも想定されているわけです。だったら高卒を雇っても同じではないかと思うところですが、そうならないところに学歴差別という慣行にしがみつくユニクロの保守性が表れていると言えます。何でも「卒業と同時に店長にするといったコースが想定される」とのことで、要するに大学で勉強する必要はない、ユニクロで丁稚奉公していればいい、だけど大卒でなければ駄目だと、そうユニクロは主張しているのです。いかにも代わり映えのしない、典型的な日本企業と言ったところですね。柳井会長の頭の固さ、古さがうかがわれます。

 そもそも「一括採用だと、同じような人ばかりになる」というのがおかしい、同じような人ばかりが集まるのは、同じような人しか採用してこなかった会社側の問題でしょう。同じような人ばかりでは嫌なら、手始めにコミュニケーション能力の低い人でも採用してみればいいのです。採用基準が偏っている、同じような人しか選ばれないような基準のまま、単に採用時期を前倒しにしたところで会社側が期待しているような青い鳥が飛んでくるはずがありません。結局のところ満たされるであろうものは、将来の就職を餌にして大卒(候補)者を自店舗で扱き使ってやろうという雇用側の思惑だけです。

 一般に、成熟した社会ほど将来が決まる時期は遅いと言えます。逆に未熟な社会ほど児童労働が横行したり、産まれたときから属する階級が決まっていたりするものです。社会が成長するにつれ高等教育が実質的に義務教育化して就労開始年齢も遅くなる、自分が選べる進路の数も増えていくのが当然であって、大半は未成年であろう大学1年の内から将来の仕事を決めなければならないとしたら、それは貧しい社会というものでしょう。むしろ自由な大学時代を通して、玉石混淆の体験を積み重ねることでこそ多様性のある人材が産まれるはず、その代わりに学生を特定企業でのアルバイトに縛り付けるとしたら社畜の量産にしかつながらないのは言うまでもないことです。まぁ、それは採用側にとって狙い通りのなのかも知れません。並の社畜ではなく、筋金入りの社畜を選別したいのでしょうから。

とのことである。
社畜云々は過激な表現だが、この筆者の意見にはおおむね賛同である。

大卒者に対して「一括採用だと、同じような人ばかりになる」というのがおかしい点は特に同意である。
それは企業サイドの問題であり、今まで「同じような人ばかり採用してきた」ということに過ぎない。
例えば、大手有名私立大学では、同学年に何千人、何万人と在籍する。
この何千人、何万人が全員同じような人であるはずがない。その何千人中の何人が同じ企業の採用試験を受けるのかわからないが、企業サイドが同じような人ばかりを選んでいるのである。

そしてこの筆者が慧眼だと思うのは、
ユニクロが高卒採用でなく、大学1年生採用にしたのは、一見するとリベラルだがその根底には通常の企業以上に学歴信仰があるとした点である。
高卒者と大学1年生の能力、学力はほぼ同じである。同じ能力なのに大学1年生を採用するということは、●●高校卒という肩書よりも、4年後○○大学卒という肩書を持つスタッフを集めたかったのではないかと見られても仕方がない。

ただ、何度も繰り返すが、大卒一括採用と異なる動きを見せた点だけは評価したいが、「ユニクロだから」とすべてを賛美するのはいただけない。評価できる点とそうでない点を同列に論じないと、贔屓の引き倒しに終わってしまう。

ダウンのフィルパワーあれこれ

 ユニクロの商品について、さまざまな見方がある。
個人的には「デザイン性はないけれど、街着として着用するなら安い価格の割に、品質がそこそこ高い」ことに尽きると考えている。
品質は「そこそこに高い」けれども超高品質というわけではない。
ジーンズがその代表例だろう。スエットパーカの品質も高いが、価格にそれほど格安感はない。
一方、1500円のプリントTシャツは、素材が薄くなったのであまり品質は良くないと感じ始めている。

さて、値段の割に品質が「そこそこ良い」という物の中に「ウルトラライトダウン」もある。
最高気温が10度を下回る気候の中では、どうなのかわからないが、現時点の気候だと街着としては十分だろう。
ただし、バイクや自転車に乗るには保温力不足だし、登山などはもってのほかである。

ウルトラライトダウンが、中に詰めている羽毛の量を減らし軽量化に成功したことの理由の一つとして、フィルパワーの高い羽毛を使ったことが挙げられる。

さて、このフィルパワーについて書かれているブログがあるのでご紹介したい。
http://www.apalog.com/shohiguchi/archive/149

「フィルパワー」とは、「1オンスのダウンが何立方インチに(ぎゅーっと押されたダウンが自身の回復力で)復元するかを数値化したもの」。

とのことである。
フィルパワーが高ければ高いほど保温性の高い羽毛であり、少量でも保温性を確保できる。

ユニクロの「ウルトラライトダウン」のフィルパワーは640強。通常、プレミアムダウンと言った場合は550以上を指すという。

そして、本格アウトドアブランドはどうかというと、以下に引用する。

試しにこの「フィルパワー」について、アウトドアブランドを扱うスポーツメーカーの企画担当者に聞いてみた。確かに550以上が高品質で、640もあれば十分だろうということだった。しかし、まともなアウトドアブランドであれば通常、使用されるダウンの質は最低750~800レベルのものだ。ハイエンドになると850~900というものもまれに見掛ける。これは当然、雪山などアウトドアのシーンで着用することを念頭に置いているからだ。

今秋、アディダスの直営店で見つけた肉厚のダウンジャケットは800フィルパワーで、上代は4万4000円くらいだった。デサントの「マーモット」の800フィルパワーの肉厚ダウンジャケットは4万5000円だった。雪山に着ていけるレベルの高機能である。同じく「マーモット」でミドラーとしてのダウンジャケット、薄手のモデルで900フィルパワーが3万円だった。

とのことである。

ユニクロの「ウルトラライトダウン」は、各アウトドアブランドよりもフィルパワーが小さく、そういう意味では「品質的に劣る」と言える。しかし、定価が5990円なので、値段的に考えるとそこそこに品質は高い。3990円にまで下がればお買い得である。
色のトーンが気になる方は外で着ずに、室内着として利用すれば良い。

さて、個人的に価格と品質のバランスが最も良い薄手ダウンジャケットは、モンベルだと思う。
ストリートジャック12月号に紹介されている商品は、フィルパワーが900で、総重量が145グラム。価格は1万8800円である。
フィルパワーはマーモットと同じで、価格はその6割程度。総重量はユニクロよりも54グラム軽い。

モンベルはほとんどバーゲンがないので、定価で買うことがベストな選択だろう。

ファッションの多様化で、ファッション雑誌購読者も分散化

 少し前に、アパレルブランドのテレビCMが増えたことについて書いたが、その原因の一つにはファッション雑誌の衰退があるのではないか。
また別の理由としては、HAKATA PARIS NEWYORKのブログで書かれているように、リーマンショック以来の不況で、テレビCM放送料金が安くなったこともあると思う。

さて、筆者はもう3~4年前から、懇意にしている広告代理店の方から「ファッション雑誌は一部を除いて軒並み部数減や。とくにJJなんかは酷い」とお聞きしていた。
先日、それを数量的に裏付けるブログが掲載されたので、ご紹介したい。
もっともそのブログはJJ、Cancamなどの赤文字系雑誌に絞ってまとめてある。

「赤文字系雑誌」衰退という世相
http://blogos.com/article/24466/

久しぶりにABC協会による雑誌の調査部数を見た。本年の上半期(1月~6月)のものである。

中略

昨年の上半期(1-6月)の実売はViViが32万6,000、 Cancamが21万2,000(この落ち方も凄い)、Rayが12万2,000、そしてJJが11万1,000である(ただしJJのこの数字は特殊事情(※注)によるもので、実際の平均的な実売はもっと低かった)。

そして、昨年の下半期(7-12月)はViViが30万2,000、Cancamが19万3,000、Rayが10万7,000、JJが8万6,000となっている。

で、今年の上半期は、、、

ViVi 25万1,000(前期比83%)
Cancam 14万8,000(前期比76%)
Ray 11万4,000(前期比106%)
JJ 7万6,000(前期比88%)

という実状になっている。

ちなみに昨年上半期のJJの特殊要因とは、東方神起が表紙を飾ったことで、雑誌が完売してしまったことを指している。
この実績を見ると、ViVi、Rayはあまり数字を落としておらず、JJは論外だとしてもCancamの凋落ぶりが酷い。

それまではどういう状況にあったかというと、

しかし、JJは9年前、絶好調でダントツトップを独走している時に編集長を交代して以来、転落の道を辿る。50万部近くあった実売部数はあれよあれよという間に落ち、Cancam、ViViに追い抜かれ、ついにはるか後方にいたRayにも抜かれてしまう(というかRayはマイペースで走っていただけだが、 JJがどんどん落ちてきて、あっという間にRayの後ろへ行ってしまったのであった。このJJについては、それだけで本が一冊書けてしまうような話なので、いずれまとめることとしたい)。

このJJと入れ替わってトップに立ったのがCancamだ。蛯原友里、押切もえ、山田優などの人気モデルを擁して、大ズッコケしたJJを抜き去り、アッという間にトップに立つと快進撃を開始、絶頂時には70万部以上の発行部数がほぼ完売ということもあったほどである。
もちろん、広告の状況も多少のタイムラグはあるものの、部数と軌を一にする。JJからはどんどんクライアントが去り、Cancam、ViViへと流れていった。

しかし、このCancamの独走も長くは続かず、やがて部数が落ち始め(Cancamの派生雑誌としてAnecanを出したということもあるが)、やがて ViViがトップになる時代が来る。といってもViViはCancamのように爆発的に部数を伸ばしたわけではなく、安定した部数を維持していたら、JJ やCancamが勝手に浮き沈みをしていっただけなのだが、とにもかくにもViViがトップに立った(Sweetは外して書いてます)。

とのことである。

(合計を間違えたとの指摘があったので削除しました。すみません)

ここで筆者は、その原因について、
若者のモノへの執着がなくなったことや、長引く経済不況を挙げておられる。
もちろん、そういう側面も大いにあるだろう。

しかし、ほかにも要因はいくつか考えることができるのではないか。
例えば「服」そのものへの興味が薄れていることもあるのではないか。
また、大きなトレンドがなくなり、トレンドが多様化することで、購読雑誌も分散化していることも考えられる。

かつての「神戸エレガンス」ブームのように、一つの大きなトレンドが女性の服装を支配することはあまりない。
セクシー系が好きな人は相変わらずそれを愛用しているし、ナチュラル系が好きな人はそれを着ている。
エレガンス系が好きな人は、いまだにエレガンス系だ。

それが顕著に表れているのが、今年春夏のブラウスであり、今秋冬のポンチョであると思う。
「ブラウスが売れている」と言っても、その売れているブラウスのデザインやテイストは千差万別であり、これまでのように一つか二つのテイストとデザインにまとめることは不可能だった。
メンズのドレスシャツのようなものもあり、チュニックのようなものもある。
襟が付いているものもあれば、襟なしのものもある。
シルエットもタイトもあればルーズもある。

ポンチョにしても同じだ。
色柄形がブランドごとに違うし、素材も違う。
布帛もあればニットもある。
フォークロア・ナチュラルテイストもあれば、トラッドエレガンスなデザインもある。

これだけテイストが細分化すると、ある一つの雑誌が突出して購読者を持つことはあり得ない。
それぞれのテイストに応じた雑誌が少しずつ購読者をシェアするという形になって当然である。

業界華やかなりし頃のように、国民的に支持を集めるような「大ブーム」はもう起こらない。しかし、その「良かった頃」を忘れられないのが、今のテレビ業界であり、ファッション雑誌であり、アパレル業界であり、百貨店なのではないだろうか。

下げ止まりと回復傾向が顕著なライトオンの11月売上速報

 恒例のライトオンとジーンズメイトの11月売上速報が発表された。

ライトオンは
既存店売上高が前年比0.8%減
既存店客数が同1.0%増
既存店客単価が同1.8%減

だった。

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比12.9%減
既存店客数が同25.5%減
既存店客単価が同16.9%増

だった。

この両社は10月21日~11月20日までの速報なので、高気温が続いた不利な期間だった。
それにも関わらず、ライトオンは前年微減で、客数は前年を維持している。
これは、もう明らかに下げ止まりであり、回復傾向すら見え始めてきたのではないだろうか。

一方のジーンズメイトはまだ出血が止まる様子もない。
もっとも気にかかるのは、ずっと続いている客数の大幅減である。

アウトレットの新業態「ワケあり本舗」
格安雑貨店「ハッピードア」
なぜか兵庫県三宮で復活した「アキバあそび館」
セレクト型メンズショップ「プレイン」
セレクト型レディースショップ「ブルーベルマーケット」
メンズレディースの複合店「コットンテラス」

と新業態は数多いが、本体の「ジーンズメイト」のリニューアルがまったく手つかずである限り、売り上げ減は止まらないだろう。

同社の経営陣は、「ワケあり本舗」「ハッピードア」「アキバあそび館」を拡大することで業績立て直しを図っている節があるが、あくまでもカジュアルファッション専門店という来歴から考えると、個人的には「プレイン」「ブルーベルマーケット」「コットンテラス」での業績立て直しに注力してもらいたいと望んでいる。

なぜなら「ワケあり本舗」はあくまでもアウトレット型の格安店であり、「ハッピードア」は低価格雑貨店である。
両方とも訴求ポイントが「安さ」だけしかなく、これを柱に据えてしまうと、競合相手は百円均一ショップであり、ジーユーであり、しまむらであることになる。
これらと勝負しては規模の大きさで負けてしまうことは目に見えている。

「アキバあそび館」は文字通り「遊び」で経営するなら良いが、企業の柱になる業態ではない。
しかも、最近はユニクロの方がアニメの導入に積極的だ。ガンダム、ナルト、ワンピース、エヴァンゲリオン、少年サンデー、少年マガジンなどをモチーフとした半袖プリントTシャツや長袖プリントTシャツが店頭を埋め尽くしている。
Tシャツ類だけで見るなら、ユニクロが「アニメ漫画館」の経営をした方がよほど「弾」がそろっている。

ライトオンは最近の店頭を見る限り、一時期のユニクロとの無意味な価格競争からようやく脱却できた感がある。もちろん、シーズンオフになり990~1990円に値下げされたセール品もあるが、ニットやカーゴパンツの集積を見ると、少なくともユニクロとの差別化には成功しつつあると感じる。
また防寒アウターでも無地ナイロンのダウンジャケットの数量は抑えめにして、デザインダウンジャケットや、ウール混素材のダウンジャケットを強く打ち出している。

実際に動くかどうかはわからないが、無地ナイロン素材のダウンジャケットを打ち出せば、ユニクロとの価格競争が待っているだけに賢明な判断だといえる。

サトーカメラに見る中小企業のあり方

 昨今、小売店には様々な問題がある。
「価格競争」であったり「大型店に駆逐される中小型店」だったり、「販売の効率化」だったりする。

とくに「価格競争」は熾烈であり、とくにアパレル業界では圧倒的物量を誇り、品質もそれなりの高さを維持するユニクロにアパレル各社は引きずられっぱなしである。
しかし、それでは中小型店は大型店に勝てないのか?中小型店は滅び去るのみなのか?という疑問を持つのだが、そうではない事例が先日、インターネット記事で紹介された。

賢明なる方々は、もうとっくにご存知だと思うが、不幸にして目にしておられない方のために、このブログでもその記事を紹介したいと思う。

喧嘩上等のカメラ店が「ど素人」に教わった商売の極意
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/29764

本来であれば、この記事の全文をお読みいただくのがもっとも効果的だと思うが、長文なので筆者が「特に重要」と感じた場所を重点的に抜き出してご紹介したい。

これは栃木県の中型家電量販店「サトーカメラ」の実例である。
この店舗は、販売の効率化を捨て、超非効率な長時間接客を続けることで、増収増益を達成しつづけている。
商品は有名ブランドにこだわらず、スタッフが一つ一つ自分の目で選んだ商品を置く。それが例え無名ブランドであってもだ。
さらにポイントカード制を廃止することで、利益も確保することに成功している。

大型店の攻勢にあえぐ中小店の参考になる事例が満載されている。

以下に佐藤勝人社長のインタビューを引用する。

一言で言うと効率を求めない店。現場に徹底的に言い聞かせたのが、効率は考えなくていい、客が納得するまで話をしてやれということ。

以前は、接客は時間を区切ってやれとか言ってたんですよ。でも、そんなのもういい。もう座わらせろと。立ったままでお前の話なんて聞いていられない、おじさん、おばさんを座らせてじっくり話をしろと。

プリントするお客さんに対してもそう。日本のカメラ屋はどこも機械の前にお客さんを立たせて操作させるよね。でも我々の店は、ソファに座ってのんびりやってもらう。そして我々も一緒に座って、一緒に写真を選んであげる。超非効率でもかまわない。それは、お客さんの思い出をきれいに残すため。それが一番大切なことだから。

例えば、うちで、ある商品を初めて知ったお客さんは、他の大手量販店に値段を調べに行く。でも、7割の人は「やっぱりあんたのとこで買うわ」って、うちに戻ってくる。もしも他の店が安かったら「ここで買うから安くしてよ」って言ってくるし、「高くてもいいよ」って言う人もいる。そして8割のお客さんはリピーターになる。

以前はうちも「こんなに安いですよ。ポイントがこれだけ貯まりますよ」ってやってたんだけど、2年前にポイント還元制度もやめちゃった。

ポイントは結局、カネで釣るってことでしょ。我々は金で釣るんじゃなくて、思い出をきれいに残すための商品でお客さんに来てもらう。そうするとポイントをやめた段階で、一瞬、お客さんが離れるんだけれども、最後は戻ってくる。

とのことである。
文中によると、ポイント制度を止めたことで25%だった粗利益率が40%にまで上昇したという。
そして商品に関しては、

でも、テレビCMに乗る商品なんてごく一部だよ。それ以外が90%以上なんだ。我々はそれらの中から、操作のしやすさ、ホールディング、頑丈さ、レンズのコーティングなどを全部調べて、「思い出をきれいに残すためにはこれだよね」っていうカメラを探し出してくる。

お客さんは、広告で目にするカメラしか知らない。だから最初は、なんでそんなカメラを押しつけようとするんだって思うよね。

でも、調べていくと、実はすごくいいカメラだということが分かってくる。実際にお客さんが、本当にありがとうね、あんたのすすめてくれたカメラ、本当に良かったわあって言ってくるからね。今は、サトーカメラの方が全然ものが良くて安いじゃんと、みんな思ってくれている。

他の店もみんな真似して、うちで売っているのと同じ商品を仕入れて売ろうとするんだよ。でも、売れない。大手家電量販店では、誰もが知っている人気商品を置かないと売れない。だって、説明できる店員がいないんだから。結局、売れ残るよね。売れ残ったのはメーカーに返品されて、また、うちが安く買い取る。

スタッフの目で確かめた商品だけを仕入れて、それを丁寧に説明することでお客さんの信頼を得ている。
説明できる店員がいかに重要であるかがわかる。
以前に、アパレルで店頭販売員が重視されていないとのブログを書いたことが、まさにこれは、販売員の重要性を物語る証言である。
キチンと接客できて、商品知識のある販売員が説明すると売れ行きは大きく変わる。
しかし、そういう販売員を育てるには時間がかかるので、「効率重視」のアパレル各社の経営者の皆様方は、アルバイトに毛が生えた程度の販売員を「安く」雇用されるのである。
それから、経営者・店長の皆様方が考え違いをしておられるのは、「ゴリ押し」で販売する販売員を凄腕の販売員だと認識されている点である。
そんなものは「押し売り」や路上のキャッチセールス、風俗店の客引きとなんら変わらないにも関わらずだ。

普通の中小企業は、大企業や大手メーカーの話ばかり聞くじゃん。えらい人の話だけ聞いて、それに習おうとする。そして、どんどん敷居を上げていって、いつの間にかマニアばかり相手にするようになる。ターゲットを絞って高く売ることが「生き残る術」だっていうわけだ。
でも、我々は逆。ど素人のおばちゃん、ど素人の小学生から学ぶ。時にはおばちゃんから怒られるよ。あんた、分かってないわねえって。でも、ああ、なるほどなあって思うことがいっぱいある。我々はそうやって学んでいる。

これは我々にも当てはまることで、超大手企業や国際企業の経営者の話だけを聞いて、それに倣おうとする。
噴飯物なのが、わずか売上高20億円程度のアパレルの経営者が「ユニクロが○○したからうちも見習おう」とか「アメリカでは××だからうちも採り入れる」とか言い出すことである。
文面で書くとまるでコントのようだが、実際に取材に訪れると大真面目に現場で語られていることがある。
志が大きいことはけっこうだが、身の丈を考えて現場に採り入れるべきである。

カメラに詳しくて自分でなんでもできる人は、どこの店に行ったっていいんだよ。でも、カメラなんて全然分からなくて、使い方を知らない素人が世の中には8割も9割もいるわけだ。

この言葉はアパレルにも当てはまるのではないか。
その店なり企業が、1000人の客に年間1億円ほど売れれば良いと考えているなら、マニア客のみを相手にすれば良い。
そうではなくて、年間50億円や100億円を売上目標に掲げるなら「ド素人」も相手にしなくてはならない。それに「ジーンズマニア」の客は、ジーンズには詳しいがニットやウール製品に関しての知識は「ド素人」かもしれない。

「ド素人」にも分かりやすく販売しているのは、悔しいかなユニクロが一番なのである。
最近では「分かりやすくしすぎよう」として、逆に過剰気味のコピーライトも目にすることが増えているのだが。

接客はいつまで経っても終わることがなく、結局、店員は1時間半もの間、説明を続けていた。最後にその家族はカメラとカメラ用ショルダーバッグを購入して、満足げな顔をして帰っていった。

接客をしていた店員、副店長代理の中野裕章さんに聞いてみた。「いつもあんなに時間をかけて接客しているんですか。一体、何をそんなに長々と説明していたんですか」

中野さんの答えは以下のようなものだった。

「接客の時間はお客様によって様々です。先ほどのお客様は、他店のチラシをご覧になっていて、お買いになりたい商品の目星は付いていたんです。でも、一眼レフカメラはまったく使われたことがないというので、一眼レフの基礎から説明していました」

「買いたい商品が決まっているのなら、さっさとそれを売ればいいじゃないですか」

「そうはいきません。納得しないで買っていただくわけにはいきません。納得して買っていただいて、きちんと使いこなして満足していただかないと困ります」

一眼レフカメラの基礎知識だけではなく、家族の中で誰が使うのか、いつ、どんな場面で使うのかなどをヒアリングし、状況に応じた撮影の仕方も説明していたのだという。

これが真の接客ではないだろうか。
言葉づかいが丁寧だとか、お辞儀の角度が何度だとか、笑顔を作る時は歯を見せろだとか、そんなことは枝葉末節のどうでも良い話である。そんなことしかレクチャーできない自称コンサルタントになど習う必要はない。

中小企業が大手企業や国際企業の真似をしても仕方がないのである。資金力が違う、スタッフが違う、経営者の能力が違う。違うことを認めて、大手企業との差別化を果たすことが生き残りの近道であることを改めて認識させられた良記事だった。

銀行は何を審査したのか?

 アパレル業界での中国ビジネスの自称カリスマだったOEM会社、UFOの谷絹子社長が再逮捕されて1ヶ月弱が経過した。
UFOは今年春に民事再生法を申請していたのだが、その後、大阪市の衣料品卸売り企業から3億円を詐取したとの疑いで、10月上旬に逮捕。また10月下旬には、みずほ銀行とりそな銀行から合計82億円を詐取したとして再逮捕された。

http://zikohasanjp.blog64.fc2.com/blog-entry-2718.html

逮捕容疑は、共謀して08年1~6月、U社などが中国の子会社から衣料品を輸入する取引を偽装。りそな銀行とみずほ銀行に虚偽の売買契約書などを示して信用状計30通を発行させ、立て替え払いされた輸入代金を詐取した、としている。

 信用状を使った貿易取引は、金融機関が輸出業者に代金を立て替え払いし、貨物引き取り後に輸入業者に返金させる仕組み。両容疑者は、子会社にU社への代金振り込みを求める委任状を銀行側に提出させ、U社への代金を立て替えさせていたという。

 特捜部は23日、民事再生手続き中に裁判所選任の監督委員に虚偽の財務書類を提出したとする民事再生法違反の罪で絹子容疑者を起訴。誠容疑者は処分保留とした。

<U.F.O.>82億円詐取容疑で社長ら再逮捕 輸入偽装(Yahoo!ニュースより)

とのことである。

ここで疑問なのが、民事再生法申請後に合計82億円もの大金を詐取されたみずほ銀行とりそな銀行の審査の甘さである。
民事再生法申請以前にもメガバンク各社が総額360億円の融資を騙し取られていた。ここまでは分からないではない。どんな機関にも判断ミスはある。谷容疑者の手口も巧妙だったのだろう。
しかし、民事再生法申請後にまた、なぜみずほとりそなが合計82億円もの金を騙し取られたのだろう?
一体何を審査したのだろう?

我々が銀行から金を借りようと思うと、数百万円の金ですら細かく審査される。
そのお高い銀行様が、民事再生法申請後の人間に数十億円をまた貸し出したことが信じられない。
どういう審査基準を設けていたのだろうか?

今回の再逮捕に関しては、谷容疑者の巧妙な手口以上に、みずほ銀行とりそな銀行の甘さがあぶり出されたと言える。

大阪とイタリアの相似

 11月19日にH&M大阪2号店がオープンした。
1号店と道路を挟んだ向かい側にできたので、2号店というよりは、両方合わせて1つの店舗だと見た方が適切ではないだろうか。

17日には内覧会があり、取材する機会に恵まれた。
H&Mはときどき有名デザイナーブランドとコラボレーションを行う。今回は「ヴェルサーチ」だった。
「ヴェルサーチ」はバブル期から90年代半ば頃まで日本市場でも大人気だったが、その派手すぎる色柄が、国内のトレンドとは合わず、現在の日本ではあまり注目をされなくなったブランドである。

本ラインではないが、今回久しぶりに「ヴェルサーチ」らしい色柄を拝見することができた感想を述べたところ、某デザイン会社の社長さんに「ファッション関係者にあるまじき発言ですね~(笑)」とお誉めの言葉(?)を頂いた。

あの派手すぎる色柄は「ミナミの帝王」か大阪のオバちゃんか、船場センタービルの香りが充満していると感じる。
メンズのショッキングピンクやゼブラ柄のスーツはどう考えても竹内力の劇中衣装だし、なんとも表現しづらいレディースの総柄アイテムは大阪のオバちゃんの好むところだし、それらが一堂に会した売り場は船場センタービルか、通天閣周辺のバッタ屋をほうふつとさせる。

PB171703

(大阪のオバちゃんが好きそうな派手な色柄)

PB171715

(竹内力の劇中衣装のようなスーツ)

PB171702

(竹内力の子分役が着用しそうなブルゾン)

で、その時に「イタリア人と大阪人は似ているのではないか」と感じたので、翌日のブログにまとめようかと思ったら、日経ビジネスオンラインに小田嶋隆さんがちょうど同じ内容で執筆されていたので驚いた。

イタリアと大阪の実に困った相似
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20111117/223936/

ちょっと長文だが、一部を引用させていただく。

 私の中では、大阪とイタリアが徐々にダブってきた次第なのである。

 説明する。
 大阪とイタリアはじっくり観察してみると、なんだかとても良く似ている。
 なにより、EUにおけるイタリアの立場と、日本における大阪の境遇が、他人ごととは思えない。

 次男坊の役割というのか、傍流の、二次的な、主導的でない立ち位置と、曖昧な権力基盤が、そっくりだ。

 昨今の状況も似ている。
 イタリアの財政危機がEUならびに世界経済に突きつけている問題の深刻さと、大阪のダブル選挙が、日本の政治状況にもたらすであろう波及効果の不気味さは、私の目には、まるで鏡に映った二つの悪夢みたいに見える。
 いずれも、不吉で、凶々しく、それでいてどこか滑稽でもある。実に困った相似だ。

 (中略)

 前者(ラテンおよび関西)が、より古く、伝統回帰的であり、文化的な豊穣を備え、柔軟で、享楽的で、美的センスに富み、一方において、民衆的で、貧しく、近現代に至って停滞の相に直面しているのに対して、後者(ゲルマンと関東)は、新興で、文明的で、禁欲的で、実質主義で、経済上の優位に立ち、進取の精神に溢れ、官僚的で秋霜烈日でプラグマティックな特徴を備えている。であるから、経済および政治の実質的な主導権は、どうしても後者が握ることになる。いきおい、前者は、マーケットではお荷物に似た存在になり下がる。かくして、両者の間には、すきま風が吹き、相互不信が芽生える。

 現状を鑑みるに、イタリア経済は奈落の淵にある。大阪もまた財政破綻の危機を迎えている。しかも両者は、政治的な混迷に陥ってもいる。

 にもかかわらず、当地の庶民は明るい。一見するに、文化は爛熟し、町には、活気が溢れている。
 能天気? いや、そういう言い方は失礼だ。彼らは人生を享受している。今日の停滞は、不幸な結果に過ぎない。
イタリアの累卵は、むしろ英独仏といったEU主要国のアタマを悩ませている。
 大阪の混迷もまた、どちらかといえば東京人の心根に暗い影を落としている。少なくとも私の目にはそのように見える。

 似ている。
 イタリア経済のアキレス腱が南北問題(先進的で豊かな北イタリアの工業都市群と、貧しいまま放置されている南イタリアの経済格差)にあると言われている点と、大阪の行政に不効率をもたらしているのが、市と府による二重行政であるとされていることも、似ていると言えば似ている。マフィアの暗躍による地下経済の肥大化と、山口組やエセ同和団体の策動による府政の停滞などなど、類似点をあげると切りがない。

 ギリシャ・ローマというヨーロッパ文明の最古層を担ってきた地域が、二十一世紀の今、再び一体化しつつあるヨーロッパの中で取り残されていることと、関西圏という日本文化の源流を為す地域が混迷していることは、偶然の一致であるのだとしても、印象深いできごとだ。われわれは、彼の地の危機を軽んじてはならない。彼らを軽んじることは、自分たちの過去を軽んじることだ。

とのことである。

流石は上手に、そして的確にまとめられている。
このエッセイはこの後、大阪市長と大阪府知事のダブル選挙について意見を述べることになるのだが、このブログとの主旨とは異なるので、割愛させていただく。

ついでに言うと、イタリア同様に大阪にも南北問題が存在するところまでそっくりである。
大阪市から北の北摂と呼ばれる地域と、堺市以南の泉南と呼ばれる地域では、文化も人情も言葉づかいもまるで違う。現在、ヤクザ映画やドラマで親しまれている乱暴な「大阪弁」なるものは、泉南地域の影響を強く受けている。
北摂の言葉はもっと京都弁に近い柔らかさと丁寧さがある。

小田嶋さんは、政治問題にまで踏み込んでの「イタリアと大阪の相似」を述べられているのだが、底辺で暮らす繊維産業記者から見ても、色柄の好みという点ではイタリアと大阪は似ていると感じられる。

そういえば、郷土愛が強い点も大阪とイタリアは似ているのではないかと思う。

政治問題の混迷はさておき、愛すべき大阪万歳である。

ジャパンジーンズに過度の「神格化」「高級化」は不要

 生地・製品・加工ともに衣料品の中で比較的国産比率が高いのがジーンズだろうと思う。
そのため、日本製をアピールした「ジャパンデニム」「メイドインジャパンジーンズ」という打ち出しが業界全体として盛んだ。
そして、日本人の性として「ジャパンデニム」のイメージを「匠」の世界へ高めようとする取り組みを多く見かける。

厳密にいえば、国産品と言っても中国人研修生を多く受け入れている工場もある。もちろんそうでない工場もある。
しかし、個人的にはジャパンデニムという打ち出しは大枠は賛成である。

だが一方で、「匠」の世界に結びつける姿勢には疑問を感じる。
縫製にしろ、洗い加工にしろ、織布にしろ、「流石は」と唸らされるような職人技にお目にかかることはある。それでもそれらを「匠」として扱うことにはいささかためらいがある。
おそらくこれは、個人的な語感の問題だろう。
「匠」=高額な伝統工芸品と感じてしまう。
これはあくまでも個人的な感覚なので必ずしも正しいとは言えないのかもしれない。

一口に日本製ジーンズと言ってもさまざまなブランドからさまざまな価格帯で発売されている。

フックが展開する「倉敷ジーンズ」は4900円から、
ユニクロの「メイドインジャパンジーンズ」はワンウォッシュが5990円、
ライトオンのPB「バックナンバー」のジャパンジーンズは7900円、
エドウィンの日本製ジーンズはだいたい9800円~15000円くらい、
エヴィスジーンズだと19000円~29000円くらいだろう、
京都デニムだと25000円~30000円台半ばくらい、
プラダのジャパンジーンズは10万円、

という具合である。
これはいずれも生地製造・縫製・洗い加工のすべてが日本の工場で行われている商品である。

「匠」と言った場合はどこに焦点を合わせるのだろうか。
まさかプラダの10万円のジーンズではあるまい。
これだとまさに限られた人々だけが楽しむ伝統工芸品の世界である。
世界ブランドのプラダだから、各国での売上本数はそれほど多くなくても、全世界での販売枚数を合わせるとそこそこのロットになる。これが、単一国での販売枚数で考えるとそれほど大きなロットにならない。

じゃあ、エヴィスジーンズくらいを目標にすべきだろうか。
それもなにか違うような気がする。

広く消費者に利用してもらうためには、7900~15000円くらいの間の価格帯が適正ではないのかと思う。
別にエドウィンやバックナンバーの肩を持ちたいわけではない。
4900円でも5990円でも構わないと思う。
一般大衆は4900~15000円の間でないと、なかなか手を出せない。

そうすると、この価格帯で製造するためには、いわゆる工業製品的な取り組みが必要になる。
やはりある程度の製造枚数がないと1枚当たりの製造コストが抑えられない。機械化できる部分は機械化しなくてはならない。
個人的に抱く「匠」というイメージからはどんどん離れることになる。

筆者は何より「3万円以上するのがジャパンジーンズだ」というイメージが消費者に定着することを恐れる。
1900円くらいでジャパンジーンズが製造できるとは思ってもらいたくないが、かといって「超高額品で、趣味の人が手に入れる物」というイメージも持ってもらいたくないのである。そういうイメージが固定化することは逆にジャパンジーンズにとって危機的だと感じる。

ジャパンジーンズが今後も息長く、消費者に利用してもらうためには、「ちょっとだけ奮発すれば誰でも買える商品」という立ち位置が必要なのではないかと思う。

今回は価格面での話に終始するが、
ジャパンジーンズを過度に「高級化」「神格化」することは返って、ジャパンジーンズの市場寿命を縮めるものだと思う。

ファッション専門学校は製造業への就職斡旋を強化しては?

 ファッション専門学校を卒業してもなかなか就職がない。
専門学校に寄せられる求人のほとんどが「販売員」募集である。
しかし、専門学校に進学する生徒は、服作りを志向している子が多い。ここに需給バランスのミスマッチがある。

そして、生活のために覚悟を決めて販売員として就職しても、アパレル各社に販売員としてキャリアを積ませるような教育システムがあまりない。
23歳で販売員として就職したとして、数年はそれで過ごせるだろう。
じゃあ、30歳を過ぎたらどうなるの?40歳を過ぎたらどうなるの?
ここまでをきっちりとシステム化しているアパレル企業はほとんどないだろう。

せっかく服作りの基礎を覚えて、作ることを志向している子たちが、40歳越えるまで販売員のままで我慢できるだろうか?筆者はできないと思う。
作り手が販売員を経験するのは良いことである。
しかし、作り手志向の人間が永遠に販売員としてしか仕事が続けられないなら悲劇的だ。
しかも、アパレル企業には40代、50代まで販売員を育てていく気もないし、そのノウハウもない。
販売員として就職してもその大半は腰掛けにならざるを得ない。
アパレル企業の経営者は「売り場が重要」と口では述べるが、販売員をまるで重視していない人が多くいる。

なら、縫製工場、染工場、織布工場、ニット工場などに卒業生の就職をあっせんしてはどうだろうか?

おそらく、すでにそれに取り組んでいる専門学校もいくつかあるにちがいない。

以前、ファッション専門学校に勤務したことがあるのだが、そこはまるっきり取り組んでいなかった。経験則から照らし合わせると、製造業への就職あっせんに取り組んでいない学校もまだ相当数あるのではないかと推測している。

もちろん、そういう工場も経営が苦しく、資金的にも新卒採用どころではないのだろう。
また新人を育てるのも手間がかかる。

それでも、中には新卒採用しても良いという企業もあるだろう。
そういうところに、なんとか卒業生を就職あっせんする専門学校が増えないものだろうか。
昨今、生地作りや縫製の重要性に注目する真面目な学生さんも増えている。
理想論かもしれないが、そういう学生さんを製造業と結び付ける動きがもっと盛んになることを願わずにはいられない。

衣料品業界以上に国内生産が危機的状況にあるアニメ業界

 クールジャパンを世界に発信すると国是を掲げているものの、作り手の育成は甚だ心もとない。
ファッションにしてももはや日本国内の製造業は消滅の危機にあるし、世界で最も評価が高いと言われているアニメーションも若手をまったく育成していない。

先日、
「20代アニメーターの年収が110万円」というブログが話題となった。
http://otanews.livedoor.biz/archives/51830797.html

以下に引用させていただく。

なかでも衝撃的だったのは「映画・アニメ」業界。オタク文化を世界に発信している
日本でも、その現場で働く人たちの環境はけっして楽ではないようだ。例えば、アニメを
支えるアニメーターは現在、40代が中心。この業界を担当する『週刊東洋経済』編集部の
桑桑原幸作記者によれば

「あるデータでは、20代のアニメーターの平均年収が110万円。それだと生活できないので、
若い人がこの業界に入らない。それで、高齢化が進んでいるとも言われています」

と発言。コメント欄にも「ひでえ」「無理だ」などの声が寄せられた。

JASDAQに上場しているアニメ業界大手のIGポートの社員の平均年収は423万円。
あまり高いとは言いがたいが、実は本当に高いのは年齢。ここの社員の平均年齢が54.3歳。
この数字について桑原記者は「今回『業界地図』で取り上げている128業界のなかでも
最高齢ですね」と言うと、会場内は苦い笑いに包まれた。華やかに見える世界も、
その内実はいろいろと大変なようである。

とある。

実は小学生のころからアニメが好きで、
ずっと見続けている。
もともとはファッションにはまったく興味がなく、アニメの方が好きだった。
学生時代はアニメの雑誌なんかも読んでいたから、20年以上前からアニメーターの年収が世間相場よりも低いことは知っていたが、ここまでとは思わなかった。

これではアニメ業界を志す若者は現れないだろう。
実際にバブル期ごろから、動画や作画、原画の担当者に外国人の名前が大量に並ぶようになった。
一度、アニメ番組のエンディングテロップをご覧になってもらいたい。
中国系、韓国系、南米系などの名前が列記されている。

さて、こんな調子で「クールジャパン」とやらは大丈夫なのだろうか?

ファッション産業でも国内生産は10年後には無くなると言われているが、アニメも同じ状態である。
もしかすると衣料品業界よりも先にアニメの方が国内生産が終了するのではないだろうか。

補助金やら税金をジャブジャブ投入して業界を保護するというのは、何か違う気がするが、これまで放置してきたツケはあまりにも大きい。自然発生的に世界の評判が高まってくると「クールジャパン」と持ち上げているが、その足元はすでに20年以上前からボロボロに崩れていたといえる。

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