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南充浩 オフィシャルブログ

大学1年生を採用するなら高卒採用でも構わないのでは?

2011年11月30日 未分類 0

 大卒予定者の就職活動には疑問を感じていた。
かくいう自分も20年前には一度「シューカツ(当時そんな言葉はなかった)」しているのだが、茶番だという思いしか残らなかった。

逆に企業サイドの採用方法にも疑問ばかりである。
なぜ、大卒新卒を年に1度だけ採用するのか。もうバブルがはじけて20年になるというのに。

そんな中、ユニクロが新しい採用を打ち出した。
もうご存知の方も多いと思うが、大学1年生から採用するという。

個人的にはそのメリットがほとんど分からないが、
これまでの大卒一括採用に風穴をあけるという意味では、大いに評価できるのではないか。

他方、疑問も数多く残る。
まず、大学1年生で良いなら、なぜ高卒採用にしないかという点である。
ユニクロ信者は、「4年間ユニクロで教育されることに意味がある」というが、それなら高卒で採用して4年間教育しても同じであろう。

先日、ブロゴスにその疑問点を上手くまとめられたブログが掲載されたのでご紹介したい。

http://blogos.com/article/25405/

以下に引用する。

それはさておき、大学1年すなわち高校を卒業してすぐの段階で採用を決めることも想定されているわけです。だったら高卒を雇っても同じではないかと思うところですが、そうならないところに学歴差別という慣行にしがみつくユニクロの保守性が表れていると言えます。何でも「卒業と同時に店長にするといったコースが想定される」とのことで、要するに大学で勉強する必要はない、ユニクロで丁稚奉公していればいい、だけど大卒でなければ駄目だと、そうユニクロは主張しているのです。いかにも代わり映えのしない、典型的な日本企業と言ったところですね。柳井会長の頭の固さ、古さがうかがわれます。

 そもそも「一括採用だと、同じような人ばかりになる」というのがおかしい、同じような人ばかりが集まるのは、同じような人しか採用してこなかった会社側の問題でしょう。同じような人ばかりでは嫌なら、手始めにコミュニケーション能力の低い人でも採用してみればいいのです。採用基準が偏っている、同じような人しか選ばれないような基準のまま、単に採用時期を前倒しにしたところで会社側が期待しているような青い鳥が飛んでくるはずがありません。結局のところ満たされるであろうものは、将来の就職を餌にして大卒(候補)者を自店舗で扱き使ってやろうという雇用側の思惑だけです。

 一般に、成熟した社会ほど将来が決まる時期は遅いと言えます。逆に未熟な社会ほど児童労働が横行したり、産まれたときから属する階級が決まっていたりするものです。社会が成長するにつれ高等教育が実質的に義務教育化して就労開始年齢も遅くなる、自分が選べる進路の数も増えていくのが当然であって、大半は未成年であろう大学1年の内から将来の仕事を決めなければならないとしたら、それは貧しい社会というものでしょう。むしろ自由な大学時代を通して、玉石混淆の体験を積み重ねることでこそ多様性のある人材が産まれるはず、その代わりに学生を特定企業でのアルバイトに縛り付けるとしたら社畜の量産にしかつながらないのは言うまでもないことです。まぁ、それは採用側にとって狙い通りのなのかも知れません。並の社畜ではなく、筋金入りの社畜を選別したいのでしょうから。

とのことである。
社畜云々は過激な表現だが、この筆者の意見にはおおむね賛同である。

大卒者に対して「一括採用だと、同じような人ばかりになる」というのがおかしい点は特に同意である。
それは企業サイドの問題であり、今まで「同じような人ばかり採用してきた」ということに過ぎない。
例えば、大手有名私立大学では、同学年に何千人、何万人と在籍する。
この何千人、何万人が全員同じような人であるはずがない。その何千人中の何人が同じ企業の採用試験を受けるのかわからないが、企業サイドが同じような人ばかりを選んでいるのである。

そしてこの筆者が慧眼だと思うのは、
ユニクロが高卒採用でなく、大学1年生採用にしたのは、一見するとリベラルだがその根底には通常の企業以上に学歴信仰があるとした点である。
高卒者と大学1年生の能力、学力はほぼ同じである。同じ能力なのに大学1年生を採用するということは、●●高校卒という肩書よりも、4年後○○大学卒という肩書を持つスタッフを集めたかったのではないかと見られても仕方がない。

ただ、何度も繰り返すが、大卒一括採用と異なる動きを見せた点だけは評価したいが、「ユニクロだから」とすべてを賛美するのはいただけない。評価できる点とそうでない点を同列に論じないと、贔屓の引き倒しに終わってしまう。

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