月別: 1月 2011 (1ページ / 2ページ)

ナイロンの黒ダウンはもう売れない

 先日、「グレンフェル」の赤いダッフルコートをいただいた。
イギリス製のもので、15年ほど前に買ったが、高かったので捨てるに忍びないということなので、試着してみると、アームホールはタイトな作りで古臭さがないので、そのまま持って帰ってきた次第だ。

太番手ウール100%のヘリンボーンツイードを起毛させてあるという珍しい生地が使用してある。それなりに気に入っているのだが、1つだけ難点がある。かなり重い。
実は、自宅には、心斎橋そごうの第1期閉店のときにセールで買ったヘリンボーンツイードのロングコートがある。これもかなり重い。

こうして見ると、軽くて暖かいダウンジャケットという防寒着はなかなかに貴重な物だと思う。

12月下旬からの寒波が東京を除く全地域で続いている。例年だと東京よりもずっと暖かい関西だが、ここ1カ月は東京よりも寒い。東京だけが例外的に暖かいともいえる。関西では2月も防寒着は手放せなくなりそうだ。12月上旬までは暖冬が続いており、ダウンジャケットの動きが鈍かった。しかし、年末からの寒波とバーゲンによる値下げでダウンジャケット類はこの1カ月でかなりの量を消化しているようだ。

もう冬物も終わりなのだが、この冬のダウンジャケットの傾向をまとめておきたい。

現時点で店頭に残っているダウンジャケットを見ると、黒やこげ茶、紺などベーシックな色のナイロン素材の物が多く残っているように見える。反対に黄色やオレンジ、赤などカラフルなダウンジャケットは予想以上に消化できているように見える。もちろん、カラフルな商品は生産量が少ないのだろうが、例年以上の消化率ではないだろうか。

P9291017

(ユニクロのレディースのカラフルなウルトラライトダウン)

一方、ビームスやユナイテッドアローズを代表とするセレクトショップ全般では、表面が通常のナイロンではなく、ウール生地の物や柄物がアウトドアカジュアルトレンドを牽引したといわれている。

ダウンジャケットブームは過去3年ほど続いており、黒、こげ茶、紺などのベーシックな色のナイロン素材の物は、だれもが1~2枚所有してしまっている。となると、カラフルな色物か柄物、ナイロンではない異素材物が欲しくなるのが消費者心理ではないだろうか。ウール生地のダウンジャケットはこの異素材物に含まれる。

男・ウールダウンベスト
(チャオパニックのメンズウールダウンベスト)

女・ウールダウンジャケット

(チャオパニックのレディースウールダウンジャケット)

では、2011年秋冬のダウンジャケット需要はどうなるのだろうか。
個人的には、先に述べたように、防寒物の中では、ダウンジャケットは圧倒的に軽くて保温力がある。機能性が高いため、一定需要は長期間継続すると思う。ある意味で定番として残る。
しかし、カジュアルアウターとして販売を考えた場合は、なにか違った要素を入れる必要があるのではないか。もう定番のナイロン素材の黒はそれほど売れない。
今期多く見られたようなカラフルな物、チェックなどの柄物、ウール生地の異素材物がその例である。
また「+J」でも投入された途端に完売した、テイラード型ダウンジャケットというのも一つの方向性だろう。
通常のブルゾンタイプではなく、テイラードジャケット型にするというようなデザイン変化物は売れ行きが2011秋冬も期待できるのではないか。発展系としてPコート型ダウンやチェスターコート型ダウン、ステンカラーコート型ダウンなどが出てくると面白いと思う。

どこかのメーカーさん、Pコートダウン、チェスターコートダウン、ステンカラーコートダウンをやってみませんか?

販促的見地からのHPを解説してみた

 連続でDM,POPについて書いてきたのだが、今度は、藤村正宏さんのメルマガで紹介されていたアパレル企業、フラムクリップさんのHPについて。
メルマガを拝読してから、さっそくググってみた。

http://www.furamuclip.com/

けっこう人の目を惹きつける。
何よりも藤村さんの理論に忠実に従った作りになっている。
これだけ徹底して作成できるという実行力に感服する。

トップに社長の手書きのメッセージがある。
藤村さんは、手書き文字を重視されている。
印刷された文字が多い昨今だが、その中に手書き文字が入れば間違いなく目立つ。手書き年賀状が一際目につくのと同じだ。
自分は、めちゃくちゃ字が下手くそなので、なるべく手書き文字は避けたいのだが。。。。

次に「オススメ商品」のタブをクリックすると、
スタッフの顔写真入りでオススメポイントが書かれている。
例えば「キラキラ裾ボーダーチュニック」を見ると、

これがフラム的クリスマスSTYLE!
ラメ糸やフィラメント糸を用いたキラキラ・ふわふわなニットチュニック。

と手短にまとめられている。個人的にはもう少しいろいろと書きこんだ方が良い気もするが、その下に、

話題のMADE IN山形ならではの繊細なテクニックを駆使した一品で「イッツアパーリータイムよ♪」

とある。パーリータイムとは、人気アニメ戦国バサラに登場する伊達政宗の口癖で「パーティータイム」のことである。作中の伊達政宗はときどき英語を使う。
このニットが山形産地のものであることを伝えている。

これがフラム流の商品説明なのだろう。ユニクロなら「ニットの名高い産地である山形の工場で、繊細なテクニックで編みあげました。素材混率は○○が○%・●●が*%です」というような具合に書かれたはずだと想像する。企業それぞれの色で書けば良いのである。

フラムクリップのHPの最大の特徴は
「お客様の声」「小売店様の声」のタブがあることである。
とくに「お客様の声」は藤村さんのセミナーでは外せない重要要素である。実際に着用した消費者からの声がまとめられているのだが(もちろん良い内容のもので)、これを自社スタッフが「購入されたお客様も着心地最高ですとおっしゃっておられます」などと書くと最悪である。
なぜなら、スタッフが捏造して勝手にコメントを書いているのではないか?と疑う人が多いからだ。
だから、ここでは実名こそ出さないものの「熊本県 40代 マイユキさん」と個人名を出してコメントを掲載している。

この「消費者の声を直接掲載する」というのが、テクニックで、口コミ風の効果があり、読者に信用してもらいやすい。HP以外にカタログやチラシ、DMなどでも活用できるテクニックである。
もちろんアパレルだけではなく、食品、コスメ、ドラッグ類、雑貨、日用品と何にでも応用ができる。逆にどちらかといえば、アパレル以外のジャンルが得意として来た手法といえる。

消費者からの声を集める際に気をつけなくてはならないことがある。
藤村さんによるとハガキやアンケート用紙に「御意見・ご要望をお聞かせください」と書いてはいけないという。ましてや「私どもの至らない点をご指摘ください」や「お叱りの声をお願いします」などは論外である。

まず「御意見・ご要望をお聞かせください」と書いた場合、おそらく7割は批判的・否定的な意見や、無茶苦茶な「要望」が寄せられる。人間の反応は意外と素直なので、「御要望を」と書くと本当に自分の「要望」を書いてしまう(実現できるかどうかは別にして)。「御意見を」と書くと、否定的な意見を書く人が多い。
次の「至らない点をご指摘ください」や「お叱りの声を」などと書くと、本当に至らない点だけを指摘してくれる。本当に怒りの声を書いてくれる。

前向きな声が欲しい場合は「スタッフに励ましの声をお願いします」とか「当店に熱いメッセージをお願いします」と書くのが正解だという。本当に「励ましの声」や「熱いメッセージ」が送られてくる。

また「小売店様の声」というコーナーは良く考えられてあると思う。
例えば、ショップであれば「小売店様の声」を掲載する必要はないのだが、この会社は卸売りがメインなのだろう。小売店さんからの声を紹介することで、先ほどの「お客様の声」と同じ効果があるだけではなく、お得意様である小売店さんを宣伝告知してあげられるという効果もある。
この仕掛けはすごいと思う。

本当に、セミナーで学んだことを忠実に形にしておられる。
学ぶの語源は「真似ぶ」にあるというのが、高校三年生当時の担任の口癖だった。一旦学んだからといって忠実に「真似ぶ」ことはなかなかできるものではない。もちろん「真似ぶ」といっても「パクる」こととはまた別物である。

チラシ、店頭POP、DMなどの販促ツールを作るときにこのテクニックを採り入れてみられてはどうだろうか?

続・アパレル店とPOP

 昨日、POPのことについて書いたが、これは各氏のセミナーを聴きながら数年前から漠然と考えていたことである。繊維・アパレル業界に戻ってから各種のセミナーや講演を聴いているが、やはりPOPやDMなど販促系の内容は少ない。

現在、東京でインターナショナルファッションフェア(IFF)が開催されているが、POPやDM関係のセミナーはない。もっとグローバルというか、マクロというか大きな経済活動の話が多い。販促系のセミナーになると、インターネットやSNS、モバイルを活用する話が多い。なんとなく、アパレル業界人の見栄っ張り、ええ格好しいの体質が透けて見えるような気がしないでもない。


閑話休題。

洋服店がヴィレッジバンガードのようにPOPを強化することに反対の意見もある。それは「きちんとした販売員がいればPOPなどいらないのだから、販売員育成を強化すべき」ということである。これも一理ある。
その場合の「販売員」とは、例えば個店のオーナー販売員のように、固定客の趣味、嗜好、手持ちの洋服、場合によっては収入のレベルまで把握しているような凄腕の販売員のことだ。

自分自身は体験がないが、昔は東京や大阪にも、こういうオーナー販売員さんや、そういうオーナーに雇われていた凄腕販売員さんが多くいたと言われているが、今ではそういう小規模店は少なくなった。地方都市には一部残っているようだが。
こういう販売員さんを複数雇用できるのであれば、ヴィレッジバンガードのようなPOPは必要ない。しかし、全国規模のチェーン店では、それは望めない。そうなると、アルバイトの店番みたいなお兄ちゃん・お姉ちゃんにあやふやな解説をされるよりは、しっかりと説明が書かれたPOPを読んでいるほうがずっと効率的であるし、間違いが少ない。

昨日、メルマガを貼り付けた販促コンサルタントの藤村正宏さんのセミナーを3回ほど聴講させていただいたことがある。

とにかく実例が豊富で面白い。氏の提唱するPOPやDMはかっこよくはないけれども人の目を惹きつける工夫がなされている。
北海道のお土産物屋のPOPなども手掛けておられているので、そのときの事例を挙げる。

商品名「○○」とだけ書かれたお菓子のPOPを見て

藤村氏 「このお菓子はどんな特徴があるの?」
販売員 「有名な○い恋人の類似商品だけども、本家よりも甘さが濃いんです。濃いコーヒーやお茶と一緒に食べたら最高なんです」

こういうヒアリングが行われた後、

「北海道名物のあのお菓子よりも甘い○○、 濃いお茶とどうぞ」
(記憶を頼りにしているので語句は少し違う可能性が高い)

というPOPができた。

こういう考え方を洋服店に当てはめれば、
カーディガンを棚に並べて「カーディガン3900円」というPOPだけを付けるのではなく、例えば、「今、人気のシャツブラウスの上から、少し肌寒い日に羽織ってください」とか「タイトなスキニーパンツと合わせるとかわいいシルエットになります」とでもPOPを付けてみてはどうだろうか?
消費者も活用法がわかって買いやすくなるのではないだろうか。

昨今は過剰な接客(つきまとうような接客)を嫌がる消費者も多いから、どうしても大型店や全国チェーン店はセルフ買いの要素が強くなる。そうした場合にはセールスポイントが手短にまとめられているPOPが効果を発揮する。
また小さな個店でも、オーナー店長が店に完全密着しておくことはできない、たまにはアルバイトちゃんに店番をお願いすることもあるだろうし、お客さんが複数来られて、十分な応対ができないかもしれない。こういう場合に備えてPOPが必要ではないだろうか。

ライトオンとジーンズメイトの1月売り上げ速報

 恒例のライトオンとジーンズメイトの1月売上速報が発表された。
結果を言ってしまえば、ライトオンは微減なのに対して、ジーンズメイトは15%減に近い。年始のバーゲンが含まれていてこの数字では、ジーンズメイトは相当に不振だと言えるだろう。

しまむらと同グループのアベイルの数字も合わせて紹介する。

ライトオンの1月売り上げは

既存店売上高が前年比3・5%減
既存店客数が同10・0%減
既存店客単価が同7・2%増

と前年微減にとどまった。

一方、ジーンズメイトの1月売り上げは

既存店売上高が前年比18・2%減
既存店客数が同14・6%減
既存店客単価が同4・3%減

と前年割れの幅が大きい。

ちなみに、しまむらの1月売り上げは
既存店売上高が前年比2・5%増、

同じグループのアベイルも
既存店売上高が同1・0%減

とそれぞれ微増と微減にとどまっており、まずまずの堅調ぶりだ。

ライトオンもマックハウスも苦戦傾向にあることは変わりないが、ジーンズメイトの苦戦ぶりは群を抜いている。既存店を何店舗か大阪市内で見て歩いている(鶴橋店除く)が、店作りがややすっきりした以外はあまりこれまでと変わっていない。商品のテイストを変えるでもなく、商品の仕入れ先を変えるでもない。あくまでもこれまでの延長線上に止まっている。

ライトオンはニット好調・防寒物苦戦としており、しまむらは保温肌着「ファイバーヒート」とウールコートが好調だったと言う。ライトオンが苦戦した防寒物というのは、おそらく「洗えるダウンジャケット」だと推測される。
ちなみにジーンズメイトも自社企画ダウンジャケットを販売しており、定価7900円だが、ずっと4900~2900円の間で販売されている。これ以外にも中価格・高価格帯のダウンジャケットも仕入れている。かなりダウンジャケットを豊富に持っており、それが動いていなかった。

その一方で、ライトオンが好調だったというニットは、ジーンズメイトにはほとんど入荷していない。この辺りの商品政策のミスジャッジも苦戦の要因の一つだろう。

新規の好材料がなく、懸念材料しかないにも関わらず、ジーンズメイトの株価が昨年12月半ばに急騰したことから、なにか今後大きな動きがあるのではないかと考えている。
株価チャートを見ていただけばわかるのだが、昨年11月末までは180円くらいだった株価が、12月半ばに急騰し、一時期400円を越えている。一挙に2倍以上である。
その後、じわじわ下がり始めて、現在は340円くらいだが、それでもまだ昨年11月の2倍弱である。

あまり株にはくわしくないのだが、「ジーンズメイト側が身売りの準備を始めたか、ジーンズメイトを買収したい企業が介入したかのどちらかではないか」と考えている。

ジーンズメイトは今年、来年が企業存続の正念場だろう。

1月もユニクロは前年割れになる


先週、先々週と大阪市内のユニクロを3店舗廻ってみた。心斎橋店、なんばマルイ店、それから動物園前店である。

心斎橋店と動物園前店は、1月14日時点で店内の8割が春物で、心斎橋店にはドライ半そでポロシャツやリネンシャツなどの夏物が早くも入荷していた。
なんばマルイ店は、春物が6割程度とやや少なめで、ラムウールセーターなどの冬物がまだそれなりに残っていた。

異様に早い春物への切り替えを見ていて「1月の売上高もユニクロは前年割れ」だと推測している。

衣料品業界には気温や用途に応じた「実需」の部分と、実用部分を度外視した「ファッション」の部分にわかれるが、ユニクロは前者の「実需」のためのブランドである。
一方、「ファッション」として挙げられるのは、ルイ・ヴィトンであり、シャネルでありコム・デ・ギャルソンでありという高級ラグジュアリーブランドや高級デザイナーズブランドになる。

イッセイミヤケの前社長、太田伸之さんのブログを定期的に拝読しており、いつも勉強させていただいている。先日、1月20日付けのブログで春物の立ち上がりについて書いておられる。

http://plaza.rakuten.co.jp/tribeca512/diary/201101200000/

イッセイでは1月初旬から春物が全面的に立ち上がり、店頭のディスプレイも春物に切り替わっているようだ。1月初旬といえばバーゲン開始直後なので、かなり早い。
そして春物について次のように書いておられる。

このところ都内でも体感温度ゼロ度に近い寒さ、そんな中で春物を買っていただくには、お客様の心を揺さぶって「欲しいっ!」と感じてもらわねば。マネキンの脚1つとっても、春らしい明色のストッキングやタイツを組み合わせてチラリと春の到来を強調すべきでしょう。

とのことである。
イッセイというブランドだからこそ、極寒の中で「春物」を立ち上げて販売できるし、それを期待している客層がほとんどであろう。

しかし、ユニクロはそういうブランドなのだろうか?そういう客層が数多くいるのだろうか?身の回りのユニクロ店舗を見れば見るほど、大衆向けブランドであり、イッセイのような客層は数少ない。体感温度ゼロ度に近い状況では、冬物が求められる。
「寒いけれど、春の立ち上がりの新商品が欲しいわ」と考えるような客層はユニクロにはほとんどいない。

しかも、ユニクロよりも感度の高いお客が多いとされるビームスやユナイテッドアローズなどの店舗は、店内に春物が入荷されているものの、打ち出しはまだまだ「冬物最終セール」である。ビームスやユナイテッドアローズですら、こうなのにユニクロがそれらを飛び越えて季節先取りをする意味がわからない。
このままの商品展開が進めば2月もユニクロは前年割れを続けるだろう。

このブログは写真が少ないとのご指摘があるので、「シャネル」のディスプレイを貼り付けておく。春らしいライトオンスデニムのコーディネイトだが、ヘソ出しとミニスカートがいかにも寒々しい。これでも「欲しい」と思わせるのはブランドのステイタス性があればこそだろう。これと同じ提案をユニクロがしているのはいかがなものだろうか?

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ジーンズの国内販売市場規模は?

 ジーンズ売り上げが低迷(反対にチノパン、ワークパンツ類は伸びている)ということを良く書いてきたのだが、ジーンズの年間国内販売数量というのは、だいたいどれくらいかと言うと、はっきりした統計はないのだが、一般的に「9000万本~8000万本」と言われている。

売り上げが好調な場合は9000万本、場合によっては9000万本を越えるが、1億本には届かない。一方、不調なら8000万本。過去7000万本台にまで落ちたことはないと言われているが、もしかしたら2011年は7000数百万本に低下するかもしれない。

大雑把に分けて好調不調で約1000万本の販売数量の差がある。

1000万本というと大きな数字だが、全体数量が3割減になったり、半減したりしないところが、ある意味で「ジーンズの底堅さ」があるともいえる。

このうち、ユニクロのジーンズ年間販売数量が1000万~1200万本と言われており、国内市場の7分の1を占めているから驚く。

一口に「1万本」などと、自分も簡単に口にしてしまうのだが、実際には莫大な数量である。
エドウィン、リーバイス、ビッグジョン、旧ボブソンなどの大手ジーンズ専業メーカーのヒット商品と言われる基準は、品番やメーカーによっても異なるが、だいたい「2万~5万本」ではないだろうか。とくに2000年に入ってから「1型で10万本売りました」などという話しは聞かず、ここ数年なら1型1万本でも十分にヒット商品と言えるのではないか。

で、ここから売上高を計算してみたいのだが、
1本の店頭販売価格がだいたい9800円~13000円くらいまでの商品が多いので、仮に1万円だとしておく。
その1万円の商品が大ヒットして2万本生産した。

そうすると1万円×2万本(10,000×20,000)で2億円の売上高になる。
これは店頭売り上げが2億円であり、通常、メーカーはお店に卸売りするので、当たり前の話しだが卸売り価格はもっと安い。
昔は「6掛けで卸す(店頭の60%の価格が卸売り価格)」と言われたが、今はそんなことはない。55%とか50%とか45%になっており、場合によってはもっと低い掛け率で卸している。
1万円の商品なら6掛けだと卸売り価格は6000円ということになる。

ここでは卸売り価格を50%として計算すると、先ほどの商品は店頭売り上げは2億円だが、メーカーは1億円で卸していることになる。

こう考えると、大手ジーンズ専業メーカーは2万本のヒット商品があっても、その売上高は1億円にしかならない(我々庶民には1億円は莫大な金額だが)。しかも、大手ジーンズメーカーの中では、エドウィンとリーバイスが年間売上高100億円を越えている。
単純化すると、この店頭価格2億円分の商品が、あと99種類ないと年間売上高100億円にならない。

こう考えると、年間100億円以上の売上高があるジーンズ専業メーカーのすごさが改めてわかる。

ジーンズ専業メーカーは、売上高を作るために過去はとにかく品番を増やした。10年くらい前のリーバイスで言えば501があり502があり、503、504、505があり、511、512、515、517がある。さらに646とか702とかその他デザインパンツ類があった。
正直、品番とシルエットの違いを覚えるだけでも一苦労だったのだが、品番数を増やさないと売上高100億円以上を維持することは不可能だったのだろう。

それから、これは年始の繊研新聞でも言及されていたのだが、ジーンズ専業メーカーは売上高と売り場シェアを高めるために、ジーンズチェーン店に積極的に納品していた。それは構わないのだが、ほとんどの場合、それは店の買い取りではなく、売れた分だけメーカーに支払って売れ残った商品は返品するという委託販売だったため、期末の返品受け取りによる利益ロスも大きかった。
通常、期末に返品された商品は、値引きされて再出荷されたりするので、そこでもまた利益は低下するという図式となる。

常々、ジーンズ専業メーカーは売上高100億円を維持しようとせずに、30億円くらいの売上高を維持しながらブランド力を高める方が良いと考えているのだが、上記のような図式のままで無理やり売上高を拡大するよりも、思い切ってダウンサイジングした方が利益も高くなる。ただしその場合は、余剰人員の首切りが必要となるため、軽々しくは動けないという事情もあるのだが。

苦戦を続けるリーバイ・ストラウス・ジャパン

 アパレル業界・繊維業界以外の方々に、この拙いブログを読んでいただいているようだが、業界外の方々は「リーバイス」というブランドにどんなイメージを持たれているのだろうか?

自分の「リーバイス」に対するイメージは、リーバイ・ストラウス・ジャパン社は数年以上に渡って減収減益を続けている苦戦企業である。

ちょっと前置きが長くなってしまったのだが、
昨日、リーバイ・ストラウス・ジャパン社の2010年11月期連結決算が発表された。2009年までは単独決算だったが、2010年1月から子会社を含めた連結決算へと切り替わっている。

もう一般紙でもご存じの方も多いと思うが、改めて数字を並べさせていただく。

売上高131億6900万円
営業損失24億2500万円
純損失35億8700万円

と減収赤字拡大に終わった。

2009年11月期単独決算は
売上高171億3400万円
営業損失6億8700万円
純損失5億4700万円

だった。
また、2011年11月期連結は

売上高123億円
営業損失21億5300万円
純損失25億2300万円

と、減収赤字を見通す。

かなり厳しい状況にあると言える。

個人的には、頻繁な社長交代とそれに伴う頻繁なブランド方針の変更に原因があると思っている。

さて「リーバイス」というブランドのジーンズを愛しておられる方は、アパレル・繊維業界にも数多くいらっしゃるが、個人的に最近のリーバイス商品はあまり好きになれない。
馬鹿なこだわりなのかもしれないが、1万円前後する商品の生産地が「ベトナム」であるからだ。
以前は、中国製が多かった。

中国製食品に対しては不安が付きまとうが、こと衣服に関してはかなりレベルが高まっている。もちろん中国工場の腕の良しあしにもピンキリはあるが、下手な日本工場よりも良い製品を上げる中国工場も数多くある。そういう状況下で、例えば1万5000円のジーンズが中国製であっても「仕方ないね」と思える。

最近は、中国工場の人件費高騰から、ベトナム、カンボジア、バングラディシュ、パキスタン、タイ、インドネシア、インドあたりに縫製工場を移転する事例が多い。大雑把にわけると「中級・高額品=中国」「低価格品=アジア諸国」という使い分けになっている。
こうした現状から見ると、いくら「リーバイス」ブランドとはいえ、1万円前後(ジーンズでは中級品以上)の価格の商品をベトナムで生産していることに疑問を覚える。

OEM関連の方々からの情報では、中国に比べて、周辺アジア諸国の工場の技術はまだまだ低いらしい。人件費も安いので「低価格品=中国以外のアジア工場」という方式にならざるを得ないのが実情である。

それから、ジーンズショップの方々にお聞きすると「リーバイス」というブランドにこだわるお客さんは40代半ば以上が多く、20代・30代の方はブランドにこだわってないですよ。という。
そういう意味では「若者のリーバイス離れ」もブランド力低迷に一役買っているといえる。

「若者の○○離れ」が好きなマスコミが、どこかで報じないかと楽しみにしている。

12月百貨店売上高は前年比1・5%減

 昨日、全国百貨店の2010年年間売上高と12月度売上速報が発表され、一般紙でも「百貨店年間売上高は82年当時まで下落」と盛んに報道されている。

全国百貨店の12月度売上高は、
7246億円で、前年同月比1・5%減だった。

11月度は前年同月比が0・6%だったので、そろそろ百貨店の売り上げ低下も底打ちかなと思える。

一般紙の報道によると、百貨店の年間売上高が82年当時と同じ水準まで低下したのは「まとめ買い」が減ったからだという。

まあ、たしかに今時、百貨店でまとめ買いする人はあまり見かけないのでその通りだろうとは思うが、それだけではない。
百貨店凋落の原因について識者からはいろいろな指摘がある。

・百貨店バイヤーが良い商品を見分けられなくなった。いわゆる目利きがいない。
・買い取り販売を止めて委託販売だから、真剣に売る気がない。
・安全策を採用しすぎてブランドラインナップが陳腐化している。
・売り上げ確保を重視しすぎて接客がおろそかになっている。

また繊維・衣料品業界以外の識者からは

・中元歳暮の風習が薄れて買う人が減っている。
・高級洋服ブランドに特化しすぎて商品のバラエティーがない。
・百貨店の店舗数が多すぎる。もっと減らすべき。
・企業の経費節減で、外商部門も売上高が減っている。

などの意見がある。

どれも正論で、それらの要素が混然一体となって凋落を続けてきたといえる。

で、百貨店の復活はどうしたら良いのかと言えば、先の要素すべての逆をやれば良いのだが、実際できるかとなるとかなり難しいようだ。
大先輩の某コンサルタント氏は「もう百貨店に対してコメントはしない。彼らにはその能力も資金も残されていない。できない人を責めたら、それはイジメになっちゃう」とおっしゃっている。

百貨店の売り上げ減少はそろそろ終わりそうだが、売り上げ回復は不可能だと見ている。

GAPの2店舗比較

 チェーン店は店ごとによって売れ筋が異なり、自分の欲しい物がA店では完売しているがB店では豊富に残っているということが良くある。
例えば、ユニクロだと同じ大阪市内でも心斎橋店で完売している商品が、動物園前(超ローカル)店では残っている。
ユニクロの中でややトレンド性が高い商品やトラッドっぽい商品、メンズだとピンク系や赤など綺麗な色合いのものは、心斎橋店で完売していても、動物園前店では残っている場合が多い。

そんな感じで1月17日のGAPを比較してみる。
GAPは心斎橋店と、阿倍野HOOP内のテナントショップ。
趣味と実益を兼ねて、メンズを見た。

両店とも春物が立ち上がっており、
店内は春物50%・冬物50%という感じ。
春物はスエット類、綿セーター類がほとんどで、半そでや七分そではほとんどない。ごく稀に並んでいるのは昨年秋口からの売れ残り商品で、900円くらいに値下がりしている。
メンズでリネンシャツジャケット、レディースでドライ半そでポロシャツが立ち上がっているユニクロより、よほど季節感に合っている。

ウールセーター類は両店ともほぼ完売。
オリーブグリーンのウールニットベストが1400円に値下がりして残っているところも同じ。
ダウンジャケットも意外に消化できているが、まだまだ残っている感じがある。

両店のメンズダウンジャケットで一番の売れ筋は
くすんだ黄色だと思う。
色のトーンはこんな感じである。

心斎橋店では1月17日時点では完売していたが、
阿倍野HOOP店では数枚残っていた。
オレンジやロイヤルブルーが大量に残っていることを考えると、このクリームイエロー人気は意外だった。

次にマフラー類を見ると
心斎橋店はほとんど残っておらず、マフラーというよりも秋口からの残っているストール類が大半を占めている。
一方、阿倍野HOOP店は、ウールのマフラーがまだまだ豊富にある。

あと1900円に値下がりしたコーデュロイパンツ
心斎橋店ではほぼ完売だが、
阿倍野HOOP店ではまだまだ豊富にある。

一方、2900円に値下がりしたスリムフィットなカーゴパンツ類は、
阿倍野HOOP店は品薄だが、心斎橋店の店頭在庫は豊富である。

阿倍野HOOPは、目下moreセール開催中で、グリーンレーベルリラクシングは50%オフに、ビームスもセール品目を拡大している。GAP(心斎橋店も)は期間限定でレジにて値札から20%オフを開催している。
各社がこの状況であるのに、店内の7割を春物に変え、さらに明らかな夏物まで投入し終わっているユニクロのシーズンMDには首を傾げたくなる。

2011年旧暦占い

 毎年、1月の初めに繊研新聞で「今年の旧暦占い」という特別企画記事が掲載される。これは、今の暦(新暦)ではなく、旧暦によってその年の気候の移り変わりを予測するというものである。
旧暦と新暦は、だいたい大雑把に1カ月半ほどのズレがあるのだが、その年によってほぼ1カ月の場合と、2カ月近くズレる場合がある。

衣料品の販売にとって、暑さ・寒さというのは重要な要素なので、今年はいつごろ暑くなるのか、いつごろ寒くなるのかということが気にかかる。

昨年(2010年)はこの旧暦占いが的中した。春の訪れが遅かった。理由は閏月があり、1年が13カ月あったせいだ。4月20日ごろまで寒さが続いて、春物の売れ行きが鈍かった。
以前はクラボウの元常務、小林さんが長らく旧暦占いを書かれていたのだが、近年は違う方に変わられている。

今年の旧暦占いは、旧暦の元旦と新暦の立春がほぼ重なるので、順調に気候が推移するという。

【春】3月5日ごろから春らしくなり、桜の満開は3月下旬。
【夏】ゴールデンウイークの間に夏らしくなり、梅雨明けも早い。
   残暑が長引くことはない。
【秋】2010年よりも早く秋が来る。
【冬】10月下旬から寒波到来。


とのことである。

この占いが的中するなら、2011年は久しぶりに暦通りの順調な気候推移になりそうだ。

ブランド力、トレンド提案、コーディネイト販売などと言っても、洋服の需要はやはり気温で決まる。暑ければ半そでが欲しいし、寒くなれば防寒着が欲しくなる。気温無視で買ってもらえるブランドなどは、業界でもほんの一握りである。

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