続・アパレル店とPOP
2011年1月27日 未分類 0
昨日、POPのことについて書いたが、これは各氏のセミナーを聴きながら数年前から漠然と考えていたことである。繊維・アパレル業界に戻ってから各種のセミナーや講演を聴いているが、やはりPOPやDMなど販促系の内容は少ない。
現在、東京でインターナショナルファッションフェア(IFF)が開催されているが、POPやDM関係のセミナーはない。もっとグローバルというか、マクロというか大きな経済活動の話が多い。販促系のセミナーになると、インターネットやSNS、モバイルを活用する話が多い。なんとなく、アパレル業界人の見栄っ張り、ええ格好しいの体質が透けて見えるような気がしないでもない。
閑話休題。
洋服店がヴィレッジバンガードのようにPOPを強化することに反対の意見もある。それは「きちんとした販売員がいればPOPなどいらないのだから、販売員育成を強化すべき」ということである。これも一理ある。
その場合の「販売員」とは、例えば個店のオーナー販売員のように、固定客の趣味、嗜好、手持ちの洋服、場合によっては収入のレベルまで把握しているような凄腕の販売員のことだ。
自分自身は体験がないが、昔は東京や大阪にも、こういうオーナー販売員さんや、そういうオーナーに雇われていた凄腕販売員さんが多くいたと言われているが、今ではそういう小規模店は少なくなった。地方都市には一部残っているようだが。
こういう販売員さんを複数雇用できるのであれば、ヴィレッジバンガードのようなPOPは必要ない。しかし、全国規模のチェーン店では、それは望めない。そうなると、アルバイトの店番みたいなお兄ちゃん・お姉ちゃんにあやふやな解説をされるよりは、しっかりと説明が書かれたPOPを読んでいるほうがずっと効率的であるし、間違いが少ない。
昨日、メルマガを貼り付けた販促コンサルタントの藤村正宏さんのセミナーを3回ほど聴講させていただいたことがある。
とにかく実例が豊富で面白い。氏の提唱するPOPやDMはかっこよくはないけれども人の目を惹きつける工夫がなされている。
北海道のお土産物屋のPOPなども手掛けておられているので、そのときの事例を挙げる。
商品名「○○」とだけ書かれたお菓子のPOPを見て
藤村氏 「このお菓子はどんな特徴があるの?」
販売員 「有名な○い恋人の類似商品だけども、本家よりも甘さが濃いんです。濃いコーヒーやお茶と一緒に食べたら最高なんです」
こういうヒアリングが行われた後、
「北海道名物のあのお菓子よりも甘い○○、 濃いお茶とどうぞ」
(記憶を頼りにしているので語句は少し違う可能性が高い)
というPOPができた。
こういう考え方を洋服店に当てはめれば、
カーディガンを棚に並べて「カーディガン3900円」というPOPだけを付けるのではなく、例えば、「今、人気のシャツブラウスの上から、少し肌寒い日に羽織ってください」とか「タイトなスキニーパンツと合わせるとかわいいシルエットになります」とでもPOPを付けてみてはどうだろうか?
消費者も活用法がわかって買いやすくなるのではないだろうか。
昨今は過剰な接客(つきまとうような接客)を嫌がる消費者も多いから、どうしても大型店や全国チェーン店はセルフ買いの要素が強くなる。そうした場合にはセールスポイントが手短にまとめられているPOPが効果を発揮する。
また小さな個店でも、オーナー店長が店に完全密着しておくことはできない、たまにはアルバイトちゃんに店番をお願いすることもあるだろうし、お客さんが複数来られて、十分な応対ができないかもしれない。こういう場合に備えてPOPが必要ではないだろうか。